(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463022
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】視線誘導柱連結体
(51)【国際特許分類】
E01F 9/00 20160101AFI20190121BHJP
E01F 13/02 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
E01F9/00
E01F13/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-150033(P2014-150033)
(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公開番号】特開2016-23508(P2016-23508A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 秀樹
【審査官】
西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−263446(JP,A)
【文献】
特開平07−259037(JP,A)
【文献】
特開2007−070852(JP,A)
【文献】
特開2013−227784(JP,A)
【文献】
特開2012−188843(JP,A)
【文献】
特開2010−216126(JP,A)
【文献】
特開2014−029060(JP,A)
【文献】
特開2013−227786(JP,A)
【文献】
特開平03−267407(JP,A)
【文献】
特開2002−327411(JP,A)
【文献】
実開平07−023012(JP,U)
【文献】
米国特許第04515499(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/00
E01F 13/02
E01F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の視線誘導柱の間に架橋するための長尺状本体と、
前記長尺状本体の両端にそれぞれ設けられ、前記視線誘導柱の外径に一致又は少し小さく形成される内径を有して前記視線誘導柱に鉛直方向に挿入可能な筒状部又は部分筒状部を有する一対の挿入部と、を備え、
前記一対の挿入部のうち少なくとも一方の挿入部は、当該挿入部の軸方向に沿って見た場合に当該挿入部に挿入された前記視線誘導柱の頂部と干渉する位置に設けられ、前記頂部との当接によって前記視線誘導柱の頂部を基準とした所定高さに当該挿入部を保持する保持部を有した保持部有筒状部であり、
前記一対の挿入部のうち他方の挿入部は、前記保持部が形成されていない保持部無筒状部であり、
各々の筒状部は、水平方向に沿って見た場合に互いに重ならないように、高さを異ならせて配置されている、視線誘導柱連結体。
【請求項2】
前記長尺状本体、前記挿入部及び前記保持部を含む視線誘導柱連結体を構成する全ての部材は非金属材料で形成されている請求項1に記載の視線誘導柱連結体。
【請求項3】
前記長尺状本体、前記挿入部及び前記保持部は、エラストマー系樹脂で形成されている請求項1又は2に記載の視線誘導柱連結体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面に設置される視線誘導柱間に架橋される視線誘導柱連結体に関する。
【背景技術】
【0002】
視線誘導柱(以下、道路標識柱、誘導柱又は標識柱と称することもある)は、上下車道の中央分離線や、車道と自転車道及び歩行者専用道路との境界線標示用、公園や街路等の車止め仕切り等の標示用、駐車場の標示用として使用される。
【0003】
例えば高速道路の中央分離帯など車両の進入を的確に防止したい場所においては、誘導柱同士を連結する視線誘導柱連結体を用いることが挙げられる。
【0004】
誘導柱を連結する手段として、例えば特許文献1には、路面上に起立して設置される視線誘導柱と、誘導柱同士を連結する長尺状のビームと、を備え、誘導柱の頂部に形成した差し込み孔にビームを挿入して誘導柱及びビームを一体化した視線誘導体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−182021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構造では、連結体(ビーム)を誘導柱に固定するために、視線誘導柱に差し込み孔が形成されていなければならず、既設の視線誘導柱にそのまま適用することができない。
【0007】
また、連結体(ビーム)を誘導柱にクランプ機構を用いて固定する場合には、連結体と誘導柱との固定位置が施工者に応じて変動することが考えられ、連結体の設置高さにバラツキが生じるおそれがある。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、既設の視線誘導柱に適用可能であると共に、どのような施工者が施工しても連結体の設置高さのバラツキを無くすことができる視線誘導柱連結体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、次のような手段を講じている。
【0010】
すなわち、本発明の視線誘導柱連結体は、
複数の視線誘導柱
1の間に架橋するための長尺状本体
20と、
前記長尺状本体
20の両端にそれぞれ設けられ、
前記視線誘導柱1の外径に一致又は少し小さく形成される内径を有して前記視線誘導柱
1に鉛直方向に挿入可能な筒状部又は部分筒状部を有する一対の挿入部
21,22と、を備え、
前記一対の挿入部
21,22のうち少なくとも一方の挿入部
21は、当該挿入部
21の軸方向に沿って見た場合に当該挿入部
21に挿入された前記視線誘導柱
1の頂部と干渉する位置に設けられ、前記頂部との当接によって前記視線誘導柱
1の頂部を基準とした所定高さに当該挿入部
21を保持する保持部
23を有する。
【0011】
この構成によれば、長尺状本体の両端に設けられた挿入部を既設の視線誘導柱に鉛直方向に挿入するだけで、連結体の誘導柱への取付が可能となる。しかも、保持部と誘導柱の頂部との当接により視線誘導柱の頂部を基準とした所定高さに挿入部が保持されるので、どの施工者が施工したとしても連結体の設置高さが常に一定となり、連結体の設置高さのバラツキを無くすことが可能となる。
【0012】
複数の視線誘導柱連結体を連続して配置可能にするためには、前記一対の挿入部のうち一方の挿入部は、前記保持部を有する保持部有筒状部であり、前記一対の挿入部のうち他方の挿入部は、前記保持部が形成されていない保持部無筒状部であり、各々の筒状部は、水平方向に沿って見た場合に互いに重ならないように、高さを異ならせて配置されていることが好ましい。
【0013】
安全性を向上させるためには、前記長尺状本体、前記挿入部及び前記保持部を含む視線誘導柱連結体を構成する全ての部材は非金属材料で形成されていることが好ましい。
【0014】
製品品質を的確に確保可能にするためには、前記長尺状本体、前記挿入部及び前記保持部は、エラストマー系樹脂で形成されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る視線誘導柱連結体を示す平面図、側面図及び縦断面図。
【
図2】複数の視線誘導柱連結体を視線誘導柱に連続して配置した様子を示す側面図。
【
図3】本発明の他の実施形態に係る視線誘導柱連結体を示す平面図及び側面図。
【
図4】本発明の上記以外の実施形態に係る視線誘導柱連結体を示す平面図、側面図及び縦断面図。
【
図5】本発明の上記以外の実施形態に係る視線誘導柱連結体を示す平面図及び断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の視線誘導柱連結体の好適な実施形態を、図面を用いて説明する。
【0017】
図1に示すように、視線誘導柱連結体2は、複数の視線誘導柱1の間に架橋するための長尺状本体20と、長尺状本体20の両端にそれぞれ設けられ、視線誘導柱1に鉛直方向に挿入可能な筒状部を有する一対の挿入部21,22と、を有する。
【0018】
長尺状本体20は、板厚方向が水平方向となる姿勢で視線誘導柱1の間に架橋される板状体をなし、側方を向く板面に注意喚起を促すための反射シート(図示せず)が貼付されている。長尺状本体20の長さは、視線誘導柱1の設置間隔に合わせてある。なお、本実施形態では、長尺状本体20は、板状体にしているが、筒状又は棒状に形成してもよく、その他適宜形状を変更可能である。
【0019】
一対の挿入部21,22は、円柱状の視線誘導柱1に対応するように、円筒状に形成されている。勿論、視線誘導柱が角柱や楕円柱である場合には、その形状に応じて挿入部が角筒状又は楕円筒状に形成される。筒状部の内径は、視線誘導柱1の外径に一致又は少し小さく形成されている。筒状部の内径が視線誘導柱1の外径よりも若干小さい場合には、挿入部21,22がその弾性反発力により視線誘導柱1を挟持する。
【0020】
一方の挿入部21は、当該挿入部21の軸方向に沿って見た場合に当該挿入部21に挿入された視線誘導柱1の頂部と干渉する位置に設けられ、視線誘導柱1の頂部との当接によって視線誘導柱1の頂部を基準として所定高さに挿入部21を保持する保持部23を有する。一方の挿入部21は、保持部23を有する保持部有筒状部21である。他方の挿入部22には、保持部が形成されていない保持部無筒状部22である。
図1に示すように、各々の筒状部21,22は、水平方向に沿って見た場合に互いに重ならないように、高さを異ならせて配置されている。本実施形態において、保持部23は、筒状部21の開口を閉塞する蓋部23であるが、保持部23の形状は蓋部に限定されない。
【0021】
長尺状本体20、挿入部21,22及び保持部23(蓋部23)を含む視線誘導柱連結体2を構成する全ての部材は非金属材料で形成されている。具体的には、エラストマー系樹脂で形成されているが、その他の樹脂も利用可能である。
【0022】
本実施形態では、長尺状本体20と挿入部21,22は、一体成形されているが、別体にしてもよい。別体の場合は樹脂ボルトなどの締着具や、超音波溶着又は熱溶着で一体化してもよい。一体成形の場合は施工が容易となる。別体の場合は、施工する視線誘導柱1の間隔に応じて長尺状本体20の長さを選択でき、多種に対応可能となる。
また、長尺状本体20と挿入部21,22を別々に製作した場合に、長尺状本体20を金型に挿入し、挿入部21,22の成型と同時に長尺状本体20と樹脂溶着させる二次成形も可能である。
【0023】
視線誘導柱連結体2は、
図2に示すように、2つの視線誘導柱連結体2を突き合わせて、各々の蓋無筒状部22と蓋有筒状部21とを1つの視線誘導柱1に固定できるので、複数の視線誘導柱連結体2を連続して配置可能である。なお、本実施形態の視線誘導柱1には反射テープ3を巻き付けて注意喚起をより一層促しているが、反射テープ3の有無、位置、貼付範囲などは適宜変更可能である。
【0024】
以上のように、本実施形態の視線誘導柱連結体2は、複数の視線誘導柱1の間に架橋するための長尺状本体20と、長尺状本体20の両端にそれぞれ設けられ、視線誘導柱1に鉛直方向に挿入可能な筒状部を有する一対の挿入部21,22と、を備え、一対の挿入部21,22の少なくとも一方の挿入部21は、挿入部21の軸方向に沿って見た場合に挿入部21に挿入された視線誘導柱1の頂部と干渉する位置に設けられ、視線誘導柱1の頂部との当接によって視線誘導柱1の頂部を基準とした所定高さに挿入部21を保持する保持部23(蓋部23)を有する。
【0025】
この構成によれば、長尺状本体20の両端に設けられた挿入部21,22を既設の視線誘導柱1に鉛直方向に挿入するだけで、連結体2の誘導柱1への取付が可能となる。しかも、保持部23と誘導柱1の頂部との当接により視線誘導柱1の頂部を基準とした所定高さに挿入部21が保持されるので、どの施工者が施工したとしても連結体2の設置高さが常に一定となり、連結体2の設置高さのバラツキを無くすことが可能となる。
【0026】
本実施形態では、一対の挿入部21,22のうち一方の挿入部21は、保持部23(蓋部23)を有する保持部有筒状部21であり、一対の挿入部21,22のうち他方の挿入部22は、保持部23が形成されていない保持部無筒状部22であり、各々の筒状部21,22は、水平方向に沿って見た場合に互いに重ならないように、高さを異ならせて配置されている。
【0027】
この構成によれば、各々の筒状部21,22は、水平方向に沿って見た場合に重ならないように、高さ位置が異なって配置されているので、2つの視線誘導柱連結体2を突き合わせて保持部無筒状部22と保持部有筒状部21を1つの視線誘導柱1に固定でき、複数の視線誘導柱連結体2を連続して配置することが可能となる。
【0028】
本実施形態では、長尺状本体20、挿入部21,22及び保持部23を含む視線誘導柱連結体2を構成する全ての部材は非金属材料で形成されている。万一、車両の接触により視線誘導柱連結体2が破損して飛散したとしても、非金属材料で形成されているので、飛散先の物を損壊させることを抑制でき、安全性を向上させることが可能となる。
【0029】
本実施形態では、長尺状本体20、挿入部21,22及び保持部23は、エラストマー系樹脂で形成されている。エラストマー系樹脂であれば、耐久性及び復元性があるので製品品質を的確に確保可能となる。
【0030】
<別実施形態>
本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
【0031】
(1)例えば、本実施形態では、
図1に示すように、挿入部22は、環状の筒状部であるが、
図3に示すように、挿入部122を、一部が繋がっていない部分筒状部122にしてもよい。
【0032】
(2)また、本実施形態では、
図1に示すように、対をなす挿入部21,22のうち一方の挿入部21のみに保持部23が形成されているが、
図4に示すように、双方の挿入部221,222に保持部23を形成してもよい。
【0033】
(3)本実施形態において、保持部23は、挿入部21の筒状部の開口を完全に閉塞する蓋部23であるが、これには限定されない。例えば、
図5(a)に示すように、筒状部又は部分筒状部の開口縁に架橋された連結状保持部123にしてもよく、
図5(b)に示すように、筒状部又は部分筒状部の内周面から突出する突起状保持部223にしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1…視線誘導柱
2…視線誘導柱連結体
20…長尺状本体
21,22…挿入部
21…保持部有筒状部
22…保持部無筒状部
23…保持部