特許第6463046号(P6463046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463046
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】フラットケーブルクランプ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20190121BHJP
   H01R 12/77 20110101ALI20190121BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20190121BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20190121BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20190121BHJP
   F16B 19/00 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   H01R13/639 Z
   H01R12/77
   H02G3/30
   H05K7/00 G
   F16B2/10 E
   F16B19/00 Q
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-179750(P2014-179750)
(22)【出願日】2014年9月4日
(65)【公開番号】特開2016-54076(P2016-54076A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2017年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】592077121
【氏名又は名称】竹内工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081433
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】知久 和樹
(72)【発明者】
【氏名】村吉 幸太
【審査官】 山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−086990(JP,U)
【文献】 特開2001−137507(JP,A)
【文献】 特開2009−252710(JP,A)
【文献】 特開2004−239325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/77
H01R 13/639
H05K 7/00
F16B 2/10
F16B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FC(フラットケーブル)が電気接続されるFCコネクタを装備した機体に当該FCを支持するためのFCクランプであって、前記FCコネクタは、前記FCとの接続を取り外す際に操作されるロック片を備えており、前記FCクランプは、前記機体に固定されるベース部と、このベース部に連結され、操作されたときに当該ベース部との間に前記FCを挟持するカバー部を備え、前記カバー部は押さえ板部を一体に備えており、当該押さえ板部は、前記FCを挟持した状態のときに前記FCコネクタの前記ロック片を覆う状態とされ、前記FCを挟持した状態を解消したときに前記ロック片を覆う状態が解除されることを特徴とするFCクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はFFC(フレキシブルフラットケーブル)やFPC(フレキシブルプリント回路基板)を含むフラットケーブル(以下、FCと称するする)を配線基板やシャーシ等の機体に支持するためのFCクランプに関し、特に機体に設けたFCコネクタに接続するFCを支持する際に用いて好適なFCクランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
FCを機体に対して電気接続する際に、あらかじめ機体にFCコネクタを配設しておき、FCの端子部をこのFCコネクタに内挿し、かつ当該端子部をFCコネクタの電極部に接触させて電気接続する構成がとられることがある。例えば、特許文献1には、FCコネクタにロック用の操作片として回動レバー状のロック片を設けておき、このロック片を回動操作することによってFCコネクタの電極をFCの端子部に圧接させる構成のFCコネクタが提案されている。
【0003】
このようなFCコネクタでは、FCを接続している状態のときに、外力あるいは機器振動等によりFCに引っ張り力が加えられると、当該引っ張り力によってFCはFCコネクタのロック片を強制的に回動させながらFCコネクタから引き出され、FCコネクタとの接続が外れてしまうことがある。特に、特許文献1に記載のFCコネクタのうち、FCの挿入側にロック片を設けている、いわゆるフロントロック方式のFCコネクタにおいては、このような問題が生じ易い。そのため、近年ではFCの挿入側と反対側にロック片を設けてFCに引っ張り力が加えられてもロック片が回動されることがない、いわゆるバックロック方式のFCコネクタが提案されている。あるいは、機体のFCコネクタに隣接する位置にFCクランプを配設し、FCに引っ張り力が加えられても、その引っ張り力をFCクランプで吸収してFCコネクタにまで及ばないようにすることが考えられている。FCクランプとしては、例えば特許文献2に提案されているものが採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−55774号公報
【特許文献2】特開2004−239325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載のようなFCクランプを適用することにより、FCに加えられる引っ張り力によるFCコネクタとの接続外れを防止することは可能である。しかし、FCコネクタのロック片は露呈された状態にあるため、FCコネクタに外力が加えられたとき、特にFCコネクタのロック片に外力が加えられて当該ロック片が強制的に回動されたようなときには、フロントロック方式あるいはバックロック方式のいずれのFCコネクタにおいてもFCとの接続状態が外れてしまい、あるいは電気接続状態が不安定なものになる。
【0006】
特に、この種のFCコネクタをゲーム機等に採用したときには、露呈状態にあるロック片を意図的に回動操作してFCの端子部をFCコネクタから引き出し、当該端子部を通して電子的な不正行為を行うことが考えられるが、このような不正行為を防止することも困難となる。
【0007】
本発明の目的は、FCに引っ張り力が加えられた場合、あるいはFCコネクタに外力が加えられるおそれがある場合においてもFCとFCコネクタとの接続状態を確実に保持することを可能にしたFCクランプを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、FCが電気接続されるFCコネクタを装備した機体にFCを支持するためのFCクランプであって、このFCコネクタは、FCとの接続を取り外す際に操作されるロック片を備えており、またFCクランプは、機体に固定されるベース部と、このベース部に連結され、操作されたときに当該ベース部との間にFCを挟持するカバー部を備え、さらにこのカバー部は押さえ板部を一体に備えている。この押さえ板部は、FCを挟持した状態のときにFCコネクタのロック片を覆う状態とされ、FCを挟持した状態を解消したときにロック片を覆う状態が解除される構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、FCコネクタに接続されているFCに引っ張り力が加えられても、この引っ張り力はFCクランプでのクランプによりFCコネクタにまで伝達されることはなく、当該引っ張り力によってFCの電気接続が外れることが防止される。また、引っ張り力がFCコネクタにまで伝達される状況となった場合でも、FCコネクタのロック片はFCクランプの押さえ板部によって動きが制限されるので、当該引っ張り力によってロック片が動作されてFCの電気接続が外れるようなこともない。
【0010】
また、本発明によれば、FCクランプがFCをクランプしたときに、FCコネクタのロック片はFCクランプの押さえ板部によって覆い隠されるので、ロック片が露呈されることが防止され、外力によってFCの接続が外れることが防止される。あるいは、意図的にロック片が操作されてFCの接続を外すことが防止され、FCに対する不正行為を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態のFCクランプの外観斜視図。
図2図1のFCクランプの正面図。
図3図1のFCクランプの左側面図。
図4A】FCクランプの実装状態を説明するための斜視図のその1。
図4B】FCクランプの実装状態を説明するための斜視図のその2。
図4C】FCクランプの実装状態を説明するための斜視図のその3。
図5】FCクランプの作用を説明するための実装状態の側面図。
図6】変形例のFCクランプの実装状態の外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明のFCクランプの実施形態の外観斜視図であり、クランプするFC(フラットケーブル)、ここではFFC(フレキシブルフラットケーブル)10を鎖線で示している。また、図2および図3は正面図と左側面図である。これらの図1図3において、FCクランプ1は、ある程度の弾性を有する樹脂で一体成型されており、ヒンジ部4において板厚方向に屈曲可能なベース部2とカバー部3を備えている。ベース部2の下面には、機器のシャーシや配線基板等の機体に対してFCクランプ1を固定支持するための固定部5が一体に設けられている。また、前記カバー部3には後述するようにFCコネクタ7の少なくとも一部を覆う押さえ板部6が設けられている。
【0013】
前記ベース部2は概ね長方形の板状に形成され、その長手方向の両端部21,22が微小寸法だけ上方に曲げ加工されて浅い樋状に形成されている。この微小寸法はFFC10を内挿するのに適した寸法である。前記ベース部2の一端部21には前記ヒンジ部4が連結されている。また、他端部22は断面が円弧状に加工され、その外端縁は後述するカバー部3に設けた係止片33が係止される係止縁23として構成されている。
【0014】
前記カバー部3は基端部31において前記ヒンジ部4により前記ベース部1の一端部21に連結されている。先端部32には前記ベース部1の係止縁23に係止可能なフック状をした係止片33が一体に形成されている。また、前記カバー部3は、これら基端部31と先端部32の間の領域が前記ベース部2の上面に対向して肉厚に形成されており、このように形成された肉厚部34は前記ベース部1に内挿されるFFC10を挟持するために設けられている。さらに、前記カバー部3の短手方向の片方の側縁には、当該短手方向の側方に突出された板状の押さえ板部6が一体に形成されている。この押さえ板部6は前記カバー部3の長手方向の寸法と略同じ幅寸法であり、その突出寸法は後述するようにFCコネクタ7の上側の少なくとも一部を覆うことが可能な寸法とされている。なお、この実施形態では押さえ板部6の軽量化、省資源化を図るために、押さえ板部6の中央領域に矩形の開口61を設けており、これにより押さえ板部6は枠状に形成されている。また、押さえ板部6は突出する先端方向に向けて徐々に板厚が減少するテーパ状に形成されている。
【0015】
前記固定部5は、ベース部2の下面から垂直下方に突出された主柱51と、この主柱51の両側において垂直下方に突出された一対の係止片52と、さらにこれら係止片52の両側において斜め外側下方に突出された一対の弾接片53とを備えている。前記主柱51はベース部2の短手方向の寸法が、当該ベース部2の短手方向の寸法と同じであるが、前記一対の係止片52はベース部2の短手方向の寸法よりも短い寸法で、かつ当該方向の一方に偏った位置に形成されている。また、各係止片52の先端にはそれぞれ楔状の係止爪54が形成されている。
【0016】
以上の構成のFCクランプ1は、図4Aに示すように、機体、すなわちここでは機器のシャーシ100に取着されているFCコネクタ7の近傍位置に固定支持される。FCコネクタ7は、前記したようなフロントロック方式あるいはバックロック方式に限定されるものではない。ここでは、フロントロック方式のFCコネクタ7が例示されている。このFCコネクタ7は、自身の前端部からFFC10の端子部11が内挿され、その上でFCコネクタ7のロック片71を下方に回動させることにより端子部11がFCコネクタ7にロックされる構成とされている。すなわち、ロック片71を上方に回動させると、FFC10に対するロックが解除され、FFC10を容易にFCコネクタ7から取り外すことが可能である。
【0017】
ここで前記機体100の前記FCコネクタ7が取着されている位置に隣接する位置、すなわちFCコネクタ7に電気接続されたFFC10が延長されている領域のうち、FCコネクタ7に近接する位置に取付穴101が開口される。この取付穴101は概ね正方形であり、その一辺に凹部102が形成された形状である。そして、この取付穴100に固定部5によりFCクランプ1が固定支持される。
【0018】
前記固定部5は、FCクランプ1を機体100に固定する際には、前記主柱51と一対の係止片52が機体100の表面側から機体100に開口された取付穴101に内挿される。このとき主柱51の一側部が取付穴101の内縁一部に設けた凹部102に係合することで機体100に対するFCクランプ1の方向付けが行われる。そして、主柱51と係止片52が内挿されたときに、係止片52が弾性変形ないし弾性復帰して係止爪54が取付穴101の内縁に係合される。さらに、弾接片53が機体100の表面に弾接されることにより、これら弾接片53と係止爪54とで機体100の両面を挟持維持する状態となり、FCクランプ1は機体100に固定支持される。
【0019】
図4Bに示すように、機体100にFCクランプ1が固定支持された後、FFC10はベース部2の上面を挿通する状態に載置される。そして、ヒンジ部4を曲げてカバー部3がベース部2と重なるようにし、カバー部3の係止片33をベース部2の係止縁23に係止させる。これにより、図4Cに示すように、FFC10はベース部2とカバー部3の肉厚部34により厚み方向に挟持されてクランプされ、FFC10が長さ方向に移動することが係止される。
【0020】
また、カバー部3がベース部2に重なるように曲げたときには、図5の側面図に示すように、カバー部3と一体の押さえ板部6はFCコネクタ7の一部を覆う状態となる。ここでは、押さえ板部6によりFCコネクタ7のロック片71を覆う状態となり、さらにこの例では押さえ板部6は下面がFCコネクタ7のロック片71に当接される状態となる。
【0021】
このように、機体100に固定支持されたFCクランプ1は、FFC10を挟持して長さ方向の移動を係止するので、外力や機器での振動等によってFFC10に引っ張り力が加えられても、この引っ張り力はFCクランプ1でのクランプ作用によりFCコネクタ7にまで伝達されることはない。したがって、フロントロック方式のFCコネクタ7においてもFFC10の接続が外れることはない。また、仮にFCクランプ1によるFFC10のクランプが十分ではなく、多少の引っ張り力がFCコネクタ7にまで伝達されても、FCコネクタ7のロック片71はFCクランプ1の押さえ板部6が当接されてその動きが制限されているので、当該引っ張り力によってロック片71が回動されてFFC10の接続が外れるようなこともない。
【0022】
さらに、本発明のFCクランプ1では、FCコネクタ7のロック片71はFCクランプ1の押さえ板部6によって覆い隠されているので、ロック片71が露呈されることが防止され、作業者の手や他の部材等が接触したときの外力等によってロック片71が移動されることはなく、FFC10の接続が外れることが防止される。あるいは、意図的にロック片71が操作されてFFC10の接続を外すことが防止され、FFC10に対する不正行為を未然に防止することができる。
【0023】
図6は本発明のFCクランプ1を、バックロック方式のFCコネクタ7Aを備える機体100に適用した状態の斜視図である。図6には示されないが、前記実施形態と同様にFCクランプ1の固定部5を取付穴101に係止させて機体100に固定支持することは同じである。バックロック方式のFCコネクタ7Aは、図6の下部に示すように、FFC10の端子部11が挿入される側と反対側にロック片71が配設されており、このロック片71を上方に回動することによりFFC10のロックを解除し、下方に回動することによりFFC10をロックする構成である。前記したように、このバックロック方式のFCコネクタ7Aでは、FFC10に引っ張り力が加えられても、それだけでロックが解除されることは少ない。しかし、外力等によるロック解除は可能である。
【0024】
このようなFCコネクタ7Aに対しては、本発明のFCクランプ1は、押さえ板部6の突出方向の長さを長めに設計しておき、押さえ板部6によりFCコネクタ7Aの上面のほぼ全体を覆うようにする。このバックロック方式のFCコネクタ7Aでは、FCクランプ1がFCを挟持して長さ方向の移動を係止するので、引っ張り力がFCコネクタ7Aにまで伝達されることはなく、FCコネクタ7Aにおいて無理な力が作用することはなく、FCコネクタ7Aにおける損傷が低減ないし防止できる。また、FCコネクタ7Aのロック片71はFCクランプ1の押さえ板部6によって覆い隠されているので、ロック片71が露呈されることが防止され、外力により、あるいは意図的にロック片71が操作されてFFC10の接続を外すことが困難になり、FFC10に対する不正行為を未然に防止することができる。
【0025】
本発明は、FCクランプに設けた押さえ板部によりFCコネクタの少なくともロック片を覆うように形成すればよいので、押さえ板部の形状は当該ロック片を覆う形状であればよく、実施形態の形状に限定されるものではない。例えば、FCコネクタの上面の全体を覆うように構成してもよい。
【0026】
本発明のFCクランプにおけるカバー部の構成はFCを挟持することが可能であればよいので、ベース部およびカバー部、ないしは係止片と係止溝は実施形態の構成に限られるものではない。また、FCクランプを機体に固定支持するための固定部は実施形態に記載の構成に限られるものではなく、両面テープ等の接着手段による固定支持構造であってもよい。なお、前記したとおり本発明におけるFCクランプは、FFC(フレキシブルフラットケーブル)への適用に限られるものではなく、FPC(フレキシブルプリント回路)のクランプとしても適用可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明はFFCやFPCを含むFCを機体に支持するためのFCクランプに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 FCクランプ(フラットケーブルクランプ)
2 ベース部
3 カバー部
4 ヒンジ部
5 固定部
6 押さえ板部
7,7A FCコネクタ(フラットケーブルコネクタ)
71 ロック片
10 FFC(フレキシブルフラットケーブル)
11 端子部
100 機体(基板、シャーシ)
101 取付穴

図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6