(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハニカム型のVOC濃縮ロータや除湿ロータを用いた気体制御装置がある。このような気体制御装置のロータは、例えば、VOC(揮発性有機化合物:volatile organic compounds)の吸着、除湿、空気浄化などの所定の処理を行う処理ゾーン、処理ゾーンの機能を再生させる再生ゾーン、といったように機能の異なるゾーンが複数設けられている。例えば、処理ゾーンをVOCの吸着に用いる場合、処理ゾーンを通過するVOCを多く含む空気が処理ゾーン側から再生ゾーン側に漏れてしまうと、処理ゾーンで処理するVOCを含む空気の処理風量の低下や、回収するVOCの濃度が薄まることが懸念される。また、例えば、再生ゾーン側から処理ゾーン側に空気が漏れてしまうと、再生ゾーンを通過する生産コストの高い気体(例えば、不活性気体)の無駄が生じる。また、例えば、不活性気体が漏れるなどして酸素濃度が高くなると、VOCと酸素とが反応し易くなり、安全性が低下することが懸念される。また、例えば、処理ゾーンを除湿に用いる場合、処理ゾーンを通過する湿気を多く含む空気が処理ゾーン側から再生ゾーン側に漏れてしまうと、処理ゾーンで処理する空気の処理風量の低下が懸念される。また、例えば、再生ゾーン側から処理ゾーン側に空気が漏れてしまうと、除湿する空気が湿ってしまうことが懸念される。更に、例えば、処理ゾーンを空気浄化に用いる場合、処理ゾーンを通過する汚染された空気が処理ゾーン側から再生ゾーン側に漏れてしまうと、汚染された空気と浄化された空気が混ざる交差汚染が懸念される。そのため、上記のようなロータを用いた吸脱着装置は、各ゾーンを通過する気体同士の混合を抑制することが必要となる。
【0005】
ここで、
図1は、従来技術に係る気体制御装置において、気体の漏れを説明する断面図の一例を示す。また、
図2は、
図1の気体制御装置のロータの正面図を示す。
図1に示す従来の気体制御装置1Xは、再生ゾーン21X及び処理ゾーン22Xを有するロータ2X
を備える。また、気体制御装置1Xでは、ロータ2Xの外周にロータ2Xの外部への気体の漏れを抑制する外周シール部材3Xが設けられ、ロータ2Xの表面に再生ゾーン21Xと処理ゾーン22Xとの間での気体の混合を抑制するゾーン間シール材4Xが設けられている。再生ゾーン21Xを通過する気体(気流)と処理ゾーン22Xを通過する気体(気流)との混合経路には、ロータ2Xの表面とゾーン間シール材4Xとの隙間を通じて気体が混合する表面リーク、ロータ2Xの素子を気体が透過して気体が混合する内部リークがある。なお、図の「+」は、圧力を示す。例えば、再生ゾーン21Xの入口側の圧力は「
++」であり、再生ゾーン21Xの出口側の圧力は「+」であり、再生ゾーン21Xの入口側の圧力の方が再生ゾーン21Xの出口側の圧力よりも高いことを示す。
【0006】
上記のような気体同士の混合を抑制するため、いくつかの技術が提案されている。例えば、上述した特許文献1に記載の技術では、吸着ロータの出入口にエアカーテンを形成して、吸着ロータの出入口における気体の混合を抑制する。しかし、特許文献1に記載の技術では、吸着ロータの出入口における気体の混合を抑制することができるものの、吸着ロータ内部における気体の混合(内部リーク)を抑制することはできない。
【0007】
また、
図3は、比較例に係る気体制御装置であり、従来技術に係る気体制御装置について、ゾーン間シール材の幅を従来よりも大きくした断面図の一例を示す。
図3に示す気体制御装置1Xでは、ロータ2Xの表面に設けられたゾーン間シール材4Xのシール幅が
図1に示す気体制御装置1Xよりも大きく設計されている。
図1や
図3に示す気体制御装置1Xのゾーン間シール材4Xは、例えばフッ素ゴムで構成することができる。
図1に示す従来の気体制御装置1Xは、例えばゾーン間シール材4Xの幅を5mmとすることができる。これに対し、
図3に示す比較例に係る気体制御装置1Xは、例えばゾーン間シール材4Xの幅を50mmとすることができる。このように、例えばゾーン間シール材4Xの幅を10倍とすることで、内部リーク量を約10分の1に減少することができる。しかしながら、
図3に示す比較例に係る気体制御装置1Xでは、ロータ2Xの内部における気体の混合(内部リーク)を十分には抑制することはできない。また、
図3に示す比較例に係る気体制御装置1Xでは、径の大きいロータ2X(例えば、直径2〜3m)では、ゾーン間シール材4Xの設置面積が大きくなるため、ゾーン間シール材4Xをロータ2Xの表面に隙間なく密着させるためには極めて高精度な加工や調整が必要となる。このような高精度な加工や調整は、製造時だけでなく、メンテナンスの際にも必要とされる。
【0008】
また、
図4は、比較例に係る気体制御装置であり、従来技術に係る気体制御装置について、気体が流れる方向を揃えた断面図の一例を示す。
図4に示す比較例に係る気体制御装置1Xでは、
図1に示す従来の気体制御装置1Xのような対向流方式と異なり、再生ゾーン21Xを通過する気体の方向と処理ゾーン22Xを通過する気体の方向が揃えられた平行流方式である。また、
図4に示す比較例に係る気体制御装置1Xでは、再生ゾーン21Xの入り口と処理ゾーン22Xの入り口の圧力、再生ゾーン21Xの出口と処理ゾーン22Xの出口の圧力が等しくなるように、再生ゾーン21Xと処理ゾーン22Xの面積や気体の風量が設計され、また調整されている。これにより、再生ゾーン21Xと処理ゾーン22Xとの圧力差が小さくなり、表面リーク及び内部リークの量を低減することができる。しかしながら、例えば、気体制御装置1Xの省エネルギー運転等を目的として、処理風量や再生風量を手動で変更あるいは自動で可変制御する場合、気体の流量の変化にともなってロータ2Xの出入口の圧力が変化し、再生ゾーン21Xと処理ゾーン22Xとの間の差圧が大きくなり、ゾーン間リーク量が増大することが懸念される。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑み、シール材の高精度な加工や調整が不要で、処理風量や再生風量を可変制御した場合でも、ロータ内部及びロータ表面における気体の混合を抑制できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するため、回転自在なロータを備えた気体制御装置において、ロータを機能の異なる少なくとも3つの通気ゾーンに分割し、通気ゾーンの1つを圧力を制御する圧力制御ゾーンとして機能させ、圧力制御ゾーンの圧力と他の通気ゾーンの圧力を制御することとした。
【0011】
詳細には、本発明は、第1気体が流れる第1通気路と、前記第1気体とは異なる第2気体が流れる第2通気路と、前記第1通気路から分岐した分岐路と、前記第1通気路、前記第2通気路、及び前記分岐路に跨って配置された回転自在なロータと、を備え、前記ロータは、機能の異なる少なくとも3つの通気ゾーンに分割され、前記第1気体が通過する第1通気ゾーンと、前記第2気体が通過する第2通気ゾーンと、前記第1通気ゾーンと前記第2通気ゾーンとの間に設けられ、前記分岐路を流れる気体が通過するとともに、前記ロータの圧力を制御する圧力制御ゾーンを有し、前記圧力制御ゾーンの圧力と前記第2通気ゾーンの圧力との差が、前記第1通気ゾーンの圧力と前記第2通気ゾーンとの圧力との差よりも小さくなるように制御される、気体制御装置である。
【0012】
本発明に係る気体制御装置によれば、ロータに圧力制御ゾーンが設けられ、前記圧力制御ゾーンの圧力と前記第2通気ゾーンの圧力との差が、前記第1通気ゾーンの圧力と前記第2通気ゾーンとの圧力との差よりも小さくなるように制御される。そのため、仮に第1通気ゾーンから圧力制御ゾーンに気体が漏れても、圧力制御ゾーンから第2通気ゾーンへの気体の漏れは抑制される。その結果、第1通気ゾーンと第2通気ゾーンとの間での気体の混合が抑制される。
【0013】
また、上記のように、仮に第1通気ゾーンから圧力制御ゾーンに気体が漏れても、圧力制御ゾーンから第2通気ゾーンへの気体の漏れは抑制される。したがって、仮に気体制御装置の省エネルギー運転等を目的として、第1通気ゾーンへ導入される気体の流量や第2通気ゾーンへ導入される気体の流量を手動で変更あるいは自動で可変制御し、第1通気ゾーンと第2通気ゾーンとの間の差圧が大きくなった場合でも、圧力制御ゾーンと第2通気ゾーンとの間での気体の混合を抑制することができる。
【0014】
また、例えば、ロータの表面にロータの表面からの気体の漏れを抑制するシール材を設けた場合でも、このシール材の幅は、従来通りとすることができる。したがって、気体の漏れの抑制効果を高めるためにシール材の幅を従来よりも大きくした場合に懸念される、極めて高精度な加工や調整も不要となる。また、メンテナンスの際に極めて高精度な加工や調整を行う必要がないので、メンテナンスも容易となる。
【0015】
ここで、第2気体は、第1気体とは性状の異なる気体とすることができる。例えば、第1気体と、第2気体は、気体処理器としてのロータの入口または出口において、温度、湿度、圧力、流速、含有する物質の成分/濃度、清浄度の少なくとも何れかが互いに異なる。なお、第1通気ゾーンと第2通気ゾーンは隣接していてもよい。
【0016】
なお、前記圧力制御ゾーンの通過風量を少なくし、前記圧力制御ゾーンの入口の圧力と前記圧力制御ゾーンの出口の圧力との差が小さくなるように制御してもよい。通過風量や圧力差は、基準値を設け、基準値よりも少なく、又は小さくすることができる。仮に第1通気ゾーンから圧力制御ゾーンに気体が漏れても、圧力制御ゾーンから第2通気ゾーンへの気体の漏れは抑制され、第1通気ゾーンと第2通気ゾーンとの間での気体の混合が抑制される。つまり、圧力制御ゾーンの通過風量が多い場合(基準値よりも多い場合)と比較して、ロータの入口側や出口側など、ロータの表面から気体が漏れる表面リーク、ロータの素子を気体が透過して気体が混合する内部リークの何れも抑制することができる。
【0017】
また、本発明に係る気体制御装置では、前記第2通気ゾーンと前記圧力制御ゾーンの通気方向が同じであり、前記圧力制御ゾーンの入口の圧力が前記第2通気ゾーンの入口の圧力と等しく、かつ、前記圧力制御ゾーンの出口の圧力が前記第2通気ゾーンの出口の圧力と等しくなるように制御することができる。これにより、第2通気ゾーンと圧力制御ゾーンの圧力差が極めて小さくなる。したがって、仮に第1通気ゾーンから圧力制御ゾーンに気体が漏れても、圧力制御ゾーンから第2通気ゾーンへの気体の漏れは抑制される。その結果、第1通気ゾーンと第2通気ゾーンとの間での気体の混合が更に抑制される。そのため、ロータの入口側や出口側など、ロータの表面から気体が漏れる表面リーク、ロータの素子を気体が透過して気体が混合する内部リークの何れも更に抑制することができる。
【0018】
また、本発明に係る気体制御装置では、前記圧力制御ゾーンの入口の圧力が前記第2通気ゾーンの入口の圧力以下であり、かつ、前記圧力制御ゾーンの出口の圧力が前記第2通気ゾーンの出口の圧力以上になるように制御することができる。
【0019】
本発明は、前記第2通気ゾーンと前記圧力制御ゾーンの通気方向が異なる場合の形態を含む。前記第2通気ゾーンと前記圧力制御ゾーンの通気方向が異なる場合でも、上記のように制御することで、表面リーク、内部リークを抑制することができる。なお、前記第2通気ゾーンと前記圧力制御ゾーンの通気方向が異なる場合の他の例として、第2通気ゾーンの入口の圧力と圧力制御ゾーンの出口の圧力が等しくなるように制御する場合、第2通気ゾーンの出口の圧力と圧力制御ゾーンの入口の圧力が等しくなるように制御する場合が例示される。
【0020】
ここで、本発明に係る気体制御装置は、前記分岐路を流れる気体の流量を調整する流量調整部と、前記圧力制御ゾーンの入口の圧力と前記圧力制御ゾーンの出口の圧力を検知する圧力検知部と、前記圧力検知部の検知結果に基づいて、前記圧力制御ゾーンの入口の圧力と前記圧力制御ゾーンの出口の圧力との差が小さくなるように、前記流量調整部を制御する制御部と、を更に備える構成としてもよい。これにより、第1通気ゾーンと第2通気ゾーンとの間での気体の混合を抑制することができる。
【0021】
また、制御部は、前記第2通気ゾーンと前記圧力制御ゾーンの通気方向が同じであり、前記圧力制御ゾーンの入口の圧力が前記第2通気ゾーンの入口の圧力と等しく、かつ、前記圧力制御ゾーンの出口の圧力が前記第2通気ゾーンの出口の圧力と等しくなるように、流量調整部を制御してもよい。また、制御部は、前記圧力制御ゾーンの入口の圧力が前記第2通気ゾーンの入口の圧力以下であり、かつ、前記圧力制御ゾーンの出口の圧力が前記第2通気ゾーンの出口の圧力以上になるように、流量調整部を制御してもよい。
【0022】
流量調整部は、ロータの入口側と、出口側とのうち少なくとも何れか一方に設けることができる。双方に設けることで、流量調整の精度を向上することができる。また、圧力検知部もロータの入口側と出口側の双方に設けることで、流量調整の精度を向上することができる。
【0023】
また、前記第1通気ゾーンは、前記第1通気路を流れる気体に対して所定の処理を行う処理ゾーンであり、前記第2通気ゾーンは、前記処理ゾーンとしての第1通気ゾーンの機能を再生させる再生ゾーンとしてもよい。所定の処理には、VOCの吸着や除湿が例示される。したがって、本発明に係る気体制御装置は、VOC処理システムや除湿システムの一部として用いることもできる。
【0024】
ここで、本発明は、ロータを用いた気体制御装置のゾーン間リークの低減方法として特定することもできる。例えば、本発明は、第1気体が流れる第1通気路と、前記第1気体とは異なる第2気体が流れる第2通気路と、前記第1通気路から分岐した分岐路と、前記
第1通気路、前記第2通気路、及び前記分岐路に跨って配置された回転自在なロータとを備えるロータを用いた気体制御装置のゾーン間リークの低減方法であって、前記ロータは、機能の異なる少なくとも3つの通気ゾーンに分割され、前記第1気体が通過する第1通気ゾーンと、前記第2気体が通過する第2通気ゾーンと、前記第1通気ゾーンと前記第2通気ゾーンとの間に設けられ、前記分岐路を流れる気体が通過するとともに、前記ロータの圧力を制御する圧力制御ゾーンを有し、前記圧力制御ゾーンの入口の圧力と前記圧力制御ゾーンの出口の圧力との差が小さくなるように制御される、ロータを用いた気体制御装置のゾーン間リークの低減方法である。本発明に係るロータを用いた気体制御装置のゾーン間リークの低減方法によれば、第1通気ゾーンと第2通気ゾーンとの間での気体の混合を抑制することができる。
【0025】
また、前記第2通気ゾーンと前記圧力制御ゾーンの通気方向が同じであり、前記圧力制御ゾーンの入口の圧力が前記第2通気ゾーンの入口の圧力と等しく、かつ、前記圧力制御ゾーンの出口圧力が前記第2通気ゾーンの出口圧力と等しくなるように制御するようにしてもよい。また、前記圧力制御ゾーンの入口の圧力が前記第2通気ゾーンの圧力以下であり、かつ、前記圧力制御ゾーンの出口の圧力が前記第2通気ゾーンの出口の圧力以上になるように制御するようにしてもよい。また、前記第2通気ゾーンの入口と出口のうち少なくとも何れか一方の圧力と前記圧力制御ゾーンの入口と出口のうち少なくとも何れか一方の圧力を検知し、当該検知結果に基づいて、前記圧力制御ゾーンの入口の圧力が前記第2通気ゾーンの入口の圧力以下であり、かつ、前記圧力制御ゾーンの出口圧力が前記第2通気ゾーンの出口圧力以上になるように、前記第2通気ゾーンを流れる気体の流量を調整するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、シール材の高精度な加工や調整が不要で、処理風量や再生風量を可変制御した場合でも、ロータ内部及びロータ表面における気体の混合を抑制できる技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。以下に説明する実施形態は例示にすぎず、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0029】
<気体制御装置の構成>
図5Aは、第1実施形態に係る気体制御装置の概要を示す。
図5Bは、第1実施形態に係る気体制御装置のシステム構成図を示す。第1実施形態に係る気体制御装置1は、再生通気路51、処理通気路52、ロータ2、圧力制御用通気路53、入口側ファン61、入口側ダンパ71、入口側差圧計81、入口側コントローラ91、出口側ファン62、出口側ダンパ72、出口側差圧計82、出口側コントローラ92を備える。また、ロータ2は、再生ゾーン21、処理ゾーン22、圧力制御ゾーン23に分割されている。なお、
図5B等の図面における「+」は、圧力を示す。例えば、再生ゾーン21の入口側の圧力は「
++」であり、再生ゾーン21の出口側の圧力は「+」であり、再生ゾーン21の入口側の圧力の方が再生ゾーン21の出口側の圧力よりも高いことを示す。
【0030】
再生通気路51は、本発明の第2通気路の一例であり、ロータ2、特にその吸着材の吸着性能を再生するための気体が流れる通気路である。再生通気路51を流れる気体には、空気、不活性気体(N
2)、高温で送られる気体、負圧にして吸引される気体が例示される。再生通気路51には、図示では省略するが、再生通気路用ファン、再生ヒータを設置することができる。
【0031】
処理通気路52は、本発明の第1通気路の一例であり、ロータ2で処理される気体が流れる通気路である。ロータ2で処理される気体が流れる方向は、ロータ2を再生するための気体が流れる方向と逆向きになるよう設計されている。処理通気路52を流れる気体には、VOC(揮発性有機化合物:volatile organic compounds)を含む空気、調湿対象となる空気、例えば半導体などの先端製造プロセスで、製造の阻害要因となる空気中の水分や分子状汚染物質から製品を守るといった、浄化に供される空気が例示される。処理通気路52には、図示では省略するが、処理通気路用ファンを設置することができる。
【0032】
なお、第1実施形態では、本発明の第2通気路の一例として再生通気路51、本発明の第1通気路の一例として処理通気路52、換言すると、本発明の第2気体を再生空気、本発明の第1気体を処理空気として説明したがこれに限定されない。本発明の第2気体が処理空気、本発明の第1気体が再生空気、換言すると、本発明の第2通気路の一例として処理通気路52、本発明の第1通気路の一例として再生通気路51としてもよい。
【0033】
ロータ2は、処理通気路52を流れる気体に含まれるVOCを吸着する機能や、湿分を吸着し、処理通気路52を流れる気体を調湿する機能、気体などの気体中からアンモニア等の化学物質やオゾン等の有害物質除去する機能のうち少なくとも何れか一つを有する。
ロータ2は、図示しない駆動源によって回転自在であり、ロータの両端面側に、チャンバ10,11を備える。チャンバ10,11は、再生通気路51、処理通気路52、圧力制御用通気路53の夫々に対応した室を有し、各室は仕切り板で仕切られている。再生通気路51、処理通気路52は、入口側、出口側、夫々がダクトなどで構成される。チャンバ10,11の外壁の端部、換言するとロータ2の外周には、ロータ2内からの気体の漏れを抑制する外周シール材3が設けられている。また、ロータ2の表面に近接するチャンバ10,11の仕切り板の端部には、各ゾーン間の気体の混合を抑制するゾーン間シール材4が設けられている。ロータ2は、例えばシリカゲルを添着したロータ、ゼオライトを添着したロータ、高分子収着剤を添着したロータ、塩化リチウム等の吸湿剤等を含浸させたロータによって構成することができる。
【0034】
また、ロータ2は、再生ゾーン21、処理ゾーン22、圧力制御ゾーン23(PCZ)に分割されている。再生ゾーン21は、本発明の第2ゾーンの一例であり、ロータ2の吸着剤を再生し、又は吸着された湿気等の物質を脱着・脱離するための気体が通過することで再生される。処理ゾーン22は、本発明の第1ゾーンの一例であり、処理通気路52を流れる気体に含まれるVOCの吸着や、処理通気路52を流れる気体を調湿する。圧力制御ゾーン23は、処理通気路52から分岐した圧力制御用通気路53を流れる気体が通過する。圧力制御ゾーン23は、処理ゾーン22と同じく、処理通気路52を流れる気体に含まれるVOCの吸着や、処理通気路52を流れる気体を調湿する機能の他、ロータ2の圧力を制御する機能を有する。第1実施形態では、再生ゾーン21と処理ゾーン22は、中心角がほぼ同じである扇形によって形成され、圧力制御ゾーン23は、ロータ2の回転軸を基準として、対向する2つの扇形の圧力制御ゾーンによって構成されている。圧力制御ゾーン23を形成する扇形の中心角は、再生ゾーン21や処理ゾーン22を形成する扇形の中心角よりも小さい。各ゾーンの角度は被処理気体の使用条件等により異なるが、圧力制御ゾーン23の角度は小さい方が運転費の面では好適である。本実施形態では、処理ゾーン22と再生ゾーン21は、夫々170度、2つの圧力制御ゾーン23は、夫々10度とし、2つの圧力制御ゾーン23を対称関係に配置されている。
【0035】
圧力制御用通気路53は、本発明の分岐路の一例であり、処理通気路52から分岐し、圧力制御用通気路53の途中にロータ2が設置され、処理通気路52に合流しており、ロータ2で処理される気体が流れる。圧力制御用通気路53の一端は、処理通気路52の、ロータ2よりも下流側に接続され、圧力制御用通気路53の他端は、処理通気路52の、ロータ2よりも上流側に接続されている。圧力制御用通気路53には、気体の流れにおいて、上流側から順に、入口側ダンパ71、入口側ファン61、ロータ2、出口側ファン62、出口側ダンパ72が設けられている。
【0036】
入口側ファン61は、本発明の流量調整部の一例であり、圧力制御用通気路53の入口側に設けられ、圧力制御用通気路53を流れる気体をロータ2に送る。入口側ファン61は、入口側コントローラ91と電気的に接続され、入口側コントローラ91によってON、OFFの制御が可能であり、また、出力状態がインバータ制御される。
【0037】
入口側ダンパ71は、本発明の流量調整部の一例であり、圧力制御用通気路53の入口側(入口側ファン61よりも下流側)に設けられ、圧力制御用通気路53を流れる気体の流量を調整する。入口側ダンパ71は、入口側コントローラ91と電気的に接続され、入口側コントローラ91によって開度が制御される。入口側ダンパ71には、モータを駆動させることで開度を変更できるモータダンパを用いることができる。
【0038】
入口側差圧計81は、本発明の圧力検知部の一例であり、チャンバ10内における、再生ゾーン21の入口側、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力を計測する。計測された圧力は、入口側コントローラ91に入力される。入口側差圧計81は、例えば差圧測定チュー
ブの先端をゾーン間シール部材4の近傍に挿入するとよい。これにより、より精度よく制御を行うことができる。入口側差圧計81には、一般的なデジタル微差圧計を用いることができる。
【0039】
入口側コントローラ91は、本発明の制御部の一例であり、入口側差圧計81で計測された差圧(PV)と設定値(SV=±0)とに基づいて、入口側ファン61及び入口側ダンパ71を制御する。入口側コントローラ91は、CPU(中央処理演算装置)、メモリ、操作部、表示部等を備えるCPUユニットに装備させることができる。CPUがメモリに格納された制御プログラムを実行することで、入口側ファン61及び入口側ダンパ71等が制御される。入口側コントローラ91には、PID制御コントローラ(Proportional−Integral−Derivative Controller)を用いることができる。
【0040】
出口側ダンパ72は、本発明の流量調整部の一例であり、圧力制御用通気路53の出口側に設けられ、圧力制御用通気路53を流れる気体の流量を調整する。出口側ダンパ72は、出口側コントローラ92と電気的に接続され、出口側コントローラ92によって開度が制御される。出口側ダンパ72には、入口側ダンパ71と同じく、モータダンパを用いることができる。
【0041】
出口側ファン62は、本発明の流量調整部の一例であり、圧力制御用通気路53の出口側(出口側ファン62よりも下流側)に設けられ、圧力制御用通気路53を流れ、ロータ2を通過した気体を処理通気路52に送る。出口側ファン62は、出口側コントローラ92と電気的に接続され、出口側コントローラ92によってON、OFFの制御が可能であり、また、出力状態がインバータ制御される。
【0042】
出口側差圧計82は、本発明の圧力検知部の一例であり、チャンバ11内における、再生ゾーン21の出口側、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力を計測する。計測された圧力は、出口側コントローラ92に入力される。出口側差圧計82は、例えば差圧測定チューブの先端をゾーン間シール部材4の近傍に挿入するとよい。これにより、より精度よく制御を行うことができる。出口側差圧計82には、入口側差圧計81と同じく、一般的なデジタル微差圧計を用いることができる。
【0043】
出口側コントローラ92は、本発明の制御部の一例であり、出口側差圧計82で計測された差圧と設定値とに基づいて、出口側ファン62及び出口側ダンパ72を制御する。出口側コントローラ92は、CPU(中央処理演算装置)、メモリ、操作部、表示部等を備えるCPUユニットに装備させることができる。CPUがメモリに格納された制御プログラムを実行することで、出口側ファン62及び出口側ダンパ72等が制御される。出口側コントローラ92には、入口側コントローラ91と同じく、PID制御コントローラを用いることができる。
【0044】
なお、必ずしも圧力制御ゾーン23の入口側と出口側の双方にファン及びダンパを設けなくともよい。例えば、圧力制御ゾーン23の入口側に入口側ダンパ71のみを設け、圧力制御ゾーン23の出口側に出口側ファン62のみを設けるようにしてもよい。これにより、気体制御装置1をより簡略化することができる。
【0045】
<気体制御装置の動作>
次に、第1実施形態に係る気体制御装置1の動作例について説明する。
図6は、気体制御装置の処理フローを示す。以下の処理は、入口側コントローラ91及び出口側コントローラ92が実行する。ステップS01では、差圧及び設定値が取得される。具体的には、入口側の差圧(PV)、及び入口側の設定値(SV=±0)が取得され、出口側の差圧(
PV)、及び出口側の設定値(SV=±0)が取得される。入口側の差圧は、入口側差圧計81によって計測された計測値であり、出口側の差圧は、出口側差圧計82によって計測された計測値である。入口側の設定値、及び出口側の設定値は、既定値であり、予め入口側コントローラ91及び出口側コントローラ92に記憶されている。差圧、及び設定値が取得されると、ステップS02へ進む。
【0046】
ステップS02では、差圧の判定が行われる。具体的には、入口側の差圧と入口側の設定値が対比され、出口側の差圧と出口側の設定値が対比される。差圧が判定されると、ステップS03へ進む。
【0047】
ステップS03では、差圧の判定結果に基づいて、ファン及びダンパが制御される。具体的には、入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)よりも小さい場合(すなわち、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力<再生ゾーン21の入口側の圧力)、入口側ダンパ71の開度が大きくなるように制御される。その結果、入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)に近づいてゆく。入口側ダンパ71が全開になっても、なお入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)を下回っている場合、入口側ファン61のインバータ出力周波数が上がるように制御される。その結果、入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)に更に近づいてゆく。
【0048】
また、入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)よりも大きい場合(すなわち、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力>再生ゾーン21の入口側の圧力)、入口側ファン61のインバータ出力周波数が下がるように制御される。その結果、入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)に近づいてゆく。入口側ファン61のインバータ出力周波数が下限値(例えば、20Hz)になっても、なお入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)を上回っている場合、入口側ダンパ71の開度が閉じるように制御される。その結果、入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)に近づいてゆく。
【0049】
ここで、
図7Aは、圧力制御ゾーンの入口側におけるINV出力/MD開度と差圧との関係を示す。
図7Aは、縦軸がINV出力/MD開度を示し、横軸が差圧を示す。
図7Aに示すように、入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)よりも小さい場合(すなわち、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力<再生ゾーン21の入口側の圧力)、入口側ダンパ71の開度が大きくなるように制御される。また、入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)よりも大きい場合(すなわち、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力>再生ゾーン21の入口側の圧力)、入口側ファン61のインバータ出力周波数が下がるように制御される。
【0050】
また、出口側の差圧(PV)が出口側の設定値(SV=±0)よりも小さい場合(すなわち、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力<再生ゾーン21の出口側の圧力)、出口側ファン62のインバータ出力周波数が下がるように制御される。その結果、出口側の差圧(PV)が出口側の設定値(SV=±0)に近づいてゆく。また、出口側ファン62のインバータ出力周波数が下限値(例えば、20Hz)になっても、なお出口側の差圧(PV)が出口側の設定値(SV=±0)を下回っている場合、出口側ダンパ72の開度が閉じるように制御される。その結果、出口側の差圧(PV)が出口側の設定値(SV=±0)に近づいてゆく。
【0051】
また、出口側の差圧(PV)が出口側の設定値(SV=±0)よりも大きい場合(すなわち、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力>再生ゾーン21の出口側の圧力)、出口側ダンパ72が開度が大きくなるように制御される。その結果、出口側の差圧(PV)が出口側の設定値(SV=±0)に近づいてゆく。出口側ダンパ72が全開になっても、なお出
口側の差圧(PV)が出口側の設定値(SV=±0)を上回っている場合、出口側ファン62のインバータ出力周波数が上がるように制御される。その結果、出口側の差圧(PV)が出口側の設定値(SV=±0)に更に近づいてゆく。以上により、気体制御装置の処理が完了する。
【0052】
ここで、
図7Bは、圧力制御ゾーンの出口側におけるINV出力/MD開度と差圧との関係を示す。
図7Bは、縦軸がINV出力/MD開度を示し、横軸が差圧を示す。
図7Bに示すように、出口側の差圧(PV)が出口側の設定値(SV=±0)よりも小さい場合(すなわち、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力<再生ゾーン21の出口側の圧力)、出口側ファン62のインバータ出力周波数が下がるように制御される。また、出口側の差圧(PV)が出口側の設定値(SV=±0)よりも大きい場合(すなわち、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力>再生ゾーン21の出口側の圧力)、出口側ダンパ72が開度が大きくなるように制御される。
【0053】
<効果>
以上説明した第1実施形態に係る気体制御装置1によれば、ロータ2の処理ゾーン22により、処理通気路52を流れる気体に含まれるVOCの吸着や、処理通気路52を流れる気体の調湿が可能となる。また、ロータ2の再生ゾーン21により、ロータ2の再生が可能となる。また、ロータ2で処理される気体が流れる方向は、ロータ2を再生するための気体が流れる方向と逆向きであり、第1実施形態に係る気体制御装置1は、所謂対向流方式である。そのため、第1実施形態に係る気体制御装置1は、所謂平行流方式で懸念される、吸着性能の低下や再生のための加熱量の増大の可能性が低く、所謂平行流方式よりも、効果的にロータ2を再生することができる。所謂平行流方式では、ロータ2における処理空気下流側の面(再生空気上流側の面)で再生・脱着が十分でないことが懸念される。第1実施形態に係る気体制御装置1は、所謂対向流方式であるため、ロータ2における処理空気下流側の面での再生・脱着を十分に行うことができる。
【0054】
また、第1実施形態に係る気体制御装置1では、ロータ2に圧力制御ゾーン23が設けられ、この圧力制御ゾーン23には、処理通気路52から分岐した圧力制御用通気路53を流れる気体が通過する。圧力制御用通気路53を流れる気体の方向は、再生通気路51を流れる気体の方向と同じである。また、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力と再生ゾーン21の入口側の圧力が同じになるように制御され、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力と再生ゾーン21の出口側の圧力が同じになるように制御される。そして、第1実施形態に係る気体制御装置1では、圧力制御ゾーン23の圧力と再生ゾーン21の圧力との差が、処理ゾーン22の圧力と再生ゾーン21との圧力との差よりも小さくなっている。また、圧力制御ゾーン23の入口側と出口側の圧力差が小さくなっており、圧力制御ゾーン23の通過風量が少なくなっている。そのため、ロータ2の入口側(チャンバ10側)、ロータ2の出口側(チャンバ11側)、ロータ2の内部といったようにロータ2の全域において、圧力制御ゾーン23と再生ゾーン21の圧力差が極めて小さくなる。したがって、仮に処理ゾーン22から圧力制御ゾーン23に気体が漏れても、圧力制御ゾーン23から再生ゾーン21への気体の漏れは抑制される。その結果、処理ゾーン22と再生ゾーン21との間での気体の混合は抑制される。また、ロータ2の全域において、圧力制御ゾーン23と再生ゾーン21の圧力差が極めて小さいため、ロータ2の表面とゾーン間シール材4との隙間を通じて気体が混合する表面リーク、ロータ2の素子を気体が透過して気体が混合する内部リークの何れも抑制することができる。
【0055】
また、上記のように、第1実施形態に係る気体制御装置1では、仮に処理ゾーン22から圧力制御ゾーン23に気体が漏れても、圧力制御ゾーン23から再生ゾーン21への気体の漏れは抑制される。したがって、仮に、気体制御装置1の省エネルギー運転等を目的として、処理風量や再生風量を手動で変更あるいは自動で可変制御し、再生ゾーン21と
処理ゾーン22との間の差圧が大きくなった場合でも、圧力制御ゾーン23から再生ゾーン21への気体の漏れは抑制される。
【0056】
また、第1実施形態に係る気体制御装置1では、ゾーン間シール材4の幅を従来通り(例えば、5mm)とすることができる。したがって、ゾーン間シール材4の幅を従来よりも大きくした場合に懸念される、極めて高精度な加工や調整も不要である。また、メンテナンスの際に極めて高精度な加工や調整を行う必要がないので、メンテナンスも容易となる。また、例えば、不活性気体が漏れるなどして酸素濃度が高くなると、VOCと酸素とが反応し易くなり、安全性が低下することが懸念される。第1実施形態に係る気体制御装置1によれば、処理ゾーン22と再生ゾーン21との間での気体の混合が抑制されるので、安全性を維持することができる。
【0057】
<変形例>
ここで、
図8Aは、第1実施形態の変形例1に係る気体制御装置のシステム構成図を示す。第1実施形態の変形例1に係る気体制御装置1は、第1実施形態と同じく、所謂対向流方式であるが、圧力制御用通気路53を流れる気体の方向は、再生通気路51を流れる気体の方向と異なっている。
【0058】
気体制御装置1の処理は、変形例においても、先に説明した、
図6に示す気体制御装置の処理フローに基づいて行われる。ステップS01における、差圧の計測や設定値の取得、ステップS02における差圧の判定については、変形例でも同様に行われる。ステップS03の差圧の判定に基づく、ファン、及びダンパの制御は、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力を上げる処理、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力を下げる処理、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力を上げる処理、圧力制御ゾーンの出口側の圧力を下げる処理が適宜組み合わせて実行されることで実現することができる。
【0059】
圧力制御制御ゾーン23の入口側の圧力を上げる場合には、入口側ダンパ71の開度が大きくなるように制御される。更に、圧力制御制御ゾーン23の入口側の圧力を上げる場合には、入口側ファン61のインバータ出力周波数が上がるように制御される。また、例えば、圧力制御制御ゾーン23の入口側の圧力を下げる場合には、入口側ファン61のインバータ出力周波数が下がるように制御される。更に、圧力制御制御ゾーン23の入口側の圧力を下げる場合には、入口側ダンパ71の開度が閉じるように制御される。
【0060】
圧力制御制御ゾーン23の出口側の圧力を上げる場合には、出口側ファン62のインバータ出力周波数が下がるように制御される。更に、圧力制御制御ゾーン23の出口側の圧力を上げる場合には、出口側ダンパ72の開度が閉じるように制御される。圧力制御制御ゾーン23の出口側の圧力を下げる場合には、出口側ダンパ72の開度が大きくなるように制御される。更に、圧力制御制御ゾーン23の出口側の圧力を下げる場合には、出口側ファン62のインバータ出力周波数が上がるように制御される。
【0061】
例えば、変形例1では、再生ゾーン21の入口側の圧力と圧力制御ゾーン23の出口側の圧力がほぼ同じになるように制御され、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力が再生ゾーン21の出口側の圧力よりも高くなるように制御され、圧力制御制御ゾーンの入口側の圧力と出口側の圧力差が小さくなるように(
図8Aでは、ほぼ等しい)制御される。具体的には、再生ゾーン21の入口側の圧力と圧力制御ゾーン23の出口側の圧力がほぼ同じになるように制御する場合、例えば、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力が再生ゾーン21の入口側の圧力を下回っていれば、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力を上げるため、出口側ファン62のインバータ出力周波数が下がるように制御される。出口側ファン62のインバータ出力周波数が下限値になっても、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力が再生ゾーン21の入口側の圧力を下回る場合、出口側ダンパ72の開度が閉じるように制御され
る。また、例えば、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力が再生ゾーン21の入口側の圧力を上回る場合、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力を下げるため、出口側ダンパ72の開度が大きくなるように制御される。また、出口側ダンパ72が全開になっても、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力が再生ゾーン21の入口側の圧力を上回る場合、出口側ファン62のインバータ出力周波数が上がるように制御される。
【0062】
また、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力が再生ゾーン21の出口側の圧力よりも高くなるように制御する場合、例えば、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力が再生ゾーン21の出口側の圧力を下回っていれば、入口側ダンパ71の開度が大きくなるように制御される。また、入口側ダンパ71が全開になっても、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力が再生ゾーン21の出口側の圧力を下回る場合、入口側ファン61のインバータ出力周波数が上がるように制御される。
【0063】
圧力制御制御ゾーンの入口側の圧力と出口側の圧力差が小さくなる、又は等しくなるように制御する場合、圧力制御制御ゾーン23の入口側の圧力を上げる処理、又は下げる処理、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力を上げる処理、又は下げる処理が適宜行われる。後述する変形例2(
図8B)、変形例3(
図8C)についても同様である。
【0064】
図8Bは、第1実施形態の変形例2に係る気体制御装置のシステム構成図を示す。第1実施形態の変形例2に係る気体制御装置1は、構成は、第1実施形態の変形例1に係る気体制御装置1と同じであり、制御が異なる。第1実施形態の変形例2に係る気体制御装置1は、再生ゾーン21の出口側の圧力と圧力制御ゾーン23の入口側の圧力がほぼ同じになるように制御され、再生ゾーン21の出口側の圧力が圧力制御ゾーン23の出口側の圧力よりも高くなるように制御され、圧力制御制御ゾーンの入口側の圧力と出口側の圧力差が小さくなるように(
図8Bでは、ほぼ等しい)制御される。
【0065】
再生ゾーン21の出口側の圧力と圧力制御ゾーン23の入口側の圧力がほぼ同じになるように制御する場合、例えば、再生ゾーン21の出口側の圧力が圧力制御ゾーン23の入口側の圧力を下回っていれば、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力を下げるため、入口側ファン61のインバータ出力周波数が下がるように制御される。入口側ファン61のインバータ出力周波数が下限値になっても、再生ゾーン21の出口側の圧力が圧力制御ゾーン23の入口側の圧力を下回る場合、入口側ダンパ71の開度が閉じるように制御される。また、例えば、再生ゾーン21の出口側の圧力が圧力制御ゾーン23の入口側の圧力を上回る場合、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力を上げるため、入口側ダンパ71の開度が大きくなるように制御される。また、入口側ダンパ71が全開になっても、再生ゾーン21の出口側の圧力が圧力制御ゾーン23の入口側の圧力を上回る場合、入口側ファン61のインバータ出力周波数が上がるように制御される。
【0066】
また、再生ゾーン21の出口側の圧力が圧力制御ゾーン23の出口側の圧力よりも高くなるように制御する場合、例えば、再生ゾーン21の出口側の圧力が圧力制御ゾーン23の出口側の圧力を下回っていれば、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力を下げるため、出口側ダンパ72の開度が大きくなるように制御される。更に、圧力制御制御ゾーン23の出口側の圧力を下げる場合には、出口側ファン62のインバータ出力周波数が上がるように制御される。
【0067】
図8Cは、第1実施形態の変形例3に係る気体制御装置のシステム構成図を示す。第1実施形態の変形例3に係る気体制御装置1は、構成は、第1実施形態の変形例1,2に係る気体制御装置1と同じであり、制御が異なる。第1実施形態の変形例3に係る気体制御装置1は、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力が再生ゾーン21の入口側の圧力以下であり、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力が再生ゾーン21の出口側の圧力以上であり、圧
力制御制御ゾーンの入口側の圧力と出口側の圧力差が小さくなるように(
図8Cでは、ほぼ等しい)制御される。
【0068】
圧力制御ゾーン23の入口側の圧力が再生ゾーン21の入口側の圧力以下となるように制御する場合、例えば、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力が再生ゾーン21の入口側の圧力を上回っていれば、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力を下げるため、入口側ファン61のインバータ出力周波数が下がるように制御される。更に、圧力制御制御ゾーン23の入口側の圧力を下げる場合には、入口側ダンパ71の開度が閉じるように制御される。
【0069】
圧力制御ゾーン23の出口側の圧力が再生ゾーン21の出口側の圧力以上となるように制御する場合、例えば、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力が再生ゾーン21の出口側の圧力を下回っていれば、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力を上げるため、出口側ファン62のインバータ出力周波数が下がるように制御される。更に、圧力制御制御ゾーン23の出口側の圧力を上げる場合には、出口側ダンパ72の開度が閉じるように制御される。
【0070】
図8Dは、第1実施形態の変形例4に係る気体制御装置のシステム構成図を示す。第1実施形態の変形例4に係る気体制御装置1は、第1実施形態の変形例3に係る気体制御装置1において、圧力制御ゾーン23の出口側(チャンバ10側)が、塞ぎ板30で塞がれている。また、処理通気路52から分岐する圧力制御用通気路53は、往き圧力制御用通路53aと還り圧力制御用通路53bとによって構成されている。往き圧力制御用通路53aは、上流側から順に、入口側ダンパ71、入口側ファン61が設けられ、チャンバ11側に接続されている。また、還り圧力制御用通路53bは、同じくチャンバ11側に接続され、上流側から順に、出口側ダンパ72、出口側ファン62が設けられている。
【0071】
第1実施形態の変形例4に係る気体制御装置1では、圧力制御ゾーン23の出口側(チャンバ10側)が、塞ぎ板30で塞がれることで、ロータ2の圧力制御ゾーン23では、気体が通過しない。そのため、圧力制御ゾーン23に連なるチャンバ10内の圧力とチャンバ11内の圧力がほぼ等しくなっている。そこで、圧力制御ゾーン23に連なるチャンバ11内の圧力を制御することで、第1実施形態に係る変形例3に係る気体制御装置1と同様に、処理ゾーン22と再生ゾーン21との間での気体の混合を抑制することができる。
【0072】
具体的には、第1実施形態の変形例4に係る気体制御装置1は、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力(圧力制御ゾーン23に連なるチャンバ11内の圧力)が再生ゾーン21の入口側の圧力以下になるように制御される。例えば、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力(圧力制御ゾーン23に連なるチャンバ11内の圧力)が再生ゾーン21の入口側の圧力を上回っていれば、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力(圧力制御ゾーン23に連なるチャンバ11内の圧力)を下げるため、入口側ファン61のインバータ出力周波数が下がるように制御される。更に、圧力制御制御ゾーン23の入口側の圧力(圧力制御ゾーン23に連なるチャンバ11内の圧力)を下げる場合には、入口側ダンパ71の開度が閉じるように制御される。また、圧力制御ゾーン23の入口側の圧力(圧力制御ゾーン23に連なるチャンバ11内の圧力)を下げるため、出口側ダンパ72の開度が大きくなるように制御されるようにしてもよい。更に、圧力制御制御ゾーン23の入口側の圧力(圧力制御ゾーン23に連なるチャンバ11内の圧力)を下げる場合には、出口側ファン62のインバータ出力周波数が上がるように制御されるようにしてもよい。
【0073】
第1実施形態の変形例4に係る気体制御装置1では、圧力制御ゾーン23に連なるチャンバ10内の圧力とチャンバ11内の圧力がほぼ等しくなっているため、第1実施形態の変形例3に係る気体制御装置1で必要とされた、圧力制御ゾーン23の出口側の圧力が再生ゾーン21の出口側の圧力以上とする制御や、圧力制御制御ゾーンの入口側の圧力と出
口側の圧力差が小さくなるようにする制御が不要となる。
【0074】
なお、第1実施形態の変形例4に係る気体制御装置1において、圧力制御ゾーン23の入口側(チャンバ11側)を塞ぎ板30で塞ぐようにしてもよい。この場合、チャンバ10側に、往き圧力制御用通路53aと還り圧力制御用通路53bとを接続することができる。
【0075】
上述した、第1実施形態の変形例1から4に係る気体制御装置1によっても、第1実施形態に係る気体制御装置1よりは僅かに劣るものの、処理ゾーン22と再生ゾーン21との間での気体の混合を抑制することができる。すなわち、第1実施形態に係る気体制御装置1は、圧力制御用通気路53を流れる気体の方向と再生通気路51を流れる気体の方向が異なる場合でも適用可能である。
【0076】
また、
図8Eは、第1実施形態の変形例5に係る気体制御装置の概要を示す。第1実施形態では、圧力制御ゾーン23が、ロータ2の回転軸を基準として、対向する2つの扇型の圧力制御ゾーンによって構成されていた。これに対し、第1実施形態の変形例5に係る気体制御装置1では、圧力制御ゾーン23がロータの回転軸を通る一つの略長方形の圧力制御ゾーンによって構成されている。圧力制御ゾーン23は、再生ゾーン21と処理ゾーンとの間に位置していればよく、形状や数は特に限定されない。第1実施形態の変形例5に係る気体制御装置1によっても、第1実施形態の気体制御装置1と同様の効果を得ることができる。圧力制御ゾーン23がロータの回転軸を通る一つの略長方形の圧力制御ゾーンによって構成されることで、差圧計を含む制御系を一つに集約することができる。
【0077】
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態に係る気体制御装置の構成例を示す。
図10は、
図9に示す第2実施形態に係る脱着装置の気流方向及び圧力制御ゾーンの圧力目標の一覧を示す。
【0078】
第2実施形態に係る気体制御装置1では、ロータ2が第1実施形態と同じく、再生ゾーン21、処理ゾーン22、及び2つの圧力制御ゾーン(第1圧力制御ゾーン231,第2圧力制御ゾーン232)によって構成されている。但し、第2実施形態に係る気体制御装置1は、再生通気路51、処理通気路52、及び圧力制御用通気路531,532同士の相対的な位置関係やロータ2との位置関係等が異なる。なお、ファン、ダンパ、コントローラ、差圧計の図示は省略する。ファン、ダンパは、コントローラによって、差圧計で計測された差圧及び設定値に基づいて、再生ゾーン21の圧力と第1圧力制御ゾーン231、第2圧力制御ゾーン232の圧力が等しくなるように制御される。
【0079】
図9(a)の気体制御装置1は、第1実施形態と基本的に同様の構成である。
図9(a)、
図10に示すように、
図9(a)の気体制御装置1では、処理ゾーン22、第1圧力制御ゾーン231(
図10では、PCZ1とする)、第2圧力制御ゾーン232(
図10では、PCZ2とする)には、気体として空気(Air)が通過し、再生ゾーン21には不活性気体(N
2)が通過する。また、気流方向は、処理ゾーン22を基準(正)とすると、再生ゾーン21は「逆」となり、第1圧力制御ゾーン231、第2圧力制御ゾーン23は、再生ゾーン21と同じで「逆」となる。また、圧力目標は、第1圧力制御ゾーン231、第2圧力制御ゾーン232の圧力が、再生ゾーン21の圧力と同じとされている。
【0080】
図9(b)の気体制御装置1は、再生通気路51を流れる気体の向き、及び圧力制御用通気路531,532を流れる気体の向きが、第1実施形態に係る気体制御装置1と異なる。具体的には、
図9(b)、
図10に示すように、
図9(b)の気体制御装置1では、処理ゾーン22、第1圧力制御ゾーン231(PCZ1)、第2圧力制御ゾーン232(PCZ2)には、気体として空気(Air)が通過し、再生ゾーン21には不活性気体(
N
2)が通過する。また、気流方向は、処理ゾーン22を基準(正)とすると、再生ゾーン21が同じ(正)であり、第1圧力制御ゾーン231、第2圧力制御ゾーン232が再生ゾーン21と同じ(正)となる。また圧力目標は、第1圧力制御ゾーン231、第2圧力制御ゾーン232の圧力が、再生ゾーン21の圧力と同じとされている。
【0081】
図9(c)の気体制御装置1は、圧力制御用通気路が、処理通気路52から分岐した圧力制御用通気路531と、再生通気路51から分岐した圧力制御用通気路532と、によって構成されている。第1圧力制御ゾーン231(PCZ1)には、処理通気路52から分岐した圧力制御用通気路531を流れる気体を通過し、第2圧力制御ゾーン232(PCZ2)には、再生通気路51から分岐した圧力制御用通気路532を流れる気体が通過する。具体的には、
図9(c)、
図10に示すように、
図9(c)の気体制御装置1では、処理ゾーン22、第1圧力制御ゾーン231には、気体として空気(Air)が通過し、再生ゾーン21、第2圧力制御ゾーン232には、不活性気体(N
2)が通過する。また、気流方向は、処理ゾーン22を基準(正)とすると、再生ゾーン21が「逆」となり、第1圧力制御ゾーン231は、再生ゾーン21と同じで「逆」となり、第2圧力制御ゾーン232は処理ゾーン22と同じ(正)となる。また、圧力目標は、第1圧力制御ゾーン231の圧力が再生ゾーン21の圧力と同じであり、第2圧力制御ゾーン232の圧力が、処理ゾーン22の圧力と同じとされている。
【0082】
図9(d)の気体制御装置1は、圧力制御用通気路が、処理通気路52から分岐した圧力制御用通気路531と、再生通気路51から分岐した圧力制御用通気路532と、によって構成されている点が、
図9(c)の気体制御装置1と同じである。但し、
図9(d)の気体制御装置1は、気流の向きが
図9(c)の気体制御装置1と異なる。具体的には、
図9(d)、
図10に示すように、
図9(d)の気体制御装置1では、処理ゾーン22、第1圧力制御ゾーン231(PCZ1)には、気体として空気(Air)が通過し、再生ゾーン21、第2圧力制御ゾーン232(PCZ2)には、不活性気体(N
2)が通過する。また、気流方向は、処理ゾーン22を基準(正)とすると、再生ゾーン21が同じ(正)であり、第1圧力制御ゾーン231が再生ゾーン21と同じ(正)であり、第2圧力制御ゾーン232が処理ゾーン22と同じ(正)となる。また、圧力目標は、第1圧力制御ゾーン231の圧力が再生ゾーン21の圧力と同じであり、第2圧力制御ゾーン232の圧力が、処理ゾーン22の圧力と同じとされている。
【0083】
なお、図示しないコントローラは、圧力目標に従って、ダンパ及びファンを制御する。
【0084】
以上を纏めると、圧力制御ゾーン(第1圧力制御ゾーン231、第2圧力制御ゾーン232)の気流方向は、隣接するゾーン(再生ゾーン21、処理ゾーン22)のうち、当該圧力制御ゾーンを通過する気体と異なる気体が通過する側の隣接するゾーンと同じにすればよい。また、圧力制御ゾーンの圧力は、隣接するゾーン(再生ゾーン21、処理ゾーン22)のうち、当該圧力制御ゾーンを通過する気体と異なる気体が通過する側の隣接するゾーンと同じになるように制御すればよい。
【0085】
以上説明した第2実施形態に係る気体制御装置1によれば、第1実施形態に係る気体制御装置と同様の効果を得ることができる。すなわち、処理ゾーン22と再生ゾーン21との間での気体の混合を抑制できる。また、ロータ2の全域において、圧力制御ゾーン(第1圧力制御ゾーン231、第2圧力制御ゾーン232)と再生ゾーン21の圧力差が極めて小さいため、ロータ2の表面とゾーン間シール材との隙間を通じて気体が混合する表面リーク、ロータ2の素子を気体が透過して気体が混合する内部リークの何れも抑制することができる。
【0086】
<第3実施形態>
図11は、第3実施形態に係る気体制御装置の構成例を示す。
図12は、
図11に示す第3実施形態に係る脱着装置の気流方向及び圧力制御ゾーンの圧力目標の一覧を示す。
【0087】
第3実施形態に係る気体制御装置1では、ロータ2が、再生ゾーン21、処理ゾーン22、及び2つの圧力制御ゾーン23に加えて、パージゾーン24を更に含む構成である。なお、ファン、ダンパ、コントローラ、差圧計の図示は省略する。ファン、ダンパは、コントローラによって、差圧計で計測された差圧及び設定値に基づいて、再生ゾーン21の圧力と第1圧力制御ゾーン231、第2圧力制御ゾーン232の圧力が等しくなるように制御される。
【0088】
図11(a)の気体制御装置1は、ロータ2が、再生ゾーン21、パージゾーン24、処理ゾーン22、及び2つの圧力制御ゾーン(第1圧力制御ゾーン231,第2圧力制御ゾーン232)によって構成されている。また、
図11(a)の気体制御装置1は、パージ用通気路54を更に有し、パージ用通気路54を流れる気体がパージゾーン24を通過する。
図11(a)、
図12に示すように、
図11(a)の気体制御装置1では、処理ゾーン22、第1圧力制御ゾーン231(
図12では、PCZ1とする)、第2圧力制御ゾーン232(
図12では、PCZ2とする)には、気体として空気(Air)が通過し、再生ゾーン21及びパージゾーン24には不活性気体(N
2)が通過する。また、気流方向は、処理ゾーン22を基準(正)とすると、再生ゾーン21、パージゾーン24が「逆」であり、第1圧力制御ゾーン231が再生ゾーン21と同じで「逆」であり、第2圧力制御ゾーン232がパージゾーン24と同じで「逆」となる。また、圧力目標は、第1圧力制御ゾーン231の圧力が再生ゾーン21と同じであり、第2圧力制御ゾーン232の圧力が、パージゾーン24の圧力と同じとされている。
【0089】
図11(b)の気体制御装置1は、
図10(a)の気体制御装置1と気流の向きが異なる。
図11(b)、
図12に示すように、
図11(b)の気体制御装置1では、処理ゾーン22、第1圧力制御ゾーン231(PCZ1)、第2圧力制御ゾーン232(PCZ2)には、気体として空気(Air)が通過し、再生ゾーン21及びパージゾーン24には不活性気体(N
2)が通過する。また、気流方向は、処理ゾーン22を基準(正)とすると、再生ゾーン21が「逆」であり、パージゾーン24が同じ(正)であり、第1圧力制御ゾーン231が再生ゾーン21と同じで「逆」であり、第2圧力制御ゾーン232がパージゾーン24と同じ(正)となる。また、圧力目標は、第1圧力制御ゾーン231の圧力が再生ゾーン21と同じであり、第2圧力制御ゾーン232の圧力が、パージゾーン24の圧力と同じとされている。
【0090】
図11(c)の気体制御装置1は、
図11(a)の気体制御装置1と気流の向きが異なる。
図11(c)、
図12に示すように、
図11(c)の気体制御装置1では、処理ゾーン22、第1圧力制御ゾーン231(PCZ1)、第2圧力制御ゾーン232(PCZ2)には、気体として空気(Air)が通過し、再生ゾーン21及びパージゾーン24には不活性気体(N
2)が通過する。また、気流方向は、処理ゾーン22を基準(正)とすると、再生ゾーン21、パージゾーン24が同じ(正)であり、第1圧力制御ゾーン231が再生ゾーン21と同じ(正)であり、第2圧力制御ゾーン232がパージゾーン24と同じ(正)である。また、圧力目標は、第1圧力制御ゾーン231の圧力が再生ゾーン21と同じであり、第2圧力制御ゾーン232の圧力が、パージゾーン24の圧力と同じとされている。
【0091】
図11(d)の気体制御装置1は、圧力制御用通気路が、処理通気路52から分岐した圧力制御用通気路531と、パージ用通気路54から分岐した圧力制御用通気路532と、によって構成されている。第1圧力制御ゾーン231(PCZ1)は、処理通気路52から分岐した圧力制御用通気路531を流れる気体が通過し、第2圧力制御ゾーン232
(PCZ2)は、パージ用通気路54から分岐した圧力制御用通気路532を流れる気体が通過する。
図11(d)、
図12に示すように、
図11(d)の気体制御装置1では、処理ゾーン22、第1圧力制御ゾーン231には、気体として空気(Air)が通過し、再生ゾーン21、パージゾーン24、第2圧力制御ゾーン232には不活性気体(N
2)が通過する。また、気流方向は、処理ゾーン22を基準(正)とすると、再生ゾーン21、パージゾーン24が「逆」であり、第1圧力制御ゾーン231が再生ゾーン21と同じで「逆」であり、第2圧力制御ゾーン232が処理ゾーン22と同じで「逆」である。また、圧力目標は、第1圧力制御ゾーン231の圧力が再生ゾーン21と同じであり、第2圧力制御ゾーン232の圧力が、処理ゾーン22の圧力と同じとされている。
【0092】
図11(e)の気体制御装置1は、
図11(d)の気体制御装置1と気流の向きが異なる。
図11(e)、
図12に示すように、
図11(e)の気体制御装置1では、処理ゾーン22、第1圧力制御ゾーン231(PCZ1)には、気体として空気(Air)が通過し、再生ゾーン21、パージゾーン24、第2圧力制御ゾーン232(PCZ2)には不活性気体(N
2)が通過する。また、気流方向は、処理ゾーン22を基準(正)とすると、再生ゾーン21が「逆」であり、パージゾーン24が同じ(正)であり、第1圧力制御ゾーン231が再生ゾーン21と同じで「逆」であり、第2圧力制御ゾーン232が処理ゾーン21と同じ(正)である。また、圧力目標は、第1圧力制御ゾーン231の圧力が再生ゾーン21と同じであり、第2圧力制御ゾーン232の圧力が、処理ゾーン22の圧力と同じとされている。
【0093】
図11(f)の気体制御装置1は、
図11(d)の気体制御装置1と気流の向きが異なる。
図11(f)、
図12に示すように、
図11(f)の気体制御装置1では、処理ゾーン22、第1圧力制御ゾーン231(PCZ1)には、気体として空気(Air)が通過し、再生ゾーン21、パージゾーン24、第2圧力制御ゾーン232(PCZ2)には不活性気体(N
2)が通過する。また、気流方向は、処理ゾーン22を基準(正)とすると、再生ゾーン21、パージゾーン24が同じ(正)であり、第1圧力制御ゾーン231が再生ゾーン21と同じ(正)であり、第2圧力制御ゾーン232(PCZ0)が処理ゾーン21と同じ(正)である。また、圧力目標は、第1圧力制御ゾーン231の圧力が再生ゾーン21と同じであり、第2圧力制御ゾーン232の圧力が、処理ゾーン22の圧力と同じとされている。
【0094】
なお、図示しないコントローラは、圧力目標に従って、ダンパ及びファンを制御する。
【0095】
以上を纏めると、第2実施形態と同じく、圧力制御ゾーンの気流方向は、隣接するゾーン(再生ゾーン21、処理ゾーン22)のうち、当該圧力制御ゾーン23を通過する気体と異なる気体が通過する側の隣接するゾーンと同じにすればよい。また、圧力制御ゾーンの圧力は、隣接するゾーン(再生ゾーン21、処理ゾーン22)のうち、当該圧力制御ゾーン23を通過する気体と異なる気体が通過する側の隣接するゾーンと同じになるように制御すればよい。なお、再生ゾーン21とパージ24との間に圧力制御ゾーンを更に設けてもよい。本発明に係る第1気体、第2気体には、再生ゾーン21、処理ゾーン22、パージゾーン24を通過する気体の何れもが含まれる。
【0096】
以上説明した第3実施形態に係る気体制御装置1によれば、第1実施形態に係る気体制御装置と同様の効果を得ることができる。すなわち、処理ゾーン22又はパージゾーン24と、再生ゾーン21との間での気体の混合を抑制できる。また、ロータ2の全域において、圧力制御ゾーン23と、再生ゾーン21又はパージゾーン24の圧力差が極めて小さいため、ロータ2の表面とゾーン間シール材4との隙間を通じて気体が混合する表面リーク、ロータ2の素子を気体が透過して気体が混合する内部リークの何れも抑制することができる。
【0097】
<第4実施形態>
図13は、第4実施形態に係るVOC処理システムの一例を示す。第4実施形態に係るVOC処理システム101は、塗工機102からの排気に含まれるVOCをロータ2で吸着・濃縮した後、冷却凝縮して回収する、循環型のVOC回収設備である。第4実施形態に係るVOC処理システム101では、処理通気路52がVOC発生源としての塗工機102に接続されている。処理通気路52は、塗工機102から排出されたVOCを含む空気が、ロータ2で清浄化された後、塗工機102に供給されるよう、一端に塗工機102の排出口が接続され、他端に塗工機102の供給口が接続され、通気路の途中にロータ2が設けられている。圧力制御用通気路は、第1圧力制御ゾーン231を通る圧力制御用通気路531と、第2圧力制御ゾーン232を通る圧力制御用通路532と、によって構成されている。第1圧力制御ゾーン231を通る圧力制御用通気路531は、処理通気路52の、ロータ2よりも下流側で分岐し、通気路途中にロータ2が位置し、処理通気路52の、ロータよりも上流側で合流している。第1圧力制御ゾーン231を通る圧力制御用通気路531は、処理通気路52の、ロータ2よりも上流側で分岐し、通気路途中にロータ2が位置し、処理通気路52の、ロータよりも下流側で合流している。
【0098】
また、第4実施形態に係るVOC処理システム101は、再生通気路51がVOC冷却凝縮コイル103に接続され、再生通気路51には、不活性気体(N
2)の導入が可能となっている。より具体的には、再生通気路51は、不活性気体によってロータ2を再生し、高濃度VOCを含む不活性気体から高濃度気体を回収して、不活性気体を再利用できるよう循環路となっている。再生通気路51は、不活性気体の流れにおいて上流側から順に、不活性気体の導入部、ロータ2(パージゾーン)、再生ヒータ104、ロータ2(再生ゾーン21)、VOC冷却凝縮コイル105が設けられている。ロータ2のパージゾーン24を通過した不活性気体は再生ヒータ104によって加熱され高温となり再生ゾーン21を通過する。再生ゾーン21を通過することで高濃度VOCを含む不活性気体は、VOC冷却凝縮コイル105で冷却凝縮され、VOCが回収される。
【0099】
また、気流方向は、処理ゾーン22を基準(正)とすると、再生ゾーン21が「逆」であり、パージゾーン24が同じ(正)であり、第1圧力制御ゾーン231が再生ゾーン21と同じで「逆」であり、第2圧力制御ゾーン232がパージゾーン24と同じ(正)である。また、圧力目標は、第1圧力制御ゾーン231の圧力が再生ゾーン21の圧力と同じであり、第2圧力制御ゾーン232の圧力が、パージゾーン24の圧力と同じとなる。図示しないコントローラは、上記圧力目標に従って、ダンパ及びファンを制御する。
【0100】
以上説明した第4実施形態に係る気体制御装置1によれば、処理ゾーン22と、再生ゾーン21及びパージゾーン24の間での気体の混合を抑制できる。また、ロータ2の全域において、圧力制御ゾーン23と再生ゾーン21又はパージゾーン24の圧力差が極めて小さいため、ロータ2の表面とゾーン間シール材4との隙間を通じて気体が混合する表面リーク、ロータ2の素子を気体が透過して気体が混合する内部リークの何れも抑制することができる。すなわち、不活性気体と空気との混合を抑制することができる。不活性気体と空気が混合してしまうと、その分余計に不活性気体を導入する必要が生じ、運転コストが上昇してしまうことが懸念される。第4実施形態に係る気体制御装置1では、不活性気体と空気の混合を抑制することで、高価な不活性気体の導入量を少なくすることができ、運転コストを抑えることができる。
【0101】
<第5実施形態>
図14は、第5実施形態に係る除湿システムの一例を示す。第5実施形態に係る除湿システム111は、半導体製造プロセスなどの生産環境(不活性気体環境)を低露点に保つ、循環型の除湿設備である。第5実施形態に係る除湿システム111では、処理通気路5
2が水分発生源としての高気密低露点不活性気体環境112(半導体プロセスなど)に接続されている。処理通気路52は、高気密低露点不活性気体環境112から排出された低露点不活性気体が、ロータ2で調湿された後、高気密低露点不活性気体環境112に供給されるよう、一端に高気密低露点不活性気体環境112の排出口が接続され、他端に高気密低露点不活性気体環境112の供給口が接続され、通気路の途中にロータ2、不活性気体導入部が設けられている。圧力制御用通気路53は、第1圧力制御ゾーン231を通る圧力制御用通気路531と、第2圧力制御ゾーン232を通る圧力制御用通気路532と、によって構成されている。第1圧力制御ゾーン231を通る圧力制御用通気路531は、処理通気路52の、ロータ2よりも下流側で分岐し、通気路途中にロータ2が位置し、処理通気路52の、ロータよりも上流側で合流している。第2圧力制御ゾーン232を通る圧力制御用通気路532は、処理通気路52の、ロータ2よりも上流側で分岐し、通気路途中にロータ2が位置し、処理通気路52の、ロータよりも下流側で合流している。
【0102】
また、第5実施形態に係る除湿システム111は、再生通気路51が、空気によってロータ2を再生して、空気を排気できるよう、一端が空気導入口であり、他端が排気口であり、空気の流れにおいて上流側から順に、ロータ2、再生ヒータ104が設けられている。ロータ2のパージゾーン24を通過した空気は再生ヒータ104によって加熱され高温となり再生ゾーン21を通過して、再生ゾーン21を再生し、排気される。
【0103】
また、気流方向は、処理ゾーン22を基準(正)とすると、再生ゾーン21が「逆」であり、パージゾーン24が同じ(正)であり、第1圧力制御ゾーン231が再生ゾーン21と同じで「逆」であり、第2圧力制御ゾーン232がパージゾーン24と同じ(正)である。また、圧力目標は、第1圧力制御ゾーン231の圧力が再生ゾーン21の圧力と同じであり、第2圧力制御ゾーン232の圧力が、パージゾーン24の圧力と同じとなる。図示しないコントローラは、上記圧力目標に従って、ダンパ及びファンを制御する。
【0104】
以上説明した第5実施形態に係る気体制御装置1によれば、処理ゾーン22と、再生ゾーン21及びパージゾーン24の間での気体の混合を抑制できる。また、ロータ2の全域において、圧力制御ゾーン23と再生ゾーン21又はパージゾーン24の圧力差が極めて小さいため、ロータ2の表面とゾーン間シール材との隙間を通じて気体が混合する表面リーク、ロータ2の素子を気体が透過して気体が混合する内部リークの何れも抑制することができる。すなわち、不活性気体(N
2)と空気との混合を抑制することができる。不活性気体と空気が混合してしまうと、その分余計に不活性気体を導入する必要が生じ、運転コストが上昇してしまうことが懸念される。第5実施形態に係る気体制御装置1では、不活性気体と空気の混合を抑制することで、高価な不活性気体の導入量を少なくすることができ、運転コストを抑えることができる。
【0105】
なお、上記した種々の内容は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲に於いて可能な限り組合せることができる。例えば、ロータ2は、触媒機能を有するものでもよい。例えば、ロータ2に、電荷移動型高性能触媒(CT触媒)を添加するようにしてもよい。ロータ2が圧力制御ゾーン23を備えることで、吸着した臭い成分等のリークを抑制することができる。