(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハニカム型のVOC濃縮ロータや除湿ロータを用いた吸着装置がある。このような吸着装置のロータは、例えば、VOCの吸着や除湿など、所定の処理を行う処理ゾーン、処理ゾーンの機能を再生させる再生ゾーン、といったように機能の異なるゾーンが複数設けられている。また、例えば再生ゾーンを通過する生産コストの高い気体(例えば、不活性ガス)が外部へ漏れることにより、コストが増大してしまう。一方、従来提案されていたロータの外部空間に加圧した気体を導入する手法では、逆に高圧側の外部空間から低圧側のロータ内部へ気体が流入してしまう。特に、加圧した気体として空気を用いる場合、再生ゾーンの酸素濃度が高くなると、VOCが燃焼爆発を起こす危険性が高まることが懸念される。また、加圧した気体として生産コストの高い気体を用いる場合、再生ゾーンだけでなく処理ゾーンにも当該気体が流入することになり、コストが増大するという問題がある。
【0005】
図1は、従来技術に係る吸着装置における、気体の漏れを説明するための断面図の一例である。なお、ここでいう断面図とは、吸着装置が備えるロータを、気体が流れる方向に沿って再生ゾーン及び処理ゾーンがそれぞれ分割されるように切断した縦断面であるものとする。
図2は、
図1に示した吸着装置のロータの正面図である。なお、ここでいう正面図とは、ロータを、奥行き方向に気体が流れる方向から見たときの図面であるものとする。
図1に示した従来の吸着装置1Xは、再生ゾーン21X及び処理ゾーン22Xを有するロータ2Xを備える。また、吸着装置1Xでは、ロータ2Xの外部からの気体の漏れ(外周リーク)を抑制する外周シール部材3Xが、ロータ2Xの外周に沿って設けられ、再生ゾーン21Xと処理ゾーン22Xとの間での気体の混合を抑制するゾーン間シール材4Xが、ロータ2Xの表面に設けられている。なお、図の「−」記号は、外気を基準とした相対的な圧力の大きさを示す。ただし、大小関係を模式的に示すものであって、符号の数の比が圧力の比を表すわけではない。例えば、再生ゾーン21Xの入口側の圧力は「−−」であり、再生ゾーン21Xの出口側の圧力は「−−−」であり、再生ゾーン21Xの入口側の圧力の方が再生ゾーン21Xの出口側の圧力よりも高いことを示す。また、ロータ2Xの通過前よりも通過後の方が圧力は下がる。
【0006】
図1及び2に示すように、再生ゾーン21X及び処理ゾーン22Xをそれぞれ負圧(−)とすることで外部へのリークを抑制できるが、逆に外部から再生ゾーン21X及び処理ゾーン22Xへ気体の流入が生じる。特に、酸素を含む空気が外部から再生ゾーン21Xに流入すると、VOCが燃焼爆発を起こす危険性が高まることが懸念される。また、除湿ロータの場合も、生産コストの高い除湿空気の系外への漏出や、系内への湿り空気の流入といった問題がある。
【0007】
また、
図3は、再生ゾーン21X内を正圧(+)にしたロータ2Xを備える吸着装置1Xの一例を示す図である。再生ゾーン21X内を正圧にすると、外部から再生ゾーン21Xへの酸素の流入が抑制できるが、再生ゾーン21Xから外部への気体のリーク(外周リーク)が発生する。特に、再生ゾーン21Xに生産コストの高い不活性ガスを用いる場合、リークした分の不活性ガスを補う必要が生じ、ランニングコストが上昇する。また、不活性ガスはVOCを含むため、環境への影響という観点からも外周リークの発生は好ましくない。
【0008】
また、
図4は、従来技術に係る吸着装置について、外周部のシール材の幅を従来よりも大きくした断面図の一例を示す。
図4に示す吸着装置1Xでは、ロータ2Xの表面に設けられた外周シール部材3Xのシール幅が
図1に示す吸着装置1Xよりも大きく設計されている。
図1や
図4に示す吸着装置1Xの外周シール部材3Xは、例えばフッ素ゴムで構成することができる。
図1に示す従来の吸着装置1Xは、例えば外周シール部材3Xの幅を5mmとすることができる。これに対し、
図4に示す吸着装置1Xは、例えば外周シール部材3Xの幅を50mmとすることができる。また、ロータ2Xの気体が通過する方向の両端には外周に沿ってフランジ状の部分(フランジ部)23Xが設けられ、幅の大きな外周シール部材3Xとフランジ部23Xとが対向している。フランジ部23Xの幅は、外周シール部材3Xの幅とほぼ同じである。このように、外周シール部材3Xの幅を大きくすることで、リーク量を減少させることができる。しかしながら、
図4に示す吸着装置1Xでも間隙から差圧に応じて気体の移動が発生する。また、
図4に示す吸着装置1Xでは、径の大きいロータ2X(例えば、直径2〜3m)の場合、外周シール部材3Xを設ける面積も大きくなるため、外周シール部材3Xをフランジ部23Xの表面にできる限り隙間なく対向させるためには極めて高精度な加工や調整が必要となる。このような高精度な加工や調整は、製造時だけでなく、メンテナンスの際にも必要とされる。加工や調整に不備があり外周シール部材3Xとフランジ部23Xとの摩擦力が増加すれば、動作に必要な駆動力が増大し、駆動モータや回転ベルトに損傷等の不具合が生じるおそれがある。
【0009】
また、
図5は、吸着装置1Xの内部であってロータ2Xの外周部の空間11Xに、加圧した気体を導入し、再生ゾーン21X及び処理ゾーン22Xから外部への外部リークを低減する吸着装置の一例を示す断面図である。
図5の例では、外周部の空間11Xの方が再生通気路51Xよりも内部の圧力が高くなっているため、加圧した気体が外周部からロータ2Xに流入することになる。一般的に、再生ゾーン21Xの入口付近の圧力よりも、出口付近の圧力の方が低くなるところ、仮に外周部の空間11Xの圧力を再生ゾーン21Xの入口側の圧力と均衡させたとしても、再生ゾーン21の出口側では外周部の空間11Xから再生通気路51Xへの流入が発生する。したがって、加圧した気体に空気を用いる場合、再生ゾーン21Xの酸素濃度が上昇し、VOCが燃焼爆発を起こす危険性が高まることが懸念される。一方、加圧した気体に生産コストの大きい不活性ガスを用いる場合、処理ゾーン22Xに不活性ガスが流出してしまうため、コストが上昇するおそれがある。また、仮に外周部の空間11Xの圧力を再生ゾーン21Xの出口側の圧力と均衡させたとしても、再生ゾーン21の入口側では再生通気路51Xから外周部の空間11Xへの流出が発生する。したがって、再生ゾーン21Xに生産コストの大きい不活性ガスを流す場合、外周部の空間11Xや処理ゾーン22Xに不活性ガスが流出してしまうため、コストが上昇するおそれがある。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑み、シール材の高精度な加工や調整を行うことなく、ロータ内外における気体の混合を抑制できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る気体処理装置は、第1の気体が所定の方向に流れる第1通気路と、第1の気体とは異なる第2の気体が流れる第2通気路と、第1通気路の一部を構成する第1通気ゾーンと、第2通気路の一部を構成する第2通気ゾーンとを有し、第1通気路及び第2通気路に跨って配置される回転自在なロータと、第1通気ゾーンの上流端と外気との間に設けられる第1圧力制御ゾーンと、第1通気ゾーンの下流端と外気との間に設けられる第2圧力制御ゾーンとを備える。また、第1圧力制御ゾーンの圧力及び第2圧力制御ゾーンの圧力は、それぞれ第1の気体と外気との混合を抑制するように制御される。
【0012】
このようにすれば、第1圧力制御ゾーンと第2圧力制御ゾーンとで個別に圧力を制御することができる。したがって、第1通気ゾーンの上流端(入口付近)と下流端(出口付近)とで、それぞれ効果的に外周リークを低減させることができる。また、このような構成によれば、ロータの表面にロータの表面からの気体の漏れを抑制するシール材を設けた場合でも、このシール材の幅は、従来通りとすることができる。したがって、気体の漏れの抑制効果を高めるためにシール材の幅を従来よりも大きくした場合に懸念される、極めて高精度な加工や調整も不要となる。また、メンテナンスの際に極めて高精度な加工や調整を行う必要がないので、メンテナンスも容易となる。すなわち、シール材の高精度な加工や調整が不要で、処理風量や再生風量を可変制御した場合でも、ロータ内外における気体の混合を抑制できるようになる。このような第1圧力制御ゾーン及び第2圧力制御ゾーンは、VOC濃縮ロータのほか除湿ロータにも適用でき、生産コストの高い除湿空気の系外への漏出や、系内への湿り空気の流入を抑制できる。
【0013】
また、本発明に係る気体処理装置は、第1通気ゾーンの入口付近と第1圧力制御ゾーンとの差圧が小さくなるように制御されると共に、第1通気ゾーンの出口付近と第2圧力制御ゾーンとの差圧が小さくなるように制御されるようにしてもよい。具体的には、このように圧力を制御することにより、第1の気体と外気との混合を抑制することができるようになる。
【0014】
また、第1圧力制御ゾーンと第2圧力制御ゾーンとは、通気量を調整する流量調整部を介して連結されるようにしてもよい。なお、流量調整部は、第1圧力制御ゾーンと第2圧力制御ゾーンとを連結する流路の中間に設けられるようにしてもよい。
【0015】
また、第1圧力制御ゾーンと第2圧力制御ゾーンとは、ロータ内の第3通気ゾーンを介して連結されるようにしてもよい。このようにすれば、第1圧力制御ゾーンと第2圧力制御ゾーンとの間にバイパスダクト及び流量調整部を設ける必要がなくなる。
【0016】
第2通気路を通過した第2の気体の一部が、第1圧力制御ゾーン及び第2圧力制御ゾーンに供給されるようにしてもよい。このようにすれば、通気路の一部を共通化し、また給気源設備を有効に利用できる。
【0017】
また、第2通気ゾーンは、第2通気路を流れる気体に対して所定の処理を行う処理ゾーンであり、第1通気ゾーンは、処理ゾーンとしての第2通気ゾーンの機能を再生させる再生ゾーンであってもよい。本発明は、例えば、このような気体処理装置に適用することができる。
【0018】
また、前記流量調整部は、第2圧力制御ゾーンの通気量を調整する第2流量調整部であ
り、第1圧力制御ゾーンの通気量を調整する第1流量調整部と、第1圧力制御ゾーンと、第1通気ゾーンの入口付近との差圧を検知する第1圧力検知部と、第2圧力制御ゾーンと、第1通気ゾーンの出口付近との差圧を検知する第2圧力検知部と、第1圧力検知部の検知結果に基づいて、第1圧力制御ゾーンと、第1通気ゾーンの入口付近との差圧が小さくなるように第1流量調整部を制御する第1制御部と、第2圧力検知部の検知結果に基づいて、第2圧力制御ゾーンと、第1通気ゾーンの出口付近との差圧が小さくなるように第2流量調整部を制御する第2制御部とをさらに備えるようにしてもよい。具体的には、このような構成によって、第1の気体と外気との混合を抑制することができるようになる。
【0019】
なお、上記課題を解決するための手段の内容は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。また、課題を解決するための手段の内容は、気体処理装置におけるリークの低減方法として提供するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シール材の高精度な加工や調整が不要であって、処理風量や再生風量を可変制御した場合でも、ロータ内外における気体の混合を抑制できる技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。以下に説明する実施形態は例示にすぎず、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0023】
<吸着装置の構成>
図6は、第1実施形態に係る吸着装置(「気体処理装置」とも呼ぶ)の概要を示す斜視図である。
図7は、第1実施形態に係る吸着装置の正面図を示す。
図8は、第1実施形態に係る吸着装置のシステム構成図を示す。第1実施形態に係る吸着装置(ロータカセット)1は、圧力制御ゾーン(PCZ:Pressure Control Zone)11、ロータ2、再生通気
路51(
図8では51a及び51b)、処理通気路52(
図8では52a及び52b)、ファン6、入口側ダンパ71、出口側ダンパ(バイパスダンパ)72、入口側差圧計81、出口側差圧計82、入口側コントローラ91、出口側コントローラ92、駆動源101を備える。
【0024】
ロータ2は、例えばハニカム型のVOC濃縮ロータ、除湿ロータ等であり、再生通気路51及び処理通気路52に跨って配置されている。なお、
図8等の図面における「+」及び「−」は、大気圧を基準(±0)とした相対的な圧力の大きさを示す。ただし、大小関係を模式的に示すものであって、符号の数の比が圧力の比を表すわけではない。例えば、再生ゾーン21の入口側の圧力は「+++」であり、再生ゾーン21の出口側の圧力は「++」である。これは、再生ゾーン21の入口側の圧力の方が、再生ゾーン21の出口側の圧力よりも高いことを示している。
【0025】
再生通気路51は、本発明の第1通気路の一例であり、ロータ2の吸着材の吸着性能を再生するための気体が流れる通気路である。再生通気路51を流れる気体には、空気、不活性ガス(N
2)、高温で送られるガス、負圧にすることで吸着材から有害成分を脱着するための吸引ガスが例示される。
図8では、気体が流れる方向に基づいて、再生通気路51のうちロータ2への入口側を再生通気路51a、ロータ2からの出口側を再生通気路51bとしている。図示は省略するが、再生通気路51には、再生通気路用ファン、再生ヒータ等を設置することができる。
【0026】
処理通気路52は、本発明の第2通気路の一例であり、ロータ2で処理される気体が流れる通気路である。ロータ2で処理される気体が流れる方向は、ロータ2を再生するための気体が流れる方向と逆向きになるよう設計されている。処理通気路52を流れる気体には、揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)を含む空気、調湿対象となる空気、例えば半導体などの先端製造プロセスで、製造の阻害要因となる空気中の水分や分子状汚染物質から製品を守るといった、浄化に供される空気が例示される。
図8では、気体が流れる方向に基づいて、処理通気路52のうちロータ2への入口側を処理通気路52a、ロータ2からの出口側を処理通気路52bとしている。図示は省略するが、処理通気路52には、処理通気路用ファン等を設置することができる。
【0027】
図6〜
図8の例では、再生通気路51及び処理通気路52の断面形状はそれぞれほぼ半円となっているが、このような例には限定されない。例えば、再生通気路51及び処理通気路52の断面形状は互いに面積の異なる扇形としてもよい。同様に、再生ゾーン21及び処理ゾーン22の断面形状が互いに面積の異なる扇形であってもよく、さらにロータ2は機能の異なる第3のゾーンを有していてもよい。
【0028】
気体処理装置としての吸着装置1は、ロータ2の周囲にチャンバを備える。チャンバは、ロータ2の再生ゾーン21又は処理ゾーン22の通気面に対向する一方の開口と、例えばダクト等に接続される他方の開口とを備える。そして、チャンバは、例えば仕切り板によって、再生通気路51、処理通気路52、圧力制御用通気路53の夫々に相当する室に仕切られている。このようにロータ2の入口側及び出口側に再生通気路51又は処理通気
路52を構成する室が設けられ、各室はロータ2内の再生ゾーン又は処理ゾーンと連通する。再生通気路51、処理通気路52の夫々は、吸着装置1の入口側と出口側の夫々に、ダクトなどを通じてさらに延びる。チャンバとロータ2との境界、換言するとロータ2の入口側、出口側夫々の外周には、通気路から外部への気体の漏れを抑制するパッキン等の外周シール材3がチャンバの仕切り板の端部に設けられている。また、ロータ2の表面に近接するチャンバの仕切り板の端部には、各ゾーン間の気体の混合を抑制するゾーン間シール材4が設けられている。なお、上述したダクト等から吸着装置1のチャンバへは流路の断面積が拡大しており、同様に吸着装置1のチャンバから上述したダクトへは流路の断面積が縮小している。また、本実施形態では、ロータ2の再生ゾーン21と連通する室の外周であって、ロータ2の通気面とは接しない位置に、圧力制御ゾーン11が設けられる。また、断面視において、圧力制御ゾーン11の内周は、再生ゾーン21の外周に沿っている。
【0029】
ロータ2は、処理通気路52を流れる気体に含まれるVOCを吸着する機能や、湿分を吸着し、処理通気路52を流れる気体を調湿する機能、ガスなどの気体中からアンモニア等の化学物質やオゾン等の有害物質除去する機能を有する。ロータ2は、例えばシリカゲルを添着したロータ、ゼオライトを添着したロータ、高分子収着剤を添着したロータ、塩化リチウム等の吸湿剤等を含浸させたロータによって構成することができる。また、ロータ2は、ベルトやチェーン等の動力伝達機構で接続されたギアモータ等の駆動源101によって回転自在になっている。
【0030】
また、再生通気路51のうち特にロータ2内を通過する部分を、再生ゾーン21と呼ぶ。同様に、処理通気路52のうち特にロータ2内を通過する部分を、処理ゾーン22と呼ぶ。再生ゾーン21は、本発明の第1ゾーンの一例であり、ロータ2の吸着剤を再生し、又は吸着された湿気等の物質を脱離するための気体が通過することで再生される。処理ゾーン22は、本発明の第2ゾーンの一例であり、処理通気路52を流れる気体に含まれるVOCの吸着や、処理通気路52を流れる気体を調湿する。
【0031】
圧力制御ゾーン11は、再生通気路51及び処理通気路52から独立した通気路である。圧力制御ゾーン11は2つの室に区画されており、再生ゾーン21の入口側(上流側)に、ロータ2の外周に沿って設けられた圧力制御ゾーン11aと、再生ゾーン21の出口側(下流側)に、ロータ2の外周に沿って設けられた圧力制御ゾーン11bとを含む。圧力制御ゾーン11aと圧力制御ゾーン11bとは、バイパスダクト12で接続されており、圧力制御ゾーン11aから圧力制御ゾーン11bへ気体が流れる。圧力制御ゾーン11を流れる気体は、例えば空気である。
【0032】
また、圧力制御ゾーン11a、圧力制御ゾーン11bは、それぞれの上流に入口側ダンパ71、出口側ダンパ72が接続されており、これらの開度を制御することにより内部の圧力が制御される。入口側ダンパ71、出口側ダンパ72は、本発明の第1流量調整部、第2流量調整部の一例であり、例えばモータを駆動させることで開度を変更できるモータダンパである。なお、
図8の例では、出口側ダンパ72は、バイパスダクト12の途中に設けられている。そして、出口側ダンパ72は、入口側ダンパ71及び圧力制御ゾーン11aを経た気体を圧力制御ゾーン11bへ供給する。
【0033】
図8に示すように、入口側ダンパ71、出口側ダンパ72は、それぞれ入口側コントローラ91、出口側コントローラ92と電気的に接続されており、これらによって制御される。また、入口側コントローラ91、出口側コントローラ92は、それぞれ入口側差圧計81、出口側差圧計82と接続されている。入口側差圧計81、出口側差圧計82は、本発明の第1圧力検知部、第2圧力検知部の一例である。入口側差圧計81は、再生ゾーン21の入口側(すなわち、再生通気路51a内)の圧力と圧力制御ゾーン11a内の圧力
との差分を測定し、入口側コントローラ91に出力する。出口側差圧計82は、再生ゾーン21の出口側(すなわち、再生通気路51b内)の圧力と圧力制御ゾーン11b内の圧力との差分を測定し、出口側コントローラ92に出力する。入口側差圧計81及び出口側差圧計82は、例えば一般的なデジタル微差圧計である。
【0034】
入口側コントローラ91は、本発明の第1制御部の一例であり、入力された差圧に基づいてファン6や入口側ダンパ71の開度を変更し、再生ゾーン21の入口側と圧力制御ゾーン11aとの差圧が小さくなるように制御する。具体的には、入口側コントローラ91は、中央処理演算装置(CPU:Central Processing Unit)、メモリ、操作部、表示部
等を備えるCPUユニットに装備させることができる。例えば、PID制御コントローラ(Proportional-Integral-Derivative Controller)を用いることができる。CPUがメ
モリに格納された制御プログラムを実行することで、ファン6、入口側ダンパ71等が制御される。出口側コントローラ92は、本発明の第2制御部の一例であり、入力された差圧に基づいて出口側ダンパ72の開度を変更し、再生ゾーン21の出口側と圧力制御ゾーン11bとの差圧が小さくなるように制御する。出口側コントローラ92も、CPU、メモリ、操作部、表示部等を備えるCPUユニットに装備させることができ、例えばPID制御コントローラを用いるようにしてもよい。CPUがメモリに格納された制御プログラムを実行することで、出口側ダンパ72等が制御される。入口側コントローラ91及び出口側コントローラ92の制御プログラムの実行例は、
図9を参照して後述する。
【0035】
上述した制御によれば、再生ゾーン21の出入口付近と圧力制御ゾーン11内とが同程度の圧力となるため、再生通気路51から外部への気体の流出も外部から再生通気路51への外気の流入も抑制される。特に、再生ゾーン21の入口側と出口側とでは再生通気路51内の圧力に差が生じるところ、本実施形態では再生ゾーン21の入口側と出口側とにそれぞれ対応する圧力制御ゾーン11aと圧力制御ゾーン11bとを設け、入口付近と出口付近とで個別に圧力を制御するため、効果的に外周リークを低減させることができるようになっている。なお、圧力制御ゾーン11に例えば空気を流す場合、圧力制御ゾーン11から外部(吸着装置1内)へのリークは許容される。すなわち、空気の漏出は不活性ガスの場合と比較してコストの問題が小さく、空気が外部の大気中へ漏出してもVOCと混合する場合と異なり安全上の問題も生じない。また、再生ゾーン21側から処理ゾーン22側へのリークについては図示を省略するが、別途リーク防止手段を設けてもよい。
【0036】
ファン6は、本発明の第1流量調整部又は第2流量調整部の一例であり、圧力制御ゾーン11aの上流に設けられ、圧力制御ゾーン11a及び圧力制御ゾーン11bに気体を送る。ファン6は、入口側コントローラ91と電気的に接続され、ON、OFFの制御だけでなく出力状態がインバータ制御可能となっている。
【0037】
<吸着装置の動作>
次に、第1実施形態に係る吸着装置1の動作例について説明する。
図9は、吸着装置の処理フローを示す。以下の処理は、入口側コントローラ91及び出口側コントローラ92が実行する。ステップS01では、差圧及び設定値が取得される。具体的には、入口側の差圧(PV)、及び入口側の設定値(SV=±0)が取得され、出口側の差圧(PV)、及び出口側の設定値(SV=±0)が取得される。入口側の差圧は、入口側差圧計81によって計測された計測値であり、出口側の差圧は、出口側差圧計82によって計測された計測値である。入口側の設定値、及び出口側の設定値は、既定値であり、予め入口側コントローラ91及び出口側コントローラ92に記憶されている。差圧、及び設定値が取得されると、ステップS02へ進む。
【0038】
ステップS02では、差圧の判定が行われる。具体的には、入口側の差圧と入口側の設定値が対比され、出口側の差圧と出口側の設定値が対比される。差圧の大小関係が判定さ
れると、ステップS03へ進む。
【0039】
ステップS03では、差圧の判定結果に基づいて、ファン及びダンパが制御される。ここで、
図10に、圧力制御ゾーンの入口側におけるINV出力/MD開度と差圧との関係を示す。
図10の縦軸はINV出力/MD開度を示し、横軸は差圧を示す。具体的には、入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)よりも小さい(すなわち、圧力制御ゾーン11aの圧力<再生ゾーン21の入口側の圧力)場合、入口側ダンパ71の開度が大きくなるように制御される。その結果、入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)に近づいてゆく。入口側ダンパ71が全開になっても、なお入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)を下回っている場合、ファン6のインバータ出力周波数が上がるように制御される。その結果、入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)に更に近づいてゆく。
【0040】
また、入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)よりも大きい(すなわち、圧力制御ゾーン11aの圧力>再生ゾーン21の入口側の圧力)場合、ファン6のインバータ出力周波数が下がるように制御される。その結果、入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)に近づいてゆく。ファン6のインバータ出力周波数が下限値(例えば、20Hz)になっても、なお入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)を上回っている場合、入口側ダンパ71の開度が閉じるように制御される。その結果、入口側の差圧(PV)が入口側の設定値(SV=±0)に近づいてゆく。
【0041】
また、
図11に、圧力制御ゾーンの出口側におけるMD開度と差圧との関係を示す。
図11の縦軸はMD開度を示し、横軸は差圧を示す。出口側の差圧(PV)が出口側の設定値(SV=±0)よりも小さい(すなわち、圧力制御ゾーン11bの圧力<再生ゾーン21の出口側の圧力)場合、出口側ダンパ72の開度が大きくなるように制御される。その結果、出口側の差圧(PV)が出口側の設定値(SV=±0)に近づいてゆく。
【0042】
また、出口側の差圧(PV)が出口側の設定値(SV=±0)よりも大きい(すなわち、圧力制御ゾーン11bの圧力>再生ゾーン21の出口側の圧力)場合、出口側ダンパ72の開度が小さくなるように制御される。その結果、出口側の差圧(PV)が出口側の設定値(SV=±0)に近づいてゆく。以上により、吸着装置の処理が完了する。
【0043】
<効果>
以上説明した第1実施形態に係る吸着装置1によれば、ロータ2の処理ゾーン22により、処理通気路52を流れる気体に含まれるVOCの吸着や、処理通気路52を流れる気体の調湿が可能となる。また、ロータ2の再生ゾーン21により、ロータ2の再生が可能となる。特に、ロータ2の入口付近に設けられた圧力制御ゾーン11の圧力と再生ゾーン21の入口側の圧力が同じになるように制御され、ロータ2の出口側に設けられた圧力制御ゾーン11の圧力と再生ゾーン21の出口側の圧力が同じになるように制御される。このように、本実施形態ではロータ2の入口付近と出口付近とで個別に圧力を制御するため、効果的に外周リークを低減させることができる。
【0044】
また、圧力制御ゾーン11に例えば空気を流す場合、圧力制御ゾーン11から外部(大気中)へのリークは許容される。すなわち、空気の漏出は不活性ガスの場合と比較してコストの問題が小さく、空気が外部の大気中へ漏出してもVOCと混合する場合と異なり安全上の問題もない。
【0045】
第1実施形態に係る吸着装置1では、外周シール材3の幅を従来通り(例えば、5mm)とすることができる。したがって、外周シール材3の幅を従来よりも大きくした場合に懸念される、極めて高精度な加工や調整も不要である。また、メンテナンスの際に極めて
高精度な加工や調整を行う必要がないので、メンテナンスも容易となる。
【0046】
<第2実施形態>
図12は、第2実施形態に係る吸着装置の構成例を示す。なお、第1実施形態と共通する構成要素については対応する符号を付し、以下では差異を中心に説明する。
【0047】
第2実施形態に係る吸着装置1は、ロータ2が第1実施形態と同じく、再生ゾーン21及び処理ゾーン22を含む。また、ロータ2の外周に沿って、再生ゾーン21の通気方向両端部の外周には圧力制御ゾーン11(11a及び11b)が設けられている。但し、第2実施形態に係る再生ゾーン21は、大気よりも圧力の低い「負圧」になっている。これに伴い、本実施形態に係るファン6は圧力制御ゾーン11の下流側に設けられている。また、入口側ダンパ71は、再生ゾーン21の入口側(上流側)に存在する圧力制御ゾーン11aと、再生ゾーン21の出口側(下流側)に存在する圧力制御ゾーン11bとの間(例えばバイパスダクト12の中間)に設けられている。また、出口側ダンパ72は、圧力制御ゾーン11bとファン6との間に設けられている。そして、再生ゾーン21の入口付近(再生通気路51a)と圧力制御ゾーン11aとの差圧が小さくなるように制御され、再生ゾーン21の出口付近(再生通気路51b)と圧力制御ゾーン11bとの差圧が小さくなるように制御される。
【0048】
具体的には、
図12では図示を省略したコントローラが制御を行う。コントローラは、入口側と出口側とにそれぞれ設けるようにしてもよい。例えば、コントローラは、まず、入口側、出口側の差圧及びそれぞれの設定値を取得する。その後、コントローラは、差圧と設定値との大小関係を判定する。そして、再生ゾーン21の入口付近(再生通気路51a)よりも圧力制御ゾーン11aの方が内部の圧力が低い場合、コントローラは入口側ダンパ71の開度が小さくなるように制御する。一方、再生ゾーン21の入口付近よりも圧力制御ゾーン11aの方が内部の圧力が高い場合、コントローラは入口側ダンパ71の開度が大きくなるように制御する。また、再生ゾーン21の出口付近(再生通気路51b)よりも圧力制御ゾーン11bの方が内部の圧力が低い場合、コントローラは出口側ダンパ72の開度が小さくなるように制御する。なお、出口側ダンパ72の開度を全開にしても、再生ゾーン21の出口付近よりも圧力制御ゾーン11bの方が内部の圧力が低いときは、ファン6のインバータ出力周波数を上げる。一方、再生ゾーン21の出口付近よりも圧力制御ゾーン11bの方が内部の圧力が高い場合、コントローラは出口側ダンパ72の開度が大きくなるように制御する。なお、このときファン6のインバータ出力周波数を適宜下げるようにしてもよい。
【0049】
第2実施形態に係る構成も、再生ゾーン21の入口付近に設けられた圧力制御ゾーン11aの圧力と再生ゾーン21の入口側の圧力が同じになるように制御され、再生ゾーン21の出口側に設けられた圧力制御ゾーン11bの圧力と再生ゾーン21の出口側の圧力が同じになるように制御される。但し、第2実施形態では再生ゾーン21内が負圧になっているため、上述の構成により再生ゾーン21への外気の流入を低減させることができるようになる。第1実施形態及び第2実施形態を総括すると、再生ゾーン21の入口付近及び出口付近についてそれぞれ圧力制御ゾーンとの差圧が小さくなるようにすることで、再生ゾーン21の上流端又は下流端と外気との間での気体(再生通気路51内の気体又は外気)の移動を抑制することができるようになるといえる。
【0050】
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態に係る吸着装置の構成例を示す。なお、第1実施形態と共通する構成要素については対応する符号を付し、以下では差異を中心に説明する。
【0051】
第3実施形態は、圧力制御ゾーン11が独立した系統でなく、処理通気路52から処理
済みの気体(例えば、処理済みの空気)を圧力制御ゾーン11に供給する。すなわち、処理通気路52(例えば処理ゾーン22の出口側)を分岐させ、ロータ2で処理される気体の一部を圧力制御ゾーン11に供給すると共に、圧力制御ゾーン11を通過した気体を処理通気路52(例えば処理ゾーン22の入口側)に環流させる。なお、圧力制御ゾーン11の構成や流量の制御については、第1実施形態と同様である。
【0052】
第3実施形態のような構成であっても、第1実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0053】
<第4実施形態>
図14は、第4実施形態に係る吸着装置の構成例を示す。なお、第1実施形態と共通する構成要素については対応する符号を付し、以下では差異を中心に説明する。
【0054】
第4実施形態に係る吸着装置1は、バイパスダクト12を有していない。また、再生ゾーン21の入口側に設けられる圧力制御ゾーン11aと、再生ゾーン21の出口側に設けられる圧力制御ゾーン11bとが独立して制御される。すなわち、第4実施形態に係る吸着装置1は、入口側ファン61と、入口側ダンパ71と、圧力制御ゾーン11aとを含む系統と、出口側ファン62と、出口側ダンパ72と、圧力制御ゾーン11bとを含む系統とを有している。第4実施形態でも、再生ゾーン21の入口付近(再生通気路51a)と圧力制御ゾーン11aとの差圧が小さくなるように制御され、再生ゾーン21の出口付近(再生通気路51b)と圧力制御ゾーン11bとの差圧が小さくなるように制御される。
【0055】
具体的には、
図14では図示を省略したコントローラが制御を行う。コントローラは、入口側と出口側とにそれぞれ設けるようにしてもよい。例えば、コントローラは、まず、入口側、出口側の差圧及びそれぞれの設定値を取得する。その後、コントローラは、差圧と設定値との大小関係を判定する。そして、再生ゾーン21の入口付近(再生通気路51a)よりも圧力制御ゾーン11aの方が内部の圧力が低い場合、コントローラは入口側ダンパ71の開度が大きくなるように制御する。なお、入口側ダンパ71の開度を全開にしても、再生ゾーン21の入口付近よりも圧力制御ゾーン11aの方が内部の圧力が低いときは、入口側ファン61のインバータ出力周波数を上げる。一方、再生ゾーン21の入口付近よりも圧力制御ゾーン11aの方が内部の圧力が高い場合、コントローラは入口側ダンパ71の開度が小さくなるように制御する。なお、このとき入口側ファン61のインバータ出力周波数を適宜下げるようにしてもよい。また、再生ゾーン21の出口付近(再生通気路51b)よりも圧力制御ゾーン11bの方が内部の圧力が低い場合、コントローラは出口側ダンパ72の開度が大きくなるように制御する。なお、出口側ダンパ72の開度を全開にしても、再生ゾーン21の出口付近よりも圧力制御ゾーン11bの方が内部の圧力が低いときは、出口側ファン62のインバータ出力周波数を上げる。一方、再生ゾーン21の出口付近よりも圧力制御ゾーン11bの方が内部の圧力が高い場合、コントローラは出口側ダンパ72の開度が小さくなるように制御する。なお、このとき出口側ファン62のインバータ出力周波数を適宜下げるようにしてもよい。
【0056】
第4実施形態のような構成であっても、第1実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0057】
<第5実施形態>
図15は、第5実施形態に係る吸着装置の構成例を示す断面図である。また、
図16は、第5実施形態に係る吸着装置の構成例を示す正面図である。なお、第1実施形態と共通する構成要素については対応する符号を付し、以下では差異を中心に説明する。
【0058】
第5実施形態では、ロータ内の外周部分に圧力制御ゾーンを設ける。すなわち、圧力制
御ゾーン11がロータ2(特に再生ゾーン21)内の外周縁に沿った区域(
図15の11)と、当該区域に連通するチャンバ内の室(
図15の11a及び11b)とを通過するようになっている。なお、
図15では、圧力制御ゾーン11のうちロータ2の入口側(上流側)周辺を特に圧力制御ゾーン11aと呼び、圧力制御ゾーン11のうちロータ2の出口側(下流側)周辺を特に圧力制御ゾーン11bと呼ぶ。また、圧力制御ゾーン11の上流にはファン6を有し、圧力制御ゾーン11の下流側にはダンパ7を有する。また、
図15に太い矢印で示す各通気路は、チャンバと接続されたダクトによって形成される。
図15では図示を省略しているが、圧力制御ゾーン11と再生通気路51とを仕切る仕切り板のロータ2の表面に近接する端部には、各ゾーン間の気体の混合を抑制するゾーン間シール材を有する。また、
図15に示すように処理通気路52の外周に圧力制御ゾーンを設けてもよいし、再生通気路51の外周のみに圧力制御ゾーン11を設け、処理通気路52の外周には圧力制御ゾーンを設けないようにしてもよい。また、ロータ2はフランジ部を有していなくてもよい。
【0059】
第5実施形態の構成では、ロータ2の入口側と出口側とでは、圧力制御ゾーン11内の圧力も低下する。したがって、入口側と出口側との間にダンパを設けなくても、圧力制御ゾーン11の入口側と再生ゾーン21の入口側との差圧、及び圧力制御ゾーン11の出口側と再生ゾーン21の出口側との差圧を、それぞれ均衡させることができる。
【0060】
具体的には、
図15及び
図16では図示を省略したコントローラが制御を行う。コントローラは、入口側と出口側とにそれぞれ設けるようにしてもよい。例えば、コントローラは、まず、入口側、出口側の差圧及びそれぞれの設定値を取得する。その後、コントローラは、差圧と設定値との大小関係を判定する。そして、再生ゾーン21の入口付近(再生通気路51a)よりも圧力制御ゾーン11aの方が内部の圧力が低い場合、コントローラはファン6のインバータ出力周波数を上げるように制御する。このとき、ダンパ7の開度が小さくなるように制御してもよいし、これらの制御を任意のバランスで交互に行ってもよい。一方、再生ゾーン21の入口付近よりも圧力制御ゾーン11aの方が内部の圧力が高い場合、コントローラはファン6のインバータ出力周波数を下げるように制御する。このとき、ダンパ7の開度が大きくなるように制御してもよいし、これらの制御を任意のバランスで交互に行ってもよい。また、再生ゾーン21の出口付近(再生通気路51b)よりも圧力制御ゾーン11bの方が内部の圧力が低い場合、コントローラはダンパ7の開度が小さくなるように制御する。このとき、ファン6のインバータ出力周波数を上げるように制御してもよいし、これらの制御を任意のバランスで交互に行ってもよい。一方、再生ゾーン21の入口付近よりも圧力制御ゾーン11aの方が内部の圧力が高い場合、コントローラはダンパ7の開度が大きくなるように制御する。このとき、ファン6のインバータ出力周波数を下げるように制御してもよいし、これらの制御を任意のバランスで交互に行ってもよい。
【0061】
第5実施形態のような構成であっても、第1実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0062】
なお、上記した種々の内容は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲に於いて可能な限り組合せることができる。
【0063】
例えば、第2実施形態に示した再生ゾーン及び圧力制御ゾーンを負圧とする態様は、第3実施形態、第4実施形態又は第5実施形態に適用するようにしてもよい。また、第3実施形態に示した処理対象の気体の一部を圧力制御ゾーンに供給する態様は、第2実施形態、第4実施形態又は第5実施形態に適用するようにしてもよい。
【0064】
また、上述した実施形態ではロータの通気方向両端にフランジ部を設ける例を示したが
、このような構成には限定されない。
図17は、ロータの通気方向の中間部分に、ロータの外周に沿って仕切り部材を設け、ロータの外側に室を形成した例である。この例では、ロータの非通気面である側壁面を壁面の一部として共有する室(圧力制御ゾーン)11a及び11bが形成されている。このような圧力制御ゾーン11a及び11b、並びにロータ2の通気面と連通する室(
図17の再生通気路51a及び51bや、処理通気路52a及び52b)は、1つのロータカセット内のチャンバを仕切ることによって形成してもよい。本発明においては、再生ゾーンの上流端と外気との間及び再生ゾーンの下流端と外気との間のそれぞれに圧力制御ゾーンを設けることができる様々な構成を採用し得る。
【0065】
また、上述した実施例では、
図15及び
図16を除き再生通気路の周囲に圧力制御ゾーンを設けた。しかし、処理通気路と外気との混合を防ぐ場合は、処理通気路の周囲に圧力制御ゾーンを設けるようにしてもよい。
【0066】
また、ロータ2は、触媒機能を有するものでもよい。例えば、ロータ2に、電荷移動型高性能触媒(CT触媒)を添加するようにしてもよい。これにより、触媒作用により、ロータ2に付着した悪臭成分や汚れ成分を分解し消臭することができる。