(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463085
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】2層PPフィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 65/48 20060101AFI20190121BHJP
B32B 7/06 20190101ALI20190121BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20190121BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
B29C65/48
B32B7/06
B32B27/00 C
B32B27/32 E
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-229077(P2014-229077)
(22)【出願日】2014年11月11日
(65)【公開番号】特開2016-88059(P2016-88059A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】591091629
【氏名又は名称】株式会社康井精機
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高英
(74)【代理人】
【識別番号】100115314
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 奈緒子
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】茶木原 雄司
(72)【発明者】
【氏名】岩永 収一
(72)【発明者】
【氏名】美濃 博
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】康井 義成
【審査官】
関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−049429(JP,A)
【文献】
特開2006−305833(JP,A)
【文献】
特開昭48−079284(JP,A)
【文献】
特開平11−208162(JP,A)
【文献】
特開昭55−032624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00−65/82
B32B 37/12
C09J 4/00、 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1PPフィルムの表面に対して非シリコーン系接着層を介して第2PPフィルムを固着状態または剥離自在に積層する2層PPフィルムの製造方法であって、
前記第1PPフィルムおよび第2PPフィルムは、ホモポリマーをインフレーション法によって2軸延伸して形成されているとともに、前記非シリコーン系接着層による接着強度を、製造された前記2層PPフィルムを100〜130℃の加熱温度に加熱する際において前記第1PPフィルムおよび第2PPフィルムを平坦に維持して熱変形が発生しない大きさに予め設定して積層する
ことを特徴とする2層PPフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記第1PPフィルムに対する前記第2PPフィルムの積層は、ウエットラミネート法またはドライラミネート法によって行われたことを特徴とする請求項1に記載の2層PPフィルムの製造方法。
【請求項3】
ウエットラミネート法においては、前記非シリコーン系接着層としてUVインクまたはEBインクを用いていることを特徴とする請求項2に記載の2層PPフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2層PPフィルムの製造方法および製造された2層PPフィルムに係り、特に両面シリコーンレスPPフィルム(ポリプロピレンフィルム)等のような両面のPPフィルムを利用可能な2層PPフィルムを製造するのに好適な2層PPフィルムの製造方法および製造された2層PPフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、機械的特性、熱的特性、剥離特性等に優れているPPフィルムが一般民生用、工業用、医療用、宇宙用等の全分野において盛んに利用されている。
【0003】
更に、シリコンの存在による悪影響を防止するためにシリコーンレスPPフィルムも提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−100917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来においては単層のPPフィルムは提供されていたが、例えば両面シリコーンレスPPフィルム等の2枚のPPフィルムをラミネートによって積層して、両面のPPフィルムを積層状態としてまたは相互に剥離した単層状態として利用可能とした均一厚さの平坦な2層PPフィルムは提供されていなかった。
【0006】
これはPPフィルムが100℃以上に加熱されると軟化するために、例えばPPフィルムの搬送方向に張力を付与すると縦皺が発生し、また加熱によって幅方向にカールが発生するという不都合があることによる。
【0007】
更に説明すると、PPフィルムは前記した通り各種の特性が優れているので、2枚のPPフィルムをラミネートによって積層して、両面のPPフィルムを積層状態としてまたは相互に剥離した単層状態として利用可能とした均一厚さの平坦な2層PPフィルムが得られれば、PPフィルムの利用価値が非常に高いものとなる。
【0008】
しかしながら、2枚のPPフィルムを単にラミネートした場合には、例えば、いずれか一方のPPフィルムの表面に樹脂素材や接着素材をコーティングして定着させるために2枚のPPフィルムと共に加熱(特に、100℃以上)にすると、PPフィルムに縦皺やカールが発生してしまうという不都合があった。
【0009】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、両面のPPフィルムを積層状態としてまたは相互に剥離した単層状態として利用可能とした縦皺やカールのない均一厚さの平坦な2層PPフィルムを製造することができる2層PPフィルムの製造方法および製造された2層PPフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は鋭意研究し、第1PPフィルムに非シリコーン系接着層を介して第2PPフィルムを固定状態または剥離自在に積層すること、特に、前記非シリコーン系接着層による接着強度を、前記第1PPフィルムおよび第2PPフィルムを100〜130℃の加熱温度に加熱する際においても両PPフィルムに熱変形が発生しない大きさにすることによって、均一厚さの平坦な2層PPフィルムを製造できることを発見して本発明を完成させた。
【0011】
前述した目的を達成するため本発明の第1の態様の2層PPフィルムの製造方法は、第1PPフィルムの表面に対して非シリコーン系接着層を介して第2PPフィルムを固着状態または剥離自在に積層する2層PPフィルムの製造方法であって、
前記第1PPフィルムおよび第2PPフィルムは、ホモポリマーをインフレーション法によって2軸延伸して形成されているとともに、前記非シリコーン系接着層による接着強度を、製造された前記2層PPフィルムを100〜130℃の加熱温度に加熱する際において前記第1PPフィルムおよび第2PPフィルムを平坦に維持して熱変形が発生しない大きさに予め設定して積層することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第
2の態様の2層PPフィルムの製造方法は、前記第
1の態様において、前記第1PPフィルムに対する前記第2PPフィルムの積層は、ウエットラミネート法またはドライラミネート法によって行われたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第
3の態様の2層PPフィルムの製造方法は、前記第
2の態様において、ウエットラミネート法においては、前記非シリコーン系接着層としてUVインクまたはEBインクを用いていることを特徴とする
。
【発明の効果】
【0016】
本発明の2層PPフィルムの製造方法に従って2層PPフィルムを製造することにより、両面のPPフィルムを積層状態としてまたは相互に剥離した単層状態として利用可能とした縦皺やカールのない均一厚さの平坦な2層PPフィルムを得ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る2層PPフィルムの一実施形態を示す工程図
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、
図1を用いて本発明の2層PPフィルムの製造方法並びに2層PPフィルムの実施形態について説明する。
【0019】
図1は本発明の2層PPフィルムの製造方法およびその2層PPフィルムの1実施形態を示す。
【0020】
図1において、製造工程は左から右に進行している。
【0021】
以下、本実施形態の2層PPフィルムの製造方法の各工程を順に説明する。
【0022】
<第1PPフィルムと第2PPフィルムとの積層工程>
共に薄膜状の第1PPフィルム1と第2PPフィルム2とをウエットラミネート法またはドライラミネート法によって非シリコーン系接着層3を介して固定状態または剥離自在に積層する。
【0023】
第1PPフィルム1と第2PPフィルム2としては、厚さが10〜500μm程度の公知の素材を用いると良い。特に、ホモポリマーのPPをインフレーション法によって2軸延伸して形成されているものが均一厚さの平坦性を維持するために好適である。更に、両PPフィルム1、2の非シリコーン系接着層3に積層される面に対して、固定状態または剥離自在の積層目的に応じてコロナ処理、紫外線照射、EB照射等の公知の改質処理を施すと良い。同様に、両PPフィルム1、2の非シリコーン系接着層3に積層される面と反対側の面に対して、必要に応じてコロナ処理、紫外線照射、EB照射等の公知の改質処理を施すと良い。更に、両PPフィルム1、2の非シリコーン系接着層3に積層される面およびそれと反対側の面の粗さについては、つるつる状、マット状等を両PPフィルム1、2の利用目的に応じて選択するとよい。
【0024】
非シリコーン系接着層3を形成する接着素材としては、公知の接着素材を用いることができる。例えば、アクリル系粘着材、ウレタン系粘着材、UV硬化樹脂系接着材、EB硬化樹脂系接着材、1液系接着剤、2液系接着剤が挙げられる。
【0025】
ウエットラミネート法としては、公知の方法を用いることができる。
【0026】
具体的には、第1PPフィルム1に非シリコーン系の接着素材を薄く塗布し、その後ウエット状の非シリコーン系接着層3の上に第2PPフィルム2をラミネートし、その後非シリコーン系接着層3を乾燥させて第1PPフィルム1と第2PPフィルム2とをウエットラミネート法によって非シリコーン系接着層3を介して固定状態または剥離自在に積層する。非シリコーン系の接着素材の塗布の方法としては、マイクログラビアロールを用いたマイクログラビア方法、スロットダイを用いたスロットダイ方法、ナイフエッジを用いたナイフエッジ方法等によって薄膜状に塗布するとよい。また、この場合に非シリコーン系の接着剤として、溶剤が全く含有されていないUVインクまたはEBインクを用いると良い。UVインクを用いる場合には、乾燥工程においてUVを照射してUVインクを固化させて非シリコーン系接着層3とすると良い。EBインクを用いる場合には、乾燥工程においてEBを照射してEBインクを固化させて非シリコーン系接着層3とすると良い。このEBインクはUVインクと異なり光硬化開始剤が含有されていないので、必要に応じてEBインクを選択すると良い。なお、UVインクにはEBによって固化されるものもある。非シリコーン系接着層3の乾燥工程においては、積層状態にある第1PPフィルム1、非シリコーン系接着層3および第2PPフィルム2を徐冷するアニール処理を施すと両PPフィルム1、2の均一厚さの平坦性を維持するために好適である。
【0027】
ドライラミネート法としては、公知の方法を用いることができる。
【0028】
具体的には、第1PPフィルム1に非シリコーン系の接着素材を薄く塗布し、その後乾燥させて予め非シリコーン系接着層3を積層した第1PPフィルム1の当該ドライ状の非シリコーン系接着層3の上に第2PPフィルム2をラミネートして第1PPフィルム1と第2PPフィルム2とをドライラミネート法によって非シリコーン系接着層3を介して固定状態または剥離自在に積層する。固定状態に積層する場合には、非シリコーン系の接着素材として2液系接着剤を用いると良い。
【0029】
このようにして積層された第1PPフィルム1と第2PPフィルム2とにおける非シリコーン系接着層3による接着強度を、後加工として100〜130℃の加熱温度に加熱する際において両PPフィルム1、2を平坦に維持して熱変形が発生しない大きさに予め設定して、平坦な両PPフィルム1、2を形成するようにされている。この接着強度としては、両PPフィルム1、2を剥離自在に積層する場合には、0.05〜10N/25mmとすると良い。接着強度が0.05N/25mmより小さいと、加熱加工時に両PPフィルム1、2を平坦に維持することができない。接着強度が10N/25mmより大きいと、両PPフィルム1、2を剥離する際に、両PPフィルム1、2に変形が発生するからである。また、この接着強度としては、両PPフィルム1、2を固着状態に積層する場合には、10N/25mmより大きく設定すると良い。
【0030】
<2層PPフィルム>
本実施形態においては、非シリコーン系接着層3による接着強度を、後加工として100〜130℃の加熱温度に加熱する際において積層状態にある両PPフィルム1、2を平坦に維持して熱変形が発生しない大きさに予め設定しているので、耐熱性の高い均一厚さの平坦な2層PPフィルム1、2を得ることができる。
【0031】
この2層PPフィルム1、2は、非シリコーン系接着層3によって固着状態または剥離自在に積層されており、両面シリコーンレスPPフィルムとして利用することができる。具体的には、
図1の右部に示すように、第1PPフィルム1、非シリコーン系接着層3および第2PPフィルム2が一体に積層されている積層状態の両面シリコーンレスPPフィルムとして、若しくは剥離して非シリコーン系接着層3が積層されているまたは積層されていない合計2枚の1層のシリコーンレスPPフィルム(
図1においては、第1PPフィルム1が単独であり、第2PPフィルム2が非シリコーン系接着層3と積層状体にある)として利用することができる。
【0032】
更に、積層状態にある耐熱性の高い均一厚さの平坦な2層PPフィルム1、2は100〜130℃の温度に加熱する種々の後加工にも耐え得るものである。
【0033】
更に、非シリコーン系接着層3としてEBインクを用いてウエットラミネートすると、第2PPフィルム2の非シリコーン系接着層3と反対側の表面側よりEBを照射することにより、当該第2PPフィルム2の表面にコロナ処理に相当する改質処理を施すことができ、コーティング等の後加工を良好に施すことができる。この際、第1PPフィルム1の非シリコーン系接着層3と反対側の表面をつるつるな表面とすると、つるつる表面とコーティング良好な表面を両側に備えた耐熱性の高い均一厚さの平坦な2層PPフィルム1、2を得ることができる。
【0034】
<2層PPフィルムへの後加工>
本実施形態においては、2層PPフィルム1、2を100〜130℃の温度に加熱する種々の後加工を実行する。
【0035】
この後加工としては、2層PPフィルム1、2の両面に対する加工と、片面に対する加工との場合がある。
【0036】
この2層PPフィルム1、2への後加工は、第1PPフィルム1と第2PPフィルム2との積層工程に連続して実行する場合と、非連続に実行する場合とを選択して実行するとよい。
【0037】
2層PPフィルム1、2の両面に対して後加工する場合としては、例えば2層PPフィルム1、2を100〜130℃の温度に加熱し、その後に徐冷するアニール処理を施すことが挙げられる。このアニール処理によって積層状体の2層PPフィルム1、2並びに剥離した単層状態の第1PPフィルム1および第2PPフィルム2の平坦性をより高くすることができる。
【0038】
2層PPフィルム1、2の片面に対する後加工する場合としては、例えば、第2PPフィルム2の表面に接着剤層、樹脂層、その他の物質の薄膜層を形成することが挙げられる。具体的には、連続的に走行搬送されている第2PPフィルム2の非シリコーン系接着層3の積層されていない表面に対して接着剤層をコーティングして、その後コーティングされた接着剤層および2層PPフィルム1、2を共に100〜130℃の温度領域に加熱することによって薄膜状の接着剤層(図示せず)を第2PPフィルム2の表面に形成する。この後加工における加熱温度、搬送速度、加熱の搬送方向長さ等の加工条件は完成させる接着剤層の特性に応じて調整すると良い。この接着剤層や他の物質の第2PPフィルム2へのコーティングや積層は、接着剤層等を溶融状態にして公知の塗工方法によって第2PPフィルム2の表面に塗布すると良い。例えば、マイクログラビアロールを用いたマイクログラビア方法、スロットダイを用いたスロットダイ方法、ナイフエッジを用いたナイフエッジ方法等によって薄膜状に塗布するとよい。また、噴霧塗布、蒸着等を必要に応じて用いて塗布すると良い。この場合に用いる接着剤層等の素材としては、溶融状態して塗布することができ、仕上げの加熱温度が100〜130℃となる素材であれば、如何なる素材でも良い。例えば、ゴム等の弾性素材、各種の用途に利用される樹脂素材、無機粉体分散スラリー等がある。弾性素材としては、例えば、ゴム系接着剤が挙げられる。樹脂素材としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。接着剤層等の塗布厚さは、加熱後の厚さに応じて調整すると良い。
【0039】
本実施形態においては、積層状態にある耐熱性の高い均一厚さの平坦な2層PPフィルム1、2が、前記の100〜130℃の温度に加熱する種々の後加工にも耐えて耐熱性の高い均一厚さの平坦な状態を維持するので、後加工後の2層PPフィルム1、2の利用価値が極めて高いものとなる。
【実施例】
【0040】
<積層された2層PPフィルム>
第1フィルム1および第2PPフィルム2として、ミルウィック社(MIRWEC FILM INC. 米国)製、BOPLON(登録商標)FILM、厚さ:20μmを用いた。
第1フィルム1および第2PPフィルム2のラミネート法として次の2種類のラミネート法を用いた。
ウエットラミネート法においては、スロットダイ法によって非シリコーン系接着層3であるEB硬化粘着剤を乾燥厚みが10μmとなるように第1PPフィルム1に塗工し、その後第1PPフィルム1と第2PPフィルム2とをラミネートし、その後1分間EB(出力:120KV)を照射してEB硬化粘着剤を固化させた。
ドライラミネート法においては、スロットダイ法によって非シリコーン系接着層3であるアクリル系粘着剤を乾燥厚みが10μmとなるように第1PPフィルム1に塗工し、その後100℃で1分間乾燥して第1PPフィルム1にアクリル系粘着剤層を形成した。その後アクリル系粘着剤層に第2PPフィルム2をドライラミネートした。
このようにして得られた2層PPフィルム1、2は、非シリコーン系接着層3によって剥離強度が0.05〜10N/25mmの積層状体に形成されており、100〜130℃の温度に加熱する種々の後加工に耐え得るものである。
特に、前記ウエットラミネート法によれば、非シリコーン系接着層3のみが固化され、第1PPフィルム1にはEBが到達しないので、一方の第2PPフィルム2は、EB照射によってPPが表面改質されコロナ処理と同様に濡れ性が上がるとともに、コーティングができる状態となり、他方の第1PPフィルム1は外側表面マット面であればEBが当たってないので表面改質されず、シリコンレスPPフィルムとして利用することができる。これにより1枚の2層PPフィルム1、2によって、片側づつ性能が異なる第1PPフィルム1および第2PPフィルムフィルム2を形成することができる。
【0041】
<後加工>
(実施例1:アニール処理)
後加工として2層PPフィルム1、2を100〜130℃の温度に加熱し、その後に徐冷するアニール処理を施した。このアニール処理によって積層状体の2層PPフィルム1、2並びに剥離した単層状態の第1PPフィルム1および第2PPフィルム2の平坦性をより高くすることができた。
【0042】
(実施例2:シリコーン樹脂のコーティング)
樹脂部材としてシリコーン系樹脂を用いた。
後加工方法:
スロットダイ法によってシリコーン系樹脂を乾燥厚みが100〜120μmとなるように第2PPフィルム2の表面に塗工し、その後100℃、110℃、120℃、30℃で2分間乾燥させてシリコーン系樹脂を固化させた。
シリコーン系樹脂薄膜素材の機能:
このようにして製造されたシリコーン系樹脂の薄膜層は第2PPフィルム2から剥離自在であり、均一厚さおよび平坦性を維持している。
このシリコーン系樹脂の薄膜層としては、次の機能を有している。
第1に、シリコーン系樹脂の薄膜層は再剥離可能な粘着層として使用でき、またクッション材として使用できる。
第2に、シリコーン系樹脂は既存のシリコーン系離型フィルムの表面に対しては同素材のために剥離自在に形成することが不可能であるが、本実施例におけるノンシリコーン離型フィルムとなる第2PPフィルム2の表面にシリコーン系樹脂の薄膜層を剥離自在に作製することができる。
第3に、シリコーン系樹脂の硬化を促進するためには100〜130℃の温度で熱処理する必要がある。通常のPPフィルムにおいては100℃に加熱すると軟化して均一厚さおよび平坦性を維持することはできないという問題点があるが、本実施例における第2PPフィルム2は100〜130℃に加熱されても均一厚さおよび平坦性を維持できるために、シリコーン系樹脂の薄膜層の均一厚さおよび平坦性を維持して製造することができる。
【0043】
なお、本発明は前記実施形態および実施例に限定されるものではなく、必要に応じて変更することができるものである。
【0044】
例えば、積層状体の第1PPフィルム1、非シリコーン系接着層3および第2PPフィルム2の第1および第2PPフィルム1、2のいずれかの表面を基材となるPETフィルムに剥離自在に積層して、各種の用途に利用しても良い。
【符号の説明】
【0045】
1 第1PPフィルム
2 第2PPフィルム
3 非シリコーン系接着層