特許第6463113号(P6463113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463113
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】エレベーター装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20190121BHJP
   B66B 1/14 20060101ALI20190121BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   H04Q9/00 311A
   B66B1/14 L
   B66B3/00 K
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-251161(P2014-251161)
(22)【出願日】2014年12月11日
(65)【公開番号】特開2016-115985(P2016-115985A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】505356468
【氏名又は名称】パナソニック ホームエレベーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】市瀬 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】福井 博雄
【審査官】 松平 英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−314321(JP,A)
【文献】 特開2010−006514(JP,A)
【文献】 特開2003−015574(JP,A)
【文献】 特開2007−279844(JP,A)
【文献】 特開平09−142754(JP,A)
【文献】 特開平11−131873(JP,A)
【文献】 特開2006−306553(JP,A)
【文献】 特開2011−088711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00−3/02
13/00−13/30
H03J 9/00−9/06
H04Q 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごを昇降させる昇降手段と、かごへの乗降用の扉の開閉手段と、前記昇降手段及び前記開閉手段の動作を制御する制御回路と、遠隔操作用のリモートコントローラーと、リモートコントローラーから出力される信号を受信して前記制御回路に信号を伝達する受信機とを備えたエレベーター装置であって、
前記リモートコントローラーは操作された内容に応じた信号を赤外線及び電波の双方で送り出し、前記受信機は赤外線及び電波の双方を受信可能なものであり、
前記制御回路はリモートコントローラーからの信号を電波のみで受けたときには扉の開閉手段の動作を規制しており、
前記制御回路は、前記リモートコントローラーからの呼び出し信号を受信機が電波のみで受信したとき、呼び出し階へかごを移動させた着床後の扉の開動作については次のリモートコントローラーからの赤外線信号が入るまで待機させるものであることを特徴とするエレベーター装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモートコントローラーでの操作も可能としているエレベーター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かごの呼び出しや扉の開閉をリモートコントローラーで行うことができるエレベーター装置がある(特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1では、リモートコントローラーと受信機との間の信号伝達を何で行うのかについての記載はないが、一般的に赤外線か電波で信号伝達を行うのが通常である。
【0004】
赤外線を用いた場合、リモートコントローラーは受信機に向けて光信号を出さなくてはいけないが、一般家庭内にエレベーターを設置する場合、設置場所の制約が多いために、乗り場正面でしかリモートコントローラーを使用できないことがある。これは安全性の面で好ましいことであるが、エレベーターに乗ることが目的のリモートコントローラーとしては利便性に乏しい。
【0005】
電波を用いた場合は、リモートコントローラーと受信機との間に壁が存在しても、壁による信号減衰がさほど大きくなければ受信機に信号を送ることができる。従って、利便性の点では好ましいが、この点が却って問題になることがある。
【0006】
例えば、一般家庭において、自室でリモートコントローラーによって呼び出しを行えば、エレベーターはその階に移動して扉を開ける動作を行う。この時、呼び出した本人が未だ自室にいて、乗り場付近に子供や幼児がいると、思わぬ事故を招く虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−142861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、リモートコントローラーによる遠隔操作に関して赤外線式と電波式の双方の良さを享受できる上に安全性についても考慮されたエレベーター装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかるエレベーター装置は、かごを昇降させる昇降手段と、かごへの乗降用の扉の開閉手段と、前記昇降手段及び前記開閉手段の動作を制御する制御回路と、遠隔操作用のリモートコントローラーと、リモートコントローラーから出力される信号を受信して前記制御回路に信号を伝達する受信機とを備えたエレベーター装置であって、前記リモートコントローラーは操作された内容に応じた信号を赤外線及び電波の双方で送り出し、前記受信機は赤外線及び電波の双方を受信可能なものであり、前記制御回路はリモートコントローラーからの信号を電波のみで受けたときには扉の開閉手段の動作を規制しており、前記制御回路は、前記リモートコントローラーからの呼び出し信号を受信機が電波のみで受信したとき、呼び出し階へかごを移動させた着床後の扉の開動作については次のリモートコントローラーからの赤外線信号が入るまで待機させるものであることに特徴を有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電波によるかごの呼び出しも可能であるために利便性が良く、しかも電波による呼び出しの場合には扉の開閉を規制しているために、安全性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態の一例のブロック図である。
図2】同上の扉開閉についての規制の一例を示すフローチャートである。
図3】同上の扉開閉についての規制とその解除についての一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のエレベーター装置は、かご1を昇降させる昇降手段と、かご1への乗降用の扉の開閉手段と、前記昇降手段及び前記開閉手段の動作を制御する制御回路5と、遠隔操作用のリモートコントローラー6と、リモートコントローラー6から出力される信号を受信して前記制御回路5に信号を伝達する受信機7とを備える。
【0013】
前記リモートコントローラー6は操作された内容に応じた信号を赤外線及び電波の双方で送り出し、前記受信機7は赤外線及び電波の双方を受信可能なものであり、前記制御回路5はリモートコントローラー6からの信号を電波のみで受けたときには扉の開閉手段の動作を規制している。
【0014】
前記制御回路5は、前記リモートコントローラー6からの呼び出し信号を受信機7が電波のみで受信したとき、呼び出し階へかごを移動させた着床後の扉の開動作については次のリモートコントローラー6からの赤外線信号が入るまで待機させるものであることが好ましい。
【0015】
以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳述すると、図1中の1はエレベーターのかご、2は昇降手段である昇降用モータ、3はかご1の扉13の開閉用モータである。各モータ2,3は、制御回路5からの指令により駆動されて、モータ2はかご1の昇降を、モータ3は扉13の開閉及び乗り場の扉40の開閉を担う。なお、かご1の扉13と、かご1が位置する階の乗り場の扉40とは機械的に連動させている。
【0016】
図中15はかご1内に設置された行き先階指示装置、45は乗り場に設置されたかご呼び出し装置で、これらも制御回路5に接続されている。なお、乗り場に設けた呼び出し装置45は、各階の乗り場毎に設けられている。
【0017】
ある階の乗り場の呼び出し装置45が操作された時、制御回路5はその階にかご1を移動させた後、開閉手段であるモータ3の駆動により扉13及びその階の乗り場の扉40を開き、所定時間後に扉13,40を閉じる。かご1に載った乗客が行き先階指示装置15によって行き先階を指示すれば、制御回路5は指示された行き先階までかご1を昇降させ、その後、扉13とその階の乗り場の扉40を開く。
【0018】
そして、このエレベーター装置は、リモートコントローラー6によるかご1の呼び出し及び扉13,40の開閉操作に応ずることができるものとなっている。また、ここにおけるリモートコントローラー6は、かご1の呼び出し釦や扉13,40の開閉釦が操作された時、赤外線による送信と電波による送信の双方で操作内容に応じた信号を送り出す。
【0019】
このために、かご1内に設置されている行き先階指示装置15と、乗り場に設置されているかご呼び出し装置45とが、リモートコントローラー6からの赤外線信号と電波信号の双方を受信することができる受信機7を備えている。
【0020】
ただし、このエレベーター装置において、リモートコントローラー6からの信号を赤外線信号と電波信号の双方(または赤外線信号のみ)を受信機7が受信した場合と、電波信号のみを受信機7が受信した場合とでは、上記制御回路5は異なる動作を行う。
【0021】
すなわち、リモートコントローラー6からの呼び出し信号の受信機7による受信が、赤外線信号と電波信号の双方(または赤外線信号のみ)の場合には、制御回路5は乗り場の呼び出し装置45やかご1内の行き先階指示装置15が直接操作されたときと同じ制御を行う。このためにリモートコントローラー6による呼び出しに応じて、その階にかご1を移動させて着床後に扉13,扉40を自動的に開く。
【0022】
しかし、リモートコントローラー6からの呼び出し信号の受信機7による受信が、電波信号のみの場合(赤外線信号を受けていない場合)には、制御回路5はかご1を呼び出された階へ移動させるだけとする。つまり、図2に示すようにその階にかご1が着床しても、扉13,40を開く動作は行わせない。なお、図2,3中の「リモコン」はリモートコントローラー6を指す。
【0023】
扉13,40を開く動作は、リモートコントローラー6からのかご1の再度の呼び出し信号または扉13,40の開信号を受信機7が赤外線で受信した時に制御回路5が行わせる。開動作はその階のかご呼び出し装置45が直接操作された時点で行ってもよい。
【0024】
電波信号のみを受信機7が受けた場合には、リモートコントローラー6を操作した人が乗り場付近にいないとみなして、扉13,40の開動作は控え、乗り場付近に操作を行った人がいることが明らかになった時点で扉13,40を開くのである。
【0025】
このような動作の違いを実現するために、ここでは赤外線信号を受けた時と、電波信号のみを受けた場合とでは、異なる信号を制御回路5に送っている。たとえば赤外線信号を受けた時には、制御回路5に送り出す信号に赤外線で信号を受けたことを示すフラッグを立てている。
【0026】
リモートコントローラー6が備える扉13,40の開釦は、扉13,40が自動的に閉まるまでに乗り込めなかったことから開延長を行いたい時などに操作される。また閉釦は、かご1に乗り込んだ後、早く扉13,40を閉めたい時に操作される。
【0027】
そして、リモートコントローラー6が備える開釦や閉釦が操作された時も、制御回路5は開信号を受信機7が赤外線で受けていたか、電波のみで受けていたかによって、異なる制御を行う。
【0028】
すなわち、開閉信号を赤外線で受信機7が受信したときには、制御回路5は信号に応じた動作を行わせる。しかし、電波のみで受信したときには、制御回路5は扉13,40の開動作や閉動作は行わずに、利用者に対してリモートコントローラー6を受信機7に向けて操作を行うように音声もしくはディスプレーを用いた報知を行う。
【0029】
もっとも、車椅子利用者やその介護者が、狭いかご1内でリモートコントローラー6をかご1内の受信機7に向けることが困難なことがある。また利用者が荷物を抱えているために、リモートコントローラー6をかご1内の受信機7に向けることが困難なことがある。このような場合には、リモートコントローラー6からの電波信号に応じて制御回路5が扉13,40の開閉動作を行わせることが好ましい。
【0030】
このために、ここで示したエレベーター装置では、直前の動作が赤外線信号を受けて行っていた場合で且つ直前の動作のための赤外線信号受信から所定時間内に受信した電波信号であれば、その信号に応じた次動作を制御回路5が行わせるものとしている。図3にこの動作についてのフローを示す。
【0031】
なお、直前の動作が乗り場のかご呼び出し装置45か、かご1内の行き先階指示装置15が直接操作されることでなされていた場合も、上記の赤外線信号受信の時と同じ動作を行うものとしている。
【0032】
電波信号であれば、リモートコントローラー6を受信機7に向けることができない場合にも受信機7が信号を受信することができるために、赤外線に加えて電波を併用したことの利便性を保つことができる。しかも電波信号による動作は赤外線による動作よりも扉13,40の開閉に制限を加えていることから、安全性を高く保つことができる。
【符号の説明】
【0033】
1 かご
5 制御回路
6 リモートコントローラー
7 受信機
図1
図2
図3