(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
飲料供給装置の供給管路の途中に設けられて飲料を熱媒体との熱交換により冷却または加熱する熱交換器であって、可撓性を有する樹脂管よりなる飲料流通管と、少なくとも1枚の金属ラミネートシートよりなりかつ飲料流通管の外面にこれを被覆するように接合されている伝熱シートとを備えており、伝熱シートが、飲料流通管の外面の周長よりも大きい幅を有する1枚の帯状の金属ラミネートシートよりなり、この金属ラミネートシートの幅方向の一部が飲料流通管の外面に平巻き状に接合されるとともに、余った金属ラミネートシートの両縁部が接合されることにより、伝熱シートに飲料流通管の外面から突出したフィン部が形成されている、飲料供給装置用熱交換器。
飲料流通管を構成している樹脂管の外面が熱融着性樹脂よりなり、伝熱シートを構成している金属ラミネートシートの接合面が熱融着性樹脂よりなり、これらの面が熱融着によって接合されている、請求項1または2記載の飲料供給装置用熱交換器。
伝熱シートによって被覆されていない飲料流通管の一端部に、上流側供給管路との接続用継手を構成する1対の継手部材のうちいずれか一方が取り付けられ、伝熱シートによって被覆されていない飲料流通管の他端部に、下流側供給管路との接続用継手を構成する1対の継手部材のうちいずれか一方が取り付けられている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の飲料供給装置用熱交換器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の飲料供給装置にあっては、熱交換器がステンレス管よりなるので、錆の発生や重金属の溶出がなく衛生的であり、また、冷却効率の面でも優れている。
しかしながら、上記の熱交換器の場合、長期間の使用によりステンレス管の内面が飲料によって汚染されるので、管内を特殊な薬品や装置を使って定期的に洗浄する必要があった。また、ステンレス管は、材料価格が高く、加工面も含めると製造コストが割高となる。
【0006】
この発明は、上記の課題に鑑みて考案されたものであって、衛生的に使用することができ、冷却または加熱効率に優れている上、価格が抑えられる飲料供給装置用熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0008】
1)飲料供給装置の供給管路の途中に設けられて飲料を熱媒体との熱交換により冷却または加熱する熱交換器であって、可撓性を有する樹脂管よりなる飲料流通管と、少なくとも1枚の金属ラミネートシートよりなりかつ飲料流通管の外面にこれを被覆するように接合されている伝熱シートとを備えている、飲料供給装置用熱交換器。
【0009】
2)伝熱シートが、飲料流通管の外面の周長よりも大きい幅を有する1枚の帯状の金属ラミネートシートよりなり、この金属ラミネートシートの幅方向の一部が飲料流通管の外面に平巻き状に接合されるとともに、余った金属ラミネートシートの両縁部が接合されることにより、伝熱シートに飲料流通管の外面から突出したフィン部が形成されている、上記1)の飲料供給用熱交換器。
【0010】
3)伝熱シートが、飲料流通管の外面の周長よりも大きい合計幅を有する2枚の帯状の金属ラミネートシートよりなり、両金属ラミネートシートの幅方向の一部が飲料流通管の外面にこれを両側から被覆するように接合されるとともに、余った両金属ラミネートシートの一縁部どうしおよび同他縁部どうしがそれぞれ接合されることにより、伝熱シートに飲料流通管の外面から突出した2つのフィン部が形成されている、上記1)の飲料供給装置用熱交換器。
【0011】
4)飲料流通管を構成している樹脂管の外面が熱融着性樹脂よりなり、伝熱シートを構成している金属ラミネートシートの接合面が熱融着性樹脂よりなり、これらの面が熱融着によって接合されている、上記1)〜3)のいずれか1つの飲料供給装置用熱交換器。
【0012】
5)伝熱シートによって被覆されていない飲料流通管の一端部に、上流側供給管路との接続用継手を構成する1対の継手部材のうちいずれか一方が取り付けられ、伝熱シートによって被覆されていない飲料流通管の他端部に、下流側供給管路との接続用継手を構成する1対の継手部材のうちいずれか一方が取り付けられている、上記1)〜4)のいずれか1つの飲料供給装置用熱交換器。
【0013】
6)熱交換器の少なくとも長さの一部が所定の配管パターンに曲げられているとともに、曲げられた部分の形態が保形具によって保持されている、上記1)〜5)のいずれか1つの飲料供給装置用熱交換器。
【発明の効果】
【0014】
上記1)の飲料供給装置用熱交換器によれば、飲料流通管内を流れる飲料が、伝熱シートの金属層を通じて、熱媒体と高効率で熱交換されるので、飲料を短時間で冷却または加熱することができる。また、飲料流通管が樹脂製であるため、錆の発生や重金属の溶出等がなく、衛生面でも優れている上、樹脂材料を適宜選定すれば、飲料による汚染に強い内面構造とすることも可能であり、スープ等の塩分濃度が高い飲料にも適用可能である。さらに、飲料流通管を構成する樹脂管、および伝熱シートを構成する金属ラミネートシートは、従来の熱交換器を構成するステンレス管と比べて、材料コストおよび加工コストが安くなるため、熱交換器の価格が抑えられる。
【0015】
上記2)の飲料供給装置用熱交換器によれば、飲料流通管外面への伝熱シートの接合が容易であり、また、伝熱シートに形成されたフィン部によって伝熱面積が増大するため、飲料流通管内を流れる飲料をより効果的に冷却または加熱することができる。
【0016】
上記3)の飲料供給装置用熱交換器によれば、飲料流通管外面への伝熱シートの接合が容易であり、また、伝熱シートに形成された2つのフィン部によって、伝熱面積が上記2)の熱交換器の場合よりも更に増大するため、飲料流通管内を流れる飲料をより一層効果的に冷却または加熱することができる。
【0017】
上記4)の飲料供給装置用熱交換器によれば、飲料流通管と伝熱シートとが熱融着によって接合一体化されているため、両者の間には接着材層等の断熱層が形成されず、飲料をより高効率で冷却または加熱することができる。
【0018】
上記5)の飲料供給装置用熱交換器によれば、飲料流通管と上流側および下流側供給管路との接続を、継手によって簡単にかつ確実に行うことができるので、取付性および信頼性が向上する。特に、継手として迅速継手を用いれば、ワンタッチで着脱を行うことができるので、便利である。
【0019】
上記6)の飲料供給装置用熱交換器によれば、要求される冷却または加熱性能を確保するために全長を長くしても、コンパクトな状態にすることができ、しかも保形具によって形態が保持されるので、飲料供給装置に組み込むことが容易となり、取扱性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態を、
図1〜
図13を参照して説明する。
【0022】
図1は、この発明の飲料供給装置用熱交換器において、飲料流通管を構成する樹脂管の積層構造を示したものである。同図に示すように、樹脂管(20)は、内外2層構造のものである。
樹脂管(20)の外層(21)は、例えば、熱融着性を有する汎用のポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂よりなる。但し、外層の材料は、熱融着性を有する樹脂であれば上記に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂やポリウレタン樹脂等であってもよい。
樹脂管(20)の内層(22)は、外層(21)と同じオレフィン系の樹脂であってもよいが、飲料による汚染に強いフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂等を使用してもよく、また、これらを架橋して硬質化してもよい。また、熱伝導率を上げるために、前述の樹脂に粒径0.5〜5μm程度のカーボン粒子を0.5〜5重量%程度添加してもよい。
樹脂管(20)は、通常、外径3〜8mm程度、肉厚0.5〜3mm程度とされるが、保形性や冷却または加熱効率を考慮すると、外径4〜6mm、肉厚1〜2mmにするのが好ましい。
【0023】
図2は、この発明の飲料供給装置用熱交換器において、伝熱シートを構成する金属ラミネートシートの積層構造を示したものである。同図に示すように、金属ラミネートシート(30)は、金属箔(31)の片面に接着剤(34)を介してオレフィン系樹脂フィルム(熱融着性樹脂フィルム)(32)を貼り合わせると共に、金属箔(31)の他面に接着剤(34)を介して耐熱性樹脂フィルム(33)を貼り合わせてなるものである。
金属箔(31)には、熱伝導率の高いアルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等が用いられる他、これらを組み合わせたクラッド箔を用いることもできる。また、金属箔(31)の調質は、軟質でも硬質でも構わないが、熱伝導性を考慮して、厚みを20〜150μm程度にすることが好ましい。
接着剤(34)に関しては、熱媒体として水を使用する場合には耐水性が要求されるので、2液硬化型のポリエステルポリウレタン、もしくはポリエーテルポリウレタン系の接着剤等が用いられ、塗布量は0.2〜5g/m
2程度とする。
オレフィン系樹脂フィルム(32)は、樹脂管(20)の外面と熱融着させる必要があるので、樹脂管(20)の外層(21)を構成するオレフィン系樹脂と同種の樹脂を使用するのが好ましい。すなわち、樹脂管(20)の外層(21)を構成する樹脂がポリエチレンであれば、ポリエチレンフィルムを使用し、同樹脂がポリプロピレンであれば、ポリプロピレンフィルムを使用する。また、オレフィン系樹脂フィルム(32)の厚みは、通常15〜80μm程度とするが、汎用性や伝熱効率を考慮すると、15〜30μm程度にするのが好ましい。
耐熱性樹脂フィルム(33)の材質は、特に限定されるものではないが、好適には、汎用性があって、熱融着時の耐熱性と冷却水等の低温に耐えうる耐寒性を兼ね備えたポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム等が用いられ、その厚みは5〜25μm程度とする。
なお、熱交換器を冷却水または加熱水(熱媒体)の中に長期間浸漬しない場合には、耐熱性樹脂フィルム(33)を貼り合わせずに、金属箔(31)の面を露出させる構成にしてもよく、また、耐熱性樹脂フィルム(33)を貼り合わせずに、金属箔(31)の面にエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化型樹脂を塗布した構成にしても構わない。
【0024】
[第1の実施形態]
図3および
図4には、この発明の第1の実施形態に係る飲料供給装置用熱交換器が示されている。
図示の熱交換器(1A)は、樹脂管(20)よりなる飲料流通管(2)と、金属ラミネートシート(30)よりなりかつ飲料流通管(2)の外面にこれを被覆するように接合されている伝熱シート(3)とを備えている。
伝熱シート(3)を構成する金属ラミネートシート(30)は、飲料流通管(2)外面の周長よりも大きい幅を有する帯状のものである。そして、この金属ラミネートシート(30)の幅中間部が、オレフィン系樹脂フィルム面(320)を内側にして、飲料流通管(2)の外面に平巻きされ、同シート(30)のオレフィン系樹脂フィルム面(320)が飲料流通管(2)の外面に熱融着されている。さらに、余った金属ラミネートシート(30)の両縁部(30a)(30b)のオレフィン系樹脂フィルム面(320)どうしが熱融着されている。このシート両縁部(30a)(30b)どうしの熱融着部により、伝熱シート(3)に、飲料流通管(2)の外面から略半径方向外方に突出しかつ飲料流通管(2)の長さ方向に沿ってのびるフィン部(35)が形成されている。熱融着部、すなわちフィン部(35)の幅は、通常0.5〜10mm程度となされるが、熱融着の確実性や冷却または加熱効率を考慮すると、1〜5mm程度にするのが好ましい。伝熱シート(3)を構成する金属ラミネートシート(30)の幅は、飲料流通管(2)外面の周長に、フィン部(35)の幅の2倍を加えたものとなされる。
飲料流通管(2)の一端部(23)および他端部(24)(
図6参照)は、伝熱シート(3)によって被覆されていない。これらの端部(23)(24)には、後述するように、上流側および下流側供給管路との接続用継手の一方の継手部材がそれぞれ取り付けられるようになっている。飲料流通管(2)の両端部(23)(24)の長さは、特に限定されないが、例えばそれぞれ100mm程度となされる。
【0025】
図5は、上記熱交換器の製造方法の一例を示したものである。
同図に示すように、リール(51)に巻かれた樹脂管(20)を繰り出すと共に、所定幅に裁断されたロール状の金属ラミネートシート(30)を繰り出して、両者(20)(30)を、押えロール(52)と加熱ロール(53)との間に通すと、樹脂管(20)の外面が金属ラミネートシート(30)のオレフィン系樹脂フィルム面に部分的に熱融着される。
続いて、上記工程により予備的に一体化された樹脂管(20)および両金属ラミネートシート(30)を、熱板(54)の成形孔(541)に通すと、樹脂管(20)の外面に金属ラミネートシート(30)が平巻きされて両者(20)(30)が熱融着されるとともに、金属ラミネートシート(30)の余った両縁部(30a)(30b)のオレフィン系樹脂フィルム面(320)どうしが熱融着される。
こうして、飲料流通管(2)とフィン部(35)を有する伝熱シート(3)とで構成された管状の熱交換器(1A)が、連続的に形成される。
【0026】
図6に示すように、熱交換器(1A)は、その両端側部分を除く長さ中間部分が螺旋円筒状に曲げられて、その形態が保形具(4)によって保持されることにより、完成形態となされている。
熱交換器(1A)の一端側部分(12)は、螺旋円筒状部分(11)の上端から垂直上向きに短くのびた直管状となされている。また、熱交換器(1A)の他端側部分
(13)は、螺旋円筒状部分(11)の下端から螺旋円筒状部分(11)の内側を通ってその上方に突き出すように垂直上向きに長くのびた直管状のものである。熱交換器(1A)の飲料流通管(2)の両端部(23)(24)は、互いに近接して上向きに配置されている。従って、飲料供給装置内における配管の取り回しが容易となる。
保形具(4)は、計3つ用いられており、熱交換器(1A)の螺旋円筒状部分(11)に、周方向等間隔おきに装着されている。各保形具(4)は、1対のステンレス製挟持プレート(41)(42)と、両挟持プレート(41)(42)を締め付ける締付手段とを備えている。
図7に詳しく示すように、締付手段は、一方の挟持プレート(41)の上下端部に他方の挟持プレート(42)に向かって突出状に設けられた雄ねじ部材(43)と、他方の挟持プレート(42)の挿通孔(421)に通された雄ねじ部材(43)の先端部にねじ嵌められるナット(44)と、エラストマー等の弾性材料よりなりかつ雄ねじ部材(43)の周囲に緩く嵌められた状態で両挟持プレート(41)(42)間に介在されるスペーサリング(45)とを備えている。両挟持プレート(41)(42)の間には、熱交換器(1A)の螺旋円筒状部分(11)の全ての段が介在されており、この状態で両挟持プレート(41)(42)が雄ねじ部材(43)およびナット(44)によって締め付けられることにより、螺旋円筒状部分(11)の形態が保持されるようになっている。この際、スペーサリング(45)によって、両挟持プレート(41)(42)の締付量が規制されるようになっており、熱交換器(1A)の飲料流通管(2)が押し潰されて破損したり飲料の流通が阻害されたりするおそれがない。
なお、熱交換器の配管パターンは、図示のものに限定されず、任意の形態をとりうる。また、保形具についても、熱交換器の配管パターン等に応じて、上記以外の適宜構造のものを採用しうるものである。
【0027】
図8は、上記の熱交換器(1A)を、冷却機能付き飲料供給装置(60)に冷却器として組み込んだ状態を示したものである。
飲料供給装置(60)は、飲料充填容器(図示略)からのびる樹脂製の供給管(61)と、冷却用水槽(62)と、水槽(62)内の水(C)を冷却する冷凍サイクル装置(63)とを備えている。そして、熱交換器(1A)が、水槽(62)内の冷却水(C)に浸漬されるように配置されている。
【0028】
水槽(62)は、有底筒状のものであって、箱形のケーシング(64)内に収容されている。ケーシング(64)の上方開口は、蓋(65)によって塞がれている。
冷凍サイクル装置(63)は、製氷用冷却管(631)、コンプレッサ(632)、凝縮器(633)、脱水器(634)およびキャピラリーチューブ(635)をループ状に接続してなる冷媒循環路(630)を有している。製氷用冷却管(631)は、水槽(62)の周壁内面に沿って所定のパターンで配管された銅管等の金属管よりなる。コンプレッサ(632)、凝縮器(633)、脱水器(634)およびキャピラリーチューブ(635)は、水槽(62)に隣接するようにケーシング(64)内に配置されている。また、ケーシング(64)内には、凝縮器(633)に向かって冷却エアを送るファンモータ(636)が設置されている。
冷媒循環路(630)に封入されているフロン等の冷媒は、コンプレッサ(632)で圧縮されることにより70℃前後の高温冷媒ガスとなり、次いで、凝縮器(633)において冷却エアとの熱交換により40℃前後の高温冷媒液となる。その後、高温冷媒液は、脱水器(634)を経てキャピラリーチューブ(635)に送られ、ここで膨張させられることにより、−10℃前後の低温低圧冷媒ガスとなる。この冷媒ガスが製氷用冷却管(631)に導入されると、冷却管(631)の周囲の水(C)が冷媒ガスとの熱交換により冷却されて氷(C1)が生成され、この氷(C1)により水槽(62)内の水(C)全体が冷却される。
また、図示は省略したが、ケーシング(64)内には、熱交換器(1A)の螺旋円筒状部分(11)の内側に垂直軸周りに回転自在に配置されかつモータで回転駆動されることにより水槽(62)内の冷却水(C)を撹拌する撹拌子を備えた撹拌装置が設けられていてもよく、それによって水槽(62)内の温度分布を一定に保つことができる。
【0029】
熱交換器(1A)の飲料流通管(2)の一端部(23)は、ケーシング(64)内に導入された供給管(61)の先端部に、迅速継手(66)を介して接続されている。つまり、飲料流通管(2)の一端部(23)には、迅速継手(66)を構成する1対の雄型継手部材および雌型継手部材のうち一方(661)が取り付けられており、この一方の継手部材(661)が、供給管(61)の先端部に取り付けられている他方の継手部材(662)にワンタッチで着脱自在に接続されている。
熱交換器(1A)の飲料流通管(2)の他端部(24)は、ケーシング(64)の壁に貫通状に取り付けられたコック(67)の基端部に、迅速継手(66)を介して接続されている。つまり、飲料流通管(2)の他端部(24)には、迅速継手(66)を構成する1対の雄型継手部材および雌型継手部材のうち一方(661)が取り付けられており、この一方の継手部材(661)が、コック(67)の基端部に取り付けられている他方の継手部材(662)にワンタッチで着脱自在に接続されている。
【0030】
上記の飲料供給装置(60)にあっては、図示しない炭酸ガスボンベから飲料充填容器内に送られてきた炭酸ガスの圧力により、容器内の飲料(B)が供給管(61)を経て熱交換器(1A)へ供給される。供給された飲料(B)は、熱交換器(1A)の飲料流通管(2)内を流れる間に、伝熱シート(3)の金属箔(31)層を介して、水槽(62)内の冷却水(C)と熱交換を行い、それによって急速に冷却される。冷却された飲料(B1)は、熱交換器(1A)を出てコック(67)からグラス(G)等に注出される。
【0031】
図9は、上記の熱交換器(1A)を、加熱機能付き飲料供給装置(70)に加熱器として組み込んだ状態を示したものである。
飲料供給装置(70)は、飲料充填容器(図示略)からのびる樹脂製の供給管(71)と、加熱用水槽(72)と、水槽(72)内の水(C)を加熱するヒータ(73)とを備えている。そして、熱交換器(1A)が、水槽(72)内の加熱水(C)に浸漬されるように配置されている。
【0032】
水槽(72)は、有底筒状のものであって、箱形のケーシング(74)内に収容されている。ケーシング(74)の上方開口は、蓋(75)によって塞がれている。
ヒータ(73)としては、例えば、金属製パイプの内部にニクロム線等の発熱体を挿入したシースヒータが用いられる。
ケーシング(74)内には、熱交換器(1A)の円筒状伝熱シート(3)の内側に垂直軸周りに回転自在に配置されて水槽(72)内の加熱水(C)を撹拌する撹拌子(781)を備えた撹拌装置(78)が設けられている。撹拌子(781)は、モータ(782)によって常時回転させられる。
また、ケーシング(74)内には、水槽(72)内の加熱水(C)の温度を測定する温度センサ(79)が設置されている。この温度センサ(79)によって測定された加熱水(C)の温度が設定値よりも下がった場合に、図示しない制御ユニットにより、ヒータ(73)を作動させて、加熱水(C)の温度が上昇させられるようになっている。
【0033】
熱交換器(1A)の飲料流通管(2)の一端部(23)は、ケーシング(74)内に導入された供給管(71)の先端部に、迅速継手(76)を介して接続されている。つまり、飲料流通管(2)の一端部(23)には、迅速継手(76)を構成する1対の雄型継手部材および雌型継手部材のうち一方(761)が取り付けられており、この一方の継手部材(761)が、供給管(71)の先端部に取り付けられている他方の継手部材(762)にワンタッチで着脱自在に接続されている。
熱交換器(1A)の飲料流通管(2)の他端部(24)は、ケーシング(74)の壁に貫通状に取り付けられたコック(77)の基端部に、迅速継手(76)を介して接続されている。つまり、飲料流通管(2)の他端部(24)には、迅速継手(76)を構成する1対の雄型継手部材および雌型継手部材のうち一方(761)が取り付けられており、この一方の継手部材(761)が、コック(77)の基端部に取り付けられている他方の継手部材(762)にワンタッチで着脱自在に接続されている。
【0034】
上記の飲料供給装置(70)にあっては、図示しない炭酸ガスボンベから飲料充填容器内に送られてきた炭酸ガスの圧力により、容器内の飲料(B)が供給管(71)を経て熱交換器(1A)へ供給される。供給された飲料(B)は、熱交換器(1A)の飲料流通管(2)内を流れる間に、伝熱シート(3)の金属箔(31)層を介して、水槽(72)内の加熱水(C)と熱交換を行い、それによって急速に加熱される。加熱された飲料(B1)は、熱交換器(1A)を出てコック(77)からグラス(G)等に注出される。
なお、加熱する飲料としては、例えばビール(ホットビール用)、コーヒー、日本酒、スープ、茶、レモネード等が挙げられ、熱交換器(1A)によって例えば50〜80℃程度まで加熱される。
【0035】
[第2の実施形態]
図10および
図11には、この発明の第2の実施形態に係る飲料供給装置用熱交換器が示されている。
図示の熱交換器(1B)は、樹脂管(20)よりなる飲料流通管(2)と、2枚の金属ラミネートシート(30)よりなりかつ飲料流通管(2)の外面にこれを被覆するように接合されている伝熱シート(3X)とを備えている。
伝熱シート(3X)を構成する2枚の金属ラミネートシート(30)は、それぞれ飲料流通管(2)外面の周長の半分よりも大きい幅を有する帯状のものである。そして、一方の金属ラミネートシート(30)の幅中間部のオレフィン系樹脂フィルム面(320)が、飲料流通管(2)外面の周方向半分に重ねられて熱融着され、また、他方の金属ラミネートシート(30)の幅中間部のオレフィン系樹脂フィルム面(320)が、飲料流通管(2)外面の残りの周方向半分に重ねられて熱融着されている。さらに、余った両金属ラミネートシート(30)の一縁部(30a)のオレフィン系樹脂フィルム面(320)どうしおよび同他縁部(30b)のオレフィン系樹脂フィルム面(320)どうしが、それぞれ熱融着されている。これらシート一縁部(30a)どうしの熱融着部およびシート他縁部(30b)どうしの熱融着部により、伝熱シート(3X)に、飲料流通管(2)の外面から略半径方向外方に突出しかつ飲料流通管(2)の長さ方向に沿ってのびる2つのフィン部(35)が形成されている。熱融着部、すなわちフィン部(35)の幅は、通常0.5〜10mm程度となされるが、熱融着の確実性や冷却または加熱効率を考慮すると、1〜5mm程度にするのが好ましい。伝熱シート(3X)を構成する2枚の金属ラミネートシート(30)の幅は、それぞれ、飲料流通管(2)外面の周長の半分に2つのフィン部(35)の幅を加えたものとなされる。なお、2枚の金属ラミネートシートの幅は、必ずしも同一にしなくてもよく、両シートの幅の合計が飲料流通管(2)外面の周長よりも大きくなるのであれば、両シートを異なる幅のものとしてもよい。また、3枚以上の金属ラミネートシートを使用して、上記と同様の方法で伝熱シートを形成してもよく、それによって伝熱シートに3つ以上のフィン部を形成することができる。
図10に示すように、飲料流通管(2)の一端部(23)および他端部(24)(
図13参照)は、伝熱シート(3X)によって被覆されておらず、それぞれに継手部材が取り付けられるようになっている。各端部(23)(24)の長さは、特に限定されないが、例えば100mm程度となされる。
【0036】
図12は、上記熱交換器(1B)の製造方法の一例を示したものである。
同図に示すように、リール(51)に巻かれた樹脂管(20)を繰り出すと共に、それぞれ所定幅に裁断された2つのロール状の金属ラミネートシート(30)を繰り出して、これら(20)(30)を、押えロール(52)と加熱ロール(53)との間に通すと、樹脂管(20)の外面が両金属ラミネートシート(30)のオレフィン系樹脂フィルム面(320)に部分的に熱融着される。
続いて、上記工程により予備的に一体化された樹脂管(20)および両金属ラミネートシート(30)を熱板
(54)の成形孔
(542)に通すと、樹脂管(20)の外面に、両金属ラミネートシート(30)の幅中間部が上下両側から重ねられて両者(20)(30)が熱融着されるとともに、両金属ラミネートシート(30)の一縁部どうしおよび他縁部どうしがそれぞれ熱融着される。
こうして、飲料流通管(2)と2つのフィン部(35)を有する伝熱シート(3X)とで構成された管状の熱交換器(1B)が、連続的に形成される。
【0037】
図13に示すように、この実施形態の熱交換器(1B)も、その両端側部分を除く長さ中間部分(11)が螺旋円筒状に曲げられて、その形態が保形具(4)によって保持されることにより、完成形態となされている。
完成形態の熱交換器(1B)の具体的構造や保形具(4)については、
図6および
図7に示す第1の実施形態と実質的に同じであるので、詳しい説明は省略する。
【0038】
第2の実施形態の熱交換器(1B)も、第1の実施形態と同じように、飲料供給装置(60)(70)に組み込まれて(
図8,9参照)、飲料(B)を容器から注出口(67)(77)に供給する過程で急速に冷却または加熱する機能を奏する。
特に、この実施形態の熱交換器(1B)の場合、伝熱シート(3X)に2つのフィン部(35)が形成されているので、それだけ伝熱面積が大きくなり、優れた冷却効果が得られる。
【実施例】
【0039】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、この発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
<実施例1>
まず、飲料流通管(2)として、外径6mm、肉厚1mmの架橋ポリエチレン管(20)を用意し、これをリール(51)に巻きつけた。
また、厚さ40μmのJIS H4160で分類されるA8079の焼鈍済みのアルミ合金箔(31)の片面に、2液硬化型のポリエステルポリウレタン接着剤(34)を3g/m
2塗布し、乾燥後に厚さ12μmの延伸したポリエステルフィルム(33)を貼り合せた。次に、アルミ合金箔(31)の他面に、2液硬化型のポリエステルポリウレタン接着剤(34)を3g/m
2塗布し、乾燥後に厚さ30μmの直鎖低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)(32)を貼り合せて、40℃の恒温槽にて3日間の養生を行うことにより、アルミラミネートシート(30)を得た。そして、このアルミラミネートシート(30)を、幅20mmに断裁して、ロール状に巻回した。
次に、架橋ポリエチレン管(20)およびアルミラミネートシート(30)を繰り出して、これらを押えロール(52)と200℃に加熱した加熱ロール(53)との間に通すことにより、架橋ポリエチレン管(20)外面とアルミラミネートシート(30)のオレフィン系樹脂フィルム面(320)とを部分的に熱融着した。続いて、上記工程により予備的に一体化された架橋ポリエチレン管(20)およびアルミラミネートシート(30)を、200℃に加熱した熱板(54)の成形孔(541)に通すことにより、架橋ポリエチレン管(20)外面にアルミラミネートシート(30)を平巻きして両者を熱融着するとともに、アルミラミネートシート(30)の両縁部(30a)(30b)どうしを熱融着した。なお、架橋ポリエチレン管(20)の両端部(23)(24)には、それぞれ長さ10cmに亘って、アルミラミネートシート(30)を熱融着せず、架橋ポリエチレン管(20)外面が露出する部分を形成した。
こうして得た架橋ポリエチレン管(20)およびアルミラミネートシート(30)よりなる管状体を、両端側の所定長さ部分を除いて、螺旋円筒状に曲げ成形し、成形した螺旋円筒状部分(11)に3つの保形具(4)を装着して、その形態が保持されるようにした。螺旋円筒状部分(11)は、外径155mm、高さ250mmとした。また、管状体の両端側部分(12)(13)を垂直上向きに折り曲げた。
以上により、実施例1の熱交換器(1A)を作製した。
【0041】
<実施例2>
飲料流通管(2)として、実施例1と同じ架橋ポリエチレン管(20)を用意し、これをリール(51)に巻きつけた。
また、伝熱シート(3X)の構成材料として、実施例1と同じアルミラミネートシート(30)のロール体を2つ用意した。
次に、架橋ポリエチレン管(20)および2枚のアルミラミネートシート(30)を繰り出して、これらを押えロール(52)と200℃に加熱した加熱ロール(53)との間に通すことにより、架橋ポリエチレン管(20)外面と両アルミラミネートシート(30)とを部分的に熱融着した。続いて、上記工程により予備的に一体化された架橋ポリエチレン管(20)および両アルミラミネートシート(30)を、200℃に加熱した熱板(54)の成形孔(542)に通すことにより、架橋ポリエチレン管(20)外面に両アルミラミネートシート(30)の幅中間部を熱融着するとともに、両アルミラミネートシート(30)の一縁部(30a)どうしおよび他縁部(30b)どうしを熱融着した。なお、架橋ポリエチレン管(20)の両端部には、それぞれ長さ10cmに亘って、両アルミラミネートシート(30)を熱融着せず、架橋ポリエチレン管(20)外面が露出する部分を形成した。
こうして得た架橋ポリエチレン管(20)および2枚のアルミラミネートシート(30)よりなる管状体を、両端側の所定長さ部分を除いて、螺旋円筒状に曲げ成形し、成形した螺旋円筒状部分(11)に3つの保形具(4)を装着して、その形態が保持されるようにした。螺旋円筒状部分(11)は、外径155mm、高さ250mmとした。また、管状体の両端側部分(12)(13)を垂直上向きに折り曲げた。
以上により、実施例2の熱交換器(1B)を作製した。
【0042】
<比較例>
外径6mm、肉厚1mm、長さ14mのステンレス直管を、全体の外径が155mmとなるように螺旋円筒状に曲げ成形して、比較例の熱交換器を作製した。
【0043】
<飲料冷却効果評価>
スターラーを装備した縦40cm、横40cm、深さ40cmのステンレス槽に、40リットルの水道水と20リットルの氷とを投入して、冷却水を生成した。そして、スターラーを回転させて冷却水を撹拌しながら、実施例1の熱交換器(1A)を、スターラーの撹拌子にかからないようにステンレス槽内の冷却水に完全に浸漬した。
次に、熱交換器(1A)の飲料流通管(2)にその一端部から1分間当り5リットルの流量にて水を供給し、飲料流通管(2)の他端部から出てきた水を、200mlずつ5つのガラスコップに注ぎ、各ガラスコップ内の水温を測定した。
実施例2の熱交換器(1B)および比較例の熱交換器についても、上記と同様の操作を行い、各ガラスコップに注出された水の温度を測定した。
測定結果を、各熱交換器の重量と共に、以下の表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1から明らかなように、ステンレス管を使用した比較例の熱交換器に対し、実施例1および実施例2の熱交換器(1A)(1B)は、大幅に重量が軽減されていた。
また、実施例1および実施例2の熱交換器(1A)(1B)によって冷却された水は、ステンレス管を使用した比較例の場合と大差ない温度まで下がっていた。
【0046】
<飲料加熱効果評価>
スターラーを装備した縦40cm、横40cm、深さ40cmのステンレス槽に、外部から60℃に加熱された加熱水を連続供給しながら、実施例1の熱交換器(1A)を、スターラーの撹拌子にかからないようにステンレス槽内の加熱水に完全に浸漬した。
次に、熱交換器(1A)の飲料流通管(2)にその一端部から1分間当り1.5リットルの流量にて水を供給し、飲料流通管(2)の他端部から出てきた水を、200mlずつ3つのガラスコップに順次注ぎ、各ガラスコップ内の水温を測定した。
実施例2の熱交換器(1B)および比較例の熱交換器についても、上記と同様の操作を行い、各ガラスコップに注出された水の温度を測定した。
測定結果を、以下の表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
表2から明らかなように、実施例1
、2の熱交換器(1A)(1B
)によって加熱された水は、ステンレス管を使用した比較例の場合と大差ない程度まで温度が上昇した。