(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記メッセージ画面表示制御部は、上記所定のメッセージ画面を閉じる操作が行われた際に、その操作から所定時間以内に上記特定アプリケーションを終了する操作が行われない場合に、上記所定のメッセージ画面を再表示させることを特徴とする請求項1に記載のアプリケーションの利用制限装置。
【背景技術】
【0002】
一般に、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報処理端末では、Java(登録商標)等により作成されたアプリケーションをネットワーク経由でダウンロードし、実行することが可能となっている。ユーザは、自分の目的にあったアプリケーションをダウンロードすることで、自身の情報処理端末の機能を拡張することができ、情報処理端末を多様に活用することが可能になっている。
【0003】
このように多様なアプリケーションを利用可能になることでユーザの利便性が向上する反面、自由にダウンロードして利用できてしまうことによる弊害も起きている。すなわち、アプリケーションの中には、セキュリティ上問題があるアプリケーションや、企業の業務に必要ないアプリケーション、子供に使わせたくないアプリケーションなども存在する。しかし、これらのアプリケーションも自由にダウンロードして利用できてしまうという問題があった。
【0004】
従来、このような問題に鑑みて、使用を許可しないアプリケーションをブラックリストに登録し、当該ブラックリストに登録したアプリケーションの起動を制限するようにした技術や、使用を許可するアプリケーションをホワイトリストに登録し、当該ホワイトリストに登録したアプリケーションのみ起動を許可するようにした技術が提供されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
特許文献1に記載の情報処理装置では、起動元アプリケーションは、起動対象アプリケーションを直接起動せずに、アプリケーション起動制御部に対して起動対象アプリケーションの起動要求を行う。アプリケーション起動制御部は、アプリケーション起動判断テーブルを参照して、起動対象アプリケーションが起動を許可されているかを確認し、許可されている場合のみ起動対象アプリケーションを起動する。
【0006】
また、特許文献2に記載の電子機器では、OS(オペレーティングシステム)がアプリケーションの起動指示に基づいて起動された場合、当該アプリケーションがあらかじめ保存されたホワイトリストの対象であるか否かを判別し、ホワイトリストの対象ではない場合は、OSからのアプリケーションへのアクセスを拒否するようになされている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態によるアプリケーションの利用制限装置の機能構成例を示すブロック図である。本実施形態によるアプリケーションの利用制限装置は、例えばスマートフォンに実装される。もちろん、タブレット端末やパーソナルコンピュータなど他の情報処理端末に実装することも可能である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態によるアプリケーションの利用制限装置は、その機能構成として、起動検出部1、利用制限判定部2、条件判定部3、起動制限部4、メッセージ画面表示制御部5、ブラックリスト記憶部11およびメーカー記憶部12を備えている。
【0015】
上記各機能ブロック1〜5は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック1〜5は、実際にはスマートフォンが内蔵するコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶された利用制限用プログラムが動作することによって実現される。
【0016】
ブラックリスト記憶部11は、ユーザが利用制限の対象としたいと考えるアプリケーション(以下、制限対象アプリケーションという)を識別可能な情報をあらかじめ記憶している。具体的には、ユーザがスマートフォンの操作を通じて、起動制限をかけたいと考えるアプリケーションを選択し、選択したアプリケーションをブラックリストに登録することを指示すると、当該選択されたアプリケーションの識別情報がブラックリスト記憶部11に記憶される。
【0017】
ブラックリスト記憶部11に記憶する識別情報は、アプリケーションを特定可能な情報であれば何でもよい。例えば、アプリケーションの名称であってもよいし、アプリケーションに付された固有IDであってもよい。ブラックリスト記憶部11には、制限対象アプリケーションの識別情報を1つまたは複数記憶させておくことが可能である。
【0018】
メーカー記憶部12は、スマートフォンに実装されているAPIを利用しては起動制限をかけられない特定のアプリケーション(以下、特定アプリケーションという)を識別可能な情報をあらかじめ記憶している。特定アプリケーションの典型例は、メーカーアプリである。そこで、メーカー記憶部12は、APIを利用した起動制限をかけることができない独自のアプリケーションを提供しているメーカーの識別情報を記憶する。メーカー記憶部12には、メーカーの識別情報を1つまたは複数記憶させておくことが可能である。
【0019】
メーカー記憶部12に記憶する識別情報は、メーカーを特定可能な情報であれば何でもよい。例えば、メーカーの名称であってもよいし、メーカーに付された固有IDであってもよい。このメーカーの識別情報は、例えば、利用制限用プログラムの提供者があらかじめメーカー記憶部12に記憶させておく。あるいは、上述した制限対象アプリケーションと同様に、ユーザによるスマートフォンの操作を通じてメーカー記憶部12にメーカーを登録するようにしてもよい。
【0020】
起動検出部1は、スマートフォンにインストールされたアプリケーションの起動を検出する。ここで検出するのは、何らかのアプリケーションに対して起動がかけられたか否かということであり、起動が完了したかどうかということではない。例えば、起動検出部1は、何れかのアプリケーションを起動するための起動コマンドが発生したか否かを検出する。起動検出部1は、アプリケーションの起動を検出した場合、そのアプリケーションの識別情報を利用制限判定部2に通知するとともに、そのアプリケーションを提供しているメーカーの識別情報を条件判定部3に通知する。これらの識別情報は何れも、起動されたアプリケーションから取得可能である。
【0021】
利用制限判定部2は、起動検出部1によりアプリケーションの起動が検出された場合、当該アプリケーション(以下、起動アプリケーションという)が制限対象アプリケーションか否かを判定する。具体的には、利用制限判定部2は、ブラックリスト記憶部11に記憶されている制限対象アプリケーションの識別情報の中に、起動検出部1から通知された起動アプリケーションの識別情報があるか否かを判定する。
【0022】
ここで、起動アプリケーションが制限対象アプリケーションではないと判定された場合、スマートフォンは普通に起動アプリケーションの起動処理を続行し、当該起動アプリケーションを実行する。一方、起動アプリケーションが制限対象アプリケーションであると判定された場合、利用制限判定部2はそのことを条件判定部3に通知する。
【0023】
条件判定部3は、利用制限判定部2により起動アプリケーションが制限対象アプリケーションであると判定された場合、当該起動された制限対象アプリケーションが、APIを利用しては起動制限をかけられないものとしてあらかじめ設定された所定の条件を満たす特定アプリケーションであるか否かを判定する。本実施形態では、所定の条件として、起動された制限対象アプリケーションのメーカーが、APIを利用しては起動制限をかけられないアプリケーションを提供しているメーカーか否かを判定する。具体的には、条件判定部3は、メーカー記憶部12に記憶されているメーカーの識別情報の中に、起動検出部1から通知されたメーカーの識別情報があるか否かを判定する。
【0024】
起動制限部4は、起動された制限対象アプリケーションが特定アプリケーションではないと条件判定部3により判定された場合、スマートフォンに実装されたAPIを利用して制限対象アプリケーションの起動を制限するよう制御する。例えば、起動制限部4は、アプリケーションの利用が禁止されていることを示すメッセージ画面をスマートフォンの表示部に表示して、制限対象アプリケーションの起動処理を中止する。
【0025】
一方、起動された制限対象アプリケーションが特定アプリケーションであると条件判定部3により判定された場合、APIを利用して特定アプリケーションの起動を制限することができないので、スマートフォンは普通に特定アプリケーションの起動処理を続行し、当該特定アプリケーションを実行する。
【0026】
この場合、メッセージ画面表示制御部5は、起動された特定アプリケーションが終了するまでの間、当該特定アプリケーションが起動されたスマートフォンの表示部に所定のメッセージ画面を繰り返し表示させる。所定のメッセージ画面は、例えば、アプリケーションの利用が禁止されていることを示す画面である。
【0027】
起動された特定アプリケーションが終了するまでというのは、ユーザが特定アプリケーションをシャットダウンする操作を行うまでということである。それまでの間、メッセージ画面表示制御部5は、例えば一定の時間間隔で繰り返し所定のメッセージ画面を表示させる。すなわち、メッセージ画面表示制御部5は、所定のメッセージ画面を数秒間表示させて閉じ、その一定時間後に再び所定のメッセージ画面を数秒間表示させる。このような処理を繰り返し行う。
【0028】
図2は、メッセージ画面表示制御部5によりメッセージ画面が表示された状態の一例を示す図である。
図2の例では、起動アプリケーションがゲームアプリであり、それが制限対象アプリケーションであるにもかかわらず、APIを利用しては起動制限をかけることのできないメーカーアプリであるため、普通に起動処理が進められ、初期画面21が表示された状態を示している。そして、この初期画面21の上に重ねるように、所定のメッセージ画面22が表示されている。
【0029】
なお、メッセージ画面22を表示させる繰り返しのタイミングは、一定の時間間隔に限らず、非定期的であってもよい。例えば、メッセージ画面表示制御部5は、所定のメッセージ画面22を表示し続け、ユーザによってメッセージ画面22を閉じる操作が行われた際に、メッセージ画面22をいったん閉じる。そして、その操作から所定時間以内に特定アプリケーションをシャットダウンする操作が行われない場合に、所定のメッセージ画面22を再表示させる。
【0030】
また、メッセージ画面表示制御部5は、所定のメッセージ画面22を繰り返し表示することに代えて、ユーザによって特定アプリケーションをシャットダウンする操作が行われるまでの間、所定のメッセージ画面22を継続的に表示し続けるようにしてもよい。
【0031】
図3は、上記のように構成した本実施形態によるアプリケーションの利用制限装置の動作例を示すフローチャートである。この
図3に示すフローチャートは、スマートフォンの電源がオンとされたときに開始する。
【0032】
まず、起動検出部1は、何れかのアプリケーションを起動するための起動コマンドが発生したか否かを検出する(ステップS1)。起動コマンドの発生が起動検出部1により検出されると、利用制限判定部2は、ブラックリスト記憶部11を参照して、起動アプリケーションが制限対象アプリケーションであるか否かを判定する(ステップS2)。
【0033】
ここで、起動アプリケーションが制限対象アプリケーションではないと判定された場合、スマートフォンが普通に起動アプリケーションの起動処理を続行し(ステップS3)、当該起動アプリケーションを実行した状態にして、
図3に示すフローチャートの処理を終了する。
【0034】
一方、起動アプリケーションが制限対象アプリケーションであると利用制限判定部2により判定された場合、条件判定部3は、メーカー記憶部12を参照して、起動された制限対象アプリケーションが特定アプリケーション(特定のメーカーによるもの)であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0035】
ここで、起動された制限対象アプリケーションが特定アプリケーションではないと条件判定部3により判定された場合、起動制限部4は、スマートフォンに実装されたAPIを利用して制限対象アプリケーションの起動処理を中止し(ステップS5)、
図3に示すフローチャートの処理を終了する。
【0036】
一方、起動された制限対象アプリケーションが特定アプリケーションであると条件判定部3により判定された場合、スマートフォンは特定アプリケーションの起動処理を続行し(ステップS6)、起動処理の完了後に初期画面21をスマートフォンの表示部に表示させる。この場合、メッセージ画面表示制御部5は、初期画面21の上に重ねるようにして、所定のメッセージ画面22を数秒間表示させる(ステップS7)。
【0037】
その後、メッセージ画面表示制御部5は、特定アプリケーションをシャットダウンする操作が行われたか否かを判定する(ステップS8)。ここで、当該操作が行われたと判定した場合、メッセージ画面表示制御部5は、所定のメッセージ画面22が表示中であればそれを閉じる(ステップS9)。これにより、
図3に示すフローチャートの処理は終了する。この場合は、ステップS6で起動されたアプリケーションがそのまま続けて実行可能な状態となる。
【0038】
一方、特定アプリケーションをシャットダウンする操作が行われていないと判定した場合、所定のメッセージ画面22を前回表示させた時点(表示を開始した時点または終了した時点のどちらでもよい)から一定時間が経過したか否かを判定する(ステップS10)。まだ一定時間が経過していない場合、処理はステップS8に戻る。一方、一定時間が経過した場合、処理はステップS7に戻る。これにより、特定アプリケーションをシャットダウンする操作が行われるまでの間、一定の時間間隔で繰り返し所定のメッセージ画面22が表示される。
【0039】
このように、本実施形態のアプリケーションの利用制限装置によれば、APIで起動制限をかけることができない制限対象アプリケーションが起動された場合は、起動されたアプリケーションの画面の上に重ねるように、所定のメッセージ画面22が繰り返しまたは継続的に表示されるので、このメッセージ画面22が邪魔になって制限対象アプリケーションを通常通りに利用することができなくなる。このため、起動された制限対象アプリケーションが、APIを利用しては起動制限をかけられないものであったとしても、当該制限対象アプリケーションを実質的に利用できない状態にすることができる。
【0040】
なお、上記実施形態では、条件判定部3が判定する所定の条件として、起動アプリケーションのメーカーが、独自のメーカーアプリを提供しているメーカーと同じであるか否かを判定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、APIを利用しては起動制限をかけることができない具体的なアプリケーションの識別情報をあらかじめ記憶しておき、起動アプリケーションの識別情報が、当該記憶しておいた識別情報に該当するか否かを判定するようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、スマートフォンのAPIを利用可能な制限対象アプリケーションについては、当該APIを利用して起動制限をかける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、APIを利用可能か否かにかかわらず、ブラックリスト記憶部11に記憶しておいた全ての制限対象アプリケーションをメッセージ画面表示制御部5の処理対象とするようにしてもよい。
【0042】
この場合におけるアプリケーションの利用制限装置の機能構成は、
図4のようになる。
図4の例では、
図1に示した条件判定部3、起動制限部4およびメーカー記憶部12は無く、起動検出部1、利用制限判定部2、メッセージ画面表示制御部5’およびブラックリスト記憶部11によりアプリケーションの利用制限装置が構成される。この場合、メッセージ画面表示制御部5’は、起動アプリケーションが制限対象アプリケーションであると判定された場合に、起動された制限対象アプリケーションが終了するまでの間、所定のメッセージ画面を繰り返しまたは継続的に表示させる。
【0043】
また、上記実施形態では、ユーザが利用制限の対象としたいと考えるアプリケーションをブラックリスト記憶部11に登録する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ユーザが利用を許可したいと考えるアプリケーションをホワイトリスト記憶部に登録するようにしてもよい。この場合、利用制限判定部2は、ホワイトリスト記憶部に記憶されているアプリケーションの識別情報の中に、起動検出部1から通知された起動アプリケーションの識別情報が存在するか否かを判定し、存在しない場合に、起動アプリケーションは制限対象アプリケーションであると判定する。
【0044】
また、上記実施形態では、
図2のように、スマートフォンの表示画面の一部に所定のメッセージ画面22を表示させる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、所定のメッセージ画面22をスマートフォンの表示画面にフルスクリーン表示させるようにしてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、ユーザによるスマートフォンの操作を通じて、制限対象アプリケーションの識別情報をブラックリスト記憶部11に記憶させる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、IT管理者等によるサーバの管理画面操作を通じて、制限対象アプリケーションの識別情報をサーバからスマートフォンに送信してブラックリスト記憶部11に記憶させるようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、メーカーアプリを識別可能な情報をメーカー記憶部12にあらかじめ記憶しておき、ブラックリストに登録された制限対象アプリケーションが起動されたときに、メーカー記憶部12を参照して、起動アプリケーションがメーカーアプリか否かを判定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0047】
例えば、制限対象アプリケーションが起動されたときに、本実施形態の利用制限用プログラムがインストールされているスマートフォンが、APIを利用しては起動制限をかけられないアプリケーションを提供しているメーカーのものか否かを判定し、そうである場合にフラグを立てる。そして、フラグが立てられた場合に、起動アプリケーション内に保持されているパーミッションの情報を確認することにより、その起動アプリケーションがメーカー固有のアプリケーションか否かを判定するようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、起動制限部4が、スマートフォンに実装されたAPIを利用して制限対象アプリケーションの起動を制限する場合、アプリケーションの利用が禁止されていることを示すメッセージ画面をスマートフォンの表示部に表示して、制限対象アプリケーションの起動処理を中止する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、APIを利用して起動制限をかける場合、メッセージ画面を表示せずに、起動された制限対象アプリケーションを強制終了するようにしてもよい。
【0049】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。