(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
左右一対のクローラ走行装置を有した走行機体と、前記走行機体に上下揺動可能に支持された支持フレームと、前記支持フレームに支持され、前記走行機体の前方で除雪作業する除雪部と、前記支持フレームに支持され、前記除雪部に駆動力を出力するエンジンと、電動モータの駆動力によって前記支持フレームを揺動操作する昇降駆動機構と、を備え、
操縦ハンドルが前記走行機体に支持され、
前記電動モータを操作する昇降操作スイッチが、前記操縦ハンドルの走行機体前後向きの握り部の走行機体横内側のうちの前記握り部を支持している手の指操作が可能な部位に位置する状態で前記操縦ハンドルに支持されている歩行型除雪機。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施例に係る歩行型除雪機の全体を示す側面図である。
図2は、本発明の実施例に係る歩行型除雪機の全体を示す平面図である。
図1,2に示す[F]の方向が走行機体の「前側」、[B]の方向が走行機体の後側、[L]の方向が走行機体の「左側」、[R]の方向が走行機体の[右側]と定義する。
【0017】
図1に示すように、歩行型除雪機は、機体フレーム1に左右一対のクローラ走行装置2が装備された走行機体3を備えている。走行機体3は、後部に設けられた左右一対の操縦ハンドル4を備え、走行機体3の後方を歩行しつつ走行機体3の走行及び操向操作を行なうよう歩行型に構成されている。走行機体3の前方に除雪部10が配置されている。除雪部10の後方における走行機体3の上方にエンジン5が配置されている。
【0018】
歩行型除雪機は、走行機体3を走行させることで、除雪部10によって除雪作業を行なえる。すなわち、除雪部10は、オーガハウジング11と、オーガハウジング11の後部に連結されたブロワケース12とを備えている。オーガハウジング11にオーガ13が駆動回転可能に支持されている。ブロワケース12にブロワ14が駆動回転可能に内装されている。ブロワケース12からシュータ15が上方向きに突設されている。オーガ13が雪を掻き集め、シュータ15が掻き集められた雪をブロワ14の噴出力によって放出口15aから放出する。
【0019】
走行機体3について説明する。
機体フレーム1は、
図1,5,7に示すように、左右一対の走行機体前後向きのトラックフレーム部20と、走行機体横向きの連結フレーム部21とを備えている。連結フレーム部21は、左右のトラックフレーム部20の後部を連結している。連結フレーム部21の縦断面形状が前方向きに開口した溝形状になっている。機体フレーム1の平面視形状が前方向きに開口したU字状になっている。機体フレーム1は、
図5に示すように、後述する走行ミッション30及び支持フレーム75が入る空きスペースを内部に備えている。
【0020】
左右のクローラ走行装置2は、
図5に示すように、左右のトラックフレーム部20に振り分けて支持されている。左右のクローラ走行装置2は、
図1,5に示すように、トラックフレーム部20の前端部に駆動可能に支持された駆動輪体25と、駆動輪体25よりも後方に位置する状態でトラックフレーム部20に回転可能に支持された従動輪体26と、駆動輪体25と従動輪体26とに亘って巻き掛けられたクローラベルト27と、を備えている。
図1に示すように、駆動輪体25と従動輪体26との間において、クローラベルト27に外れ止め部材28が係合作用している。外れ止め部材28は、トラックフレーム部20に支持されている。
【0021】
左右一対の操縦ハンドル4は、
図1,5に示すように、連結フレーム部21の左右端部から上方向きに、かつ後方向きに延出されている。具体的には、
図5,7に示すように、連結フレーム部21の左右端部にハンドル支持フレーム部22が設けられている。左右のハンドル支持フレーム部22は、連結フレーム部21から上方向きに突設されている。ハンドル支持フレーム部22に操縦ハンドル4の基部4aが支持されている。
【0022】
左右のハンドル支持フレーム部22は、板状部材によって構成されている。板状部材は、板厚方向が走行機体横幅方向となる取付姿勢で連結フレーム部21に取り付けられている。左右の操縦ハンドル4の基部4aは、ハンドル支持フレーム部22の機体横外側の側面に支持されている。左右の操縦ハンドル4は、丸パイプ部材によって構成されている。左右の操縦ハンドル4の基部4aは、外周面の一部が平坦面になった状態に押圧変形処理されている。基部4aは、平坦面がハンドル支持フレーム部22の側面に沿う状態でハンドル支持フレーム部22に連結されている。本実施例では、基部4aとハンドル支持フレーム部22とは、連結ボルトによって連結されている。基部4aとハンドル支持フレーム部22との連結手段としては、連結ボルトに限らず、溶接を採用してもよい。
【0023】
左右の操縦ハンドル4の延出端部に握り部4bが設けられている。左右の操縦ハンドル4の握り部4bは、走行機体3の前後方向に延びている。
図1に示すように、左右の操縦ハンドル4の握り部4bと基部4aとの間における部位が一対の補強杆6,7によって連結されている。一対の補強杆6,7は、操縦ハンドル4の上下方向(長手方向)に間隔を空けて並んでいる。左右の操縦ハンドル4は、補強杆6,7による連結によって互いに支持し合うことで、補強し合っている。上側の補強杆6に操作盤8が支持されている。
【0024】
左右のクローラ走行装置2及び除雪部10は、
図4に示す動力伝達構造に基づいてエンジン5から駆動力が伝達されることで駆動される。
【0025】
すなわち、エンジン5から出力軸5aが前方向きに突設されている。出力軸5aと、走行ミッション30の入力軸30aとに亘って走行クラッチ31が配備されている。本実施例では、走行クラッチ31は、ベルトテンションクラッチによって構成されている。走行クラッチ31としては、ベルトテンションクラッチに限らず、多板式摩擦クラッチなど、型式が各種異なるクラッチを採用してもよい。走行ミッション30の左右の出力軸30L,30Rに左右のクローラ走行装置2の駆動輪体25が相対回転不能に支持されている。走行ミッション30には、静油圧式無段変速部32(以下、HST32と略称する。)が備えられている。HST32は、入力軸30aの駆動力を可変容量形のアキシャルプランジャポンプ(図示せず)とアキシャルプランジャモータ(図示せず)とによって変速し、変速した後の駆動力を左右の出力軸30L,30Rに伝達する。
【0026】
走行クラッチ31を入り状態に切換え操作し、かつHST32を伝動状態に変速操作することで、エンジン5からの駆動力が左右の駆動輪体25に伝達されて左右のクローラ走行装置2が駆動され、走行機体3を走行させることができる。HST32を変速操作することで、左右のクローラ走行装置2が前進側と後進側とに切り換えて駆動され、かつ左右のクローラ走行装置2の前進駆動速度及び後進駆動速度が無段階に変速され、走行機体3を前進と後進とに切り換えて、かつ前進側及び後進側に無段階に変速して走行させることができる。
【0027】
走行クラッチ31を切り状態に切換え操作するか、あるいはHST32を中立状態に変速操作することで、左右のクローラ走行装置2への駆動力の伝達が絶たれ、走行機体3を停止させられる。
【0028】
走行クラッチ31の操作部(テンションプーリ)と、走行用のクラッチレバー33(
図1,2参照)とが連係されている。走行用のクラッチレバー33は、左の操縦ハンドル4に支持されている。具体的には、走行用のクラッチレバー33は、左の操縦ハンドル4の握り部4bの上方に上下揺動操作可能に位置している。クラッチレバー33を握り操作することで、走行クラッチ31を入り状態に切換え操作できる。走行用のクラッチレバー33は、デッドマン式に構成されている。つまり、クラッチレバー33を握り操作していることによって走行クラッチ31を入り状態に維持でき、クラッチレバー33の握り操作を解除することによって走行クラッチ31が切り状態になる。
図1,2に示すように、HST32を変速操作する変速レバー34は、操作盤8に設けられている。
【0029】
図4に示すように、エンジン5の出力軸5aと除雪部10の入力軸10aとに亘って作業クラッチ35が装備されている。本実施例では、作業クラッチ35は、ベルトテンションクラッチによって構成されている。作業クラッチ35としては、ベルトテンションクラッチに限らず、多板式摩擦クラッチなど、型式が各種異なるクラッチを採用してもよい。
【0030】
作業クラッチ35を入り状態に切換え操作することで、エンジン5からの駆動力が入力軸30aに伝達され、オーガ13及びブロワ14を駆動できる。作業クラッチ35を切り状態に切換え操作することで、入力軸30aへの駆動力の伝達が絶たれ、オーガ13及びブロワ14を停止できる。
【0031】
作業クラッチ35の操作部(テンションプーリ)と、作業用のクラッチレバー36(
図2参照)とが連係されている。作業用のクラッチレバー36は、右の操縦ハンドル4に支持されている。具体的には、クラッチレバー36は、右の操縦ハンドル4の握り部4bの上方に上下揺動操作可能に位置している。クラッチレバー36を握り操作することで、作業クラッチ35を入り状態に切換え操作できる。
【0032】
図14に示すように、走行ミッション30に左右一対の操向クラッチ37L,37R、及び左右一対の操向ブレーキ38L,38Rが設けられている。左右の操向クラッチ37L,37Rは、クラッチ輪体39L,39Rを備えている。クラッチ輪体39L,39Rは、出力軸30L,30Rのスプライン部の外周部にスライド可能に、かつ相対回転不能に嵌合されている。クラッチ輪体39L,39Rと出力ギヤ40とに亘って爪クラッチ機構41L,41Rが設けられている。出力ギヤ40は、左右の出力軸30L,30Rとは相対可能な状態で左右の出力軸30L,30Rに支持されている。出力ギヤ40は、HST32の出力によって駆動される。クラッチ輪体39L,39Rにシフター42L,42Rが係合されている。左右のシフター42L,42Rは、回転支軸43L,43Rを介してミッションケース44(
図9参照)に揺動可能に支持されている。
図9に示すように、ミッションケース44の外部において、左右の回転支軸43L,43Rに操作アーム45L,45Rが相対回転不能に支持されている。
【0033】
操作アーム45L,45Rの揺動操作によってシフター42L,42Rが揺動操作されることで、クラッチ輪体39L,39Rが出力ギヤ40に寄せ操作されたり、出力ギヤ40から離し操作されたりする。クラッチ輪体39L,39Rが出力ギヤ40に寄せ操作されることで、爪クラッチ機構41L,41Rが入り状態に操作される。クラッチ輪体39L,39Rが出力ギヤ40から離間操作されることで、爪クラッチ機構41L,41Rが切り状態に操作される。
【0034】
左右の操向クラッチ37L,37Rは、爪クラッチ機構41L,41Rが入り状態に操作されることで、入り状態になり、爪クラッチ機構41L,41Rが切り状態に操作されることで、切り状態になる。左右の操向クラッチ37L,37Rは、入り状態に操作されることで、出力ギヤ40と出力軸30L,30Rとを連動連結して、HST32の出力を駆動輪体25に伝達する。左右の操向クラッチ37L,37Rは、爪クラッチ機構41L,41Rが切り状態に操作されることで、出力ギヤ40と出力軸30L,30Rとの連動連結を解除して、HST32からクローラ走行装置2への動力伝達を絶つ。
【0035】
左右の操向ブレーキ38L.38Rは、多板式の摩擦クラッチによって構成されている。操向クラッチ37L,37Rを切り状態に切換え操作した操作域において、操作アーム45L,45Rの揺動操作によってシフター42L,42Rが揺動操作されることで、クラッチ輪体39L,39Rがクラッチ入り付勢バネ46に抗して操向ブレーキ38L,38Rに寄せ操作されたり、操向ブレーキ38L,38Rから離し操作されたりする。
【0036】
左右の操向ブレーキ38L,38Rは、寄せ操作されたクラッチ輪体39L,39Rの操作部39a,39bによって押圧操作されることで入り状態になり、クラッチ輪体39L,39Rの離し操作によって操作部39a,39bによる押圧が解除されることで切り状態になる。左右の操向ブレーキ38L,38Rは、入り状態になると、出力軸30L,30Rに摩擦制動力を付与し、クローラ走行装置2にブレーキを掛ける。左右の操向ブレーキ38L,38Rは、クラッチ輪体39L39Rの押圧力が強められるほど、クローラ走行装置2に掛けるブレーキを強くする。左右の操向ブレーキ38L,38Rは、切り状態になると、出力軸30L,30Rへの摩擦制動力の付与を解除し、クローラ走行装置2に掛けるブレーキを解除する。
【0037】
図9,14に示すように、左右の操作アーム45L,45Rに連係機構50を介して一つのアクチュエータ49が連係されている。左右の操向クラッチ37L,37R及び左右の操向ブレーキ38L,38Rを一つのアクチュエータ49によって操作できる。本実施例では、アクチュエータ49として、電動モータが採用されている。アクチュエータ49としては、電動モータに限らず、シリンダなどの各種の動力源を採用してもよい。以下において、アクチュエータ49を電動モータ49と呼称して説明する。
【0038】
連係機構50は、
図9に示すように、シーソ部材51を備えている。シーソ部材51は、支軸52を介してミッションケース44に支持されている。シーソ部材51は、支軸52の軸芯を揺動軸芯にして揺動操作できる。シーソ部材51の左右端部が左右一対の連動リンク53L,53Rによって左右の操作アーム45L,45Rに連結されている。左右の連動リンク53L,53Rのシーソ部材側の端部54L,54Rは、シーソ部材51の長穴形の連結穴55L,55Rにスライド可能に係入している。
【0039】
シーソ部材51と電動モータ49とは、扇形ギヤ56、小径ギヤ57、大径ギヤ58及びウオームギヤ59を介して連動連結されている。扇形ギヤ56には、連結アーム部56aが備えられている。連結アーム部56aとシーソ部材51とにわたって支軸52及び連結ピン56bが装着されていることで、扇形ギヤ56とシーソ部材51は、相対回転不能に連結している。扇形ギヤ56と小径ギヤ57とは、噛み合っている。小径ギヤ57と大径ギヤ58とは、回転支軸60を介して連動連結している。大径ギヤ58とウオームギヤ59とは、噛み合っている。ウオームギヤ59は、電動モータ49の出力軸49aに相対回転不能に取り付けられている。
【0040】
電動モータ49が中立状態に操作されていると、シーソ部材51が中立位置[N]にある。この場合、左右の連動リンク53L,53Rの端部54L,54Rが連結穴55L,55Rのアーム側端部に位置し、左右の操作アーム45L,45Rがリターンバネ47によってクラッチ入り位置に操作されている。すなわち、左右の操向クラッチ37L,37Rが入り状態になっている。
【0041】
電動モータ49が中立状態から左旋回側に操作されると、シーソ部材51が中立位置[N]から左旋回方向[LS]に揺動操作され、左の連動リンク53Lがシーソ部材51によって引張り操作されて左の操作アーム45Lがクラッチ入り位置からブレーキ入り位置に向けて揺動操作され、左の操向クラッチ37Lが切り状態に切り換わる。左の操向クラッチ37Lが切り状態になった後、シーソ部材51が更に左旋回方向[LS]に揺動操作されると、左の操作アーム45Lがブレーキ位置に操作され、左の操向ブレーキ38Lが入り状態になる。シーソ部材51の左旋回方向[LS]への揺動ストロークが大になるほど、左の操向ブレーキ38Lに対するクラッチ輪体39Lの押圧力が強くなり、左の操向ブレーキ38Lのブレーキ力が強くなる。このように、左の操向クラッチ37Lが切り状態になり、かつ左の操向ブレーキ38Lが入り状態になったとき、右の連結穴55Rが右の操作アーム45Rの方へ移動し、右の操作アーム45Rがリターンバネ47によってクラッチ入り位置に維持され、右の操向クラッチ37Rが入り状態に維持され、かつ右の操向ブレーキ38Rが切り状態に維持される。
【0042】
電動モータ49が中立状態から右旋回側に操作されると、シーソ部材51が中立位置[N]から右旋回方向[RS]に揺動操作され、右の連動リンク53Rがシーソ部材51によって引張り操作されて右の操作アーム45Rがクラッチ入り位置からブレーキ入り位置に向けて揺動操作され、右の操向クラッチ37Rが切り状態に切り換わる。右の操向クラッチ37Rが切り状態になった後、シーソ部材51が更に右旋回方向[RS]に揺動操作されると、右の操作アーム45Rがブレーキ位置に操作され、右の操向ブレーキ38Rが入り状態になる。シーソ部材51の右旋回方向[RS]への揺動ストロークが大になるほど、右の操向ブレーキ38Rに対するクラッチ輪体39Rの押圧力が強くなり、右の操向ブレーキ38Rのブレーキ力が強くなる。このように、右の操向クラッチ37Rが切り状態になり、かつ右の操向ブレーキ38Rが入り状態になったとき、左の連結穴55Lが左の操作アーム45Rの方へ移動し、左の操作アーム45Lがリターンバネ47によってクラッチ入り位置に維持され、左の操向クラッチ37Lが入り状態に維持され、かつ左の操向ブレーキ38Lが切り状態に維持される。
【0043】
図1,2に示すように、左右の操縦ハンドル4に左右一対の操向レバー61L,61Rが振り分けて支持されている。具体的には、
図10に示すように、操縦ハンドル4の握り部4bよりも前側の部分から左右一対のブラケット62が下向きに突設されている。ブラケット62と操向レバー61L,61Rの基部とが支軸63を介して連結されている。操向レバー61L,61Rは、握り操作することで支軸63の軸芯を揺動軸芯Xにして上昇揺動する。操向レバー61L,61Rは、握り操作を解除することでリターンバネ64の操作力によって下降揺動する。リターンバネ64は、後述する連動部材69に連結されている。
【0044】
図10,11に示すように、左の操向レバー61Lに左の操作位置検出センサ65Lが連動機構66を介して連動連結されている。右の操向レバー61Lに右の操作位置検出センサ65Rが連動機構66を介して連動連結されている。左の操向レバー61Lの連動機構66及び右の操向レバー61Rの連動機構66は、操向レバー61L,61Rの基準ストローク[A]の揺動に連動した操作位置検出センサ65L,65Rの作動変化量が、操向レバー61L,61Rの操作位置が握り側のストロークエンドに近づくほど大になる状態で操向レバー61L,61Rと操作位置検出センサ65L,65Rとを連動連結している。
【0045】
具体的には、操作位置検出センサ65L,65Rは、ブラケット67を介して操縦ハンドル4に支持されている。操作位置検出センサ65L,65Rは、回転ポテンショメータによって構成されている。
【0046】
左の操向レバー61L及び右の操向レバー61Rの連動機構66は、揺動アーム68と連動部材69とを備えている。揺動アーム68は、操作位置検出センサ65L,65Rの回転操作部70L,70Rから相対回転不能に延出されている。揺動アーム68は、回転操作部70L,70Rの回転軸芯を揺動軸芯Yにして揺動操作可能で、揺動操作されることで、操作位置検出センサ65L,65Rを作動させる。
【0047】
連動部材69は、操向レバー61L,61Rの基部のうち、揺動軸芯Xから外れた部位から機体横内側向きに延出されている。連動部材69は、揺動軸芯Xを揺動軸芯にして、操向レバー61L,61Rと一体的に揺動する。連動部材69の延出端側部69aが揺動アーム68の長穴形の連結穴68aに係入されており、連動部材69は、揺動アーム68に対して揺動アーム長手方向にスライド可能な状態で、かつ揺動アーム68の揺動操作が可能な状態で揺動アーム68に係合している。揺動アーム68の揺動軸芯Yと、操向レバー61L,61Rの揺動軸芯Xとは、位置ずれし、かつ平行又はほぼ平行になっている。
【0048】
操向レバー61L,61Rを握り操作すると、連動部材69が延出端側部69aによって揺動アーム68を押圧して揺動操作し、揺動アーム68が操作位置検出センサ65L,65Rの回転操作部70L,70Rを回転操作する。操向レバー61L,61Rの握り操作を進めていくと、連動部材69の延出端側部69aが揺動アーム68の遊端側にスライドし、連動部材69による揺動操作を受ける揺動アーム68の位置が遊端側に変化していく。操向レバー61L,61Rを握り側のストロークエンドに向けて基準ストローク[A]を操作することで、連動部材69による操作によって、揺動アーム68が揺動角[B]だけ揺動する。操向レバー61L,61Rが握り側のストロークエンドに近づくほど、揺動アーム68の揺動角[B]が大になる。操向レバー61L,61Rが握り側のストロークエンドに近づくほど、操作位置検出センサ65L,65Rが操向レバー61L,61Rの動きに対してより敏感に応答する。
【0049】
すなわち、左の操向レバー61Lの操作位置が左の操作位置検出センサ65Lによって検出される。右の操向レバー61Rの操作位置が右の操作位置検出センサ65Rによって検出される。左右の操作位置検出センサ65L,65Rにおいて、操向レバー61L,61Rを握り操作していくと、検出操作位置が実際の操作位置よりも握り側のストロークエンドの方に位置ずれした操作位置になる状態で、かつ、操向レバー61L,61Rが握り側のストロークエンドに近づくほど、検出操作位置と実際の操作位置との位置ずれが大になる状態で検出される。
【0050】
図14に示すように、左右の操作位置検出センサ65L,65R及び電動モータ49が制御装置71に連係されている。制御装置71は、マイクロコンピュータを利用して構成され、操向用の制御部72(以下、操向制御部72と呼称する。)を備えている。
【0051】
操向制御部72は、左右の操向レバー61L,61Rが操作されていない場合、左右の操作位置検出センサ65L,65Rによる検出情報を基に、シーソ部材51を中立位置[N]に操作させるべく電動モータ49を制御する。
【0052】
操向制御部72は、左の操向レバー61Lが握り操作された場合、左の操作位置検出センサ65Lによる検出情報を基に、シーソ部材51を中立位置[N]から左旋回方向[LS]に向けて操作させるべく、かつ左の操向ブレーキ38Lに左の操作位置検出センサ65Lによる検出操作位置に対応した強さの制動力を備えさせるべく電動モータ49を制御する。
【0053】
操向制御部72は、右の操向レバー61Rが握り操作された場合、右の操作位置検出センサ65Rによる検出情報を基に、シーソ部材51を中立位置[N]から右旋回方向[RS]に向けて操作させるべく、かつ右の操向ブレーキ38Rに右の操作位置検出センサ65Rによる検出操作位置に対応した強さの制動力を備えさせるべく電動モータ49を制御する。
【0054】
左右の操向レバー61L,61Rを操作することにより、左右の操向クラッチ37L,37R及び左右の操向ブレーキ38L,38Rを操作でき、走行機体3の操向操作をできる。
【0055】
すなわち、左右の操向レバー61L,61Rを握り操作しないでおくと、左右の操作位置検出センサ65L,65Rの検出情報に基づく操向制御部72による電動モータ49の制御により、シーソ部材51が中立位置[N]に操作されて左右の操向クラッチ37L,37Rが入り状態に操作され、走行機体3が直進走行する。
【0056】
左の操向レバー61Lを握り操作すると、左の操作位置検出センサ65Lの検出情報に基づく操向制御部72による電動モータ49の制御により、シーソ部材51が中立位置[N]から左旋回方向[LS]に揺動操作されて左の操向クラッチ37Lが切り状態に操作され、あるいは、左の操向ブレーキ38Lが入り状態に操作され、走行機体3が左向きに旋回走行する。左の操向ブレーキ38Lが入り状態になると、左の操向レバー61Lの握り操作ストロークを大にするほど、左の操向ブレーキ38Lが強い制動力を備えて左のクローラ走行装置2に付与されるブレーキがより強くなり、走行機体3の左向き旋回半径がより小さくなる。
【0057】
右の操向レバー61Rを握り操作すると、右の操作位置検出センサ65Rの検出情報に基づく操向制御部72による電動モータ49の制御により、シーソ部材51が中立位置[N]から右旋回方向[RS]に揺動操作されて右の操向クラッチ37Rが切り状態に操作され、あるいは、右の操向ブレーキ38Rが入り状態に操作され、走行機体3が右向きに旋回走行する。右の操向ブレーキ38Rが入り状態になると、右の操向レバー61Rの握り操作ストロークを大にするほど、右の操向ブレーキ38Rが強い制動力を備えて右のクローラ走行装置2に付与されるブレーキがより強くなり、走行機体3の右向き旋回半径がより小さくなる。
【0058】
操向レバー61L,61Rが握り側のストロークエンドに近づくほど、操作位置検出センサ65L,65Rが操向レバー61L,61Rの動きに対してより敏感に応答するので、操向ブレーキ38L,38Rの効きが弱い段階では、操向レバー61L,61Rをわずかに操作しただけでは操向ブレーキ38L,38Rの効きがわずかしか変化せず、ブレーキ力の微調節を行ない易い。操向ブレーキ38L,38Rの効きが強い段階では、操向レバー61L,61Rをわずかに操作するだけで操向ブレーキ38L,38Rの効きが大きく変化し、操向ブレーキ38L,38Rを強い制動力の状態に迅速に操作し易い。
【0059】
図1,2,5に示すように、除雪部10は、ブロワケース12が支持フレーム75の前端部に連結されていることで、支持フレーム75に支持されている。エンジン5は、支持フレーム75の上部に載置された状態で支持フレーム75に支持されている。
【0060】
走行ミッション30は、支持フレーム75の下部に支持されている。具体的には、
図5に示すように、走行ミッション30には、ミッションケース44の両横側部から機体横外向き延出され、出力軸30L,30Rを内装している左右一対の円筒状の出力ケース部44L,44Rが備えられている。左右の出力ケース部44L,44Rが支持フレーム75の横側部75aに支持され、ミッションケース44の後部が支持フレーム75の後部75bに支持されている。
【0061】
支持フレーム75は、左右のクローラ走行装置2の駆動輪体25の回転軸芯を揺動軸芯Zとして上下揺動可能に走行機体3に支持されている。具体的には、支持フレーム75が左右のトラックフレーム部20の間に位置し、走行ミッション30の左の出力ケース部44Lが機体フレーム1の左のトラックフレーム部20に相対回転可能に支持され、走行ミッション30の右の出力ケース部44Rが機体フレーム1の右のトラックフレーム部20に相対回転可能に支持されている。
【0062】
支持フレーム75には、支持フレーム75の後部から後方向き延出された操作アーム部76が備えられている。操作アーム部76の延出端部と、機体フレーム1とに亘って昇降駆動機構77が設けられている。昇降駆動機構77は、駆動されることで、支持フレーム75を機体フレーム1に対して上下に揺動調節し、停止されることで、支持フレーム75を調節した揺動位置に固定する。
【0063】
昇降駆動機構77を操作することで、除雪部10を走行機体3に対して昇降調節でき、除雪部10の対地高さを調節できる。除雪部10の対地高さを調節するのに、支持フレーム75が左右のクローラ走行装置2の駆動輪体25の回転軸芯を揺動軸芯Zにして上下揺動し、除雪部10、エンジン5及び走行ミッション30が一体的に左右の駆動輪体25の回転軸芯を揺動軸芯Zにして上下揺動するので、エンジン5から除雪部10に駆動力を伝達する作業伝動系、及びエンジン5から左右のクローラ走行装置2に駆動力を伝達する走行伝動系に除雪部10の昇降を許容するための特別な融通構造を設ける必要がない。また、除雪部10の対地高さを変更しても、走行機体3の対地姿勢が変化せず、操縦ハンドル4の対地姿勢も変化しない。
【0064】
昇降駆動機構77は、
図3,14に示すように、ラックギヤ78と、ピニオンギヤ79と、電動モータ80とを備えている。ラックギヤ78とピニオンギヤ79とが噛み合っている。ピニオンギヤ79の回転支軸に中間ギヤ79aが相対回転不能に支持されている。中間ギヤ79aに噛み合った出力ギヤ80aが電動モータ80に回転駆動可能に支持されている。ピニオンギヤ79と電動モータ80の出力ギヤ80aとが中間ギヤ79aを介して連動連結している。
【0065】
図3,6に示すように、ラックギヤ78は、機体フレーム1から上方向きに突出する状態で走行機体3に支持されている。具体的には、ラックギヤ78を備えた部材78aの下端部が支軸78bを介してブラケット85に相対回転可能に支持されている。ブラケット85は、機体フレーム1の連結フレーム部21に支持されている。ピニオンギヤ79、中間ギヤ79a及び電動モータ80は、支持部材81に支持されている。支持部材81は、支軸81aを介して操作アーム部76の後端部76aに相対回転可能に支持されている。本実施例では、ラックギヤ78が機体フレーム1に支持され、ピニオンギヤ79が支持フレーム75に支持される構成を採用しているが、ラックギヤ78が支持フレーム75に支持され、ピニオンギヤ79が機体フレーム1に支持される構成を採用してもよい。
【0066】
ラックギヤ78を備える部材78aにガイド溝82が設けられている。ガイド溝82にスライド可能に係入したガイドピン83が支持部材81に支持されている。ガイドピン83は、外れ止め部材86を支持している。外れ止め部材86は、部材78aと支持部材81との離間を防止することで、ラックギヤ78とピニオンギヤ79との離脱を防止している。
【0067】
昇降駆動機構77は、電動モータ80の駆動力によってピニオンギヤ79を駆動し、ピニオンギヤ79をラックギヤ78に沿わせて昇降させて操作アーム部76の後端側を昇降操作することで、支持フレーム75を揺動操作する。昇降駆動機構77は、クローラベルト27の後部付近にし、支持フレーム75の揺動軸芯Z(駆動輪体25の回転軸芯)から離れた箇所で昇降操作力を支持フレーム75に付与するので、小型の電動モータ80によって除雪部10の昇降調節をスムーズにできる。
【0068】
昇降駆動機構77は、左右のクローラ走行装置2の間におけるクローラベルト27の後部付近の位置に配備されている。昇降駆動機構77は、駆動輪体25の回転軸芯からクローラベルト27の後部付近まで離れた位置で昇降操作力を付与するので、昇降駆動機構77を電動モータ80が動力源となる小型かつ軽量なものにしても、昇降駆動機構77によって支持フレーム75をスムーズに上下揺動操作できる。
【0069】
昇降駆動機構77は、エンジン5よりも後方に位置している。昇降駆動機構77がエンジン5の荷重が掛かる部位よりも後方で支持フレーム75を揺動操作するので、昇降駆動機構77の操作力を支持フレーム75の揺動操作に効率よく作用させられる。
【0070】
昇降駆動機構77は、機体フレーム1の後端1rよりも後方に位置している。具体的には、除雪部10が上昇限界に上昇した状態において、
図6に実線で示すように、昇降駆動機構77の下端から上端までの全体が後端1rよりも後方に位置する。除雪部10が下降限界に下降した状態において、
図6に二点鎖線で示すように、昇降駆動機構77の下端側部が後端1rよりも後方に位置する。昇降駆動機構77が後端1rよりも前方に位置するのに比して、駆動輪体25の回転軸芯から昇降駆動機構77までの距離を長くでき、昇降駆動機構77の操作力を支持フレーム75の揺動操作に効率よく作用させられる。除雪部10が下降限界から上昇限界に亘る昇降範囲のいずれの位置に位置しても、昇降駆動機構77の全体が後端1rよりも後方に位置するとより好適である。
【0071】
図1,3,5に示すように、昇降駆動機構77と電源用のバッテリー84とが走行機体の横幅方向に並んでいる。昇降駆動機構77よりも後方へのバッテリー84の突出を抑制できる。また、走行機体の後方から昇降駆動機構77の点検及び修理する作業を行なうのに、バッテリー84が障害になり難い。
【0072】
図2,8に示すように、昇降操作スイッチ87が右の操縦ハンドル4の握り部4bの機体横内側に位置する状態で右の操縦ハンドル4に支持されている。昇降操作スイッチ87は、握り部4bを支持する手の指操作が可能な部位に位置している。具体的には、操縦ハンドル4の握り部4bよりも前側の部位にボス部88が設けられている。ボス部88は、作業用のクラッチレバー36を上下揺動操作可能に支持している。ボス部88から支持部材89が後方向きに延出されている。支持部材89の延出端部に昇降操作スイッチ87が支持されている。本実施例では、昇降操作スイッチ87を右の操縦ハンドル4に支持しているが、左の操縦ハンドル4に支持してもよい。
【0073】
図14に示すように、昇降操作スイッチ87及び電動モータ80が制御装置71に連係されている。制御装置71は、昇降用の制御部90(以下、昇降制御部90と呼称する。)を備えている。
【0074】
昇降制御部90は、昇降操作スイッチ87から操作情報を入力すると、入力した操作情報を基に、ピニオンギヤ79を操作情報に対応した上昇側及び下降側の操作位置に移動させて停止させるべく電動モータ80を制御する。
【0075】
昇降操作スイッチ87の前端側部分を押し操作することにより、昇降制御部90が電動モータ80を下降側に制御し、除雪部10を下降操作できる。昇降操作スイッチ87の後端側部分を押し操作することにより、昇降制御部90が電動モータ80を上昇側に制御し、除雪部10を上昇操作できる。昇降操作スイッチ87を押し操作している間、除雪部10がストロークエンドに到達しない限り、除雪部10が継続して上昇及び下降する。
【0076】
図1,2に示すように、前照灯92が走行機体3に支持されている。具体的には、前照灯92は、上側の補強杆6を介して操縦ハンドル4に支持されている。前照灯92は、取付向きの上下調節が可能な状態で支持されている。前照灯92は、シュータ15に対して走行機体横幅方向に位置ずれしている。除雪部10の前方などを前照灯92によって照明しながら、かつシュータ15が照明の障害になり難い状態で照明しながら作業できる。前照灯92は、支持フレーム75を上下揺動可能に支持する走行機体3に支持されているので、除雪部10の上下調節をしても、前照灯92の姿勢が変化しない。すなわち、除雪部10の上下調節をしても、前照灯92の照明範囲などの照明具合が変化しない。
【0077】
図1に示すように、作動油タンク93が走行機体3に支持されている。具体的には、
図3に示すように、作動油タンク93は、下側の補強杆7を介して操縦ハンドル4に支持されている。作動油タンク93とHST32とは、給油路94によって連通されている。給油路94は、可撓性を有したホースによって形成され、可撓性を備えている。すなわち、給油路94は、除雪部10の上下調節に伴うHST32と作動油タンク93との位置関係の変化を撓みによって吸収する。
【0078】
作動油タンク93に作動油を貯留しておくことにより、作動油がHST32に自動的に補給される。作動油タンク93は、内部の作動油の透視が可能な素材によって作製されている。作動油タンク93の蓋を開けずに、内部の油量を見ることができる。作動油タンク93は、支持フレーム75を上下揺動可能に支持する走行機体3に支持されているので、除雪部10の上下調節をしても、作動油タンク93が傾動しない。
【0079】
〔別実施形態〕
(1)
図15は、別の実施構造を備えた連動機構66であって、操向ブレーキ38L,38Rを弱めに入り操作した状態における連動機構66を示す側面図である。
図16は、別の実施構造を備えた連動機構66であって、操向レバー61L,61Rが握り側のストロークエンド付近に操作された状態における連動機構66を示す側面図である。
図15,16に示すように、別の実施構造を備えた連動機構66では、連動部材69が揺動リンクによって構成されている。すなわち、連動部材69の操向レバー側の端部と、操向レバー61L,61Rのうちの揺動軸芯Xから外れた部位とが支軸69bを介して相対回転可能に連結されている。連動部材69は、揺動軸芯Xと平行又はほぼ平行な支軸69bの軸芯を揺動軸芯にして操向レバー61L,61Rに対して揺動する。
【0080】
(2)上記した実施例では、昇降駆動機構77にラックギヤ78及びピニオンギヤ79を備えた例を示したが、ラックギヤ78及びピニオンギヤ79に代え、電動モータによって駆動されるネジ式の昇降手段などを備えてもよい。