【文献】
PETボトル入り緑茶飲料の有効成分及び品質保持に関する調査研究,静岡県環境衛生科学研究所報告,日本,2002年,No.44,57−61
【文献】
Critical Reviews in Food Science and Nutrition,1997年,Vol.37, No.8,p.693-704
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[ケルセチン配糖体]
本発明において、「ケルセチン配糖体」というときは、特に記載した場合を除き、フラボノイドの一種であるケルセチン(クエルセチンとも呼ばれる)の配糖体を指し、これは下式で表される。
【0015】
(式中、(X)
nは、糖鎖を表し、nは、1以上の整数である。)
ここで、ケルセチンにグリコシド結合するXで表される糖鎖を構成する糖は、例えば、
グルコース、ラムノース、ガラクトース、グルクロン酸であり、好ましくはグルコース、ラムノースである。また、nは1以上であれば、特に制限されないが、好ましくは1〜16、
さらに好ましくは1〜8である。nが2以上であるとき、X部分は1種類の糖鎖からなっていてもよく、複数の糖鎖からなっていてもよい。
【0016】
本明細書においては、ケルセチンにグルコースが一つ配されたものを、QG1、2つ配されたものをQG2、3つ配されたものをQG3(以下、グルコースが一つ増すごとに、QG4、QG5、QG6・・・)と表すことがある。
【0017】
本発明のケルセチン配糖体は、既存のケルセチン配糖体を、酵素などで処理して糖転移させたものも含む。
本発明でいうケルセチン配糖体は、具体的には、ルチン、酵素処理ルチン、クエルシトリン、イソクエルシトリンを含む。
【0018】
ルチンは、下式で表される化合物である。
【0020】
ルチンは、ルトサイド又はケルセチン−3−ルチノシドと称されることもある。
酵素処理ルチンとは、ルチン又はその類縁体を酵素処理したものを成分とするものをいう。酵素処理ルチンは、酵素処理イソクエルシトリン又は糖転移ルチンと称されることもある。
【0021】
本発明においては、ケルセチン配糖体に包含される一の化合物を、単独で用いてもよいし、複数の化合物の混合を用いてもよい。
本発明で使用するケルセチン配糖体は、その由来、製法については特に制限はない。例えば、ケルセチンを多く含む植物として、ケッパー、リンゴ、茶、タマネギ、ブドウ、ブロッコリー、モロヘイヤ、ラズベリー、コケモモ、クランベリー、オプンティア、葉菜類、柑橘類などが知られており、これらの植物からケルセチン配糖体を得ることができる。
【0022】
本発明の特に好ましい態様においては、ケルセチン配糖体として、ルチンの酵素処理物(以下、酵素処理ルチン)を使用する。
酵素処理ルチンの特に好ましい例は、ケルセチン配糖体を酵素処理してラムノース糖鎖部分を除去したイソクエルシトリン、イソクエルシトリンを糖転移酵素で処理してグルコース1〜7個からなる糖鎖が結合したもの、及びその混合物を主成分とするものである。
【0023】
イソクエルシトリンは、例えば、WO2005/030975に記載されている方法、すなわち、ル
チンを、特定の可食性成分の存在下でナリンギナーゼで処理する方法によって製造することができる。さらに、WO2005/030975に記載されているように、イソクエルシトリンを糖
転移酵素で処理することにより、α-グリコシルイソクエルシトリンを得ることができる
。
【0024】
一般に、ルチンには抗酸化作用があることが知られていたが、水に難溶性であるため使用用途が限られていた。しかしながら酵素処理ルチンは糖転移により水溶性が向上しているため飲料に好適に使用できる。酵素処理ルチンは強力な抗酸化活性のほか、血小板の凝集抑制および接着抑制作用、血管拡張作用、抗癌作用など、多彩な生理機能を持つことが知られており、炎症の改善や血液循環促進などの効果を目的とした健康食品に利用されている。酵素処理ルチンは、例えば、エンジュ、ソバなどの抽出物を糖転移酵素で処理して得ることができる。
【0025】
本発明に用いられるケルセチン配糖体は、飲料に有効量を配合するため、天然物由来の抽出物を、濃縮、精製等の操作によってケルセチン配糖体を高めたもの、例えば、ケルセチン配糖体含有抽出物の、濃縮物又は精製物を用いることができる。濃縮方法又は精製方法は、既存のものを用いることができる。なお、茶葉には、ケルセチン類(ケンフェロール等)、より詳細には、ルチノシド(2糖配糖体)、さらにもう一つグルコース、アラビ
ノース又はガラクトース等の糖が結合した3糖配糖体が知られている。
【0026】
本発明の飲料においては、ケルセチンの配合量は、20〜5000ppm、好ましくは100〜2500ppm、さらに好ましくは200〜1500ppm、最も好ましくは100〜500ppmとすることができる。別の観点からは、ケルセチンはまた、350〜500ml容量の容器詰め飲料1本当たり、10〜1800mg、好ましくは50〜900mg、より好ましくは100〜500mgとすることができる。なお、本発明で飲料中のケルセチンの配合量をいうときは、特に記載した場合を除き、ケルセチン配糖体の配合量を合計したものをQG1として換算し、QG1が加水分解されて生じるケルセチンの量を指す。QG1が加水分解されて生じるケルセチン量は、ケルセチンの分子量302、QG1
の分子量464を用いて、(ケルセチン配糖体量÷464)×302で求めることができる。また
、本発明で飲料の成分の濃度又は量をいうときは、特に記載した場合を除き、最終製品における濃度又は量を指す。殺菌等の工程により、成分が多少分解することがあり、その分解量を加味して、飲料への配合量を決定することもできるが、通常、配合時の濃度又は量と最終製品中のそれとはほぼ一致する。
【0027】
ケルセチン配糖体量の測定は、当業者にはよく知られた定法により、行うことができる。ケルセチン配糖体量は、特に記載した場合を除き、QG1〜QG7を関与成分として、下記の方法により求めてもよい:すなわち、標準物質としてQuercetin 3-O- glucoside(QG1)
を用い、HPLCを用いて、紫外部吸光度350 nmにおける面積と標準物質濃度により検量線を作成する。ケルセチン配糖体は、小腸でケルセチンに加水分解されることから、QG1からQG7は生理活性的に同等であると考られ、またケルセチンの3位配糖体は糖鎖の長さに関ら
ず、すべて350nmに極大吸収を持ち、その吸光度はアグリコン部分であるケルセチンに依
拠する。したがって、分子量は異なるが、モル吸光度ではQG1〜QG7は等しくなると考えられ、QG1換算で関与成分を定量する。具体的には、分析試料を、標準物質と同一条件でHPLCに供し、得られたチャートにおいて、標準物質の溶出保持時間と一致するピークを特定
する。そして、QG1のピークより前に検出されるケルセチン配糖体QG2〜QG7のピークを特
定し(もしあれば)、各々のピーク面積の総計から、標準物質を用いて作成した検量線を用いて、分析試料中のケルセチン配糖体含量を算出する。
【0028】
[pH]
本発明で、飲料のpHに関し、「中性」というときは、特に記載した場合を除き、pH5.6
〜6.4をいう。本発明の飲料は、中性である。
【0029】
本発明者らの検討によると、pHが低いほうがケルセチン配糖体を安定に保つことができる。しかし、pHが低いと、飲料の香味に対して負の影響がある場合がある。したがって、本発明の飲料は、ケルセチン配糖体の安定性の観点からはpH6.0以下であることが好まし
く、pH5.8以下であることがさらに好ましい。香味の観点からは、いずれの場合もpH5.6以上であることが好ましく、pH5.8以上であることがさらに好まし。総合的には、pH5.8〜6.0であることが、より好ましい。なお、通常の茶飲料のpHは、無糖茶であれば5.9〜6.4程
度である。
【0030】
飲料のpHを調整する方法としては、飲料に酸やアルカリを添加すること、イオン交換樹脂へ通液させることが挙げられる。用いられる酸成分としては、例えば、有機酸としてはクエン酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸など、無機酸としては塩酸、リン酸などが挙げられる。アルカリ成分としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
、重曹などが挙げられる。
【0031】
[茶飲料、カテキン類]
本発明の飲料としては中性飲料であれば特に限定はされないが、カテキン類を100〜1000ppm含有する茶飲料が好ましい。茶飲料とはCamellia属、例えばC.sinensis、C.assamica、やぶきた種及びそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された茶葉から水や熱水、抽出助剤を添加した水溶液で抽出した茶葉抽出液を配合した飲料をいう。製茶された茶葉には、緑茶などの不発酵茶類、烏龍茶などの半発酵茶、紅茶などの発酵茶類があるがいずれの茶葉抽出液を配合した飲料であっても良い。緑茶としては煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶などが、烏龍茶としては鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶などが、紅茶としてはダージリン、アッサム、スリランカなどが挙げられる。
【0032】
本発明において、「カテキン類」というときは、特に記載した場合を除き、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート又はこれらのいずれかの混合物をいい、カテキン類の含量をいうときは、特に記載した場合を除き、これらの総量を指す。
【0033】
茶飲料である本発明の飲料、又はカテキン類を含む本発明の飲料は、市販の茶抽出物を配合することにより製造してもよい。
本明細書においては、本発明の飲料のうち、特に、茶飲料又は緑茶飲料を例に説明することがあるが、特に記載した場合を除き、その説明は、他の飲料にも当てはまる。他の飲料の例として、ハーブティー、炭酸飲料、清涼飲料、コーヒー、乳飲料、日本酒、ビール、ワイン、カクテル、焼酎、ウイスキーが挙げられる。
【0034】
[アスコルビン酸]
本発明の飲料は、アスコルビン酸を含んでいてもよい。本発明でアスコルビン酸といときは、特に記載した場合を除き、L-アスコルビン酸を指し、これは、ビタミンCと称され
ることもある。アスコルビン酸は、食品として許容されるその塩(例えば、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸パルミチン酸エステル)として飲料に添加されることもある。
【0035】
本発明者らの検討によると、茶飲料においては、予想に反して、アスコルビン酸の配合が少ないほうがケルセチン配糖体の残存率が高かった。アスコルビン酸は、飲料中で酸化され、デヒドロアスコルビン酸になり、それがラジカルになってケルセチン配糖体に酸化的損傷を与えている可能性がある。一方、香味・色調の面ではアスコルビン酸量が少ないと品質を保つことが困難であり、少なくとも100ppmのアスコルビン酸が存在したほうが好ましい。
【0036】
したがって、一般的に、容器詰め緑茶飲料においては400ppm程度のアスコルビン酸を添加するが、本発明の飲料におけるアスコルビン酸濃度は400ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましい。いずれの場合にも、100ppm以上であることが好ましく、200ppm以上であることがより好ましい。なお、アスコルビン酸が、食品として許容されるその塩として用いられる場合、アスコルビン酸相当量を計算することができ、その相当量が上記の範囲に含まれる場合、上記の要件を満たすといえる。
【0037】
[飲料の製造方法]
本発明の飲料を製造するための方法は、上述の各成分の配合量を満たすことができる限り、特に限定されない。ケルセチン配糖体の配合段階も、特に制限はないが、ケルセチン配糖体の安定化のためには、ケルセチン配糖体の配合前又は配合直後に、飲料のpHを調製
することが好ましい。
【0038】
例えば、既存の茶飲料に対し、ケルセチン配糖体の配合量が、適切となるように、ケルセチン配糖体を含む原材料を、常法により添加し、本発明の飲料を製造することができる。
本発明の飲料は、上述した成分の他、乳化剤、酸化防止剤等の、飲料として許容される添加物を配合してもよい。
【0039】
[殺菌、容器詰め]
本発明においては、保存性に優れた容器詰め飲料を製造するため、飲料を加熱殺菌処理してもよい。加熱殺菌の方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)などを好適に行うこ
とができる。容器詰め飲料の容器に応じて加熱殺菌法を適宜選択することもでき、例えば、PETボトルを飲料容器として用いる場合はUHT殺菌が好適である。
【0040】
加熱装置や加熱方式にも特に制限はなく、例えば、直接水蒸気を吹き込むスチームインジェクション式、飲料を水蒸気中に噴射して加熱するスチームインフュージョン式等の直接加熱方式、プレートやチューブなど表面熱交換器を用いる間接加熱方式等の公知の方法で行うことができる。加熱殺菌の温度は目的を達することができれば特に制限されないが、90℃以上であることが好ましい。
【0041】
本発明の飲料を保持するための容器は、飲料としての品質を保持することができる限り、特に制限はなく、公知の飲料容器(例えば、PETボトル、紙パック、アルミ缶、スチー
ル缶、ガラス瓶)を用いることができる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例に基づいて、より具体的に説明する。なお本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例においては、ケルセチン配糖体量の測定は、下記の方法で行った。
【0043】
1. 分析方法(機器および試薬、操作方法)
1-1.試薬
・アセトニトリル:高速液体クロマトグラフ用 純度99.8%(ナカライテスク株式会社製)
・水:高速液体クロマトグラフ用 不純物0.001%以下(ナカライテスク株式会社製)
・トリフルオロ酢酸:純度99%(ナカライテスク株式会社製)
・イソクエルシトリン(Quercetin 3-O- glucoside: 以下QG1とする): SSX1327S、純度93.8% (フナコシ株式会社製)
・エタノール:高速液体クロマトグラフ用 純度99.8%(ナカライテスク株式会社製)
・ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide: 以下DMSOとする):純度99.0%(ナカライテスク株式会社製)。
【0044】
1-2.分析機器
高速液体クロマトグラフ(以下HPLCとする)
ポンプ:LC-10ADvp
検出器: SPD-M10Avp検出器
解析ソフト:Class LCsolution (以上、株式会社島津製作所)。
【0045】
1-3.分析試料の調製
・当該食品の原液を20%エタノール/水で5倍希釈し、0.45 μmフィルター(マイレクスL
H-4:ミリポア社製)でろ過したものを分析試料としてHPLCに供する。
【0046】
1-4.検量線の作成
標準物質であるQuercetin 3-O- glucoside (フナコシ株式会社製:SSX 1327S、純度93.8%)を1.0 mg正確に秤量し、5 mlメスフラスコ中で0.5 mlのジメチルスルホキシド(DMSO:ナカライテスク株式会社製 純度99.0%)に溶解し、20%エタノール(ナカライテ
スク株式会社製 純度99.8% 高速液体クロマトグラフ用特製試薬)/水により5 mlにフィルアップする。この200 μg/mlの溶液を20%エタノール/水で順次希釈し、10、25、50、100 μg/mlの溶液を作成する。各濃度の溶液を10 μl、 HPLCに供する。このときに
検出されるピークの溶出保持時間は約14.5分である。このときの紫外部吸光度350 nmにおける面積と濃度により検量線を作成する。
【0047】
原点を通る近似直線を計算し、これを用いてQG1からQG7までの濃度を算出し、合算した値に標準物質の純度(93.8%)をかけることで、ケルセチン配糖体量を算出する。
1-5.試験操作
・定性試験:分析試料を標準品と同一条件下でHPLC分析を行い、QG1標準品の溶出保持時
間と一致するピークをQG1とする。QG1はケルセチンにグルコースが1個結合したケルセチ
ン配糖体である。
・定量試験: QG1のピークより前に検出される6つのピークは、QG1にさらにグルコース結合したケルセチンの配糖体である。HPLC分析では、QG1およびQ G1にさらにグルコースが1〜6個結合した化合物が検出可能であり、これら(QG1からQG7)を関与成分と設定した。
また、ケルセチン配糖体は、小腸でケルセチンに加水分解されることから、QG1からQG7は生理活性的に同等であると考え、ケルセチン配糖体の主要な構成成分であり、標準品が入手可能なQG1を指標成分と設定し、QG1換算での量を算出する。ケルセチン配糖体の7つの
溶出ピークについてのピーク面積を測定し、QG1標準品のピーク面積に基づいて作成した
検量線から分析試料中のケルセチン配糖体含量を算出する。
【0048】
イソクエルシトリン(QG1)は、ケルセチンの3位に1分子のグルコースがβ結合した化
合物である。QG2〜QG7はQG1にさらに 0 〜6個のグルコースがα-1,4結合した化合物群で
、QG1およびQG2〜QG7の7成分を、関与成分とする。
【0049】
ケルセチンの3位配糖体は糖鎖の長さに関らず、すべて350nmに極大吸収を持ち、その吸光度はアグリコン部分であるケルセチンが寄与する。従って、分子量は異なるが、モル吸光度ではQG1からQG7は等しくなると考え、QG1換算で関与成分を定量することとした。
【0050】
[参考例:pHによる影響]
中性飲料のモデルとしてMcIlvaine緩衝液で各種pHに調整した水溶液に、ケルセチン配
糖体をサンエミックP15(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社。酵素処理ルチンを6.2〜7.2
%含む(HPLC)。)として3.6mg/mlとなるように溶解させた(下表)。水溶液を8週間、40℃で保ち、ケルセチン配糖体の残存量を経時的にHPLCで測定し、残存率(劣化試験後の
緑茶飲料中のケルセチン配糖体量/添加したケルセチン配糖体全量×100)を算出した。pHは、HORIBAのpHメーターF21を用いて、室温(25℃)で測定した。なお、pH測定は、以下の実施例においても、特に記載した場合を除き、同じ方法で測定した。
【0051】
結果を下表及び
図1に示した。pHが高いほど、ケルセチン配糖体の安定性が悪いことが
分かった。
【0052】
【表1】
【0053】
ケルセチン配糖体の残存率
[実施例1:緑茶飲料中でのケルセチン配糖体の安定性確認]
(1) アスコルビン酸濃度の影響
緑茶葉約75gを、約70℃の純水2300mlにより5分間抽出し、ろ過し、抽出液を得た(以下、「緑茶抽出液」という。)。
【0054】
緑茶抽出液にアスコルビン酸を1〜7g、サンエミックP15として40g加え、加水し、10Lの緑茶を製造した。その際、重曹でpH6.0に調整した。得られた緑茶を、殺菌処理を行った
後、350mlのPET容器に充填して、55℃、2週間の加速度劣化試験を実施し、ケルセチン配
糖体量をHPLCで測定し、残存率を算出した。同時に、香味(香り、及び味)、色調の官能評価を行った。官能評価は3名の訓練されたパネラーによって行い、5(変化がなく良好)、4(変化はあるが良好)、3(変化はあるが許容範囲)、2(変化があり、許容できない
)、1(著しい変化があり、許容できない)の5点を満点とする5段階評価を行った。なお
、サンエミックP15は6.2〜7.2%のケルセチン配糖体を含むため、得られた緑茶は248〜288ppmのケルセチン配糖体を含み、加水分解されて生じるケルセチンとしては160〜190ppm
を含有する。
【0055】
その結果、アスコルビン酸の配合が少ないほうがケルセチン配糖体の残存率が高かった。しかし、香味・色調の面ではアスコルビン酸量が少ないと品質を保つことができないため、少なくとも100ppmのアスコルビン酸が必要であることが明らかになった(下表)。
【0056】
【表2】
【0057】
[実施例2:緑茶飲料中でのケルセチン配糖体の安定性確認]
(2) pHの影響
実施例1に記載の通りの方法で、サンエミックP15が4g/L入った緑茶飲料を製造した。ただし、重曹でのpH調整を、pH5.1〜6.4(下表)とした。実施例1と同様に殺菌、充填した
後、55℃、2週間の劣化試験を実施し、ケルセチン配糖体量をHPLCで測定した。また、実
施例1同様、香味、色調を5点満点で評価した。
【0058】
その結果、pHが低いほうがケルセチン配糖体が安定であることが示された。しかし、pH
が低いと香味が保たれていないため、ケルセチン配糖体の安定性の観点からはpH6.0以下
、香味の安定性の観点からはpH5.6以上が好ましいことがわかった。
【0059】
【表3】
【0060】
[実施例3:緑茶飲料中でのケルセチン配糖体の安定性確認]
(3) アスコルビン酸濃度とpH調整による影響
実施例1に記載の通りの方法で、サンエミックP15が4g/L入った緑茶飲料を製造した。ただし、重曹でのpH調整をpH5.8、6.0、6.4とした。また、アスコルビン酸濃度を200〜400ppmになるよう調整した(下表)。実施例1と同様に殺菌、充填したあとそれぞれのサンプ
ルを、55℃、1週間、または55℃、18日間保管し、ケルセチン配糖体の残存率をHPLCで測
定した。また、実施例1同様、香味、色調を5点満点で評価した。
【0061】
結果を下表に示した。
【0062】
【表4】
【0063】
[実施例4:ケルセチン配糖体の濃度による影響]
実施例1に記載の通りの方法で緑茶飲料を製造した。ただし、重曹でのpH調整をpH5.8、6.4とした。また、アスコルビン酸濃度を250、400ppmになるよう調整した(下表)。さらに、ケルセチン配糖体の濃度をサンエミックP15として6g/Lにした。実施例1と同様に殺菌、充填したあと、55℃、2週間で加速度劣化試験を実施し、ケルセチン配糖体の残存率をHPLCで測定した。また、実施例1同様、香味、色調を5点満点で評価した。
【0064】
結果を下表に示した。このケルセチン配糖体濃度においてもアスコルビン酸量が少なくpHが低いほうが、ケルセチン配糖体は安定であった。
【0065】
【表5】