特許第6463321号(P6463321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6463321パネルユニット、及びこれを備えたカーテンウォール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463321
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年1月30日
(54)【発明の名称】パネルユニット、及びこれを備えたカーテンウォール
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20190121BHJP
   E04B 2/96 20060101ALI20190121BHJP
   E04F 13/12 20060101ALI20190121BHJP
【FI】
   E04B1/94 K
   E04B2/96
   E04F13/12 E
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-230429(P2016-230429)
(22)【出願日】2016年11月28日
(65)【公開番号】特開2018-87424(P2018-87424A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2018年10月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄住金鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】茶木 康友
(72)【発明者】
【氏名】柴田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 光彦
(72)【発明者】
【氏名】藤原 誠司
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−025831(JP,A)
【文献】 実公平06−012116(JP,Y2)
【文献】 特開平08−120896(JP,A)
【文献】 実公昭60−011231(JP,Y2)
【文献】 実公昭53−028971(JP,Y2)
【文献】 特開平10−077697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62 − 1/99
E04B 2/88 − 2/96
E04F 13/08,13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体として板状をなすように並べられた複数の耐火パネルと、
前記複数の耐火パネルのうち一方向に隣接する耐火パネル同士を接合させる接合具と、
前記隣接する耐火パネル間に介在する耐火部材と、を備え、
前記複数の耐火パネルのそれぞれは、第一金属外皮と、第二金属外皮と、前記第一金属外皮と前記第二金属外皮の間に位置する芯材とを有するサンドイッチパネルであり、
前記隣接する耐火パネルのうちの一方の耐火パネルである第一耐火パネルは、第一接合片を有し、他方の耐火パネルである第二耐火パネルは、前記第一接合片に対して互いの厚み方向に重なる第二接合片を有し、
前記第一接合片と前記第二接合片のそれぞれは、耐火芯材と、前記耐火芯材を覆うように前記第一金属外皮の一部または前記第二金属外皮の一部またはその両方で構成された外皮とを含み、
前記接合具は、前記第一接合片と前記第二接合片の間に前記耐火部材を挟んだ状態で、前記第一接合片と前記第二接合片を一体に接合させることを特徴とするパネルユニット。
【請求項2】
前記第一耐火パネルと前記第二耐火パネルの間に位置する第二耐火部材をさらに備え、
前記一方向において、前記第一接合片は前記第二接合片よりも長く、前記第一接合片が前記第二耐火パネルに当たった状態で前記第二接合片と前記第一耐火パネルの間に隙間が形成され、
前記隙間に、前記第二耐火部材が配されることを特徴とする請求項1に記載のパネルユニット。
【請求項3】
前記一方向において、前記第二耐火部材の寸法は、前記隙間の寸法よりも小さく、
前記第二耐火部材は、高温下において膨張する性質を有することを特徴とする請求項2に記載のパネルユニット。
【請求項4】
前記第一耐火パネルと前記第二耐火パネルに亘るように設けられ、前記隙間を覆う当て板をさらに備えることを特徴とする請求項2または3に記載のパネルユニット。
【請求項5】
前記耐火部材は、前記第一接合片と前記第二接合片に挟まれて圧縮されていること特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のパネルユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のパネルユニットと、
前記パネルユニットの屋外側に位置する化粧パネルと、
前記パネルユニットと前記化粧パネルを保持する枠とを備えることを特徴とするカーテンウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルユニット、及びこれを備えたカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、格子枠内に、窓ガラスと耐火ボードを、この順に屋外側から並ぶように配置したカーテンウォールが記載されている。耐火ボードは、繊維混入けい酸カルシウム板などで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−190614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来のカーテンウォールでは、耐火ボードが繊維混入けい酸カルシウム板などで形成されているため、湿気が耐火ボードを通過しやすい。そのため、上記の従来のカーテンウォールでは、屋内の湿気が耐火ボードを通過して、窓ガラスに結露が生じやすいという問題があった。
【0005】
上記事情に鑑みて、本発明は、例えばカーテンウォールの屋内側部分を構成するパネルとして用いたときに、カーテンウォールの屋外側部分を構成するパネルに結露が生じにくく、かつ耐火性の高いパネルユニット、及びこれを備えたカーテンウォールを提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一態様のパネルユニットは、全体として板状をなすように並べられた複数の耐火パネルと、前記複数の耐火パネルのうち一方向に隣接する耐火パネル同士を接合させる接合具と、前記隣接する耐火パネル間に介在する耐火部材と、を備える。
【0007】
前記複数の耐火パネルのそれぞれは、第一金属外皮と、第二金属外皮と、前記第一金属外皮と前記第二金属外皮の間に位置する芯材とを有するサンドイッチパネルである。
【0008】
前記隣接する耐火パネルのうちの一方の耐火パネルである第一耐火パネルは、第一接合片を有し、他方の耐火パネルである第二耐火パネルは、前記第一接合片に対して互いの厚み方向に重なる第二接合片を有する。
【0009】
前記第一接合片と前記第二接合片のそれぞれは、耐火芯材と、前記耐火芯材を覆うように前記第一金属外皮の一部または前記第二金属外皮の一部またはその両方で構成された外皮とを含む。
【0010】
前記接合具は、前記第一接合片と前記第二接合片の間に前記耐火部材を挟んだ状態で、前記第一接合片と前記第二接合片を一体に接合させる。
【0011】
本発明に係る一態様のカーテンウォールは、前記パネルユニットと、前記パネルユニットの屋外側に位置する化粧パネルと、前記パネルユニットと前記化粧パネルを保持する枠とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、例えばカーテンウォールの屋内側部分を構成するパネルとして用いたときに、カーテンウォールの屋外側部分を構成するパネルに結露が生じにくく、かつ耐火性の高いパネルユニット、及びこのパネルユニットを備えたカーテンウォールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に係る実施形態1のパネルユニットを示す斜視図である。
図2図2Aは、図1のA−A線における断面図であり、図2Bは、図2AのB部分の拡大図であり、図2Cは、図1のC−C線における断面図である。
図3図3は、同上のパネルユニットを備えたカーテンウォールの取付構造の一例を示す側断面図である。
図4図4は、同上のカーテンウォールの取付構造を示す平断面図である。
図5図5Aは、同上のカーテンウォールが設置された建物の一例を示す正面図であり、図5Bは、図5AのD−D線における断面図である。
図6図6は、実施形態1のパネルユニットの他の例を示す側断面図である。
図7図7は、実施形態1のパネルユニットのさらに他の例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(パネルユニット)
図1及び図2A〜Cには、本発明に係る実施形態1のパネルユニット1が示されている。パネルユニット1は、例えば、図3に示すように、カーテンウォール2の一部を構成するパネルとして用いられる。カーテンウォール2は、ビルなどの建物の外壁のうち、窓以外の部分を構成する壁として用いられる。特に、カーテンウォール2は、上階の窓とその下の階の窓の間の部分(いわゆるスパンドレル部分)を構成する外壁として好適に用いられる。
【0015】
以下では、図3に示すカーテンウォール2が建物の躯体3に取り付けられた状態を基準とし、躯体3に対してカーテンウォール2が位置する側を屋外側とし、その反対側を屋内側とし、平面視において屋外側及び屋内側に対して直交する方向を左右方向として、各構成について説明する。各図において、矢印Xで示す方向が屋外側であり、矢印Yで示す方向が右側であり、矢印Zで示す方向が上側である。
【0016】
まず、パネルユニット1を構成する各部材について詳しく説明する。
【0017】
パネルユニット1は、図1及び図2A〜Cに示すように、全体として板状をなすように並べられた複数の耐火パネル4と、隣接する耐火パネル4同士を接合させる接合具5と、隣接する耐火パネル4間に介在する耐火部材6を備える。
【0018】
複数の耐火パネル4のそれぞれは、第一金属外皮7と、第二金属外皮8と、第一金属外皮7と第二金属外皮8の間に位置する芯材9とを有するサンドイッチパネルである。第二金属外皮8は、第一金属外皮7の屋内側に位置する。
【0019】
金属外皮7,8は、金属板をロール成形などで加工することによって設けられる。金属板としては、亜鉛めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板、塗装鋼板などが用いられる。金属外皮7,8の板厚は、例えば、0.3〜1.5mmである。
【0020】
芯材9は、断熱材90と耐火材91の組み合わせで構成される。断熱材90は、ロックウール、グラスウールなどの繊維状無機材をバインダーなどで固めて形成したブロック体を、複数並べて、全体形状が板状となるように配置したものである。耐火材91は、断熱材90に比べて耐火性の高い部材であり、例えば、石膏ボード、珪酸カルシウムボードなどである。
【0021】
耐火材91は、芯材9の屋内側の部分を構成する第一耐火材910と、芯材9の上端部を構成する第二耐火材911と、芯材9の下端部を構成する第三耐火材912と、後述する接合片10,11の内部を構成する第四耐火材913を含む。断熱材90は、芯材9の屋外側の部分を構成する。第一耐火材910の厚み(屋内外方向の長さ)は、芯材9の厚み(屋内外方向の長さ)のおよそ三分の一であり、断熱材90の厚み(屋内外方向の長さ)は、芯材9の厚み(屋内外方向の長さ)のおよそ三分の二である。芯材9は、第四耐火材913を1つあるいは2つ有する。
【0022】
断熱材90、第一耐火材910、第二耐火材911及び第三耐火材912は、全体形状が矩形板状の本体ユニット92を構成している。第四耐火材913は、本体ユニット92から上方または下方に突出するように配される。第四耐火材913は、左右方向に長い四角柱状である。
【0023】
芯材9は、左右方向に亘って材質が一定である。すなわち、芯材9は、左右方向に亘って、断熱材90と耐火材910,911,912,913を有する。
【0024】
接合具5は、タッピンねじなどであり、金属外皮7,8及び第四耐火材913を貫通可能なねじである。
【0025】
耐火部材6は、シリカマグネシアカルシア繊維のシート(スーパーウール(登録商標))などである。耐火部材6は、左右方向に長く、隣接する耐火パネル4間に、左右方向に亘って介在する。
【0026】
パネルユニット1は、複数の耐火パネル4として、第一パネルP1、第二パネルP2、及び第三パネルP3を備える。第一パネルP1、第二パネルP2、及び第三パネルP3は、この順に上から下へと並ぶ。
【0027】
第一パネルP1は、下方に突出した下接合片10を下端に備える。第二パネルP2は、上方に突出した上接合片11を上端に備え、下方に突出した下接合片10を下端に備える。第三パネルP3は、上方に突出した上接合片11を上端に備える。第一パネルP1の上端面と第三パネルP3の下端面はそれぞれ、略平坦である。上下方向において、上接合片11の長さは、下接合片10の長さよりも若干長く、その差は、例えば4mmである。
【0028】
下接合片10と上接合片11のそれぞれは、耐火芯材12と、耐火芯材12を覆う外皮13とを含む。外皮13は、第一金属外皮7の一部または第二金属外皮8の一部またはその両方で構成される。耐火芯材12は、第四耐火材913で構成される。
【0029】
続いて、パネルP1,P2,P3のそれぞれについて詳しく説明する。
【0030】
第一パネルP1は、芯材9として、本体ユニット92と、本体ユニット92の下側に位置する第四耐火材913を含む。本体ユニット92と第四耐火材913の屋内側の面同士は、略面一である。
【0031】
第一パネルP1では、第一金属外皮7は、本体ユニット92の屋外側の面に取り付けられる第一本体部70と、第一本体部70の上縁から屋内側に延びる第一上片部71と、第一本体部70の下縁から屋内側に延びる第一下片部72と、第一下片部72の屋内側の端縁から下方に延びる下挿通片部73を有する。第一金属外皮7はさらに、第一本体部70の左右の縁のそれぞれから屋内側に延びる第一側片部74を有する。第一本体部70に対して、第一上片部71、第一下片部72、及び一対の第一側片部74のそれぞれは、略直角である。第一下片部72に対して下挿通片部73は、略垂直である。第一本体部70は、本体ユニット92の屋外側の面に接着されている。
【0032】
第一パネルP1では、第二金属外皮8は、屋外側に向けて開口した矩形の箱型である。詳しくは、第二金属外皮8は、本体ユニット92及び第四耐火材913の屋内側の面に取り付けられる第二本体部80と、第二本体部80の上縁から屋外側に延びる第二上片部81と、第二本体部80の下縁から屋外側に延びる第二下片部82を有する。第二金属外皮8はさらに、第二本体部80の左右の縁のそれぞれから屋外側に延びる第二側片部83を有する。第二本体部80に対して、第二上片部81、第二下片部82、及び一対の第二側片部83のそれぞれは、略直角である。第二本体部80は、本体ユニット92及び第四耐火材913の屋内側の面に接着されている。
【0033】
第一上片部71と第二上片部81は、互いに離れて位置し、下挿通片部73と第二下片部82は、互いに離れて位置し、第一側片部74と第二側片部83は、互いに離れて位置する。
【0034】
第一パネルP1では、第一金属外皮7の下挿通片部73と、第二金属外皮8の第二本体部80の下端部と第二下片部82と左右一対の第二側片部83の下端部が、下接合片10の外皮13を構成し、第四耐火材913が、下接合片10の耐火芯材12を構成している。
【0035】
第二パネルP2は、芯材9として、本体ユニット92と、本体ユニット92の上下に位置する一対の第四耐火材913を含む。上側の第四耐火材913と本体ユニット92の屋外側の面同士は、略面一であり、本体ユニット92と下側の第四耐火材913の屋内側の面同士は、略面一である。
【0036】
第二パネルP2では、第一金属外皮7は、本体ユニット92と上側の第四耐火材913の屋外側の面に取り付けられる第一本体部70と、第一本体部70の上縁から屋内側に延びる第一上片部71と、第一本体部70の下縁から屋内側に延びる第一下片部72と、第一下片部72の屋内側の端縁から下方に延びる下挿通片部73と、第一上片部71の屋内側の端縁から下方に延びる上挿通片部75を有する。第一金属外皮7はさらに、第一本体部70の左右の縁のそれぞれから屋内側に延びる第一側片部74を有する。第一本体部70に対して、第一上片部71、第一下片部72、及び一対の第一側片部74のそれぞれは、略直角である。第一下片部72に対して下挿通片部73は、略垂直である。第一上片部71に対して上挿通片部75は、略垂直である。第一本体部70は、本体ユニット92と上側の第四耐火材913の屋外側の面に接着されている。
【0037】
第二パネルP2では、第二金属外皮8は、屋外側に向けて開口した矩形の箱型である。詳しくは、第二金属外皮8は、本体ユニット92及び下側の第四耐火材913の屋内側の面に取り付けられる第二本体部80と、第二本体部80の上縁から屋外側に延びる第二上片部81と、第二本体部80の下縁から屋外側に延びる第二下片部82を有する。第二金属外皮8はさらに、第二本体部80の左右の縁のそれぞれから屋外側に延びる第二側片部83を有する。第二本体部80に対して、第二上片部81、第二下片部82、及び一対の第二側片部83のそれぞれは、略直角である。第二本体部80は、本体ユニット92及び下側の第四耐火材913の屋内側の面に接着されている。
【0038】
上挿通片部75と第二上片部81は、互いに離れて位置し、下挿通片部73と第二下片部82は、互いに離れて位置し、第一側片部74と第二側片部83は、互いに離れて位置する。
【0039】
第二パネルP2では、第一金属外皮7の下挿通片部73と、第二金属外皮8の第二本体部80の下端部と第二下片部82と左右一対の第二側片部83の下端部とが、下接合片10の外皮13を構成し、下側の第四耐火材913が、下接合片10の耐火芯材12を構成する。そして、第一金属外皮7の第一本体部70の上端部と第一上片部71と上挿通片部75と左右一対の第一側片部74の上端部とが、上接合片11の外皮13を構成し、上側の第四耐火材913が、上接合片11の耐火芯材12を構成している。
【0040】
第三パネルP3は、芯材9として、本体ユニット92と、本体ユニット92の上側に位置する第四耐火材913を含む。第四耐火材913と本体ユニット92の屋外側の面同士は、略面一である。
【0041】
第三パネルP3では、第一金属外皮7は、本体ユニット92と第四耐火材913の屋外側の面に取り付けられる第一本体部70と、第一本体部70の上縁から屋内側に延びる第一上片部71と、第一本体部70の下縁から屋内側に延びる第一下片部72と、第一上片部71の屋内側の端縁から下方に延びる上挿通片部75を有する。第一金属外皮7はさらに、第一本体部70の左右の縁のそれぞれから屋内側に延びる第一側片部74を有する。第一本体部70に対して、第一上片部71、第一下片部72、及び一対の第一側片部74のそれぞれは、略直角である。第一上片部71に対して上挿通片部75は、略垂直である。第一本体部70は、本体ユニット92と第四耐火材913の屋外側の面に接着されている。
【0042】
第三パネルP3では、第二金属外皮8は、屋外側に向けて開口した矩形の箱型である。詳しくは、第二金属外皮8は、本体ユニット92の屋内側の面に取り付けられる第二本体部80と、第二本体部80の上縁から屋外側に延びる第二上片部81と、第二本体部80の下縁から屋外側に延びる第二下片部82を有する。第二金属外皮8はさらに、第二本体部80の左右の縁のそれぞれから屋外側に延びる第二側片部83を有する。第二本体部80に対して、第二上片部81、第二下片部82、及び一対の第二側片部83のそれぞれは、略直角である。第二本体部80は、本体ユニット92の屋内側の面に接着されている。
【0043】
上挿通片部75と第二上片部81は、互いに離れて位置し、第一下片部72と第二下片部82は、互いに離れて位置し、第一側片部74と第二側片部83は、互いに離れて位置する。
【0044】
第三パネルP3では、第一金属外皮7の第一本体部70の上端部と第一上片部71と上挿通片部75と左右一対の第一側片部74の上端部とが、上接合片11の外皮13を構成し、第四耐火材913が、上接合片11の耐火芯材12を構成する。
【0045】
さらに、パネルP1,P2,P3は、下記の関係を有するように設けられている。
【0046】
パネルP1,P2は、第一本体部70の屋外側の面同士が略面一となるように配置した状態で、第一パネルP1の下挿通片部73と第二パネルP2の上挿通片部75との間に隙間14が形成されるように、第一パネルP1の下挿通片部73と第二パネルP2の上挿通片部75の配置が決められている。隙間14の屋内外方向の寸法は、例えば3mmである。
【0047】
パネルP1,P2は、第一パネルP1の第一下片部72の下面に、第二パネルP2の第一上片部71の上面が当たった状態で、第一パネルP1の第二下片部82と第二パネルP2の第二上片部81との間に隙間15が形成されるように、第一パネルP1の下接合片10の上下長さと第二パネルP2の上接合片11の上下長さが決められている。隙間15の上下方向の寸法は、例えば4mmである。
【0048】
パネルP2,P3は、第一本体部70の屋外側の面同士が略面一となるように配置した状態で、第二パネルP2の下挿通片部73と第三パネルP3の上挿通片部75との間に隙間14が形成されるように、第二パネルP2の下挿通片部73と第三パネルP3の上挿通片部75の配置が決められている。隙間14の屋内外方向の寸法は、例えば3mmである。
【0049】
パネルP2,P3は、第二パネルP2の第一下片部72の下面に、第三パネルP3の第一上片部71の上面が当たった状態で、第二パネルP2の第二下片部82と第三パネルP3の第二上片部81との間に隙間15が形成されるように、第二パネルP2の下接合片10の上下長さと第三パネルP3の上接合片11の上下長さが決められている。隙間15の上下方向の寸法は、例えば4mmである。
【0050】
パネルユニット1はさらに、第二耐火部材16、当て板17、シール部材18、固定具19、及び連結板20を備える。
【0051】
第二耐火部材16は、耐火性に加えて、火災時などの高温下において膨張する性質を有する部材であり、例えば、熱膨張性黒鉛を含んだロックウールフェルトである。第二耐火部材16の上下方向の長さ(つまり厚み)は、隙間15の上下方向の寸法よりも若干小さく、例えば、3mmである。
【0052】
当て板17は、金属板をロール成形などで加工することによって設けられる。金属板としては、亜鉛めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板、塗装鋼板などが用いられる。当て板17の板厚は、例えば、0.8mmである。
【0053】
当て板17は、全体形状が略矩形である。当て板17の左右長さは、パネルP1,P2,P3の左右長さよりも若干短い。当て板17は、矩形板状の本体部170と、本体部170の上縁から本体部170の上半部の屋外側の面に沿うように折り返された上折り返し片171と、本体部170の下縁から本体部170の下半部の屋外側の面に沿うように折り返された下折り返し片172とを有する。上折り返し片171の下端と、下折り返し片172の上端とは、上下方向に離れている。
【0054】
本体部170と上折り返し片171が重なった部分が、接合具5が挿通される部分であり、本体部170と下折り返し片172が重なった部分が、固定具19が挿通される部分である。
【0055】
シール部材18は、板状の弾性部材であり、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)製である。シール部材18の左右長さは、当て板17の左右長さと略同じである。シール部材18は、当て板17の本体部170の屋外側の面のうち、上折り返し片171と下折り返し片172の間の部位に、接着されて用いられる。
【0056】
固定具19は、タッピンねじなどであり、当て板17、第二金属外皮8、及び第一耐火材910を貫通可能なねじである。固定具19は、当て板17の固定に用いられる。固定具19は、接合具5に比べて屋内外方向の長さが短い。
【0057】
連結板20は、金属板を加工して設けられる。金属板としては、亜鉛めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板、塗装鋼板などが用いられる。連結板20の板厚は、例えば、0.8mmである。連結板20は、本実施形態では、八角形状であるが、円形などのその他の形状であってもよい。連結板20は、第一金属外皮7の第一側片部74と、第二金属外皮8の第二側片部83のそれぞれに、ねじなどの固定具で固定され、これにより、金属外皮7,8を連結する。
【0058】
続いて、パネルユニット1の製造方法の一例について詳しく説明する。
【0059】
パネルユニット1は、自身の厚み方向が上下方向に対して平行となる倒伏姿勢で製造される。以下では、倒伏姿勢の向きを基準にして説明する。倒伏姿勢のパネルユニット1では、第一金属外皮7が第二金属外皮8よりも下方に位置し、第一パネルP1、第二パネルP2、第三パネルP3が、この順に前から後に並んで位置する。
【0060】
パネルP1,P2,P3としては、左右の側面のそれぞれに一対の連結板20が取り付けられて金属外皮7,8が連結されたパネルを用いる。パネルP2,P3のそれぞれの第二上片部81の前面には左右方向に亘って、第二耐火部材16が貼り付けられている。また、パネルP2,P3のそれぞれの上接合片11の上挿通片部75の上面には左右方向に亘って、耐火部材6が貼り付けられている。耐火部材6としては、例えば、上下方向の長さ(つまり厚み)が6mmのスーパーウール(登録商標)を用いられる。
【0061】
まず、第三パネルP3を倒伏姿勢で配置し、第三パネルP3の前方に、第二パネルP2を倒伏姿勢で配置する。第二パネルP2は、第二パネルP2の第一下片部72が、第三パネルP3の第一上片部71に当たる(面接触する)ように配置する(つまりパネルP2,P3の隣接する端部同士を突き合わせる)。このとき、第三パネルP3の第二上片部81と第二パネルP2の第二下片部82との間には隙間15が形成され、この隙間15には第二耐火部材16が位置する。
【0062】
次いで、第二パネルP2の前方に、第一パネルP1を倒伏姿勢で配置する。第一パネルP1は、第一パネルP1の第一下片部72が、第二パネルP2の第一上片部71に当たる(面接触する)ように配置する(つまりパネルP1,P2の隣接する端部同士を突き合わせる)。このとき、第二パネルP2の第二上片部81と第一パネルP1の第二下片部82との間には隙間15が形成され、この隙間15には第二耐火部材16が位置する。
【0063】
次いで、第三パネルP3の第二本体部80の上面の前端部と、第二パネルP2の第二本体部80の上面の後端部に亘るように、シール部材18付きの当て板17を配置する。
【0064】
次いで、当て板17の後端部(本体部170と下折り返し片172とが重なった部分)に、上方から固定具19をねじ込んで、当て板17の後端部を、第三パネルP3の第二本体部80に固定する。このとき、固定具19は、第一耐火材910内までねじ込まれる。
【0065】
次いで、当て板17の前端部(本体部170と上折り返し片171とが重なった部分)に、上方から接合具5をねじ込んで、当て板17の前端部を、第二パネルP2の第二本体部80に固定する。このとき、接合具5は、本体部170、上折り返し片171、第二パネルP2の第二本体部80、第二パネルP2の第四耐火材913、第二パネルP2の下挿通片部73、耐火部材6、及び第三パネルP3の上挿通片部75を貫通して、第三パネルP3の耐火芯材12(第四耐火材913)内までねじ込まれる。これにより、第三パネルP3の上接合片11と第二パネルP2の下接合片10とが接合具5によって一体に接合され、パネルP2,P3が連結される。
【0066】
パネルP2,P3が連結された状態では、耐火部材6は、第二パネルP2の下挿通片部73と第三パネルP3の上挿通片部75で挟まれて、上下長さが略半分(約3mm)となる状態に圧縮される。シール部材18は、当て板17の本体部170とパネルP2,P3の第二本体部80のそれぞれに対して密着し、隙間15はシール部材18と当て板17によって塞がれる。パネルP2,P3の第一本体部70の下面同士は、互いに略面一となり、パネルP2,P3の第二本体部80の上面同士は、互いに略面一となる。
【0067】
次いで、上述したパネルP2,P3の連結と同様の方法で、パネルP1,P2が連結される。なお、パネルP1,P2の連結の方法についての説明は省略する。
【0068】
パネルP1,P2が連結された状態では、耐火部材6は、第一パネルP1の下挿通片部73と第二パネルP2の上挿通片部75で挟まれて、上下長さが略半分となる状態に圧縮される。シール部材18は、当て板17の本体部170とパネルP1,P2の第二本体部80のそれぞれに対して密着し、隙間15はシール部材18と当て板17によって塞がれる。パネルP1,P2の第一本体部70の下面同士は、互いに略面一となり、パネルP1,P2の第二本体部80の上面同士は、互いに略面一となる。
【0069】
上述のようにパネルP1,P2,P3の接合片10,11同士が接合具5によって接合されることで、図1に示すパネルユニット1が製造される。
【0070】
以上説明した本実施形態のパネルユニット1は、上下に並ぶ複数の耐火パネル4(パネルP1,P2,P3)のそれぞれが、金属外皮7,8とその間に位置する芯材9を有するサンドイッチパネルであるため、湿気が通過しにくい。そのため、本実施形態のパネルユニット1は、カーテンウォール2の屋内側部分を構成するパネルとして用いたときに、カーテンウォール2の屋外側部分を構成するパネルに結露が生じにくい。
【0071】
また、本実施形態のパネルユニット1は、複数の耐火パネル4の隣接する端部同士を突き合わせたときに、いずれの突合せ箇所にも屋外側に向けて開口する隙間が形成されず、突合せ箇所ごとに形成される目地の上下幅が互いに同じとなるため、外観が一様であり、見栄えがよい。そのため、本実施形態のパネルユニット1は、上下幅が互いに同じで意匠性の高い目地を有するパネルとなっている。
【0072】
なお仮に、上下に隣接する2つの耐火パネル4を、上側の耐火パネル4の第一下片部72と下側の耐火パネル4の第一上片部71とが当たり、かつ上側の耐火パネル4の第二下片部82と下側の耐火パネル4の第二上片部81とが当たるように設ける場合、金属外皮7,8の製造誤差、金属外皮7,8の芯材9に対する貼り付け位置のズレなどによって、耐火パネル4同士の突合せ箇所に、屋外側に向けて開口する隙間が形成されやすく、突合せ箇所ごとに形成される目地の上下幅が互いに異なって外観が不均一となり、見栄えが悪くなりやすい。
【0073】
また、本実施形態のパネルユニット1では、複数の耐火パネル4の隣接する端部同士を突き合わせるだけで、突合せ箇所ごとに形成される目地の上下幅を互いに同じとすることができるため、各目地の上下幅を合わせるための施工を別途行う必要がなく、組み立てが容易である。
【0074】
また、本実施形態のパネルユニット1では、上下に隣接する2つの耐火パネル4を、接合片10,11同士が互いの厚み方向に重なる形態で連結し、隣接する2つの耐火パネル4の突合せ部分に耐火部材6及び第二耐火部材16を配置し、上下に隣接する2つの耐火パネル4間の隙間15を当て板17で塞いでいる。これにより、本実施形態のパネルユニット1では、屋内側で火災が起こった場合に、2つの耐火パネル4の突合せ部分を通じて炎が屋外側へと拡がることをより確実に防止することができる。
【0075】
また、本実施形態のパネルユニット1では、上下に隣接する2つの耐火パネル4の接合片10,11間において耐火部材6を圧縮された状態で配置することによって、さらに耐火性が向上している。
【0076】
また、本実施形態のパネルユニット1は、複数の耐火パネル4の組み合わせで構成されるため、1枚の耐火パネル4の製造最大寸法よりも大きい寸法で製造可能であり、様々なサイズのカーテンウォール2に対応することができる。
【0077】
(カーテンウォール)
続いて、上述したパネルユニット1を備えたカーテンウォール2について詳しく説明する。
【0078】
図3及び図4に示すように、カーテンウォール2は、パネルユニット1と、パネルユニット1の屋外側に位置する化粧パネル21と、パネルユニット1と化粧パネル21を保持する枠22とを備える。
【0079】
カーテンウォール2は、全体の形状が上下に長い略矩形板状の壁材である(図5A,B参照)。カーテンウォール2の上下長さは、建物の階高(取付先の階の床面からその上の階の床面までの高さ)と略同じ長さである。化粧パネル21は、透明なガラス板である。枠22は、例えば、アルミニウム製である。
【0080】
枠22は、左右一対の縦枠部材(方立)23と、上下一対の横枠部材(無目)24を備える。左右一対の縦枠部材23と上下一対の横枠部材24とは、略矩形枠状をなすように一体に設けられている。
【0081】
枠22はさらに、各縦枠部材23に取り付けられる左右一対の縦ガイド枠25と、各横枠部材24に取り付けられる上下一対の横ガイド枠26を備える。
【0082】
各縦ガイド枠25は、パネルユニット1を保持する部分であり、各縦枠部材23の枠内側を向く面の屋内側の部分にねじ等の固定具で取り付けられる。各縦ガイド枠25は、上下方向に長い半角筒状(平断面コ字状)の部材である。各縦ガイド枠25は、縦枠部材23に固定される底壁250と、底壁250の屋外側の端部と屋内側の端部のそれぞれから略垂直に突出した支持壁251を有する。
【0083】
各横ガイド枠26は、パネルユニット1を保持する部分であり、各横枠部材24の枠内側を向く面の屋内側の部分にねじ等の固定具で取り付けられる。各横ガイド枠26は、左右方向に長い半角筒状(平断面コ字状)の部材である。各横ガイド枠26は、横枠部材24に固定される底壁260と、底壁260の屋外側の端部と屋内側の端部のそれぞれから略垂直に突出した支持壁261を有する。
【0084】
化粧パネル21の周縁部は、ガスケット27を介して枠22の屋外側の部分に保持され、パネルユニット1の周縁部は、左右一対の縦ガイド枠25と上下一対の横ガイド枠26を介して枠22の屋内側の部分に保持される。パネルユニット1の左右の端部は、各縦ガイド枠25の底壁250との間に隙間が形成されるように、各縦ガイド枠25の一対の支持壁251によって挟まれて保持される。パネルユニット1の上下の端部は、各横ガイド枠26の底壁260との間に隙間が形成されるように、各横ガイド枠26の一対の支持壁261によって挟まれて保持される。これにより、パネルユニット1は、地震などにより層間変位が生じた場合に揺動可能であり、破損が生じにくい。
【0085】
続いて、カーテンウォール2の取付構造の一例について説明する。
【0086】
カーテンウォール2の左右一対の縦枠部材23のそれぞれの上端部には、ボルトなどの固定具で取付金具28が固定される。建物の躯体3(本実施形態では梁)には、ボルトなどの固定具で側面視L字状の取付金具29が固定される。カーテンウォール2に固定された取付金具28は、躯体3に固定された取付金具29に対して引っ掛けられた状態で、取付金具29に対してボルトなどの固定具30で固定される。これにより、カーテンウォール2は、躯体3に対して取り付けられる。取付金具28,29のそれぞれは、例えば、鋼製である。
【0087】
以上説明した本実施形態のカーテンウォール2は、化粧パネル21の屋内側に配されるパネルとして、金属製の外皮で芯材を挟んだサンドイッチパネルからなるパネルユニット1を用いている。そのため、本実施形態のカーテンウォール2では、屋内側のパネルを湿気が通過しにくく、化粧パネル21に、結露が生じにくい。
【0088】
また、本実施形態のカーテンウォール2は、化粧パネル21を通じて視えるパネルユニット1の外観が一様であるため、見栄えがよい。
【0089】
続いて、図5A,Bに示す本実施形態のカーテンウォール2を備えた建物100の一例について説明する。
【0090】
建物100は、本実施形態のカーテンウォール2の他に、ガラスカーテンウォール101を備える。ガラスカーテンウォール101は、カーテンウォール2と類似の構造であり、パネルユニット1の代わりにガラスパネルを備える。なお、カーテンウォール2とガラスカーテンウォール101のそれぞれは、図5A,Bに示すように、上下方向の一部に換気口102を有してもよい。
【0091】
カーテンウォール2とガラスカーテンウォール101のそれぞれは、建物100の躯体3に対して、例えば、図3,4に示す取付金具28,29を介して固定される。
【0092】
建物100では、複数のカーテンウォール2と複数のガラスカーテンウォール101とが、用途に合わせて縦横に並ぶように設置されている。各ガラスカーテンウォール101は、窓部分を構成する外壁として用いられ、各カーテンウォール2は、例えばトイレ室等の窓の不要な区画の外壁として用いられる。
【0093】
建物100のうち、カーテンウォール2が設置される部分では、火災時に下の階から上の階へと炎が拡がることを特に効果的に抑えることができる。
【0094】
(変更例)
続いて、上述した実施形態1のパネルユニット1及びカーテンウォール2の変更例について説明する。
【0095】
パネルユニット1は、上下に並んだ2枚、または4枚以上の耐火パネル4を備えてもよい。
【0096】
断熱材90は、ウレタンフォームやフェノールフォームなどの樹脂発泡材料で形成された板状の部材であってもよい。
【0097】
耐火部材6は、耐火性の高い部材であればよく、例えば、ケイ酸カルシウム板でもよいし、熱膨張性黒鉛を含んだロックウールフェルトであってもよい。
【0098】
パネルユニット1は、当て板17及びシール部材18を備えなくてもよく、耐火部材6,16で耐火性を確保してもよい。
【0099】
当て板17は、図6に示すように、上側の耐火パネル4の第二本体部80のうち、第一耐火材910の下端部の屋内側に位置する部分から、下側の耐火パネル4の第二本体部80のうち、第一耐火材910の上端部の屋内側に位置する部分へ亘る長さを有してもよい。この場合、当て板17のうち上折り返し片171よりも若干下側の部分が、上側の耐火パネル4の第二本体部80の前記の部分と第一耐火材910の下端部に対して固定具19で固定され、当て板17のうち下折り返し片171よりも若干上側の部分が、下側の耐火パネル4の第二本体部80の前記の部分と第一耐火材910の上端部に固定具19で固定されたうえで、接合片10,11同士が接合具5で接合される。
【0100】
さらに、パネルユニット1は、図6に示すように、当て板17を覆うようにロックウール等の耐火被覆材を吹き付けて、屋内側に耐火被覆層31を設けたものであってもよい。耐火被覆層31は、例えば、その厚み(前後長さ)が30mmであり、上下長さが当て板17の上下長さよりも長く、左右長さが当て板17の左右長さと略同じである。この場合、耐火被覆層31によって、パネルユニット1の接合部分の耐火性をさらに向上させることができる。
【0101】
また、当て板17は、図7に示すように、屋内側に向けて突出した所定の長さの突片173を有してもよい。この場合、突片173を目安に耐火被覆材を吹き付けることができるため、耐火被覆層31の形成が容易である。図7に示す例では、当て板17は、左右方向に亘って略一定の断面形状を有し、その断面形状が半角筒状(略コ字状)である。つまり、当て板17は、本体部170と、本体部170の上端部と下端部のそれぞれから屋内側に突出した突片173とを有する。なお、当て板17は、矩形板状の部材に、固定具19や接合具5あるいは接着等でL字状の部材を取り付けたものであってもよい。
【0102】
パネルユニット1は、複数の隙間15の全てが1つの当て板17によって覆われるように構成されてもよい。
【0103】
化粧パネル21は、半透明または不透明なガラス板であってもよいし、ガラス板に限らず、樹脂製のパネル、金属製のパネル、コンクリートパネルなどであってもよい。化粧パネル21として用いるパネルの素材及び形状は、建物のデザインなどを基準に、適宜選択可能である。
【0104】
パネルユニット1は、上下に隣接する耐火パネル4が、互いの屋外側の面同士が面一となるように接合されたものに限らず、上側の耐火パネル4の屋外側の面が下側の耐火パネル4の屋外側の面よりも若干(1〜2mm程度)屋内側に位置するように接合されたものであってもよい。この場合、上下の耐火パネル4の接合片10,11間に介在する耐火部材6の厚みを大きくすることができ、耐火性の向上を図ることができる。なお、上側の耐火パネル4の屋外側の面が下側の耐火パネル4の屋外側の面よりも屋外側に位置するように接合することは、上下の耐火パネル4の目地部分に影が形成されやすいため好ましくない。
【0105】
パネルユニット1は、上下に隣接する耐火パネル4のうち上側の耐火パネル4が下接合片10を屋外側に有し、下側の耐火パネル4が上接合片11を屋内側に有してもよく、この場合、下接合片10は上接合片11よりも上下方向に長く設けられる。
【0106】
パネルユニット1は、第二耐火部材16を備えなくてもよく、接合片10,11間に介在する耐火部材6のみで、耐火性を確保してもよい。
【0107】
パネルユニット1は、上下に隣接する耐火パネル4の互いの厚み方向に重なる接合片10,11の上下長さが互いに同じであってもよく、つまり、屋内側に開口する隙間15が形成されないものであってもよい。
【0108】
耐火部材6は、接合片10,11間に圧縮されていない状態で介在してもよい。
【0109】
第二耐火部材16は、高温下において膨張する性質を有さなくてもよく、この場合、第二耐火部材16の上下方向の寸法(つまり厚み)は、隙間15の上下方向の寸法と同じであることが好ましい。
【0110】
カーテンウォール2の上下長さは、階高よりも短くてもよい。
【0111】
パネルユニット1は、カーテンウォール2の屋内側部分を構成するパネルとしての利用に限らず、その他の耐火性を要するパネルとして利用してもよい。例えば、パネルユニット1は、内装用パネルとして利用してもよい。
【0112】
(効果)
本発明に係る第一の態様のパネルユニット1は、上述した実施形態1のパネルユニット1のように、下記の第一の構成を備えることを特徴とする。
【0113】
すなわち、第一の態様のパネルユニット1は、全体として板状をなすように並べられた複数の耐火パネル4と、複数の耐火パネル4のうち一方向に隣接する耐火パネル4同士を接合させる接合具5と、隣接する耐火パネル4間に介在する耐火部材6を備える。
【0114】
複数の耐火パネル4のそれぞれは、第一金属外皮7と、第二金属外皮8と、第一金属外皮7と第二金属外皮8の間に位置する芯材9とを有するサンドイッチパネルである。
【0115】
隣接する耐火パネル4のうちの一方の耐火パネル4である第一耐火パネル(例えば第二パネルP2)は、第一接合片(上接合片11)を有し、他方の耐火パネル4である第二耐火パネル(例えば第一パネルP1)は、第一接合片に対して互いの厚み方向に重なる第二接合片(下接合片10)を有する。
【0116】
第一接合片と第二接合片のそれぞれは、耐火芯材12と、耐火芯材12を覆うように第一金属外皮7の一部または第二金属外皮8の一部またはその両方で構成された外皮13を含む。
【0117】
接合具5は、第一接合片と第二接合片の間に耐火芯材12を挟んだ状態で、第一接合片と第二接合片を一体に接合させる。
【0118】
上記の第一の構成のように、第一の態様のパネルユニット1では、複数の耐火パネル4のそれぞれが、金属外皮7,8とその間に位置する芯材9とを有するサンドイッチパネルである。そのため、第一の態様のパネルユニット1では、例えばカーテンウォール2の屋内側部分を構成するパネルとして用いたときに、湿気が通過しにくくて、カーテンウォール2の屋外側部分を構成するパネル(化粧パネル21)に結露が生じにくい。
【0119】
また、第一の態様のパネルユニット1では、隣接する耐火パネル4の接合片同士が互いの厚み方向に重なる形態で接合し、この接合片間に耐火部材6が介在するため、平坦な面同士を突き合わせて接合する場合に比べて、隣接する耐火パネル4同士の突合せ箇所の耐火性の向上を図ることができる。
【0120】
また、本発明に係る第二の態様のパネルユニット1では、上述した実施形態1のパネルユニット1のように、上記の第一の構成に加えて、下記の第二の構成を備えることを特徴とする。
【0121】
すなわち、第二の態様のパネルユニット1では、第一耐火パネル(例えば第二パネルP2)と第二耐火パネル(例えば第一パネルP1)の間に位置する第二耐火部材16をさらに備える。前記一方向において、第一接合片(第二パネルP2の上接合片11)は第二接合片(第一パネルP1の下接合片10)よりも長く、第一接合片(第二パネルP2の上接合片11)が第二耐火パネル(第一パネルP1)に当たった状態で第二接合片(第一パネルP1の下接合片10)と第一耐火パネル(第一パネルP1)の間に隙間15が形成され、隙間15に、第二耐火部材16が配される。
【0122】
上記の第二の構成を備えることで、第二の態様のパネルユニット1では、隣接する耐火パネル4の端部同士を突き合わせた状態で、いずれの突合せ箇所にも屋外側に向けて開口する隙間が形成されないようにすることができ、一様な外観に製造しやすい。また、第二の態様のパネルユニット1では、隙間15に第二耐火部材16を配することで、隙間15の形成による耐火性の低下を抑えることができる。
【0123】
また、本発明に係る第三の態様のパネルユニット1では、上述した実施形態1のパネルユニット1のように、上記の第二の態様のパネルユニット1において、下記の第三の構成を備えることを特徴とする。
【0124】
すなわち、第三の態様のパネルユニット1では、前記一方向において、第二耐火部材16の寸法は、隙間15の寸法よりも小さく、第二耐火部材16は、高温下において膨張する性質を有する。
【0125】
上記の第三の構成を備えることで、第三の態様のパネルユニット1では、隣接する耐火パネル4の端部同士を突き合わせるときに、第二耐火部材16が妨げになって、第一接合片(第二パネルP2の上接合片11)が第二耐火パネル(第一パネルP1)に当たらなくなることを防止できる。そのうえで、第三の態様のパネルユニット1では、高温下においては、膨張した第二耐火部材16によって隙間15を埋めることができて、耐火性の向上を図ることができる。
【0126】
また、本発明に係る第四の態様のパネルユニット1では、上述した実施形態1のパネルユニット1のように、上記の第二または第三の態様のパネルユニット1において、下記の第四の構成を備えることを特徴とする。
【0127】
すなわち、第四の態様のパネルユニット1では、第一耐火パネル(例えば第二パネルP2)と第二耐火パネル(例えば第一パネルP1)に亘るように設けられ、隙間15を覆う当て板17をさらに備える。
【0128】
上記の第四の構成を備えることで、第四の態様のパネルユニット1では、上下に隣接する耐火パネル4間に形成される隙間15を、当て板17によって塞ぐことで、耐火性の低下を抑えることができる。
【0129】
また、本発明に係る第五の態様のパネルユニット1では、上述した実施形態1のパネルユニット1のように、上記の第一乃至第四の態様のいずれかのパネルユニット1において、下記の第五の構成を備えることを特徴とする。
【0130】
すなわち、第五の態様のパネルユニット1では、耐火部材6は、第一接合片(例えば第二パネルP2の上接合片11)と第二接合片(例えば第一パネルP1の下接合片10)に挟まれて圧縮されている。
【0131】
上記の第五の構成を備えることで、第五の態様のパネルユニット1では、接合片間の隙間を小さくしつつ、耐火部材6の密度を高めることができ、隣接する耐火パネル4の突合せ箇所の耐火性の向上を図ることができる。
【0132】
また、本発明に係る第一の態様のカーテンウォール2は、上述した実施形態1のカーテンウォール2のように、下記の第六の構成を備えることを特徴とする。
【0133】
すなわち、第一の態様のカーテンウォール2は、第一乃至第五の態様のいずれかのパネルユニット1と、パネルユニット1の屋外側に位置する化粧パネル21と、パネルユニット1と化粧パネル21を保持する枠22とを備える。
【0134】
上記の第六の構成を備えることで、第一の態様のカーテンウォール2では、カーテンウォール2の屋内側部分を構成するパネルユニット1を、湿気が通過しにくくて、カーテンウォール2の屋外側部分を構成する化粧パネル21に結露が生じにくい。
【0135】
また、第一の態様のカーテンウォール2では、パネルユニット1の耐火性の向上を図ることができるため、その結果、カーテンウォール2全体としての耐火性の向上も図ることができる。
【0136】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0137】
1 パネルユニット
2 カーテンウォール
4 耐火パネル
5 接合具
6 耐火部材
7 第一金属外皮
8 第二金属外皮
9 芯材
12 耐火芯材
13 外皮
15 隙間
16 第二耐火部材
17 当て板
21 化粧パネル
22 枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7