(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。またさらに、必要に応じて示す上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図示の表示に基づくものとする。さらにまた、図面における各種の寸法比率は、その図示の比率に限定されるものではない。
【0016】
(本実施形態)
以下の実施形態では、ゲームとして代表的なカードゲームの1つであるバカラを実現可能に構成したカードゲームシステムを例示する。特に本実施形態では、バカラを取り扱うディーラーに本発明に係るゲーム画像生成技術を適用する。ただし、カードゲームの種類に限定はなく、他の種類のカードゲームにも本発明を適用可能である。また実写ムービーである動画像の対象にも限定はなく、ディーラー以外の対象を撮影した動画像を用いてもよい。
【0017】
(0.定義)
本明細書では、以下のように用語を定義する。
「ユーザ」:カードゲームシステムにおいてカードゲームの勝敗を予想して賭ける参加者をいう。ユーザは、ステーションからカードゲームに参加する。
「バカラ」:伝統的なカードゲームであり、バンカー(胴元役)とプレイヤ(客役)によるカードゲームの勝敗を、ユーザが予想して賭けるゲームをいう。ユーザは単にゲームの勝敗を予想するのみであり、その手軽さなどから世界各地のカジノで人気を博している。ディーラーは、あるルールに則してバンカー及びプレイヤのそれぞれに2枚ないし3枚のトランプカードを配り、配られた合計数の1桁目が「9」に近い方が勝ちとなる。
「ベット」:ユーザの予測を表明することをいう。具体的には、バンカーが勝つのか(BANKER)、プレイヤが勝つのか(Player)、または勝負が引き分けに終わるのか(タイ(TIE))になるのかを予想して、この勝敗予想に対応して賭けることをいう。
「ベット額」:各ユーザが任意に指定することができ、ユーザの予想が当たった場合には、ベット額に応じた配当が得られる。
「ベット領域」:ユーザがチップを賭ける仮想的な領域であり、バンカーが勝つのか(BANKER)、プレイヤが勝つのか(Player)、または勝負が引き分けに終わるのか(タイ(TIE))に応じて用意されている。
「テーブル」:実際のカジノでディーラーがカードを取り扱うために使用されるカードテーブルを再現した仮想的なテーブルをいう。本実施形態では5つのテーブルが用意される。
「動画像」:所定の同期期間毎に連続的に表示することにより被写体が動いているように見せる一連のフレーム画像群のことをいい、その記録形式は、MPEG(Moving Picture Experts Group)等の標準動画規格で圧縮符号化されたものも含む。本明細書では、一連のフレーム画像群やそれを圧縮符号化したデータ自体と、これらデータを再生して表示される動く画像自体との双方を意味する。本発明では、ビデオカメラで被写体を撮影して記録されたものである。
「ディーラー」:実写された動画像の被写体をいい、動画像のモデルである。
【0018】
(1.システム構成)
図1に、本実施形態に係るカードゲームシステムの外観概略構成図を示す。
図1に示すように、本実施形態に係るカードゲームシステム1000は、大型のメインディスプレイ301が中央に配置された本体10と、複数のステーション200とを備えて構成される。
【0019】
本体10の上部には、5つのサブディスプレイ107−1〜107−5が配置されている。本体10の内部には、図示しないが、メインコントローラ300および5つのサブコントローラ100−1〜100−5が配置されている。メインディスプレイ301は、メインコントローラ300が生成した画像を表示する表示手段であり、ディーラー表示領域301−1と全テーブル履歴表示領域301−2とに分割されている。ディーラー表示領域301−1に表示される画像は、サブディスプレイ107−1〜107−5のいずれかの画像と同一のものとなっている。
図1では、サブディスプレイ107−3に表示された画像と同一の画像がメインディスプレイ301のディーラー表示領域301−1に表示されている。
【0020】
複数のステーション200は、本体10の前面に配置された、ユーザが着席してカードゲームに参加するための端末装置である。複数のステーション200の各々には、タッチパネル付きのディスプレイが設置されている。
【0021】
図2に、本実施形態に係るカードゲームシステムのシステム図を示す。
図2に示すように、本実施形態に係るカードゲームシステム1000は、複数のサブコントローラ100−1〜100−5、複数のステーション200−n(nは2以上の自然数)、およびメインコントローラ300が、ネットワーク400を介して相互に接続されて構成されている。
【0022】
サブコントローラ100−1〜100−5は、それぞれがコンピュータ装置としての構成を備え、相互に独立してカードゲームを実行可能に構成されている。以下、5つのサブコントローラ100−1〜100−5のいずれにも共通した説明をする場合には、「サブコントローラ100」というように称する。各サブコントローラ100は、本発明に係るカード画像生成装置を含んでいる。具体的に、サブコントローラ100は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、ディスプレイコントローラ104、ハードディスク105、およびインターフェース装置106を備えて構成される。サブコントローラ100−1〜100−5の各ディスプレイコントローラ104には、それぞれサブディスプレイ107−1〜107−5が接続されている(以下、共通する説明をする場合には「サブディスプレイ107」というように称する)。ROM102には、システムを起動させるためのイニシャルプログラムローダ等が記憶されている。RAM103は、CPU101が一時的な記憶領域として利用するメモリ手段である。ディスプレイコントローラ104は、図示しないフレームメモリを備え、CPU101の制御により画像データを所定の更新タイミング毎に生成してフレームメモリに格納し、サブディスプレイ107に出力可能になっている。ハードディスク105には、本発明に係るカード画像生成プログラムを含むソフトウェアプログラムおよび動画像情報が格納されている。インターフェース装置106は、ネットワーク400を介して、メインコントローラ300およびステーション200−nとデータの送受信を実行するようになっている。
【0023】
各サブコントローラ100において、CPU101は、ROM102に格納されたイニシャルプログラムローダを実行して、ハードディスク105から、本発明に係るゲーム画像生成プログラム、動画像情報、および制御ソフトウェアプログラムをRAM103に適宜転送して実行し、サブコントローラ100全体を本発明のカード画像生成装置として機能させる。各サブコントローラ100に接続されるサブディスプレイ107には、それぞれのサブコントローラ100で実行されているカードゲームのために生成されたゲーム画像が各々表示される。それぞれのカードゲームのために生成されるゲーム画像としては、後述するように、実写ムービーである動画像のディーラーが立体画像と合成されて表示される。
【0024】
複数のステーション200−nは、図示しないがそれぞれがサブコントローラ100と同様のコンピュータ装置としての構成を備えている(以下、共通する説明をする場合には「ステーション200」というように称する)。ステーション200は、タッチパネル付きディスプレイ201および操作部202が設けられている。タッチパネル付きディスプレイ201は、各ステーション200においてユーザが選択したいずれかのサブコントローラ100におけるカードゲームの進行状況を表示可能となっている。操作部202は、ユーザの操作をカードゲームシステム1000に反映させる入力手段であり、タッチパネルの操作および図示しない操作ボタンの操作を含むものとする。ユーザは、操作部202を操作することにより、いずれかのサブコントローラ100を選択すると、選択したサブコントローラ100で実行されているカードゲームのために生成されたゲーム画像がディスプレイ201に表示されるようになっている。以下、いずれかのサブコントローラ100を選択することを単に「カードゲームを選択する」というように表現する。
【0025】
メインコントローラ300は、図示しないがそれぞれがサブコントローラ100と同様のコンピュータ装置としての構成を備えている。メインコントローラ300は、各サブコントローラ100において実行されるカードゲームの進行状況を逐一監視し、各サブコントローラ100に対してゲームの進行タイミングを指示可能に構成されている。メインコントローラ300は、サブコントローラ100のいずれかで実行されているカードゲームのために生成されたゲーム画像をメインディスプレイ301のディーラー表示領域301−1に表示するようになっている。またメインコントローラ300は、各サブコントローラ100におけるカードゲームの勝敗結果を過去にさかのぼって記憶しており、過去の勝敗結果をチャート化して、メインディスプレイ301の全テーブル履歴表示領域301−2に表示可能に構成されている。
【0026】
ネットワーク400は、サブコントローラ100、ステーション200、およびメインコントローラ300を相互に接続する通信網である。ネットワーク400は、非限定の例示として、有線及び/又は無線によって相互に接続するLAN (Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)、インターネットなどの通信ネットワークである。
【0027】
(2.カードゲームの流れ)
図3に、本実施形態に係るカードゲームシステム1000において実施されるカードゲームの流れ図を示す。
図3に示すように、本カードゲームは、大きく「ベット期間」、「ディール期間」、および「配当期間」の3つに分かれて、1ラウンドのカードゲームが構成されている。これらの期間の開始および終了タイミングは、メインコントローラ300が管理して各サブコントローラ100に期間の開始および終了を指示するものである。例えばベット期間は25秒、ディール期間は15秒、および配当期間は5秒というように設定される。
【0028】
本実施形態に係るカードゲームシステム1000の大きな特徴の一つとして、複数のサブコントローラ100が複数のカードゲームを同時に進行させ、メインコントローラ300がそれらの勝敗結果を統合して配当を定めることが挙げられる。仮想的な複数のテーブルにおいて複数のカードゲームを同時進行させることで、従来のカードゲームでは享受できない興趣性を提供することが可能である。
【0029】
具体的には、いずれかのステーション200に着座したユーザは、仮想的な複数のテーブルのいずれか一つを選択して、そのテーブルにおける勝敗を予想してベットする。従来のカードゲームでは、複数のテーブルでカードゲームが行われる場合でも、それぞれのゲームが独立して実施され、勝敗結果に基づく配当もそれぞれのテーブルで個別に実施されていた。これに対し、本実施形態に係るカードゲームシステム1000では、ユーザが選択したテーブルにおける勝敗結果のみならず、(1)複数のテーブルで実施されているカードゲームのそれぞれのゲームの勝敗を同時に予想してベットすること、(2)全テーブルで実施されているカードゲーム全体での勝敗を予想してベットすることを可能としている。なお、以下の説明では、便宜上、カードゲームそれぞれの勝敗を予想してベットすることを「メインベット」と呼び、5つのカードゲーム全体での勝敗を予想してベットすることを「サイドベット」と呼ぶ。
【0030】
(ベット期間)
「ベット期間」は、カードの配布前にユーザが勝敗を予想してベットするための期間である。当該カードゲームに参加するユーザは、空いているステーション200に着座する。そしてベット期間中に、同時進行される5つのカードゲームのうちいずれか一つまたは複数の勝敗を予想して、各ステーション200の操作部202を操作して、勝敗予想に応じてベット額に応じたチップをベットする。いずれか一つのカードゲームにベットする場合は「メインベット」であり、複数のカードゲームにベットする場合は「サイドベット」である。ユーザは操作部202を操作することにより、サブコントローラ100−1〜100−5のいずれかで実行されるカードゲームの画像を選択して表示することが可能である。
【0031】
ベット期間中、本体10の各サブディスプレイ107には、それぞれのカードゲームに割り当てられたディーラーの動画像が表示されている。また本体10のメインディスプレイ301のディーラー表示領域301−1には、いずれかのサブコントローラ100において実行されているカードゲームのために生成されたゲーム画像が表示されている。後述する動画像の接続処理によって、ゲーム画像に表示されるディーラーは、ユーザのベット状況に反応して動作を変更したり、ラウンドごとに異なる動作を表現したりすることが可能なように構成されている。
【0032】
(ディール期間)
「ディール期間」は、ベット期間の経過後、ユーザのベットを禁止し、各サブコントローラ100においてカードを配布してカードゲームを進行させる期間である。カードゲームでは、バンカーサイドおよびプレイヤサイドのそれぞれに2枚または3枚のカードが配られる(いわゆる「ディール」)。各サイドに2枚配るか3枚配るかは、各サブコントローラ100が、毎回のラウンドにおいて乱数等により決定する。そして決定した配布枚数となるようなカードの数字を決定する。
【0033】
(配当期間)
「配当期間」は、ディール期間の経過後、ユーザのベット状況に応じた配当で払い出しをする期間である。ディール期間において、各カードゲームの勝敗が決せられると、メインベットにおける配当が決定される。またユーザがサイドベットを行っていた場合にはサイドベットにおける配当も決定される。そして決定した配当に応じて、各ステーション200における払い出しが行われてカードゲームの1ラウンドが終了する。
【0034】
(3.サブコントローラ100の構成および動作)
図4に、サブコントローラ(ゲーム画像生成装置)のブロック図を示す。
図4に示す各機能ブロックは、サブコントローラ100のCPU101が本発明に係るゲーム画像生成プログラムを実行することにより機能的に実現されるものである。各機能ブロックの表現および区切りは説明の便宜上のものであり、ここに例示されたもの以外の表現や区切りであってもよい。例えば、複数の機能ブロックを一つにまとめても一つの機能ブロックを複数に分解してもよい。
【0035】
図4に示すように、サブコントローラ100は、CPU101が本発明に係るゲーム画像生成プログラムを実行することにより、動画像生成部112、オブジェクト配置部116、視点設定部118、投影変換部120、マッピング部122、背景画像生成部124、およびゲーム制御部130を機能的に備えるゲーム画像生成装置として動作するようになっている。またサブコントローラ100のROM102、RAM103、およびハードディスク105は、動画像記憶部110とオブジェクト画像記憶部114とを機能的に分割されている。
【0036】
(3−1.動画像のモーフィング処理による接続方法の原理)
動画像記憶部110には、ディーラーを被写体とする動画像を生成するための動画像情報が格納されている。動画像生成部112は、動画像情報を読み出して動画像を生成する機能ブロックである。動画像生成部112は、以下に説明する原理に基づき、動画像記憶部110に記憶される複数の異なる動画像を接続する。
【0037】
本実施形態に係る動画像は、被写体となる実際の生身のディーラーに扮したモデルがとる異なる複数の動作を撮影してそれぞれ記録されたものである。一つの動画像に記録される動作は、「うなずく」、「手を振る」などそれぞれが単純な数秒で終わる短いものから、何枚かのカードを配るといった10秒程度の長いものまで用意されている。動画像の種類については、後述する。
【0038】
図5を参照して、本実施形態に係る動画像情報および複数の動画像のモーフィング処理による接続方法を説明する。
図5に示すように、各々の動画像は、被写体の動作を記録した「動画本体」と、その前後のヘッダー部分およびエンディング部分の「基本姿勢」とで構成される。「基本姿勢」とは、どの動画像であっても被写体が特定動作の前後に共通してとる同一の基準となる姿勢である。「基本姿勢」は、生身の人間がとりやすい安定した姿勢であることが好ましく、例えば、テーブルの定位置に両手をつくなどのブレが少ない姿勢が適用である。「基本姿勢」は異なる動画像を接続する、「のりしろ」としての役割を有する。「基本姿勢」は短い一定時間、例えば1秒間記録されている。
【0039】
複数の異なる動画像は、「のりしろ」である「基本姿勢」の部分で相互に接続される。「基本姿勢」は同一の姿勢とはいっても、生身のモデルが「動作本体」の前後に動作ごとに毎回とる姿勢であるため、モデルの姿勢(手や指の曲げ方や体の傾き等)や表情、衣服の皺等に僅かながら変動が生じる。このような僅かな変動が必然的に生じている、異なる「基本姿勢」を直接接続するものとすれば、モデルの姿勢や表情、衣服の皺等が瞬間的に変わって再生画像に明らかな不連続が生じ、観察者に違和感を与えてしまう。
【0040】
そこで、本実施形態では、モーフィング技術を適用して異なる「基本姿勢」を接続することで不連続性を緩和する。モーフィング技術は、一般的には、一つのオブジェクトの形状を徐々に変化させながら形状の全く異なる他のオブジェクトに一定の時間をかけて形状を変化させていく特殊効果技術をいうが、本実施形態では、先行して再生されている動画像の「基本姿勢」と次に再生される動画像の「基本姿勢」とを遷移期間を経て接続するために適用する。異なる動画像の「基本姿勢」の間で必然的に生じてしまう実写であるモデルのポーズのずれを、遷移期間にわたって徐々に変化させることで自然に繋ぎ、異なる動画像として撮影されたものであるにも拘わらずあたかも連続して撮影した一本の画像であるかのように観察者に見せるためにモーフィング処理を利用するのである。
【0041】
具体的には、
図5に例示するように、遷移期間中に、第1の動画像の「基本姿勢」と第2の動画像の「基本姿勢」との間の補間画像IPを再生する。補間画像IPは、第1の動画像の「基本姿勢」を再生するフレーム画像と第2の動画像の「基本姿勢」を再生するフレーム画像とを線形補間演算して生成したフレーム画像群である。例えば遷移期間を1秒間(30フレーム)とすれば、第1の動画像の「基本姿勢」を表示する各ピクセルが第2の動画像の「基本姿勢」を表示する各ピクセルへと、30枚のフレーム画像で移り変わっていく。補間画像IPは、予め作成して動画像記憶部110に格納しておいたものを呼び出して第1の動画像と第2の動画像との間に挿入して再生する。但し、ゲーム画像生成装置の画像処理能力が高い場合には、補間画像IPを構成するフレーム画像を順次リアルタイムに生成して、第1の動画像と第2の動画像との間に挿入するように構成してもよい。
【0042】
遷移期間のフレーム数をF、第1の動画像の「基本姿勢」を表示するピクセルデータをp1、第2の動画像の「基本姿勢」を表示するピクセルデータをp2で表せば、nフレーム目(1≦n≦F)の補間画像IPにおけるピクセルデータpnは、
pn=[(F−n)×p1+n×p2]/F
という一般式で演算される。
【0043】
なお、遷移期間は、必ずしも設けなくてもよい。最も短い時間で二つの動画像を繋ぐには、「基本姿勢」をとる期間をモーフィング処理の遷移期間として用いてもよい。例えば、第1の動画像のエンディグ部分の「基本姿勢」に入ったタイミングにおけるフレーム画像と第2の動画像のヘッダー部分の「基本姿勢」が終わるタイミングにおけるフレーム画像とをモーフィング処理で接続すれば、第1の動画像と第2の動画像との接続に要する遷移期間は、最短で「基本姿勢」の時間長だけとなる。
【0044】
また、本発明において「動画像」に必ずしも「基本姿勢」を設ける必要はない。モーフィング処理は、本来姿勢や形態が全く異なる被写体(第1の被写体および第2の被写体とする)について、姿勢や形態を徐々に変化させながら、第1の被写体を第2の被写体に変化させる技術であるため、第1の動画像の終了時における被写体(ディーラー)の姿勢と、第2の動画像の終了時における被写体の姿勢とが異なっていたとしても、姿勢を徐々に変化させて両動画像を繋ぐことが可能だからである。ただし、モーフィング技術によって異なる姿勢を繋いた場合には、遷移期間において線形的に補間された姿勢の変化が表示されることになるため、モーフィング処理をしていることが目立つことになる。そこで、複数の動画像をモーフィング処理で繋いでいることを観察者に悟らせず、一本の連続した動画像が表示されているかのように見せるため、二つの動画像の「基本姿勢」間をモーフィング処理した方が好ましいということである。
【0045】
(3−2.動画像の作製方法)
図6Aおよび
図6Bに基づき、本実施形態に係る動画像の作製方法を説明する。
図6Aの左側図は「基本姿勢」をとっているディーラーに扮したモデルを撮影したフレーム画像の抜粋であり、
図6Aの右側図は
図6Aの左側図の画像をクロマキー処理して得られた動画像をオブジェクトとともに投影変換して生成した立体画像である。
図6Bの左側図はカードを配っているモデルを撮影したフレーム画像の抜粋であり、
図6Bの右側図は
図6Bの左側図の画像をクロマキー処理して得られた動画像をオブジェクトとともに投影変換して生成した立体画像である。
【0046】
図6Aおよび
図6Bの左側図に示すように、動画像は、特定色を背景に同じ特定色に彩色された彩色テーブルにおいて特定色に彩色された彩色カードを取り扱うモデルを所定の撮影視点から撮影して作成される。特定色は、撮影後のクロマキー処理で画像から切り取ることが可能な単色とする。人間を動画像として残す場合には、肌色と色調が大きくことなる単色、例えば、緑色、青色等が選択される。
【0047】
撮影視点は、異なる動作の動画像を撮影する場合でも固定しておくことが好ましい。特定色のテーブルやカードはクロマキー処理で動画像から取り除かれるものの、撮影視点の位置が変わるとテーブルによって切り取られるモデルの腹部の境界位置やモデルの大きさが変動してしまうからである。
【0048】
一つの動画像は、モデルがヘッダー部分となる「基本姿勢」から「動作本体」となる動作を経てエンディング部分となる「基本姿勢」をとるまで継続的に撮影して製作される。「基本姿勢」は所定時間、身体を動かさないように姿勢を保つことが好ましい。
図6Bの左側図に示すように、カードを配ったり片づけたりする動作を撮影する場合、撮影視点から見てモデルが把持するカードがモデルの身体の一部にかかる場合がある。この場合、カードの特定色はクロマキー処理で切り取られるので、
図6Bの左側図のようにモデルの身体の一部にカードが重なる部分も切り取られ、モデルの身体の一部がカードの形状に合わせて切り抜かれたような動画像がクロマキー処理後に得られる。
【0049】
特定色を背景に撮影された動画像は、特殊効果装置(スイッチャー)等によりクロマキー処理され、特定色が取り除かれ、ディーラーに扮するモデルの画像部分のみが残される。クロマキー処理されたものが動画像記憶部110に記録される動画像情報となる。動画像は、後述する合成処理により、立体画像および背景画像と合成され、
図6Aおよび
図6Bの右側図に示すように、実際のホールでディーラーがカードを取り扱っているかのような画像として表示される。
【0050】
(3−3.動画像と立体画像との合成処理)
次に、
図7に示すワールド座標系におけるオブジェクト配置の概念図を参照しながら、上記のようにして作製された動画像と立体画像との合成処理について説明する。
【0051】
図7に示すように、ワールド座標系、すなわち仮想三次元空間には、立体画像を生成するための視点Cが設定される。ビューボリュームVVは、ワールド座標系の中で画像化される空間である。ビューボリュームVVは、視点Cを頂点とし背景画像BGが投影される背景平面Pbまでの四角錐に設定される。動画像平面Pvは、動画像情報から再生される動画像Vがマッピングされる平面である。
図7に示すように、本実施形態では、視点Cに近い方から遠い方へ順に、動画像平面Pv、カードオブジェクトOcおよびテーブルオブジェクトOt、並びに背景平面Pbの順で配置される。カードオブジェクトOchは、動画像Vで表現されるディーラーに把持されることでテーブルオブジェクトOtのテーブル面から離れて仮想三次元空間に位置するカードを定義するオブジェクトである。視点Cから動画像Vがマッピングされる動画像平面Pvまでの距離D1よりも、視点CからカードオブジェクトOc(Och)およびテーブルオブジェクトOtまでの距離D2の方が大きい。
【0052】
図4に示すオブジェクト画像記憶部114には、ワールド座標系に配置するモデリング座標系で定義されたオブジェクトの情報が格納されている。またオブジェクト画像記憶部114には、透視投影されたオブジェクトにマッピングするテクスチャ情報も記憶されている。特にオブジェクト画像記憶部114は、
図7に示すように、ビューボリュームVVに配置されるカードオブジェクトOcおよびテーブルオブジェクトOtのモデリング情報およびテクスチャ情報を記憶する。
【0053】
オブジェクト配置部116は、オブジェクト画像記憶部114に記憶されたカードオブジェクトOc(Och)およびテーブルオブジェクトOtのモデリング情報をモデリング変換してワールド座標系で定義する機能ブロックである。すなわち、オブジェクト配置部116は、カードオブジェクトOc(Och)およびテーブルオブジェクトOtをワールド座標系に配置する。
【0054】
図7に示したように、動画像平面Pvを視点Cの手前側に、カードオブジェクトOc(Och)を視点Cの奥側に配置するので、動画像VとカードオブジェクトOc(Och)とが重なる場合には常に動画像VがカードオブジェクトOc(Och)を隠すことになる。このため、ディーラーが手で保持するカードについては、視点Cから観察した場合に手が重なる部分についてカードオブジェクトOchが動画像Vの手の部分に隠されることとなり、ディーラーがカードを把持している様子が自然に表現される。
【0055】
また、
図6Bの左側図に示したように、カードが手以外のディーラーの身体の一部(例えば腹部)と重なる場合には、上述したようにクロマキー処理によりディーラーの身体の一部がカードの形状に切り取られた切り取り部を有する動画像Vとなっている。このため、視点Cからは、手前側に配置される動画像Vの切り取り部を通して奥側に配置されたカードオブジェクトOchが観察されるようになる。よって、
図6Bの右側図に示すように、カードオブジェクトOchが奥側に配置されているにも拘わらず、カードがディーラーの手前にあるかのような投影変換後の画像が得られ、不自然さを与えない。
【0056】
視点設定部118は、動画像Vの撮影時における撮影視点の相対位置に対応するように、ワールド座標系における視点Cの相対位置を設定する機能ブロックである。すなわち、視点設定部118は、モデルを撮影して動画像を製作した時の彩色カードと撮影視点との相対的な位置関係に対応するようなワールド座標系の位置に仮想三次元空間の視点Cを設定する。このように設定すれば、視点Cから観察したディーラーの動画像V、テーブルオブジェクトOt、およびカードオブジェクトOc(Och)の位置関係が、動画像を製作した時のモデル、彩色テーブル、および彩色カードの位置関係と同じようにすることができる。
【0057】
投影変換部120は、このようにして相対位置が決定された視点Cを基準としてワールド座標系で定義されたオブジェクトにビューイング変換を施してオブジェクトを視点座標系に再定義し、所定のビュープレーンに投影する機能ブロックである。この処理により、ビューボリュームVVに配置されたカードオブジェクトOc(Och)およびテーブルオブジェクトOtがビュープレーンに透視投影される。
【0058】
マッピング部122は、オブジェクト画像記憶部114に記憶されたテクスチャ情報を読み出して、透視投影されたテーブルオブジェクトOtおよびカードオブジェクトOcにテクスチャをマッピングする機能ブロックである。またマッピング部122は、動画像記憶部110に記憶された動画像情報を読み出して、動画像平面Pvに動画像Vをマッピングする。
【0059】
図8に、
図7のようなオブジェクトの配置により生成された画像表示例を示す。背景画像BGは総てのオブジェクトの背後に配置されるため、いずれのオブジェクトも重なることがない。動画像Vのディーラーは、テーブルオブジェクトOtおよびカードオブジェクトOcの手前に配置されているので、視点Cから見て、ディーラーの身体の一部がテーブルの背後に隠されるといった不自然な画像が生成されることが防止されている。また、仮にディーラーに把持されるカードオブジェクトOchがディーラーの身体の一部と重なっていたとしても、重なった部分の動画像Vにはクロマキー処理により切り取り部が形成され、奥側に配置されるカードオブジェクトOchが動画像Vを通して視点Cから観察されるので、ディーラーの身体の一部と重なる部分のカードが見えなくなるといった不自然な画像が生成されることが防止されている。このような動画像と立体画像との合成処理により、
図8に示すように、実写の動画像と立体画像が違和感無く融合した興趣性の高い画像が提供される。
【0060】
(3−4.拡大処理)
ゲーム制御部130は、いずれかのステーション200の操作部202から拡大表示が指定された場合には、配られているカードの拡大表示を実行するように構成されている。拡大表示には、立体画像としてカードオブジェクトOc(Och)を拡大する立体画像拡大表示モードと、二次元画像としてカードを拡大する平面画像拡大表示モードとが選択可能になっている。
【0061】
ユーザがステーション200から立体画像拡大モードを指定した場合、ゲーム制御部130は、
図7のように設定されていたワールド座標系における視点Cの位置を固定しながら、視点Cからの視線をカードオブジェクトOc(Och)の方に向け、かつ、視野角(画角)を、
図9に示すようにカードオブジェクトOc(Och)を中心とする狭い角度に変更するように視点設定部118を制御する。
【0062】
すなわち、ゲーム制御部130は、立体画像拡大モードが指定された場合には、拡大表示をしないときの広い視野角(画角)からカードオブジェクトOc(Och)を中心とした狭い視野角に変更させる。この処理により、投影変換部120は、狭い視野角で規定されるビューボリュームVV1に含まれる各オブジェクトをビューイング変換することになるので、動画像Vの一部、並びに拡大されたカードオブジェクトOc(Och)およびテーブルオブジェクトOtの一部が拡大表示用の新たなビュープレーンに透視投影されることになる。拡大表示が解除された場合には、ゲーム制御部130は、ビューボリュームVV1に対応する狭い視野角からビューボリュームVVに対応する広い視野角へ変更させる。
【0063】
図10に立体画像拡大表示モードにおける画像表示例を示す。
図10に示すように、立体画像拡大表示モードでは、狭い視野角に応じたカードオブジェクトを中心にディーラーの手元の限られた範囲のみが表示されることになり、背景画像BGは表示されない。上記処理によれば、立体画像拡大表示モードであっても、臨場感のある動画像と立体画像とを組み合わせた画像を提供可能である。
【0064】
またユーザがステーション200から平面画像拡大モードを指定した場合、ゲーム制御部130は、立体画像に代えて、カードの平面画像(スプライト画像)を読み出して、単純な平面画像を表示させる。このような平面画像は、オブジェクト画像記憶部114に記憶されたマッピング情報を参照することによって生成可能である。
【0065】
図11に平面画像拡大表示モードにおける画像表示例を示す。
図11に示すように、平面画像拡大表示モードでは、テーブルと同じ色に彩色された背景にカードのテクスチャのみが配置されたシンプルな画像が表示され、動画像Vのディーラーは表示されない。上記処理によれば、配布されたカードの状況を把握しやすい簡明な画像を提供可能である。
【0066】
(3−5.背景変更処理)
本実施形態では、広い空間に配置された複数のテーブルのそれぞれでカードゲームがプレイされ、視線方向を任意に変更して任意のテーブルに視線を移していくような演出が可能に構成されている。
【0067】
図12に、本実施形態に係るワールド座標系における背景画像配置の概念図を示す。本実施形態では、背景画像生成部124が、視点C、動画像平面Pv、およびオブジェクト群を取り囲むように、それぞれが背景画像がマッピングされた6つの平面(背景平面)で構成される立方体状に背景画像を配置する。
図12では、それぞれ背景画像BG1〜BG4がマッピングされる4つの背景平面Pb1〜Pb4を配置してある(理解容易化のため、
図12では底面と天井面の背景平面を図示せず)。複数の背景平面Pb1〜Pb4にマッピングされる背景画像BG1〜BG4は絵画的に連続したものとする。これらの背景平面Pb1〜Pb4の内部には、
図7で説明したように、視点C、動画像平面Pv、カードオブジェクトOcおよびテーブルオブジェクトOtを配置する。このとき、視点Cは視線方向を任意に変更されるが、視点Cの位置は、背景平面Pb1〜Pb4で形成される立方体の幾何学的中心点Oに固定される。言い換えると、ワールド座標系における動画像V、カードオブジェクトOcおよびテーブルオブジェクトOt等と視点Cとの相対位置の変更が禁止される。
【0068】
図13に視線方向を変更させた場合の概念図を示す。
図13に示すように、本実施形態では、視線方向を変更させる場合でも仮想三次元空間における視点Cの位置は中心点Oに固定されるように構成したので、視点Cから見る方向がどの方向を向いていても、視点Cと動画像平面PvやカードオブジェクトOcおよびテーブルオブジェクトOtとの距離が変動しない。このため、動画像Vとオブジェクトとの位置のズレを生じることがない。
【0069】
特に、本実施形態のように、複数のカードゲームを同時に並行して実行させるシステムでは、このような視点Cの配置は有効である。例えば、背景平面で構成される立方体内において、視点Cの周辺に、動画像平面Pv、カードオブジェクトOc、およびテーブルオブジェクトOtからなるカードゲームセットを複数配置する(
図12および
図13では理解容易化のために一組のカードゲームセットのみ表示してある)。このような配置において、視点Cの位置を固定したまま視線方向のみを回転させるように制御すれば、一つのテーブルから他のテーブルへと、あたかもカメラをパンしながら撮影しているかのような画像が生成されることになる。固定された一つの視点Cから同一の仮想三次元空間で実行されている複数の異なるテーブルに視線を連続して写していくことで、流れるように表示対象となるカードゲームを変更していくことが可能である。また、視線を一つのテーブルから他のテーブルへと瞬間的に移すことで、瞬時に表示対象となるカードゲームを変更することも可能である。
【0070】
さらに、5つのサブコントローラ100を有する本実施形態では、複数のサブコントローラ100の間で仮想三次元空間および表示すべきオブジェクトを共有し、一つの仮想三次元空間に、動画像V、カードオブジェクトOc、およびテーブルオブジェクトOtからなる5つのカードゲームセットをモデリングし、個々のサブコントローラ100のそれぞれが、共通する視点Cから異なるカードゲームセットに視線方向を向けて各々投影変換した画像を生成するように構成することができる。
【0071】
なお、
図12および
図13のように複数の背景平面で取り囲む場合、視線方向を変更すると、視点Cと背景画像との距離に応じて、相対的な背景画像の大きさが変動する。夜景のような不規則な画像であれば違和感が少ないかも知れないが、幾何学的に対称な図形を配置した背景画像であると、背景平面の回転とともに図形が拡大・縮小する不自然な画像となる可能性がある。そのため、各背景平面にマッピングする背景画像を、視点Cからの距離の変化に応じて拡大して処理した画像をマッピングすることが好ましい。例えば、
図13に示すように、視点Cからの視線が垂直に交わる背景平面の中央付近における視点Cと背景平面との距離をD3とする場合、視線方向が回転するに連れて、視線が背景平面で構成される立方体形状の隅に近づくほど視点Cから視線と背景平面との交点までの距離D4が大きくなっていく。このため、背景画像をこの距離の比D4/D3に従って、背景平面の周辺部に行くほど拡大した画像をマッピングする。このように画像をマッピングしておけば、視点Cからの距離に応じた背景画像の見かけの大きさの縮小が、視点Cからの距離に応じて拡大された背景画像によって見かけ上相殺される。よって、視線がどのような方向を向いていても、背景画像の大きさが均一なものとして提供可能となる。
【0072】
図14に変形例に係るワールド座標系における背景画像配置の概念図を示す。変形例として、背景画像生成部124は、視点C、動画像平面Pv、およびオブジェクト群を取り囲むように、背景画像を球体形状または円筒形状にマッピングして配置するようにしてもよい。
図14では、円筒形状の内壁に背景平面をマッピングした様子を示してある。
図14に示すように、背景平面Pb5を円筒形に構成し、単一の連続した背景画像BG5をマッピングする。このような背景平面Pb5の構造であれば、視線方向がどのような方向を向いていたとしても、視点Cから見た背景平面Pb5への距離が変動しないので、特段背景画像を拡大して描画せずに、視線の向きを変えることが可能である。
【0073】
なお、背景平面を円筒形状にマッピングした場合には、背景画像の生成が比較的容易であり、視線を水平方向に360°動かしても背景画像を表示することができる。背景平面を球体形状にマッピングした場合には、視線を上下左右、どの方向に動かしても背景画像を表示することができ、理想的である。
【0074】
(4.カードゲームの動作シーケンス)
図15に本実施形態に係るゲーム画像生成方法のフローチャートを例示する。
図15に示すフローチャートは、当該カードゲームの進行を制御する機能ブロックであるゲーム制御部130の制御により実行されるものであり、
図3において概略のゲームシーケンスを説明したように、ベット期間(ステップS100〜S104)、ディール期間(ステップS200〜S216)、および配当期間(ステップS300〜S302)の三段階で構成されている。
【0075】
以下の各ステップで生成される複数の動画像は、上記したモーフィング処理により接続されて表示されるものであり、特にモーフィング処理には言及しなくても、動画像同士の接続にはモーフィング処理が実施されていることが前提となる。
【0076】
(ベット期間)
カードゲームの新たな1ラウンドはベット期間から始まる。まずステップS100において、前回ゲームのラウンドで配ったカードを回収する動画像が表示される。
【0077】
表1にカード回収のために用意されている動画像の種類を説明するテーブルを示す。以下の表では、動画像番号とともに、動画像の再生時間、動画像の再生に必要なフレーム数(30フレーム/秒とした場合)、動作の内容の説明、および該当動画像を再生する条件がある場合にはその条件、条件が無ければ「N/A」と示す。
【0079】
表1に示すように、カード回収のための動画像は、前回ゲームラウンドがバンカー側およびプレイヤ側にそれぞれに配ったカードの数に応じて複数種類が用意されている。動画像生成部112は、ゲーム制御部130は、ゲームの進行状況を参照して4つの動画像のうち該当する動画像を選択し、動画像生成部112に動画像記憶部110から選択した動画像情報を読み出させて再生させる。
【0080】
次いでステップS102において、残りのベット期間が少ないか否かが判定される。残りのベット期間は任意に設定可能であるが、例えば、特定の残り秒数やベット期間全体の5〜10%の時間というように設定可能である。
【0081】
残りのベット期間が十分である場合(S102:NO)、モーション(ディーラーのとる動き抽選に移行し(ステップS106)、抽選に応じた動画像が表示される(ステップS108)。残りのベット期間が少ない場合(S102:YES)、ディール期間へ移行するためのモーフィング処理が実行され(ステップS104)、ステップS200のディール期間用の動画像再生に移行する。
【0082】
ベット期間中はディーラーがカードを取り扱わないため、ディーラーに様々な動きをランダムに変化させないと、同一の動作が繰り返される単調な、コンピュータにより機械的に作られたことが意識されてしまう画像となってしまう。そこでゲーム制御部130は、一つの動画像の再生が終了するタイミングで、必要に応じて乱数等による抽選を実行し、抽選結果に基づいて複数種類の動画像情報のなかから一つの動画像情報を選択するように動作する。また、ゲーム制御部130は、一つの動画像の再生が終了する直前の判定期間(本実施形態では1秒間)にゲームの進行状況に応じた条件に合致しているか否かを判定し、合致していた場合に該当する動画像を選択するように動作する。
【0083】
表2にモーション抽選で選択されうる複数種類の動画像を説明するテーブルを示す。
【表2】
【0084】
表2に示すように、モーション抽選で選択されうる動画像として再生時間が2〜3秒(60〜90フレーム)のものが多数用意されている。動画像のうち「条件」が記載されているものは、直前の動画像終了時の判定期間においてゲームの進行状況が当該条件に合致していた場合に選択されることを示している。「条件」が記載されていない動画像は、ゲーム制御部130の抽選結果に応じてランダムに選択されるものである。
【0085】
具体的に、動画像2−1「Place Your Bets」はベット期間の序盤などでいずれのステーション200においてもベット入力がされていない状況で、ユーザにベットを催促するような動作を含む動画像である。同様に動画像2−2「呼び込み」は80%のステーション200でベット入力がされていない場合にベットを催促する動作を含む動画像である。動画像2−3「うなずく」は高配当が期待できるなど特定のベット領域にベットされたことを条件に選択される。動画像2−4〜2−7「テーブルを叩く」は、条件有効時間内に一定金額以上のベット額がベットされたことを条件に選択される賞賛を表す動画像である。動画像2−8「手を振る」は条件有効時間内に払い出しがあったことを条件に表示される別離を表現する動画像である。動画像2−10「よそ見」は条件有効時間内に動画像204〜2−7の条件に合致した場合に一定の確率で選択される動画像である。動画像2−21「ウィンクする」は条件有効時間内に最大のベット額がベットされたことを条件に選択される最大限の賞賛を表す動画像である。動画像2−25「投げキッス」および動画像2−29「両手でほおづえ」はユーザが連勝中である場合に賞賛のために選択される。動画像2−28「体をゆっくりくねくねさせる」は条件有効時間内にいずれかのステーション200でユーザがタッチパネル付き表示部201に表示される「ディーラー」を触った場合に選択される。その他の動画像は条件に合致しない場合に、ゲーム制御部130の抽選結果に基づき適宜選択される動画像である。
【0086】
図16にベット期間における動画像選択シーケンスの具体例を説明する。
図16に示す例は、ベット期間の時間長を25秒とした場合であって、ユーザからの操作内容に応じてどのような種類の動画像が選択されてモーフィング処理で接続されていくのかを示している。「ディーラーモーション」の欄に記載されている内容が選択された動画像の種類を示しており、「客A」および「客B」の欄に記載れている内容がユーザである客Aおよび客Bがステーション200の操作部202を操作して入力した操作内容およびそれに対するサブコントローラ100の反応を示している。なお、図示しないが、異なる動画像(モーション)の間は、
図5に基づいて説明したモーフィング処理により互いの動画像が接続されるものとする。
【0087】
まずベット期間の経過時間0〜6秒では、ひとつ前のゲームラウンドのカード配布状況に応じて動画像1−1〜1−6のいずれかの「カード回収」が選択され表示される。動画像表示期間最後の1秒間(経過時間5〜6秒)には条件有効時間が設定されている。条件有効時間は、表2に示したような条件が合致するかを判定するための期間である。ここでは特段のユーザからの入力が無かったため、ゲーム制御部130は、6秒経過時に抽選を実施し、次に表示する動画像2−19「まばたき」を選択する。
【0088】
次いで、動画像2−19「まばたき」の表示期間最後の条件有効時間において「客B」のステーション200からバンカー側に一定金額のベットがあったため、動画像2−4または2−5「テーブルを叩く」の条件に合致する。ゲーム制御部130は、抽選を実行して動画像2−4または2−5のいずれか一つを選択し、「テーブルを叩く」動画像が表示される。このような処理によれば、ユーザの入力に反応して対応するようなリアクションをディーラーが行うことになり、本物のディーラーを相手にしているかのように臨場感を高めることができる。
【0089】
次いでゲーム制御部130は、「テーブルを叩く」動画像の終了時(経過時間11秒)に再び抽選を実行し、次に表示する動画像2−16「見渡す」を選択する。ここでユーザ「客A」が経過時間11.5秒のタイミングでバンカー側に一定金額以上をベットしたとする。しかしながら、動画像「見渡す」に設定された条件有効時間は13〜14秒の間であるためゲーム制御部130は、当該ベットを無視し、動画像「見渡す」の終了時(経過時間14秒)に抽選を実行し、次に表示する動画像2−13「クリアハンド」を選択する。
【0090】
同様に処理が繰り返され、ディーラーが手のひらを上に向ける動作を表現する動画像「クリアハンド」の次に動画像2−19「まばたき」が再び選択される。動画像「まばたき」のために設定された条件有効期間(経過時間18〜19秒)で今度はユーザ「客A」からバンカー側に一定金額以上のベットがあったとする。本来、条件有効時間内に当該条件が満たされた場合、動画像2−4〜2−7の「テーブルを叩く」いずれかの動画像が選択されるはずであるが、ゲーム制御部130は抽選を実行して、当該条件に合致した場合であっても一定の確率で動画像2−10「よそ見」を選択する。ディーラーが「よそ見」をしていてディーラーのベットに気づかなかったという演出である。生身の人間であるディーラーならありそうな動作(見落とし)を相対的に小さな確率で出現させることで、より本物らしさを演出している。
【0091】
前述のように、ベット期間の最後はディール期間へ移行させるためのモーフィング処理を実行する(
図15:ステップS104)。ディール期間の最初には動画像3−1「No More Bets+4枚配る」が選択されるため、その動画像へのモーフィング処理が行われる。
【0092】
(ディール期間)
表3にディール期間で選択されうる複数種類の動画像を説明するテーブルを示す。
【表3】
【0093】
図15に戻り、ディール期間に入ると、ステップS200に移行し、ゲーム制御部130は、動画像3−1「No More Bets+4枚配る」を選択する。当該動画像は「No More Bets」の動作と「4枚配る」動作とを連続して再生するものであり、例えば、ディール期間(例えば15秒間)の前半(例えば0〜7.5秒)に再生される。バンカー側およびプレイヤ側にどのようなカードが配られても、それぞれ2枚は最低配られるため、これらの画像をひとまとめにしてある。
【0094】
ステップS202において、ゲーム制御部130はそれぞれのサイドに配られたカードの内容によって、ディール期間の後半(例えば7.5〜15秒)に選択する動画像を決定する。カードの内容(A、2〜9の数字、絵札)はゲーム制御部130がディール期間の冒頭で抽選を実行して決定する。ゲーム制御部130は、カードが「A」の場合は1点、「2」〜「9」の場合は対応する2〜9点、絵札は0点として、バンカー側およびプレイヤ側の2枚のカードそれぞれの合計点を計算する。そしてその合計点に応じて、そのままカードゲームを終了させたり3枚目のカードを配らせたりをカードゲームのルールに準じて決定する。
【0095】
例えば、バンカー側またはプレイヤ側のいずれも3枚目のカードを配らない場合にはステップS204に移行し、ゲーム制御部130は、それ以上カードを配らない場合に表示する待機モーションを選択して表示させる。
【0096】
一方、プレイヤ側のみに3枚目のカードを配る場合、ステップS206に移行し、ゲーム制御部130はプレイヤ側に3枚目のカードを配る動画像3−2「プレイヤ側3枚目配る」を選択する。次いでステップS208に移行し、ゲーム制御部130は待機モーションを選択する。
【0097】
また、バンカー側のみに3枚目のカードを配る場合、ステップS210に移行し、ゲーム制御部130はバンカー側に3枚目のカードを配る動画像3−3「バンカー側3枚目を配る」を選択する。次いでステップS212に移行し、ゲーム制御部130は待機モーションを選択する。
【0098】
さらに、プレイヤ側もバンカー側も3枚目のカードを配る場合には、ステップS214に移行し、ゲーム制御部130は動画像3−2「プレイヤ側3枚目配る」を選択し、次いでステップS216に移行し、ゲーム制御部130は続けて動画像3−3「バンカー側3枚目配る」を選択する。プレイヤ側もバンカー側も3枚目を配った場合には、ゲーム制御部130はステップS208およびS212に示したような待機モーションを選択することなく、配当期間に移行する。
【0099】
(配当期間)
表4に配当期間で選択されうる複数種類の動画像を説明するテーブルを示す。
【表4】
【0100】
配当期間に入ると、ディール期間で決定した勝敗に応じた演出が表示される。例えば、バンカー側およびプレイヤ側のうち勝利した側にのみユーザがベットしていた場合には、ステップS300に移行し、ゲーム制御部130は抽選を実行する。そしてステップS302に移行して、動画像4−1「拍手」、動画像4−2「グッドサイン」、および動画像4−3「笑顔」のいずれかの動画像を選択して表示させる。当該ゲームラウンドで負けたユーザがいないので、ユーザの機嫌を損ねることなく全員を喜ばせることが妥当だからである。
【0101】
一方、バンカー側およびプレイヤ側のうち負けた側にのみユーザがベットしていた場合には、ゲーム制御部130は抽選を実行することなく、動画像4−4「謝る」の動画像を選択して表示させる。当該ゲームラウンドでは勝ったユーザがいないので、ユーザの機嫌を損ねることなく全員を慰めることが妥当だからである。
【0102】
また、バンカー側およびプレイヤ側のそれぞれにユーザが分散してベットしていた場合には、ゲーム制御部130は中立的な繋ぎの動画像「Wait」を選択する。当該ゲームラウンドでは勝ったユーザおよび負けたユーザの双方がいるので、どちらかのサイドに肩入れするようなディーラーの動作は適当でないからである。
【0103】
配当期間は配当の払い出しに適当な期間、例えば5秒間に設定される。配当期間が終了すると、次のゲームラウンドのためにカード回収(ステップS100)に移行する。このカード回収で選択される動画像は、当該ゲームラウンドでバンカー側およびプレイヤ側にそれぞれ何枚のカードが配られたかに応じて動画像1−1〜1−4の中から選択される。
【0104】
(5.本実施形態の効果)
(5−1)本実施形態によれば、第1の動画像の終了時と第2の動画像の開始時における前記ディーラーの姿勢が同一の基本姿勢となるように作成されており、第1の動画像から第2の動画像へ切り替える際に、第1の動画像の終了時におけるフレーム画像と前記第2の動画像の開始時におけるフレーム画像とを繋ぐ補間画像を所定の遷移期間中にモーフィング処理で生成するので、異なるディーラーの動作を表示する複数の動画像を自在に繋ぎ合わせることができる。このため、実写の動画像を用いながらも同じ動作の繰り返しのない生身のディーラーのような自然な動作を画像表示することができる。
【0105】
(5−2)本実施形態によれば、ゲーム制御部130が、抽選結果に基づいて複数種類の動画像情報のなかから一つの動画像情報を選択するので、予測のできないランダムな動作をするディーラーの動画像が提供され、生身のディーラーが相手をしているかのような臨場感を作り出すことが可能である。
【0106】
(5−3)本実施形態によれば、ゲーム制御部130が、ステーション200を操作するユーザから入力された操作情報に応答するような動画像情報を選択するので、生身のディーラーがユーザに反応して動作をしているかのような臨場感を作り出すことが可能である。
【0107】
(5−4)本実施形態によれば、ゲーム制御部130が、条件有効期間中に操作情報が入力された場合に応答する動画像に対応する動画像情報の選択を許可するので、タイミングよく操作情報が提供されただけのみ応答する動画像が提供され、生身のディーラーらしいレスポンスを維持することが可能である。
【0108】
(5−5)本実施形態によれば、動画像情報が、特定色を背景に当該特定色に彩色された彩色テーブルにおいて当該特定色に彩色された彩色カードを取り扱うディーラーを所定の撮影視点から撮影したあとに特定色が抜けるようにクロマキー処理されたものとし、ワールド座標系に配置された動画像平面Pvに当該クロマキー処理した動画像Vをマッピングしたので、実写の動画像をオブジェクトの一つとして取り扱うことが可能である。
【0109】
(5−6)本実施形態によれば、動画像Vをマッピングする動画像平面Pvの背後にテーブルオブジェクトOtを配置したので、ディーラーの身体の一部がテーブルによって隠されるような不自然な画像の出現を防止可能である。
【0110】
(5−7)本実施形態によれば、カードオブジェクトOcを動画像Vの奥側に配置したので、ディーラーがカードを把持する場合には常にディーラーの手がカードに優先して表示され、カードがディーラーによって隠されるような不自然が画像の出現を防止可能である。
【0111】
(5−8)本実施形態によれば、動画像Vの一部とカードオブジェクトOchが重なる場合はクロマキー処理により重なる部分が切り取られたような動画像Vが生成され、動画像Vの背後に配置されるカードオブジェクトOchが動画像Vの切り取られた部分を通して観察されるので、カードがディーラーの身体に隠されるといった不自然な画像の出現を防止可能である。
【0112】
(5−9)本実施形態によれば、立体画像拡大表示モードが指定された場合に、視点設定部118は、視野角(画角)を相対的に狭く設定するので、立体画像としての拡大表示を実現可能である。
【0113】
(5−10)本実施形態によれば、平面画像拡大表示モードが指定された場合に、生成されているカードオブジェクトと同一種類のカードを含む平面画像を表示するので、簡明な平面画像で拡大表示を実現可能である。
【0114】
(5−11)本実施形態によれば、背景画像を生成する背景画像生成部124が、背景画像BG1〜BG4の変更が指定された場合には、ワールド座標系におけるカードオブジェクトOcと視点Cとの相対位置の変更を禁止しながら、視線方向のみを変化させるので、ディーラー、カード、およびテーブルの位置関係に変動なく、カメラをパンしながら撮影したような画像を提供可能である。