【文献】
BACHERT C; WATELET J B; GEVAERT P,PHARMACOLOGICAL MANAGEMENT OF NASAL POLYPOSIS,DRUGS,NZ,ADIS INTERNATIONAL LTD,2005年 1月 1日,VOL:65, NR:11,,PAGE(S):1537 - 1552
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鼻茸を処置する方法で使用するためのインターロイキン−4受容体(IL−4R)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物であって、該方法が、該医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含み、該抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6、7および8の軽鎖CDR配列、ならびに配列番号3、4および5の重鎖CDR配列を含み、ここで該方法は場合により両側性鼻茸を処置する、前記医薬組成物。
対象は、喘息、アスピリン過敏症、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)過敏症のうちの1つもしくはそれ以上を有するか、または鼻ポリープのための手術を受けている、請求項1に記載の医薬組成物。
鼻茸を処置する方法で使用するためのインターロイキン−4受容体(IL−4R)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物であって、該方法が、該医薬組成物の単回初期用量、続いて抗体またはその抗原結合断片の1回またはそれ以上の二次用量を、それを必要とする対象に連続投与する工程を含み、該抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6、7および8の軽鎖CDR配列、ならびに配列番号3、4および5の重鎖CDR配列を含み、ここで該方法は場合により両側性鼻茸を処置する、前記医薬組成物。
対象は、両側性鼻茸、喘息、アスピリン過敏症、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)過敏症のうちの1つもしくはそれ以上を有するか、または鼻ポリープのための手術を受けている、請求項9に記載の医薬組成物。
さらに第2の治療剤を含み、抗体またはその抗原結合断片は、両側性鼻茸(NP)の治療のための付加型治療であり、対象は、既存の治療にもかかわらず、鼻茸の持続的な徴候および症状を有する、請求項1〜19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
鼻腔内コルチコステロイド(INCS)で不適切に制御されている鼻茸を有する成人対象の処置で使用するための、インターロイキン−4受容体(IL−4R)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物であって、それを必要とする対象は、付加型治療として、該医薬組成物の単独初期用量、続いて抗体またはその抗原結合断片の1回またはそれ以上の二次用量を連続的に投与され、該抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6、7および8の軽鎖CDR配列、ならびに配列番号3、4および5の重鎖CDR配列を含む、前記医薬組成物。
初期用量は、第1の量の抗体またはその抗原結合断片を含み、1回またはそれ以上の二次用量の各々は、第2の量の抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項22に記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を記載する前に、本発明は、記載される特定の方法および実験条件に限定されず、したがって方法および条件は変化させてもよいことは理解される。また、本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的のみであり、限定することを意図されないことも理解される。
【0024】
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で使用される場合、特定の記載される数値に関して使用される「約」という用語は、その数値が記載された値から1%以下だけ変化し得るということを意味する。例えば、本明細書で使用される場合、「約100」という表現は、99および101および間の全ての値(例えば99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
【0025】
本明細書において言及される全ての刊行物は、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0026】
鼻茸を処置する方法
本発明は、鼻茸を処置する方法を提供する。本明細書で使用される場合、「鼻ポリープ」は1つまたはそれ以上の鼻腔における組織の過剰増殖である。鼻ポリープの状態は「鼻茸」と呼ばれる。鼻ポリープの約80%は高度に浮腫性であり、好酸球で満たされている。鼻ポリープはまた、線維状、腺状または嚢胞として存在する場合もある。
【0027】
鼻茸(NP)は、中鼻道自然口ルートから生じる、上部鼻腔における複数のポリープの存在を特徴とする臨床状態である。NPは、鼻粘膜および副鼻腔に影響を与えるTヘルパー細胞−2(Th−2)により駆動される炎症プロセスである。好酸球を引きつけ、活性化させる因子である、高レベルのインターロイキン−5(IL−5;好酸球の生存および分化を促進する)、好酸球陽イオンタンパク質(ECP)およびエオタキシン(好酸球化学誘引物質)は典型的に鼻ポリープに見られるので、好酸球およびそれらの産生物は鼻ポリープに関連する炎症の特徴であると考えられる。好酸球は洞および鼻ポリープに見られる主要な炎症細胞であり、鼻ポリープはまた、高レベルのIgEとも関連する。
【0028】
NPは、鼻閉塞および詰まり、嗅覚の低下または喪失、前部および後部鼻漏、ならびに顔面痛の長期にわたる症状を特徴とする。鼻ポリープの存在または非存在は、例えば内視鏡検査を実施することによって確認され、洞およびポリープ関与の存在および程度は、冠状コンピューター断層撮影(CT)スキャンなどの方法によって確認される。
【0029】
IL−4Rアンタゴニストは様々な状態に関連する鼻茸を処置するために使用される。例えば、鼻茸は、静脈洞炎、鼻炎(例えば、アレルギー性および非アレルギー性鼻炎)、喘息(例えば、中程度から重度の喘息)、NSAID過敏症(例えば、アスピリン過敏症)ならびに細菌および真菌感染などの感染に関連する。細菌感染には、例えば、ブドウ球菌感染が含まれる。鼻茸を有する対象は、慢性細菌感染、例えば、慢性黄色ブドウ球菌感染などの慢性感染を有していてもよい。いくつかの実施形態において、対象は、再発性静脈洞炎に関連し得るものなどの再発性鼻茸を有する。他の実施形態において、対象は、嚢胞性線維症またはNARES(好酸球増多症候群を有する非アレルギー性鼻炎)を有する。他の実施形態において、対象は、ポリープを処置するための手術を受けた後、鼻茸を再発している。鼻茸についての危険因子には、遺伝的感受性、解剖学的異常、粘膜繊毛機能障害、感染および局所的免疫不均衡が含まれる。
【0030】
IL−4Rアンタゴニストはまた、NPについての処置または手術を以前に受けていない患者における鼻茸を処置するために使用される。IL−4Rアンタゴニストはまた、鼻ポリープの処置のためなどの鼻手術などの以前に手術を受けている患者における鼻茸を処置するために使用される。特定の実施形態において、IL−4Rアンタゴニストは、対象が、以前の鼻手術などのポリープのための以前の処置を受けた後、鼻茸が再発している対象に投与される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「静脈洞炎」という用語は、上顎骨、前頭骨、篩骨および/または蝶形骨副鼻腔の炎症を含む、副鼻腔の炎症を特徴とするいずれかの炎症状態を指す。IL−4Rアンタゴニストは、急性静脈洞炎、亜急性静脈洞炎、慢性静脈洞炎および再発性静脈洞炎に関連している鼻茸の処置に適している。急性静脈洞炎は、10〜14日後に治らない鼻水、鼻詰まりおよび顔面痛などの風邪のような症状の突然発症を特徴とする。急性静脈洞炎は典型的に4週未満継続する。亜急性静脈洞炎は4〜8週継続する。慢性静脈洞炎は8週またはそれ以上継続し、再発性静脈洞炎は、1年に3回またはそれ以上の回数、発生する静脈洞炎症状の発現を特徴とする。鼻ポリープを伴う慢性静脈洞炎を有する患者の80%より多くは好酸球性上気道炎症を有する。
【0032】
慢性静脈洞炎を有する多くの患者は、洞の著しい炎症、増加した好酸球および混合単核細胞および比較的少量の好中球を特徴とする「慢性過形成好酸球性静脈洞炎」を有する。これらの患者の数人は、関連する鼻ポリープ、喘息およびアスピリンまたはNSAID感受性のうちの1つまたはそれ以上を有する。特定の実施形態において、IL−4Rアンタゴニストは、慢性過形成好酸球性静脈洞炎を有する対象における鼻茸を処置するために使用される。
【0033】
「鼻炎」という用語、一般的なアレルゲン(「アレルギー性鼻炎」、例えば、通年性アレルギー性鼻炎)または環境刺激物(非アレルギー性鼻炎)などに対するアレルギー性反応を指す。アレルギー性鼻炎の症状には、くしゃみ;鼻詰まりまたは鼻水;洞の圧迫感および痛みまたは頬もしくは鼻の拍動性;ならびに鼻、喉、眼および耳のかゆみが含まれる。
【0034】
非アレルギー性鼻炎の症状には、アレルギー性鼻炎の多くの同じ症状を導く鼻道の狭窄または炎症が含まれる。非アレルギー性鼻炎は、例えば、強い化学もしくは煙を出す環境によって、または特定の医薬の長期間の使用もしくは鼻内噴霧への依存によって引き起こされる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「鼻副鼻腔炎」という用語は、鼻炎および静脈洞炎の両方の症状を有する状態を指す。鼻副鼻腔炎には、急性鼻副鼻腔炎および慢性鼻副鼻腔炎が含まれる。急性鼻副鼻腔炎は、細菌、ウイルスもしくは真菌感染などの感染によって、または化学刺激によって引き起こされる。たばこの煙により誘導される急性鼻副鼻腔炎および塩素ガスにより誘導される慢性鼻副鼻腔炎が急性鼻副鼻腔炎の例である。NPは8週より長く継続する症状を伴う、鼻腔および副鼻腔の粘膜炎症を特徴とする慢性鼻副鼻腔炎(CRS)と最も一般的に関連する。鼻ポリープを伴う慢性好酸球性鼻副鼻腔炎は8週より長く継続する状態である。
【0036】
慢性静脈洞炎(CS)および慢性鼻副鼻腔炎(CRS)は8週より長く継続する状態である。急性静脈洞炎および急性鼻副鼻腔炎の根底にある原因は、生じる炎症が8週より長く持続する場合、慢性静脈洞炎または慢性鼻副鼻腔炎を導く場合がある。慢性鼻副鼻腔炎には、例えば、好酸球性慢性過形成鼻副鼻腔炎が含まれる。
【0037】
慢性静脈洞炎(および慢性鼻副鼻腔炎)のさらなる下位カテゴリーには、例えば、超抗原により誘導される好酸球性慢性静脈洞炎(例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)などの細菌によって産生される外毒素および内毒素によって誘導される静脈洞炎);アレルギー性真菌性静脈洞炎(例えば、アスペルギルス属(Aspergillus)またはアルテルナリア属(Alternaria)などの真菌によって誘導される静脈洞炎);非アレルギー性真菌性好酸球性慢性静脈洞炎;およびアスピリンにより悪化する好酸球性慢性静脈洞炎が含まれる。
【0038】
IL−4Rアンタゴニストは上記の障害のいずれかを有する対象における鼻茸を処置するために使用される。
【0039】
鼻ポリープに関連するパラメーターを改善する方法
本発明は、それを必要とする対象において1つまたはそれ以上の鼻ポリープに関連するパラメーターを改善する方法であって、インターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む、方法を含む。例えば、IL−4R受容体アンタゴニストは患者において内視鏡的鼻ポリープスコアを低下させることができる。0の鼻ポリープスコアはポリープの存在がないことを示す。1の鼻ポリープスコアは中鼻甲介の下縁の下に到達しない中鼻道における小さいポリープの存在を示す。3の鼻ポリープスコアは、下鼻甲介の下縁に到達する大きなポリープまたは中鼻甲介までの中間のポリープを示す。4の鼻ポリープスコアは下鼻腔の完全な閉塞を引き起こす大きなポリープを示す(以下の表15を参照のこと)。最大スコアは8である(鼻腔ごとに4ポイント)。IL−4Rアンタゴニストによる処置は鼻ポリープスコアを約1〜約8ポイント減少させることができる。例えば、IL−4Rアンタゴニストによる処置は、鼻ポリープスコアを約1ポイントもしくはそれ以上、約2ポイントもしくはそれ以上、または約3ポイントもしくはそれ以上減少させることができる。いくつかの実施形態において、IL−4Rアンタゴニストによる処置は、鼻ポリープスコアを約1ポイントもしくはその割合;2ポイントもしくはその割合;3ポイントもしくはその割合;4ポイントもしくはその割合;5ポイントもしくはその割合;6ポイントもしくはその割合;7ポイントもしくはその割合;または8ポイントもしくはその割合減少させることができる。鼻ポリープスコアの低下は1つまたはそれ以上の他の鼻ポリープに関連するパラメーターの改善と相関し得る。しかしながら、このような相関は全ての場合において観察されるとは限らない。
【0040】
「鼻ポリープに関連するパラメーター」の他の例には:(a)22項目副鼻腔評価試験(SNOT−22)スコア;(b)対象により評価される鼻詰まり/閉塞、前部鼻漏(鼻水)、後部鼻漏(後鼻漏)および嗅覚の喪失;(c)夜間覚醒の回数;(d)患者に関連する鼻副鼻腔炎症状の重症度を評価するための視覚的アナログスコア(VAS);(e)喘息を有する患者などにおける5項目喘息管理調査票(ACQ5)スコア;(f)鼻最大吸気流量(NPIF);(g)嗅覚検査(ペンシルベニア大学嗅覚識別検査(UPSIT));(h)鼻内視鏡検査およびCTスキャンなどによって測定された生理的パラメーター;(i)Lund−Mackayスコア;ならびに(j)上顎洞の三次元容積測定が含まれる。
【0041】
22項目副鼻腔評価試験(SNOT−22)スコア。特定の実施形態によれば、患者へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、22項目副鼻腔評価試験(SNOT−22)のベースラインからの減少を生じる。SNOT−22は、生活の質に対する慢性鼻副鼻腔炎(CRS)の影響を評価するための調査票である。調査票は副鼻腔状態および外科処置に関連する項目を測定する。スコアは0〜110の範囲であり、より高いスコアは健康に関連する生活の質(HRQoL)に対してCRSの影響がより大きいことを示す(Hopkinsら 2009、Clin.Otolaryngol.34:447〜454)。
【0042】
本発明は、IL−4Rアンタゴニストの投与後4週から16週において少なくとも1ポイントのベースラインからのSNOT−22スコアの減少を生じる治療方法を含む。例えば、IL−4Rアンタゴニストの投与は、処置の開始後4週、6週、8週、12週または16週においてSNOT−22スコアの減少を生じる。いくつかの実施形態において、それを必要とする対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、4週、6週、8週または12週において約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13ポイントまたはそれ以上のベースラインからのSNOT−22スコアの減少を引き起こす。
【0043】
個々および全鼻症状スコア。対象により評価される症状は、0〜3の分類スケール(ここで、0=症状なし、1=軽度の症状、2=中程度の症状および3=重度の症状)を使用し、詰まり/閉塞、前部鼻漏、後部鼻漏および嗅覚の喪失の症状を含む、朝および夜の個々の鼻副鼻腔炎の症状の質問に答えることによってアッセイされる。夜間覚醒の測定も追跡される。例えば、夜間覚醒の測定は対象の自己評価に基づいた以下のスコアに従って評価される:0=症状なし、一晩中眠れた;1=よく眠れたが、朝にいくらかの病状がある;2=鼻副鼻腔炎の症状のために1回目覚めた(早期の覚醒を含む);3=症状のために数回目覚めた(早期の覚醒を含む);4=安眠できなかった、症状のためにほとんど一晩中覚醒する。IL−4Rアンタゴニストの投与は、例えば、抗IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物による処置の開始後4週から16週において一晩に少なくとも約0.10回のベースラインからの一晩の夜間覚醒の平均数の減少を生じる可能性がある。例えば、一晩に少なくとも約0.10回のベースラインからの一晩の夜間覚醒の頻度の減少は、処置の開始後4週、6週、8週、12週または16週において見ることができる。それを必要とする対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、例えば、4週、8週、12週または16週において、一晩に約0.10回、一晩に0.15回、一晩に0.20回、一晩に0.25回、一晩に0.30回、一晩に0.35回、一晩に0.40回、一晩に0.45回、一晩に0.50回、一晩に0.55回、一晩に0.60回、一晩に0.65回、一晩に0.70回、一晩に0.75回、一晩に0.80回、一晩に0.85回、一晩に0.90回、一晩に0.95回、一晩に1.0回、一晩に2.0回またはそれ以上、ベースラインからの一晩の夜間覚醒の平均数の減少を引き起こすことができる。
【0044】
視覚的アナログスコア(VAS)。VASは1から10のスケールで患者に関連する鼻副鼻腔炎症状の重症度を評価するための尺度である。軽度の症状は0から3のスコアによって示され、中程度の症状は3超から7のVASスコアによって示され、重度の症状は7超から10のVASスコアによって示される。それを必要とする対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、4週、6週または12週において、約0.5ポイント、1ポイント、1.5ポイント、2ポイント、2.5ポイント、3ポイント、3.5ポイント、4ポイントまたはそれ以上のベースラインからのVASスコアの減少を引き起こす。VASスコアの減少は、IL−4Rアンタゴニストの投与後、早くて4週、および遅くても12週またはそれ以降に見ることができる。
【0045】
5項目喘息管理調査票(ACQ)スコア。ACQ5は、喘息管理の妥当性および自然発生的に、または処置の結果として起こる、喘息管理の変化の両方を測定する。ACQ5の5つの質問はトップスコアの5つの喘息症状を表す:症状により夜に覚醒した、症状により朝に覚醒した、日常活動の制限、息切れおよび喘鳴。患者は7ポイントスケールで症状の質問に答えた(0=機能障害なし、完全に管理された;6=最大機能障害、かなり管理されていない)。
【0046】
本発明は、抗IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物による処置の開始後、12週において少なくとも0.10ポイントのベースラインからのACQ5スコアの減少を生じる治療方法を含む。例えば、本発明によれば、それを必要とする対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、4週、6週または12週において、約0.10ポイント、0.15ポイント、0.20ポイント、0.25ポイント、0.30ポイント、0.35ポイント、0.40ポイント、0.45ポイント、0.50ポイント、0.55ポイント、0.60ポイント、0.65ポイント、0.70ポイント、0.75ポイント、0.80ポイント、0.85ポイントまたはそれ以上のベースラインからのACQスコアの減少を引き起こす。ACQスコアの減少は、IL−4Rアンタゴニストの投与後、早くて4週、および遅くても12週またはそれ以降に見ることができる。
【0047】
鼻最大吸気流量(NPIF)。鼻最大吸気流量(NPIF)は強制吸気および/または呼気の間の両方の鼻腔を通る気流の生理学的尺度を表し、リットル/分で表現される。鼻の吸気は、大部分、閉塞の主観的感覚と相関し、鼻漏をモニターするために使用される。それを必要とする対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、4週、6週または12週において、約0.10リットル/分、0.15リットル/分、0.20リットル/分、0.25リットル/分、0.30リットル/分、0.35リットル/分、0.40リットル/分、0.45リットル/分、0.50リットル/分、0.55リットル/分、0.60リットル/分、0.65リットル/分、0.70リットル/分、0.75リットル/分、0.80リットル/分、0.85リットル/分またはそれ以上のベースラインからのNPIFの増加を引き起こす。NPIFスコアの増加は、IL−4Rアンタゴニストの投与後、早くて4週、および遅くても12週またはそれ以降に見ることができる。
【0048】
ペンシルベニア大学嗅覚識別検査(UPSIT)。UPSITはヒトの嗅覚機能を定量的に評価するための方法である。検査は臭気物質のサンプルから構成され、対象は臭気を記載しなければならない。スコアは正しい答の数に基づく。この検査は、正常な嗅覚(「正常嗅覚」)を有する患者と、異なるレベルの低下(「軽度、中程度および重度のミクロスミア(microsmia)」)または喪失(「無嗅覚」)を有する患者とを見分けることができる。それを必要とする対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、4週、6週または12週において、約0.5ポイント、1ポイント、1.5ポイント、2ポイント、2.5ポイント、3ポイント、3.5ポイントまたはそれ以上のベースラインからのUPSITスコアの増加を引き起こす。UPSITスコアの増加は、IL−4Rアンタゴニストの投与後、早くて4週、および遅くても12週またはそれ以降に見ることができる。
【0049】
生理的パラメーター。IL−4Rアンタゴニストの効能は、鼻内視鏡検査またはコンピューター断層撮影(CT)スキャンなどによって鼻腔内などの生理的パラメーターの効果を測定することによってアッセイされる。
【0050】
Lund−Mackayスコア。Lund−Mackayスコア付けシステムは、混濁度について与えられるポイントによる局在性に基づく:0=正常、1=部分的混濁、2=完全混濁。次いでこれらのポイントは、各側で上顎骨、前篩骨、後篩骨、蝶形骨および前頭洞に適用される。中鼻道自然口ルートは、0=閉塞なし、または2=閉塞ありと等級分けされ、片方あたり12の最大スコアが導き出される。(以前の手術のため)中鼻道自然口ルート(OC)が欠失している患者に関して、前のOCの位置が考慮され、OCがそこにあるかのようにスコアが与えられる。それを必要とする対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、4週、6週または12週において、約0.10ポイント、0.15ポイント、0.20ポイント、0.25ポイント、0.30ポイント、0.35ポイント、0.40ポイント、0.45ポイント、0.50ポイント、0.55ポイント、0.60ポイント、0.65ポイント、0.70ポイント、0.75ポイント、0.80ポイント、0.85ポイントまたはそれ以上のベースラインからのLund−Mackayスコアの減少を引き起こす。Lund−Mackayスコアの減少は、IL−4Rアンタゴニストの投与後、早くて4週、および遅くても12週またはそれ以降に見ることができる。
【0051】
上顎洞の三次元容積測定。この値は、空気容積(mL);粘膜容積(mL);疾患によって占められる洞のパーセント;および上顎洞における側壁の厚さを算出するために使用される。それを必要とする対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は三次元容積測定の増加を引き起こす。
【0052】
生活の質(QoL)の調査票。Short−Form−36(SF−36)調査票、Euroqol−5D(EQ−5D)、鼻ポリープに関連する資料を使用する調査票および患者の定性的な自己評価を含む、様々なQoLの調査票が、IL−4Rアンタゴニストの効能をモニターするために使用される。
【0053】
SF−36は健康の8つの多項目の程度を測定する36項目調査票である:身体機能(10項目)、社会的機能(2項目)、身体的問題に起因する役割制限(4項目)、情緒的問題に起因する役割制限(3項目)、精神的健康(5項目)、精力/活力(4項目)、痛み(2項目)および全体的健康感(5項目)。各程度に関して、項目のスコアをコード化し、合計し、0(調査票によって測定された最悪と考えられる健康状態)から100(最高と考えられる健康状態)のスケールに変換した。2つの標準化した要約スコアもまた、SF−36から算出できる;身体的構成要素要約(PCS)および精神的健康構成要素(MCS)。
【0054】
EQ−5Dは、臨床および経済的評価ならびに疾患間(inter−disease)比較について、健康の簡単で一般的な尺度を提供するためにEuroQol Groupによって開発された標準化された健康に関連する生活の質の調査票である。患者による自記入式用に設計されたEQ−5Dは、2つの部分である、EQ−5D記述システムおよびEQ VASから構成される。EQ−5D記述システムは5つの程度:移動、身の回りの管理、普段の活動、痛み/不快感および不安/ふさぎ込みを含み;各程度は3つのレベルを有する:問題なし、いくらか問題あり、かなり問題あり。EQ視覚的アナログスケール(VAS)は垂直の視覚的アナログスケールに対して回答者の自己に関連した健康を記録する。EQ VAS「サーモメーター」は、最高で100(最高の考えられる健康状態)および最低で0(最悪の考えられる健康状態)の評価項目を有する。
【0055】
鼻ポリープに関連する資料を使用する調査票は、専門医来診、救急医療来診、病気休暇、休日などを含む、鼻茸についての健康管理の資料を利用する調査票である。
【0056】
上記の鼻ポリープに関連するパラメーターなどの鼻ポリープに関連するパラメーターの改善はパーセンテージとして表現することができる。例えば、スコアは、30%もしくはそれ以上、40%もしくはそれ以上、50%もしくはそれ以上、60%もしくはそれ以上、70%もしくはそれ以上または80%もしくはそれ以上、改善できる。
【0057】
「鼻ポリープに関連するパラメーターの改善」は、NPIF、UPSITのうちの1つもしくはそれ以上のベースラインからの増加、ならびに/またはSNOT−22スコア、対象により評価される鼻詰まり/閉塞、前部鼻漏(鼻水)、後部鼻漏(後鼻漏)および嗅覚の喪失;夜間覚醒の回数;VASスコア;Lund−Mackayスコア;および3D容積スコア;および喘息を有する患者におけるACQ5スコアのうちの1つもしくはそれ以上のベースラインからの減少を意味する。本明細書で使用される場合、鼻ポリープに関連するパラメーターに関して、「ベースライン」という用語は、本発明の医薬組成物の投与前または投与時の患者についての鼻ポリープに関連するパラメーターの数値を意味する。
【0058】
鼻ポリープに関連するパラメーターが「改善」されたかどうかを決定するために、パラメーターは、ベースラインおよび本発明の医薬組成物の投与後の時点で定量化される。例えば、鼻ポリープに関連するパラメーターは、本発明の医薬組成物による処置の開始後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、14日または3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、13週、14週、15週、16週、17週、18週、19週、20週、21週、22週、23週、24週またはそれより長い時に測定される。いくつかの実施形態において、パラメーターは、毎日(例えば、1日に1回または2回)、毎週、隔週または毎月測定される。他の実施形態において、パラメーターは毎日測定され、1ヶ月の過程にわたって決定された平均値はベースラインと比較される。
【0059】
処置の開始後の特定の時点におけるパラメーターの値とベースラインにおけるパラメーターの値との差は、鼻に関連するパラメーターが「改善」している(例えば、場合によっては、測定される特定のパラメーターに応じて増加または減少し得る)かどうかを実証するために使用される。
【0060】
インターロイキン−4受容体アンタゴニスト
一実施形態において、インターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む治療組成物を、それを必要とする対象は投与される。本明細書で使用される場合、「IL−4Rアンタゴニスト」は、IL−4Rに結合するかまたはIL−4Rと相互作用し、IL−4Rがin vitroまたはin vivoで細胞上に発現された場合にIL−4Rの通常の生物学的シグナル伝達機能を阻害する任意の薬剤である。IL−4Rアンタゴニストのカテゴリーの非限定的な例には、小分子IL−4Rアンタゴニスト、ペプチドベースのIL−4Rアンタゴニスト(例えば、「ペプチボディ(peptibody)」分子)、およびヒトIL−4Rに特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合断片が含まれる。
【0061】
「ヒトIL−4R」(hIL−4R)という用語は、本明細書で使用される場合、IL−4受容体I型およびII型、ならびにIL−13受容体系の構成成分である、IL−4Rαサブユニットを指すことを意図する。抗IL−4Rα抗体またはその抗原結合断片などのIL−4Rアンタゴニストは、IL−4およびIL−13の両方のシグナル伝達の機能を遮断する。
【0062】
「抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、ジスルフィド結合により相互接続された4つのポリペプチド鎖、2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子、ならびにその多量体(例えば、IgM)を指すことを意図する。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはV
Hと略される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、C
H1、C
H2およびC
H3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはV
Lと略される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は1つのドメイン(C
L1)を含む。V
HおよびV
L領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存的な領域に組み入れられている、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変性の領域にさらに細分される。各V
HおよびV
Lは、アミノ末端からカルボキシ末端へ以下の順序で配置された3つのCDRおよび4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。いくつかの実施形態において、抗Ang−2抗体(またはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であるか、または天然もしくは人工的に改変される。アミノ酸コンセンサス配列は2つまたはそれ以上のCDRの対照分析(side−by−side analysis)に基づいて規定される。
【0063】
「抗体」という用語はまた、本明細書で使用される場合、完全抗体分子の抗原結合断片も含む。抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」などの用語は、本明細書で使用される場合、抗原に特異的に結合して複合体を形成する、任意の天然に存在するか、酵素により入手可能か、合成または遺伝子操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合断片は、タンパク質分解消化、または抗体の可変および場合により定常ドメインをコードするDNAの操作および発現を含む組換え遺伝子操作技術などの任意の適切な標準的技術を使用して、例えば、完全抗体分子から誘導される。このようなDNAは公知であり、および/または例えば、商業的供給源、DNAライブラリー(例えば、ファージ−抗体ライブラリーを含む)から容易に入手可能であるか、または合成される。DNAは、例えば、1つもしくはそれ以上の可変および/もしくは定常ドメインを適切な構成に配置するため、またはコドンを導入するか、システイン残基を作製するか、アミノ酸を改変、付加もしくは欠失するなどのために、化学的に、または分子生物学的技術を使用することにより配列決定され、操作される。
【0064】
抗原結合断片の非限定的な例には:(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)単鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;および(vii)抗体の超可変領域を模倣したアミノ酸残基からなる最少認識単位(例えば、CDR3ペプチドなどの単離された相補性決定領域(CDR))、または制限されたFR3−CDR3−FR4ペプチドが含まれる。ドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDRグラフト化抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、ミニボディ(minibodies)、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディなど)、小モジュラー免疫薬(small modular immunopharmaceuticals)(SMIP)、およびサメ可変IgNARドメインなどの他の操作された分子もまた、本明細書で使用される場合、「抗原結合断片」という表現内に包含される。
【0065】
抗体の抗原結合断片は典型的には少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは任意のサイズまたはアミノ酸組成のものでもよく、一般的には1つもしくはそれ以上のフレームワーク配列に隣接するか、または1つもしくはそれ以上のフレームワーク配列とインフレームの少なくとも1つのCDRを含む。V
Lドメインに付随してV
Hドメインを有する抗原結合断片において、V
HおよびV
Lドメインは、任意の適切な配置で互いに対して位置づけられる。例えば、可変領域は二量体であってもよく、V
H−V
H、V
H−V
LまたはV
L−V
L二量体を含有してもよい。あるいは、抗体の抗原結合断片は単量体V
HまたはV
Lドメインを含有してもよい。
【0066】
特定の実施形態において、抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合で連結された少なくとも1つの可変ドメインを含有してもよい。抗体の抗原結合断片内に見出される可変および定常ドメインの非限定的な例示的な構成には:(i)V
H−C
H1;(ii)V
H−C
H2;(iii)V
H−C
H3;(iv)V
H−C
H1−C
H2;(v)V
H−C
H1−C
H2−C
H3;(vi)V
H−C
H2−C
H3;(vii)V
H−C
L;(viii)V
L−C
H1;(ix)V
L−C
H2;(x)V
L−C
H3;(xi)V
L−C
H1−C
H2;(xii)V
L−C
H1−C
H2−C
H3;(xiii)V
L−C
H2−C
H3;および(xiv)V
L−C
Lが含まれる。上に列挙した例示的な構成のいずれかを含む、可変および定常ドメインのいずれかの構成において、可変および定常ドメインは、互いに直接連結されるか、または全長もしくは部分的ヒンジもしくはリンカー領域により連結される。ヒンジ領域は、単一のポリペプチド分子中の隣接する可変および/または定常ドメイン間の可撓性または半可撓性の連結を生じる少なくとも2つ(例えば、5、10、15、20、40、60またはそれ以上)のアミノ酸からなる。さらに、抗体の抗原結合断片は、互いと、および/または1つもしくはそれ以上の単量体V
HもしくはV
Lドメインと(例えば、ジスルフィド結合により)非共有結合した、上で列挙した可変および定常ドメインの構成のいずれかのホモ二量体またはヘテロ二量体(または他の多量体)を含んでもよい。
【0067】
完全抗体分子と同様に、抗原結合断片は単一特異性であってもよいか、または多重特異性(例えば、二重特異性)であってもよい。抗体の多重特異性抗原結合断片は、典型的には少なくとも2つの異なる可変ドメインを含み、ここで各可変ドメインは別々の抗原または同じ抗原上の異なるエピトープに特異的に結合することができる。本明細書に開示される例示的な二重特異性抗体形式を含む、任意の多重特異性抗体形式は、当該分野で利用可能な通常の技術を使用して抗IL−4R抗体の抗原結合断片の文脈における使用のために適合される。
【0068】
抗体の定常領域は、補体を固定し、細胞依存性細胞傷害性を媒介する抗体の能力において重要である。したがって、抗体のアイソタイプは、抗体が細胞傷害性を媒介することが望ましいか否かに基づいて選択される。
【0069】
「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体を含むことが意図される。それでもなお、本発明において特徴付けられるヒト抗体は、例えばCDRおよび特にCDR3において、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的変異誘発またはin vivoでの体細胞変異により導入された変異)を含んでもよい。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上にグラフト化されている抗体を含まないことを意図する。
【0070】
「組換えヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、組換え手段により製造、発現、作製または単離される全てのヒト抗体、例えば、宿主細胞内にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体(以下でさらに記載される)、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体(以下でさらに記載される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックな動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylorら(1992)Nucl.Acids Res.20:6287〜6295を参照のこと)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段により製造、発現、作製もしくは単離された抗体を含むことを意図する。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する。しかしながら、特定の実施形態において、このような組換えヒト抗体はin vitro変異誘発(または、ヒトIg配列に関してトランスジェニックな動物が使用される場合、in vivo体細胞変異誘発)を受け、それ故、組換え抗体のV
HおよびV
L領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列V
HおよびV
L配列から誘導され、ヒト生殖系列V
HおよびV
L配列に関連するが、in vivoでヒト抗体生殖系列レパートリー内には天然に存在しなくてもよい配列である。
【0071】
ヒト抗体は、ヒンジ不均一性に関連する2つの形態で存在することができる。1つの形態において、免疫グロブリン分子は約150〜160kDaの安定な4つの鎖の構築物を含み、ここで二量体が鎖間重鎖ジスルフィド結合により一緒に保持される。第二の形態において、二量体は鎖間ジスルフィド結合を介して連結されておらず、共有結合でカップリングされた軽鎖および重鎖(半抗体)から構成される約75〜80kDaの分子が形成される。これらの形態は、アフィニティー精製後でさえ分離することが非常に困難であった。
【0072】
様々なインタクトなIgGアイソタイプにおける第二の形態の出現頻度は、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造的差異に起因するがこれに限定されない。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域における単一アミノ酸置換は、ヒトIgG1ヒンジを使用して典型的に観察されるレベルまで、第二の形態の出現を有意に低下させることができる(Angalら(1993)Molecular Immunology 30:105)。本発明は、ヒンジ、C
H2またはC
H3領域に1つまたはそれ上の変異を有する抗体を包含し、これは例えば、製造中、所望の抗体形態の収量を改善するために望ましい。
【0073】
「単離された抗体」は、本明細書で使用される場合、同定され、その天然環境の少なくとも1つの構成成分から分離され、および/または回収された抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1つの構成成分から、または抗体が天然に存在するかもしくは天然に産生される組織もしくは細胞から分離または除去された抗体は、「単離された抗体」である。単離された抗体はまた、組換え細胞内のインサイチュの抗体を含む。単離された抗体は、少なくとも1つの精製または単離工程を受けた抗体である。特定の実施形態によれば、単離された抗体は他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まないものであってもよい。
【0074】
「特異的に結合する」などの用語は、抗体またはその抗原結合断片が、生理条件下で比較的安定な複合体を抗原と形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するか否かを決定するための方法は当該分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。例えば、IL−4Rに「特異的に結合する」抗体は、本明細書で使用される場合、IL−4Rまたはその部分に、表面プラズモン共鳴アッセイで測定して、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満または約0.5nM未満のK
Dで結合する抗体を含む。しかしながら、ヒトIL−4Rに特異的に結合する単離された抗体は、他の(非ヒト)種由来のIL−4R分子などの他の抗原に対して交差反応性を有してもよい。
【0075】
本明細書において特徴付けられる方法に有用な抗IL−4R抗体は、その抗体が由来する対応する生殖系列配列と比較して、重鎖および軽鎖可変ドメインのフレームワークおよび/またはCDR領域中に、1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を含んでもよい。このような変異は、本明細書に開示されるアミノ酸配列を、例えば、公開の抗体配列データベースから入手可能な生殖系列配列と比較することにより容易に確認できる。本発明は、本明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれかに由来する、抗体およびその抗原結合断片の使用を含む方法であって、ここで1つもしくはそれ以上のフレームワークおよび/またはCDR領域内の1つまたはそれ上のアミノ酸は、その抗体が由来した生殖系列配列の対応する残基、または別のヒト生殖系列配列の対応する残基、または対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換へと変異される(このような配列変化は本明細書で集合的に「生殖系列変異」と呼ばれる)、方法を含む。当業者は、本明細書に開示される重鎖および軽鎖可変領域配列から始めて、1つまたはそれ以上の個々の生殖系列変異またはそれらの組合せを含む多数の抗体および抗原結合断片を容易に製造することができる。特定の実施形態において、V
Hおよび/またはV
Lドメイン内のフレームワークおよび/またはCDR残基の全ては、その抗体が由来した元の生殖系列配列において見出される残基へと逆変異される。他の実施形態において、特定の残基のみ、例えば、FR1の最初の8つのアミノ酸内もしくはFR4の最後の8つのアミノ酸内に見出される変異した残基のみ、またはCDR1、CDR2もしくはCDR3内に見出される変異した残基のみが元の生殖系列配列へと逆変異される。他の実施形態において、フレームワークおよび/またはCDR残基の1つまたはそれ以上は、異なる生殖系列配列(すなわち、その抗体が元々由来した生殖系列配列とは異なる生殖系列配列)の対応する残基へと変異される。さらに、抗体は、フレームワークおよび/またはCDR領域内の2つまたはそれ以上の生殖系列変異の任意の組み合わせを含有してもよく、例えばここで特定の個々の残基は特定の生殖系列配列の対応する残基へと変異されるが、元の生殖系列配列と異なる特定の他の残基は維持されるか、または異なる生殖系列配列の対応する残基へと変異される。一旦得られれば、1つまたはそれ以上の生殖系列変異を含有する抗体および抗原結合断片は、改善された結合特異性、増加した結合親和性、改善されたまたは増強されたアンタゴニストまたはアゴニスト生物学的特性(場合によって)、低下した免疫原性などの1つまたはそれ上の所望の特性について容易に試験することができる。この一般的な様式で得られる抗体および抗原結合断片の使用は本発明内に包含される。
【0076】
本発明はまた、1つまたはそれ以上の保存的置換を有する、本明細書に開示されるHCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列のいずれかのバリアントを含む抗IL−4R抗体の使用を含む方法も含む。例えば、本発明は、本明細書に開示されるHCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列のいずれかと比較して、例えば、10またはそれ以下、8またはそれ以下、6またはそれ以下、4またはそれ以下などの保存的アミノ酸置換を含むHCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列を有する抗IL−4R抗体の使用を含む。
【0077】
「表面プラズモン共鳴」という用語は、本明細書で使用される場合、例えばBIAcore(商標)システム(Biacore Life Sciences division of GE Healthcare、Piscataway、NJ)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することによるリアルタイム相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。
【0078】
「K
D」という用語は、本明細書で使用される場合、特定の抗体−抗原相互作用の平衡解離定数を指すことを意図する。
【0079】
「エピトープ」という用語は、パラトープとして知られる抗体分子の可変領域における特異的抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原が1つより多くのエピトープを有してもよい。したがって、異なる抗体は抗原上の異なる領域に結合でき、異なる生物学的効果を有することができる。エピトープは立体構造的または線状のいずれでもよい。立体構造的エピトープは、線状ポリペプチド鎖の異なるセグメントからの空間的に近接したアミノ酸により生じる。線状エピトープは、ポリペプチド鎖における隣接したアミノ酸残基により生じるものである。特定の状況において、エピトープは抗原上に糖類、ホスホリル基またはスルホニル基の部分を含んでもよい。
【0080】
本発明の特定の例示的な実施形態によれば、IL−4Rアンタゴニストは、米国特許第7,608,693号および同第7,605,237号に記載されている抗IL−4R抗体のアミノ酸配列のいずれかを含む重鎖可変領域(HCVR)、軽鎖可変領域(LCVR)および/または相補性決定領域(CDR)を含む抗IL−4Rα抗体またはその抗原結合断片である。特定の例示的な実施形態において、本発明の方法の文脈において使用される抗IL−4Rα抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)の重鎖相補性決定領域(HCDR)および配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)の軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含む。特定の実施形態によれば、抗IL−4Rα抗体またはその抗原結合断片は、3つのHCDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)および3つのLCDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含み、HCDR1は配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は配列番号7のアミノ酸配列を含み;LCDR3は配列番号8のアミノ酸配列を含む。さらに他の実施形態において、抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1を含むHCVRおよび配列番号2を含むLCVRを含む。特定の例示的な実施形態によれば、本発明の方法は、デュピルマブまたはその生物学的等価物と称され、当該分野において公知である抗IL−4Rα抗体の使用を含む。
【0081】
「生物学的等価物」という用語は、本明細書で使用される場合、効能および安全性の両方に関して、効果が比較分子と本質的に同じであると考えられるような、同じ分子用量の投与後、および同様の条件下(例えば、同じ投与経路)での同様の生物学的利用能(利用可能性の割合および程度)を有する分子を指す。IL−4Rアンタゴニストを含む2つの医薬組成物は、それらが薬学的に等価である場合、生物学的等価物であり、それらは、同じ投与経路に関して、同じ剤形において同じ量の有効成分(例えば、IL−4Rアンタゴニスト)を含有していることを意味し、同じまたは同等の基準を満たす。生物学的等価性は、例えば、2つの組成物についての薬物動態パラメーターを比較するin vivo研究によって決定することができる。生物学的等価性研究において一般的に使用されるパラメーターには、ピーク血漿濃度(C
max)および血漿薬物濃度時間曲線下面積(AUC)が含まれる。
【0082】
本発明の方法の文脈において使用される他の抗IL−4Rα抗体には、例えば、AMG317(Correnら、2010、Am J Respir Crit Care Med.、181(8):788〜796)と称され、当該分野において公知である抗体、または米国特許第7,186,809号もしくは米国特許第8,092,804号に記載されている抗IL−4Rα抗体のいずれかが含まれる。
【0083】
本発明の方法の文脈に使用される抗IL−4Rα抗体はpH依存性結合特性を有していてもよい。例えば、本発明の方法に使用するための抗IL−4Rα抗体は、中性pHと比較して酸性pHにおいてIL−4Rαとの低下した結合を示すことができる。あるいは、本発明の抗IL−4Rα抗体は、中性pHと比較して酸性pHにおいてその抗原との増強した結合を示すことができる。「酸性pH」という表現は、約6.2未満、例えば、約6.0、5.95、5.9、5.85、5.8、5.75、5.7、5.65、5.6、5.55、5.5、5.45、5.4、5.35、5.3、5.25、5.2、5.15、5.1、5.05、5.0またはそれ以下のpH値を含む。本明細書で使用される場合、「中性pH」という表現は、約7.0〜約7.4のpHを意味する。「中性pH」という表現は、約7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35および7.4のpH値を含む。
【0084】
特定の場合、「中性pHと比較して酸性pHにおいてIL−4Rαとの低下した結合」は、酸性pHにおけるIL−4Rαとの抗体結合のK
D値対中性pHにおけるIL−4Rαとの抗体結合のK
D値の比(または逆も同様)として表現される。例えば、抗体またはその抗原結合断片は、抗体またはその抗原結合断片が約3.0またはそれ以上の酸性/中性K
D比を示す場合、本発明の目的に関して「中性pHと比較して酸性pHにおいてIL−4Rαとの低下した結合」を示すとみなされる。特定の例示的な実施形態において、本発明の抗体または抗原結合断片に対する酸性/中性K
D比は、約3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、20.0、25.0、30.0、40.0、50.0、60.0、70.0、100.0またはそれ以上であってもよい。
【0085】
pH依存性結合特性を有する抗体は、例えば、中性pHと比較して酸性pHにおいて特定の抗原との低下した(または増強した)結合について抗体の集団をスクリーニングすることによって得ることができる。さらに、アミノ酸レベルにおける抗原結合ドメインの改変はpH依存性特性を有する抗体を生じさせることができる。例えば、抗原結合ドメイン(例えば、CDR内)の1つまたはそれ以上のアミノ酸をヒスチジン残基と置換することによって、中性pHと比較して酸性pHにおいて低下した抗原結合を有する抗体を得ることができる。本明細書で使用される場合、「酸性pH」という表現は、6.0またはそれ以下のpHを意味する。
【0086】
医薬組成物
本発明は、IL−4Rアンタゴニストを患者に投与する工程であって、IL−4Rアンタゴニストは医薬組成物内に含有される、工程を含む方法を含む。本発明において特徴付けられる医薬組成物は、適切な担体、賦形剤および適切な移送、送達、耐性などをもたらす他の薬剤と共に製剤化される。複数の適切な製剤は、全ての薬剤師に公知の処方集に見出すことができる:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PA。これらの製剤には、例えば、粉剤、ペースト剤、軟膏、ゼリー、ワックス、オイル、脂質、脂質(カチオン性またはアニオン性)含有小胞(LIPOFECTIN(商標)など)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油および油中水エマルション、カーボワックスエマルション(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固形ゲルおよびカーボワックスを含有する半固形混合物が含まれる。Powellら「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA(1998)J Pharm Sci Technol 52:238〜311も参照されたい。
【0087】
患者に投与される抗体の用量は、患者の年齢およびサイズ、症状、状態、投与経路などによって変えてもよい。好ましい用量は、典型的には体重または体表面積に従って計算される。状態の重症度に依存して、処置の頻度および期間は調整される。有効な投薬量および抗IL−4R抗体を含む医薬組成物を投与するスケジュールは経験的に決定され;例えば、患者の進行は定期的評価によりモニターされ、それに従って用量が調整される。さらに、投薬量の種間スケーリングは当該分野で周知の方法を使用して実施される(例えば、Mordentiら、1991、Pharmaceut.Res.8:1351)。
【0088】
様々な送達系が公知であり、リポソーム封入、微小粒子、マイクロカプセル、変異ウイルスを発現できる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシスを含む、IL−4Rアンタゴニストを含有する医薬組成物を投与するために使用される(例えば、Wuら、1987、J.Biol.Chem.262:4429〜4432を参照のこと)。投与方法には、限定されないが、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外および経口経路が含まれる。組成物は任意の従来の経路により、例えば輸注またはボーラス注射により、上皮または粘膜皮膚内層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸管粘膜など)を通した吸収により投与され、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与される。
【0089】
医薬組成物は、標準的な針および注射器を用いて皮下または静脈内に送達される。さらに、皮下送達に関して、ペン型送達デバイスが医薬組成物の送達において容易に有用性を有する。自動注入ペン型送達デバイスを含む、このようなペン型送達デバイスは再利用可能であってもよいか、または使い捨てであってもよい。再利用可能なペン型送達デバイスは、一般的には、医薬組成物を含有する交換式カートリッジを利用する。カートリッジ内の医薬組成物の全てが投与されてカートリッジが空になると、空のカートリッジは容易に廃棄され、医薬組成物を含有する新しいカートリッジに置き換えられる。次いでペン型送達デバイスは再使用される。使い捨てペン型送達デバイスにおいて、交換式カートリッジは存在しない。むしろ、使い捨てペン型送達デバイスはデバイス内のリザーバー中に保持される医薬組成物で予め充填されている状態である。リザーバーから医薬組成物が空になると、デバイス全体が廃棄される。
【0090】
多数の再利用可能なペン型および自動注入送達デバイスが医薬組成物の皮下送達において有用性を有する。例には、限定されないが、いくつか例を挙げると、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford,Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN(商標)I、IIおよびIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)ならびにOPTICLIK(商標)(sanofi−aventis、Frankfurt、Germany)が含まれる。医薬組成物の皮下送達において有用性を有する使い捨てペン型送達デバイスの例には、限定されないが、いくつか例を挙げると、SOLOSTAR(商標)ペン(sanofi−aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)およびKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)自動注入器(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET(商標)(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey、L.P.)およびHUMIRA(商標)ペン(Abbott Labs、Abbott Park IL)が含まれる。
【0091】
洞への直接投与については、IL−4Rアンタゴニストを含有する医薬組成物は、例えば、マイクロカテーテル(例えば、内視鏡およびマイクロカテーテル)、エアロゾライザー(aerosolizer)、粉末ディスペンサー、ネブライザーまたは吸入器を使用して投与される。
【0092】
特定の状況において、医薬組成物は制御放出系で送達される。一実施形態において、ポンプが使用される(Langer、supra;Sefton、1987、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201を参照のこと)。別の実施形態において、ポリマー材料が使用される;Medical Applications of Controlled Release、Langer and Wise(編)、1974、CRC Pres.、Boca Raton、Floridaを参照されたい。さらに別の実施形態において、制御放出系が組成物の標的に近接して配置され、それ故全身用量の一部しか必要としない(例えば、Goodson、1984、in Medical Applications of Controlled Release、supra、2巻、115〜138頁を参照のこと)。他の制御放出系はLanger、1990、Science 249:1527〜1533による概説において説明されている。
【0093】
注射用製剤は、静脈内、皮下、皮内および筋内注射、点滴などのための剤形を含んでもよい。これらの注射用製剤は、公知の方法により製造される。例えば、注射用製剤は、例えば、上記の抗体またはその塩を、注射のために従来使用される滅菌水性媒体または油性媒体中に溶解、懸濁または乳化させることによって製造される。注射のための水性媒体としては、例えば、生理食塩水、グルコースおよび他の補助剤などを含有する等張液があり、これらはアルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO−50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加体)]などのような適切な可溶化剤と組み合わせて使用される。油性媒体としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが利用され、これらは安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどのような可溶化剤と組み合わせて使用される。このようにして製造された注射剤は、好ましくは適切なアンプル中に充填される。
【0094】
有利には、上記の経口または非経口使用のための医薬組成物は、活性成分の用量に適合するのに適している単位用量で剤形へと製造される。このような単位用量での剤形には、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが含まれる。
【0095】
投薬量
本明細書において特徴付けられる方法に従って対象に投与されるIL−4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片)の量は、一般的に治療有効量である。本明細書で使用される場合、「治療有効量」という語句は、鼻ポリープに関連する1つもしくはそれ以上の症状の検出可能な改善を生じるIL−4Rアンタゴニストの用量、または鼻ポリープもしくは鼻ポリープに関連する状態の進行を阻害、予防、軽減または遅延させるIL−4Rアンタゴニストの用量を意味する。抗IL−4R抗体の場合、治療有効量は、約0.05mg〜約600mg、例えば、約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mgまたは約600mgの抗IL−4R抗体または抗原結合断片であってもよい。
【0096】
個々の用量内に含まれるIL−4Rアンタゴニストの量は、患者の体重1キログラムあたりの抗体のミリグラムとして表現される(すなわち、mg/kg)。例えば、IL−4Rアンタゴニストは約0.0001〜約10mg/患者の体重kgの用量で患者に投与される。
【0097】
組合せ治療
特定の実施形態による方法は、1つまたはそれ以上のさらなる治療剤をIL−4Rアンタゴニストと組み合わせて対象に投与する工程を含む。本明細書において使用される場合、「と組み合わせて」という表現は、さらなる治療剤を、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の前、後または同時に投与することを意味する。例えば、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の「前」に投与される場合、さらなる治療剤は、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の約72時間、約60時間、約48時間、約36時間、約24時間、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、約1時間、約30分、約15分または約10分前に投与される。IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の「後」に投与される場合、さらなる治療剤は、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の約10分、約15分、約30分、約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約60時間または約72時間後に投与される。IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物と「同時」の投与は、さらなる治療剤が、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の5分未満以内(前、後、または同時)に別々の剤形で対象に投与されるか、またはさらなる治療剤およびIL−4Rアンタゴニストの両方を含む単一の配合投薬製剤として対象に投与されることを意味する。
【0098】
さらなる治療剤は、例えば、別のIL−4Rアンタゴニスト、IL−1アンタゴニスト(例えば、米国特許第6,927,044号に記載されているIL−1アンタゴニストを含む)、IL−6アンタゴニスト、IL−6Rアンタゴニスト(例えば、米国特許第7,582,298号に記載されている抗IL−6R抗体を含む)、IL−13アンタゴニスト、TNFアンタゴニスト、IL−8アンタゴニスト、IL−9アンタゴニスト、IL−17アンタゴニスト、IL−5アンタゴニスト、IgEアンタゴニスト、CD48アンタゴニスト、抗生物質(例えば、ドキシサイクリン)、抗真菌薬、ロイコトリエン、抗ヒスタミン剤、α−アドレナリン作用性充血除去剤、粘液溶解薬、NSAID、長時間作用性ベータ
2アゴニスト(例えば、サルメテロールまたはホルモテロール)、短時間作用性β
2アゴニスト、ステロイド(例えば、経口ステロイド)、鼻腔内コルチコステロイド(例えば、フランカルボン酸モメタゾン(MFNS;例えば、Nasonex(登録商標)))もしくは吸入コルチコステロイド(例えば、フルチカゾンまたはブデソニド)などのコルチコステロイド、アレルゲン免疫療法、またはそれらの組合せであってもよい。例えば、特定の実施形態において、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物は、長時間作用性ベータ
2アゴニストおよび吸入コルチコステロイドを含む組合せ(例えば、フルチカゾン+サルメテロール[例えば、Advair(登録商標)(GlaxoSmithKline)];またはブデソニド+ホルモテロール[例えば、Symbicort(登録商標)(Astra Zeneca)])と組み合わせて投与される。
【0099】
いくつかの実施形態において、IL−4Rアンタゴニストは、対象が鼻茸を処置する手術を受けた後に投与される。
【0100】
投与レジメン
特定の実施形態によれば、IL−4Rアンタゴニストの複数回用量は規定された時間経過にわたって対象に投与される。その方法は、例えば、IL−4Rアンタゴニストの複数回用量を対象に連続投与する工程を含む。本明細書で使用される場合、「連続投与する」とは、IL−4Rアンタゴニストの各用量が、異なる時点、例えば、所定の間隔(例えば、時間、日、週または月)だけ隔てた異なる日に対象に投与されることを意味する。本発明は、IL−4Rアンタゴニストの単回初期用量、続いてIL−4Rアンタゴニストの1回またはそれ以上の二次用量、場合により続いてIL−4Rアンタゴニストの1回またはそれ以上の三次用量を患者に連続投与する工程を含む方法を含む。
【0101】
「初期用量」、「二次用量」および「三次用量」という用語は、IL−4Rアンタゴニストの投与の時系列を指す。したがって、「初期用量」は処置レジメンの初めに投与される用量であり(「ベースライン用量」とも称される);「二次用量」は初期用量の後に投与される用量であり;「三次用量」は二次用量の後に投与される用量である。初期、二次および三次用量は全て、同じ量のIL−4Rアンタゴニストを含有していてもよいが、一般的には投与頻度の点から互いに異なる。しかしながら、特定の実施形態において、初期、二次および/または三次用量に含まれるIL−4Rアンタゴニストの量は、処置の過程の間、互いに変化する(例えば、必要に応じて上方または下方に調整される)。
【0102】
1つの例示的な実施形態において、二次および/または三次用量はそれぞれ、直前の投薬の1〜14週間(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5またはそれ以上)後に投与される。「直前の投薬」という語句は、本明細書で使用される場合、一連の複数回投与で、投薬を介在させずに、その順番ですぐ次の用量の投与の前に患者に投与されるIL−4Rアンタゴニストの投薬を意味する。
【0103】
これらの方法は、IL−4Rアンタゴニストの任意の数の二次および/または三次用量を患者に投与する工程を含み得る。例えば、特定の実施形態において、単回二次用量のみが患者に投与される。他の実施形態において、2回またはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8またはそれ以上)の二次用量が患者に投与される。同様に、特定の実施形態において、単回の三次用量のみが患者に投与される。他の実施形態において、2回またはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8またはそれ以上)の三次用量が患者に投与される。
【0104】
複数回二次用量を含む実施形態において、各二次用量は、他の二次用量と同じ頻度で投与される。例えば、各二次用量は、直前の投薬の1〜2週間後に患者に投与される。同様に、複数回三次用量を含む実施形態において、各三次用量は他の三次用量と同じ頻度で投与される。例えば、各三次用量は、直前の投薬の2〜4週間後に患者に投与される。あるいは、二次および/または三次用量が患者に投与される頻度は、処置レジメンの過程にわたって変化させてもよい。投与頻度はまた、臨床検査後に個々の患者の必要性に依存して医師による処置の過程の間に調整される。
【0105】
特定の実施形態において、初期用量(例えば、「負荷用量」)は、二次および三次用量のいずれかまたは両方より多い。例えば、初期用量は負荷用量であってもよく、それは二次用量の1.5倍、2倍、2.5倍、3倍またはそれより多くである。
【0106】
処置集団
本発明において特徴付けられる方法は、IL−4Rアンタゴニストを含む治療組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。本明細書で使用される場合、「それを必要とする対象」という表現は、鼻茸の1つもしくはそれ以上の症状もしくは兆候を示すか、または鼻茸もしくは静脈洞炎の慢性症状と診断されたヒトまたは非ヒト動物を意味する。例えば、それを必要とする被験体は、両側性鼻ポリープ、および各々の鼻孔について少なくとも2のスコアで、両方の鼻孔について少なくとも5から最大8の鼻ポリープスコアを有する。特定の実施形態において、ポリープは中鼻道にある。特定の実施形態において、鼻ポリープの存在は内視鏡検査によって確認される。いくつかの実施形態において、対象はまた、CTスキャンなどの方法によって確認される、両側性粘膜疾患を有する。本明細書で使用される場合、「両側性粘膜疾患」は、鼻腔、例えば、上顎鼻腔の粘膜内層の感染である。いくつかの実施形態において、鼻茸(例えば、各々の鼻孔について少なくとも2のスコアで、両方の鼻孔について少なくとも5から最大8の鼻ポリープスコア)は、INCSが少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間またはそれ以上の間、投与された場合などの、吸入コルチコステロイド(INCS)の処置レジメン後でさえも持続する。
【0107】
特定の実施形態において、それを必要とする対象は、前部および/または後部粘液膿性ドレナージ(mucopurulent drainage)、鼻閉塞および減少した嗅覚を有する。特定の実施形態において、それを必要とする対象は、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間またはそれ以上の間、鼻茸の症状を有する。さらに他の実施形態において、対象は、IL−4Rアンタゴニストによる処置を受ける前に、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間またはそれ以上の間、鼻腔内コルチコステロイド(例えば、MFNS)などによる処置を以前に受けている。いくつかの実施形態において、対象は、IL−4Rアンタゴニストによる処置を受けながら、INCSを受けることを継続する。他の実施形態において、対象は、IL−4Rアンタゴニストによる処置を受ける前にINCSを受けることを停止するか、または対象は、IL−4Rアンタゴニストによる投与が鼻茸を処置するのに有効である場合、INCSによる処置を受けることを停止する。いくつかの実施形態において、対象は完全に処置を停止する前にINCSの用量を徐々に少なくする。
【0108】
それを必要とする対象はさらに、以下のうちの1つまたはそれ以上に基づいて鼻茸と診断されている:(a)22項目副鼻腔評価試験(SNOT−22)スコア;(b)対象により評価される鼻詰まり/閉塞、前部鼻漏、後部鼻漏および嗅覚の喪失;(c)夜間覚醒の回数;(d)患者に関連する鼻副鼻腔炎症状の重症度を評価するための視覚的アナログスコア(VAS);(e)喘息を有する患者における5項目喘息管理調査票(ACQ5)スコア;(f)鼻最大吸気流量(NPIF);(g)嗅覚検査(ペンシルベニア大学嗅覚識別検査(UPSIT));(h)鼻内視鏡検査およびCTスキャンなどによって測定される、生理的パラメーター;(i)Lund−Mackayスコア;および(k)上顎洞の三次元容積測定。
【0109】
例えば、特定の実施形態において、「それを必要とする対象」は、以下の症状のうちの少なくとも2つが存在している静脈洞炎の慢性症状を有するヒト患者である:鼻遮断/閉塞/詰まりまたは鼻汁(前部/後部鼻漏);顔面痛/圧迫感;および嗅覚の低下または喪失。
【0110】
特定の実施形態において、「それを必要とする対象」は、約7超、約10超、約15超、約20超、約25超、約30超、約35超、約40超、約45超または約50超のSNOT−22スコアを有するヒト患者である。「それを必要とする対象」はまた、約4超、約5超、約6超、約7超、約8超、約9超、約10超、約11超、約12超または約13超のLund−Mackayスコアを示すヒト患者であってもよい。
【0111】
関連する実施形態において、「それを必要とする対象」は、IL−4Rアンタゴニストを受ける前であるか、別の医薬である「バックグラウンド治療」を処方されていたか、または現在受けている対象であってもよい。バックグラウンド治療は、例えば、フランカルボン酸モメタゾンの鼻内噴霧(MFNS;Nasonex(登録商標))などの鼻腔内コルチコステロイド(INCSまたはICS)であってもよい。いくつかの実施形態において、「それを必要とする対象」は、IL−4Rアンタゴニストを受ける前であるか、長時間作用性ベータ
2−アドレナリン作用性アンタゴニスト(LABA)と組み合わせてINCSを処方されていたか、または現在受けている喘息患者である。INCS/LABA治療の例には、フルチカゾン/サルメテロール組合せ治療およびブデソニド/ホルモテロール組合せ治療が含まれる。いくつかの実施形態において、バックグラウンド治療は、鼻用生理食塩水、局所充血除去剤、局所麻酔剤、ロイコトリエンアンタゴニストまたは全身抗ヒスタミン剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、「それを必要とする対象」は、対象がIL−4Rアンタゴニストを受けた後、バックグラウンド治療を継続し、他の実施形態において、それを必要とする対象は、IL−4Rアンタゴニストを受ける前に(例えば、一旦または徐々に)バックグラウンド治療を受けることを停止する。
【実施例】
【0112】
以下の実施例は、本発明において特徴付けられる方法および組成物を製造および使用する方法の完全な開示および記載を当業者に提供するために提示されるものであり、本発明者らが発明とみなすものの範囲を制限することは意図されない。使用される数字(例えば、量、温度など)に関して正確さを確実にするために努力がなされてきたが、いくらかの実験誤差および偏差が考慮されなければならない。他に示されない限り、部数は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧または大気圧付近である。
【0113】
実施例1:慢性肥厚性好酸球性副鼻腔炎を有する喘息患者を含む、持続性の中程度から重度の好酸球性喘息を有する患者における皮下投与された抗IL−4R抗体(mAb1)の臨床試験
A.研究目的および概要
無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群研究を、吸入コルチコステロイド(ICS)および長時間作用性ベータ2アゴニスト(LABA)治療により部分的に管理された/管理されなかった持続性の中程度から重度の好酸球性喘息を有する患者に、300mgのデュピルマブ(「mAb1」)またはプラセボのいずれかを12週間、週に1回皮下投与して行った。デュピルマブは配列番号1の重鎖可変領域および配列番号2の軽鎖可変領域を有する抗IL−4R抗体である。デュピルマブは米国特許第7,608,693号に記載されている。
【0114】
研究の主目的は、持続性の中程度から重度の好酸球性喘息を有する患者において、喘息増悪の発生率の低下に対する、プラセボと比較した12週間の週に1回皮下投与されたmAb1の効果を調べることであった。この研究の二次目的は、持続性の中程度から重度の好酸球性喘息を有する患者において12週間の週に1回皮下投与されたmAb1の安全性および許容性を評価すること、ならびに持続性の中程度から重度の好酸球性喘息を有する患者において12週間の週に1回の皮下投薬後のmAb1血清濃度を評価することであった。
【0115】
スクリーニングの前に、患者は少なくとも1ヶ月間、ICS/LABA組合せ治療(「バックグラウンド治療」とも呼ばれる)の以下の用量および処方のいずれかの安定用量を継続中である必要があった:
フルチカゾン/サルメテロール組合せ治療
− Advair(登録商標)Diskus−ドライパウダー吸入器(DPI):250/50ug BIDもしくは500/50ug BID;もしくは
− Advair(登録商標)HFA−定量吸入器(MDI):230/42ug BIDもしくは460/42ug BID;または
ブデソニド/ホルモテロール組合せ治療(Symbicort(登録商標)160/9ug BIDまたは320/9ug BID);または
モメタゾン/ホルモテロール組合せ治療(Dulera(登録商標)200/10ug BIDまたは400/10ug BID)。
【0116】
ブデソニド/ホルモテロールまたはモメタゾン/ホルモテロールを継続中であった患者を、無作為化時(1日目)に等価用量のフルチカゾン/サルメテロールに切り替えて、フルチカゾン/サルメテロールを継続中であった患者はバックグラウンド治療と同じままであった。
【0117】
組み入れ基準および除外基準(以下を参照のこと)を満たした患者を、以下の処置の1つに無作為に選んだ:mAb1 300mgを12週間、週に1回皮下投与;またはプラセボを12週間、週に1回皮下投与した。
【0118】
この研究は2週間のスクリーニング期間、無作為化後の4週間のバックグラウンド治療安定期および8週間のバックグラウンド治療休薬期を含む12週間の処置期間、続いて8週間の処置後経過観察期間を含んでいた。
【0119】
バックグラウンド治療(ICS/LABA)休薬のためのアルゴリズム:
患者は、300mg mAb1(またはプラセボ)の付加型治療または処置を開始した後4週間、BID フルチカゾン/サルメテロールバックグラウンド治療を継続したままであった。無作為化の4週後に、患者を、BID フルチカゾン/サルメテロール組合せ治療から等価ICS用量のフルチカゾン単独療法(250ugもしくは500ug BIDのFlovent(登録商標)Diskus−DPI製剤;または220ugもしくは440ug BIDのFlovent(登録商標)HFA−MDI製剤のいずれかを含む)に切り替えた。LABA成分(すなわち、サルメテロール)を中断した。その後の来診時に、患者が喘息増悪(以下に定義されるとおり)についての基準をいずれも満たしていなかった場合には、6週目に開始して、フルチカゾン用量を約50%低下させた。喘息増悪が発生しなかった場合には、ICS休薬を以下のスケジュールに従って進めた:
【0120】
【表1】
【0121】
治験薬での12週間の処置が完了すると(または早期中断の後)、患者を、最終安全性評価の前にさらに8週間の試験外薬物療法のために症状を管理するために、フルチカゾン/サルメテロール、ブデソニド/ホルモテロールまたはモメタゾン/ホルモテロール(研究登録時の用量)および必要に応じてアルブテロールまたはレブアルブテロールの元の用量に設定した。
【0122】
研究プロトコールの概略は
図1に与えられる。
【0123】
成人患者は以下の基準に基づいて研究に含められた:(1)喘息管理に関する国際指針(Global Initiative for Asthma)(GINA)2009ガイドラインに基づいて少なくとも12ヶ月以上の持続性喘息の医師の診断、その気道炎症は好酸球性である可能性がある;ならびに(2)その喘息が、以下の基準に従って吸入コルチコステロイド/長時間作用性ベータ−アゴニスト組み合わせ治療で部分的に管理されるかまたは管理されない:(i)スクリーニング前の少なくとも1ヶ月間、フルチカゾン/サルメテロール組み合わせ治療(DPI製剤:250/50μg BIDもしくは500/50μg BIDまたはMDI製剤:230/42μg BIDもしくは460/42μg BID)、またはブデソニド/ホルモテロール組み合わせ治療(160/9μg BIDまたは320/9μg BID)、またはモメタゾン/ホルモテロール組み合わせ治療(200/10μg BIDまたは400/10μg BID)のいずれかの安定用量;(ii)スクリーニング期の間、血中好酸球≧300細胞/μlまたは痰中好酸球≧3%;(iii)スクリーニング時に1.5以上かつ3.0以下のJuniper喘息管理調査票(5質問版、ACQ)スコア;(iv)スクリーニング期の間(最大3回の試行)および最初の用量の前日の無作為化時に(最大3回の試行)FEV1 50%以上で正常と予測される;(v)スクリーニングの前2年以内に、喘息悪化のために1回もしくはそれ以上の全身(経口および/または非経口)ステロイドバーストでの処置、または喘息悪化のために入院もしくは救急治療来診のいずれか;ならびに(vi)スクリーニングの12ヶ月以内に、基準−スクリーニング期の間のアルブテロール200μg〜400μg(2〜4回の吸入)の後FEV1において少なくとも12%および200mL(最大3回の試行)を満たす可逆性の文書化された履歴、またはスクリーニングの前12ヶ月以内にポジティブメタコリン負荷(PD20 メタコリン8mg以下)の文書化された履歴。吸入コルチコステロイドおよび長時間作用性ベータアゴニスト(ADVAIR(登録商標)、SYMBICORT(登録商標)またはDULERA(登録商標))での中程度から高用量の組合せ治療で部分的に管理されるかまたは管理されず、スクリーニング期の間に1マイクロリットルあたり300個に等しいかもしくはそれ以上の細胞の血中好酸球、または3%に等しいかもしくはそれ以上の痰中好酸球を有する中程度から重度の喘息を有する患者は、研究に含められた。
【0124】
全ての組み入れ基準を満たす患者を、以下の除外基準についてスクリーニングした:(1)18歳未満または65歳より上の患者;(2)未知の疾患を示唆し、さらなる評価を必要とする臨床的に関連のある異常な臨床検査値;(3)慢性閉塞性肺疾患(COPD)および/または肺機能試験を害する他の肺疾患;(4)何らかの理由のためにベータアドレナリン受容体遮断薬を必要とする患者;(5)現喫煙者またはスクリーニング前6ヶ月以内に禁煙;(6)年に10箱より多い過去の喫煙歴;(7)スクリーニング前2ヶ月間に喘息増悪に起因する入院または救急治療来診;(8)研究期間内にアレルゲン免疫療法を開始する予定;(9)抗体の5半減期未満であるが30日以上の、スクリーニング前の期間、または抗体の半減期が知られていない場合は、少なくとも6ヶ月間である、スクリーニング前の期間内に、別の試験抗体への曝露;(10)現在の試験への以前の登録;(11)患者が治験責任医師、患者の家族、または試験所での従業員であった;(12)既知または疑われる非遵守、アルコールまたは薬物乱用;(13)試験の手順に従うことができない(例えば、言語の問題または心理学的障害に起因する);(14)睡眠パターンの逆転(例えば、夜間労働者);(15)QTc間隔を延長させることが知られている薬物での処置;(16)ICS(例えば、活動性または非活動性肺結核)またはLABA(例えば、糖尿病、心血管疾患、高血圧、甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症など)の使用が禁忌となっている付随する重症疾患;(17)スクリーニング前2ヶ月以内、またはスクリーニング前6ヶ月以内の3過程より多い注射用糖質コルチコステロイドまたは経口全身糖質コルチコステロイドの使用;(18)単独、または非ステロイド系コントローラーと組み合わせた(フルチカゾン/サルメテロール組合せ治療、ブデソニド/ホルモテロール組合せ治療またはモメタゾン/ホルモテロール組合せ治療以外)、いずれかでの可変用量のICSでの前処置;(19)禁止された併用薬物(以下に列挙される)を投与されている患者;(20)ドキシサイクリンまたは関連化合物に対する既知のアレルギー;(21)妊娠または試験の過程で妊娠する意向、母乳栄養、または避妊の有効方法を使用しようとしないこと;ならびに(22)寄生虫感染の最近の病歴またはスクリーニング前6ヶ月以内の寄生虫流行地への旅行。
【0125】
研究の最初の4週間、患者はバックグラウンド喘息治療の一定用量を維持し、その後、バックグラウンド治療の用量を徐々に低下させる。最初に、バックグラウンド治療の長時間作用性ベータアゴニスト成分を4週目に休薬し、次いで吸入コルチコステロイド用量を12週まで2週間ごとに半分に減らした。患者は、研究の終わりまで、または喘息増悪もしくはいずれかの他の理由に起因して休薬するまで、研究処置を継続した。
【0126】
B.研究処置
治験薬:SC注射用の滅菌mAb1 150mg/mL溶液を5mLガラスバイアルで提供した。各バイアルは2mLの引きぬき可能体積を含んでいた。300mg用量を、12週間、朝に週に1回研究部位に皮下投与した。プラセボ:SC注射用の滅菌プラセボを、完全に同じように合致する5mLガラスバイアルで提供した。各バイアルは2mLの引きぬき可能体積を含んでいた。プラセボを、12週間、朝に週に1回研究部位に皮下投与した。
【0127】
以下の併用薬物療法は研究期間の間は許可されなかった:プロトコールに従って投与されるフルチカゾン/サルメテロール組合せ治療またはフルチカゾン(またはスクリーニング期間の間のブデソニド/ホルモテロールもしくはモメタゾン/ホルモテロール)以外のいずれかの他の吸入ステロイド;全身または眼ステロイド;プロトコールに従って投与されるフルチカゾン/サルメテロール組合せ治療のサルメテロール成分以外のLABA;上に示されるもの以外のいずれかの他のICS/LABA組合せ製品;いずれかの吸入抗コリン剤(例えば、イプラトロピウム臭化物またはチオトロピウム);メチルキサンチン(テオフィリン、アミノフィリン);クロモン;抗IgE治療;リポキシゲナーゼ阻害剤;およびロイコトリエン受容体アンタゴニストまたはロイコトリエン合成阻害剤。
【0128】
C.処置の効能
この研究の主要評価項目は、以下のいずれかにより定義される喘息の増悪の発生であった:(1)連続した2日間、朝の最大呼気流量(PEF)におけるベースラインからの30%もしくはそれ以上の低下;または(2)連続した2日間、24時間で(ベースラインと比較して)アルブテロールもしくはレブアルブテロールの6回またはそれ以上のさらなる発作治療薬パフ;または(3)(a)全身(経口および/または非経口)ステロイド処置、もしくは(b)研究からの中断前に受けていた最後の用量のICSの4倍以上の増加、もしくは(c)入院を必要とする、治験責任医師により決定された喘息の悪化。
【0129】
研究の副次的評価項目は、以下のパラメーターのベースラインからの平均変化を含んでいた:上気道症状を評価するために、ベースラインおよび処置終点(12週目)に評価された、(1)来診時ごとに測定されたリットルでの1秒間努力呼気容量(FEV1);(2)毎日測定されたリットル/分での朝および夜の最大呼気流量(AM PEFおよびPM PEF);(3)吸入/日での毎日のアルブテロール/レブアルブテロールの使用;(4)来診時ごとの5項目喘息管理調査票(ACQ5)スコア;ならびに(5)毎日測定された夜間覚醒(一晩あたりの回数)、ならびに(6)22項目副鼻腔評価試験(SNOT−22)。副次的評価項目はまた、連続した2日間、24時間で(ベースラインと比較して)アルブテロールまたはレブアルブテロールの6回以上のさらなる発作治療薬パフと共に、連続した2日間、朝のPEFにおけるベースラインからの30%またはそれ以上の低下により定義される複合喘息事象を有する患者の比率を含んでいた。PEF、ACQ5、喘息症状スコア、夜間覚醒、および発作治療薬治療使用を電子日記で得た。0〜10の範囲に及ぶ平均の毎日の夜間覚醒を前の7日間から平均した。朝および夜の喘息症状スコアは、5段階のリッカート尺度で評価された非検証の患者が報告した結果からなり、より高いスコアはより悪い結果を示す(表2)。患者はPEFを測定する前に1日2回、全体症状スコアを記録した。データは特定された時点の前7日間の平均として記載した。
【0130】
【表2】
【0131】
D.有害事象モニタリング
有害事象および重篤な有害事象をモニタリングすることにより、安全性を研究全体を通じて評価した。
【0132】
有害事象(AE)は、医薬品を投与された対象または臨床検討対象におけるいずれかの有害な医療上の出来事である。したがってAEは、医薬(治験)品と関連するとみなされているか否かにかかわらず、医薬品の使用と時間的に関連があるいずれかの好ましくない意図せぬ兆候(異常な検査所見を含む)、症状または疾患であり得る。AEはまた:研究薬の使用と時間的に関連がある、既存の状態のいずれかの悪化(すなわち、頻度および/または強度のいずれかの臨床的に有意な変化);試験責任者により臨床的に有意とみなされた異常な検査所見;およびいずれかの有害な医療上の出来事を含む。
【0133】
重篤な有害事象(SAE)は、いずれかの用量で死亡を生じるか;生命を脅かすか;入院もしくは現在の入院の延長を必要とするか;持続性もしくは重要な能力障害/無能力を生じ;先天性の異常/先天性欠損であるか;または重大な医療事象である、いずれかの有害な医療上の出来事である。
【0134】
E.統計的方法
喘息増悪を経験した患者の比率の一次分析のために、ロジスティック回帰モデルを使用して、SAR群をプラセボと比較した。このモデルは、処置および層別因子の項(先行するICS/LABA組合せ治療用量)を含んでいた。一次分析を修正包括解析(modified intent−to−treat)(mITT)集団に基づいて行い、これは少なくとも1回の用量のmAb1を投与された全ての無作為化された患者を含んでいた。層別カイ二乗検定もまた、一次分析を裏付けるために使用した。
【0135】
SNOT−22を除いて二次効能評価項目について、ベースラインからの変化を、反復測定(MMRM)アプローチを用いて混合効果モデルを使用して分析した。モデルは、応答変数として12週までのベースライン値からの変化、および処置についての因子(母数効果)、層別因子、来診、来診による処置の相互作用、ベースライン値および来診によるベースラインの相互作用を含んでいた。12週目のベースラインからの変化についての処置比較に対する統計的推定は混合効果モデルから誘導された。SNOT−22のベースラインからの変化を、共分散分析を使用した分析(ANCOVA)を使用して、欠測データを補完する(impute)ために処置の終わりの測定値を用いて分析した。薬力学的効果を、事後の方法でMMRMモデルを使用して評価した。1つの主要評価項目および分析しかなかったので、多重度について調整は行わなかった。AE、検査パラメーター、バイタルサイン、ECG、臨床検査所見および身体検査を含む安全性変数を、記述統計学を使用してまとめた。
【0136】
人口統計および臨床特徴を、記述的特徴を使用してまとめた。二次変数および薬力学的変数のプロットを、標準誤差と共に経時的にベースラインからの平均変化として示す。MMRM分析からの処置効果の比較は、12週目のベースラインからの最小二乗平均変化(95%信頼区間[CI])に基づく。
【0137】
F.結果
研究の処置段階を完了したか、または中断した全104人の無作為化した患者(491人からスクリーニングされた)で観察された結果を以下にまとめる。全ての無作為化した患者を、研究処置に曝露し、mITT集団に含めた。ベースライン特徴は群間で同様であった。人口統計および臨床特徴も2つの群間で同様であった(表3)。上に示したように、患者を週に1回の300mg皮下mAb1またはプラセボのいずれかで処置した。研究処置期間を、それぞれmAb1およびプラセボ患者の86.5%および67.3%が完了した。中止の最も一般的な原因は効能の欠如であり、これはmAb1(1.9%)よりもプラセボ(21.2%)でより頻繁であった。
【0138】
【表3】
【0139】
(i)主要効能評価項目
プラセボおよびmAb1処置群における喘息増悪の発生率を表4に示す。
【0140】
【表4】
【0141】
処置期間の間に合計26人の喘息増悪があり、喘息増悪のために入院した患者はいなかった。プラセボ群では23人の患者(44.2%)が喘息増悪を経験したが、一方でmAb1処置群では3人の患者(5.8%)しか喘息増悪を経験しなかった。オッズ比は0.077(p<0.0001)であり、相対的リスク低下は約87%であった。
【0142】
全身性コルチコステロイド、または事象の前に摂取された用量の4倍もしくはそれ以上の吸入コルチコステロイドのいずれかでの処置の形態での即時介入の必要性により実証されるように、本研究の間に経験された26の喘息増悪のうち、9人は重度とみなされた。重度喘息増悪の発生率の概要を表5に示す。
【0143】
【表5】
【0144】
表5に示されるように、8人の重度の喘息増悪がプラセボ群において観察され、1人の重度の喘息増悪のみがmAb1処置群において観察された。プラセボ群における残りの15人およびmAb1群における2人の喘息増悪は、減少した朝のPEFおよび/または増加したアルブテロール/レブアルブテロール使用に基づいて増悪のプロトコール定義を満たす。活性処置群内で、ベースラインに対する持続した改善が、ステロイド休薬にもかかわらず、全てのパラメーターについて研究の過程の間に観察された。
【0145】
【表6】
【0146】
mAb1では、プラセボと比較して増悪までの時間はより長く、増悪の危険性は低下した(ハザード比0,10;95%CI 0.03、0.34;P<0.001)。カプラン・マイヤープロットによる喘息増悪までの時間の分析は、mAb1での処置の効果が、患者がステロイド休薬に起因する増悪を発生する、より高いリスクにある8週間後を含めて、長い期間持続するということを明らかにした。
【0147】
プラセボ群から1人の患者のみが複合喘息事象を有していた。複合喘息事象は、連続した2日間24時間で(ベースラインと比較して)、アルブテロールまたはレブアルブテロールの6回以上のさらなる発作治療薬パフと共に、連続した2日間、朝のPEFにおけるベースラインからの30%またはそれ以上の低下として定義される。
【0148】
(ii)他の効能評価項目
肺機能パラメーター(FEV1、AM PEFおよびPM PEF)、喘息症状ベースの評価項目(ACQスコア、夜間覚醒)、およびアルブテロール使用を、各患者について各来診時に評価した。さらに、SNOT−22スコアをベースラインおよび処置の終わりに評価した。全てのパラメーターについて、ベースラインおよび12週(LOCF)の平均値を、処置群間の平均差異と共に(SNOT−22についてのANOVAモデル)表7にまとめる。表7において、「プラセボに対する差異」と標示される列は、プラセボ処置群におけるそのパラメーターについて観察された変化と比較して、パラメーターの値において観察された変化を考慮した、ベースラインからのプラセボ補正値を示す。
【0149】
【表7】
【0150】
mAb1での処置は、1週目にFEV1におけるベースラインからの有意な変化を生じ、これはLABAおよびICS休薬にもかかわらず12週目まで維持され、LABA休薬と同時に5週目にFEV1がわずかに減少した。同様の改善が朝のPEFにおいて観察されたが、夜のPEFではより小さいものであった。FEV1における12週目までのベースラインからの最小二乗(LS)平均変化はプラセボについて−0.22Lであり、mAb1群について0.05Lであった(p=0.0009)。
【0151】
ACQ5スコアは1週目に両方の処置群で改善された。しかしながら、ACQ5は1週目と4週目との間にmAb1でさらに改善したが、プラセボ効果は安定化し、12週まで差異を維持した。
【0152】
朝の症状スコアは、ベースラインから12週までプラセボで増加した。mAb1では、12週までベースラインより低いままである初期減少があった。同様のパターン(より大きな変動)が夜の喘息症状スコアで観察された。
【0153】
夜間覚醒は、プラセボ群から6週目まで安定しており、その後6週から12週まで増加した。対照的に、夜間覚醒はmAb1群において1週目までに減少し、12週までベースラインに対して改善したままであった。
【0154】
アルブテロール/レブアルブテロール使用の変化は他の二次評価項目と同様であった:プラセボで初期減少の後、ベースラインに戻った。mAb1では、初期減少は時間とともに維持されていた。
【0155】
SNOT−22値の間にベースラインにおいて有意でない差異があり、平均プラセボスコアは26.24であり、平均mAb1スコアは39.02であった。12週目に、LS平均変化はプラセボ群について0.23ポイントのわずかな増加であり、mAb1群について8.26ポイントの平均減少(改善)であった。これは、mAb1群についての8.49ポイントの改善の大きさに相当した(p=0.0027)。
【0156】
【表8】
【0157】
【表9】
【0158】
全ての二次評価項目について、夜のPEFおよび夜間覚醒を除いて、12週の測定値はmAb1処置で有利であり、有意であった(表7および8)。mAb1での有意な改善は、上気道疾患に関連する3つのSNOT−22項目についても観察された(表9)。
【0159】
(iii)安全性
mAb1は一般的に安全であり、良好な耐容性を示した。処置により発現した有害事象(TEAE)が、40人(76.9%)のプラセボにより処置した患者および42人(80.8%)のmAb1により処置した患者によって同様に報告された(表10)。TEAEは非特異的であり、一般的には軽度から中程度の強度であり、大部分は研究の終わりまでに回復した。以下のTEAEの増加した報告がプラセボと比較してmAb1について観察された:注射部位反応が15人(28.8%)のmAb1患者および5人(9.6%)のプラセボ患者によって報告された;鼻咽頭炎が7人(13.5%)のmAb1患者および2人(3.8%)のプラセボ患者によって報告された;頭痛が6人(11.5%)のmAb1患者および3人(5.85)のプラセボ患者によって報告され、悪心が4人(7.7%)のmAb1患者および1人(1.9%)のプラセボ患者によって報告された。
【0160】
【表10】
【0161】
研究期間の間に死亡は報告されなかった。報告された4つの治療下で発現した重篤な有害事象(SAE):1人のmAb1患者が双極性障害を経験し、3人のプラセボ患者が肺炎を伴う喘息、左気胸症を伴う銃創および右足首骨折のSAEを経験した。これらのSAEのいずれもmAb1に関連するとはみなされず、新しい足首骨折以外は全て研究の終わりまでに回復した。死亡はなかった。
【0162】
合計で6人の患者がTEAEのために研究を中止した:mAb1群の3人の患者(双極性障害、喘鳴を伴う喘息および血管浮腫)およびプラセボ群の3人の患者(上気道感染、乾癬および喘息)。血管浮腫のTEAEは42歳のアフリカ系アメリカ人女性において、9回目の研究処置投薬後に、注射部位でおよび注射部位から離れて観察されたそう痒性の一般的な発疹として発生した。これは1週間持続し、研究処置中止、ならびにプレドニゾンおよびジフェンヒドラミン処置後に解消した。これは処置に関連するとみなされた。このAEは初回および6回目の研究処置投薬後の注射部位におけるより軽度な発疹の後であった。
【0163】
いずれかの処置群において3人以上の患者で発生した最も一般的なAEの中で(表10)、注射部位反応、鼻咽頭炎、悪心および頭痛がプラセボよりもmAb1でより頻繁に発生した。バイタルサイン、身体検査、臨床検査またはECG所見における臨床的に重大な変化はいずれかの群でも報告されなかった。
【0164】
G.結論
肺機能および他の喘息管理パラメーターについて有意な改善が観察された。バックグラウンド治療休薬にもかかわらず、効能が早期に、持続して観察された。好酸球増加症を有する持続性の中程度から重度の喘息患者における喘息増悪の発生率の主要評価項目における約87%の相対的減少(p<0.0001)が、プラセボ(44.2%)と比較して、週に1回の300mgのmAb1での12週間の処置後に観察された(5.8%)。表7に示されるように、プラセボと比較して処置での臨床上意味のある統計的に有意な(多重度調整無し)改善が、肺機能パラメーター(FEV1、PEF AM)、喘息症状スコア(ACQ)およびアルブテロール使用において観察された。有益な傾向がPEF PM(p=0.0567)および夜間覚醒(p=0.0518)について観察された。統計的に有意な(多重度調整なし)改善がSNOT−22スコアについても観察された。活性処置群内で、ベースラインに対する持続した改善が、LABAおよびICSの休薬にもかかわらず、全てのパラメーターについての研究の過程の間に観察された。mAb1は一般的に安全であり、良好な耐容性を示した。
【0165】
実施例2:バイオマーカー研究
バイオマーカー分析を、mAb1の臨床試験に参加した対象(上記の実施例1を参照のこと)から得たサンプルで行った。特に、胸腺および活性化ケモカイン(TARC;CCL17)、免疫グロブリンE(IgE)、エオタキシン−3、ペリオスチン、癌胎児抗原(CEA)、YKL−40および血中好酸球のようなTH2炎症に関連する血清/血漿バイオマーカーを、ベースラインおよび研究処置の開始後の異なる時点での患者由来のサンプルにおいて測定した。これらのバイオマーカーのベースラインレベルを、処置応答についての潜在的な予測値について評価した。さらに、呼気NO濃度(FeNO)ならびに誘発痰中好酸球および好中球を、気管支炎症のバイオマーカーとして測定した。呼気一酸化窒素評価を肺活量測定の前および少なくとも1時間の絶食後にNIOX機器(Aerocrine AB、Solna、Sweden)を使用して行った。バイオマーカーを、混合モデルを使用して分析し、モデルから誘導された最小二乗平均を以下に報告する。
【0166】
喘息対象(N=104)に、mAb1(300mg)またはプラセボのいずれかを、研究の1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71および78日目(すなわち、12回の週ごとの投薬)に皮下投与した(上記の実施例1を参照のこと)。バイオマーカー分析のためのサンプルを抗体により処置した対象およびプラセボにより処置した対象から0、1、4、8および12週に採取した。抗原特異的IgEをPhadiatop(登録商標)試験を使用して検出した。
【0167】
TARC、エオタキシン−3およびIgEはプラセボに応答して変化しないままであった。対照的に、TARC(平均%変化 +0.3%に対して−22.7%;p=0.0003)およびエオタキシン−3(平均%変化 12.69%に対して−39.62%;p<0.0001)の急速な低下が、mAb1で処置された患者において1週間以内に観察され、12週まで持続した:TARC:+7.6%プラセボに対して−26.0%(p=0.0005);エオタキシン−3:+5.13%プラセボに対して−45.67%(p<0.0001)。
【0168】
TARCレベルは、300mgで皮下投与されたmAb1への曝露後1週間以内に反応した。TARCレベルは、ICS休薬にかかわらず、mAb1により処置した対象におけるベースラインレベルの約50%で一定になった。このデータは、TARC発現が、FEV1変化(これはICS休薬と並行して低下した[4週後])よりも直接的にIL−4Rシグナル伝達と関係していること、およびIL−4R遮断が、例えば、IFNガンマ投与で観察されたように、TH1特徴へのシフトを誘発する。特に、長期の処置を必要とし、TH1型免疫疾患のリスクがある患者において、TARC(および例えばCXCL10)を使用してmAb1用量を滴定することが可能であるかもしれない。
【0169】
総血清IgEもまたmAb1処置後に減少した。総血清IgE応答はより不均一であり、TARC応答と比較して遅れた。平均(SD)ベースラインIgEレベルは、プラセボ群(n=52)について694.68IU/L(1837.82)、mAb1群(n=52)について657.66(1482.25)であったが、一方中央値はプラセボ群について169.95であり、mAb1群について206.15であった。この不均一性にもかかわらず、プラセボと比較してmAb1曝露患者におけるIgE減少の傾向が観察されたが4週目にしか始まらなかった。血清IgEは、プラセボと比較してmAb1群において有意に減少し(平均%変化、+13.5%に対して10.1%;p=0.0325)、これは4週目に始まって12週まで減少し続けた(平均%変化、mAb1について−36.8%対プラセボについて−5.5%;p<0.0001)。
【0170】
FeNO、TARC、エオタキシン−3、およびIgEについての12週目のベースラインおよびプラセボからの変化は、全てmAb1に有利であった(全てP<0.001)(表11)。ベースラインからの差異も処置間の差異もYKL−40またはCEAで観察されなかった。
【0171】
【表11】
【0172】
ペリオスチンレベルの一時的な減少があり、続いてLABA/ICS休薬に伴う増加があった。mAb1の投与は増加を遅らせたが、ベースラインを上回る増加を防止しなかった。CEAおよびYKL−40で一貫した処置効果は観察されなかった。血中好酸球の数は6週まで変化しないままであったが、その後8週および12週に増加した。末梢血好酸球数は、処置全体を通してプラセボでは変化しなかった。処置間の差異は有意ではなく、mAb1で処置された数名の患者においてのみ、より大きな血中好酸球上昇により境界増加が促進された。患者の大部分ではほとんど増加が観察されないか、または全く観察されなかった。
【0173】
【表12】
【0174】
3人のmAb1患者しか研究の間に喘息増悪を経験しなかったので、ベースラインバイオマーカーレベルと喘息増悪との間の関連性に関して結論は出されなかった。
【0175】
mAb1処置はまた、4週目のFeNOのベースラインからの有意な減少とも関連付けられ、ICS休薬にもかかわらず、FeNoは12週までベースラインを下回ったままであった(12週目の平均%変化:プラセボについての35.0に対してmAb1について−28.7;p<0.0001)。対照的に、プラセボFeNo値は8週目まで安定したままであり、その後ICS休薬と一致して12週目に増加した。
【0176】
1秒間努力呼気容量(FEV
1)の改善は、12週目にFeNO減少(r=−0.408、p=0.009)と有意に相関していた。同様に、AM−PEFおよびPM−PEFの改善はFeNO低下と相関していた。FeNOとの他の相関は有意ではなかった。表13を参照されたい。
【0177】
【表13】
【0178】
12週目のベースライン好酸球対FEV1におけるベースラインからの変化の散布図分析は、研究集団におけるFEV1の12週目のベースラインからの変化により測定して、ベースライン好酸球と処置効果との関連性を示していないようであった(ベースライン好酸球≧0.3ギガ/L)。ベースライン好酸球は減少したACQおよび減少したアルブテロール/レブアルブテロール使用と相関していた。ベースラインでのペリオスチンおよびYKL−40は減少したACQと相関があった。
【0179】
12週目のベースラインからのFEV1変化は、ICSの休薬(4週目に開始)により悪化した。同様の分析は、研究集団において(ベースライン好酸球≧0.3ギガ/L)、ベースラインTARCまたはIgEと12週目のFEV1のベースラインからの変化との間の関連性を示唆しなかった。
【0180】
H.要約
これらの結果は、mAb1が、成人喘息患者において、Th2炎症(TARC、エオタキシン−3およびIgE)および気管支炎症(FeNO)に関連する血清バイオマーカーを有意に減少させたということを示す。FeNO低下とFEV
1改善との間の相関は、IL−4/IL−13媒介性抗炎症活性と中程度から重度の管理されていない喘息における肺機能の改善との間の関係を示唆する。
【0181】
実施例3.両側性鼻茸および静脈洞炎の慢性症状を有する患者における皮下投与した抗IL−4R抗体(mAb1)の臨床試験
A.研究目的および概要
実施例1に記載されるSNOT−22試験に対するmAb1の陽性効果は、抗IL−4R抗体もまた、鼻茸を処置するのに有効であり得ることを示唆した。さらに、鼻ポリープは最も一般的には好酸球性/TH2により駆動され、mAb1はTh2炎症に関連するバイオマーカーを顕著に低下させた(実施例2を参照のこと)。したがって、鼻茸に対するmAb1の治療効果を試験するために臨床試験を設計した。
【0182】
無作為化、二重盲検、第2相、プラセボ対照の2つの治療群の研究を、両側性鼻茸および静脈洞炎の慢性症状を有する患者において16週にわたって1週間に1回(QW)、皮下(SC)に投与したmAb1を評価するために実施した。研究の主目的は、プラセボと比較した内視鏡的鼻ポリープスコアの評価によって両側性鼻茸(NP)の処置においてmAb1の効能を評価することであった。研究の副次的目的は、静脈洞炎の症状、コンピューター断層撮影(CT)スキャン変化、併存する喘息を有する患者のサブグループにおける鼻ポリープスコア、安全性および許容性、TH2バイオマーカーの抑制に基づいた薬力学反応、血清中のmAb1の濃度、mAb1に対する免疫反応(抗薬物抗体(ADA))ならびに患者により報告された結果におけるmAb1の効果および生活の質(QoL)のスケールに関して両側性鼻ポリープを有する患者におけるmAb1の評価を含んだ。
【0183】
mAb1を、フランカルボン酸モメタゾンの鼻内噴霧(MFNS)と同時に投与した。また、喘息、アスピリン/非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)過敏症および以前の手術とのNPの高い併存罹患率が存在するので、患者は以下に記載される除外基準のいずれかが存在しない限り、研究への登録が許可された。約56人の患者を1群あたり28人の患者の2つの処置群に無作為化した。併存する喘息を有する少なくとも28人の患者をこの研究に含めることを確実にするために、喘息を有さない約28人の患者を無作為化した場合、併存する喘息を有さないNP患者の動員を停止した。患者および治験責任医師の両者を割り当てた処置群に対して盲目にした。
【0184】
研究は3つの期間から構成した:1)MFNSでの4週のスクリーニング実施期間(来診1);(2)16週の無作為化mAb1またはプラセボ処置期間(来診2〜18);ならびに(3)薬物動態、免疫原性、安全性および効能をアッセイするための16週の処置後期間(来診19〜22)。研究の全期間は最大36週であった。
【0185】
主要評価項目は両側性鼻ポリープスコア(NPS)において16週でベースラインから変化した。
【0186】
多くの副次的効能評価項目を測定してmAb1の効能をより包括的に評価した。研究は、CTスキャンにおいて鼻茸および関連する副鼻腔炎の改善、対象の生活の質(QOL)に対する重度の鼻茸の影響のより良い理解を得るために状態に特有および全体的な医学的調査票の改善を調べた。
【0187】
試験的サブグループ分析およびバイオマーカーと一緒に、これらの評価項目は、鼻ポリープスコアを低下させ、NPおよびそのサブセットにおける症状を改善するmAb1の治療的価値に対する情報を与えた。効果の持続性もまた、4ヶ月の処置後評価期間を通して調べた。
【0188】
300mgのQW用量レジメンは見かけの標的媒介性クリアランスレベル(10〜15mg/L)を飽和すると予測された。このレジメンは試験されており、喘息およびアトピー性皮膚炎においてmAb1を用いて実施した概念研究の2つの以前の証拠において統計的に有意であり、臨床的に関連する反応を提供した(例えば、上記の実施例1、USSN61/805797およびUSSN61/816191を参照のこと)。最初の用量は、より迅速に安定状態濃度を達成するために600mgの負荷用量を利用した。この負荷用量範囲は、日本人の健常な対象において行った以前の研究において実証された最高の負荷用量(600mg)の許容される安全性プロファイルによって裏付けられた。
【0189】
さらに、600mgの負荷用量後のCmaxが約70mg/Lであり、300mgのQWの定常状態Ctroughが約150mg/Lであり、提案された投薬レジメン(すなわち、600mgの負荷用量、続いて300mgのQW)後のCmaxが12mg/kg IV用量(421mg/L)の平均Cmax未満であることを考慮して、良好な耐容性を示す健常な対象において試験した最高の単回用量は、この用量レジメンが許容される安全性プロファイルを有するはずであるというさらなる信頼性を提供した。
【0190】
患者の組み入れ基準には、(i)スクリーニングの少なくとも8週前の間の両側性鼻茸の医師による内視鏡診断(すなわち、以前のINCS(鼻腔内コルチコステロイド)処置の完了にもかかわらず、各鼻孔について少なくとも2のスコアで、両方の鼻孔について最小の両側性鼻ポリープスコア5から最大スコア8)、ならびに(ii)スクリーニング前に以下の症状:鼻遮断/閉塞/詰まりまたは鼻汁(前/後鼻漏);顔面痛/圧迫感;および嗅覚の低下または喪失のうちの少なくとも2つが存在している静脈洞炎の慢性症状が含まれる。
【0191】
これらの基準を満たしている患者を以下の除外基準についてスクリーニングした:18歳未満または65歳超の年齢;研究において患者を無作為化することができない何らかの技術的/管理上の理由;mAb1のいずれかの臨床試験の以前の参加;7未満のSNOT22スコア;任意の他の試験研究中の薬物またはスクリーニングの前2ヶ月以内もしくは5半減期のどちらか長い方でこの研究について禁止されている治療を受けていること;スクリーニングの前2ヶ月もしくは1ヶ月以内に経口コルチコステロイド(OCS)または鼻腔内コルチコステロイド滴剤を受けていること、または別の状態について研究期間の間、OCSを受けることが計画されている;mABまたは免疫抑制療法による処置;来診1の130日以内の抗免疫グロブリンE(IgE)治療(例えば、オマリズマブ)による処置;来診1の前30日以上の間連続処置を継続しなかった患者についてのロイコトリエンアンタゴニスト/修飾因子による処置;来診1の前3ヶ月以内のアレルゲン免疫療法の開始またはスクリーニング期間もしくは無作為化処置期間の間に治療を開始する計画;スクリーニング前6ヶ月以内の任意の鼻手術または過去に5回より多い副鼻腔手術を受け、そのうち最大2回は鼻の側壁構造を変化させる手術であった;または患者が主要効能評価項目について評価できなくなる状態/合併疾患(例えば、後鼻孔鼻茸;少なくとも1つの鼻孔を閉塞する鼻中隔偏位;スクリーニング時またはスクリーニングの2週間前の急性静脈洞炎、鼻の感染症または上気道感染;継続中の薬物性鼻炎;チャーグ・ストラウス症候群、ヤング症候群、カルタゲナー症候群または繊毛ジスキネジー症候群、嚢胞性線維症;アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎の兆候またはCTスキャンによる示唆)。以下の場合、併存する喘息を有する患者は除外した:患者が60%未満の努力呼気肺活量(FEV1)を有する;喘息の処置のために全身(経口および/または非経口)ステロイド処置もしくは入院(24時間超)を必要とする憎悪が、スクリーニングの前3ヶ月以内に発生した;または患者は1000μgより多い用量のフルチカゾンもしくは等量の吸入コルチコステロイドを受けていた。他の除外基準には、寿命が短い(6ヶ月未満)と予測される患者;研究において禁止されている併用処置を受けている患者;妊娠しているもしくは研究の間に妊娠する意向のある女性または授乳中の女性が含まれる。他の除外基準には、同時に起こる重度の疾患(例えば、活動性および非活動性肺結核、糖尿病など);診断された活動性寄生虫感染;寄生虫感染の疑いがあるまたは高いリスク;ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の病歴または来診1時の陽性HICスクリーニング;急性または慢性感染の証拠;感染が治癒したかにかかわらず、侵襲性日和見感染(例えば、結核、ヒストプラスマ症、リステリア症、コクシジオイデス症、ニューモシスチス症、アスペルギルス症)の病歴を含む、既知または疑いのある免疫抑制;来診1の前12週間以内の生ワクチン接種または研究の間にワクチン接種を計画している;活動性自己免疫疾患を有する患者または自己免疫疾患(例えば、橋本甲状腺炎、グレーブス病、炎症性腸疾患、原発性胆汁性肝硬変、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、尋常性乾癬、関節リウマチ)のための免疫抑制療法を使用している患者;来診1時の陽性または不確定B型肝炎表面抗原(HBsAg)、B型肝炎コア抗体(HBcAb)またはC型肝炎抗体を有する患者;肝臓損傷関連基準(例えば、内在する肝胆汁性疾患またはALT>3ULN)を有する患者が含まれる。
【0192】
B.研究処置
治験薬:様々な濃度の滅菌mAb1を5mLガラスバイアルで提供した。各バイアルは2mLの引きぬき可能体積を含んでいた:150mg/mL溶液(300mg用量/2mL)。滅菌プラセボを、完全に同じように合致するガラス製の5mLバイアルで提供し、各バイアルは2mLの送達可能体積を含んでいた。
【0193】
mAb1を7±2日(QW)ごとに投与した。mAb1の投薬は5日以上間隔をあけて過剰投薬を回避した。来診2(V2)時に、2回の注射を実施した。V2後、mAb1の1回の注射を、無作為化した処置期間を通じて治験部位において週に1回実施した。臨床処置および血液採取後にmAb1を投与した。各々の投与後、局所部位注射または過敏性反応のあらゆる兆候または症状について患者を少なくとも1時間モニターした。同じ部位が2回/週連続して注射されないように、皮下注射部位を腹部の4分の1(へそおよび腰を回避する)または大腿上部の間で交互にした。
【0194】
研究の間、毎日、対象は電子日記を使用してMFNSの毎日の使用を記録した。フランカルボン酸モメタゾン(NASONEX(登録商標))50マイクログラム/鼻内噴霧の作動がボトルに含まれ、そのボトルは18g(140回の作動)の製剤を含んだ。
【0195】
スクリーニング期間:スクリーニング前で、来診1の2ヶ月以上前に対象は安定用量の鼻腔内コルチコステロイド(INCS)を継続しなければならない。患者がV1時でスクリーニング来診前にMFNS以外の代替のINCS製剤を使用する場合、患者はMFNSに切り替えた。V1後、全ての患者を4週間の試験期間に登録し、患者がBID INCSを寛容できない場合を除いて(その場合、患者は低用量(QD)レジメンのままであり得る)、患者にMFNS:1日2回(BID)鼻孔の各々に2回の作動(50μg/作動)(400μgの合計1日用量)を投与した。この研究に受け入れられるためには、患者は、スクリーニング前に以下の症状:鼻遮断/閉塞/詰まりまたは鼻汁(前/後鼻漏);+/−顔面痛/圧迫感または+/−嗅覚の低下もしくは喪失のうちの少なくとも2つが存在しなければならない。
【0196】
処置期間:処置期間は表14の研究フローチャートに示すように進めた。
【0197】
【表14】
【0198】
【表15】
【0199】
【表16】
【0200】
【表17】
【0201】
処置期間の間、患者はフランカルボン酸モメタゾンの安定な投薬を継続した:各々の鼻孔のBIDまたはQDにおいてMFNSの2回の作動(患者が高用量を許容できない場合)。来診2において、患者は、喘息を有する患者におけるSNOT−22試験、VASおよびQoL調査票(SF−36、EQ−5D、鼻ポリープに関連する資料を使用する調査票)、嗅覚検査およびACQ−5を受けた。
【0202】
来診2における臨床検査室検査は、血液学、薬物動態、抗薬物抗体、血清および血漿中のバイオマーカー、アレルゲン特異的IgEパネルサンプリングに制限した。血液サンプルをmAb1の投与前に得た。バイオマーカーについての鼻汁サンプリング。特定のインフォームドコンセントフォームに署名したこれらの患者について、(無作為化した処置期間の間、治験薬の投与前に)DNAおよびRNAサンプリングのために血液サンプルを採取した。
【0203】
AEと疑われたために一時的な処置の中断が治験責任医師によって考慮された。関連した事象の発生におけるmAb1の役割が起こりそうではないと治験責任医師が最適な医学的判断に従って考慮して、研究のための選択基準をさらに満たしている場合、mAb1による処置の再開を綿密で適切な臨床/およびまたは検査室モニタリング下で行った。
【0204】
有害事象(AE)は、医薬品が投与され、この処置との因果関係を必ずしも有さなくてもよい患者または臨床試験患者におけるいずれかの有害な医療上の出来事である。
【0205】
重篤な有害事象(SAE)はいずれかの投薬時のいずれかの有害な医療上の出来事である:死をもたらすか、または生命を脅かす、(「重篤」の定義における「生命を脅かす」という用語は、患者が事象の時に死のリスクがある事象を指し;より重症であった場合、仮定で死を引き起こし得る事象を指すわけではない);入院患者の入院もしくは既存の入院の延長を必要とするか、または持続性もしくは重大な障害/不能を生じるか、または先天異常/出生異常であり;処理された報告が、すぐに生命の危険を脅かすわけではないか、または死もしくは入院をもたらすわけではないが、患者を危険にさらし得るか、または上記の定義に記載されている他の結果のうちの1つを阻止するために介入(すなわち、特定の手段または矯正処置)を必要とし得る重要な医学的事象などの他の状況において適しているかどうかを決定する際に行われるべきである医学的に重要な事象の医学的および科学的判断である(医学的に重要な事象の以下のリストは状態が医学的に重要な事象とみなされなければならないことを決定するためのガイドラインとして役立つことを意図している)。リストは包括的であることを意図していない:緊急治療室または自宅における集中処置:アレルギー性気管支痙攣、アナフィラキシー、血液疾患(すなわち、無果粒球症、再生不良性貧血、骨髄形成不全、骨髄異形成、汎血球減少症など)、痙攣(発作、てんかん、てんかんの発作、非存在など)、薬物依存または薬物乱用の発症;ALT>3×ULN+総ビリルビン>2×ULNまたは無症候群ALT増加>10×ULN;自殺未遂または自殺傾向の任意の事象の示唆;失神、意識消失(血液サンプリングの結果として文書化されている場合を除く);水疱性皮膚発疹;研究の間に診断されたまたは研究の間に悪化した癌;慢性神経変性疾患(新たに診断された)または研究の間に悪化した(特にこれらの疾患の研究薬の効果を評価する研究において治験責任医師によって異常/重大と判断された場合のみ)。
【0206】
処置後期間:無作為化した処置期間の完了時(またはmAb1の早期中断後)に、患者は、無作為化した処置期間にわたって維持されるMFNSの安定な投薬による処置を継続したか、または医学的判断に基づいて処置を改変した。
【0207】
以下の併用処置は、スクリーニング期間および無作為化した処置期間の間、許可されなかった:鼻用生理食塩水を除く疾患の症状を妨げる鼻腔内医薬(抗ヒスタミン剤、鼻用アトロピン、臭化イプラトロピウム、鼻用クロモリン)の使用;INCS滴剤;全身性コルチコステロイド;以前の内視鏡検査を除く充血除去剤(局所または全身);全身抗生物質の長期間の使用(2週間またはそれ以上);リポキシゲナーゼ阻害剤;限定されないが、メトトレキサート、シクロスポリン、ミコフェノール酸、タクロリムス(tacrilomus)、金、ペニシラミン、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、アザチオプリン、シクロホスファミドを含む任意の免疫抑制処置;抗免疫グロブリンE(IgE)治療(オマリズマブ);およびアスピリンに対して過敏症を有する患者におけるアスピリンまたはNSAID。
【0208】
以下の併用処置は許容された:スクリーニングの間および全研究にわたるMFNS;鼻用生理食塩水;局所充血鬱血剤(例えば、膨張を低下させ、内視鏡のための通路を広げるための塩酸オキシメタゾリン)、および局所麻酔剤(例えばリドカインは内視鏡検査前に許容された);抗生物質の短期間(2週間未満)の使用;ならびに喘息を有する患者について、SABA、LABAおよびメチルキサンチン(例えば、テオフィリン、アミノフィリン)。以下の吸入コルチコステロイドが、1000μg以下のフルチカゾン(または等しい用量の別の吸入CS;表16を参照のこと)を安定な用量で継続している患者に許容され、来診1の前30日以上安定な用量を継続していた患者のみについて許容された:ロイコトリエンアンタゴニスト/修飾剤が研究の間、来診1の前30日以上連続処置を継続している患者のみに許容された;合成抗ヒスタミン;およびアレルゲン免疫療法の開始(来診1の前3カ月以上の間、所定のアレルゲン免疫療法が許容された)。
【0209】
C.処置の効能
この研究の主要評価項目は両側性内視鏡的鼻ポリープスコアにおける16週でのベースラインからの変化である。
【0210】
【表18】
【0211】
鼻内視鏡検査を、計画した来診の終わりに実施し、充血除去剤と組み合わせた麻酔薬の局所投与に先行した。標準的なビデオシーケンスをダウンロードしたか、または中心化リーダーに送信した。画像データについての独立した医師のレビュアーによる中心化画像データ評価およびスコアリングを全ての内視鏡検査について実施した。V2における適格性を確認するために、V1中心読み取りのみをサイトに利用可能にした。中心読み取りの最終結果を研究の後に利用可能にした。
【0212】
主要評価項目の分析について、V2の中心読み取りをEOT読み取りとの比較のために使用した。サイトは画像データを中心リーダーに送信する前に画像データヘッダーから対象が識別した情報を除去した。
【0213】
研究の副次的評価項目は、患者が報告した症状(22項目副鼻腔評価試験(SNOT−22)を含む);対象により評価される鼻詰まり/閉塞、前部鼻漏(鼻水)、後部鼻漏(後鼻漏)および嗅覚の喪失、(毎日のAMおよびPMの電子日記)月平均;夜間覚醒の回数;視覚的アナログスケール(VAS)を使用した患者に関連した鼻副鼻腔炎症状の重症度;喘息サブグループにおける5項目喘息管理調査票(ACQ−5);鼻最大吸気流量(NPIF);嗅覚検査(UPSIT);併存する喘息を有する患者におけるNPS;CTスキャン評価;肺活量測定(全体および喘息を有するサブグループ);NPSにおける最初の反応までの時間(1ポイント以上の改善);研究処置中断までの時間;およびOCSまたは鼻手術の必要性に起因する処置中断の発生における16週でのベースラインからの変化を含んだ。
【0214】
生活の質(QoL)評価項目は、36項目略式健康調査(SF36);欧州の生活の質のスケール(EQ−5D);および鼻ポリープに関連する資料を使用する調査票における16週でのベースラインからの変化を含んだ。
【0215】
疾患に特有の効能測定には:コンピューター断層撮影(CT)が含まれる。洞のCTはV2の前でEOT時に実施すべきである。上顎洞のLund−Mackayスコアおよび3D容積測定の両方について、中心化画像データ評価のために同じ取得(シークエンス)を使用し、画像データについて独立した医師のレビュアーによってスコア付けした。V2の中心読み取りをEOTとの比較のために使用した。中心読み取りの最終結果は研究の後に利用可能にした。
【0216】
上顎洞の三次元容積測定について、V2前の中心読み取りをEOT読み取りとの比較のために使用した。サイトは画像データを中心リーダーに送信する前に画像データヘッダーから対象が識別した情報を除去した。BLからEOTの混濁の%変化を算出した。
【0217】
スクリーニング(来診1)時に、患者は朝(AM)および夜(PM)のNPIFを記録するためにNPIF測定を出した。患者は毎日の電子日記において以下の変化を記録するように指導された:MFNSを受ける前に発生(6amから10amの間)後15分以内に実施したAMのNPIF;およびMFNSを受ける前に夜(6pmから10pmの間)に実施したPMのNPIF。
【0218】
患者によって3回のNPIFの試みが実施された;3回全ての値が患者によって電子日記に記録され、最も高い値を評価のために使用した。AMのNPIFのベースラインは治験薬の最初の投薬前の28日の間に記録した平均AM測定であり、PMのNPIFのベースラインは治験薬の最初の投薬前の28日の間に記録した平均PM測定であった。
【0219】
疾患に特有の毎日の症状を評価するために、患者は:0〜3の分類したスケール(ここで、0=症状なし、1=軽度の症状、2=中程度の症状および3=重度の症状)を使用し、詰まりおよび/または閉塞、前部鼻漏(鼻水)、後部鼻漏(後鼻漏)ならびに嗅覚の喪失の症状を含めた、朝および夜の個々の鼻副鼻腔炎症状の質問に答えるために電子日記を使用した。夜間覚醒の回数もまた、記録した。
【0220】
同じ安全性評価を全ての治療群にわたって適用した。重篤な有害事象(SAE)および特定の関心事の有害事象(AESI)を含む有害事象を毎回の来診時に収集した。
【0221】
投薬前血液サンプルを、表14に指定した血清機能mAb1および抗mAb1抗体を決定するために採取した。
【0222】
別の薬理遺伝学インフォームドコンセントを必要とするDNAおよびRNAの予備分析のために任意選択のサンプリング。
【0223】
薬物動態。血清中の機能的mAb1および抗mAb1抗体をELISAによりアッセイした。来診2(1日)における血清中の投薬前機能的mAb1の濃度、2週、4週、8週、12週、16週におけるmAb1トラフ濃度、ならびに20週、24週、28週および32週における追跡血清mAb1を提供した。来診2(1日)、2週、4週、8週、12週、16週および32週における抗mAb1抗体状態(陰性または力価値)も提供した。研究の来診の終わりに1000以上のADA力価を有する患者を、ADA力価のさらなる評価のために約6ヶ月後に戻すように計画した。さらなる追跡を、抗体力価および臨床所見の全体の評価に基づいて考慮した。
【0224】
薬力学。特定のタンパク質の分泌は、少なくとも部分的にTh2サイトカインに依存し、洞組織を含む気道粘膜の慢性炎症に関連するので、特定のバイオマーカーの発現をアッセイしてmAb1の治療効果をモニターした。これらのバイオマーカーをまた、毒性を予測する際、および/または薬物反応の時間経過を記録する際にそれらの値について評価した。ベースラインとして使用した値は1日目(投薬前評価)に収集したものである。
【0225】
両側の鼻腔内に鼻用綿棒を5分間挿入することによって鼻汁を得た。鼻茸に関連するさらなるバイオマーカーおよびmAb1処置に対する反応の可能な分析のために鼻汁を保存した。
【0226】
選択した臨床部位において、特定のインフォームドコンセントを用いて、鼻ポリープ組織を場合により生検によって得た。ベースライン生検を研究のV2時に得た。無作為化後、鼻ポリープ組織の別の生検を処置来診の終わり(16週)に得た。
【0227】
生検鼻ポリープ組織を、炎症および疾患プロセスまたは反応の様々なバイオマーカーについて評価した。例えば、RNAを抽出し、発現プロファイリング(例えば、マイクロアレイ、トランスクリプトームシークエンシングまたは定量的RT−PCR)のために使用した。
【0228】
DNAおよびRNAサンプルを使用して、遺伝子とmAb1による処置に対する反応との間の起こり得る関係およびmAb1に対する起こり得る副作用を決定することができた。
【0229】
二成分事象を有する患者の割合の分析。二成分事象を有する患者の割合を評価した:16週におけるNPSの1ポイント以上の改善(低下)(中心で読み取った);16週におけるベースラインからのCT混濁の10%もしくはそれ以上の改善;経口CSもしくは手術に起因する降下;または8週後のINCSの増加を、反応変数および処置群、プールした国/領域および共変量として研究前の層別因子として、それぞれ、上記の反応と共にロジスティックモデルを使用して分析した。
【0230】
時間−事象変化の分析。時間−事象(例えば、NPSの1ポイント以上の改善(低下)を伴う最初の反応、研究処置中断など)を、従属変数として時間−事象および処置、プールした国/領域、共変量として研究の前の喘息併存症と共にCox回帰モデルを使用して分析した。カプラン・マイヤー法を使用して、4、8、12および16週において各処置群に特有の事象を有する患者の割合を導いた。処置期間の間の分析のために、患者が処置中断/完了前に事象を有さない場合、患者は、処置期間の終わり(最後の投薬の日+7日)まで事象がないとみなされた。
【0231】
連続変数についてのベースラインからの変化の分析。併存する喘息を有する患者についてのNPS;Lund Mackayスコア;22項目副鼻腔評価試験(SNOT−22);対象により評価される詰まりおよび/または閉塞スコア;鼻最大吸気流量(NPIF);併存する喘息を有する患者におけるACQ−5;QoL測定(SF36、EQ−5D)およびVASにおける16週でのベースラインからの変化を主要評価項目と同じMMRMを使用して分析した。患者の数、平均、標準誤差およびLS平均を含む記述統計を提供した。さらに、LS平均、対応する95%Clおよびp値の差異をプラセボに対する各用量の比較のために提供した。
【0232】
特徴が定義されたサブセットのベースラインバイオマーカーにおける効能の分析。処置反応を予測するためのそれらの潜在的な値についてのベースラインバイオマーカーを検査するために、NPSの変化の分析もまた、以下のサブセットおよび各投薬群による全ITT集団および選択したプールした投薬群について実施した。
【0233】
サブグループ分析。サブグループレベルにわたる一貫性処置効果を評価し、処置反応を予測するためのそれらの潜在的値についてのベースラインバイオマーカーを検査するために、予備的なサブグループ分析を、年齢群、性別、領域、人種、INCS用量レベル、ベースラインNPS、ベースラインCTスキャンスコア、喘息併存症および研究前に選択したバイオマーカーに対してNPSにおけるベースラインからの変化について行った。
【0234】
抗mAb1抗体結果(陰性または抗体力価)の項目を、患者、時点および処置群によって表した。ADA力価レベルをカテゴリーに分類した:低、中および高。低レベルのADA力価を1000未満の力価と定義し;中レベルのADA力価を1000から10,000の間の力価と定義し;高レベルのADA力価を10,000超の力価と定義した。
【0235】
抗mAb1抗体アッセイ結果を断定的に記載した。以下の要旨を提供した:TEAE期間の間、いずれかの陽性ADAアッセイ反応を有する患者;TEAE期間の間、処置により誘導された陽性ADAアッセイ反応を有する患者;TEAE期間の間、処置により誘導された陽性ADAアッセイ反応を有する患者を、一過性陽性反応を有する患者および持続性陽性反応を有する患者とさらに記載した。TEAE期間の間、いずれかの陽性ADAアッセイ反応を有する患者を、ADAアッセイにおいて陽性である少なくとも1つのサンプルを有するものと定義した。
【0236】
処置により誘導された陽性ADAアッセイ反応を:ベースラインにおいて陽性アッセイ反応を有さないが、TEAE期間の間、陽性アッセイ反応を有する患者またはベースラインにおいて陽性ADAアッセイ反応を有し、また、TEAE期間の間、力価が少なくとも4倍増加する患者と定義した。
【0237】
持続性陽性反応は、患者由来の少なくとも2つの連続したベースライン後サンプルがADAアッセイにおいて陽性であるか、または採取した最後のベースライン後サンプルがADAアッセイにおいて陽性である、処置により誘導された陽性ADAアッセイ反応である。一過性陽性反応は、持続性とみなされないいずれかの処置により誘導された陽性ADAアッセイ反応と定義される。
【0238】
【表19】
【0239】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によってその範囲を限定されるものではない。実際、本明細書に記載のものに加えて本発明の様々な改変が上記説明および添付の図面から当業者には明らかとなる。そのような改変は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。