(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の端面、第2の端面及び軸方向チャネルを備えた多孔性セラミックハニカム体の、前記第1の端面から前記第2の端面まで延在する外周に配置された外皮を乾燥させるための方法において、
第1のガスを第1の速度で前記ハニカム体の長さ軸方向に流すことを含む、第1組の条件下で、前記外皮を乾燥させるステップであって、前記第1のガスの少なくとも一部は、前記ハニカム体の前記外周に配置された前記外皮の外周の周りを略均一に通過して、前記外皮を第1の乾燥度まで均一に乾燥させ、部分的に乾燥した外皮を形成する、ステップ;
前記部分的に乾燥した外皮を、前記第1組の条件とは異なる第2組の条件下で、第2の乾燥度まで乾燥させるステップ
を含み、
前記第1組の条件下で前記外皮が接触する大気の温度が40℃〜60℃であり、
前記第2組の条件は、前記外皮を前記第2の乾燥度まで乾燥させるために、第2のガスを、前記第1の速度を超える第2の速度で、前記ハニカム体に対して流すことを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
これより、本開示の例示的実施形態を示す添付の図面を参照して、本開示を更に完全に説明する。しかしながら本開示は、多数の異なる形態で実体化でき、本開示に記載の例示的実施形態に限定されるものと解釈してはならない。寧ろこれらの実施形態を提供することにより、本開示が完全なものとなり、また本開示の範囲が当業者に十分に伝達される。図面において、明瞭性のために、層及び領域のサイズ及び相対的サイズを誇張している場合がある。
【0016】
ある要素又は層が、別の要素又は層「の上に(on)」ある、又は「に接続されて(connected to)」いると言う場合、上記ある要素又は層は、上記別の要素若しくは層の上に直接あるか、又は上記別の要素若しくは層に直接接続されていてよく、又は介在要素若しくは層が存在してもよい。対照的に、ある要素又は層が、別の要素又は層「の上に直接(directly on)」ある、又は「に直接接続されて(directly connected to)」いると言う場合、介在要素又は層は存在しない。本開示の目的のために、「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ(at least one of X, Y, and Z)」は、Xのみ、Yのみ、Zのみ、又は2つ以上の項目X、Y及びZのいずれの組み合わせ(例えばXYZ、XYY、YZ、ZZ)として解釈できることを理解されたい。
【0017】
これらの例示的実施形態において、開示されている物品、及び開示されている上記物品の作製方法は、例えば以下において議論されるもののような1つ又は複数の有利な特徴又は態様を提供する。請求項のいずれに記載される特徴又は態様は、本開示のあらゆる側面に広く適用可能である。いずれの1つの請求項中に記載されるいずれの単一の又は複数の特徴又は態様は、他のいずれの1つ又は複数の請求項中に記載される他のいずれの特徴又は態様と併用又は交換できる。
【0018】
上部(top)、底部(bottom)、側部(side)、上側(upper)、下側(lower)、垂直(vertical)及び水平(horizontal)といった用語を使用する場合、本開示はそれに関してこれらの例示的実施形態に限定されない。代わりに、空間に関する相対的な用語、例えば上部(top)、底部(bottom)、水平(horizontal)、垂直(vertical)、側部(side)、直下(beneath)、下方(below)、下側(lower)、上方(above)、上側(upper)等は、本出願においては、説明を容易にするために、別の1つ若しくは複数の要素又は1つ若しくは複数の特徴に対する、ある要素又は特徴の、図中に図示されている通りの関係を説明するために使用できる。空間に関する相対的な用語は、図示されている配向に加えて、使用又は動作時のデバイスの異なる複数の配向を包含することを意図していることを理解されたい。例えば図中のデバイスを反転させると、他の要素又は特徴の「下方」又は「直下」として説明されている要素は、上記他の要素又は特徴の「上方」に配向されることになる。従って、この例示的な用語「下方」は、上方及び下方の配向両方を包含できる。デバイスは他の配向であってよく(90°又は他の配向で回転させてよく)、本出願において使用される空間に関する相対的記述子はこれに従って解釈してよい。
【0019】
「含む(include、includes)」又は同様の用語は、包含するもののそれに限定されないこと、即ち包括的であり排他的ではないことを意味する。
【0020】
例えば組成物中の成分の量、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流量、圧力、粘度及び同様の値並びにその範囲を修飾する、本開示の実施形態の説明において使用される「約(about)」は、例えば:材料、組成物、複合体、濃縮物又は使用処方の調製に用いられる典型的な測定及び取り扱い手順によって;これらの手順における不可避的な誤差によって;本方法を実施するために使用される開始材料又は成分の製造、供給源又は純度の違いによって;及び同様の考慮するべき事項によって発生し得る、数的量の変動を表す。用語「約」はまた、ある特定の初期濃度又は混合状態の組成物又は処方の経年変化によって異なる量、及び特定の初期濃度又は混合状態の組成物又は処方の混合又は加工によって異なる量も包含する。
【0021】
本出願において使用される場合、名詞は、そうでないことが明記されていない限り、少なくとも1つ、又は1つ若しくは複数の対象を指す。
【0022】
当業者に公知の略語を使用する場合がある(例えば、時間(hour、hours)に対する「h」若しくは「hr」、又はグラム(gram、grams)に対する「g」若しくは「gm」、ミリリットル(milliliter)に対する「ml」、及び室温(room temperature)に対する「RH」、ナノメートル(nanometer)に対する「nm」、並びに同様の略語)。
【0023】
組成物、成分、添加物、時間、温度、圧力及び同様の態様に関して開示さられる具体的な値、並びにその範囲は、単なる例示のためのものであり、これらは他の所定の値、又は所定の範囲内の他の値を排除するものではない。本開示の装置及び方法は、いずれの値又は複数の値のいずれの組み合わせ、具体的な値、及び本出願に記載の更に具体的な値を含むことができる。
【0024】
本出願において使用される場合、素地材料(green material)は、無機及び/又は有機材料の混合物を含む未焼成材料である。素地材料は、様々な無機フィラー材料、無機及び/又は有機バインダ材料、並びに液体ビヒクルを含んでよい。本明細書では、素地材料を、乾燥前の「湿潤な(wet)」状態と呼ぶ場合がある。素地材料を乾燥させて、流体成分(例えば水)を除去してよい。乾燥は、パーツを環境大気に一晩曝露することによって達成する場合が多いが、高温空気、強制空気、マイクロ波、高周波(RF)又は赤外線照射(IR)を用いて乾燥を強めてもよい。乾燥は、湿度制御空気中で達成してもよい。素地材料は、冷間定着(cold‐set)セメントを含んでよい。乾燥させた素地材料を焼成して、多孔性又は非多孔性セラミック物品を形成してよい。
【0025】
本出願において使用される場合、「上乗せ添加」は、例えば有機バインダ、液体ビヒクル、添加物又は細孔形成剤といった成分の、混合物の無機構成成分100重量%をベースとした、混合物の無機構成成分100重量%に対する重量%を指す。
【0026】
基材及びフィルタ物品は、ガソリン及びディーゼル型軽車両及び大型車両において、処置後排出制御のために使用され、上記制御は環境規制を満たす。これらの基材及びフィルタの製造における複数のステップのうちの1つは、基材及びフィルタの外周軸方向表面上におけるセメント系外皮又は外壁の塗布である。
【0027】
多孔性セラミックフィルタ物品等のパーツの外皮は、上記パーツと周囲環境との間の界面である。上記外皮は複数の機能を果たし、例えば上記外皮は:パーツの美的概観を付与し;顧客によって品質の指標として評価され;パーツの機能性フィルタ部分を、欠けによる損傷等の構造的劣化、並びにパーツの取り扱い及び輸送時等、製造及び使用時におけるパーツの周辺のその他の危険から保護し;パーツのアイソスタティック強度(これは現代のパーツに関して有意な性能指標となり得る)を付与する。
【0028】
乾燥中の外皮の亀裂形成を低減するために、低い蒸発速度を用いてよい。湿度勾配を低下させるための、外皮表面における低蒸発速度は、乾燥プロセスを遅くして、それに関連して乾燥時間が長くなるであろう。しかしながら驚くべきことに、本出願において開示されるような例示的実施形態による、迅速な無亀裂外皮乾燥を達成するプロセスが発見され、これは乾燥時間を低減する。外皮の乾燥は、外皮が臨界乾燥度、例えば25%乾燥に到達するまでに亀裂を生じやすいことが分かった。ここで%乾燥は、外皮の元々の水分含有量に対する、瞬間的な水分含有量の比率に、100%を乗算したものである。臨界乾燥度、例えば25%乾燥を超えると、外皮は堅牢となり、ゆっくりとした環境空気乾燥とは対照的な、例えば90℃環境における、より迅速で厳しい乾燥条件においてさえ、亀裂を生じない。更に、本出願において開示されるような例示的実施形態による、迅速な無亀裂外皮乾燥を達成するプロセスの条件下において、セメント外皮のコロイド状無機バインダの有意な移動が防止され、これによって、より強靭でより堅牢な乾燥外皮がもたらされる。
【0029】
図1Aは、対向する端面114、116間に軸方向に延在する、相互に隣接したセルチャネル112を形成する、複数の交差した壁110を含む、ハニカム体100を示す。
図1Bは、
図1Aのハニカム体100の概略断面図を示す。
図1Cは、
図1Aのハニカム体100の概略上面図を示す。本出願において、「セル(cell)」は一般に、端面114、116間に延在するセルを指す場合に使用される。セル及びチャネルは相互交換可能に使用でき、また「セルチャネル(cell channel)」として使用できる。端面がハニカム体100の配向によって限定されていない限りにおいて、上面114は、
図1Aにおいて位置決めされたハニカム体100の第1の端面を指し、下面116は第2の端面を指す。上面114がハニカム体100の流入面、かつ下面116がハニカム体100の流出面であってよく、又は上面114がハニカム体100の流出面、かつ下面116がハニカム体100の流入面であってよい。
【0030】
セル密度は、約100〜900セル/平方インチ(cells per square inch:cpsi)とすることができる。典型的なセル壁厚は、約0.025mm〜約1.5mm(約1〜60ミル)とすることができる。例えばハニカム体100の形状は、400cpsi、かつ壁厚約8ミル(400/8)又は壁厚約6ミル(400/8)であってよい。他の形状としては例えば、100/17、200/12、200/19、270/19、300/4、600/4、400/4、600/3及び900/2が挙げられる。本出願において使用される場合、ハニカム体100は、全体的にハニカム状の構造を含むことが意図されているものの、正方形構造に厳密に限定されてはいない。例えば六角形、八角形、三角形、長方形又は他のいずれの好適なセル形状を使用してよい。また、図示されているセル型ハニカム体100の断面は円形であるが、上記断面はこのように限定されておらず、例えば上記断面は楕円形、正方形、長方形、他の多角形、又は他の所望の形状とすることができる。
【0031】
例示的実施形態では、本出願において考察するハニカム体は、長さL及び直径Dの寸法を有することができるが、この寸法は特に限定されていない。例えば長さLは約5インチ(12.7cm)〜約20インチ(50.8cm)とすることができ、直径Dは約3インチ(7.6cm)〜約20インチ(50.8cm)とすることができる。例えば長さLは約5インチ(12.7cm)〜約15インチ(38.1cm)、例えば約6インチ(15.2cm)〜約13インチ(33cm)とすることができ、又は例えば長さLは、約5インチ(12.7cm)〜約10インチ(25.4cm)又は約10インチ(25.4cm)〜約15インチ(38.1cm)とすることさえできる。これらの例示的実施形態では、部分フィルタの作製方法は、ハニカム体を横方向に2つに切断するステップを含むことができ、これにより、上述の長さLの約半分の長さLが得られ、これもまた例示的な長さLとして含まれる。
【0032】
上述のように、ハニカム体の直径Dは特に限定されておらず、例えば約3インチ(7.6cm)〜約20インチ(50.8cm)とすることができる。例えば上記直径Dは、約5インチ(12.7cm)〜約17インチ(43.2cm)、例えば約7インチ(17.8cm)〜約13インチ(33cm)とすることができる。例えば上記直径Dは、約3インチ(7.6cm)〜約10インチ(25.4cm)又は約10インチ(25.4cm)〜約20インチ(50.8cm)とすることができる。
【0033】
ハニカム体100は一般に、外周120及び外皮124を有するハニカムコア118を有する。外皮124は、輪郭調整作業後に塗布してよい。
図2は、輪郭調整後かつ外皮形成前の、ハニカムコア118の例示的実施形態の概略斜視図である。ハニカムコア118は素地状態であってよく、輪郭調整及び外皮形成前に乾燥させてよく、又は焼成してよい。輪郭調整済みハニカムコア118の最外周120の壁110は、部分セル126及びセル112を形成してよい。部分セル126は一般に、セル112から外向きに間隔を空けてよい。しかしながらセル112は、セル112を形成する複数の壁110が外周120において出会う場合、最外部にあってよい。部分セル126の壁110の最外部と、いくつかのセル112の最外角部128とは、輪郭調整済みハニカムコア118の外周120を形成する。
【0034】
本開示の例示的実施形態は、単一のモノリスで形成されても、又はモノリスを形成するために一体にセメント接合された複数のセグメントで形成されてもよい、
図2に示すようなハニカムコア118を有する、セラミック物品に関する。ハニカムコア118は、流入面114から流出面116まで延在して、間にセルチャネル112及び部分セルチャネル126を画定する、複数のチャネル壁110と、流入面114から流出面116まで延在する外周120とを含み、部分セルチャネル126はハニカムコア118の外周120に隣接する。外皮124は、
図1A、1B及び1Cに示すように、ハニカムコア118の外周120に配置されて、ハニカム体100を形成する。本開示は塗布後の外皮に関するが、このような塗布後の外皮を、共押出成形された外皮上に配置することもできる。
【0035】
これらの例示的実施形態では、ハニカムコア118は、コージエライト等のセラミック材料から形成してよく、又は他の場合、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸アルミニウム、アルミナ及び/若しくはムライト若しくはこれらの組み合わせといった他のセラミック材料製であってよい。
【0036】
ハニカムコア118は、ハニカムモノリシック体を形成するために好適ないずれの従来のプロセスに従って形成できる。例えば、可塑化したセラミック形成バッチ組成物を、押出成形、射出成形、鋳込成形、遠心成形、加圧成形、乾式加圧成形等のいずれの公知の従来のセラミック形成プロセスによって、素地体へと成形できる。典型的には、ハニカム構造は押出成形プロセスによって形成され、上記押出成形プロセスでは、セラミック材料を素地形態へと押出成形した後、上記素地形態を焼成して、上記構造の最終セラミックを形成する。ある例示的実施形態では、押出成形は、液圧式ラム押出成形プレス、2段脱気単一オーガ押出成形器、又はダイアセンブリが排出端部に取り付けられた2軸スクリューミキサを用いて実施できる。押出成形された材料を切断して、機関製造業者のニーズを満たすように成形及びサイズ設定されたフィルタ体等のハニカム構造を形成できる。押出成形された材料は、ハニカムセグメントとすることができ、これらを一体に接続又は結合することによってハニカム構造を形成できる。これらの押出成形された素地体は、いずれのサイズ又は形状とすることができる。
【0037】
一般に、セラミックハニカム構造を押出成形するにつれて、上記構造の長さに沿って固体外側表面がもたらされる。しかしながら、特定の状況下において、上記外側表面を除去する必要が生じる場合がある。例えば素地状態の押出成形されたハニカム構造は、上記押出成形された外側表面を除去することによって、所望の形状及びサイズに成形できる。あるいは素地状態のハニカム構造を焼成した後、上記押出成形された外側表面並びに所望の形状及びサイズを得るために必要な多孔性壁構造のいずれの部分を除去することにより、上記所望の形状及びサイズへと研磨してよい。成形は、所望の形状及びサイズを達成するために、ハニカム構造の押出成形された外側表面を切断、サンディング又は研磨して取り去ることを含む、当該技術分野において公知のいずれの手段によって達成できる。
【0038】
同様に、押出成形された外側表面を除去することによって、複数のハニカムセグメントを所望の形状及びサイズへと成形した後、ハニカム構造へと一体化させてよい。あるいは、複数のハニカムセグメントを一体化してハニカム構造を形成し、形成したハニカム構造を、所望の形状及びサイズに成形してよい。
【0039】
所望の形状及びサイズを得た後、外皮材料を、上記サイズ設定された本体の外周に塗布して、新たな外側表面、即ち外皮を上記本体上に形成できる。典型的には、ハニカム体の端部は外皮材料で被覆されないが、必要な場合は特定の通路を塞いでよい。外皮バッチは、ドクターブレード作業によって、軸方向外皮形成作業によって、スプレー成形作業によって、テープ成形作業によって、又は同様の作業によって、ハニカムコア118に塗布できる。ハニカムコア壁110に接触する外皮バッチは、外皮バッチが硬化すると、外皮バッチ層をハニカムコア118に結合させ、ハニカム体100を形成する。
【0040】
例示的実施形態では、本出願において考慮されるハニカム体上の外皮は、特に限定されたい、塗布済み外皮厚Tを有することができる。例えば上記塗布済み外皮厚Tは、約0.5mm〜約2.1mmとすることができる。例えば上記塗布済み外皮厚は、約0.5mm〜約1.1mm、約1.0mm〜約1.5mm、又は約1.4mm〜約2.1mmにさえすることができる。上記外皮を、既存の外皮を覆うように塗布する場合、又は上記外皮が多層外皮である場合、合計外皮厚は、ここで言及した上記塗布済み外皮厚Tの約2倍となってよく、これもまた例示的な外皮厚Tとして含まれる。
【0041】
外皮組成物をハニカム構造に塗布した後、外皮組成物を乾燥させる、及び/又はか焼することができる。いくつかの実施形態では、冷間定着セメント組成物をハニカム構造に塗布してよい。いくつかの実施形態では、全体にセメントが塗布されるハニカムコア118は、焼成済みセラミック材料からなる。他の実施形態では、ハニカムコア118は、素地体又はか焼体からなる。場合によっては、か焼ハニカム構造の最終焼成を、触媒プロセス中に実施できる。
【0042】
本出願において開示される外皮材料は、200℃未満の温度、例えば100℃未満の温度、更には50℃未満の温度、また更には約20℃の温度で定着するものを含むことができ、これには、「冷間定着」外皮を用いた外皮形成プロセスに使用できるセメント材料が含まれる。冷間定着外皮形成において、ハニカムのチャネル壁のシールを形成するためには、外皮形成混合物の乾燥しか必要ない。冷間定着外皮形成プロセスを採用する場合、本開示の例示的実施形態による2段階操作は、乾燥を加速でき、また外皮乾燥亀裂を低減できる。いくつかの冷間定着外皮形成プロセスでは、残留する一時的なバインダ副産物の除去及びシールの強化を含む、最終的な外皮の強化は、後続の加工ステップ途中(例えば触媒反応若しくは被覆加工(canning)途中)、又は(例えば排気システムにおける)最初の使用中に発生し得る。
【0043】
外皮組成物は、2013年2月19日出願の米国特許出願第13/770104号明細書に記載されており、上記特許出願はその全体が参照により本出願に援用される。例示的実施形態によると、外皮組成物は、無機フィラー材料及び結晶性無機繊維材料を含んでよい。例示的実施形態では、上記無機フィラー材料は、セメント混合物の無機固形構成成分の総重量の少なくとも10%を構成し、また上記結晶性無機繊維材料は、セメント混合物の無機固形構成成分の総重量の25%未満を構成する。
【0044】
特定の例示的実施形態では、上記結晶性無機繊維材料の少なくとも50重量%は、3:1〜10:1、例えば4:1〜8:1のアスペクト比(最長寸法を最短寸法で除算したもの)を有する。特定の例示的実施形態では、上記結晶性無機繊維材料の10重量%未満は、3:1未満のアスペクト比を有する。特定の例示的実施形態では、上記結晶性無機繊維材料の5重量%未満は、3:1未満のアスペクト比を有する。特定の例示的実施形態では、上記結晶性無機繊維材料の平均アスペクト比は、3:1〜10:1、例えば4:1〜8:1であり、約5:1を含む。本出願における全てのアスペクト比測定は、そうでないことが示されていない限り、当業者に公知の方法に従って、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて実施される。
【0045】
特定の例示的実施形態では、上記結晶性無機繊維材料の平均直径は、2〜80マイクロメートル、例えば5〜50マイクロメートル、また更には10〜30マイクロメートルである。特定の例示的実施形態では、上記結晶性無機繊維材料の平均長は、10〜500マイクロメートル、例えば50〜400マイクロメートル、また更には100〜300マイクロメートルである。
【0046】
特定の例示的実施形態では、上記結晶性無機繊維材料は、平均直径2〜10マイクロメートル及び平均長10〜50マイクロメートルの、より微細な繊維材料を含むことができる。上記結晶性無機繊維材料はまた、平均直径20〜60マイクロメートル及び平均長100〜300マイクロメートルの、比較的粗大な繊維材料も含んでよい。上記結晶性無機繊維材料はまた、平均直径10〜20マイクロメートル及び平均長50〜100マイクロメートルの、中間的な粗度の繊維材料も含んでよい。
【0047】
特定の例示的実施形態では、上記結晶性無機繊維材料は、天然に発生する結晶性無機繊維材料を含む。特定の例示的実施形態では、上記結晶性無機繊維材料は、アルカリ土類シリケート、例えば天然に発生するアルカリ土類シリケートを含む。好適なアルカリ土類シリケートの例は、NYCO Minerals Incorporated(米国ニューヨーク州ウィルズボロ)から商品名Ultrafibe IIとして入手できるもの等の、ウォラストナイト(CaSiO
3)である。
【0048】
特定の例示的実施形態では、上記無機フィラー材料は、摩砕されたコージエライト、及び溶融シリカガラス粉体のうちの少なくとも一方を含む。
【0049】
特定の例示的実施形態では、上記無機フィラー材料は、コージエライト、例えば摩砕されたコージエライトを含む。
【0050】
特定の例示的実施形態では、上記無機フィラー材料は、ガラス粉体、例えば溶融シリカガラス粉体を含む。
【0051】
ガラス粉体フィラー材料は、中央粒径(D50)を10〜20μmとすることができ、ここで例えば最小粒径は7μm〜75μmであり、最大粒径は50μm〜70μmである。粒径は、質量ベースの球相当径として決定した。上記ガラス粉体フィラー材料は例えば、セメントの無機構成成分全体の60〜80重量%を構成してよい。好適なシリカ粉体フィラー材料が、例えばTennessee Electro Minerals Incorporated(米国テネシー州)から商品名Teco‐Silとして入手できる。本開示における全ての粒径測定は、そうでないことが示されていない限り、Microtrack Inc.粒径アナライザを用いて実施した。
【0052】
別の実施形態では、ハニカム構造100の外皮124は、非晶質ガラス系セメントを含んでよく、上記セメントは、低熱膨張率フィラー材料としての第1の(微細)ガラス粉体、低熱膨張率フィラー材料としての第2の(粗大)ガラス粉体、結晶性無機繊維材料、バインダ、及び上記ガラス系セメントの固形構成要素を搬送するための溶媒又はビヒクルから形成される。特定の例示的実施形態では、第1のガラス粉体フィラー材料及び第2のガラス粉体フィラー材料の両方のガラスは、粒径約1マイクロメートル超の非晶質シリカである。ガラス粉体フィラー材料の粒径の分布は多峰性であってよく、粒径約1マイクロメートル超の上記ガラス粉体フィラー材料の分布は、粒径に関して多峰性(局所的最大値)を示す。一実施形態では、上記非晶質ガラス系セメントは、粒径約1マイクロメートル超の非晶質ガラス粒子の、二峰性粒径分布を備える。上記ガラス系セメントは、第1のガラス粉体フィラー材料を含んでよく、ここで上記第1のガラス粉体フィラー材料の中央(D50)粒径は、約10マイクロメートル〜約50マイクロメートル、約15マイクロメートル〜約50マイクロメートル、約20マイクロメートル〜約45マイクロメートル、又は約30マイクロメートル〜約45マイクロメートルとすることができ、またD10は約1マイクロメートル〜約10マイクロメートル、D90は約25マイクロメートル〜約125マイクロメートルとすることができる。第2のガラス粉体フィラー材料の中央(D50)粒径は、約150マイクロメートル〜約300マイクロメートル、約150マイクロメートル〜約250マイクロメートル、約170マイクロメートル〜約230マイクロメートル、約180マイクロメートル〜約220マイクロメートルとすることができ、またD10は約100マイクロメートル〜約150マイクロメートル、D90は約250マイクロメートル〜約350マイクロメートルとすることができる。粒径は、質量ベースの球相当径として決定される。本出願において使用される場合、用語「D50」は、粒径の分布の中央値を表し、D10は、分布の10%がその粒径より小さくなる粒径(マイクロメートル)を表し、D90は、分布の90%がその粒径より小さくなる粒径(マイクロメートル)を表す。本出願における全ての粒径測定は、そうでないことが示されていない限り、Microtrack Inc.粒径アナライザを用いて実施されている。
【0053】
本開示のセメント組成物を提供するために、上述の無機粉体のうちのいずれを含む無機粉体と、いずれの任意の無機添加構成成分とを、好適な有機及び/又は無機バインダ材料と混合できる。上記有機バインダ材料は、セルロースエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化ポリエチレン等の1つ若しくは複数の有機材料、又はいくつかの実施形態では、Actigum(登録商標)、キサンタンガム若しくはラテックス等のガム様材料を含んでよい。例えばA4 methocel(登録商標)は、好適な有機バインダである。Methocel(登録商標)A4は、Dow Chemical(商標)から入手できる水溶性メチルセルロースポリマーバインダである。上記有機バインダ材料は例えば、上記セメント組成物中に、0.1〜10重量%、例えば0.2〜5重量%、また更には0.5〜2重量%の量で存在してよい。
【0054】
好適な無機バインダは、水等の好適な液体中に懸濁されたナノメートルスケールのシリカ又はアルミナ粒子を含む、コロイド状シリカ又はアルミナを含んでよい。例えば上記ナノメートルスケールのシリカ又はアルミナ粒子の平均粒径(D
50)は、10nm〜700nmであってよい。上記無機バインダ材料は例えば、セメント中に存在する無機固体の総重量の2%〜35%の量で、セメント組成物中に存在してよく、いくつかの実施形態では、無機バインダは5%〜30%の量で存在し、特定の他の実施形態では10%〜25%の量で存在する。好適なコロイド状シリカバインダ材料は、W.R.Grace(商標)が製造するLudox(登録商標)HS‐40及びLudox PW50ECである。典型的なコロイド状バインダ材料は、約40重量%の固形材料を、脱イオン水ビヒクル中の懸濁液として含んでよい。
【0055】
本開示による外皮セメント混合物の更なる態様は、外皮セメントの流動学的安定性又はプロセス安定性に関する。外皮形成中におけるメチルセルロース及びコロイド状シリカの基材中への移動を可能にする上記性質は、外皮セメント加工及び塗布中の高い鋳込成形速度及び高い離水率により、外皮加工性に悪影響を与える。この影響を制限するために、例えばVeegum Pro(登録商標)等の水和したマグネシウムアルミニウムシリケート、又はメチルセルロースと組み合わせたLudox PW50EC等のポリ分散コロイド状シリカの上乗せ添加を用いて、外皮塗布中の液体構成成分粘度及び鋳込成形速度を修正しながら、依然として良好に結合した外皮を得ることができる。
【0056】
ポリ分散コロイド状シリカであるLudox PW50ECは、Ludox HS‐40の小さなシリカ粒径よりもはるかに広い粒径範囲を有する。Ludox PW50ECは、Ludox HS‐40における約12nmDC
50に比べて、約10〜100nmの粒径分布(particle size distribution:PSD)の粒径範囲D
50を有する。理論上、Ludox PW50ECの比較的大きい粒子は、分散したままバルクセメント混合物中に容易に残るため、移動しない。Ludox PW50EC中の粒子の中で最小のものは依然として移動可能であり、基材中へと移動する。
【0057】
典型的には、流動性又はペースト稠度を提供するために好ましい液体ビヒクル又は溶媒として、脱イオン(DI)水等の水が挙げられるが、他の材料を使用してもよい。液体ビヒクル成分は、セメント混合物の無機構成成分の総重量の約30%以下、例えばセメント混合物の無機構成成分の総重量の約10%〜約25%の量で、上乗せ添加として存在してよい。しかしながら典型的には、セメントを容易に塗布できるにするために好適な粘度を得るために、液体ビヒクルを調整する。
【0058】
いくつかの実施形態では、セメントは任意に、セメントとハニカム体との間の接着を増強するための接着促進剤といった、有機改質剤を含有してよい。例えばMichem(登録商標)4983はこの目的のために好適であることが分かっている。
【0059】
以下の表1は、異なるセメント混合物(水を除く)の8つの異なるバッチの例を挙げており、各セメント混合物は:(i)粒径1マイクロメートル超、及び25℃から600℃までの熱膨張係数5×10
‐7/℃未満の、非晶質溶融シリカフィラー材料;並びに(ii)平均アスペクト比4:1〜8:1及び熱膨張係数50×
‐7/℃の、結晶性無機繊維材料(ウォラストナイト)を含有し、上記第1のシリカ粉体フィラー材料及び上記結晶性無機繊維材料の重量百分率は、セメントの無機構成成分の合計の百分率として表されている。
【0061】
例示的実施形態によると、高温空気を用いて外皮を乾燥させることによって、外皮を無亀裂とし、コロイド状無機バインダを外皮の厚さ全体にわたって均一に分散されたままとする方法が開示される。上記均一に分散したコロイド状無機バインダは、乾燥させた外皮に更なる強度をもたらす。本開示のこの外皮乾燥方法は、コロイド状無機バインダの移動を低減する。
【0062】
これらの例示的実施形態によると、本方法は、急峻な湿度勾配を低減するための2つの操作を含む。急峻な湿度勾配は、外皮乾燥亀裂を引き起こすことが発見されている。第1の操作は、外皮を、上記外皮がその臨界乾燥度(例えば20〜30%乾燥)を超えて乾燥されるまで、温度及び湿度制御環境で均一に乾燥させるステップを伴う。第2の操作は、迅速な速度で上記外皮を完成状態(例えば90〜100%乾燥)まで乾燥させることによって、環境中での乾燥よりも短い期間で、また加熱乾燥よりも亀裂を少なく、全体の乾燥プロセスを実施するステップを伴う。
【0063】
図3は、外周120に配置された外皮124を有する多孔性セラミックハニカム体100に向かって空気を流すことによって上記外皮を乾燥させる、比較方法の概略図を示す。この比較実施形態では、送風機210は、外皮形成されたハニカム体100の側部A‐A’に空気214を吹き出す。この例では、吹き出された空気214に対面する側部A‐A’は、風下側B‐B’よりも迅速に乾燥することになり、湿度勾配及び外皮乾燥亀裂の発生がもたらされる。対照的に、
図4及び5は、外周に配置された外皮を有する多孔性セラミックハニカム体に向かって空気を均一に流すことによって上記外皮を乾燥させる、本開示のある例示的実施形態による方法の概略図を示す。
【0064】
図4は、外周に配置された外皮124を軸方向に通過するように空気222を流すことによって、上記外皮を均一に乾燥させる、本開示のある例示的実施形態による方法の側方断面概略図を示す。
図4では、空気流222はチャネル112及び112’に対して略平行である。
図5は、外周に配置された外皮124を通過するように空気222を流すことによって、上記外皮を均一に乾燥させる方法の上面図を示す。xはこの紙面へ向かう空気流を示す。
図4及び5から分かるように、外皮124の外周の全ての部分A‐A’、A‐B、B‐B’及びB’‐A’は、略同一の軸方向空気流222を受ける。
【0065】
それを超えると乾燥亀裂が存在しなくなる乾燥度までの、均一な垂直方向乾燥の利用が、驚くべきことに発見された。それを超えると乾燥亀裂が存在しなくなる上記乾燥度を、本出願では臨界乾燥度と呼ぶ。臨界乾燥度は、外皮形成されたハニカム体の外皮を、環境空気(室温、例えば約20〜25℃、通常のレベルの湿度、例えば約40%〜約60%湿度)中で、様々な期間にわたって様々なレベルまで乾燥させることによって決定した。環境空気条件下での緩やかな乾燥に、より過酷な(厳しい)乾燥条件を続けた。例えば、使用した2つの厳しい乾燥条件は:1)低温及び高風速条件(これは、乾燥中の外皮の軸方向の湿度勾配を導入した);並びに2)高温及び高風速条件(これは乾燥中の外皮の外皮厚さ方向の湿度勾配を導入した)を含んでいた。
【0066】
表1に示す組成を有する外皮形成されたハニカム体上の外皮を、環境空気中で約22%まで乾燥させると、上記外皮は、上記乾燥条件のうち最も厳しい条件化で更に乾燥させても、亀裂を生じないことが発見された。従って臨界乾燥度は、約22%乾燥であることが分かった。本出願において開示される例示的実施形態の利点は、乾燥機内の乾燥領域の設計を誘導できる。第1の領域は、外皮形成されたハニカム体上の外皮を臨界乾燥度又は臨界乾燥度より僅かに高い乾燥度まで乾燥させるために、穏やかな(緩やかな)条件を有するように設計できる。後続の1つ又は複数の領域は、外皮形成されたハニカム体上の外皮を完全乾燥度まで乾燥させるために、厳しい(過酷な)条件を有するように設計できる。臨界乾燥度以降の厳しい条件は、外皮乾燥亀裂を導入することなく、乾燥プロセスを高速化する。
図6は、亀裂レベルを乾燥度の関数として示した実験データをプロットしたグラフである。
【0067】
図6では、ひし形のデータ点は、45℃、10%RH(パーセント相対湿度)及び垂直空気流速4.5m/秒の乾燥条件を表す。三角形のデータ点は、90℃、6%RH(パーセント相対湿度)及び垂直空気流速4.5m/秒の乾燥条件を表す。
図6で使用した試料のハニカム体は、約12インチ(30.5cm)の直径D、及び約6インチ(15.2cm)の長さLを有する多孔性セラミックコージエライトハニカム体であった。ハニカム体の形状は、300セル/平方インチ(cpsi)及び壁厚約4ミル(10mm)(300/4)であった。上記試料のハニカム体の塗布済み外皮厚Tは、約1mmであった。
図6で使用した試料上の外皮セメントのバッチ組成を、表2に挙げる。
【0069】
例示的実施形態によると、臨界乾燥度未満において最小の湿度勾配を提供するための緩やかな乾燥条件としては:外皮形成されたハニカム体の外周の周りに均一な空気流を提供するための、軸方向の垂直空気流;迅速な外皮乾燥を提供するための高風速;制御された相対湿度、及び迅速な外皮乾燥を提供するための穏やかな温度を挙げることができる。風速は、外皮の外周を通過して、約2.0m/秒〜約6.0m/秒とすることができる。風速が約2.0m/秒未満である場合、乾燥時間が長くなり過ぎる場合がある。例えば風速は、外皮の外周を通過して、約3.0m/秒〜約5.0m/秒、例えば約4m/秒とすることができる。
【0070】
上記制御された相対湿度は、空気流によって生成された外皮中の湿度勾配を相殺できる。これらの例示的実施形態では、相対湿度は、約10%〜約60%相対湿度の範囲内で制御してよい。例えば相対湿度は、約20%〜約30%相対湿度の範囲内で制御してよい。相対湿度が約10%未満であると、湿度勾配及びこれに関連する乾燥亀裂が進行し得る。相対湿度が約60%超であると、乾燥時間が長くなり過ぎる場合がある。
【0071】
外皮の外周における、制御された穏やかな温度は、これらの例示的実施形態によると約40℃〜約60℃、例えば約50℃〜約60℃、又は約60℃であってよい。温度が約40℃未満であると、乾燥時間が長くなり過ぎる場合がある。温度が約60℃超であると、湿度勾配及びこれに関連する乾燥亀裂が進行し得る。
【0072】
これらの例示的実施形態に基づいて実験を実施して、外皮乾燥亀裂に対する高風速での温度の影響を決定し、結果を
図3に示す。この実験では、約1mmの塗布済み外皮厚Tの、上で表2において提示した湿潤な外皮組成を有する、形状が300/4、直径Dが約12インチ(30.5cm)、及び長さLが約6インチ(15.2cm)のパーツを、温度、相対湿度、風速及び空気流方向制御を有するオーブン内で乾燥させた。このオーブンに、6個の外皮形成されたハニカム体を一度に装填した。
【0074】
表3は、上記乾燥中の外皮が、低温において比較的激しく亀裂を生じ、亀裂形成速度が驚くべきことに、乾燥温度の増大に伴って低下することを示す。例えば全てのパーツは、40℃乾燥温度において、外皮乾燥亀裂を、パーツ1個あたり約7.5個の亀裂数で呈するが、70℃乾燥温度においては、6個のうち1個のパーツのみが外皮乾燥亀裂を呈し、そのパーツは1つの亀裂しか呈さなかった。これは驚くべきことに、温度が外皮乾燥亀裂の支配的原因ではないことを示していた。理論によって束縛されることを望むものではないが、亀裂形成の理由は、風速による外皮表面の不均一な乾燥からの応力の発生によるものであると思われた。空気流による物質移動係数は、送風機に最も近い、風上の端面付近において最大であり、上記風の上流の端面から離れると低下する。従って、上記風の上流の端面付近の(上部の)外皮は、外皮の残りの部分より迅速に乾燥し、軸方向に湿度勾配が形成され、これは外皮乾燥亀裂につながる。
【0075】
低温において、熱は迅速な蒸発に大きくは寄与しない。従って、空気流速によって生成される不均一性(湿度勾配)は激しくなり得る。その一方で、適度な高温において、外皮外周の周りに恐らく均一に分布する熱は、蒸発により大きく寄与し、従って空気流速によって生成される湿度勾配を緩和する。従って、亀裂率が70℃において低下することが観察された。
【0076】
超高温(例えばこれらのバッチ組成物に関して約90℃)において、蒸発速度は極めて高い(90℃における蒸発速度は40℃における蒸発速度の9倍である)。外周外皮表面は迅速に乾燥するが、外皮の深層から表面へ(外皮厚方向)の水の移動は、この高い蒸発速度ではペースを維持できない。従って、外皮の深さに沿った湿度勾配が生成され、これは亀裂をもたらす。
【0077】
例示的実施形態に基づいて実験を実施して、外皮乾燥亀裂に対する空気流速の影響を決定し、結果を
図4に示す。
【0079】
表2及び3のデータを比較すると、驚くべきことに、空気流速が亀裂特性の有力なパラメータであることが分かった。4.5m/秒から0.5m/秒に空気流速を低下させると、亀裂の数は有意に減少した。外皮乾燥は、低速において軸方向により均一となり、これは外皮乾燥亀裂の減少につながった。低空気流速の欠点は、乾燥時間が長い、例えば2時間超であることであった。
【0080】
これらの例示的実施形態に基づいて実験を実施して、外皮乾燥亀裂に対する相対湿度の影響を決定し、結果を
図5に示す。
【0082】
表5は、より高い湿度が、空気流速によって生成される湿度勾配を緩和させることを示している。驚くべきことに、比較的高い湿度レベルにおいて、外皮乾燥亀裂は観察されなかった。
【0083】
これらの例示的実施形態に基づいて実験を実施して、外皮乾燥亀裂に対する空気流方向の影響を決定し、結果を
図6に示す。
【0085】
表6から明らかであるように、水平空気流は垂直な空気流よりも影響が大きい。水平空気流において、上記空気流に対面する領域は、他の側部(風速が大幅に小さくなり得る隠れた地点)よりも迅速に乾燥する。外皮乾燥亀裂の大半は、空気流に対面する側部に現れた。湿度を上昇させると、パーツ1個あたりの外皮乾燥亀裂の数は減少したが、外皮乾燥亀裂は完全には除去されなかった。同様に、風速を低下させても、外皮乾燥亀裂の数は減少したが、外皮乾燥亀裂は完全には除去されず、乾燥時間が増大した。
【0086】
例示的実施形態によると、臨界乾燥度を超えて外皮を乾燥させた後で迅速な外皮乾燥を提供するための厳しい乾燥条件としては:外皮形成されたハニカム体の外周の周りに均一な空気流を提供するための、軸方向の垂直空気流;迅速な外皮乾燥を提供するための高風速;制御された相対湿度、及び迅速な外皮乾燥を提供するための高温を挙げることができる。風速は、外皮の外周を通過して、約1.0m/秒〜約7.0m/秒とすることができる。一般に、この厳しい乾燥条件下の空気流速は、乾燥時間を低減するために、緩やかな乾燥条件下の空気流速より大きくすることができる。例えばこの厳しい乾燥条件下の空気流速は、外皮の外周を通過して、約2.0m/秒〜約6.0m/秒、例えば約4.0m/秒〜約5.0m/秒とすることができる。上記厳しい乾燥条件としては、外皮を第2の乾燥度まで乾燥させるための:マイクロ波照射;高周波(RF)照射;及び赤外線(IR)照射も挙げることができる。
【0087】
これらの例示的実施形態における、臨界乾燥度を超えたこれらの厳しい乾燥条件下の上記制御された相対湿度は、約5%〜約40%相対湿度の範囲内で制御できる。例えば上記相対湿度は、約10%〜約30%相対湿度の範囲内で制御してよい。これらの実施形態によると、外皮の外周における上記制御された高温は、約60℃〜約150℃、例えば約70℃〜約140℃、又は約90℃〜約110℃であってよい。
【0088】
図7は、本開示の上記例示的実施形態による、外皮を乾燥させるための2段階方法の模式図である。
図7において、「G」は、約0%乾燥から臨界乾燥度(「CD」)までの第1の(緩やかな)乾燥操作を表す。この緩やかな乾燥操作を、上記臨界乾燥度を超えて継続することにより、乾燥時間を大幅に延長することなく、外皮乾燥亀裂を回避できる。例えば乾燥オーブンのある乾燥領域を、臨界乾燥度を超えて外皮を乾燥させるよう設定する。上記緩やかな乾燥操作を、外皮が約20%乾燥〜約65%乾燥の間となるまで継続することにより、外皮乾燥亀裂を回避できる。例えば上記緩やかな乾燥操作は、ハニカム体上の外皮を、臨界乾燥度が20%乾燥以下である場合には20%乾燥まで、臨界乾燥度が30%乾燥以下である場合には30%乾燥まで、臨界乾燥度が40%乾燥以下である場合には40%乾燥まで、臨界乾燥度が50%乾燥以下である場合には50%乾燥まで、又は更に、臨界乾燥度が65%乾燥以下である場合には65%乾燥まで、乾燥させることができる。第2の(厳しい)乾燥操作「H」は、ハニカム体上の外皮が臨界乾燥度を超えて乾燥された後に開始でき、外皮が80%乾燥、90%乾燥、又は更に100%乾燥となるまで実施できる。
【0089】
これらの例示的実施形態では、上記緩やかな乾燥操作は、外皮が約20%乾燥〜65%乾燥となるまで継続でき、また上記厳しい乾燥操作は、外皮を約80%乾燥〜100%乾燥まで乾燥させることができる。
【0090】
これらの例示的実施形態では、ハニカム体上の外皮を乾燥させるために、上記緩やかな乾燥操作による外皮の乾燥を、約120分未満継続でき、また上記厳しい乾燥操作による外皮の乾燥を、約120分未満継続できる。例えば、上記緩やかな乾燥操作による外皮の乾燥を、約30分未満継続でき、また上記厳しい乾燥操作による外皮の乾燥を、約30分未満継続できる。驚くべきことに、これらの例示的な条件下において、外皮を、外皮乾燥亀裂を生じさせずに、約60分で約100%乾燥とすることができる。
【0091】
更に、コロイド状無機バインダを含むハニカム体外皮は、これらの例示的実施形態に従って乾燥させた場合に、ナット引張強度を用いて測定された比較的高い強度を示す。
図8Aは、本開示の例示的実施形態による、穏やかな条件下で乾燥させた外皮の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。30%相対湿度において60℃に対応する穏やかな条件は、より高い強度に対応する比較的厳しい条件に比べて、外側外皮表面へのコロイド状シリカの移動のレベルが低かった。コロイド状シリカの移動は、ボックス「C」によって示されている。ナット引張強度は7.175lbf(重量ポンド)(約31.916N)であった。
【0092】
図8Bは、比較例の方法による厳しい条件下で乾燥させた外皮のSEM写真である。90℃に対応する上記厳しい条件は、より低い強度に対応する例示的な緩やかな条件に比べて、外側外皮表面へのコロイド状シリカの移動のレベルが高かった。コロイド状シリカの移動は、ボックス「D」によって示されている。外側外皮表面へのコロイド状シリカの移動のレベルが高いことにより、6.437lbf(約28.633N)という比較的低いナット引張強度がもたらされた。
【0093】
例示的実施形態によると、高温空気を用いて外皮を乾燥させることによって、外皮を無亀裂とし、コロイド状無機バインダを外皮の厚さ全体にわたって均一に分散されたままとするシステムが開示される。本開示の上記外皮乾燥システムは、コロイド状無機バインダの移動を低減し、外皮乾燥亀裂を減少させる。
【0094】
再び
図4及び5を参照し、更に
図9及び10を参照すると、システム224の例示的実施形態は、チャンバ226、ハニカム支持体228、送風機230、ヒータ232及びコントローラ240を含むことができる。チャンバ226は、オーブン等の隔離されたハウジングであってよく、乾燥環境を提供するためのドア又はカーテン242を含んでよい。上記チャンバは、
図10に概略的に示されている2つ以上の乾燥領域Z‐1、Z‐2、Z‐3を有してよい。乾燥領域Z‐1、Z‐2、Z‐3は、上記乾燥環境を、隣接する乾燥領域Z‐1、Z‐2、Z‐3から隔離するためのカーテン又はドアを有してよい。
【0095】
ハニカム支持体228は、端面116上に湿潤外皮124を有するハニカム体100を、ハニカム体100の軸方向チャネル112、112’と外周120とが略垂直となるように支持するよう構成される。ハニカム支持体228は、チャンバ226内でハニカム体100を支持するためのプラテン、ステージ、トレイ、コンベヤ等とすることができる。ハニカム支持体228をコントローラ240で制御して、外皮形成されたハニカム体100を支持し、例えば連続する乾燥領域Z‐1、Z‐2、Z‐3を通して、又はチャンバ226内へ及びチャンバ226の外へと移動させることができる。ハニカム支持体228は、1つのハニカム体100又は複数のハニカム体100を支持してよい。
【0096】
これらの例示的実施形態では、流動空気の少なくとも一部分が、ハニカム体100の外周に配置された外皮の外周の周りを略均等に通過して、外皮を均一に乾燥させるように、送風機230を、空気をハニカム体に対して垂直に、制御可能な速度で流すよう構成できる。送風機230をコントローラ240で制御して、第1のガスをハニカム体に対して垂直に、第1の速度で流し、部分乾燥外皮が形成される第1の乾燥度まで外皮を均一に乾燥させ、また第2のガスをハニカム体に対して垂直に、第1の速度を超える第2の速度で流し、外皮を第2の乾燥度まで乾燥させることができる。例えば、第1の乾燥度は、外皮臨界乾燥度と同等であるか、又は外皮臨界乾燥度より乾燥している(外皮臨界乾燥度より大きい)。例えば第1及び第2のガスは、空気、又は窒素、湿度制御空気等の他のガスとすることができる。例えば第1のガスは、第1の温度及び第1の相対湿度の空気とすることができ、第2のガスは、第1の温度より高い第2の温度及び第1の相対湿度未満の第2の相対湿度の空気とすることができる。
【0097】
これらの例示的実施形態では、ヒータ232を、第1のガスを第1の温度まで、及び第2のガスを第2の温度まで加熱するように構成できる。例えばヒータ232は、第1及び第2のガスを加熱でき、その後これらのガスは、送風機230の前後の外皮形成されたハニカム体100を通過して流れる。ヒータ232をコントローラ240で制御して、第1及び第2のガスを加熱できる。ヒータ232は誘導、対流、若しくはIR244、RF246、マイクロ波248等の輻射ヒータ、又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0098】
これらの例示的実施形態では、ダクト250は、チャンバ226の上部付近において吹き出された空気222を、スリット、開口等(図示せず)を通るように配向して、垂直空気流を制御できる。チャンバ底部付近のダクト、スリット、開口等(図示せず)も同様に、流動空気に出口を提供し、垂直空気流を、外皮形成されたハニカム体のチャネル112に対して略平行に制御できる。空気流222は、チャンバ226の上部から底部及び外皮形成されたハニカム体100へ向かうものとして図示及び説明したが、本開示はそのように限定されない。即ちこれらの例示的実施形態では、垂直空気流は、チャンバ226の底部から上部及び外皮形成されたハニカム体100へのものであってよい。
【0099】
これらの例示的実施形態では、システム224は更に、第1のガスを第1の相対湿度まで加湿し、第2のガスを第2の相対湿度まで加湿するよう構成された、加湿器252を含むことができる。例えば上記加湿器252は、第1及び第2のガスを加湿でき、その後これらのガスは、上記送風機の前後の外皮形成されたハニカム体100を通過して流れる。加湿器252をコントローラ240で制御して、第1及び第2のガスを加湿できる。加湿器252は、温暖蒸気、高温、低温、超音波加湿器等又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0100】
これらの例示的実施形態では、コントローラ240は、送風機230、ヒータ232及び加湿器252を制御して、第1の期間中には、外皮形成されたハニカム体100上の外皮124を、外皮の臨界乾燥度を超える第1の乾燥度まで均一に乾燥させて、部分的に乾燥した外皮を形成し、第2の期間中には、上記部分的に乾燥した外皮を第2の乾燥度まで乾燥させるよう、構成できる。これらの例示的実施形態では、上記第1の期間を約120分未満とすることができ、また上記第2の期間を約120分未満とすることができる。例えば第1の期間を約30分未満とすることができ、また上記第2の期間を約30分未満とすることができる。
【0101】
図10では、チャンバ226は、3つの領域Z‐1、Z‐2及びZ‐3といった複数の領域を有してよい。第1の乾燥領域Z‐1及び第2の乾燥領域Z‐2は、ドア又はカーテン260によって分離してよい。第2の乾燥領域Z‐2及び第3の乾燥領域Z‐3も同様に、ドア又はカーテン262によって分離してよい。第1の乾燥領域Z‐1は、外皮形成されたハニカム体100上の外皮を、上記外皮がその臨界乾燥度を超えて乾燥されるまで、緩やかな乾燥条件に供することができる。ある乾燥領域、例えば第1の乾燥領域Z‐1内で、外皮形成されたハニカム体上の外皮の臨界乾燥度264に到達した場合、上記外皮を、その乾燥領域の終端まで、穏やかな条件下で乾燥させ続けてよい。次の乾燥領域、例えば第2の乾燥領域Z‐2及び第3の乾燥領域Z‐3では、外皮を厳しい乾燥条件に供してよい。例えば、外皮形成されたハニカム体の外皮の臨界乾燥度268には、第1の乾燥領域Z‐1及び第2の乾燥領域Z‐2が上記外皮形成されたハニカム体100の上記外皮124を穏やかな乾燥条件に供する場合、第2の乾燥領域Z‐2内において到達してよい。外皮は、第2の乾燥領域Z‐2の終端まで、穏やかな条件下で乾燥させ続けてよい。第3の乾燥領域Z‐3では、上記外皮を厳しい乾燥条件に供してよい。
【0102】
本明細書に記載の機能的ユニットのうちのいくつかは、その実装の独立性を強調するために、モジュール、コントローラ及びユニットとして標識されている。例えばモジュール、コントローラ又はユニット(これ以降「モジュール」)は、カスタムVLSI回路若しくはゲートアレイを備えるハードウェア回路、論理チップといった既製の半導体、トランジスタ、又は他の個別部品として実装してよい。モジュールは、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイ論理、プログラマブル論理デバイス等といったプログラマブルハードウェアデバイスに実装してもよい。モジュールは、弁、ピストン、歯車、接続部材及びばね等を用いて実装してもよい。
【0103】
モジュールは、様々なタイプのプロセッサが実行するためのソフトウェアに実装してもよい。実行可能なコードの識別されたモジュールは、例えばコンピュータ命令の1つ又は複数の物理又は論理ブロックを備え、これらは例えばオブジェクト、手順又は機能として編成されていてよい。それにも関わらず、ある識別されたモジュールの複数の実行可能ファイルは、物理的に同一の場所に位置する必要はなく、異なる複数の場所に記憶された異なる命令を含んでよく、上記異なる複数の場所は、論理的に一体に連結されている場合、上記モジュールを含んでよく、モジュールに関する上述の目的を達成できる。
【0104】
実行可能なコードのモジュールは、単一の命令であっても複数の命令であってもよく、また更には、異なる複数のコードセグメントにわたって、異なる複数のプログラムかんに、及び複数のメモリデバイスにわたって分散されていてもよい。同様に、動作データは複数のモジュール内で識別及び例証してよく、またいずれの好適な形態で実体化してよく、いずれの好適なデータ構造タイプに編成してよい。上記動作データは、単一データセットとして収集してよく、又は異なる複数の場所にわたって(例えばストレージデバイスにわたって)分散されていてもよい。
【0105】
本明細書全体を通した例示的実施形態への言及、及び本明細書全体を通した同様の記述は、同一の実施形態に言及したものであってよいが、必ずしもそうでなくてよい。更に、ある例示的実施形態を参照して本出願に記載されている主題の、記載された特徴、構造又は特性は、1つ又は複数の例示的実施形態において、いずれの好適な方法で組み合わせることができる。本説明において、主題の実施形態の完全な理解を提供するために、制御、構造、アルゴリズム、プログラミング、ソフトウェアモジュール、ユーザ選択、ネットワークトランザクション、データベースクエリ、データベース構造、ハードウェアモジュール、ハードウェア回路、ハードウェアチップ等の例といった、多数の具体的詳細が提供される。しかしながら、関連技術の技能を有する者であれば、上記主題を、これらの具体的詳細のうちの1つ若しくは複数を用いずに、又は他の方法、構成成分、材料等を用いて実施してよいことを理解するであろう。他の例では、本開示の主題の態様を不明瞭にしてしまうのを回避するために、公知の構造、材料又は操作については詳細に図示又は説明されていない。
【0106】
上述の概略的なフローチャート、及び方法の概略図は、一般に論理フローチャートとして挙げられている。従って、図示されている順序及び標識されているステップは、代表的実施形態を示すものである。これらの概略図中に図示された方法の1つ若しくは複数のステップに対する機能、論理若しくは効果又はその一部と等価である、他のステップ及び方法も考えられる。更に、使用されているフォーマット及び記号は、これらの概略図の論理ステップを説明するために提供されているものであり、これらの図が図示する方法の範囲を限定するものとは理解されない。これらの概略図において様々な矢印のタイプ及び線のタイプが使用され得るが、これらは対応する方法の範囲を限定するものとは理解されない。実際には、いくつかの矢印又はその他の接続記号は、単に方法の論理的フローを指示するために使用され得る。例えば、ある矢印は、図示されている方法の列挙された複数のステップ間の、指定されていない長さの待機又は監視期間を示している場合がある。更に、ある特定の方法が実施される順序は、図示されている対応する複数のステップの順序に厳密に従っても従わなくてもよい。
【0107】
本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、本開示の例示的実施形態において様々な修正及び変更を実施できることは、当業者には明らかであろう。従って、添付の請求項は、添付の請求項及びその等価物の範囲内である限りにおいて、本開示の修正例及び変形例を包含することを意図している。
【0108】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0109】
実施形態1
第1の端面、第2の端面及び軸方向チャネルを備えた多孔性セラミックハニカム体の、上記第1の端面から上記第2の端面まで延在する外周に配置された外皮を乾燥させるための方法において、
第1のガスを第1の速度で上記ハニカム体に向かって流すことを含む、第1組の条件下で、上記外皮を乾燥させるステップであって、上記第1の流動ガスの少なくとも一部は、上記ハニカム体の上記外周に配置された上記外皮の外周の周りを略均一に通過して、上記外皮を第1の乾燥度まで均一に乾燥させ、部分的に乾燥した外皮を形成する、ステップ;
上記部分的に乾燥した外皮を、上記第1組の条件とは異なる第2組の条件下で、第2の乾燥度まで乾燥させるステップ
を含む、方法。
【0110】
実施形態2
上記外皮は、平均粒径(D
50)10nm〜700nmの無機バインダを含む、実施形態1に記載の方法。
【0111】
実施形態3
上記第2組の条件は、上記外皮を上記第2の乾燥度まで乾燥させるために、第2のガスを、上記第1の速度を超える第2の速度で、上記ハニカム体に対して流すことを含む、実施形態1又は2に記載の方法。
【0112】
実施形態4
上記第1のガス及び上記第2のガスは、空気である、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
実施形態5
上記外皮が上記第1組の条件下で接触する大気の相対湿度は、約10%〜約60%相対湿度であり、
上記外皮が上記第1組の条件下で接触する上記大気の温度は、約40℃〜約60℃であり、
上記第1のガスは、上記外皮の上記外周を通過して、約2.0m/秒超で流れる、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
実施形態6
上記第2組の条件は、上記外皮が接触する大気の温度を約60℃〜約150℃に制御することを含む、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
実施形態7
上記第2組の条件は、上記外皮を上記第2の乾燥度まで乾燥させるために:
上記第1の速度を超える第2の速度で第2のガスを上記ハニカム体に向かって流すこと;
マイクロ波照射;及び
赤外線照射
のうちの少なくとも1つに上記外皮を供することを更に含む、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
実施形態8
上記第1組の条件は、上記外皮を上記第1の乾燥度まで乾燥させるために:
マイクロ波照射;
高周波;及び
赤外線照射
のうちの少なくとも1つに上記外皮を供することを更に含む、実施形態1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
実施形態9
上記第1の乾燥度は、約20%乾燥度以上かつ上記第2の乾燥度未満であり、
上記第2の乾燥度は、約80%乾燥度以上である、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
実施形態10
上記外皮を、上記第1組の条件下で、約120分未満乾燥させるステップ;及び
上記外皮を、上記第2組の条件下で、約120分未満乾燥させるステップ
を更に含む、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
実施形態11
上記外皮を、上記第1組の条件下で、約30分未満乾燥させるステップ;及び
上記外皮を、上記第2組の条件下で、約30分未満乾燥させるステップ
を更に含む、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
実施形態12
第1の端面、第2の端面及び軸方向チャネルを備えた多孔性セラミックハニカム体の、上記第1の端面から上記第2の端面まで延在する外周に配置された、平均粒径(D
50)10nm〜700nmの無機バインダを含む外皮を、乾燥させるためのシステムにおいて、
上記軸方向チャネル及び上記外周が略垂直となるように、上記ハニカム体を上記第1の端面上で支持するよう構成された、ハニカム支持体;
送風機であって、第1の流動ガスの一部が、上記ハニカム体の上記外周に配置された上記外皮の外周の周りを略均一に通過して、上記外皮を第1の乾燥度まで均一に乾燥させ、部分的に乾燥した外皮を形成するように、上記第1のガスを第1の速度で上記ハニカム体に向かって垂直に流し、また上記外皮を第2の乾燥度まで乾燥させるために、第2のガスを、上記第1の速度を超える第2の速度で、上記ハニカム体に対して垂直に流すよう、構成された送風機(上記第1のガス及び上記第2のガスは空気である);
上記第1のガスを第1の温度まで、及び上記第2のガスを上記第1の温度より高い第2の温度まで加熱するよう構成されたヒータ;並びに
上記送風機を、第1のガスを第1の期間だけ流し、また上記第2のガスを第2の期間だけ流すように制御するよう構成されたコントローラ
を備える、システム。
【0121】
実施形態13
上記第1のガスを第1の相対湿度まで加湿し、また上記第2のガスを、上記第1の相対湿度未満の第2の相対湿度まで加湿するよう構成された加湿器を更に備える、実施形態12に記載のシステム。
【0122】
実施形態14
上記第1の相対湿度は、約10%〜約60%相対湿度である、実施形態12又は13に記載のシステム。
【0123】
実施形態15
上記第2の期間中、上記外皮をマイクロ波照射に供するよう構成されたマイクロ波生成器;及び
上記第2の期間中、上記外皮を赤外線照射に供するよう構成された赤外線生成器
のうちの少なくとも1つを更に備える、実施形態12〜14のいずれか1つに記載のシステム。
【0124】
実施形態16
上記第1の温度は約40℃〜約60℃であり、
上記第2の温度は約60℃〜約150℃である、実施形態12〜15のいずれか1つに記載のシステム。
【0125】
実施形態17
上記第1の速度は、約3m/秒超である、実施形態12〜16のいずれか1つに記載のシステム。
【0126】
実施形態18
上記第1の乾燥度は、約20%乾燥度以上かつ上記第2の乾燥度未満であり、
上記第2の乾燥度は、約80%乾燥度以上である、実施形態12〜17のいずれか1つに記載のシステム。
【0127】
実施形態19
上記第1の期間は、約120分未満であり、
上記第2の期間は、約120分未満である、実施形態12〜18のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
実施形態20
上記第1の期間は、約30分未満であり、
上記第2の期間は、約30分未満である、実施形態12〜18のいずれか1つに記載の方法。