(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記断面は前記平面内の軸に沿って配向され、前記多価関数は、前記軸に沿った少なくとも1つの入力値に対して、少なくとも2つの全く異なる値を有する、請求項1から3のいずれか1項記載のスライダ。
前記スライダはさらに、前記ABSの反対側の裏面であって、その少なくとも一部が平面を画成する裏面を備え、前記平面と垂直に取られた前記スライダの断面のABS関数は多価関数である、請求項9から14いずれか1項記載のスライダ。
前記断面は前記平面内の軸に沿って配向され、前記多価関数は、前記軸に沿った少なくとも1つの入力値に対して、少なくとも3つの全く異なる値を有する、請求項15記載のスライダ。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下の説明は、本開示の一般的原理を例証するために行い、本明細書中で主張する発明の概念を限定する意図はない。更に、本明細書中に説明する特定の実施形態は、様々に実現可能な組み合わせ及び順列で、他の説明する実施形態と組み合わせて用いられてもよい。
【0052】
図1は、いくつかの実施形態による例示のハードディスクドライブ500のいくつかの構成部品を示している。磁気ハードディスクドライブ500は、磁気ディスク520を支持し、回転させるスピンドル515を含んでいる。スピンドル515は、ハードディスクドライブ500の電子回路において実装されてもよいモータコントローラ(図示せず)によって制御されるスピンドルモータ(図示せず)によって回転される。サスペンション及びアクチュエータアーム530によって支持されるスライダ525は、読み取り及び書き込み用複合磁気ヘッド540を有している。ヘッド540は、ただ1つの読み取りセンサを含んでいてもよく、又は、多数の読み取りセンサを含んでいてもよい。ヘッド540内の読み取りセンサは、例えば、1つ以上の巨大磁気抵抗(GMR)センサ、トンネル磁気抵抗(TMR)センサ、又は別の種類の磁気抵抗センサを含んでいてもよい。アクチュエータ535は、磁気ディスク520の上にサスペンション及びアクチュエータアーム530を回動自在に位置決めする。ハードディスクドライブ500の構成部品は、ハウジング545上に取り付けられてもよい。
図1は、単一のディスク520、単一のスライダ525、単一のヘッド540、並びに、単一のサスペンション及びアクチュエータアーム530を図示しているが、ハードディスクドライブ500は、複数の(すなわち、2つ以上の)ディスク520、スライダ525、ヘッド540、並びに、サスペンション及びアクチュエータアーム530を含んでいてもよいことは、言うまでもない。
【0053】
作動において、アクチュエータ535は、磁気ヘッド540が磁気ディスク520の表面と変換関係にあるように、スライダ525を位置決めするよう、サスペンション及びアクチュエータアーム530を移動させる。スピンドルモータがディスク520を回転させる場合、スライダ525は、ディスク520の表面とスライダ525の空気ベアリング面との間に存在する空気ベアリングとして公知の空気の薄いクッションの上に支持される。ヘッド540は、ディスク520の表面上の多数のトラックに情報を書き込み、ディスク520の表面上のトラックから予め記録された情報を読み取るためにもちいられてもよい。処理回路510は、ディスク520に書き込まれる情報を表す信号をヘッド540に供給し、ディスク520から読み取る情報を表す信号をヘッド540から受信する。処理回路510は、また、信号をスピンドルモータに供給して磁気ディスク520を回転させ、アクチュエータ535に供給してスライダ525を種々のトラックに移動させる。
【0054】
磁気ディスク520から情報を読み取るために、スライダ525は、ディスク520の領域の上を通過し、ヘッド540は、記録されたビットを表す、ディスク520上に記録された磁界変動に起因する抵抗の変化を検出する。
【0055】
スライダ525は、ディスク520の表面に面し、スライダをディスク520に向けて押圧する予荷重バイアスに反作用する気体ベアリング面を有する。便宜上、本文書において、気体ベアリング面は空気ベアリング面(ABS)と称され、気体は一般に「空気」と称されるが、ハードディスクドライブ500内で用いられる気体は、空気以外の気体であってもよい(例えば、気体はヘリウムであってもよい)。簡単にするため、本開示の全体を通して、ディスク520に面するか、最終的に面するであろうスライダ525の表面は、ABSと称される。
【0056】
ディスク520が回転するにつれて、ディスク520は、ディスク520の接線速度と略平行な方向にスライダ525の下及びABSに沿って空気を引きずる。空気がABSの下を通過するにつれて、空気流路に沿った空気圧縮により、ディスク520とABSとの間の空気圧が増加する原因となり、それは、スライダ525をディスク520に向けて押圧するサスペンション及びアクチュエータアーム530の傾向に反対に作用する流体力学的な揚力を生じる。スライダ525は、従って、ディスク520の上であるが、ディスク520表面の極めて近傍を浮上する。良好な性能を得るため、ディスク520の表面の上で略一定の浮上高さを維持することが、スライダ525にとって望ましい。スライダの浮上高さの安定度は、磁気ヘッド540の性能に影響を及ぼす。スライダ525のABSの設計は、スライダ525の浮上特性と、従って、磁気ヘッド540とに影響を与える。
【0057】
従来のスライダ525のABSは、ディスク520表面に面する一対の隆起したサイドレールを含んでいてもよい。隆起したサイドレールは、エッチングされたキャビティによって隔てられ、テーパ又はステップ付の前縁を有していてもよい。追加のステップ付面が、スライダ525のABS上の他の様々な場所に形成されてもよい。
【0058】
従来、スライダ525は、以下の2つのステップ:(a)ウェハの表面の一部を被覆するステップと、(b)ウェハの曝露した(すなわち、被覆されていない)表面から基板材料を除去するステップとを有するフォトリソグラフィプロセスを用いてウェハから製造されている。ステップ(a)は、例えば、ウェハ表面に施されるフォトレジスト層に輪郭のはっきりしたパターンを作成するよう、ハードエッジを有するバイナリマスクを用いて達成されてもよい。ステップ(b)は、例えば、フォトレジストパターンをウェハ表面に転写するよう、ラッピング、エッチング、ミリング(例えば、イオンビームを用いる)によって達成されてもよい。被覆が施され、材料が除去されるスライダ525の表面は、スライダ525がディスクドライブ500内で用いられる場合に、最終的にディスク520に面する表面、すなわち、ABSである。ステップ(a)及び(b)は、異なるスライダフィーチャ(形状特徴)を作成するために、数回、繰り返されてもよい。
【0059】
図2A〜2Cは、上で説明したような2つのステップを有する先行技術の製造プロセスを用いて製造される例示のスライダ525Aを示している。
図2A〜2Cは、x、y、及びzと符号で記した方向の直交座標を用いる
図2A〜2Cに示す三次元軸に従って配向された三次元ウェハ120を示している。x、y、及びzとした3つの軸の標示が任意であることは、言うまでもない。更に、直交座標系の使用は、ウェハ120が当初、直方体形状を有しているため、便利であることは言うまでもないが、他の座標系(例えば、極座標、円筒座標、球座標)が代わりに用いられてもよく、しかしながら、ウェハ120が直方体形状を有する場合は、他の座標系は同様に便利だとは言い難い。その上、x、y、及びz軸は、便宜上及び本明細書中での説明を簡略化するために、
図2Aに示すウェハ120の表面に対して平行及び垂直に配向される。
【0060】
図2Aに示すように、製造を開始する前に、ウェハ120は、xy平面に位置する略平坦な初期表面145を有している。初期表面145は、材料が除去されて、前で説明したようなフィーチャ(例えば、サイドレール、縁端、ステップ付面等)を有するABSを形成するウェハ120の表面である。ウェハ120は、また、
図2Cに示し、xy平面にも位置する略平坦な裏面125も有している。製造中、材料は裏面125から除去されないため、裏面125は、完成品スライダ525Aにおいて略平坦で残る。
【0061】
ウェハ120から例示のスライダ525Aを作成するため、
図2Aに示すマスク130が初期表面145に施されて、マスク130の下の初期表面145の領域を保護する。材料は、次いで、マスク130によって保護されていないウェハ120の一部から除去される。例えば、初期表面145と垂直な方向から(すなわち、
図2Aに示すような初期表面145の上方から)初期表面145をエッチングすることによって、又は、z方向で初期表面145に向けられるイオンによるイオンミルを用いることによって、除去を達成するための多くの方法が存在する。ウェハ120から材料を除去した結果として、マスク130によって保護された初期表面145の一部だけが、完全な状態で残る。
【0062】
図2Bは、マスク130によって保護されなかったウェハ120の領域がz方向から(例えば、ウェハ120の上方からイオンビームを初期表面145に向けることによって)除去された後のスライダ525Aを示している。
図2Bに示すように、マスク130の下にあったウェハ120の一部が完全な状態で残っている一方で、マスク130の下になかったウェハ120から材料が除去されている。例として、スライダ525Aがここで完成したと仮定すると、ABS140は、マスク130によって予め保護された初期表面145の一部(すなわち、ウェハ120から材料を除去した後に残った初期表面145の一部)と、初期表面145を含んでいた平面から凹んだ、ウェハ120内で新たに作成された表面とを含む三次元表面である。従って、
図2BのABS140は、2つのレベル(基準面)155A及び155Bを有している。
【0063】
図2Bに示すように、スライダ525Aは、レベル155A(すなわち、マスク130によって前に被覆されたウェハ120の領域)と155B(すなわち、材料が除去されたウェハ120の現在曝露されている領域)との間でz方向に移行部を有している。例えば、
図2Bは、2つのz方向移行部150A及び150Bを標示しているが、無論、図示する多くの他のz方向移行部が存在している。
【0064】
図2Dは、
図2B及び2Cに示す例示のスライダ525Aの断面160Aを示している。断面160Aは、
図2Bに示すスライダ525Aのレベル155A上で示されている破線170に沿って、z軸と平行に、そして、裏面125と垂直に取られている(すなわち、断面は、
図2Bにおける軸の配向に基づいてxy平面と上下方向で垂直に作成されている)。説明を簡略化するために、
図2Dに示すように、断面160Aは、
図2A及び2Bに示す軸によって画成されるxz平面において取られている。従って、断面160Aは、
図2Bの線170によって表されるyの固定値が何であろうと、x軸に沿った値の関数として、ABS140がz軸に沿ってどのように変化するかを示している。
【0065】
本明細書中で用いるように、用語「一価関数」は、xの全ての可能な値に対して、f(x)が厳密に1つの値又は不連続性を有する関係f(x)を意味する。
【0066】
本明細書中で用いるように、用語「多価関数」は、xの少なくとも1つの可能な値に対して、f(x)が2つ以上の全く異なるゼロではない値を有する関係f(x)を意味する。本明細書中で多価関数を定義するために、不連続性は、2つ以上の全く異なるゼロではない値を持たない。
【0067】
本明細書中で用いるような用語「一価関数」及び「多価関数」は、互いに排反する。一価関数は多価関数である可能性はなく、多価関数は一価関数である可能性はなく、たとえx値のある範囲においてでさえも、多価関数は、一価関数の全ての特性を有している。言い換えれば、本明細書中で用いられるように、関数は一価関数又は多価関数のどちらか一方であってもよいが、両方である可能性はない。
【0068】
当業者によって正しく認識され、本明細書中で用いられるように、用語「関数」、「一価関数」、及び「多価関数」は、必ずしも、それらが数学において用いられるであろうようなそれらの用語に適合する必要はない。例えば、数学では、用語「関数」及び「一価関数」は、通常、各入力に対して、厳密に1つの出力が存在する関係を意味する。ここでは、一価関数は不連続性も含んでいてもよく、これは、不連続が生じるxの選択した値に対して、一価関数f(x)は、不連続性によって定義される範囲内の多くの値に対して評価することを意味する。
【0069】
用語「ABS関数」は、z軸と平行で、xy平面(すなわち、裏面125が略平坦であると仮定して、裏面125によって画成される平面)と垂直なスライダ525の断面を取ることによって作成される二次元平面におけるABS140の一部の特性を説明するために、本明細書中で用いられる。本明細書中に呈示する軸の配向を用いて、すなわち、平行なxy平面に位置する初期表面145及び裏面125により、ABS関数は、ABS140がxy平面内の選択された軸に沿ってz方向でどのように変化するかを説明する。ABS関数は、裏面125のいずれの部分も含まない。
【0070】
上で提供した定義を用いて、ABS関数であって、xy平面内の選択された軸に沿った全ての可能な入力値に対して、厳密に1つの値又は不連続性を有するABS関数は、一価関数である。言い換えれば、ABS関数は、xy平面内の選択された軸に沿った全ての可能な入力値に対して、ABS関数が厳密に1つの値又は不連続性を有する場合、一価関数である。対照的に、xy平面内の選択された軸に沿った少なくとも1つの入力値を有するABS関数であって、2つ以上の全く異なるゼロではないz値を有するABS関数は、多価関数である。従って、ABS関数は、xy平面内の選択された軸に沿った少なくとも1つの入力値に対して、ABS関数が2つ以上の全く異なるゼロではないz値を有する場合、多価関数である。本明細書中の例示の新規スライダ実施形態のいくつかが示すように、ABS関数は連続である必要がないことは、正しく認識すべきである。
【0071】
図2Dは、例示の断面160Aから結果として生じるABS関数180Aを示している。明確にするために、ABS関数180Aは太線で示されている。
図2Dから明らかなように、ABS関数180Aは、区分的線形関数である。前で説明したように、説明を簡略化するために、断面160Aは、yの選択した値においてx軸と平行に取られており、従って、xy平面内の軸は、要するに、x軸である。
図2Dにおいて、x軸に沿ってどこにでも位置決めされてもよい垂直破線165で示すように、断面160Aに沿ったxのいずれかの選択された値に対して、ABS関数180Aは、厳密に1つのz値を有するか、そのxの値における垂直移行部、すなわち、不連続性が存在するかの、いずれか一方を有する。例えば、
図2Dに示すように、xの値がX1である場合、ABS関数180Aは厳密に1つのゼロではないz値、Z1を有する。xの値がX2である場合、ABS関数180Aは、不連続性を有し、Z1とZ4との間の全ての値に対して評価する。従って、ABS関数180Aは一価関数である。
【0072】
図2Dは、本明細書中の開示を読み取り、理解した後で当業者によって理解されるような、
図2Bに示したスライダ525Aのただ1つの例示の断面を示しているが、
図2Bに示す、z軸と平行で、xy平面と垂直に作成されるスライダ525Aのいずれかの断面160から結果として生じるABS関数180は、一価関数である。このABS関数180は、x及びy軸に対する断面160の配向にかかわらず(すなわち、xy平面内のどちらの軸が選択されたかにかかわらず)、一価関数であり、断面160がz軸と平行に(すなわち、xy平面と垂直に)作成されている限り、結果として生じるABS関数180は、一価関数である。
【0073】
図2Bの線170と一致するyの値が任意であることは、正しく認識されるべきである。線170は、y軸に沿った別のyの値に移動させてもよく、結果として生じる断面160は、
図2Dに示す断面160Aと類似した特性を有している。特に、結果として生じる断面160は、一価関数であるABS関数180を有している。更に、線170は、x軸と平行である代わりに、y軸と平行に配向されてもよく、それによって、
図2Cに示すようなxz平面の代わりに、yz平面における断面160を画成する。この場合も、結果として生じる断面160は、
図2Dに示す断面160Aと類似した特性を有し、言い換えれば、その断面160も、一価関数であるABS関数180を有する。
図2Bに示すように、線170は、y軸と平行であり、従って、説明及び描写を簡略化するためだけに、単一のyの値を呈示していることも、正しく認識されるべきである。z軸と平行で、xy平面内のいずれかの任意の軸と垂直に取られた断面160は、
図2Dに示す断面160Aと類似した特性を有する(すなわち、一価関数であるABS関数180を有する)が、xの値及びyの値の両方が断面160に沿って変化するため、
図2A〜2Cに示す軸を用いて説明することがより複雑である可能性がある。
【0074】
上で説明したように、
図2Bは、ただ1つのマスク130を用いて作成される例示のスライダ525Aを示しているが、追加のマスクが、追加のフィーチャ又は輪郭を作成するよう、
図2Bに示すスライダ525Aに施されてもよい。例えば、異なるマスクが、マスク130によって前に被覆された領域だけでなく、ウェハ120の更なる曝露面積も被覆するよう、
図2Bのスライダ525Aに施されてもよく、更なる材料が、その後、ウェハ120から除去されてもよい。代替として、マスク130によって被覆される領域を完全に被覆しないマスクが施されてもよく、次いで、マスク130によって前に保護されたウェハ120の一部から、材料が、ウェハ120上の他の部分からの材料と共に除去されてもよい。各マスクによって保護されなかった材料を除去した後、更に別のマスクが施され、更に多くの材料が除去される等、行われてもよい。
【0075】
図2Eは、
図2Bに示すウェハ120から材料を更に除去することによって作成された例示のスライダ(図示せず)の断面160Bを示している。
図2Dの断面160Aと同様に、断面160Bは、xy平面内で選択した軸に沿って、z方向に、z軸と平行で、xy平面(例えば、裏面125と一致するxy平面)と垂直に取られている。説明を簡略化するために、断面160Bは、x軸と平行に(そして、y軸と垂直に)取られており、従って、
図2Dの断面160Aと同様に、
図2A〜2Cに示す軸によって画成されるxz平面内に位置している。従って、断面160Bは、選択されたyの値において、x軸に沿った値の関数として、ABS関数180Bが(z軸の方向において)どのように変化するかを示している。再度、明確にするために、ABS関数180Bは太線で示されている。
図2Eで示すように、ABS関数180Bは、ABS関数180Aよりも多くの輪郭及び移行部を有しているが、線165が位置してもよい、いずれか選択されたxの値に対して、ABS関数180Bが厳密に1つのゼロではない値又は不連続性を有するため、ABS関数180Bは、依然として、一価関数である。
【0076】
図3A〜3Cは、マスクを施すステップとウェハ120の保護されていない領域から材料を除去するステップとが、4つのレベルを有するABS140を作成するために3回行われた先行技術のプロセスによって作成される、より複雑な例示のスライダ525Bを示している。スライダ525Bは、以下の6つの面、すなわち、裏面125(
図3Cに示す)、前縁面121(
図3A及び3Cに示す)、後縁面122(
図3Bに示す)、内径面123(
図3A及び3Cに示す)、外径面124(
図3Bに示す)、及びABS140(
図3A及び3Bに示す)を有している。
図3A〜3Cに示す例示のスライダ525Bにおいて、前縁面121、後縁面122、内径面123、及び外径面124は、裏面125と略垂直である。前縁面121及び後縁面122は互いと略平行であり、内径面123及び外径面124は互いと略平行である。前縁面121及び後縁面122は、両方、内径面123及び外径面124の両方と略垂直である。いくつかの実施形態において、前縁面121、後縁面122、内径面123、及び外径面124は、ABS140の少なくとも一部と略垂直であってもよい。
【0077】
ABS140の第1のレベル142は、スライダ525Bがディスクドライブ500に組み込まれる場合に、ディスク520と最も近くなるABS140のレベルである。第2のレベル144は、ディスク520と次に最も近くなるレベルである。第4のレベル148は、ディスク520から最も遠くなるレベルであり、第3のレベル146は、ディスク520から次に最も遠くなるレベルである。
【0078】
図3A〜3Cに示すスライダ525Bは、以下のように製造されてもよい。最初に、第1のレベル142の形状を有するマスクを、
図2A〜2Cの検討において前で説明したように、直方体ウェハ120に施す。第2のレベル144の表面にまで至る材料は、次いで、ウェハ120から除去され、2つのレベルのABS140を作成する。次に、第1のレベル142及び第2のレベル144の形状を結合させた形状を有するマスクをABS140に施し、マスクによって保護されていない材料をウェハ120から除去し、第3のレベル146を含む3つのレベルのABS140を作成する。最後に、第1のレベル142、第2のレベル144、及び第3のレベル146の形状を結合させた形状を有するマスクをABS140に施し、マスクによって保護されていない材料をウェハ120から除去して、
図3A及び3Bに示すような第4のレベル148を作成する。
【0079】
ウェハ120の一部を保護し、ウェハ120の保護されていない部分から材料を除去するプロセスは、
図3A〜3Cに示す例示のABS140等の比較的複雑なABS140を作成するよう異なる大きさ及び形状を有するマスクを用いて、複数回繰り返されてもよいが、先行技術の製造方法は、ウェハ120材料の除去及び保護を可能にしているだけである。結果として、スライダ525が、裏面125が位置する平面(本明細書中では、xy平面と想定される)と垂直な特定の軸(本明細書中では、
図2A〜2Cに示す軸の配向を用いてz軸と想定される)に沿って、特定の方向から材料を除去する先行技術を用いて製造される場合、裏面125の平面と垂直に取られるいずれかの断面160のためのABS関数180は、一価関数である。他の者は、
図3A〜3Cを確認することによって、多数のレベル及びより複雑な形状を有するより一層洗練されたスライダが、一価関数であるABS関数180を有することを検証できる。裏面125のxy平面と垂直に取られた
図3A〜3Cに示す例示のスライダ525Bのいずれの断面160も、結果として、一価関数であるABS関数180を生じる。
【0080】
先行技術のスライダ製造プロセスは、一方向からの材料の除去を可能にしているだけであるため、以前から存在するスライダ製造方法は、スライダ525の意匠に大幅な制限を課している。結果として、既存のスライダ意匠は、スライダ525の空気力学に悪影響を及ぼす潤滑剤を集める傾向を含むいくつかの欠点を有する可能性がある。潤滑剤収集は、ディスク520の表面上にコーティングされた潤滑剤がABS140上に集まる場合に生じる。一旦ABS140上に集まると、潤滑剤は、スライダ525の浮上高さに干渉する傾向があり、スライダ525に一貫しない高さで浮上する傾向を持たせる原因となり、結果として、スライダ525とディスク520との間で相互作用する磁気の低下を招く。
【0081】
既存のスライダ意匠による別の問題は、既存のスライダ意匠が先行技術の製造プロセスにより制約されるため、スライダ525が有するであろうフィーチャの種類に制限を課すことがある。超薄型ハードディスクドライブ及び熱アシスト磁気記録(HAMR)等の新規のハードディスクドライブ概念は、ABS及び熱機械的意匠による間隔制御からより多くの機能性を必要とする。これらの機能性に簡便性を提供できるフィーチャは、先行技術の製造技術を用いて、経済的に、若しくは、いくつかの場合においては、全く作成できない。これらの制約は、より最適な空気力学及び他の特性を有するスライダ525を作成する設計者の能力に悪影響を及ぼす。
【0082】
本明細書中に開示するのは、例えば、自己サーボ書き込み及び作動中の低振動、分子間力に対する低い間隔感度、リーダ及びライタ間のバランスの取れたヘッド移動、熱式浮上量調整(TFC)接地からの高速発進、粒子及び潤滑剤干渉に対する向上したロバスト性、及び平坦度変化に対する低い間隔感度等の数多くの利点を提供する新規のABS140フィーチャを有するスライダ525意匠である。先行技術のスライダとは異なり、これらの新規スライダ525は、多価関数である少なくとも1つのABS関数180を有している。言い換えれば、スライダ525の略平坦な裏面125が位置する平面(すなわち、
図2A〜2Cに対して説明されたように配向される軸を有するxy平面)と垂直に取られた少なくとも1つの断面160が存在しており(言い換えれば、断面160は
図2A〜2Cに示すz軸と平行に取られている)、それに対して、ABS関数180は多価関数である。
【0083】
また、本明細書中に開示するのは、その表面が、例えば、本明細書中で説明する例示のスライダフィーチャを含んでもよい、拡張三次元(E3D)空気ベアリング面を有するスライダ525を製造するためのプロセスである。プロセスは、いくつかの実施形態において、ラッピング、積層造形(すなわち、ウェハ120材料の単なる保護又は除去の代わりに、ウェハ120への材料の追加)、及びイオンミルエッチングを組み合わせることによって、E3D ABS意匠の製造を可能にしている。これらのプロセスは、従来では作成するには、不可能であったか、実用的ではなかったか、高価すぎたか、或いは、時間がかかりすぎたスライダフィーチャの製造を可能にしている。
【0084】
図4Aは、軸が
図2A〜2C及び3A〜3Cに示すように配向されていると仮定する、いくつかの実施形態によるスライダ断面160CのABS関数180Cを示している。明確にするために、ABS関数180Cは太線で示されている。便宜上、断面160Cは、y軸に沿った特定の値においてx軸と平行に取られており、従って、xz平面内に位置している。従って、断面160Cは、選択されたyの値において、x軸に沿った値の関数として、ABS関数180Cがz軸の方向においてどのように変化するかを示している。前縁面121及び後縁面122が略平行である実施形態において、断面160Cは、同様に、前縁面121及び後縁面122と略平行である。同様に、内径面123及び外径面124が、互いに略平行であり、前縁面121及び後縁面122と略垂直である実施形態において、断面160Cは、内径面123及び外径面124と略垂直である。
【0085】
断面160Cは、フィーチャ190と交差する。フィーチャ190は、例えば、
図4Bに示すような、スライダ525のy方向において、ある距離まで延在する矩形チャネル又はトンネルであってもよい。
図4Bは、
図4Aの断面160Cが取られたyの選択された値が、
図4Bに示すY1であると仮定した、yz平面からのフィーチャ190の例示の実施形態を示している。代替の、別の実施例として、フィーチャ190は、スライダ525のy方向に沿ってある距離まで延在するスライダ525の凹状区域であってもよい。
図4Cは、yz平面において見た例示の凹状区域を示している。
図4Cは、また、
図4Aの断面160Cが取られたと想定される値Y1も示している。
図4Cは凹状区域のための矩形開口部を示しているが、開口部は、
図4Aに示すABS関数180Cのフィーチャ190に対応する何らかの任意の形状を有していてもよいことは、言うまでもない。結果としてxz平面内の
図4Aの例示のフィーチャ190を生じる、yz平面における無数のスライダ特性(例えば、均一又は不均一な特性)が存在し、
図4B及び4Cに示す実施例には限定する意図がないことを、正しく認識するべきである。
【0086】
再度、
図4Aを参照すると、少なくとも1つのxの値が存在することに対して、ABS関数180Cが少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有するため、例示のABS関数180Cは多価関数である。特に、ABS関数180Cは、フィーチャ190と交差するx軸に沿った位置において、少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有している。例えば、線165の位置に対応するxの値において、ABS関数180Cは、3つの全く異なる値:Z2、Z3、及びZ4を有している。
【0087】
当業者によって正しく認識されるように、フィーチャ190は、先行技術の製造技法を用いて作成するには、不可能であったか、実用的ではなかったか、高価すぎたか、或いは、時間がかかりすぎた。
【0088】
図5Aは、いくつかの実施形態によるスライダ断面160DのABS関数180Dを示している。再度、明確にするために、ABS関数180Dは太線で示されている。便宜上、断面160Dは、y軸に沿った特定の値においてx軸と平行に取られており、従って、
図2A〜2C及び3A〜3Cに示す軸によって画成されるxz平面内に位置している。従って、断面160Dは、選択されたyの値において、x軸に沿った値の関数として、ABS関数180Dがz軸の方向においてどのように変化するかを示している。前縁面121及び後縁面122が略平行である実施形態において、断面160Dは、同様に、前縁面121及び後縁面122と略平行である。同様に、内径面123及び外径面124が、互いに略平行であり、前縁面121及び後縁面122と略垂直である実施形態において、断面160Dは、内径面123及び外径面124と略垂直である。
【0089】
断面160Dは、フィーチャ192と交差する。フィーチャ192は、例えば、
図5Bに示すような、スライダ525のy方向に沿って、ある距離まで延在する非矩形(例えば、半円形、円筒形、不規則形状等の)チャネル又はトンネルであってもよい。
図5Bは、
図5Aの断面160Dが取られたyの選択された値が、
図5Bに示すY1であると仮定した、yz平面からのフィーチャ192の例示の実施形態を示している。代替として、フィーチャ192は、例えば、スライダ525のy方向に沿ってある距離まで延在するスライダ525の凹状区域であってもよい。凹状区域は、
図5Aに示すABS関数180Dのフィーチャ192を作成する何らかの任意の形状を有していてもよい。
図5Cは、yz平面において見た例示の凹状区域を示している。
図5Cは、また、
図5Aの断面160Cが取られた値Y1も示している。
図5Cは、かなり規則的な形状を有するスライダ特性を示しているが、フィーチャ192は、規則的な形状を有するスライダ特性の結果である必要はない。スライダ特性は、結果として、
図5Aに示すフィーチャ192を生じる何らかの形状を有していてもよい。結果としてxz平面内の
図5Aの例示のフィーチャ192を生じる、yz平面における無数のスライダ特性が存在し、
図5B及び5Cに示す実施例には限定する意図がないことを、正しく認識するべきである。
【0090】
再度、
図5Aを参照すると、少なくとも1つのxの値が存在することに対して、ABS関数180Dが少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有するため、例示のABS関数180Dは多価関数である。特に、ABS関数180Dは、フィーチャ192と交差するx軸に沿った位置において、少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有している。例えば、線165の位置に対応するxの値において、ABS関数180Dは、3つの全く異なる値:Z4、Z5、及びZ6を有している。
【0091】
当業者によって正しく認識されるように、フィーチャ192は、先行技術の製造技法を用いて作成するには、不可能であったか、実用的ではなかったか、高価すぎたか、或いは、時間がかかりすぎた。
【0092】
図6は、いくつかの実施形態によるスライダ断面160EのABS関数180Eを示している。再度、明確にするために、ABS関数180Eは太線で示されている。便宜上、断面160Eは、y軸に沿った特定の値においてx軸と平行に取られており、従って、
図2A〜2C及び3A〜3Cに示す軸によって画成されるxz平面内に位置している。従って、断面160Eは、選択されたyの値において、x軸に沿った値の関数として、ABS関数180Eがz軸の方向においてどのように変化するかを示している。前縁面121及び後縁面122が略平行である実施形態において、断面160Eは、同様に、前縁面121及び後縁面122と略平行である。同様に、内径面123及び外径面124が、互いに略平行であり、前縁面121及び後縁面122と略垂直である実施形態において、断面160Eは、内径面123及び外径面124と略垂直である。
【0093】
断面160Eは、スライダ525のx方向における突出部であるフィーチャ194と交差する。例えば、フィーチャ194は、
図6に示すように、スライダ525のy方向において、ある距離まで延在する均一又は不均一な形状を有するレールであってもよい。代替として、フィーチャ194は、不均一な形状を有する隆起、ドーム、又は突出部であってもよい。結果としてxz平面内の
図6の例示のフィーチャ194を生じる無数のスライダ特性が存在し、本明細書中で提供する実施例には限定する意図がないことは、正しく認識するべきである。
【0094】
少なくとも1つのxの値が存在することに対して、ABS関数180Eが少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有するため、例示のABS関数180Eは多価関数である。特に、ABS関数180Eは、フィーチャ194と交差するx軸に沿った位置において、少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有している。例えば、線165の位置に対応するxの値において、ABS関数180Eは、3つの全く異なる値:Z1、Z7、及びZ8を有している。
【0095】
当業者によって正しく認識されるように、フィーチャ194は、先行技術の製造技法を用いて作成するには、不可能であったか、実用的ではなかったか、高価すぎたか、或いは、時間がかかりすぎた。
【0096】
図7は、いくつかの実施形態によるスライダ断面160FのABS関数180Fを示している。再度、明確にするために、ABS関数180Fは太線で示されている。ABS関数180Fは不連続であることに留意されたい。便宜上、断面160Fは、y軸に沿った特定の値においてx軸と平行に取られており、従って、
図2A〜2C及び3A〜3Cに示す軸によって画成されるxz平面内に位置している。従って、断面160Fは、選択されたyの値において、x軸に沿った値の関数として、ABS関数180Fがz軸の方向においてどのように変化するかを示している。前縁面121及び後縁面122が略平行である実施形態において、断面160Fは、同様に、前縁面121及び後縁面122と略平行である。同様に、内径面123及び外径面124が、互いに略平行であり、前縁面121及び後縁面122と略垂直である実施形態において、断面160Fは、内径面123及び外径面124と略垂直である。
【0097】
断面160Fは、
図7に示す実施形態において、y方向でスライダ525内に延在するx方向に沿ったキャビティ又はトンネルであるフィーチャ196と交差する。
図7は、矩形キャビティ又はトンネルを示しているが、フィーチャ196は、何らかの都合のよい大きさ及び形状を有していてもよい。例えば、フィーチャ196は、スライダ525のx及びZ軸と平行に、ある距離まで均一又は不均一に延在し、y方向で(すなわち、y軸と平行に)スライダ525内へいくつかの均一又は不均一な方法で延在する均一又は不均一な形状を有する。別の実施例として、フィーチャ196は、第1のyの値(例えば、図示しないY1)において第1の大きさ及び形状を有し、第2のyの値(例えば、図示しないY2)において第2の大きさ及び形状を有していてもよい。言い換えれば、フィーチャ196は、断面160Fが取られる場所によって変化してもよい不規則な形状及び/又は不均一な大きさを有していてもよい。結果としてxz平面内の
図7のフィーチャ196と類似した例示のフィーチャ(例えば、均一又は不均一なキャビティ又はトンネル)を生じる無数のスライダ特性が存在し、本明細書中で提供する実施例には限定する意図がないことは、正しく認識するべきである。
【0098】
フィーチャ196はABS140の一部であり、従って、たとえ、結果として生じるABS関数180Fが不連続である(すなわち、フィーチャ196に対応するABS関数180Fの一部が、ABS関数180Fの残りと交差しない)としても、ABS関数180Fはフィーチャ196を含む。少なくとも1つのxの値が存在することに対して、ABS関数180Fが少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有するため、例示のABS関数180Fは多価関数である。例えば、ABS関数180Fは、フィーチャ196と交差するx軸に沿った位置において、少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有している。例えば、
図7に示す線165の位置に対応するxの値において、ABS関数180Fは、3つの全く異なる値:Z4、Z9、及びZ10を有している。
【0099】
当業者によって正しく認識されるように、フィーチャ196、及び、フィーチャ196の特性と類似の特性を有するフィーチャは、先行技術の製造技法を用いて作成するには、不可能であったか、実用的ではなかったか、高価すぎたか、或いは、時間がかかりすぎた。
【0100】
図8は、いくつかの実施形態によるスライダ断面160GのABS関数180Gを示している。再度、明確にするために、ABS関数180Gは太線で示されている。便宜上、断面160Gは、y軸に沿った特定の値においてx軸と平行に取られており、従って、
図2A〜2C及び3A〜3Cに示す軸によって画成されるxz平面内に位置している。従って、断面160Gは、選択されたyの値において、x軸に沿った値の関数として、ABS関数180Gがz軸の方向においてどのように変化するかを示している。前縁面121及び後縁面122が略平行である実施形態において、断面160Gは、同様に、前縁面121及び後縁面122と略平行である。同様に、内径面123及び外径面124が、互いに略平行であり、前縁面121及び後縁面122と略垂直である実施形態において、断面160Gは、内径面123及び外径面124と略垂直である。
【0101】
断面160Gは、
図8に示す実施形態において、x及びz方向における突出部として現れるフィーチャ198と交差する。
図8は、円筒形突出部を示しているが、フィーチャ198は、何らかの都合のよい形状を有していてもよい。例えば、フィーチャ198は、スライダ525のx、y、及びz軸と平行に、ある距離まで延在する均一又は不均一な形状を有していてもよい。結果としてxz平面内の
図8のフィーチャ198と類似したフィーチャを生じる無数のスライダ特性が存在し、本明細書中で提供する実施例には限定する意図がないことは、正しく認識するべきである。
【0102】
少なくとも1つのxの値が存在することに対して、ABS関数180Gが少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有するため、例示のABS関数180Gは多価関数である。例えば、ABS関数180Gは、フィーチャ198と交差するx軸に沿った位置において、少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有している。例えば、線165の位置に対応するxの値において、ABS関数180Gは、3つの全く異なる値:Z1、Z11、及びZ12を有している。
【0103】
当業者によって正しく認識されるように、フィーチャ198、及び、フィーチャ198の特性と類似の特性を有するフィーチャは、先行技術の製造技法を用いて作成するには、不可能であったか、実用的ではなかったか、高価すぎたか、或いは、時間がかかりすぎた。
【0104】
例示のフィーチャ190、192、194、196、及び198を有するスライダ525に対応するABS関数180は、全て、少なくとも1つのxの値に対して、多くても3つのf(x)の値を有する多価関数である。スライダ525は、少なくとも1つのxの値に対して、4つ以上のf(x)の値を有するABS関数を有することも可能である。
図9は、少なくとも1つの入力値に対して5つの値を有するABS関数180Hのかかる実施形態を示している。再度、明確にするために、ABS関数180Hは太線で示されている。便宜上、断面160Hは、y軸に沿った特定の値においてx軸と平行に取られており、従って、
図2A〜2C及び3A〜3Cに示す軸によって画成されるxz平面内に位置している。従って、断面160Hは、選択されたyの値において、x軸に沿った値の関数として、ABS関数180Hがz軸の方向においてどのように変化するかを示している。前縁面121及び後縁面122が略平行である実施形態において、断面160Hは、同様に、前縁面121及び後縁面122と略平行である。同様に、内径面123及び外径面124が、互いに略平行であり、前縁面121及び後縁面122と略垂直である実施形態において、断面160Hは、内径面123及び外径面124と略垂直である。
【0105】
断面160Hは、
図9に示す例示の実施形態において、スライダ525の垂直面から(すなわち、z方向で)x及びy方向に延在する2つの「棚状部」から結果として生じるフィーチャ191と交差する。結果としてxz平面内の
図9の例示のフィーチャ191を生じる無数のスライダ特性が存在し、本明細書中で提供する実施例には限定する意図がないことは、正しく認識するべきである。
【0106】
少なくとも1つのxの値が存在することに対して、ABS関数180Hが少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有するため、例示のABS関数180Hは多価関数である。例えば、ABS関数180Hは、フィーチャ191と交差するx軸に沿った位置において、少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有している。例えば、線165の位置に対応するxの値において、ABS関数180Hは、5つの全く異なる値:Z1、Z11、Z12、Z13、及びZ14を有している。
【0107】
ABS関数180は、また、6つ以上の全く異なる値を有していてもよいことは、言うまでもない。本明細書中に呈示するフィーチャ及びそれらのフィーチャに対応するABS関数180の例には、限定する意図はない。
【0108】
ABS関数180は、xy平面内の選択された軸に沿ったある特定の入力値に対して、厳密に2つの全く異なる値を有していてもよいことは、言うまでもない。単なる一例として、スライダ525は、内径面123及び/又は外径面124から突出する「翼状部」又は「ウイングレット部」を有していてもよい。かかるフィーチャは、結果として、例えば、より立方形の全体形状を有するスライダ525よりも、向上した、若しくは、異なる空気力学的な特性を有するスライダ525を生じることができる。
図10は、いくつかの実施形態によるスライダ断面160JのABS関数180Jを示している。再度、明確にするために、ABS関数180Jは太線で示されている。便宜上、断面160Jは、y軸に沿った特定の値においてx軸と平行に取られており、従って、
図2A〜2C及び3A〜3Cに示す軸によって画成されるxz平面内に位置している。従って、断面160Jは、選択されたyの値において、x軸に沿った値の関数として、ABS関数180Jがz軸の方向においてどのように変化するかを示している。前縁面121及び後縁面122が略平行である実施形態において、断面160Jは、同様に、前縁面121及び後縁面122と略平行である。同様に、内径面123及び外径面124が、互いに略平行であり、前縁面121及び後縁面122と略垂直である実施形態において、断面160Jは、内径面123及び外径面124と略垂直である。
【0109】
断面160Jは、
図10に示す実施形態において、x方向における内径面123からの翼状突出部であるフィーチャ199と交差する。類似した形状の突出部が、外径面124から延在していてもよいことは、言うまでもない。
図10は、翼状突出部を示しているが、フィーチャ199は、何らかの都合のよい形状を有していてもよい。例えば、フィーチャ199は、スライダ525のx軸及びy軸と平行に、ある距離まで延在する均一又は不均一な形状を有していてもよい。結果としてxz平面内の
図10のフィーチャ199と類似したフィーチャを生じる無数のスライダ特性が存在し、本明細書中で提供する実施例には限定する意図がないことは、正しく認識するべきである。
【0110】
少なくとも1つのxの値が存在することに対して、ABS関数180Jが少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有するため、例示のABS関数180Jは多価関数である。例えば、ABS関数180Jは、フィーチャ199と交差するx軸に沿った位置において、少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有している。例えば、線165の位置に対応するxの値において、ABS関数180Jは、厳密に2つの全く異なる値:Z11及びZ12を有している。フィーチャ199と交差するx軸に沿ったその他の位置において、ABS関数180Jは、厳密に3つの全く異なる値、すなわち、Z1、Z11、及びZ12を有している。
【0111】
図11は、いくつかの実施形態によるフィーチャ200A〜200Fを有する例示のスライダ525Cを示している。
図11に示すように、フィーチャ200A〜200Fのそれぞれは、
図7に示すフィーチャ196と類似したキャビティ又はトンネルとして図示されている。しかし、フィーチャ200A〜200Fは非矩形及び/又は不均一な形状(例えば、任意の形状)を有していてもよく、それらが、
図4〜10で提供した実施例の文脈内で示し、検討し、
図12〜18の文脈内で以下に検討するような突出部又はキャビティであってもよいことは、正しく認識するべきである。本明細書中の開示を鑑みて、当業者によって理解されるように、フィーチャ200A〜200Fの無数の可能な大きさ、形状、及び特性が存在している。本明細書中で提供する実施例には、限定する意図はない。
【0112】
他の者は、
図11のスライダ525Cが、多価関数であるABS関数180を有する多数の断面160を含んでいることを、確認することによって検証できる。例えば、略平坦な裏面125(図示せず)によって画成されるxy平面と垂直に取られた場合、結果として、多価関数であるABS関数180を生じるであろう、
図11のスライダ525Cの多数の断面160が存在している。線205、210、215、220、及び225は、裏面125の平面と垂直に(すなわち、xy平面と垂直で、図示するz軸と平行に)作成される断面160が、結果として、多価関数であるABS関数180を生じるであろう、いくつかの例示の位置を特定している。線205、210、215、220、及び225は、xy平面内で任意の配向を有して示されている。従って、線205、210、215、220、及び225は、また、前縁面121、後縁面122、内径面123、及び外径面124(
図11には図示せず、
図3A〜3Cを参照)に対する任意の配向も有している。無論、断面160は、前縁面121、後縁面122、内径面123、又は外径面124に対して平行又は垂直であってもよく、かかる断面160は、多価関数であるABS関数180も有していてもよい。
【0113】
図12は、いくつかの実施形態によるスライダ525のyz平面における断面160Mを示している。
図12は、スライダ525の前縁面121、後縁面122、裏面125、及びABS140を示している。
図12に示すように、断面160Mは、前縁面121からスライダ525の一部を通ってABS140へ通るトンネル406と交差している。トンネル406は、ABS140の一部である。トンネル406は、前縁面121における入口面積402と、ABS140における出口面積404とを有している。入口面積402及び出口面積404以外に、トンネル406は他の入口又は出口点を何も有していない。ディスク520が回転するにつれて、ドライブ内の気体は、前縁面121に衝突し、入口面積402を通ってトンネル406に進入し、トンネル406の長さを横切って、出口面積404を通ってスライダ525から出る。トンネル406は、従って、前縁面121に衝突する気体の流れをディスク520の表面に向ける。この気体の流れは、スライダ525をディスク520の表面から遠ざけ、それによって、スライダ525がディスク520と接触しないよう助長している。従って、スライダ525内にトンネル406を含むことにより、スライダ525のピッチ及び/又は浮上高さを制御するための別の方法を提供し、設計者は、従来のABS設計技法を強化又は置き換えるスライダ525内のトンネル406を含むことができる。
【0114】
他の者は、
図12の断面160Mが、多価関数であるABS関数180を有することを、確認することによって検証できる。例えば、破線175の位置に対応するyの値において、ABS関数180は3つの全く異なる値を有し、そのうちの2つがトンネル406に対応している。(前で説明したように、裏面125はABS140の一部ではない。)
【0115】
図12は、断面160Mの位置において高さが略均一なトンネル406を示しているが、トンネルは、例えば、不均一な幅、高さ、深さ、体積、断面積、又は断面周囲を含む、実質的にどのような特性を有していてもよい。例えば、
図13に示す例示の断面160Nで示すように、トンネル406は、出口面積404より大きい入口面積402を有していてもよく(例えば、トンネル406は先細チャネルである)、これは、ベルヌーイの定理に従って、出口面積404においてABS140を出て行く気体の速度が、入口面積402を通ってスライダ525に進入する気体の速度を超過する原因となってもよい。
【0116】
他の者は、
図13の断面160Nが、多価関数であるABS関数180を有することを、確認することによって検証できる。例えば、破線175の位置に対応するyの値において、ABS関数180は3つの全く異なる値を有し、そのうちの2つがトンネル406に対応している。(再度、トンネル406はABS140の一部であるが、裏面125はそうではない。)
【0117】
図13は、トンネル406が、集めた気体をディスク520の表面に向けて加速させるよう、先細チャネルとして構成されてもよい1つの方法を示している。
図14は、また、集めた気体をディスク520の表面に向けて加速させる原因となる先細チャネル構成を有する別の例示の実施形態を示している。
図14は、スライダ525のyz平面における例示の断面160Pを示している。
図14に示すように、断面160Pにおいて、z方向のトンネル406の高さは、前縁面121の近傍で略均一であるが、y軸に沿ったいくつかの内部位置(
図14では、出口面積404の近傍)において、トンネル406の周囲又は外周は、前縁面121近傍のその値に対して増加しており、それによって、出口面積404を介してディスク520の表面に向けて加速させる前に、気体を幅広面積403において集めることができる。
【0118】
他の者は、
図14の断面160Pが、多価関数であるABS関数180を有することを、確認することによって検証できる。例えば、破線175の位置に対応するyの値において、ABS関数180は3つの全く異なる値を有し、そのうちの2つがトンネル406に対応している。(再度、トンネル406はABS140の一部であるが、裏面125はそうではない。)
【0119】
図15Aは、
図12〜14についての考察において説明したような、前縁面121とABS140との間にトンネル406を有する例示のスライダ525Dを示している。
図15Bは、破線228において取られた
図15Aの例示のスライダ525Dのxy平面における断面を示している。表示を簡素化するため、
図15A及び15Bに示すスライダ525Dの唯一のフィーチャは、先に説明したような、ABS140の一部であるトンネル406である。スライダ525Dが、例えば、サイドレール、縁端、ステップ付面、又は、本明細書中に説明した、若しくは、当該技術において公知の他のフィーチャのいずれか等の他のフィーチャを有していてもよいことは、正しく認識するべきである。
図13に示すトンネル406と同様に、
図15Aのトンネル406の入口面積402は出口面積404よりも大きく、従って、出口面積404においてスライダ525Dを出て行く気体の速度が、入口面積402においてスライダ525Dに進入する気体の速度を超過する可能性があることを示している。
【0120】
図15Aは、入口面積402及び出口面積404が矩形であるスライダ525Dを示しているが、入口面積402及び出口面積404は、結果として所望のスライダ特性(例えば、浮上高さ)を生じる何らかの適切な形状を有していてもよい。非限定的な例として、入口面積402又は出口面積404は、円形、楕円形、台形、三角形、又はその他の形状であってもよい。更に、入口面積402が1つの形状を有していてもよく、出口面積404が異なる形状を有していてもよい。その上、
図15A及び15Bは、平滑で、直線的な内壁を有するスライダ525Dを示しているが、内壁は何らかの適切な形状又は形態を有していてもよく(例えば、それらは直線的又は非直線的であってもよく)、トンネルの表面は、本明細書中の他の箇所及び引用して組み込む関連出願で説明したような、1つ以上の突出部(例えば、レール、隆起、ドーム、又はその他の突出部)又はキャビティ(例えば、均一又は不均一な形状を有する)を含んでいてもよい。
【0121】
他の者は、
図15A及び15Bに示すスライダ525Dが、
図15Aに示すz軸と平行に取られ、結果として多価関数であるABS関数180を生じる多数の断面160を有することを、確認することによって検証できる。例えば、いくつかの例外を除いて(例えば、出口面積404と交差するxz平面において取られた断面160)、トンネル406と交差するz軸と平行に取られた多くの断面160は、結果として、多価関数であるABS関数180を生じる。1つの特定の例として、前縁面121の近傍で、それと平行に取られた断面160は、結果として、多価関数であるABS関数180を生じる。
【0122】
図16Aは、前縁面121とABS140との間に2つのトンネル406A及び406Bを有する例示のスライダ525Eを示している。
図16Bは、破線230において取られた
図16Aの例示のスライダ525Eのxy平面における断面を示している。表示を簡素化するため、
図16A及び16Bに示すスライダ525Eの唯一のフィーチャは、ABS140の一部であるトンネル406A及び406Bである。スライダ525Eが、例えば、サイドレール、縁端、ステップ付面、又は、本明細書中に説明した、若しくは、当該技術において公知の他のフィーチャのいずれか等の他のフィーチャを有していてもよいことは、正しく認識するべきである。
【0123】
トンネル406Aは入口面積402A及び出口面積404Aを有しており、トンネル406Bは入口面積402B及び出口面積404Bを有している。
図16Aに示すように、
図16A及び16Bのトンネル406A及び406Bの入口面積402A及び402Bは、出口面積404A及び404Bよりも大きく、従って、出口面積404A及び404Bにおいてスライダ525Eを出て行く気体の速度が、入口面積402A及び402Bにおいてスライダ525Eに進入する気体の速度を超過する可能性があることを示している。
【0124】
図16Aは、矩形の入口面積402A及び402Bと、矩形の出口面積404A及び404Bとを持つトンネルを有するスライダ525Eを示しているが、入口面積402A及び402B並びに出口面積404A及び404Bは、結果として所望のスライダ特性(例えば、浮上高さ)を生じる何らかの適切な形状を有していてもよい。非限定的な例として、入口面積402A及び402B並びに出口面積404A及び404Bは、円形、楕円形、台形、三角形、又はその他の形状であってもよい。更に、入口面積402Aは第1の形状を有していてもよく、出口面積404Aは第2の形状を有していてもよく、入口面積402Bは第3の形状を有していてもよく、出口面積404Bは第4の形状を有していてもよく、ここで、第1、第2、第3、及び第4の形状のうちのいくつか又は全ては、同じであるか、異なっていてもよい。
【0125】
その上、
図16A及び16Bは、平滑で、直線的な内壁を有するスライダ525Eを示しているが、内壁は何らかの適切な形状又は形態を有していてもよく(例えば、それらは直線的又は非直線的であってもよく)、トンネルの表面は、本明細書中の他の箇所又は前で引用して組み込んだ関連出願で説明したような、1つ以上の突出部(例えば、レール、隆起、ドーム、又はその他の突出部)又はキャビティ(例えば、均一又は不均一な形状を有する)を含んでいてもよい。トンネル406A及び406Bは、本明細書中の他の箇所又は前で引用して組み込んだ関連出願で説明したフィーチャ又は特性のいずれかを有していてもよい。更に、
図16A及び16Bは、同一のトンネル406A及び406Bを示しているが、2つのトンネルは、同一である必要はなく、又は、実質的に類似する必要さえない。
【0126】
加えて、スライダは、3つ以上の全く異なる別個のトンネル406を含んでいてもよく、これらのトンネル406は、入口面積402の大きさ及び形状、出口面積404の大きさ及び形状、トンネル壁部の平滑性又はフィーチャ、若しくはその他の特性において、互いと類似、同一、又は異なっていてもよい。
【0127】
他の者は、
図16A及び16Bに示すスライダ525Eが、
図16Aに示すz軸と平行に取られ、結果として多価関数であるABS関数180を生じる多数の断面160を有することを、確認することによって検証できる。例えば、いくつかの例外を除いて(例えば、出口面積404A及び404Bと交差するxz平面において取られた断面160)、トンネル406A及び406Bの一方又は両方と交差するz軸と平行に取られた多くの断面160は、結果として、多価関数であるABS関数180を生じる。1つの特定の例として、前縁面121の近傍で、それと平行に取られた断面160は、結果として、多価関数であるABS関数180を生じる。
【0128】
図17Aは、前縁面121とABS140との間にトンネル406を有する例示のスライダ525Fを示している。
図17Aの例示の実施形態において、トンネル406は、2つの入口面積402A及び402Bと、単一の出口面積404とを有している。
図17Aのトンネル406の入口面積402A及び402Bは出口面積404よりも大きく、従って、出口面積404においてスライダ525Fを出て行く気体の速度が、入口面積402A及び402Bにおいてスライダ525Fに進入する気体の速度を超過する可能性があることを示している。
【0129】
図17Aは、入口面積402A及び402B並びに出口面積404が矩形であるスライダ525Fを示しているが、入口面積402A及び402B並びに出口面積404は、結果として所望のスライダ特性(例えば、浮上高さ)を生じる何らかの適切な形状を有していてもよい。非限定的な例として、入口面積402A、402B及び出口面積404は、円形、楕円形、台形、三角形、又はその他の形状であってもよい。更に、入口面積402Aは第1の形状を有していてもよく、入口面積402Bは第2の形状を有していてもよく、出口面積404は第3の形状を有していてもよく、ここで、第1、第2、及び第3の形状のうちの1つ以上は、同一又は実質的に類似であるか、異なっていてもよい。
【0130】
図17Bは、破線235において取られた
図17Aの例示のスライダ525Fのxy平面における断面を示している。トンネル406は2つの分岐420A及び420Bを有している。分岐420Aは、入口面積402Aをトンネル406の胴体部と出口面積404とに接続し、分岐420Bは、入口面積402Bをトンネル406の胴体部と出口面積404とに接続する。
図17Bは、互いの鏡像である分岐420A及び420Bを示しているが、分岐420A及び420Bは、大きさ、形状、及び/又はフィーチャ(例えば、突出部、キャビティ、テクスチャ等)において異なっていてもよい。例えば、分岐420の一方は、他方よりも幅が広いか、高くてもよく、若しくは、全体として異なる形状を有していてもよい(例えば、分岐420の一方は線形表面を有していてもよく、他方の分岐420は非線形表面を有していてもよい)。別の実施例として、入口面積402の一方は、分岐420同士が異なるように、他方の入口面積402からz方向にオフセットされてもよい。
【0131】
表示を簡素化するため、
図17A及び17Bに示すスライダ525Fの唯一のフィーチャは、ABS140の一部であるトンネル406である。スライダ525Fが、例えば、サイドレール、縁端、ステップ付面、又は、本明細書中に説明した、若しくは、当該技術において公知の他のフィーチャのいずれか等の他のフィーチャを有していてもよいことは、正しく認識するべきである。
【0132】
図17Bは、平滑で、直線的な内壁を有するスライダ525Fを示しているが、内壁は何らかの適切な形状を有していてもよく(例えば、それらは直線的又は非直線的であってもよく)、トンネルの表面は、本明細書中の他の箇所又は前で引用して組み込んだ関連出願で説明したような、1つ以上の突出部(例えば、レール、隆起、ドーム、又はその他の突出部)又はキャビティ(例えば、均一又は不均一な形状を有する)を含んでいてもよい。更に、トンネル406は、3つ以上の入口面積402及び/又は2つ以上の出口面積404を有していてもよく、この場合、トンネル406は3つ以上の分岐420も有する。
【0133】
他の者は、
図17A及び17Bに示すスライダ525Fが、
図17Aに示すz軸と平行に取られ、結果として多価関数であるABS関数180を生じる多数の断面160を有することを、確認することによって検証できる。例えば、いくつかの例外を除いて(例えば、出口面積404と交差するxz平面において取られた断面160)、トンネル406と交差するz軸と平行に取られた多くの断面160は、結果として、多価関数であるABS関数180を生じる。1つの特定の例として、前縁面121の近傍で、それと平行に取られた断面160は、結果として、多価関数であるABS関数180を生じる。
【0134】
図18Aは、前縁面121とABS140との間にトンネル406を有する例示のスライダ525Gを示している。
図18Aの例示の実施形態において、トンネル406は、1つの入口面積402と、2つの出口面積404A及び404Bとを有している。
図18Aのトンネル406の入口面積402は出口面積404A及び404Bのどちらか一方よりも大きく、従って、出口面積404A及び404Bにおいてスライダ525Gを出て行く気体の速度が、入口面積402においてスライダ525Gに進入する気体の速度を超過する可能性があることを示している。
【0135】
図18Aは、入口面積402並びに出口面積404A及び404Bが矩形であるスライダ525Gを示しているが、入口面積402並びに出口面積404A及び404Bは、結果として所望のスライダ特性(例えば、浮上高さ)を生じる何らかの適切な形状を有していてもよい。非限定的な例として、入口面積402並びに出口面積404A及び404Bは、円形、楕円形、台形、三角形、又はその他の形状であってもよい。更に、入口面積402は第1の形状を有していてもよく、出口面積404Aは第2の形状を有していてもよく、出口面積404Bは第3の形状を有していてもよく、ここで、第1、第2、及び第3の形状のうちの1つ以上は、同一又は実質的に類似であるか、異なっていてもよい。
【0136】
図18Bは、破線240において取られた
図18Aの例示のスライダ525Gのxy平面における断面を示している。トンネル406は2つの分岐420A及び420Bを有している。分岐420Aは、トンネル406の胴体部を出口面積404Aに接続し、分岐420Bは、トンネル406の胴体部を出口面積404Bに接続する。
図18Bは、互いの鏡像である分岐420A及び420Bを示しているが、分岐420A及び420Bは、大きさ、形状、及び/又はフィーチャ(例えば、突出部、キャビティ、テクスチャ等)において異なっていてもよい。例えば、分岐420の一方は、他方よりも幅が広いか、高くてもよく、若しくは、全体として異なる形状を有していてもよい(例えば、分岐420の一方は線形表面を有していてもよく、他方の分岐420は非線形表面を有していてもよい)。別の実施例として、出口面積404の一方は、分岐420A及び420Bが異なるように、他方の出口面積404からxy平面においてオフセットされてもよい。
【0137】
表示を簡素化するため、
図18A及び18Bに示すスライダ525Gの唯一のフィーチャは、ABS140の一部であるトンネル406である。スライダ525Gが、例えば、サイドレール、縁端、ステップ付面、又は、本明細書中に説明した、若しくは、当該技術において公知の他のフィーチャのいずれか等の他のフィーチャを有していてもよいことは、正しく認識するべきである。
【0138】
図18Bは、平滑で、直線的な内壁を有するスライダ525Gを示しているが、内壁は何らかの適切な形状を有していてもよく(例えば、それらは直線的又は非直線的であってもよく)、トンネルの表面は、本明細書中の他の箇所又は前で引用して組み込んだ関連出願で説明したような、1つ以上の突出部(例えば、レール、隆起、ドーム、又はその他の突出部)又はキャビティ(例えば、均一又は不均一な形状を有する)を含んでいてもよい。更に、トンネル406は、2つ以上の入口面積402及び/又は3つ以上の出口面積404を有していてもよく、この場合、トンネル406は3つ以上の分岐420も有する。
【0139】
他の者は、
図18A及び18Bに示すスライダ525Gが、
図18Aに示すz軸と平行に取られ、結果として多価関数であるABS関数180を生じる多数の断面160を有することを、確認することによって検証できる。例えば、いくつかの例外を除いて(例えば、出口面積404A及び404Bと交差するxz平面において取られた断面160)、トンネル406と交差するz軸と平行に取られた多くの断面160は、結果として、多価関数であるABS関数180を生じる。
【0140】
他の箇所で述べたように、
図12〜18は、平滑な表面を有する例示のトンネル406を示しているが、トンネル406の表面が平滑である必要がないことは、言うまでもない。例えば、トンネル406の壁又は表面は、前で説明したフィーチャ(すなわち、190、191、192、193、194、195、196、198、199、200)のいずれか、又は、引用して組み込んだ関連出願に開示されている製造技法を用いて作成されてもよいその他のフィーチャを含んでいてもよい。かかるフィーチャは、突出部及びキャビティを含むが、これらに限定されない。
【0141】
更に、
図12〜18は、ABS140において1つ以上の出口面積404を有するトンネル406を示しているが、トンネル406は、スライダ525の他の表面において1つ以上の出口面積404を、代替として、又は、追加として有していてもよい。例えば、トンネル406は、ABS140における出口面積404に加えて、又は、その代わりに、後縁面122、内径面123、又は外径面124における出口面積404を有していてもよい。一般に、トンネル406は、ABS140、後縁面122、内径面123、及び外径面124から成る群から選択される多数の表面の何らかの組み合わせにおいて、出口面積404を有していてもよい。
【0142】
同様に、
図12〜18は、前縁面121において1つ以上の入口面積402を有するトンネル406を示しているが、トンネル406は、スライダ525の他の表面において1つ以上の入口面積402を、代替として、又は、追加として有していてもよい。例えば、トンネル406は、前縁面121における入口面積402に加えて、又は、その代わりに、内径面123又は外径面124における入口面積402を有していてもよい。一般に、トンネル406は、前縁面121、内径面123、及び外径面124から成る群から選択される多数の表面の何らかの組み合わせにおいて、入口面積402を有していてもよい。
【0143】
当業者によって正しく認識されるように、フィーチャ190、191、192、194、196、198、及び199、並びにトンネル406の形状及び特性にかかわらず、これらのフィーチャは、先行技術の製造技法を用いて作成するには、不可能であったか、実用的ではなかったか、高価すぎたか、或いは、時間がかかりすぎた。しかし、フィーチャ190、191、192、194、196、198、及び199、並びにトンネル406、並びに無数の他のフィーチャは、本明細書中で開示するような拡張三次元(E3D)空気ベアリング面を有するスライダ525を製造する新規方法を用いて作成することができる。E3D ABSは、例えば、上で説明した例示のスライダフィーチャ及びトンネルを含むことができる。方法は、いくつかの実施形態において、ラッピング、積層造形、及びイオンミルエッチングを組み合わせることによって、E3D ABS意匠の製造を可能にしている。
【0144】
図19は、いくつかの実施形態による、多価関数であるABS関数180を有するスライダ525を製造するためのプロセス300を示すフロー図である。305において、プロセスが開始される。310において、フィーチャ(例えば、先行技術の製造技法を用いて作成するには、不可能であったか、実用的ではなかったか、高価すぎたか、或いは、時間がかかりすぎたフィーチャ190、191、192、194、196、198、又は199のうちの1つ、若しくはトンネル406、若しくはその他のフィーチャ)が作成されるべきウェハ120の区域を用意する。いくつかの実施形態において、フィーチャが作成されるべきウェハ120の区域は、ウェハ120から材料の第1の部分を除去することによって用意され、材料の第1の部分は基板の一部を備えている。
【0145】
ステップ310は、従来の技法を用いて達成されてもよい。例えば、ラッピングが、ウェハ120から所望量の材料を除去するために用いられてもよい。いくつかの実施形態において、ウェハ120内の結果として生じたキャビティは、深さ3〜5ミクロンである。
【0146】
図20A及び20Bは、いくつかの実施形態によるプロセス300のステップ310を示している。
図20Aは、スライダ525となるよう製造中のウェハ120の断面160Kの基板側面図である。断面160Kはyz平面内にあり、x、y、及びz軸が
図2A〜2C及び3A〜3Cにおいて配向されたようなものであると仮定している。ウェハ120は、当初、z方向に均一な高さ302を有する基板350を含んでいる。保護膜355が、最終的にスライダ525の後縁面122となる箇所で基板350に施されている。
【0147】
図20Bは、ウェハ120がステップ310において処理された後のウェハ120の断面160Kの基板側面図である。
図20Bの例示の実施形態に示すように、材料は基板350から除去されてプロセス300のステップ315のためにウェハ120を用意している。
【0148】
再度、
図19を参照すると、ステップ315において、積層造形技法が用いられて、ウェハ120の用意した領域内部に三次元(3D)オブジェクトを作成している。多くの積層造形技法が存在している。それらは、例えば、三次元(3D)プリンティングを含み、それによって、機械実行可能命令を実行するプロセッサによって制御される3Dプリンタが、材料の薄層を連続的に敷設することによって、デジタル設計図から物理的な3Dオブジェクトを作製する。いくつかの実施形態において、機械実行可能命令は、3D表面寸法形状の三角形表現(例えば、コンピュータ支援設計(CAD)モデル)であるステレオリソグラフィ(STL)ファイルとして格納されている。3Dプリンティング技術を用いて作成された3Dオブジェクトは、上で説明した例示のスライダ525のフィーチャの形状及び寸法形状を含む無数の形状及び寸法形状を有していてもよい。
【0149】
いくつかの実施形態において、積層造形技法は、多孔プラットフォームが液体光硬化性ポリマのタンク表面の真下に位置決めされるステレオリソグラフィである。紫外線レーザが液体ポリマの表面上にオブジェクトの第1のスライスをトレースすると、ポリマの薄層が硬化する。次いで、多孔プラットフォームがわずかに降下し、レーザは、次のスライスを描き、硬化させる。完全なオブジェクトが作成されるまで、手順は繰り返され、オブジェクトが完成した際、オブジェクトは液体タンクから取り出され、余分な液体を排出し、硬化される。
【0150】
いくつかの実施形態において、積層造形技法は、熱した熱可塑性材料が温度制御されたプリントヘッドから押し出されてオブジェクトを作製する熱溶解積層法である。
【0151】
いくつかの実施形態において、積層造形技法は、レーザを用いて、例えば、粉末ワックス、セラミック、金属、ナイロン等の材料又は別の適切な材料の連続層を一緒に選択的に溶解して、オブジェクトを構築する選択的レーザ焼結法(SLS)である。
【0152】
いくつかの実施形態において、積層造形技法は、必要とされる微粒子のみを一緒に接着させる結合剤溶液を噴射するインクジェットと同様のプリントヘッドを用いて、粉末の連続層からオブジェクトを構築するマルチジェットモデリング(MJM)である。
【0153】
他の積層造形プロセスがE3DスライダのABSフィーチャを作成するために用いられてもよく、本明細書中で提供する実施例には、限定する意図がないことは、正しく認識するべきである。
【0154】
図20C〜20Eは、プロセス300のステップ315を行っている間の例示の断面160Kを示している。
図20Cにおいて、ステップ310において材料が基板350から除去された区域に、積層造形技法を用いて材料360が堆積されている。材料360は、基板350を作成した材料と同じか、類似した、又はそれとは異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、材料360は、材料360と基板350との間の強固な接着を容易にする特性を有している。
【0155】
図20Dにおいて、追加の材料360が積層造形を用いて堆積されている。
図20Dの例示の実施形態によって示すように、積層造形を用いることにより、不均一な形状の作成が可能となる。
図20Dに示す形状は単なる例示であり、限定する意図がないことは、言うまでもない。
【0156】
図20Eにおいて、更に多くの材料360が、プロセス300のステップ315を完了するよう、積層造形を用いて堆積されている。
図20Eに示すように、積層造形ステップ315の完了後に、材料360内にキャビティが存在している。当業者によって正しく認識されるように、
図20Eに示すもの等のキャビティをスライダ内に作成することは、従来のスライダ製造技法を用いては不可能であった。積層造形の使用により、従来のスライダ製造技法を用いては、経済的に、或いは、全く作成できなかった様々な形状及び大きさのスライダフィーチャの作成が可能となる。
図20Eに示すフィーチャは、任意の大きさ及び形状を有している。積層造形技法の使用により、例示のフィーチャ190、191、192、194、196、198、及び199を含む、多種多様な大きさで多種多様な形状の作成が可能となることは、言うまでもない。積層造形技法を用いて作成されてもよいフィーチャの本明細書中に示す実施例は、どのような方法でも限定する意図はない。
【0157】
プロセス300のステップ315は、3つのステップで達成されるものとして
図20C〜20Eに示されているが、プロセス300のステップ315を完了するために必要な積層造形ステップの数は、3を超えるか、又はそれ未満であってもよい。更に、積層造形ステップの数は、例えば、用いられる積層造形の種類及び他の者が「積層造形ステップ」をどのように定義するかによって決定されてもよい。仮に、他の者が単一層の作成を1つの積層造形ステップだと見なしていれば、プロセス300のステップ315を完了するために必要な造形ステップの数は、極めて多いものである可能性がある。
【0158】
再度、
図19を参照すると、ステップ320において、ウェハ120はスライダ525を仕上げるために処理される。いくつかの実施形態において、ステップ320における処理は、イオンミリング及び/又はラッピング等の従来の技法を用いている。いくつかの実施形態において、ステップ320は、スライダに読み書きヘッド540を追加することを含んでいる。
【0159】
図20F〜20Iは、いくつかの実施形態によるプロセス300のステップ320を示している。
図20Fは、第1のイオンミリングステップ後の例示のスライダ525の断面160Kを示している。
図20Fに示すように、材料は、基板350及び材料360の両方から除去されている。従って、作成されたフィーチャの一部が除去されている。
図20Gは、第2のイオンミリングステップ後の例示のスライダ525の断面160Kを示しており、
図20Hは、第3のイオンミリングステップ後の例示のスライダ525の断面160Kを示している。
【0160】
図20Iは、コーティングが堆積され、スライダ525が仕上げられた後のスライダ525の断面160Kを示している。いくつかの実施形態において、スライダ525は追加のラッピングステップによって仕上げられる。ステップ320は、本明細書中に示すステップよりも多い又は少ないステップを用いて達成されてもよいことは、言うまでもない。その上、本明細書中に開示するもの以外の、又は、それに加えた従来の技法が用いられてもよい。
【0161】
図20Jは、
図20Iの実施形態に示すスライダ断面160KのABS関数180Kを示している。少なくとも1つのyの値が存在することに対して、ABS関数180Kが少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有するため、ABS関数180Kは多価関数である。例えば、ABS関数180Kは、材料360によって作成されるフィーチャと交差するy軸に沿った位置において、少なくとも2つの全く異なるゼロではないz値を有している。例えば、線175の位置に対応するyの値において、ABS関数180Kは、3つの全く異なる値を有している。
【0162】
図19を参照すると、325において、プロセスは終了する。
【0163】
図21A〜21Hは、別の例示のスライダを作成するため、
図19に示す例示のプロセス300の使用を示している。
図21A及び21Bは、いくつかの実施形態によるプロセス300のステップ310を示している。
図21Aは、スライダ525となるよう製造中のウェハ120の断面160Lの基板側面図である。
図20Aの断面160Kと同様に、断面160Lはyz平面内にあり、x、y、及びz軸が
図2A〜2C及び3A〜3Cにおいて配向されたようなものであると仮定している。ウェハ120は、当初、z方向に均一な高さ302を有する基板350を含んでいる。保護膜355が、最終的にスライダ525の後縁面122となる箇所で基板350に施されている。
【0164】
図21Bは、ウェハ120がステップ310において処理された後のウェハ120の断面160Lの基板側面図である。
図21Bの例示の実施形態に示すように、材料は基板350から除去されてプロセス300のステップ315のためにウェハ120を用意している。
【0165】
図21C〜21Eは、プロセス300のステップ315を行っている間の例示の断面160Lを示している。
図21Cにおいて、ステップ310において材料が基板350から除去された区域に、積層造形技法を用いて材料360が堆積されている。前で説明したように、材料360は、基板350を作成した材料と同じか、類似した、又はそれとは異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、材料360は、材料360と基板350との間の強固な接着を容易にする特性を有している。
【0166】
図21D及び21Eにおいて、追加の材料360が、プロセス300のステップ315を完了するよう、積層造形を用いて堆積されている。
図21Eに示すように、積層造形ステップ315の完了後に、材料360内にキャビティが存在している。当業者によって正しく認識されるように、
図21Eに示すもの等のキャビティをスライダ内に作成することは、従来のスライダ製造技法を用いては不可能であった。積層造形の使用により、従来のスライダ製造技法を用いては、経済的に、或いは、全く作成できなかった様々な形状及び大きさのスライダフィーチャの作成が可能となる。
図21Eに示す形状は単なる例示であり、限定する意図がないことは、言うまでもない。
【0167】
図21F〜21Hは、いくつかの実施形態によるプロセス300のステップ320を示している。
図21Fは、第1のイオンミリングステップ後の例示のスライダ525の断面160Lを示している。
図21Fに示すように、材料は、基板350及び材料360の両方から除去されている。従って、積層造形技法を用いて作成されたフィーチャの一部が除去されている。
図21Gは、第2のイオンミリングステップ後の例示のスライダ525の断面160Lを示している。
【0168】
図21Hは、コーティングが堆積され、スライダ525が仕上げられた後のスライダ525の断面160Lを示している。いくつかの実施形態において、スライダ525は、スライダに読み書きヘッド540を追加することによって、及び/又は、追加のラッピングステップを行うことによって仕上げられている。ステップ320は、本明細書中に示すステップよりも多い又は少ないステップを用いて達成されてもよいことは、言うまでもない。その上、本明細書中に開示するもの以外の、又は、それに加えた従来の技法が用いられてもよい。
【0169】
図21Iは、
図21Hの実施形態に示すスライダ断面160LのABS関数180Lを示している。少なくとも1つのyの値が存在することに対して、ABS関数180Lが少なくとも2つの全く異なるゼロではない値を有するため、ABS関数180Lは多価関数である。例えば、ABS関数180Lは、材料360を用いて作成されるフィーチャと交差するy軸に沿った位置において、少なくとも2つの全く異なるゼロではないz値を有している。例えば、線175の位置に対応するyの値において、ABS関数180Lは、3つの全く異なる値を有している。
【0170】
図11に戻って参照すると、例示のフィーチャ200A〜200Fのそれぞれは、
図21H及び21IのABS関数180Lで示すようなキャビティであってもよく、それぞれは製造プロセス300を用いて作成されてもよい。
【0171】
積層造形技法のみを用いてスライダ全体を製造することが可能であることは、本明細書中の開示を考慮して正しく認識されるべきである。言い換えれば、
図19を参照して、ステップ310及び320は省略されてもよく、スライダ全体は、ステップ315で示すような積層造形技法のみを用いて製造されてもよい。
【0172】
前記説明及び添付図面において、特定の用語を、開示する実施形態の完全な理解を提供するために説明してきた。いくつかの例において、用語又は図面は、本発明を実施するためには必要とされない特定の詳細を含意している可能性がある。
【0173】
本開示を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の構成部品(例えば、ディスクドライブの)をブロック図の形で示し、及び/又は、詳細には、若しくは、いくつかの場合においては全く、説明しない。
【0174】
本明細書中で特に定義しない限り、全ての用語は、明細書及び図面から暗示される意味、並びに、当業者によって理解されるか、及び/又は、辞書、論文等において定義されるような意味を含む、それらの可能性のある最も広い解釈を与えるものである。本明細書中で明確に述べたように、いくつかの用語は、それらの通常又は慣例的な意味に適合していなくてもよい。
【0175】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、特に規定のない限り、複数の指示対象を排除するものではない。単語「又は」は、特に規定のない限り、包括するものとして解釈すべきである。従って、語句「A又はB」は、以下の「A及びBの両方」、「Aではあるが、Bではない」、及び「Bではあるが、Aではない」といった全てを意味するものとして解釈すべきである。本明細書中の「及び/又は」のいずれかの使用も、用語「又は」単体が排他性を暗示することを意味するものではない。
【0176】
本明細書中で用いるように、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、又はCのうちの1つ以上」、及び「A、B、及びCのうちの1つ以上」といった形の語句は入れ替え可能であり、それぞれは以下の「Aのみ」、「Bのみ」、「Cのみ」、「A及びBではあるが、Cではない」、「A及びCではあるが、Bではない」、「B及びCではあるが、Aではない」、及び「A、B、及びCの全て」の意味の全てを包含する。
【0177】
用語「含む」、「有すること」、「有する」、「持つ」、及びそれらの変形例が詳細な説明又は特許請求の範囲において用いられる範囲で、かかる用語は、用語「備える」、すなわち、「以下を含むが、これらに限定されない」と類似した要領で包括するものであることを意図している。用語「例示」及び「実施形態」は、優先するもの又は要件ではなく、実例を表現するために用いている。
【0178】
用語「その上方」、「その下方」、「その間」、及び「その上」は、1つのフィーチャの他のフィーチャに対する相対位置に言及するために本明細書中で用いている。例えば、別のフィーチャの「上方」又は「下方」に堆積される1つのフィーチャは、他のフィーチャと直接接触してもよいか、又は、介在する材料を有していてもよい。その上、2つのフィーチャの「間」に堆積される1つのフィーチャは、2つのフィーチャと直接接触してもよいか、又は、1つ以上の介在するフィーチャ又は材料を有していてもよい。対照的に、第2のフィーチャ「の上」の第1のフィーチャは、第2のフィーチャと接触している。
【0179】
図面は正確な縮尺である必要はなく、フィーチャの寸法、形状、及び大きさは、それらが図面において描写されている方法とは実質的に異なっていてもよい。更に、x、y、及びz軸の使用、標示、及び配向は、便宜上のものであり、本明細書中に提供する説明を容易にするためのものである。
【0180】
その上、例示のウェハ120及びスライダ525は直方体形状を有しているが、他のウェハ120及びスライダ525の形状が、本開示の精神及び適用範囲から逸脱することなく用いられてもよい。
【0181】
特定の実施形態を開示してきたが、様々な変形及び変更が、本開示のより広範な精神及び適用範囲から逸脱することなく、それらに対して行われてもよいことは明白であろう。例えば、実施形態のいずれかのフィーチャ又は態様も、少なくとも実施可能な場合、その他の実施形態と組み合わせて、又は、それらと同等のフィーチャ又は態様の代わりに適用されてもよい。従って、明細書および図面は、限定的ではなく例示的な意味で見なされるべきである。