(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
張り込みホッパー10に投入された穀粒Tを送風装置2の吸引搬送風により貯留タンク11に搬送する搬送筒1の端部を、該搬送筒1から取り入れた搬送風を減速する無孔板により密閉された筒形状に形成した取入部15の上側側部に接続し、該取入部15の下方に、下部に貯留タンク11に穀粒Tを供給するロータリーバルブ18を設けた下方に至るに従い細くなる漏斗形状の分離排気部17を設け、分離排気部17は、分離排気部17の一部または全部に形成した開口孔26と、分離排気部17の周囲を密閉状に包囲する下部外側ケース32と、分離排気部17の外周と下部外側ケース32の内周との間に形成した吸引室27とにより、分離排気部17内で搬送風と穀粒Tとを分離しつつ吸引室27から搬送風を排気する構成とし、前記吸引室27は、吸引室27の上下両側から分離排気部17内の搬送風を吸引排気する構成とした穀粒分離装置。
張り込みホッパー10に投入された穀粒Tを送風装置2の吸引搬送風により貯留タンク11に搬送する搬送筒1の端部を、該搬送筒1から取り入れた搬送風を減速する無孔板により密閉された筒形状に形成した取入部15の上側側部に接続し、該取入部15の下方に、下部に貯留タンク11に穀粒Tを供給するロータリーバルブ18を設けた下方に至るに従い細くなる漏斗形状の分離排気部17を設け、分離排気部17は、分離排気部17の一部または全部に形成した開口孔26と、分離排気部17の周囲を密閉状に包囲する下部外側ケース32と、分離排気部17の外周と下部外側ケース32の内周との間に形成した吸引室27とにより、分離排気部17内で搬送風と穀粒Tとを分離しつつ吸引室27から搬送風を排気する構成とし、前記吸引室27の上側には複数の上側排気分岐管40の一端を接続し、吸引室27の下側には複数の下側排気分岐管43の一端を接続した穀粒分離装置。
張り込みホッパー10に投入された穀粒Tを送風装置2の吸引搬送風により貯留タンク11に搬送する搬送筒1の端部を、該搬送筒1から取り入れた搬送風を減速する無孔板により密閉された筒形状に形成した取入部15の上側側部に接続し、該取入部15の下方に、下部に貯留タンク11に穀粒Tを供給するロータリーバルブ18を設けた下方に至るに従い細くなる漏斗形状の分離排気部17を設け、分離排気部17は、分離排気部17の一部または全部に形成した開口孔26と、分離排気部17の周囲を密閉状に包囲する下部外側ケース32と、分離排気部17の外周と下部外側ケース32の内周との間に形成した吸引室27とにより、分離排気部17内で搬送風と穀粒Tとを分離しつつ吸引室27から搬送風を排気する構成とし、前記下部外側ケース32の上方には取入部15を包囲する上部外側ケース19を設け、上部外側ケース19の内周と取入部15の外周の間の空間内に複数の上側排気分岐管40を配置し、上側排気分岐管40の下部は密閉された吸引室27の上部に接続し、密閉された吸引室27の下部には複数の下側排気分岐管43の一端を接続した穀粒分離装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面により説明すると、
図1において、1は、米麦、飼料等の穀粒Tを搬送する搬送装置Hの搬送通路を構成する搬送筒であり、搬送装置Hには一台の送風装置2を設ける。
送風装置2は公知のものであり、ファン(図示省略)を回転させて、送風装置2の一方側から吸引して他方に排気するように構成する。送風装置2の吸気部3には、前記搬送筒1の一端を接続して吸引搬送風路に形成する。5は送風装置2の排気部であり、排気部5から排気する。
搬送筒1の始端部側には張り込みホッパー10の下部を接続する。
送風装置2により吸引される吸引搬送風は、送風装置2で圧縮されて排気部5より排気される高圧排気風に比し温度が低いため、搬送風により空気搬送するに際して穀粒Tの温度の上昇を抑制または防止して、穀粒Tの変質を防止する。
【0009】
送風装置2と張り込みホッパー10の間には、穀粒Tを貯留する貯留タンク11を設ける。貯留タンク11の上手側には穀粒Tを搬送する搬送風から穀粒Tを分離させる穀粒分離装置12を設ける。
前記穀粒分離装置12は、
図2のように、前記搬送筒1からの搬送風を取り入れ減衰(減速)させる取入部15と、該取入部15の下方に設けた穀粒Tと搬送風とを分離させつつ搬送風を排気する分離排気部17とを有して構成する。
分離排気部17は下方に至るに従い細くなる漏斗形状に形成し、分離排気部17の下部に前記貯留タンク11に穀粒を供給するロータリーバルブ18を設ける。
【0010】
前記取入部15は穀粒分離装置12の上部外側ケース19内に設け、取入部15は無孔板により平面視において円筒形状に形成し、取入部15の接線方向の位置に前記搬送筒1の供給側搬送筒20を接続する供給側接続ノズル21を接続して構成する。
すなわち、取入部15は、所謂サイクロンの原理により取り込んだ搬送風および穀粒Tを減速させる。
この場合、取入部15の内径と供給側接続ノズル21から吹き込む搬送風の風力とを、穀粒Tが取入部15内周面に衝撃的に当接して割れが生じないように、相対的に設定する。
【0011】
即ち、供給側接続ノズル21から入る搬送風に対して、取入部15の内径が小さいと、取入部15に搬送風の減衰(減速)が十分でなく、取入部15の内面に穀粒Tが当たって損傷するので、供給側接続ノズル21から入る搬送風を渦流にして減衰(減速)させ、これにより、穀粒Tの自重落下を促すように設定する。
また、取入部15の中心には所定径の縦軸心の円筒状の案内体22を設ける。案内体22は取入部15内に流入した搬送風が渦流となるように、搬送風の流れ方向を案内する。
前記穀粒分離装置12には、穀粒Tの搬送中に穀粒T表面から遊離した粉状物Fのみならず、穀粒T表面から遊離すると糠あるいはふすま等と称される遊離前の粉状物Fをも除去する粉状物除去部25を設ける。
【0012】
この場合、粉状物除去部25は、従来のような穀粒T同士を所定の圧力を付与して擦り合わせて表面を研磨する専用の研米(研磨)装置のようなものでなく、穀粒空気搬送装置Hの一部として使用する穀粒分離装置12内に設ける。
したがって、粉状物除去部25は、穀粒Tと搬送風とを分離させる際に、穀粒T表面の糠あるいはふすま等の粉状物Fを除去する(
図6)。
そのため、通常の穀粒Tの空気搬送装置Hであっても使用できるが、一旦精白作業された穀粒Tの搬送経路中に穀粒分離装置12を設置すると、搬送中の穀粒Tの表面の糠あるいはふすま等の粉状物Fの除去が可能となる。
また、特に、飼料や菓子の原料となる屑米等の搬送に使用すると、専用の粉状物除去部を不要とし、設備投資を低くでき、設置効果が高い。
【0013】
粉状物除去部25は、穀粒Tが通過しない開口孔26を多数形成した分離排気部17の周囲に、吸引室27を形成して構成する。
すなわち、取入部15に入った搬送風は分離排気部17の開口孔26から吸引室27のみを介して排気される構成とし、この分離排気部17内に搬送風と一緒に吹き込まれた穀粒T同士が摺り合わうことと、開口孔26から搬送風が排気されるときに穀粒Tが分離排気部17内周面に当接しながら流下することにより、穀粒Tに付着している粉状物Fおよび穀粒T表面を擦って除去し、除去した粉状物Fを吸引室27により排気風として機外に吸引排除するように、粉状物除去部25を構成している。
【0014】
前記開口孔26は、穀粒Tは通過しないが、粉状物Fが通過する目合構成とし(
図6)、例えば、平織りや綾織りといった種々の加工方法で形成される網(メッシュ)や、パンチングメタル等の多孔版により形成すればよく、開口孔26の向きも縦横斜めを問わず、何れでもよいが、開口孔26の周縁は、所謂エッジと言われる鋭利な角部28とすると(
図6)、穀粒Tが流下する際、穀粒Tの付着粉状物Fの削り作用・効果および搬送風が抜けるときの粉状物Fの通過量を向上させられ、除去・選別・分離効率が向上して好適である。
なお、理解を容易にするため、
図2では開口孔26の大きさを実際のものより、大きく開口させている。
【0015】
また、分離排気部17の内周面上を穀粒Tが流下するとき、分離排気部17内の搬送風の渦流の遠心力が開口孔26からの粉状物Fの排出方向に作用させられ、粉状物Fの選別効果を向上させることができる。
分離排気部17は、取入部15を設けた前記穀粒分離装置12の上部外側ケース19の下部の仕切板29の下面側に分離排気部17の上側漏斗部30の上部を着脱自在に取付ける。
この上側漏斗部30の下方に下側漏斗部31を着脱自在に取付け、下側漏斗部31の下部は下部外側ケース32またはロータリーバルブ18に着脱自在に取付けた下側筒部33に着脱自在に取付け、この下側漏斗部31に前記開口孔26を形成している。
【0016】
したがって、本実施形態の分離排気部17は、前記上側漏斗部30と、この上側漏斗部30に着脱自在に取付けた下側漏斗部31と、下側漏斗部31に着脱自在に取付けた下側筒部33とにより構成し、開口孔26を形成した下側漏斗部31を下部外側ケース32から取り外し可能に構成して、メンテナンスを容易にしている。
なお、開口孔26は少なくとも分離排気部17の一部に設ければよく、
図2では下側漏斗部31に開口孔26を設けているが、
図7では上側漏斗部30に開口孔26を形成しており、分離排気部17の全体に開口孔26を設けてもよい。
【0017】
35は上側漏斗部30に設けた係合突起、36は下側漏斗部31に設けた係合溝であり、下側漏斗部31の係合溝36を係合突起35に係合させて取付ける。
37は下側漏斗部31に設けた係合突起、38は下側筒部33に設けた係合溝であり、下側漏斗部31の係合突起37に下側筒部33の係合溝38を係合させて取付ける。また、38Aは下側筒部33に設けた下側係合溝であり、下部外側ケース32に設けた係合突起(図示省略)に係合させる。
【0018】
前記分離排気部17の外周と穀粒分離装置12の下部外側ケース32の内周面との間に、前記吸引室27を形成する。吸引室27は、前記仕切板29の下面とロータリーバルブ18の上面と下部外側ケース32の内周面により密閉状態に包囲されて形成すると共に、吸引室27の上下両側から吸引する構成とする。
そのため、粉状物Fの選別排出効率を高めると共に、吸引室27内および分離排気部17内における粉状物Fの残留を抑制でき、メンテナンスを容易にできる。
【0019】
吸引室27の上部の仕切板29には、複数の上側排気分岐管40の下部を接続し、各上側排気分岐管40の上部は上部外側ケース19の上部に設けた排気側接続ノズル41の一端に接続し、排気側接続ノズル41の他端は排気側搬送筒42に接続する(
図2、
図5)。
また、吸引室27の下方のロータリーバルブ18の上方の下部外側ケース32には複数の下側排気分岐管43の一端を接続し(
図2〜
図4)、各下側排気分岐管43の他端は中間排気管44の一端側に集約して接続し、中間排気管44の他端は前記排気側搬送筒42の中間部に接続する(
図1)。
【0020】
また、前記したように、取入部15は無孔板により形成し、取入部15から搬送風が漏れないように構成しており、吸引室27による分離排気部17内の吸引効果を高めている。
また、分離排気部17は、穀粒Tが分離排気部17の内周面上を摺接しながら流下する傾斜角度となるように形成し、開口孔26からの粉状物Fの選別排出効果を高めている。
前記下部外側ケース32の所定位置には開口部45を設け、開口部45には点検蓋46を設ける(
図3、4)。
【0021】
所定位置の開口部45は、底面から見て下部外側ケース32の全周の略半分の大きさで、分離排気部17の上側漏斗部30から外した下側漏斗部31を機外に取り出せる大きさに形成した大型開口部45Aとしている(
図4)。
そのため、点検蓋46を外すことにより、大型開口部45Aから分離排気部17の下側漏斗部31を露出させてメンテナンス作業を行えるだけでなく、下部外側ケース32から下側漏斗部31を取り外してのメンテナンス作業を可能にしている。
また、大型開口部45Aに対峙する部分の下部外側ケース32には小型開口部45Bを設ける。
【0022】
そのため、大型開口部45Aの点検蓋46を外しても露出できない反対側の分離排気部17の部分のメンテナンスを、点検蓋46を外して小型開口部45Bを開口させることにより行うことができ、メンテナンス作業を容易にしている。
46Aは大型開口部45Aを閉塞する大型点検蓋、46Bは小型開口部45Bを閉塞する小型点検蓋である。
また、上部外側ケース19の所定位置には開口部45を設け、各開口部45には所謂観音開きの点検蓋46を開閉自在に設けている。
48は点検蓋46に設けた取っ手である。
【0023】
上側排気分岐管40と下側排気分岐管43を接続した排気側搬送筒42には、穀粒分離装置12(粉状物除去部25)で分離されて搬送された粉状物Fを、搬送風から分離させる粉状物分離装置(ダスト用サイクロン)50を設ける(
図1)。
粉状物分離装置50の構成は任意であり、粉状物分離装置50の排出部には、送風装置2の排気口に接続した排気筒51の中間部を接続し、粉状物分離装置50で分離した粉状物Fを排気筒51により粉状物回収部52に搬送する。
【0024】
(実施形態の作用)
本発明は、上記構成であり、張り込みホッパー10の張り込みシャッター(図示省略)を閉じて張り込みホッパー10に穀粒Tを張り込み、次に、空気通路開閉用バルブを閉状態にして送風装置2に通電し、送風装置2に通電後空気通路開閉用バルブを開くと、搬送筒1内の空気が送風装置2により吸引され、これにより、穀粒分離装置12の吸引室27内が負圧になり、吸引室27は分離排気部17の開口孔26を介して取入部15および分離排気部17内を負圧にし、張り込みホッパー10内の穀粒Tは搬送筒1内に吸引され、搬送筒1内を流れる吸引風により供給側搬送筒20を経由して供給側接続ノズル21に至る。
【0025】
供給側接続ノズル21は穀粒分離装置12の取入部15に接続され、供給側接続ノズル21は取入部15の接線方向に開口しているから、穀粒Tは供給側接続ノズル21から搬送風と共に取入部15内に吹き込まれ、吹き込んだ搬送風は取入部15内で渦流となって減圧(減速)される。
搬送風は分離排気部17の開口孔26から吸引室27を抜けて上側排気分岐管40と下側排気分岐管43とを介して排気側搬送筒42に排気され、穀粒Tは下方の分離排気部17内に落下し、分離排気部17からロータリーバルブ18に流入し、搬送風と穀粒Tとが分離される。
【0026】
しかして、穀粒分離装置12には糠あるいはふすま等の穀粒T表面が削られて発生する粉状物Fを除去する粉状物除去部25を設け、この粉状物除去部25は、従来のような穀粒Tの表面を磨く専用の研米装置のようなものではなく、穀粒空気搬送装置Hの一部として使用する穀粒分離装置12内に設けているので、穀粒分離装置12は、穀粒Tと搬送風とを分離させる際に、粉状物除去部25により、穀粒T表面から遊離した粉状物Fのみならず、穀粒T表面部分から遊離すると糠あるいはふすま等になる表層物(粉状物F)をも除去する。
【0027】
それゆえ、通常の穀粒Tの空気搬送装置Hであっても使用できるが、一旦精白作業された穀粒Tの搬送に使用すると、搬送中の穀粒Tの表層の糠あるいはふすま等の表層物の除去が可能となり、特に、飼料や菓子の原料となる屑米等の搬送に使用すると、搬送中に生じる粉状物Fの除去ができ、専用の粉状物除去部を不要とし、設備投資を低くでき、設置効果が高い。
粉状物除去部25は、分離排気部17の一部に穀粒Tが通過しない開口孔26を多数形成しているので、粉状物除去部25は、分離排気部17内にて搬送風の渦流中の穀粒T同士の衝突と、渦流の搬送風による穀粒Tが開口孔26に積極的に摺接することにより、穀粒T表面の摺接効果を高め、穀粒T表面に付着している粉状物Fを擦り取り、穀粒Tから粉状物Fを分離除去する。
【0028】
すなわち、取入部15から分離排気部17に落下する穀粒Tは、渦流の搬送風により渦状に分離排気部17の内周面に摺接しながら流下し、摺接するときの抵抗により穀粒T表面の付着物が除去される。
また、分離排気部17は下方に至るに従い細くなる漏斗形状に形成し、分離排気部17に開口孔26が形成されているので、分離排気部17の内周面(傾斜面)を流下するときに開口孔26から穀粒Tより小さい(細かい)粉状物Fを排出(落下)させる粒径選別が行われ、粉状物Fの除去効率を向上させている。
【0029】
この場合、開口孔26の周縁を、所謂エッジと言われる鋭利な角部28とすると、穀粒Tが衝突する際、穀粒Tの付着粉状物Fの削り作用・効果を向上させられ、除去・分離効率が向上して好適である。
また
、分離排気部17は下方に至るに従い小径となる漏斗形状に形成しているので、一層、分離排気部17の内周面へ渦状に摺接するときの圧力が増加すると共に、摺接時間を長くでき、粉状物Fの除去効率を向上させる。
粉状物除去部25は、分離排気部17の周囲に吸引室27を形成して構成しているので、搬送風中の穀粒Tから遊離している遊離粉状物F(糠やふすま)や搬送中に発生した穀粒T表層物(糠やふすま)は、搬送風と一緒に粉状物除去部25の分離排気部17の開口孔26から吸引室27を通って排出される。
【0030】
この場合、取入部15が無孔板により形成され、取入部15には排気口を設けていないので、取入部15に入った搬送風は開口孔26からのみ吸引室27に排気される。
したがって、吸引室27における吸引力を向上させて、開口孔26から排出される粉状物Fを吸引室27に吸引排除でき、粒径選別効率を向上させて、粉状物Fの除去(回収・排出)効率を向上させる。
また、分離排気部17の内周に摺接しながら下方に移動する穀粒Tには、分離排気部17内の搬送風の渦流の遠心力と吸引室27における吸引力とが相俟って作用し、一層、穀粒Tは分離排気部17の内周に外側に押し付けられるように移動中に吸引されるて、穀粒T表面の付着物の除去および粉状物Fの排出を促進させる。
【0031】
したがって、取入部15から分離排気部17に入った穀粒Tには、穀粒Tの自重と、搬送風の渦の風力(遠心力)と、分離排気部17から該分離排気部17の周囲の吸引室27に吹き抜ける吸引力が作用して、粉状物Fの除去(選別)が良好に行える。
また、粉状物除去部25は、分離排気部17の外周の吸引室27から横向きに搬送風を吸引し、分離排気部17の外側の吸引室27内で排気の一部を上昇させるので、従来のサイクロンと相違して分離排気部17内で上昇方向の渦流の発生はなく、従来のような分離排気部17内で穀粒Tが浮遊することがなく、それゆえ、「浮遊残留現象」の発生も防止でき、その結果、送風装置2を停止させなくても、分離排気部17内の穀粒Tを全部排出させることができる。
【0032】
分離排気部17の外周と穀粒分離装置12の下部外側ケース32の内周面との間に、粉状物除去部25の吸引室27を形成し、吸引室27は仕切板29と吸引室27の下方のロータリーバルブ18と下部外側ケース32により密閉状態に包囲されて形成すると共に、吸引室27の上下両側から吸引する構成としているので、分離排気部17内を吸引する吸引室27の吸引力を高めて粉状物Fの排出効率を高めると共に、吸引室27内における粉状物Fの残留を抑制でき、メンテナンスを容易にできる。
すなわち、単に、吸引室27内を上方から吸引するだけでは、吸引斑が生じ、この吸引斑のある部分に粉状物Fが付着してやがて残留粉状物Fとして堆積してしまうが、吸引室27内を上下両側から吸引することにより、粉状物Fの除去効率を向上させつつ、粉状物Fの残留を抑制できる。
【0033】
具体的には、吸引室27の上部の仕切板29には、複数の上側排気分岐管40の下部を接続し、各上側排気分岐管40の上部は上部外側ケース19の上部に設けた排気側接続ノズル41の一端に集約して接続し、排気側接続ノズル41の他端は排気側搬送筒42に接続しているので、吸引室27の上側は複数の上側排気分岐管40により吸引排気されて、排気風により粉状物Fを排出する。
また、吸引室27の下方のロータリーバルブ18の上方の下部外側ケース32には複数の下側排気分岐管43の一端を接続し、各下側排気分岐管43の他端は中間排気管44の一端側に集約して接続し、中間排気管44の他端は排気側搬送筒42に接続しているので、吸引室27の下側は複数の下側排気分岐管43により吸引室27を下側に吸引排気し、粉状物Fを排出する。
【0034】
また、複数の上側排気分岐管40と下側排気分岐管43は、円周方向に所定間隔をおいてそれぞれ取付接続しているので、吸引室27内は、上下方向のみならず、円周方向における吸引風の均平化を図ることができ、この点でも、穀粒T表面の粉状物Fの除去効率を高めると共に、粉状物Fの残留を抑制してメンテナンスを容易にすることができる。
【0035】
このように、本願の粉状物除去部25は、分離排気部17の周囲で上下側から吸引される吸引室27の吸引風と分離排気部17の開口孔26から吸引室27に向けて流れる分離排気部17内の搬送風の渦流風とにより、穀粒Tを分離排気部17の内周面に当接させることができ、穀粒T表面の粉状物Fの除去効率を高めると共に、粉状物Fの残留を抑制してメンテナンスを容易にすることができ、また、一台の送風装置2により、穀粒Tの搬送と、穀粒Tから粉状物Fや米粉等の粉塵の除去と、粉状物Fの回収を連続的に行える。
【0036】
穀粒分離装置12の粉状物除去部25により搬送穀粒Tから分離した粉状物Fは、搬送筒1の排気側搬送筒42により粉状物分離装置50に搬送し、粉状物分離装置50にて搬送された粉状物Fを搬送風から分離させる。
この粉状物分離装置50で分離された粉状物Fは、粉状物分離装置50の排出部に接続した送風装置2の排気筒51により粉状物回収部52に圧送して回収する。
一方、粉状物Fが除去されて空気と分離された穀粒Tは貯留タンク11内に入り、貯留タンク11から色彩選別作業や計量・袋詰め作業等の次工程Gに供給される。
【0037】
その結果、穀粒空気搬送装置Hの空気搬送の搬送機構のうちの、穀粒Tと搬送風とを分離させる穀粒分離装置12に粉状物Fを除去する粉状物除去部25を内蔵させ、穀粒分離装置12の搬送風の減衰機構を粉状物除去部25の分離機構に兼用させることができ、合理的構成となる。
また、粉状物除去部25を有する穀粒分離装置12を空気搬送装置Hの搬送経路に組み込むことにより、穀粒Tの搬送と粉状物Fの除去(選別)と粉状物Fの回収とを、穀粒搬送中に行うことができる。
【0038】
分離排気部17は取入部15の下部に設けるが、取入部15は前記穀粒分離装置12の上部外側ケース19の下部に設けた仕切板29の上面側に着脱自在に取付け、仕切板29の下面側に分離排気部17の上側漏斗部30の上部を着脱自在に取付け、上側漏斗部30に下側漏斗部31を着脱自在に取付けているので、上部外側ケース19から下部外側ケース32を外し、上側漏斗部30から下側漏斗部31を外すことができ、メンテナンスを容易にすることができる。
【0039】
しかして、下部外側ケース32の所定位置には開口部45を設け、開口部45には点検蓋46を着脱自在に設けているので、点検蓋46を外すと、分離排気部17の外周を露出させることができ、付着物の除去等のメンテナンスを容易に行える。
この場合、下部外側ケース32に設けた開口部45のうち、一方の大型開口部45Aは、図のように、下部外側ケース32の表面積のほぼ半分の開口面積とし、他方の開口部45Bは1/8面の開口面積として大型開口部45Aに対峙させて設けているので、下部外側ケース32の剛性および吸引室27の気密性を確保しつつ、メンテナンスを容易にしている。
【0040】
さらに、下部外側ケース32の大型開口部45Aは、上側漏斗部30から外した下側漏斗部31を下部外側ケース32の機外に取り出せる大きさに形成しているので、開口孔26を有する下側漏斗部31の着脱作業を容易にして、メンテナンスを容易にしている。
また、前記開口部45のうち、上部外側ケース19の開口部45に取付けた点検蓋46は所謂観音開きに開閉自在に取付けているので、取入部15の周囲のメンテナンスを容易にしている。