特許第6463469号(P6463469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463469
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】高い曲げ剛性を有する複合材サンドイッチ
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/28 20060101AFI20190128BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20190128BHJP
   B29C 43/20 20060101ALI20190128BHJP
   B32B 3/12 20060101ALI20190128BHJP
   B32B 37/24 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   B32B5/28 A
   B29C43/18
   B29C43/20
   B32B3/12 Z
   B32B37/24
【請求項の数】7
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2017-516259(P2017-516259)
(86)(22)【出願日】2015年6月3日
(65)【公表番号】特表2017-518907(P2017-518907A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】US2015034070
(87)【国際公開番号】WO2016028359
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2017年1月31日
(31)【優先権主張番号】62/007,614
(32)【優先日】2014年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/007,632
(32)【優先日】2014年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/007,652
(32)【優先日】2014年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/007,670
(32)【優先日】2014年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/007,685
(32)【優先日】2014年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/108,837
(32)【優先日】2015年1月28日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516363053
【氏名又は名称】ブライト ライト ストラクチャーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドッドワース アントニー
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−207843(JP,A)
【文献】 特開平08−258189(JP,A)
【文献】 特開平01−320145(JP,A)
【文献】 特開平02−088227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00−43/00
B29C39/00−43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材サンドイッチを製作する方法であって、
第1のポリマ樹脂含浸繊維シートと、
第2のポリマ樹脂含浸繊維シートと、および
前記第1の繊維シートと前記第2の繊維シートとの間に位置付けられ、複数のチューブ状部材を含むポリマコアブランクと、
を含むスタックアセンブリを組み立てる工程と、
第1の成形型部分と第2の成形型部分の間に前記スタックアセンブリを配置する工程と、
ならびに
前記スタックアセンブリを加熱し、それに圧力を印加して前記ポリマ樹脂の発泡体を形成するように前記第1の成形型部分と前記第2の成形型部分の間の前記スタックアセンブリを圧縮することによって、前記第1および第2の繊維シートを前記ポリマコアブランクに結合させて、前記複合材サンドイッチを形成する工程と、
を含み、
前記発泡体が、1つ以上の前記チューブ状部材の中に部分的に延在していることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項に記載の方法であって、前記スタックアセンブリを加熱し、それに圧力を印加して前記第1および第2の繊維シートを前記ポリマコアブランクに結合させて、前記複合材サンドイッチを形成する工程が、前記コアブランクの第1の部分を第1の厚さに圧縮し、前記コアブランクの第2の部分を前記第1の厚さよりも大きい第2の厚さに圧縮する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項に記載の方法であって、互いに結合して前記コアブランクを形成する前記チューブ状部材をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項からのいずれか1項に記載の方法であって、前記コアブランクを圧縮する工程が、その中にある前記チューブ状部材の少なくともいくつかの曲がり、座屈、または融解のうち1つ以上を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項からのいずれか1項に記載の方法であって、前記第1のポリマ樹脂含浸繊維シートと前記コアブランクとの間に発泡体を形成する工程、または前記第2のポリマ樹脂含浸繊維シートと前記コアブランクとの間に発泡体を形成する工程のうち1つ以上を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項からのいずれか1項に記載の方法であって、前記スタックアセンブリを加熱し、圧力を印加する工程が、第2の成形型部分を第1の成形型部分よりも高い温度に加熱する工程を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項からのいずれか1項に記載の方法であって、前記スタックアセンブリに圧力を印加する工程が、5bar〜10barの圧力を印加する工程を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い曲げ剛性を有する複合材サンドイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2014年6月4日に出願された米国特許仮出願第62/007,614号に対する優先権を主張するものであり、その開示全体を本願に引用して援用する。
【0003】
本出願は、2014年6月4日に出願された米国特許仮出願第62/007,632号に対する優先権を主張するものであり、その開示全体を本願に引用して援用する。
【0004】
本出願は、2014年6月4日に出願された米国特許仮出願第62/007,652号に対する優先権を主張するものであり、その開示全体を本願に引用して援用する。
【0005】
本出願は、2014年6月4日に出願された米国特許仮出願第62/007,670号に対する優先権を主張するものであり、その開示全体を本願に引用して援用する。
【0006】
本出願は、2014年6月4日に出願された米国特許仮出願第62/007,685号に対する優先権を主張するものであり、その開示全体を本願に引用して援用する。
【0007】
本出願は、2015年1月28日に出願された米国特許仮出願第62/108,837号に対する優先権を主張するものであり、その開示全体を本願に引用して援用する。
【0008】
複合材構造は、任意数の好適な用途に使用することができる。一般に、複合材構造はまた、重量強度比の低減が重要である各種用途にも用いることができる。例えば、複合材構造は、車両シャーシ、通信機器用パネル、輸送手段または車両(例えば、自転車、オートバイ、トラック等)用フレームまたは本体部分、農業用途(例えば、農業機器)、エネルギ関連用途(例えば、風力、太陽)、衛星用途、航空宇宙用途、建設材料(例えば、建築材料等)、ならびに消費者製品(例えば、特に家具、便座、および電気製品)に用いることができる。
【0009】
したがって、複合材構造の製造者および使用者は、複合材構造の改善を求め続けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本明細書に記載された実施形態は、比較的高い曲げ剛性を持ち比較的軽い重量を持つことができる複合材構造(例えば、複合材サンドイッチ)、ならびにそのような複合材構造の使用および製作の関連方法に関する。例えば、複合材サンドイッチは、少なくとも2つの複合材スキンの間に挟まれたコア構造を含んでいてもよい。一部の実施形態において、少なくとも2つの複合材スキンのうち少なくとも1つは、ポリママトリックス(例えば、固化または硬化ポリマ樹脂)およびポリママトリックスに埋設された補強繊維を含んでいてもよい。更に、硬化および固化の後に、ポリマ樹脂は、コアとの間に適度に強固な結合を形成することができる。少なくとも1つの実施形態において、ポリマ樹脂は、固化したとき、複合材サンドイッチに対する構造剛性および/または支持を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態には、複合材サンドイッチが含まれる。より具体的には、複合材サンドイッチは、ポリママトリックスに埋設された複数の補強繊維を含む第1の複合材スキンおよびポリママトリックスに埋設された複数の補強繊維を含む第2の複合材スキンを含む。複合材サンドイッチはまた、第1の複合材スキンと第2の複合材スキンとの間に位置付けられそれらに結合したコアを含む。コアは、対応するセル壁によって画定された複数のセルを含む。例えば、コアはポリマコアを含んでいてもよい。
【0012】
実施形態には、複合材サンドイッチを製作する方法もまた含まれる。前記方法は、第1のポリマ樹脂含浸繊維シート、第2のポリマ樹脂含浸繊維シート、および第1の繊維シートと第2の繊維シートとの間に位置付けられたコアブランクを含むスタックアセンブリを組み立てる工程を含む。前記方法はまた、スタックアセンブリを加熱しそれに圧力を印加して第1および第2の繊維シートをポリマコアブランクに結合させて、複合材サンドイッチを形成する工程を含む。
【0013】
本開示における実施形態のいずれかの特徴は、制限なく、相互に組み合わせて用いてもよい。加えて、本開示の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付図面を考慮すれば、当業者にとって明らかとなるだろう。
【0014】
理解を容易にするため、各種添付図全体を通じて、同じエレメントに同じ参照番号が振られている。これらの図は本発明の典型的実施形態を表すものにすぎず、したがって、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではないことを踏まえて、本発明の実施形態が、以下の添付図面を用いることにより、追加的特徴および詳細と共に記述され説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】一実施形態に従う複合材サンドイッチの部分的平面図である。
図1B図1Aの複合材サンドイッチの部分的断面図である。
図2】一実施形態に従う複合材サンドイッチの部分的断面図である。
図3】別の実施形態に従う複合材サンドイッチの部分的断面図である。
図4】更に別の実施形態に従う複合材サンドイッチの部分的断面図である。
図5】少なくとも1つの実施形態に従う複合材サンドイッチの部分的断面図である。
図6】一実施形態に従う複合材サンドイッチの部分的断面図である。
図7】別の実施形態に従う複合材サンドイッチの部分的断面図である。
図8】更に別の実施形態に従う複合材サンドイッチの部分的断面図である。
図9】少なくとも1つの実施形態に従う複合材サンドイッチの等角図である。
図10】一実施形態に従う複合材サンドイッチの部分的断面図である。
図11】一実施形態に従う、複合材サンドイッチを製作するためのコアブランクの平面図である。
図12】別の実施形態に従う、複合材サンドイッチを製作するためのコアブランクの平面図である。
図13】一実施形態に従うコアブランクの1つ以上の部分を押し出し成形するための押出成形機の概略図である。
図14】一実施形態に従う圧縮成形型の断面図である。
図15】一実施形態に従い製作されたサンプル複合材サンドイッチの写真である。
図16】一実施形態に従うサンドイッチアセンブリを製作する方法のフローチャートである。
図17】別の実施形態に従うサンドイッチアセンブリを製作する方法のフローチャートである。
図18】1つ以上の実施形態に従う各種構成のパネルの曲げ剛性を比較したグラフである。
図19】曲げ剛性を計算するためのパネルの図である。
図20】一実施形態に従う、曲げ剛性を計算するための複合材サンドイッチの図である。
図21A】一実施形態に従う複合材構造の側面図である。
図21B】一実施形態に従う複合材サンドイッチの側面図である。
図21C】別の実施形態に従う複合材サンドイッチの側面図である。
図22A】等価厚さのプレートについて重量およびコストの材料比較を示したグラフである。
図22B】等価剛性のプレートについて重量およびコストの材料比較を示したグラフである。
図23】異なる複合材サンドイッチの曲げ弾性率を比較した棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に記載された実施形態は、比較的高い曲げ剛性を持ち比較的軽い重量を持つことができる複合材構造(例えば、複合材サンドイッチ)、ならびに前記複合材構造の使用および製作の関連方法に関する。例えば、複合材サンドイッチは、少なくとも2つの複合材スキンの間に挟まれたコア構造を含んでいてもよい。一部の実施形態において、少なくとも2つの複合材スキンのうち少なくとも1つは、ポリママトリックス(例えば、固化または硬化ポリマ樹脂)およびポリママトリックスに埋設された補強繊維を含んでいてもよい。一般に、硬化または固化ポリマ樹脂は、実質的に完全に硬化または固化されるか、部分的に硬化または固化される(例えば、ポリマ樹脂が少なくとも部分的に粘性を有するままになっている場合など)。更に、硬化および固化の後に、ポリマ樹脂は、コアとの間に適度に強固な結合を形成することができる。少なくとも1つの実施形態において、ポリマ樹脂は、固化したとき、複合材サンドイッチに対する構造剛性および/または支持を提供する。
【0017】
一般に、複合材サンドイッチは、任意数の装置および/または構造における任意数の好適な要素またはエレメントとして使用されるか、それらの要素またはエレメントを形成することができる。例えば、複合材サンドイッチは、自動車などの車両内の要素(例えば、構造要素またはフレーム要素、パネル等)として使用することができる。一部の実施形態において、複合材サンドイッチは、家具、床板等に使用することができる。いずれの場合も、複合材サンドイッチは、各種用途において構造要素および/または非構造要素として使用することができる。
【0018】
1つ以上の実施形態において、コアブランクを製作時に少なくとも部分的に圧縮して、複合材サンドイッチのコアを形成してもよい。例えば、コアブランクをポリマ樹脂含浸繊維シート間に位置付け、それらを一緒に加熱および/または圧縮して複合材サンドイッチを形成してもよい。特に、ポリマ樹脂と組み合わされた繊維シートは、複合材サンドイッチの複合材スキンを形成してもよく、複合材スキンは(コアブランクから形成された)コアに結合する。一部の実施形態において、異なる高さまたは厚さにコアブランクを圧縮し、コアの異なる部分ごとに対応して異なる厚さを有するコアを形成してもよい。したがって、一部の実施形態において、複合材サンドイッチの異なる部分は、異なる厚さを有していてもよい(例えば、複合材サンドイッチは、三次元の構成を有していてもよい)。更に、複合材サンドイッチは、概ね、平面状および/または非平面状表面を持つパネルとして形成されてもよい。
【0019】
コア材料および構成は、実施形態ごとに異なっていてもよい。一般に、比較的硬いコアは、コアの一方の端からコアの他方の端へと全荷重を効率的に伝達することができる。例えば、「硬質」コアは、塑性材料(例えば、熱可塑物、熱硬化物等)を含むコアブランクから形成されてもよく、対応する1つ以上のセル壁により画定された複数のセルを含んでもよい(例えば、塑性材料は、セルが任意数の好適な形状を有し得るハニカム様構造を画定してもよい)。一部の実施形態において、プラスチックチューブ(例えば、低コスト材料を含有し比較的軽量であり得る飲用ストロなどのストロ)を一緒に組み合わせて、コアブランクを集合的に形成してもよい(例えば、各ストロがコアの対応セルを画定し、隣接コアがセル間の隙間または空間内の追加セルを画定するようにしてもよい)。追加的または代替的に、高密度発泡体ならびにその他の好適なおよび/または圧縮可能な材料(例えば、多孔質であるか、微小または微細な孔またはセルを含み、材料内で三次元配置を持ち得る材料)が、コアブランクに含まれてもよい。
【0020】
追加的または代替的実施形態において、コアの1つ以上は、比較的軟質であってもよく、板紙もしくはカードボードまたは低密度発泡体などの比較的軟質の材料を含むか、そのような材料から構成されてもよい。「軟質」コアは、コアの端に荷重が印加されたとき、コアの一方の端からコアの反対側の端へと全荷重を伝達しないことがある。例えば、「軟質」コアは、板紙またはカードボード等から形成されてもよい。一部の実施形態において、全荷重は、印加荷重の少なくとも70%を意味する。一部の実施形態において、全荷重は、印加荷重の少なくとも80%を意味する。一部の実施形態において、全荷重は、印加荷重の少なくとも90%を意味する。一部の実施形態において、全荷重は、印加荷重の少なくとも100%を意味する。「軟質」コアは、複合材スキンに対して実質的に直角をなす垂直方向において、「硬質」コアよりも大きなエネルギまたは衝撃を吸収することができる。
【0021】
上記のように、複合材スキンの構成および/または組成(例えば、ポリママトリックスおよび/または補強繊維の組成)は、実施形態ごとに異なっていてもよい。一般に、繊維は、連続繊維(例えば、スキンの両端間に延在し得る繊維)および/またはランダムに配向した不連続もしくは短繊維であり得る。一部の実施形態において、不連続繊維は、材料コストを大幅に低減するため、RTMなどによる屑繊維からの再生利用繊維であってもよい。また、繊維も任意数の好適な材料を含んでもよい(例えば、繊維は、炭素繊維、ガラス繊維等であってもよい)。
【0022】
更に、繊維(連続繊維および/または不連続繊維)を一緒に配置し、繊維シートを画定してもよい。一部の実施形態において、繊維シート中の繊維は、重ね合わされてもよく、および/または織り合わされてもよい。あるいは、繊維を緩く一緒にして位置付け、および/または一緒にマット状にして、繊維シートを画定してもよい。一実施形態では、緩く位置付けられた繊維を一緒に付着または結合させて、繊維シートを形成してもよい。
【0023】
一部の実施形態において、本明細書に記載された複合材サンドイッチは、比較的高い曲げ剛性および複合材サンドイッチに沿った比較的良好なエネルギ吸収性を有し得る(例えば、複合材サンドイッチは比較的硬質なコアを含む)。例えば、高い曲げ剛性および/または良好なエネルギ吸収性を有する複合材サンドイッチは、任意数の好適な要素(例えば、シャーシなどの、車両の構造要素)として製作されるのに使用されてもよく、またはそれらの要素として製作されてもよい。上記のように、複合材サンドイッチから製作される要素は、二次元および/または三次元構成を有し得る。本明細書で使用するとき、用語「二次元」複合材サンドイッチとは、概ね平坦または平面的な対向する外側表面および概ね均一な厚さを有する複合材サンドイッチを指す。対照的に、本明細書で使用するとき、用語「3次元」複合材サンドイッチとは、1つ以上の非平面外側表面および/または不均一な厚さを有する複合材サンドイッチを指す。
【0024】
一実施形態において、複合材サンドイッチは、実質的に表面の欠陥がないポリマ表面を含んでいてもよい。例えば、本明細書に記載された低圧圧縮成形プロセスは、実質的にピンホールのないポリマ表面を生成し得る(例えば、複合材サンドイッチのスキン層の1つ以上の外側表面が、ピンホールなどの欠陥を含まないことがある)。一部の実施形態において、実質的に欠陥のない表面は、(例えば、欠陥のある表面と比較して)塗装がより容易および/またはより安価になり得る。通常、RTMプロセスは、仕上げられた複合材表面上のピンホールの大きさを低減するために120bar(約1764psi)などの高圧の印加を必要とするが、前記ピンホールは加工が高圧で実施されたときにも残留することがある。場合によって、高圧RTMプロセスは、低圧圧縮成形よりも高価になることがあり、および/または低圧圧縮成形プロセスよりも収率が低下することがある。
【0025】
図1Aおよび1Bはそれぞれ、一実施形態に従う複合材サンドイッチ100の概略上面図および断面図を示している。図示された実施形態において、複合材サンドイッチ100は、上部複合材スキン102、底部複合材スキン104、および上部複合材スキン102と底部複合材スキン104との間に挟まれたコア106を含んでいる。一般に、用語「上部」および「底部」は、簡潔な記載のために複合材スキンに関連して用いられているものであり、複合材スキンまたは複合材サンドイッチの特定の配向を表すことを意図したものではない。
【0026】
上記のように、上部および/または底部複合材スキン102、104は、複合材を含んでもよく、複合材から形成されてもよい(例えば、硬化樹脂に埋設された繊維を含んでもよい)。一部の実施形態において、複合材サンドイッチ100は、比較的軽量であってもよく、および/または比較的薄い上部および/もしくは底部複合材スキン102、104を有していてもよい。更に、一部の実施形態において、比較的薄い複合材スキンは、例えば複合材サンドイッチと同一または類似の容積を有するバルク中実複合材よりも短い硬化時間を必要とすることがある。
【0027】
図1Aは、上部複合材スキン102の概略図を図示しており、ポリマ樹脂に埋設された、繊維シートの繊維を示している。一般に、繊維シート(複数可)にポリマ樹脂を含浸させ、前記繊維シートをコアブランクに押し付けて、図1Bに示される複合材サンドイッチ100のコア106に圧縮して結合させた対応する上部および底部複合材スキン102、104を形成する。例えば、上部および底部複合材スキン102、104を形成し得る含浸繊維シートは、コア106を形成し得るコアブランクに対して押し付けられるとき少なくとも部分的に未硬化であってもよく、硬化および固化の後に、上部および底部複合材スキン102、104がコア106に結合し、それにより複合材サンドイッチ100を形成するようにしてもよい。
【0028】
更に、下記において詳細に記載されているように、一部の実施形態において、コアブランクは、少なくとも部分的に圧縮可能であってもよい。例えば、コアブランクは、圧縮可能材料(例えば、圧縮可能発泡体)を含んでいてもよく、ならびに/または圧縮可能部材またはセル(例えば、圧縮するために(塑性または弾性変形などによる)曲がりおよび/もしくは融解が生じ得る部材)を含んでいてもよい。一部の実施形態において、コアブランクの圧縮可能セルは、チューブまたはストロによって形成または画定されてもよい。あるいは、前記セルはシート材料から形成されてもよい(例えば、各セルは、単一の壁によって画定されてもよい)。一部の実施形態において、コアブランクは押出成形されてもよく、セルは好適な形状を有していてもよい(例えば、押出ダイは、任意数の形状を生成するように構成されてもよい)。
【0029】
いずれの場合も、セルは、任意数の好適な形状および大きさを有していてもよく、これらの形状および大きさは実施形態ごとに異なっていてもよい。1つ以上の実施形態において、セルは、概ね円筒形であってもよい(例えば、セルの1つ、いくつか、またはそれぞれは、セルの開いた空間またはキャビティを画定する、概ね円筒形の壁を含んでいてもよい)。円筒形セルを含むコア106は、複合材サンドイッチ100に沿った任意数の方向に対して同様の耐荷重性を示し得ると理解すべきである。
【0030】
三角形、正方形、五角形、六角形、八角形等の多角形形状を1種以上有するセルを備えたコア106を含む複合材サンドイッチ100は、(例えば、荷重の方向に対するコア106のセルの配向に応じて)異なる方向に沿った異なる耐荷重性を有していてもよい。いずれの場合も、複合材サンドイッチ100の製作時に、コアブランクを少なくとも部分的に圧縮して、コア106を形成してもよい。代替的または追加的に、コアブランクの少なくとも一部分は、複合材サンドイッチ100の製作後に実質的にまたは少なくとも部分的に非圧縮のままでもよい(例えば、コアブランクの高さまたは厚さは、コア106の高さまたは厚さと類似または同一のものであってもよい)。一部の実施形態において、コアブランクは、実質的に中実のコアを形成するために完全に圧縮されていてもよい。実質的に非圧縮であるか部分的に圧縮されたコアブランクから形成されたコア106は、自身の中に間隙またはキャビティを持つセルを含み得ると理解すべきである。
【0031】
少なくとも1つの実施形態において、(コア106を形成し得る)コアブランクは、プラスチックチューブまたはストロなどのチューブ状部材の1つ以上の束を含んでいてもよい。例えば、チューブの少なくともいくつかは、(隣接チューブなどへの)熱結合などにより、互いに付着または結合していてもよい。あるいは、チューブは緩くまとめて設置されていてもよい。一般に、任意数の好適なチューブ状部材が、1つ以上のチューブおよび/または1つ以上の束のチューブ(例えば、比較的低コストで複合材サンドイッチ100について高い曲げ剛性を実現し得る、ポリカーボネートチューブ、ポリエチレンチューブ等)を含むコアブランクを組み立てるために使用されてもよい。一実施形態において、チューブの1つ、いくつか、またはそれぞれは、対向する2つの開口端を有していてもよい。あるいは、チューブの1つ、いくつか、またはそれぞれは、1つ以上の閉塞端を有していてもよい。
【0032】
一実施形態において、複数のチューブから形成されるコア106は、その一方の端から他方の端へと荷重を効率的に伝達できる「硬質」コアを形成してもよい。飲用ストロなどのチューブ状部材またはチューブを含むコア106は、上部および/または底部複合材スキン102、104に対して垂直方向または実質的に直角をなす方向では、比較的小さな衝撃エネルギしか吸収できないが、例えば上部および/または底部複合材スキン102、104に沿った水平方向では、比較的良好なエネルギ吸収性を持つことができる。あるいは、比較的「軟質」のコアは、「Composite Sandwich Exhibiting Energy Absorption And/Or Including A Defect Free Surface」という表題のPCT国際出願第 (代理人整理番号244353WO01_496714−23)に詳細に記載されているように、軟質コアを形成するための材料を含んでいてもよく、および/または軟質コアを形成するための構成を有していてもよい。当該出願は、本願と同時に出願され、2014年6月4日に出願された米国特許仮出願第62/007,670号、2014年6月4日に出願された米国特許仮出願第62/007,652号、および2015年1月28日に出願された米国特許仮出願第62/108,837号に対する優先権を主張するものであり、前記出願のそれぞれの開示全体を本願に引用して援用する。
【0033】
一般に、コアブランク(およびそれから形成されるコア106)は、任意数の好適な材料から形成されてもよいが、その材料は実施形態ごとに異なっていてもよい。更に、コアブランク材料は、コアブランク(およびそれから形成されるコア106)の部分ごとに異なっていてもよい。一部の実施形態において、コア106のチューブまたはチューブ状部材は、ポリカーボネート(例えば、飲用ストロと類似または同一のもの)、ポリエチレン、または任意の好適な熱可塑性または熱硬化性材料から形成されてもよい。例えば、コア106を形成するために使用されるコアブランクは、70kg/mの密度および7mmのセル高さを有していてもよい。ただし、本明細書に記載されているように、コアブランクおよびそれから形成されるコア106のセル高さまたは厚さは、実施形態ごとに異なっていてもよい(例えば、コアブランクの厚さは3mm〜30mmであってもよい)。
【0034】
上記のように、上部および/または底部複合材スキン102、104は、ポリママトリックス(例えば、硬化ポリマ樹脂)中に埋設された炭素繊維を含んでいてもよい。ポリマ樹脂は、液体状で提供されてもよく、硬化されポリマ樹脂に埋設された繊維と共に固化されていてもよい。一実施形態において、液体ポリマ樹脂は、エポキシとポリウレタンの混合物などの、熱硬化物と熱可塑物との混合物を含んでいてもよい。例えば、硬化または固化の後に、ポリマ樹脂が、硬化エポキシとポリウレタン微細発泡体または多孔質ポリウレタンの混合物を含み得るポリママトリックスを形成してもよい(例えば、微細発泡体は微孔質発泡体であってもよい)。ただし、エポキシまたはポリウレタン発泡体は、任意数の好適な大きさおよび/または形状を有し得ると理解すべきである。
【0035】
一般に、硬化または固化の後に、ポリマ樹脂は、繊維間で荷重を伝達できるようになる。一部の実施形態において、1つの熱硬化性ポリマは、別の熱硬化性ポリマよりも高い荷重伝達能力を持ち得る。例えば、エポキシはポリウレタンより硬く、したがって、繊維中で荷重をより効率的に伝達することができる。更に、ポリマの混合物(例えば、エポキシおよびポリウレタンなどの熱硬化物の混合物)、および/または場合により熱可塑物(例えば、混繊熱可塑性繊維)から形成されたポリマ樹脂マトリックスは、単独の熱硬化性ポリママトリックスと比較して改善された機械的性能を持ち得る。
【0036】
一部の実施形態において、2種類の熱硬化物の混合物が、1種類の熱硬化物よりも好ましい場合がある。更に、発泡体は、表面積を増加させ、上部および/または底部複合材スキン102、104をコア106に結合することを促進させ得る。いくつかの構成において、1つの熱硬化物(例えば、エポキシ)は、別の熱硬化物(例えば、ポリウレタン)よりも高い荷重伝達能力を実現し得る。例えば、上部および/または底部複合材スキン102、104は、1つ以上の熱硬化物(例えば、エポキシおよびポリウレタンの混合物またはポリウレタンのみ)ならびに所望により熱可塑物(例えば、混繊熱可塑性繊維)から形成されてもよく、これらは(例えば、単独の熱硬化性および熱可塑性材料を含む複合材スキンと比較して)機械的性能を改善させ得る。一部の実施形態において、熱可塑物は、(例えば、熱可塑性材料を含まない複合材スキンと比較して)上部および/または底部複合材スキン102、104の靭性を改善することができる。複合材スキンを製作する際の各種材料、構成、および方法は、「Multicomponent Polymer Resin、Methods for Applying the Same、and Composite Laminate Structure Including the Same」という表題のPCT国際出願第 (代理人整理番号243721WO01_496714−25)に詳細に記載されており、当該出願は、本願と同時に出願され、2014年6月4日に出願された米国特許仮出願第62/007,632号、および2015年1月28日に出願された米国特許仮出願第62/108,837号に対する優先権を主張するものであり、前記出願のそれぞれの開示全体を本願に引用して援用する。
【0037】
いくつかの構成において、エポキシとポリウレタンの混合物を含むポリマ樹脂は、エポキシ単独と比較して、コア106との間でおよび/またはコア106に対して(例えば、プラスチックチューブに対して)強く結合することができ、コア106の剥離に耐えることができる(例えば、より大きな剥離力に耐えることができる)。発泡体(例えば、ポリウレタン発泡体)は、硬化中に形成されてもよく、上部および/または底部複合材スキン102、104のコア106への付着を促進することができる。例えば、発泡体は、部分的または完全に、コア106のキャビティを埋めてもよく、化学結合よりむしろ主に機械的結合を介してコア106に付着してもよい。いくつかの構成において、複合材スキン中の従来的エポキシは、「硬質」コアに付着することができない(例えば、複合材スキンが「硬質」コアの端から比較的容易に剥離することが本発明者により見出されている)。
【0038】
一実施形態において、ポリマ樹脂は、Bayerプリプレグに使用されるVITROXなどのポリウレタンとは異なっていてもよい。例えば、ポリウレタン発泡体は、発泡体への水浸透性を有することがあり、エポキシと比較して、はるかに軟質であることがある。エポキシとポリウレタンの混合物を含むポリマ樹脂は、複合材サンドイッチの硬質表面を提供することができ、および/またはポリウレタンから形成された表面よりも高い耐水性を有することができる。
【0039】
1つ以上の実施形態において、上部および/または底部複合材スキン102、104は、約50重量%の炭素繊維および約50重量%のポリママトリックスを含んでいてもよい。ただし、繊維の重量含有率および/または繊維とポリママトリックスの重量百分率は、実施形態ごとに異なり得ると理解される。一部の実施形態において、補強炭素繊維(RCF)は、重量約200g/mであってもよく、この値は、繊維が埋設されたポリマ樹脂が硬化されたとき約0.2mmの複合材スキンを生成できるものである。例えば、東レT700 60E炭素繊維を、乾燥NCF廃棄物から35mm繊維に切断し、次いで面密度200g/mのランダム繊維マットを形成するために使用してもよい。
【0040】
NCFは、複合材を更に強化するために、300g/mの質量または重量を有していてもよい。複合材スキンの厚さを増加させるために、複数の繊維シートおよび/または複数層の繊維をポリママトリックスに埋設してもよい。例えば、複合材スキンにおける2層の繊維は0.4mmの厚さを生成することができ、3層の繊維は0.6mmの厚さを生成することができ、それ以上も同様である。繊維シートの数が増加すると、複合材スキンは厚くなり、したがって、比較的薄い複合材スキンよりも強度および硬度が高くなる。
【0041】
一部の実施形態において、繊維シートは、ノンクリンプファブリック(NCF)、織布等の高性能材料を含んでいてもよく、高性能材料は、引抜荷重に対する複合材スキンの抵抗および/または複合材スキンの引張強度を増大させ得る。NCFは、一方向連続繊維の2つ以上の積層材または層を含んでいてもよい。更に、一部の実施形態において、各層は、異なる軸に沿っておよび/または別の層に対して異なる角度(例えば、任意数の好適な角度のうち特に0°、90°、45°)で、配向されていてもよい。例えば、層の数および/または各層の配向に応じて、一方向、二軸、三軸および四軸構成を、多層シート(multi−sheet)または多層パイルスタックまたはアセンブリに組み立ててもよい。
【0042】
上記のように、上部および底部複合材スキン102、104は、コア106に結合していてもよい。例えば、上部および底部複合材スキン102、104および/またはそのマトリックスを形成するポリマの1つ以上の部分は、コア106の1つ以上の間隙またはキャビティ内部に(例えば、コア106のチューブの壁によって画定されたキャビティ内に)位置付けられていてもよい。更に、コア106のキャビティ内に位置付けられたポリマは、少なくとも部分的に、対応する上部および/もしくは底部複合材スキン102、104をコア106に結合させてもよい。一部の実施形態において、発泡体は、実質的に硬質発泡体であってもよい。例えば、上記のように、上部または底部複合材スキン102、104のマトリックスを形成する、ポリマ樹脂または2種以上のポリマの混合物は、コア106との界面および/またはその付近において発泡体を含有または形成してもよい。即ち、繊維シートに含浸させポリママトリックスを製作するために使用されるポリマ(例えば、ポリウレタン)は、複合材サンドイッチ100bの製作中に含浸繊維シートがコアブランクと接触した状態で位置付けられる前、途中、および/または後に、発泡してもよい。したがって、少なくとも1つの実施形態において、発泡体は、上部および/または底部複合材スキン102、104のポリママトリックスと同一または類似の材料を含んでいてもよく、概ね上部および/または底部複合材スキン102、104のポリママトリックスと同一または類似の硬度を有していてもよいが、密閉または非密閉であり得るガスポケットを含んでいてもよい(例えば、発泡体の1つ以上の部分は、連続気泡および/または独立気泡であり得る)。
【0043】
一部の実施形態において、発泡体は、複合材スキンの一方のみとコアとの間(例えば、上部複合材スキン102とコア106との間)に位置付けられてもよい。上記のように、発泡体は、複合材スキン102からコア106におけるセル内のキャビティの中に部分的にのみ延在していてもよい。また、複合材サンドイッチは、底部スキン104からコア106内のセルの1つ以上のキャビティの中に部分的に延在する発泡体を含んでいてもよい。更に、一実施形態において、発泡体は、上部複合材スキン102と底部複合材スキン104との間で、コア106内のセルのキャビティの中に延在していてもよい(例えば、部分的にまたは完全にコア106内のセルの1つ以上のキャビティを埋めてもよい)。
【0044】
1つ以上の実施形態において、発泡体は、コア106内のキャビティの1つ以上の中に位置付けられていてもよく、少なくとも部分的に、上部および/もしくは底部複合材スキン102、104を隣接したコア106に結合させてもよい。追加的または代替的に、上記のように、コアブランクの1つ以上の部分は、実質的に中実のコア106を形成するために圧縮されてもよい。例えば、コア106の実質的に中実の部分は、コア106の中実部分の実質的に中実の材料を形成するために圧縮されたコアブランクの発泡体および熱可塑性材料を含んでいてもよい。即ち、一部の実施形態において、コア106の実質的に中実の部分は、ガスポケットまたは微細孔などの細孔をその中に含んでいてもよい(例えば、コア106の中実部分における、ガスポケットを含む発泡体は、チューブ状部材の壁などの融解および/または圧潰したセル壁から形成される中実の壁および/または中実の障壁によって、区分化または分割されていてもよい)。したがって、一部の実施形態において、コア106の実質的に中実の部分は、多孔質ポリマ樹脂および実質的に非多孔質の熱可塑物(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン)、ならびに/または多孔質ポリマ樹脂部分と混合され、および/もしくはそれらを隔離する熱硬化性材料を含んでいてもよい。
【0045】
この場合も、一部の実施形態において、発泡体は、2種以上のポリマ樹脂(例えば、ポリウレタンとエポキシ)を混合した結果として発泡体を形成し得る。発泡体は、コア106内のセルのキャビティの中に延在し得る。例えば、発泡体が上部複合材スキン102とコア106との間の界面において形成されると、(圧力が含浸繊維シートに印加されている間などに)発泡体はキャビティの中に延在し得る。一実施形態において、発泡体は、チューブ状部材の壁を圧迫し、硬化した際に上部複合材スキン102とコア106との間に機械的接着をもたらし得る(例えば、発泡体は延在するか、さもなければ、チューブ状部材の壁などの、コア106のセルを画定する壁を変形させ得る)。
【0046】
図2は、一実施形態に従う複合材サンドイッチ100aの断面図である。本明細書に別途の記載がない限り、複合材サンドイッチ100aならびにそのエレメントおよび要素は、複合材サンドイッチ100(図1)ならびにその対応するエレメントおよび要素に類似するか同一のものであってもよい。例えば、複合材サンドイッチ100aは、コア106aの対向面に対して接触して結合した上部および底部複合材スキン102a、104aを含んでいてもよく、これらは複合材サンドイッチ100の上部および底部複合材スキン102、104およびコア106(図1A〜1B)に類似していてもよい。
【0047】
上記のように、コア106aは、それぞれ対応する1つ以上の壁によって画定された対応する空間またはキャビティを含む1つ以上のセルを含んでいてもよい。より具体的には、例えば、コア106aのセルの1つ、いくつか、またはそれぞれは、対応するチューブ状部材によって、少なくとも部分的に形成されてもよく、前記チューブ状部材は、図示された実施形態におけるキャビティ107aなどのセルの対応する間隙またはキャビティを画定する壁を含んでもよい。
【0048】
更に、一部の実施形態において、コア106aを形成するチューブの1つ以上の端は、上部および/または底部複合材スキン102a、104aの付着前に、開放していてもよい。一実施形態では、上部複合材スキン102aをコア106aに結合することにより、上部複合材スキン102aが、コア106aのセル内の(キャビティ107などの)キャビティの1つ、いくつか、またはそれぞれの中に圧入するか押し込むことができる。同様に、底部複合材スキン104aをコア106aに結合することにより、底部複合材スキン104aがコア106aのセル内の(キャビティ107などの)キャビティの1つ、いくつか、またはそれぞれの中に圧入するか押し込むことができる。したがって、例えば、対応する1つ以上のディンプルまたは裏移り陥没が、上部および/または底部複合材スキン102a、104aの露出または外部表面に形成され得る。
【0049】
一部の実施形態において、上部および/または底部複合材スキン102a、104aの外側表面に形成され得る1つ以上の圧痕は、複合材サンドイッチ100aの曲げ剛性またはその他の機械的性質に有意な影響を及ぼさない。ただし、いくつかの用途では、圧痕を含む上部および/または底部複合材スキン102a、104aの外側表面の美的外観は望ましくない場合がある。したがって、一部の実施形態において、上部および/または底部複合材スキン102、104は、それらの外側表面に圧痕を形成することなく、コア106に結合されることがある(例えば、上部および/または底部複合材スキン102、104の外側表面に圧痕を形成することなく、上部および/または底部複合材スキン102、104の1つ以上の部分がコアのセル内のキャビティの中に入ることを容易にするために、十分なまたは好適な厚さを有する材料が使用されることがある)。
【0050】
代替的または追加的実施形態において、間隙またはキャビティ107の大きさは、上部および/または底部複合材スキン102a、104aがキャビティ107aの中に入ることを阻止または制限し、ディンプルまたは圧痕が実質的にない複合材サンドイッチ100aの外側表面を生成するものであってもよい。例えば、製作中に比較的大きな圧力を含浸繊維シートに印加する(例えば、コアブランクをその他の実例よりも小さな厚さに圧縮する)場合、コアブランクが比較的小さなキャビティを持つチューブ状部材を含むようにすることができる。逆に、製作中に比較的小さな圧力を含浸繊維シートに印加する(例えば、コアブランクをその他の実例よりも大きな厚さに圧縮する)場合、コアブランクが比較的大きなキャビティを持つチューブ状部材を含むようにすることができる。更に、一部の実施形態において、コアブランク(およびそれから形成された対応するコア106a)は、比較的小さいキャビティと比較的大きなキャビティを有し得る、2つ以上の大きさのチューブ状部材を含んでいてもよい。
【0051】
例えば、比較的大きなキャビティを有するチューブ状部材は、より小さいキャビティを有するチューブ状部材を含む部分よりも少なく圧縮されるコアブランクの部分に位置付けられてもよい(例えば、曲げ部、角部等を形成する場合、コアブランクは、複合材サンドイッチの平面状またはやや湾曲した部分を形成する場合よりも多く圧縮され得る)。一部の実施形態において、比較的小さなキャビティを有するチューブ状部材(例えば、より小さな直径のチューブ状部材)は、複合材サンドイッチの製作中に、より大きな圧縮力を受け、および/またはより大きな応力が生じ得るコアブランク(blank core)の部分、例えば複合材サンドイッチの曲り部分に含まれることがある。したがって、例えば、(少なくとも部分的に、コアブランクを圧縮して複合材サンドイッチのコアを形成するために必要な圧縮量等に基づいて)チューブ状部材の大きさを変えることにより、ディンプルまたは圧痕が実質的にない外側表面を有する複合材サンドイッチの生成を促進することができる。
【0052】
図3は、一実施形態に従う複合材サンドイッチ100bの概略側面図を示している。本明細書に別途の記載がない限り、複合材サンドイッチ100bならびにそのエレメントおよび要素は、複合材サンドイッチ100、100a(図1〜2)ならびにそれらの対応するエレメントおよび要素のいずれかに類似するか同一のものであってもよい。少なくとも1つの実施形態において、前記複合材サンドイッチは、上部および底部複合材スキン102、104およびそれらの間に位置付けられそれらに結合したコア106(複合材サンドイッチ100(図1A〜1B)に類似したもの)を含んでいてもよい。
【0053】
一実施形態において、複合材サンドイッチ100bは、上部複合材スキン102とコア106との間および/または底部複合材スキン104とコア106との間に位置付けられた、プラスチック発泡体層などの中間層を含んでいてもよい。ポリマ発泡体層108は、コアブランクからの裏移りを減少させることに役立ち得る。図示された実施形態において、複合材サンドイッチ100bは、上部複合材スキン102とコア106との間に位置付けられた発泡体108(例えば、プラスチック発泡体)を含んでいる。より具体的には、例えば、発泡体108は、第1の側面においてコア106に結合し、第2の側面において上部複合材スキン102に結合しているかまたはそれらと一体化していてもよい(例えば、発泡体108が、上部複合材スキン102をコア106に結合させてもよい)。発泡体108は、各種部分において均一および/または不均一であり得る好適な厚さを有することがあると理解すべきである。更に、発泡体108は、概ね連続であっても不連続であってもよい。
【0054】
発泡体108の材料は、実施形態ごとに異なっていてもよい。例えば、発泡体108は、独立気泡または連続気泡発泡体を含んでいてよい。一般に、独立気泡発泡体は、連続気泡発泡体よりも耐水性が高いことがある。例えば、独立気泡発泡体は、複合材要素が耐水性であることが必要となる用途に用いることができる。一部の実施形態では、Rohacel発泡体が使用されてもよい。
【0055】
一般に、上部および/または底部複合材スキン102、104の厚さは、実施形態ごとに異なっていてもよい。一部の実施形態において、上部複合材スキン102は底部複合材スキン104よりも薄くてもよく、その逆であってもよい。一部の実施形態において、上部複合材スキン102は、底部複合材スキン104と同じ厚さを有していてもよい。更に、発泡体108は、上部および/または底部複合材スキン102、104よりも薄くても厚くてもよい。
【0056】
一部の実施形態において、発泡体108は、複合材サンドイッチ100bの耐衝撃性および/または防音性を改善することができる。泡体108に加えて、またはそれに代えて、複合材サンドイッチ100bは、上部複合材スキン102とコア106との間に、任意数の好適な材料または材料の組合せを含み得ると理解すべきである。例えば、複合材サンドイッチ100bは、上部複合材スキン102とコア106との間に位置付けることができる、紙、カードボード、その他のセルロース系材料、その他の発泡体、これらの組合せ等を含んでいてもよい。
【0057】
本明細書に記載されているように、複合材サンドイッチは、コアに加えて、対向する複合材スキンの間に、任意数のエレメント、要素、層等を含んでいてもよい。更に、一部の実施形態において、複合材サンドイッチは、上部および/または底部スキン102、104の外側表面と結合した追加のエレメント、要素、層等を含んでいてもよい。図4は、一実施形態に従う、表面欠陥のない少なくとも1つの外側表面を有する複合材サンドイッチ100cの概略側面図を示している。本明細書に別途の記載がない限り、複合材サンドイッチ100cならびにそのエレメントおよび要素は、複合材サンドイッチ100、100a、100b(図1〜3)ならびにそれらの対応するエレメントおよび要素のいずれかに類似するか同一のものであってもよい。例えば、複合材サンドイッチ100cは、上部および底部複合材スキン102、104およびそれらの間に位置付けられそれらに結合したコア106を含んでいてもよい。
【0058】
図4に示されるように、一部の実施形態では、ポリマ表面層110が、上部複合材スキン102に付着および/または結合していてもよい。ポリマ表面層110は、(例えば、その外側表面に)ピンホールなどの表面欠陥が実質的にない場合がある。1つ以上の実施形態において、ポリマ表面層110は、「Composite Sandwich Exhibiting Energy Absorption And/Or Including A Defect Free Surface」という表題の、本願と同時出願のPCT国際出願第 号(代理人整理番号244353WO01_496714−23)に詳細に記載されているように、硬質表面を提供するための熱硬化性粉体などの粉体、または表面に靭性を与えるための熱可塑性粉体もしくは熱可塑物と熱硬化物の混合物の粉体から形成されてもよい。更に、本明細書にて開示されている実施形態は、複合材サンドイッチの厚さを増加させるための方法および前記方法により製造される複合材サンドイッチに関する。前記方法は、複合材積層を生成するための厚い繊維シート、またはs厚い複合材積層を形成するために一緒に硬化される複数の薄い複合材積層を生成するための繊維シートのパイルを用いる。
【0059】
図5は、一実施形態に従う複合材サンドイッチ100dの概略断面図を示している。本明細書に別途の記載がない限り、複合材サンドイッチ100dならびにそのエレメントおよび要素は、複合材サンドイッチ100、100a、100b、100c(図1〜4)ならびにそれらの対応するエレメントおよび要素のいずれかに類似するか同一のものであってもよい。例えば、複合材サンドイッチ100dは、上部および底部複合材スキン102d、104dおよびそれらの間に位置付けられそれらに結合したコア106dを含んでいてもよく、これらは複合材サンドイッチ100の上部および底部複合材スキン102、104およびコア106(図1)に類似していてもよい。
【0060】
一部の実施形態において、複合材サンドイッチ100dは、複数の複合材スキンのスタックを含んでいてもよい。例えば、複合材サンドイッチは、第1および第2の底部複合材スキン104d、104d’などの2つの底部複合材スキン、ならびに単層の上部複合材スキン102dを含んでいてもよい。上記のように、上部および底部複合材スキン102d、104d、104d’は、ポリマ樹脂含浸繊維シートを含んでいてもよく、および/またはポリマ樹脂含浸繊維シートから形成されてもよい。
【0061】
図示された実施形態において、複合材サンドイッチ100bは、外側スキン109dを含んでいてもよく、外側スキン109dは、上部複合材スキン102d上に位置付けられていてもよく、および/また上部複合材スキン102dの外側表面に結合していてもよい。例えば、外側スキン109dは、NCF、織布、これらの組合せ等を含んでいてもよい。これらは、引抜荷重に対する複合材サンドイッチの抵抗を増大させることに役立ち、および/またはコアからの裏移りを低減することができる。一実施形態において、外側スキン109dは、二軸構成(例えば、軸線に対して0°〜90°に配向された層)を有するNCFを含んでいてもよい。二軸NCFは、二方向の強度および剛性ならびに曲げ強度および剛性を持ち得る。外側スキン109d(例えば、NCFを含む外側スキン109d)は、例えば外側スキン109dの配向に対して実質的に平行である(例えば、外側スキン109dと同一面内の)方向、および/または複合材サンドイッチ100dの断面に対して実質的に直角をなす方向の引抜荷重に対して、より大きな抵抗を提供することができる。
【0062】
一部の実施形態において、外側スキン109d(例えば、NCF)は、複合材サンドイッチ100dの外側表面を画定し得る自身の外側表面に圧痕をほとんどまたは実質的に持たないことがある。上記のように、複合材サンドイッチ100dは、自動車車体要素などの各種用途に用いることができる。例えば、外側スキン109dは、外側に面していてもよく、および/または自動車の外部表面の少なくとも一部分を画定もしくは形成してもよい。したがって、場合によって、圧痕が実質的にない外側表面は、その中に圧痕またはディンプルがある類似の外側表面よりも優れた美的外観を持つことできる。
【0063】
一実施形態において、複合材サンドイッチ100bはまた、複合材サンドイッチ100dの底部側面に(例えば、第2の底部複合材スキン104d’に付着および/または結合した)外側スキン(例えば、NCFを含む外側スキン)を含んでいてもよい。前記外側スキンは、引抜荷重に対する複合材スキン100dの抵抗を増大させることができ、および/またはコアからの裏移りを低減することに役立ち得る。更に、第2の底部複合材スキン104d’に結合し得る外側複合材スキン(例えば、第2の底部複合材スキン104d’の外側表面)は、第2の底部複合材スキン104d’の外側表面に形成され得るディンプルまたは圧痕を隠すか埋めることができ、実質的に滑らかなまたはへこみのない表面を形成することができる。
【0064】
図6は、一実施形態に従う複合材サンドイッチ100eの概略断面図を示している。本明細書に別途の記載がない限り、複合材サンドイッチ100eならびにそのエレメントおよび要素は、複合材サンドイッチ100、100a、100b、100c、100d(図1〜5)ならびにそれらの対応するエレメントおよび要素のいずれかに類似するか同一のものであってもよい。例えば、複合材サンドイッチ100eは、上部および底部複合材スキン102e、104eおよびそれらの間に位置付けられそれらに結合したコア106eを含んでいてもよく、これらは複合材サンドイッチ100の上部および底部複合材スキン102、104およびコア106(図1)に類似していてもよい。
【0065】
一部の実施形態において、複合材サンドイッチ100eは、コア106eの各側面に2つの複合材スキンを含んでいてもよい。より具体的には、例えば、複合材サンドイッチ100eは、コア106eと互いに結合しコア106eに結合した第1および第2の上部複合材スキン102e、102e’、ならびにコア106eと互いに結合しコア106eに結合した第1および第2の底部複合材スキン104e、104e’を含んでいてもよい。図示された実施形態において、複合材サンドイッチ100eは、引抜荷重に対して複合材サンドイッチ100d(図5)よりも小さい抵抗を持つように、複合材サンドイッチ100eの外側スキンを形成するNCFを含んでいない。
【0066】
上記のように、上部および/または底部複合材スキン102e、102e’、104e、104e’は、ポリマ樹脂含浸繊維シートから製作されてもよい。したがって、一部の実施形態において、複合材サンドイッチ100eの製作中に(例えば、含浸繊維シートがコアブランクに押し付けられているときに)、2つの含浸繊維シートが互いに結合してもよい。一実施形態において、隣接する繊維シート(例えば、上部複合材スキン102e、102e’を形成し得る繊維シート)に含浸するポリマ樹脂は、両方の繊維シートにおいて同一または類似のものであってよい。したがって、例えば、前記繊維シートから形成される複合材スキンは、一体化されてもよい(例えば、硬化後、2つ以上の隣接複合材スキンの2つ以上の繊維シートが、均一または一体式のポリママトリックスに埋設されてもよい)。
【0067】
図7は、一実施形態に従う複合材サンドイッチ100fの概略断面図を示している。本明細書に別途の記載がない限り、複合材サンドイッチ100fならびにそのエレメントおよび要素は、複合材サンドイッチ100、100a、100b、100c、100d、100e(図1〜6)ならびにそれらの対応するエレメントおよび要素のいずれかに類似するか同一のものであってもよい。例えば、複合材サンドイッチ100fは、上部および底部複合材スキン102f、104fおよびそれらの間に位置付けられそれらに結合したコア106fを含んでいてもよく、これらは複合材サンドイッチ100の上部および底部複合材スキン102、104およびコア106(図1)に類似していてもよい。
【0068】
上記のように、複合材サンドイッチは、複合材サンドイッチ100fのコア106fを形成するためにコアブランクを圧縮することにより製作されてもよい。更に、コアブランクの異なる部分は、異なる高さまたは厚さに圧縮されてもよい。例えば、コアブランクの第1の部分は、第1の厚さに圧縮されて、第1の厚さを有するコア106fの第1の部分106f’を形成してもよい(第1の厚さは、上部および底部複合材スキン102、104に対応する第1の部分102f’、104f’間の距離によって画定される)。更に、コアブランクの第2の部分は、第2の厚さ(例えば、第1の厚さより小さい厚さ)に圧縮されて、第2の厚さを有するコア106fの第2の部分106f’’を形成してもよい(第2の厚さは、上部および底部複合材スキン102、104に対応する第2の部分102f’’、104f’’間の距離によって画定される)。
【0069】
換言すれば、複合材サンドイッチ100fは、異なる厚さを有する2つ以上の部分を含んでいてもよい。更に、製作中に各種部分ごとに厚さを変化させることにより、複合材サンドイッチ100fを、三次元構成または形状を持つように構成することができる。コアブランクを任意の好適な厚さに(例えば、3mm〜60mmの厚さに)圧縮して、コア106を形成してもよい。更に、コアブランクは、3mm〜60mmの厚さに圧縮され得る任意の好適な厚さを有する。一部の実施形態において、硬質コアの最大高さは、チューブの直径に応じて異なっていてもよいが、例えばコアが座屈するほど大きすぎてはいけない。一実施形態において、軟質コアは、座屈しないように好適な高さを有していてもよいが、軟質コアの反対端において変形することがある。一部の実施形態において、コアブランクは、複数のセル(例えば、チューブまたはストロなどのチューブ状部材から形成され得る、概ねチューブ状の構成を有するセル)を含んでいてもよいが、複合材サンドイッチ100fの製作中に、コアブランクおよび少なくとも部分的に未硬化の上部および底部複合材スキン102、104に対して熱および圧力が印加されるとき、前記セルには、圧縮、曲がり、軟化、少なくとも部分的な融解、またはこれらの組合せが生じることがある。
【0070】
したがって、一部の実施形態において、コア106fは、圧縮、曲がり、軟化、少なくとも部分的な融解、またはこれらの組合せが生じたコアブランクの部材(例えば、チューブまたはストロなどのチューブ状部材)を含むことがある。例えば、コア106を形成するコアブランクの部材は、可塑的または弾性的に変形することがある。更に、コア106fを形成するコアブランクの部材における圧縮、軟化、および/または融解、曲がり、残留応力等の量は、上記のように、そのような部分において好適なおよび/または所定の厚さを得るために、コア106fの部分ごとに異なっていてもよい。上記のように、コア106fは、圧縮可能発泡体または任意数のその他の好適な圧縮可能材料を含み得ることも理解すべきである。したがって、例えば、好適な圧縮可能材料からなるコアブランクを、(例えば、材料を圧縮および/または融解させることにより)任意数の好適なおよび/または所定の厚さに圧縮して、複合材サンドイッチ106fの三次元形状を製作してもよい。
【0071】
一部の実施形態では、コアブランクの一部分を圧縮して、コア106fにおける実質的に中実の部分を形成してもよい。図示された実施形態において、コア106fの第2の部分106f’’は、実質的に中実であってもよい。例えば、コア106fの第2の部分106f’’を画定する実質的に中実のまたは一体式の熱可塑性および/または熱硬化性材料を形成するために、コアブランクのセルを形成し得るチューブ状部材を軟化し、ならびに/または融解および圧縮してもよい。
【0072】
一般に、コア106fの材料の圧縮性は、コア106fを製作するために使用されるコアブランクの圧縮性とは異なっていてもよい。一部の実施形態において、コア106f全体の1つ以上の部分は、実質的に圧縮不可能であってもよい(例えば、コアブランクを圧縮して、コアブランクの圧縮性と比較して実質的に圧縮不可能であり得る実質的に一体式のコア106fを形成してもよい)。更に、いくつかの構成において、コア106fは、コアブランクよりも小さい圧縮性を示してもよい。いずれの場合も、コア106fの圧縮性は、その部分ごとにおよび実施形態ごとに異なっていてもよく、コア106fの構成(例えば、製作後の構成)、使用する材料、動作温度等に依存し得る。
【0073】
コア106fの各種部分は、同一の材料または異なる材料を有し得ると理解すべきである。例えば、コア106f全体は、実質的に同一の材料から製作されてもよい。一部の実施形態において、コア106fの1つ以上の部分は、1つ以上の他の部分よりも小さなキャビティを持つセルを含むコアブランクから製作されてもよい。例えば、第2の部分106f’’は、第1の部分106f’のキャビティよりも小さいキャビティを有していてもよい。一実施形態において、上部および/または底部複合材スキン102、104の外側表面における比較的小さなキャビティは、(例えば、(複合材スキンを形成するために使用される)含浸繊維シートがコア106fのセルのキャビティの中に入ることを阻止または制限することにより)ディンプルまたは圧痕の形成を制限または排除し得る。
【0074】
複合材サンドイッチ100fは、上部複合材スキン102fと底部複合材スキン104fとの間および/またはそれらの外側表面(例えば、上記のような、プラスチック発泡体層、ポリマ表面層等)上に位置付けられた、任意数の追加の層および/または材料を含み得ると理解すべきである。更に、一部の実施形態において、複合材サンドイッチ100fは、上部および/または底部複合材スキン102f、104fによって画定された、概ね平面状の外側表面を有していてもよい。あるいは、複合材サンドイッチは、非平面状の外側表面を有していてもよい。図8は、一実施形態に従う複合材サンドイッチ100gの概略断面図を示している。
【0075】
本明細書に別途の記載がない限り、複合材サンドイッチ100gならびにそのエレメントおよび要素は、複合材サンドイッチ100、100a、100b、100c、100d、100e、100f(図1〜7)ならびにそれらの対応するエレメントおよび要素のいずれかに類似するか同一のものであってもよい。例えば、複合材サンドイッチ100gは、上部および底部複合材スキン102g、104gおよびそれらの間に位置付けられそれらに結合したコア106gを含んでいてもよく、これらは複合材サンドイッチ100の上部および底部複合材スキン102、104およびコア106(図1)に類似していてもよい。一実施形態において、複合材サンドイッチ100gの外側表面(例えば、上部および/または底部スキン102g、104gの外側表面)は、非平面状であってもよい。
【0076】
更に、一部の実施形態において、上部および底部複合材スキン102g、104gの1つ以上の部分は、概ね互いに平行であってもよい(例えば、コア106gの厚さは、上部および底部複合材スキン102g、104gが互いに平行である複合材サンドイッチ100gの部分において、概ね均一であってもよい)。あるいは、上部および底部複合材スキン102g、104gの1つ以上の部分は、互いに対して非平行であってもよい。図8に示されるように、コア106gの厚さは(例えば、連続的に)変化してもよく、上部および底部複合材スキン102g、104gが互いに対して非平行になるように位置付けられ配向されてもよい。例えば、上部複合材スキン102gは、第1の三次元形状または構成(例えば、湾曲、曲がり等)を有していてもよく、底部複合材スキン104gは、第1の三次元構成とは異なる第2の三次元形状または構成を有していてもよい。更に、コア106gの厚さの変化により、(例えば、上部複合材スキン102gと底部複合材スキン104gとの間の距離を変えることにより)複合材サンドイッチ100gの三次元形状に対応し、またはその三次元形状を形成してもよく、上部および底部複合材スキン102g、104gの厚さが概ね均一であってもよい。
【0077】
上記のように、コア106gは、上部複合材スキン102gと底部複合材スキン104gとの間のコアブランクを、コア106fの部分ごとに異なっていてもよい好適な厚さに圧縮することにより、製作されてもよい。更に、一部の実施形態において、コア106gは、少なくとも部分的に圧縮されたセルを含んでいてもよい(例えば、セルは壁によって画定されてもよく、壁は複合材サンドイッチ100gの製作中に圧縮されてもよい)。一部の実施形態において、セルの壁は、ストロなどのチューブ状部材により形成されてもよい。いずれの場合も、少なくとも1つの実施形態において、コア106gのセルを画定する壁は、上部および/または底部複合材スキン102g、104gに対して概ね直角をなしていてもよい(例えば、上部および/もしくは底部複合材スキン102g、104gの平面状内側または内部表面に対して直角をなし、ならびに/またはコア106gのセルを画定する壁との接触点において上部および/もしくは底部複合材スキン102g、104gの非平面状内部表面に接する想像線に対して、直角をなしていてもよい)。
【0078】
図9は、1つ以上の実施形態に従う複合材サンドイッチ100hの等角図である。図示されるように、複合材サンドイッチ100hは、いくつかの異なる厚さを有する部分を有している。例えば、上部および/または底部複合材スキンは、概ね均一な厚さを有していてもよく、複合材サンドイッチ100hのコアは、その異なる部分において異なる厚さを有し、複合材サンドイッチ100hの外部形状を画定するようになっていてもよい。追加的または代替的に、複合材サンドイッチ100hの上部および/または底部スキンは、その異なる部分において異なる厚さを有していてもよく、複合材サンドイッチ100hの各種厚さを少なくとも部分的に画定してもよい。
【0079】
更に、図9に示されるように、複合材サンドイッチ100fの異なる部分における各種厚さは、(例えば、実質的に平坦またはシート状の複合材サンドイッチと比較される)複合材サンドイッチ100hの三次元形状を画定または形成してもよい。特に、例えば、複合材サンドイッチ100hは、互いに異なる形状および厚さを有する部分101h〜105hを有する。例えば、部分105hは、概ね平面状または平坦(例えば、シート状)であってもよく、部分101h〜104hよりも薄くてもよい。対照的に、部分101h〜104hは、部分105hよりも厚くてもよく、概ね三次元の構成を有していてもよい。
【0080】
図10は、一実施形態に従うインサート111kを含む複合材サンドイッチ100kの概略断面図を示している。本明細書に別途の記載がない限り、複合材サンドイッチ100eならびにそのエレメントおよび要素は、複合材サンドイッチ100、100a、100b、100c、100d、100e、100f、100g(図1〜8)ならびにそれらの対応するエレメントおよび要素のいずれかに類似するか同一のものであってもよい。例えば、複合材サンドイッチ100kは、複合材サンドイッチ100d(図5)と同様に、第1の側面にてコア106kと結合した底部複合材スキン104k、ならびにその第2の対向面にてコア106kと結合した上部複合材スキン102kおよび外側スキン109kを含んでいてもよい。
【0081】
図示された実施形態において、複合材サンドイッチ100kは、インサート111kを含んでいてもよい。一般に、インサート111kは、任意の好適な材料を含んでいてもよく、任意の好適な材料から形成されていてもよい。インサート111kは、好適な材料として特に金属、プラスチック、ガラス、木材を含んでいてもよい。一部の実施形態において、インサート111kは、複合材スキンとコアとの間に位置付けられていてもよい。例えば、インサート111kは、底部複合材スキン104kとコア106kとの間に位置付けられていてもよい。一実施形態において、コア106kを形成するコアブランクは、インサート111k周辺にて、部分的または完全に圧縮され、ならびに/または軟化および/もしくは融解してもよい(例えば、インサート111k付近におけるコア106kの圧縮ならびに/または軟化および/もしくは融解は、インサート111kとコア106kを互いに結合させ得る)。
【0082】
一部の実施形態において、コア106kを形成するコアブランクは、インサート111kを含む部分またはその付近において、1つ以上のその他の部分よりも圧縮されていてもよい。いくつかの構成において、コア106kは、製作中にいくつかの部分(例えば、コア106kの部分106k’)において実質的に圧縮されないコアブランクから形成されてもよい。追加的または代替的に、コア106kは、(例えば、コア106kの部分106k’’および106’’’において)製作中に部分的に圧縮されまたは実質的に完全に圧縮されたコアブランクから形成されてもよい。ただし、(上記のように)複合材サンドイッチ100kは、その任意数の位置および/または部分において、任意の好適な量または百分率だけコアブランクを圧縮することにより形成されたコア106kを含み得ると理解すべきである。
【0083】
上記のように、本明細書に記載された複合材サンドイッチは、任意数の用途に用いることができる。例えば、複合材サンドイッチ100kは、自動車の座席取付具(seat mountings)に使用されるように構成されてもよい。座席取付具は、複合材サンドイッチ100kが比較的高い引抜荷重を示すことを必要とする場合がある。座席取付具が複合材サンドイッチ100kから形成され、複合材サンドイッチ100kが(例えば、複合材サンドイッチ100kの底部に)NCFおよび/または別の外側スキンを含む外側スキン109kを含む場合、外側スキンは、例えば、シートベルトが座席取付具から引き抜かれることを防止または阻害することができる(例えば、シートベルトはインサート111kに接続することができ、外側スキン109kはインサートの引抜きを防止または阻害することができる)。例えば、車が急停止するとき、シートベルトが引っ張られ、複合材サンドイッチ100kのインサート111kに外向きの力がかかることがあるが、外側スキン109kなどの、NCFを含む1つ以上の外側スキンは、インサート111kが動くことおよび/または複合材サンドイッチ100kから引き抜かれることを防止または阻害することができる。
【0084】
上記のように、複合材サンドイッチのコアは、実施形態ごとに異なることがある任意数の好適なエレメント、構成、材料等を含んでいてもよい。一部の実施形態において、コアは、複数の連結セル(例えば、ハニカム等)によって画定または形成されてもよい。図11は、一実施形態に従うコアブランク116の概略平面図を示している。コアブランク116は、本明細書に記載された複合材サンドイッチのいずれかにおいて使用され、および/またはその中に組み込まれ得ると理解すべきである。更に、コアブランク116は、任意の好適な大きさを有していてもよい(例えば、コアブランク116は、1つ以上のスキンの両端間に延在し、任意の好適な大きさの複合材サンドイッチなどを形成していてもよい)。一部の実施形態において、コアブランクは、スキンの端を越えて延在していてもよく、および/または(少なくともいくつかの部分において)スキンはコアブランクの外辺部を越えて延在していてもよい。例えば、複合材サンドイッチを加工し形成した後、複合材サンドイッチの外辺部は、選択されたまたは好適な大きさおよび/または形状に切断またはトリミングされてもよい。
【0085】
一実施形態において、コアブランク116は、互いに結合し得るチューブ状部材117を含んでいてもよく、および/またはそれらから形成されていてもよい。あるいは、コアブランク116のチューブ状部材117は互いの付近におよび/または互いに接触して位置付けられていてもよいが、チューブ状部材117の壁は互いに付着していないままでもよい。更に、チューブ状部材117は、任意数の好適な配置を有していてもよい。図示された実施形態において、チューブ状部材は、概ね平行である横列および縦列に配列されていてもよい(例えば、同じ横列にあるチューブ状部材117の中心は概ね直線である第1の線に沿って並んでいてもよく、同じ縦列にあるチューブ状部材117の中心は概ね直線である第2の線に沿って並んでいてもよく、第2の線は第1の線に対して概ね直角をなしていてもよい)。いずれの場合も、コア117は、複合材サンドイッチ間に位置付けられていてもよく、それらに結合して複合材サンドイッチを形成してもよい。
【0086】
コアブランク116のチューブ状部材117は、セル118、119を形成または画定してもよい。特に、チューブ状部材117の壁は、コアブランク116のセル118、119を画定していてもよい。例えば、セル119のキャビティは、概ね円筒形であってもよい(例えば、チューブ状部材117の概ね円筒形の内部によって画定される)。一部の実施形態において、セル118のキャビティは、(例えば、4つのチューブ状部材117の間の空間によって画定される)ほぼダイヤモンド形または正方形角錐台であってもよい。
【0087】
チューブ状部材117は、コアブランク116の高さまたは厚さを画定し得る任意の好適な高さを有していてもよい。更に、チューブ状部材117は、好適に圧縮可能な材料を含んでいてもよく、コアの部分ごとに異なる1つ以上の好適な高さを有するコアを形成するようにコアブランク116が圧縮されてもよい。追加的または代替的に、チューブ状部材117は、(例えば、チューブ状部材117を損傷または破損させることなく)チューブ状部材117およびコアブランク116の圧縮を促進するように、適切な温度で軟化および/または融解し得る材料を含んでいてもよい。例えば、コアブランク116のチューブ状部材117が、圧縮され、ならびに/または軟化および/もしくは融解されると、そのようなチューブ状部材117の壁は、曲がり、折り重なり、軟化し、融解して、セル118、119のキャビティの中に入る(例えば、チューブ状部材117内のキャビティおよび/またはチューブ状部材117間のキャビティの中に入る)。
【0088】
前述の通り、コアブランクは、任意数の好適な配置を持ち得るチューブ状部材を含んでいてもよい。図12は、一実施形態に従う、横列をオフセット配置したチューブ状部材117を含むコアブランク116aの概略平面図を示している。本明細書に別途の記載がない限り、コアブランク116aならびにそのエレメントおよび要素は、コアブランク116(図11)ならびにその対応するエレメントおよび要素に類似するか同一のものであってもよい。例えば、チューブ状部材117の横列のうち2つ、いくつか、またはすべては、隣接する1つ以上のチューブ状部材117の横列から、横方向にオフセットされていてもよい。一部の実施形態において、横列間のオフセット距離10は、チューブ状部材117の幅の約半分(例えば、チューブ状部材117の外径の約1/2)であってもよい。
【0089】
更に、一実施形態において、コアブランク116aは、チューブ状部材117によって画定されたセル118a、119を含んでいてもよい。例えば、(隣接するチューブ状部材117の外部表面間の対応する隙間等によって画定される)セル118aのキャビティは、概ね三角形の角錐台であってもよい。一部の実施形態において、セル118aのキャビティは、セル118(図11)のキャビティより小さくてもよい。一部の実施形態において、コアブランクのセルは、複数のチューブ状部材から形成されてもよいが、追加的または代替的実施形態において、コアブランクのセルは、任意数の好適な構成を有していてもよく、任意数の好適な要素から形成されてもよいと理解すべきである。例えば、セルが中実ブロックから機械加工されてもよく、コアブランクが押出成形され、セルがチューブ状部材によって形成される部分的な二重壁の代わりに単一の壁によって画定されるようにしてもよく、コアブランクが折り重なったシート等から形成されてもよい。いずれの場合も、コアブランクにおけるセルの壁は、本明細書に記載されている態様で、複合材サンドイッチのコアを形成するために、加圧および/または加熱によって変形されてもよい。
【0090】
一部の実施形態において、複数のチューブ状部材を含むコアブランクの少なくとも一部分は、押出成形されてもよい(例えば、押出形成後にコアブランクのチューブ状部材が互いに結合するようにしてもよい)。図13は、実施形態に従う、押出成形または互いに熱結合されたプラスチックチューブ120の束の概略側面図を示している。図示されているように、チューブ120は、押出機200から押出成形されてもよく、および/または1つ以上の側面から熱ローラ210によって加圧されてもよく、プラスチックチューブ120が互いに熱結合して、コアブランクとして使用され、その後に複合材サンドイッチのコアを形成し得るプラスチックチューブの束を形成するようにしてもよい。
【0091】
例えば、チューブ束は、コアブランクの高さを画定するために、押出成形中および/または押出成形後に、所定の間隔で切断されてもよい。更に、好適なコアブランクを形成するために、複数のチューブ束が、互いに位置付けられ、および/または互いに結合してもよい。したがって、一部の実施形態において、チューブ状部材のうち2つ、いくつか、またはすべては、(例えば、概ね均一な厚さを有するコアブランクを形成するために)同一または類似の高さを有していてもよいが、代替的または追加的実施形態において、コアブランクのうち2つ、いくつか、またはすべては、(例えば、変厚を有するコアを形成するために)異なる高さを有していてもよい。
【0092】
図14は、1つ以上の実施形態に従う、複合材サンドイッチ製作用の圧縮成形型300の概略図を示している。一般に、複合材サンドイッチを製作するために、スタックアセンブリが、成形型300内に位置付けられ、少なくとも部分的に加工されてもよい。成形型300は、上部成形型部分310および下部成形型部分320を含んでいてもよい。型閉時に、上部および下部成形型部分310、320は、スタックアセンブリを圧縮して複合材サンドイッチを形成する、キャビティおよび/またはコア構成を画定してもよい(例えば、スタックアセンブリは、ポリマ樹脂含浸繊維シートおよびそれらの間に位置付けられたコアブランクを含んでいてもよい)。
【0093】
例えば、上部成形型部分310は、スタックアセンブリの少なくともいくつかのキャビティ内での配置を容易にするキャビティ311を含んでもよい。例えば、ポリマ樹脂が含浸し得る第1の繊維シート112、コアブランク116、およびポリマ樹脂が含浸した第2の繊維シート114。成形型300はまた、下部成形型部分320を含んでもよい。図示された実施形態において、下部成形型部分320は、概ね平坦な上部表面321を有する。例えば、スタックアセンブリは、上部成形型部分310と下部成形型部分320との間に形成される加工容積内に閉じ込められてもよい(例えば、選択された厚さおよび/または選択された形状へとスタックアセンブリを圧縮して、そのような厚さおよび形状の複合材サンドイッチを形成してもよい)。即ち、成形型300をプレス機内に位置付け、上部および下部成形型部分310、320を互いに加圧させて、それによりスタックアセンブリを圧縮してもよい。
【0094】
一部の実施形態において、(例えば、第1および/または第2の繊維シート中のポリマ樹脂を硬化させること、コアブランクの1つ以上の部分を軟化および/または融解させること等のために)成形型300を製作中に加熱してもよい。上記のように、複合材スキンは、ポリママトリックス(例えば、固化ポリマ樹脂)に埋設された不連続および/または連続繊維を含んでいてもよい。複合材形成中に複合材積層をコアに結合させてもよい。一部の実施形態において、ランダムに配向した不連続および/または連続繊維を含む複合材スキンは、連続繊維を含む同等の複合材スキンよりも曲がりやすくおよび/または伸びやすいことがある。
【0095】
1つ以上の実施形態において、成形型300の加工容積からガス(例えば、空気)が抜かれてもよい。例えば、成形型300はまた、成形型300が閉じた構成になっているときに、成形型300の加工容積内において、成形型300の内部加工容積からガスを排気する(例えば、それによって少なくとも不完全真空を生じさせる)ための真空ポンプ(図示せず)に接続できる出口330を含んでいてもよい。
【0096】
上部および下部成形型部分310、320は、成形型300の選択された動作圧力および/または温度に好適であり得る好適な材料を含んでいてもよい。例えば、上部および下部成形型部分310、320は、鋼、アルミニウム等の好適な金属から製作されてもよい(例えば、場合によって、より高圧での加工にあたり、鋼がアルミニウムよりも好適である場合がある)。一部の実施形態において、成形型300の(例えば、アルミニウムから製作された上部および/または下部成形型部分310、320の)多孔質表面は、成形型封止剤で封止されてもよい。低圧圧縮成形プロセスは、例えば、鋼製成形型よりむしろアルミニウム製成形型を使用して機械加工コストを低減することにより、更に、より薄い成形型壁を使用して成形型材料のコスを低減することにより、高圧RTMと比較して設備コストを著しく低減することができる。具体的には、アルミニウム製成形型壁は、高圧RTM用の鋼製成形型壁よりも薄い。例えば、アルミニウム製成形型壁は、低圧圧縮成形の場合、厚さ約10mm以下であってもよいが、鋼製成形型壁は、RTMの場合、厚さ約30mmである。更に、圧力または荷重機械は、低圧圧縮成形のために、高圧RTMよりも小さい荷重を発生させる。
【0097】
本明細書に記載された複合材サンドイッチはいずれも、成形型300または類似の成形型により製作することができ、前記成形型は、そのような製作のために好適に構成することができると理解すべきである。図15は、本明細書に記載された一実施形態に従い製作されたサンプル複合材サンドイッチ100mである。より具体的には、複合材サンドイッチ100mは、含浸繊維シートおよび飲用ストロから形成されたコアブランクにより製作されたものであり、それらによって複合材サンドイッチ100mの複合材スキン102m、104mおよびコア106mを形成している。コア106mは約20mmの高さを有する。コアブランクの飲用ストロの端は、コア106mを形成し複合材スキン102および104に結合させるため、軟化または融解された。
【0098】
図16は、一実施形態に従う複合材サンドイッチを製作する方法のフローチャートである。例えば、前記方法は、成形型の加工容積内にスタックアセンブリを位置付けるアクト400を含んでもよい。一部の実施形態において、スタックアセンブリは、加工容積の内部で組み立てられてもよい。あるいは、スタックアセンブリの少なくとも一部分は、加工容積の外部で組み立てられてもよい。上記のように、スタックアセンブリは、成形型内で加工されたとき複合材サンドイッチを形成し得る任意数のエレメントおよび要素を含んでもよい。例えば、スタックアセンブリは、2つのポリマ樹脂含浸繊維シートおよびそれらの間に位置付けられたコアブランクを含んでいてもよい(例えば、一緒に加工されたとき、含浸繊維シートは複合材スキンを形成し、コアブランクは複合材サンドイッチのコアを形成し得る)。
【0099】
少なくとも1つの実施形態に従えば、成形型が閉じられて加工容積が画定される前に、作業時に第1の繊維シートおよび/または第2の繊維シートにポリマ樹脂を吹き付けてもよい。成形型を閉じる前にポリマ樹脂を繊維シートに吹き付けることにより、高圧RTMよりも低い圧力でスタックアセンブリを加工することができ、好適に繊維を含浸させることができる。樹脂を吹き付けるために、大型部品の大量生産向けの市販スプレーヘッドを使用してもよい。低圧圧縮成形プロセスの場合、市販スプレーヘッドの代わりに、小型部品または試作品の少量生産のための高温圧力ポット(hot pressure pot)を使用してもよく、これにより製造コストを低減させることができる。低圧高温ポット(low pressure hot pot)は、樹脂を吹き付けることができる。
【0100】
ポリマ樹脂は、ポリウレタン、エポキシ、別の好適なポリマ樹脂、またはこれらのいずれかの混合物であってよい。低粘度混合物は、より容易に吹き付けができる。ポリマ樹脂の場合、高温圧力ポット内で樹脂を温め、圧縮成形の段階までハードニングの開始を遅らせることにより、粘度を低減することができる。前記混合物を含むポリマ樹脂のためのハードナは、エポキシとポリウレタンがほぼ同一または類似の硬化時間を有するように選択してもよい。同一または類似の硬化時間を促進することにより、2種の熱硬化物(例えば、エポキシとポリウレタン)が、ポリマ樹脂中の前記熱硬化物の一方のために硬化プロセスを延長することなく、一緒に硬化を完了するようにしてもよい。
【0101】
一部の実施形態において、前記方法はまた、成形型の加工容積および繊維シートからガスの少なくとも一部を除去するアクト410を含んでもよい。例えば、上記のように、真空ポンプは、加工容積からガスを排気することができ、それによって加工容積内で圧力を低下させるか少なくとも不完全真空を生じさせることができる。前記方法はまた、成形型内でスタックアセンブリを圧縮し加熱するアクト420を含んでもよい。特に、例えば、スタックアセンブリが加熱され圧縮されるとき、ポリマ樹脂は、硬化することができ、および/または含浸繊維シートをコアブランクに結合させることができる。更に、コアブランクおよび補強繊維を持つポリマ樹脂は、スタックアセンブリが加熱され圧縮されるとき、好適な形状に形成され得る。例えば、補強繊維を持つポリマ樹脂は、硬化して、選択された形状および/または厚さの複合材スキンを形成することができ、コアブランクは、圧縮され、ならびに/または軟化および/もしくは融解されて、選択された形状および/または厚さのコアを形成することができる。
【0102】
一部の実施形態において、スタックアセンブリに印加される加工圧力は、5bar〜10barの範囲(例えば、約6bar(約88psi))であってもよく、この圧力は、従来的RTMにおいて典型的に使用される約120bar(1764psi)の圧力と比較して著しく低いことがある。ただし、加工圧力は、10barより大きくてもよく、5barより小さくてもよいと理解すべきである。本明細書に記載されたアクトまたは工程は、実施形態ごとに異なり得る好適な順序で実行されてもよいことも理解すべきである。
【0103】
一部の実施形態において、スタックアセンブリの加工により、ピンホールまたは多孔性が実質的にない1つ以上の外側表面を有する複合材サンドイッチを生成することができる(例えば、外側表面は、光沢があってもよく、および/またはそれへの塗装が容易なものであってもよい)。追加的または代替的に、複合材サンドイッチの外側表面の1つ以上は、表面が後加工の高温に耐えることができるように高いガラス転移温度を持つポリマを含んでいてもよい。一部の実施形態において、ボンネット、ドアパネル等の各種自動車部品として使用され得る複合材サンドイッチは、比較的高い動作温度に耐えることを要求されることがある。例えば、複合材サンドイッチは、約180℃にて電着され、次いで約140℃にて下塗りされてもよく、その後、塗装プロセスが実行されてもよい。
【0104】
図17は、1つ以上の実施形態に従うサンドイッチアセンブリを製作するための方法のフローチャートである。一部の実施形態において、前記方法は、第1の成形型部分に静電荷を帯電させるアクト500を含んでもよい。例えば、第1の成形型部分を帯電させても、帯電した熱可塑性および/または熱硬化性粉体を保持しやすくしてもよい。静電荷帯電はまた、粉体の廃棄物を低減することに役立ち、および/または成形型周囲の作業空間に概ね粉体がない状態を維持することができる。
【0105】
一実施形態において、前記方法は、第1の成形型部分上および/または中に、1種以上の粉末(例えば、熱可塑性および/または熱硬化性粉体)を設置または配するアクト510を含んでいてもよい。例えば、粉体スプレーガンは、前記粉体を第1の成形型部分の上および/または中へと吹き付けることができる。更に、一部の実施形態において、前記粉体を第1の成形型部分の1つ以上の表面の上に概ね均一に塗布してもよい。成形型表面に前記粉体を塗布することにより、繊維層と成形面との間の隙間を通じて、および粉体における個々の顆粒または粒子間の隙間または空間を通じて、繊維内に捕捉された空気を抜き出すことができる。前記粉体はまた、ピンホールが実質的にない複合材サンドイッチの外側表面の形成を促進することもできる。
【0106】
一般に、粉体の顆粒または粒子は、大きさおよび/または形状が異なることがある。一部の実施形態において、顆粒または粒子は、不連続繊維内に捕捉された空気が減圧により(例えば、顆粒間の空間を通過することにより)効率的に除去されることを可能にする大きさおよび/または形状にしてもよい。いくつかの構成において、連続繊維は、不連続繊維よりも空気を捕捉しにくい場合がある。少なくとも1つの実施形態において、空気は、RTMから再生される廃棄物繊維から効率的に除去することができる。
【0107】
使用される粉体の量は、実施形態ごとに異なっていてもよく、特に、粉体の顆粒の大きさおよび/または形状によって変わり得る。一部の実施形態において、粉体顆粒の大きさは、約40μm〜約100μmの範囲に及んでもよい。前記粉体は、ポリマ樹脂シェルに取り囲まれたハードナを含んでいてもよく、硬化が開始したがまだ硬化が完了していないことがある。前記粉体は、最初に高温度に加熱され、次いで、(例えば、厚さ約100μm以上であり得る)固体コーティング層を形成するために硬化または架橋を開始するとき、軟質になり得る。
【0108】
前記粉体は、複合材サンドイッチの1つ以上の外側表面に硬度を与え得る、エポキシなどの熱硬化物であってもよい。前記粉体はまた、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステルなどの熱可塑物であってもよい。前記粉体はまた、熱硬化物と熱可塑物のブレンドであってもよい。前記熱可塑物またはブレンドは、表面に靭性を与えることができ、および/または熱硬化性粉体を硬化することで生じる収縮を低減することにも役立つことがある。前記粉体はまた、後加工温度に耐えることができるように、高いガラス転移温度(T)または高い融解温度を有していてもよい。更に、一部の実施形態において、前記粉体は、スタックアセンブリから空気を除去することを促進するために十分な時間にわたり粉体が固体または軟化形態に留まるように、複合材スキンのマトリックスを形成するために使用されるポリマよりも高いT温度を有していてもよい。熱硬化物は、硬化前に液体形態であってもよく、ポリマ鎖の架橋を含む硬化後に固体になってもよい。追加的または代替的に、熱硬化物は接着剤であってもよい。一部の実施形態において、熱可塑物は、ペレットまたは顆粒の形態であってもよく、顆粒を軟化および/または溶解させ、次いで成形型で成形することにより、最終製品へと造形することができる。例えば、熱可塑物の加工またはハードニングは、硬化または架橋を含まないことがある。
【0109】
一実施形態では、エポキシ粉体を使用して、「クラスAサーフェス」または光沢表面とも呼ばれる、ピンホールおよび/または多孔性が実質的にない表面を生成してもよい。エポキシ粉体は、約180℃の開始Tなどの高いTを有していてもよく、塗装可能自動車部品に使用することができる。エポキシ粉体は、約200℃以上の温度において熱劣化を示し始めることがある。エポキシ粉体の高いTにより、高温(例えば、電着プロセス、プライマ塗布プロセス、塗装などの後加工に必要な温度)に耐え得る複合材サンドイッチの製造は容易になり得る。
【0110】
前記方法はまた、第1の成形型部分上および/もしくは中に、ならびに/または粉体上および/もしくは中に、スタックアセンブリを配するアクト520を含んでもよい。上記のように、スタックアセンブリは、第1のポリマ樹脂含浸繊維シート(例えば、ポリマ樹脂を伴う第1の繊維シートを粉体上に設置してもよい)、コアブランク、およびコアブランク上に位置付けられた第2のポリマ樹脂含浸繊維シートを含み、コアブランクが第1の含浸繊維シートと第2の含浸繊維シートとの間に位置付けられるようになっていてもよい。
【0111】
前記方法はまた、閉じた成形型の第1の部分および第2の部分によって形成される成形型の加工容積内に粉体およびスタックアセンブリを閉じ込めるアクト530を含んでもよい。更に、成形型の第1および第2の部分は、選択された圧力を粉体およびスタックアセンブリに印加してもよい。一部の実施形態において、前記方法はまた、成形型の加工容積内を減圧にするアクト540を含んでもよい。追加的または代替的に、前記方法はまた、第1および第2の成形型部分を加熱することにより粉体および/またはスタックアセンブリを加熱するアクト550を含んでもよい。第2の成形型部分を第1の成形型部分よりも低い温度に加熱し、ポリマ樹脂が第2の成形型部分から第1の成形型部分に向かってゲル化を開始するか、その逆になるようにしてもよい。このゲル化プロセスは、不連続繊維内に捕捉された空気を粉体の顆粒またはペレット間の隙間に向かわせ、減圧により空気が除去されるようにすることができる。一部の実施形態において、第1の成形型部分と第2の成形型部分との間の温度差は、少なくとも5℃であってもよい。例えば、第1の成形型部分と第2の成形型部分との間の温度差は、少なくとも10℃、少なくとも15℃等であってもよい。第1の成形型部分が比較的低い温度であるとき、粉体はハードニングせずに昇温することができる。例えば、粉体のゲル化時間は約90秒であってもよく、このゲル化時間は、実質的に滑らかな表面仕上げを生成するために、繊維シートの繊維内に捕捉された空気を(例えば、自然吸気(natural aspiration)および/または減圧により)少なくとも部分的に除去できるようにするものである。
【0112】
一実施形態において、スタックアセンブリに使用されるポリマ樹脂の硬化温度は、約120℃であってもよい。例えば、第1の成形型部分が115℃になり、第2の成形型部分が125℃になってもよい。あるいは、例えば、硬化温度が約125℃であり、第1の成形型部分が120℃になり、第2の成形型部分が130℃になってもよい。一般に、硬化時間は、実施形態ごとに異なっていてもよい。少なくとも1つの実施形態において、エポキシの硬化は、約98%の硬化に約6〜7分かかることがある。硬化する際に、ポリマ樹脂は、(例えば、未硬化ポリマ樹脂の全容積(fill volume)と比較して)約2.5%〜3%収縮することがある。
【0113】
一部の実施形態において、第1の成形型部分と第2の成形型部分との間の温度差は、少なくとも50℃であってもよい。いくつかの加工条件下で、温度差が約50℃に拡大すると、異なる成形型温度における異なる熱膨張による寸法差もまた大きくなり、例えば成形型が閉じたときにスキンアセンブリに高い局所的圧力が生じることがある。この高い局所的圧力は、成形型の著しい摩耗をもたらし得る。
【0114】
一部の実施形態において、完全硬化のために、複合材サンドイッチを後硬化加工(例えば、オーブンまたはオートクレーブ内での加熱)に供してもよい。例えば、オーブンは、2℃の勾配にて室温から高温度に加熱してもよく、前記高温度には電着などの後加工中に到達し得る。一実施形態において、複合材サンドイッチは、約180℃まで加熱されてもよく、その温度で一定時間(例えば、1時間)保持されてもよい。これにより、完全硬化の確保が促進され、更なる収縮が低減または停止され得る。後硬化中の緩やかな昇温は、熱衝撃の可能性および/または効果を低減させ得る。オーブンの利用効率を向上させるために、多数の複合材料部品をオーブン内に設置し、後硬化プロセスを経るようにしてもよい。一般に、硬化温度および硬化時間は、実施形態ごとに異なっていてもよく、特に、エポキシの種類、エポキシの厚さ等に依存することがある。例えば、硬化温度が上がると、硬化時間は短くなることがある。
【0115】
一部の実施形態において、第1および/または第2の成形型部分からの複合材サンドイッチの取り出しを容易にするため、ワックスなどの成形型離型剤を塗布してもよい。1つ以上の実施形態において、シリコーン成形型は、塗装されることが意図された表面にとって望ましくない場合があることに留意されたい。一部の実施形態において、複合材サンドイッチは、成形型から取り外され、その後冷却されてもよい。
【0116】
図18は、本開示の実施形態に従う各種材料からなるパネルの曲げ剛性の比較を示すグラフである。これらの曲線は、わずかな材料の変化を伴う複合材サンドイッチパネルについて実験から得られたものである。曲線902は、ポリカーボネート飲用ストロから形成された硬質コアを表している。各ストロは7mmの直径を有し、コアは70kg/cm (PC7−70)の密度を有する。前記複合材スキンは、第1の供給者から供給された600gsmのガラス繊維および400gsmのNCFをエポキシ中に含む。曲線904は、ポリカーボネート飲用ストロから形成されたコアを表している。各ストロは6mmの直径を有し、コアは70kg/cm(PC6−70)の密度を有する。前記複合材スキンは、第1の供給者から供給された600gsmのガラス繊維をエポキシ中に含む。曲線906は、第1の供給者から供給された600gsmのガラス繊維をエポキシ中に含むPC7−70を表している。曲線908は、第2の供給者から供給された600gsmのガラス繊維をエポキシ中に含む6−70を表している。
【0117】
図示されているように、曲線902は、最も高い曲げ剛性を示している。具体的には、曲線902は曲線906よりも高い曲げ剛性を示しており、このことは追加のNCFが複合材サンドイッチの曲げ剛性を増大させ得ることを示唆している。曲線902は曲線906よりも高い曲げ剛性を示しており、このことはチューブのより大きな直径が曲げ剛性を増大させ得ることを示唆している。曲線904は曲線908よりも高い曲げ剛性を示しており、このことはガラス繊維の供給者が曲げ剛性に影響し得ることを示唆している。
【0118】
以下の部分では、理論的モデリングに基づく複合材スキンおよび複合材サンドイッチの剛性、曲げ強度の計算に関する詳細を説明する。加えて、アルミニウムに対する各種複合材構造の比較も行う。曲げ剛性を得るために、表1.1〜1.5に、複合材積層またはスキンならびにアルミニウムの密度、弾性率、幅、長さ、および厚さ、更にコア高さを含むデータが挙げられている。アルミニウムもしくは複合材スキン、または複合材サンドイッチの曲げ剛性は、下記の部分に記載されている式に基づいて計算される。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】
【表5】
【0124】
図19は、本開示の実施形態に従い曲げ剛性を計算するためのパネルの図である。前記パネルは、複合材スキン、複合材サンドイッチ、アルミニウムシート等であり得る。y軸に沿った厚さおよびz軸に沿った幅を含む寸法が、x−y−z座標に関して示されている。図示されているように、曲げはz軸周りに生じる。
【0125】
一体式炭素繊維(CF)積層の曲げ剛性は、下記の式(1)における弾性率と慣性モーメントの積として表すことができる。
【数1】
【0126】
式中、DcfはCF積層の曲げ剛性を意味し、EcfはCF積層の弾性率を意味し、Iはz軸に関する慣性モーメントを意味し、wはCF積層の幅を表し、tはCF積層の厚さを表す。Iは積層の厚さおよび幅に依存する。
【0127】
中実アルミニウムシートの曲げ剛性は、式(1)によって表すことができるが、Dcfをアルミニウムの曲げ剛性DAlに置き換え、Ecfをアルミニウムの弾性率EAlに置き換える。CF積層においてアルミニウムシートと同じ曲げ剛性を達成する場合、CF積層に要求される厚さは、下記の式(2)から得ることができる。
【数2】
【0128】
したがって、要求されるCF積層の厚さは、式(2)から計算することができ、下記の式(3)によって得ることができる。
【数3】
【0129】
図20は、本開示の実施形態に従う複合材サンドイッチの曲げ剛性を計算するための複合材サンドイッチの図である。複合材サンドイッチ1100は、上部複合材スキン1102Aと底部複合材スキン1102Bとの間に挟まれたコア1104を含んでいる。前記コアは、プラスチックチューブなどのチューブまたは高密度発泡体を含む「硬質」コアであっても、板紙もしくはカードボードまたは低密度発泡体などの「軟質」コアであってもよい。図20に示されるように、wは複合材スキン1100の幅を意味し、tはコア1104の厚さまたは高さを意味し、tは複合材スキン1102Aおよび1102Bの厚さを意味し、dは複合材スキン1102A〜B間の中間部分の距離(即ち、t+t)を意味する。
【0130】
複合材サンドイッチ1100に関して、曲げ剛性は、下記の式(4)において、図心軸からの複合材スキン1102A〜Bとコア1104の曲げ剛性の合計として表すことができる。
【数4】
【0131】
複合材サンドイッチ1100の2つのスキンまたは表面仕上材1102A〜Bに対して対称分布および同一の材料を仮定すれば、複合材サンドイッチ1100の曲げ剛性は、下記の式(5)により、複合材スキン1102A〜Bおよびコア1104の弾性係数および慣性モーメントの点から表すことができる。
【数5】
【0132】
スキン1102A〜Bにシュタイナーの定理を適用すると、スキン1102Aまたは1002Bおよびコア1104の慣性モーメントは、下記の式(6)に表すことができる。
【数6】
【0133】
式中、wは複合材ビームの幅を意味し、tはコアの厚さを意味し、tはスキンの厚さを意味し、dはスキン間の中間部分の距離(即ち、t+t)を意味している。
【0134】
式(6)を式(5)に代入すると、下記の式(7)が得られる。
【数7】
【0135】
コアの低い弾性率により、複合材サンドイッチ1100の曲げ剛性に対するコア1104の寄与は、通常わずかであり、1%未満であるため、複合材サンドイッチ1100の曲げ剛性は、下記の式(8)によって概算することができる。
【数8】
【0136】
式(8)における曲げ剛性の初項は、dが4tより大きい場合、2.5%未満となり得る。ほとんどの場合、複合材スキン1102Aまたは1102Bは薄く、複合材コア1104は複合材スキン1102Aまたは1102Bと比較して著しく厚い。したがって、複合材サンドイッチ1100の曲げ剛性は、下記の式(9)によって概算することができる。
【数9】
【0137】
式(7)〜(9)に示されるように、複合材スキンの厚さtが増大すると、複合材サンドイッチの曲げ剛性も増大する。
【0138】
曲げ剛性に対するコア高さの影響を示す、いくつかの例を以下に挙げる。図21Aは、本開示の実施形態に従う複合材構造の図である。本実施形態において、中実複合材構造1200Aは、組み合わされた厚さtを有する2つの複合材スキンを含んでいる。中実複合材構造1200Aは、コアを含んでいない(例えば、コアは厚さ0に圧縮され得ると仮定する)。
【0139】
図21Bは、別の実施形態に従う複合材サンドイッチの図である。本実施形態において、複合材サンドイッチ1200Bは、組み合わされた厚さtを有する2つの複合材スキンを含んでいる。複合材サンドイッチ1200Bはまた、厚さtのコアも含んでいる。複合材サンドイッチ1200Bは、下記の式(10)によって表される曲げ剛性を有する。
【数10】
【0140】
したがって、前記コアが、上部複合材スキン層と底部複合材スキン層両方を含む中実複合材構造1200Aのスキン層と同じ厚さを有する場合、複合材構造1200Bの曲げ剛性は、中実複合材構造1200Aの曲げ剛性の7倍に増大する。
【0141】
図21Cは、更に別の実施形態に従う複合材サンドイッチの図である。本実施例において、複合材サンドイッチ1200Cは、厚さ3tのコアを含んでおり、2つのスキン層の組み合わされた厚さはtであり、これは中実複合材構造1200Aの厚さである。複合材サンドイッチ1200Cは、下記の式(11)によって表される曲げ剛性を有する。
【数11】
【0142】
式(11)に示されるように、中実複合材構造1200Aの厚さtに対して3倍の厚さのコアを使用する複合材サンドイッチ1200Cの曲げ剛性は、中実複合材構造1200Aの曲げ剛性の37倍の曲げ剛性を生じる。
【0143】
複合材サンドイッチの曲げ強度は、下記の式(12)を用いて計算することができる。
【数12】
【0144】
式中、σmaxは曲げ強度を意味し、Mmaxは最大曲げモーメントを意味する。
Iは慣性モーメントを意味し、ymaxは中立軸からの最大距離ymaxを意味する。
【0145】
通常の荷重構成の場合、Mmaxは、中実複合材構造1200Aおよび複合材サンドイッチ1200B〜Cにとって定数のままとなる。ymaxは、中実複合材構造1200Aおよび複合材サンドイッチ1200B〜Cの厚さに応じて変化し、慣性モーメントIは、式(1)によって示される厚さにより増大し得る。
【0146】
表2は、図21A〜Cに示されている中実複合材構造1200Aおよび複合材サンドイッチ1200B〜Cについての剛性、曲げ強度および重量の比較を示している。表2に示されているように、コア高さが増大すると、複合材サンドイッチの曲げ剛性および曲げ強度が増大する。より長いコア高さにより曲げ剛性を増大させることが望まれるが、ポリカーボネート飲用ストロなどのコアは、より座屈し易くなることがあるため、長すぎまたは高すぎてはいけない。
【0147】
【表6】
【0148】
表2に示されているように、複合材サンドイッチのコアは、中実複合材構造の約2重量%〜6重量%となり、複合材サンドイッチの曲げ剛性および曲げ強度は、コアによって全体の重量を増大させることなく、著しく増大し得る。
【0149】
上記の式に基づいて、等価曲げ剛性をもたらす複合材スキンおよびアルミニウムシートの厚さが計算され、表3に示されている。表に示されているように、厚さはCF積層の弾性率に依存することがある。同様に、アルミニウムの等価厚さは、複合材サンドイッチのCFスキンの厚さの影響を受けやすい。計算のために、平均弾性率値が、炭素繊維データから、E=37.7GPaであると推測された。
【0150】
【表7】
【0151】
表4は、同じ曲げ剛性を得るための一定の弾性率(E=37.7GPa)を仮定して、種々のCFスキン厚さおよび等価アルミニウム厚さを示している。
【0152】
【表8】
【0153】
飲用ストロ、例えばポリカーボネート(PC)から形成されたコアに関しては、コア高さが変化すると、アルミニウム等価厚さも変化し得る。CFスキンのそれぞれについて一定の弾性率37.7GPaおよび厚さ0.6mmを仮定して、表5は、同じ曲げ剛性を達成するためのPCコア高さと等価アルミニウム厚さの変化を示している。
【0154】
【表9】
【0155】
上記の式に基づいて、追加の計算を行うことができ、そのデータは図22Aおよび22Bに示されている。図22Aは、等価厚さのプレートについて重量およびコストの材料比較を示したグラフである。図22Aに示されているように、例えば、アルミニウムは、一体式炭素繊維積層およびポリカーボネートチューブおよび複合材スキンから形成されたコアを含む複合材サンドイッチと比較して最も重く、一体式炭素繊維積層は最もコストが高い。例えば、複合材サンドイッチは、(同等の厚さおよび大きさの)アルミニウムの重量の約80%の重量を持つことがあり、アルミニウムのコストの約50%のコストがかかることがある。一体式炭素繊維積層は、アルミニウムの重量の約60%の重量を持つことがあり、アルミニウムのコストの130%のコストがかかることがある。
【0156】
図22Bは、等価剛性のプレートについて重量およびコストの材料比較を示したグラフである。図22Bに示されているように、複合材サンドイッチは、アルミニウムと同一または類似の剛性を持つために、アルミニウムの重量の約10%の重量を持ち、アルミニウムのコストの約10%のコストがかかることがある。対照的に、一体式炭素繊維積層は、アルミニウムと同一または類似の剛性を持つために、アルミニウムの重量の約60%の重量を持つが、アルミニウムのコストの約130%のコストがかかる。
【0157】
図22A〜Bの棒グラフを作成するために、下記のCFデータおよび樹脂データを使用した。(1)厚さ20mmのアルミニウム6061 T6;(2)厚さ20mm、弾性率50GPaの一体式炭素繊維積層;ならびに(3)2つの複合材スキン(各スキンは厚さ0.4mm、コア高さは20mm、繊維の容積分率は複合材スキン中40%、弾性率は35GPaである。)に対しておよびそれらの間に結合したコアを含む複合材サンドイッチ。
【0158】
図23は、異なる複合材サンドイッチの曲げ弾性率を比較した棒グラフである。曲げ弾性率は、材料の本来的特性であり、幾何学的配置に依存しない。図23に示されているように、棒1406は、全ての複合材サンドイッチのなかで最も高い曲げ弾性率を有する、エポキシを含む複合材スキン間に挟まれたポリカーボネートコアを含む、複合材サンドイッチの曲げ弾性率を表している。棒1404は、最も低い曲げ弾性率を有する、ポリウレタン含浸チョップトストランドマット(CSM)から製作された複合材スキン間に挟まれた紙を含む、複合材サンドイッチの曲げ弾性率を表している。棒1402は、ポリカーボネートコア、およびエポキシの代わりにポリウレタンを含有する、より軟質の複合材スキンを含み、棒1406によって表される複合材サンドイッチよりも低い曲げ弾性率を有する、複合材サンドイッチの曲げ弾性率を表している。
【0159】
本発明は、その精神および主要な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施することができる。記載された実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。したがって、本発明の範囲は、添付された特許請求の範囲によって示すものであって、前述の記載には拘束されない。特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更は、本発明の範囲内に含まれる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
図23