(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463485
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】イグナイタケース
(51)【国際特許分類】
F42B 3/04 20060101AFI20190128BHJP
B21D 51/10 20060101ALI20190128BHJP
B21D 22/02 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
F42B3/04
B21D51/10
B21D22/02 A
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-533429(P2017-533429)
(86)(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公表番号】特表2018-507379(P2018-507379A)
(43)【公表日】2018年3月15日
(86)【国際出願番号】EP2015080191
(87)【国際公開番号】WO2016102293
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2017年8月23日
(31)【優先権主張番号】1463129
(32)【優先日】2014年12月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509186177
【氏名又は名称】オートリブ ディベロプメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブタン, パトリス
(72)【発明者】
【氏名】レイノーソ, ジョゼ
【審査官】
伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−517245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F42B 3/04
F42B 3/198
F42B 3/12
B60R 21/264
B21D 22/02
B21D 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火生成イグナイタ(1)の金属ケース(10)の製造方法であって、前記金属ケース(10)は、少なくとも1つの脆弱部位(15)と、その少なくとも1つの脆弱部位(15)に対向する少なくとも1つの部分を有する前記金属ケース(10)内の内側表面(121)とを有する壁(12)を備え、
− 前記ケース(10)を平坦部位(21)を含むダイ(20)上に位置決めする工程と、
− 1回の打撃動作によって、
− その少なくとも1つの脆弱部位(15)に対向し、少なくとも1つの当初は湾曲した部位を有する前記内側表面(121)の前記部分を少なくとも、変形させて、その平坦部位に持って行くことで平坦な内側表面(122)を形成し、さらに
− その少なくとも1つの脆弱部位(15)を形成するように
少なくとも1つのポンチ(30)で前記壁(12)を打撃する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
充填容積部が画定されるように壁(12)が設計され、前記ケース(10)がさらに底(19)を備え、その少なくとも1つの脆弱部位(15)がベント穴(14、14’、14’’)を画定し、
前記方法が、その少なくとも1つの脆弱部位(15)に対向し、少なくとも1つの当初は湾曲した部位を有する前記内側表面(121)の少なくとも前記部分を変形させることからなる前記工程が、前記湾曲したベント穴(14、14’、14’’)の少なくとも一部分を残すことによって前記充填容積部を最大化することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
壁(12)が前記金属ケース(10)の側壁であり、
前記方法が前記打撃工程の後に前記ケース(10)を前記ケースの取出し軸に沿って前記ダイ(20)から取り出すことからなる工程を含み、前記平坦な内側表面(122)を形成する工程が、抜取り方向に対してクリアランス角(G)を伴って前記平坦な内側表面(122)を形成することからなる工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのポンチ(30)によって前記側壁(12)を打撃することからなる前記工程が2つ、3つまたは4つの脆弱部位(15)を同時に形成できることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
壁(12)が前記ケース(10)の外側表面(18)を備え、
少なくとも1つの脆弱部位(15)が平面(C)に含まれる曲線(17)に沿って延びる輪郭(16)によって画定され、
前記壁(12)を打撃することにある前記工程が、その外側表面(18)の少なくとも1つの当初は湾曲した部分を変形させてその平面(C)にまで持って行くようにして、その少なくとも1つの脆弱部位(15)を形成することにある工程を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記当初は湾曲した外側表面(18)のこの少なくとも1つの部分に対する前記変形工程が、前記外側表面(18)の前記平面(C)と前記平坦な内側表面(122)の間にゼロでない角度を与えることにある工程である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
− 充填容積部を画定するように設計された壁(12)と、
− 前記壁(12)に位置決めされた曲線(17)に沿って延びる輪郭(16)によって画定される少なくとも1つの脆弱部位(15)であって、前記壁(12)の破裂圧力よりも低い所定の圧力で破裂するように設計された脆弱部位とを備え、
− 少なくとも1つの脆弱部位(15)がベント穴(14)を画定する
火生成イグナイタ(1)の金属ケース(10)において、
その曲線(17)が平面(C)内に包含され、前記ベント穴(14)の少なくとも一部分が前記充填容積部を最大化するように湾曲していることを特徴とする、金属ケース(10)。
【請求項8】
壁(12)が側壁であり、円形基部を持つ軸心(A)沿いの円筒形で、前記軸心(A)の周りに均等に振り分けられた2つ、3つまたは4つの脆弱部位(15)を備える、請求項7に記載の火生成イグナイタ(1)の金属ケース(10)。
【請求項9】
請求項7または8に記載のケース(10)とガラスクロスピースとを備え、前記ケース(10)が前記ガラスクロスピースに溶接された火生成イグナイタ(1)。
【請求項10】
絶縁カバーおよび/またはオーバーモールドをさらに備える、請求項9に記載の火生成イグナイタ(1)。
【請求項11】
請求項9または10に記載の少なくとも1つの火生成イグナイタ(1)を備えるガス発生器。
【請求項12】
請求項9または10に記載の少なくとも1つの火生成イグナイタ(1)を備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、自動車に組み込まれるなどした各種火生成装置に使用することができる火生成イグナイタに関し、より具体的にはそのイグナイタに使用される金属ケースおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、火生成イグナイタは、米国特許出願第2009179408号で開示されているように、内側に湾曲した部位と、少なくとも1つの脆弱部位とを含む側方壁によって形成されるケースを備えるものとして知られている。
【0003】
脆弱部位は、ガスおよび火生成材料を放出するためのベント穴を側壁に形成する。この脆弱部位は側壁の厚さが局所的に減らされた形状をなす。残された材料の厚さは、ケース内部が圧力にさらされたときに側壁の破裂圧力よりも低い圧力でベント穴が開くことを可能にする。
【0004】
この減厚の精度は、製造したそれぞれの各イグナイタ間での、したがってイグナイタが設置されるそれぞれの装置間での機能の繰返し性および再現性を保証する上で、欠かすことのできないものである。脆弱部位の製作に欠陥があると、ベント穴の開口不良の原因となる場合があり、それによってケースの損傷やケースが設置された装置の動作不全を招く可能性がある。
【0005】
脆弱部位が正しく製作されることを確実にするため、脆弱部位の製作前にイグナイタの側面に、ケースの製造で後からそこに脆弱部位を設けることができるだけの大きさの平坦部位を形成する方法が知られている。平坦部位への打撃を行うことにより、脆弱部位の底に残る材料の厚さに関して要求される公差を達成することができる。こうした公差は、平面部位に対して脆弱部位を打撃するのでなければ果たし得ないものである。
【0006】
このようなやり方では平坦部位の製作工程が必要となり、それによって補完的な工具の必要が生じて保守費用も生じる。さらに、平坦部位はケースの有効容積を減らす。そして最後に、平坦部位の製作はケース外側表面の変形の原因となる。こうした変形は、
− イグナイタケースをイグナイタの外側環境から電気的に絶縁する働きを全体として果たすプラスチックカバーをその後に設置する上で、
− イグナイタを閉じ込めるガラスクロスピースの挿入時に、
− ケースをガラスクロスピースに溶接する際に、
− イグナイタにオーバーモールドを施す場合に(その場合には工具をイグナイタとあわせてできるだけ正確に規定する必要があるため)、
問題となる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1つの目的は、上述の従来技術における不都合に対処すること、とりわけ、第一に火生成イグナイタケースの迅速な製造方法を提案することにある。
【0008】
そこで、本発明の第1の態様は、火生成イグナイタの金属ケースの製造方法であって、金属ケースは、少なくとも1つの脆弱部位と、その少なくとも1つの脆弱部位に対向する少なくとも1つの部分を有する金属ケース内の内側表面とを有する壁を備え、
− ケースを平坦部位を含むダイ上に位置決めする工程と、
− 1回の打撃動作によって、
− その少なくとも1つの脆弱部位に対向し、少なくとも1つの当初は湾曲した部位を有する内側表面の少なくとも一部分を変形させて、その平坦部位に持って行くことで平坦な内側表面を形成し、さらに
− この少なくとも1つの脆弱部位を形成するように
少なくとも1つのポンチで壁を打撃する工程と、
を含む方法に関する。
【0009】
この方法は、脆弱部位の打撃の前にケースに平坦部位を製作する工程の必要のない、簡易化されたものとなっている。これは、この方法ではその2つの操作が1つの同じ打撃動作となっているためである。さらに、これによって、正確かつ再現性のある脆弱部位の形成が可能となる一方で、ケース壁の脆弱部位を打撃することによって生じる変形を抑えることができる。実際、製造する部品とダイの間の遊びをそれぞれの打撃工程ごとに考慮する必要がある。それらの遊びは、製造する部品に取り込まれてしまうはずである。したがって、工程をなくすことで遊びもなくなり、それによって望ましくない変形が抑えられる。また、塑性変形を強いるのは一度だけであり、それによって材料の冷間圧印全体として可変性が制限されることも注目される点である。
【0010】
壁に設けられた脆弱部位は、その壁の破裂圧力よりも低い所定の圧力で破壊されるように設計される。
【0012】
この方法は、端部よりも側壁に脆弱部位を製作する用途に一段と好ましい。これは、側方打撃のためにはダイに対するケースの位置決めに一段と大きな遊びが必要とされるためである。そのため、工程を1つ減らすことがなおいっそう好都合となる。
【0013】
ケースは、有利にはスタンピングのような冷間成形の方法によって作成された部品である。ケースは、NF−EN−10130規格によって標準化されたDC04またはDC06のような軟質ニッケル鋼によって形成されるものであることができる。
【0014】
ケースのスタンピング後、脆弱部位の形成前の時点では、ケースの外側面とケースの内側面は既知のスタンピング公差に従って平行をなしている。そのため、湾曲部位を有する内側面の反対側の外側面も湾曲部位を有する。
【0015】
壁は有利には充填容積部を画定するように、その際、この少なくとも1つの脆弱部位がベント穴を画定するように設計され、その方法は、その少なくとも1つの脆弱部位に対向し、少なくとも1つの当初は湾曲した部位を有する内側表面の少なくとも一部分を変形させる工程が、湾曲したベント穴の少なくとも一部分を残すことによって充填容積部を最大化することを特徴とする。
【0016】
この方法は、脆弱部位の成形に必要な表面のみを変形するものであるため、壁の変形を最小限に制限し、そのことによって脆弱部位の作成がケースの外側環境に及ぼす影響を制限する。保護カバーのような構成品の追加や、ガラスクロスピースの挿入、ガラスクロスピースへのケースの溶接などの追加的なプロセスの適用もそれによって容易になる。換言すれば、脆弱部位が含まれることになる壁の一部分だけが変形(平坦化)され、その脆弱部位が円弧状に線を描く場合には、その円弧の中に位置する壁の部分が少なくとも部分的に湾曲して残る。
【0017】
この壁は有利にはケースの側壁であり、方法は打撃工程の後にケースをケースの取出し軸に沿ってダイから取り出す工程を含み、内側の平坦面を形成する工程は抜取り方向に対してクリアランス角を伴って内側の平坦面を形成する工程を含む。
【0018】
クリアランス角は0から1°の間であることができ、有利には0から0.5°の間(両端を含む)である。
【0019】
本方法は有利には、少なくとも1つのポンチによって側壁を打撃する工程が2つ、3つまたは4つの脆弱部位を同時に形成できることを特徴とする。
【0020】
壁は有利にはケースの外側面を備え、少なくとも1つの脆弱部位が1つの面に含まれる曲線に沿って延びる輪郭によって画定され、壁を打撃する工程は、その外側面の少なくとも1つの当初は湾曲した部分を変形させてその面にまで持って行くようにして、その少なくとも1つの脆弱部位を形成する工程を含む。
【0021】
内側の平坦面と、1つの面に含まれる曲線に沿って延びる輪郭によって画定された脆弱部位とが同時に形成されることで、制御された再現性のある脆弱部位の所定の破裂圧力を保証することが可能となる。実際、打撃面が平坦な工具であれば、作成も調整もより単純かつ容易となる。打撃面の製作をより楽に行うことができれば、別々の工具で製造したケースの脆弱部位の互いの相似性は一段と高まり、生産品全体のばらつきも小さくなる。
【0022】
外側表面のこの少なくとも1つの部分に対する変形工程は、外側表面の平面と内側の平坦面の間にゼロでない角度を与える工程であることが有利である。
【0023】
外側表面の平面と内側の平坦面の間の非ゼロ角の組合せにより、内側の平坦面と外側表面の平面の間の距離が最小となる壁の位置を調整することができる。脆弱部位の破裂強度はこの位置で最も弱くなる。それにより、脆弱部位の所定の破裂圧力を上回る圧力にさらされたとき、制御された再現性のあるケースの開放を果たすことができる。
【0024】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の方法に従って製造された火生成イグナイタの金属ケースに関する。
【0025】
金属ケースは有利には、
− 充填容積部を画定するように設計された壁と、
− 壁に位置決めされた曲線に沿って延びる輪郭によって画定される少なくとも1つの脆弱部位であって、壁の破裂圧力よりも低い所定の圧力で破裂するように設計された脆弱部位とを備え、
− その少なくとも1つの脆弱部位がベント穴を画定し、
その曲線が平面内に包含され、ベント穴の少なくとも一部分が充填容積部を最大化するように湾曲していることを特徴とする。換言すれば、ベント穴は内側表面と外側表面とを有し、ベント穴の内側表面の少なくとも一部分は湾曲している(したがって、ベント穴の外側表面も同様)。
【0026】
ケースは有利には底を備え、壁は側方である。
【0027】
壁は有利には側方であり、円形基部を持つ軸心沿いの円筒形で、その軸心の周りに均等に振り分けられた2つ、3つまたは4つの脆弱部位を備える。
【0028】
均等に振り分けることによって、ケースを構成するイグナイタをその動作時にバランスさせる必要をなくすことができる。
【0029】
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様によるケースとガラスクロスピースとを備える火生成イグナイタであって、そのケースがガラスクロスピースに溶接された火生成イグナイタに関する。
【0030】
さらに、火生成イグナイタは有利には絶縁カバーおよび/またはオーバーモールドを備える。
【0031】
本発明の第4の態様は、本発明の第3の態様による少なくとも1つの火生成イグナイタを備えるガス発生器に関する。
【0032】
本発明の第5の態様は、本発明の第3の態様による少なくとも1つの火生成イグナイタを備える自動車に関する。
【0033】
本発明のそれ以外の特徴および利点は、添付の図面によって表されもっぱら非限定的な例として与えられる本発明の1つの実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことによってより明確になろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の第3の態様による火生成イグナイタであって、本発明の第1の態様による方法で製造された火生成イグナイタの側面図である。
【
図2】
図1の火生成イグナイタのケースのB−B軸沿いの詳細断面図である。
【
図3】本発明の第1の態様による方法のある工程における
図1のイグナイタケースの断面図である。
【
図4】本発明の第1の態様による方法の工程における脆弱部位の一部分のレベルで
図1のH−Hの弓形に沿って折り返した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、2つの連結ピン13、13’を与えられたガラスクロスピースに溶接ビード11を介して溶接されたケース10を備える火生成イグナイタ1の側面図を示している。
【0036】
ケーシングは、全体が軸心Aの円筒形で円形基部を有する側壁12を備え、底板19を有する。ケース10の側壁12は図示した3つのベント穴14、14’、14’’と、さらにベント穴14に対して径方向反対側に図では見えない第4のベント穴を備える。4つのベント穴は軸心Aの周りに均等に振り分けられている。均等に振り分けられることによって、複数のベント穴が同時に打撃されたときの打撃応力をバランスさせることができ、動作時にイグナイタ1のバランスが崩れるのを防ぐことができる。
【0037】
ケーシング10は、DC04やDC06のような軟質ニッケル鋼のシートから、スタンピングなどの、冷間打撃の方法によって成形することができる。ケーシングの厚さは0.3から0.6mmの間、有利には0.35から0.5mmの間(両端を含む)である。
【0038】
ケースの外径は好ましくは7mm超、有利には10mm超であって、12mmから15mmの間(両端を含む)であることが好ましい。
【0039】
ベント穴14、14’、14’’は、局所的に減厚された側壁12の4つの脆弱部位15として画定される。これらの脆弱部位15は、曲線17に沿って延びる輪郭16(
図2に見ることができるもので、この先で詳述する)によって画定される。曲線17はU字形をなし、その両端はU字の内側に向かって折り返されることで、ベント穴14、14’、14’’が開いたときにケース10の側壁12と一体を保つことができる蝶番部を形成するようにされている。
【0040】
実際、イグナイタ1が装着された車両のコンピュータから電気パルスを連結ピン13および13’によって送ることによってイグナイタ1に点火すると、ケース10内部に詰められた火生成材料が燃焼してイグナイタ1内の圧力を上昇させる。脆弱部位15のレベルでケース10の厚みが減らされていることにより、ベント穴14、14’、14’’は、その残された材料の厚みとケースの材料などによって規定される所定の圧力であって、脆弱部位15がないとした場合のケース10の破裂圧力よりも低い所定の圧力で開放される。
【0041】
それにより、ベント穴14、14’、14’’の制御された開放が可能となり、それによって燃焼ガスを所望の圧力でのみ放出することができる一方で、動作中のイグナイタ1の健全性が保証される。この健全性は重要であり、これによってイグナイタ1が取り付けられた装置の動作にイグナイタ1からの粒子が干渉しないことを保証することができる。
【0042】
図2は、
図1の火生成イグナイタのケースのベント穴14、14’、14’’のレベルに置いたB−B軸に沿った断面によるベント穴14の詳細図を示している。
【0043】
脆弱部位15の輪郭16は脆弱部位15の底で台形状に先端を切り取られた三角形をなす。脆弱部位15の開先角Dは有利には50から70度の間であり、好ましくは60度である。輪郭16の台形状の先端Eの幅は0.1から0.2mmの間である。台形状の部位は平面Cに含まれる。
【0044】
脆弱部位15の底で平面Cとケーシング10の平坦面122の間に残される材料の厚さは0.05から0.2mmの間で、好ましくは0.07から0.15mmの間である。
【0045】
ベント穴14は、湾曲して基本的には円筒形である(
図2の2つの輪郭16の間に挟まれた)面141を有することに留意することは重要である。これにより、ケーシング10の容積を最大化することができる。
【0046】
図3は、本発明の第1の態様による方法の1つの工程の過程におけるケーシング10の断面を示している。ケース10は平坦部位21を含むダイ20上に位置決めされる。少なくとも1つの湾曲した部位を含む壁12の内側表面121の部分であって、その少なくとも1つの脆弱部位15に対向する部分は、打撃方向Fに沿ってダイ20の平坦部位21とパンチ30上の脆弱部位15に対する相補形状との間に位置決めされる。
【0047】
ケースは、円形基部および軸心Aを持つ円筒形の全体形状を有する側方外側表面18を有しており、ケース10の内側表面121と平坦部位21の間に最大距離dがある。距離dは、製作する脆弱部位15の寸法に応じて調整してできるだけ脆弱にすることで打撃時のケース10の変形を最小限にまで減らし、それによってケース10の容積が最大化されるようにする。一例として、11.7mmの内径のケーシング10に対して3mm×5mm(5mmはピン13および13’の全体方向に沿った寸法)の長方形の中に収まる脆弱部位15の打撃を行う場合、距離dは0.4mmである。
【0048】
そのため、本発明による方法では、脆弱部位15を、すなわち平面Cにつながる台形状の先端を持つ輪郭16と、平面である内側表面122とを有する部位を形成するために完全に円筒形のケース10を直接打撃することを提案する。したがって、打撃工程は輪郭16、平面Cおよび内側平坦面122を同時に形成する一方、ベント穴14の表面141は湾曲したままに残される。
【0049】
図4は、本発明の方法に従って壁12に脆弱部位が圧造された後、ダイ20からケース10が取り出される前の脆弱部位15の一部分のレベルにおける折返し部を示している。
【0050】
ダイ20の平坦部位21はケースの抜取り方向Iのクリアランス角Gを有する。この実施形態では、抜取り方向Iはケース10の軸心Aと平行であり、図示しないピン13および13’と反対方向を向く。クリアランス角は0から1°の間であってよく、有利には0から0.5°の間(両端を含む)である。
【0051】
このクリアランス角Gは外側表面18の平面Cと内側平坦面122の間の距離が曲線17の形状および内側表面121の湾曲に従って変化できるようにする。そのため、
図1に示す脆弱部位15のこの実施形態によれば、クリアランス角は、外側表面18の平面Cと内側平坦面122との最小距離がピン13、13’に最も近い部位のU字の下方部位に来ることを保証できるようにする。そのため、ケース10内の圧力に対する抵抗力が最も小さいのは脆弱部位15のこの下方部位である。そのため、ベント穴14、14’、14’’はその下方部位で開き始め、破れはそこから曲線17に沿って伝播することが保証される。これにより、製造されたイグナイタの動作の再現性が向上する。さらに、脆弱部位15の残された部分が有する、平面Cと内側平坦面122の間の厚みが大きくなる分だけ、ベント穴14、14’、14’’の開放時における破れの伝播速度を遅くすることができ、それらベント穴14、14’、14’’はイグナイタの動作後に壁12の残りの部分に連結した状態を保つことができる。
【0052】
本明細書で説明した本発明のそれぞれの実施形態には、添付の請求項によって定義される本発明の範囲から外れることなく、当業者には自明の様々な変形および/または改良を追加できることは理解されよう。