特許第6463544号(P6463544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6463544
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】薄膜型インダクタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20190128BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20190128BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   H01F17/00 B
   H01F17/04 A
   H01F27/28 104
【請求項の数】17
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-148374(P2018-148374)
(22)【出願日】2018年8月7日
【審査請求日】2018年8月7日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0127951
(32)【優先日】2017年9月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジョン ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ユ、キ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チャ、ヘ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】オ、ジ へ
【審査官】 森 透
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−529732(JP,A)
【文献】 特開2010−16337(JP,A)
【文献】 特開2015−228477(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/147993(WO,A1)
【文献】 特開2006−310716(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0086719(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 17/04
H01F 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料で充填された貫通孔、及び前記貫通孔から離隔し、且つ導電性物質で充填されたビアホールを含む支持部材と、前記支持部材によって支持される内部コイルと、前記支持部材と前記内部コイルを封止する磁性材料とを含む本体と、
前記本体の外部面上に配置され、前記内部コイルの両端とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極と、を含み、
前記内部コイルは、前記支持部材の上面上に配置される第1コイルと、前記支持部材の下面上に配置される第2コイルと、を含み、前記第1及び第2コイルは、前記ビアホールを前記導電性物質で充填して形成したビア電極を介して互いに連結され、
前記第1及び第2コイルはそれぞれ、複数のコイルパターンを含み、
前記複数のコイルパターンのうち前記ビア電極と直接連結された連結コイルパターンと前記本体のコア中心とを互いに連結する仮想の直線は、前記コア中心を基準に、前記ビア電極側の第1仮想の直線と、その反対側の第2仮想の直線と、を含み、
前記第1仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンの高さは実質的に同一であり、前記第2仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンの高さは前記本体の外部面に行くほど増加し、
前記第1仮想の直線は前記本体のコア中心から前記ビア電極に向かい、前記第2仮想の直線はそれと逆の方向に向かう、薄膜型インダクタ。
【請求項2】
前記第1仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンのうち前記連結コイルパターンの幅は、それに隣接する他のコイルパターンの幅よりも大きい、請求項1に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項3】
前記第1仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンのうち最外側コイルパターンは、前記第2仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンの最外側コイルパターンと同一の高さを有する、請求項1または2に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項4】
前記ビア電極と前記連結コイルパターンとの間の境界線は、前記支持部材の少なくとも一面と同一平面上に配置される、請求項1から3いずれか一項に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項5】
前記連結コイルパターンは、複数のコイル層を含み、前記複数のコイル層のうち最も下に配置されるコイル層は前記ビア電極と接する、請求項4に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項6】
前記複数のコイル層のうち少なくとも一つは、幅方向又は長さ方向よりも厚さ方向にさらに大きいサイズを有する、請求項5に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項7】
前記ビア電極は、前記ビアホールの両側面を包み込む形状を有する、請求項1から3いずれか一項に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項8】
前記ビア電極と直接連結される連結コイルパターンは、前記第1コイルの連結コイルパターンと、前記第2コイルの連結コイルパターンと、を含み、前記第1及び第2コイルのそれぞれの前記連結コイルパターンは物理的に連結される、請求項7に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項9】
前記第2仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンが本体の外部面に行くほど高くなる程度は、互いに隣接するコイルパターン間において一定である、請求項1から8いずれか一項に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項10】
前記内部コイルは、全体的にスパイラル状を有する、請求項1から9いずれか一項に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項11】
前記複数のコイルパターンはそれぞれ複数のコイル層を含む、請求項1から10いずれか一項に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項12】
前記複数のコイル層のうち少なくとも一つは、幅方向又は長さ方向よりも厚さ方向にさらに大きいサイズを有する、請求項11に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項13】
前記第2仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンの最外側コイルパターンの最大幅は、それに最も近いコイルパターンの最大幅よりも大きい、請求項1から12いずれか一項に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項14】
前記第2仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンの高さが増加する程度は最外側コイルパターンに行くほど小さくなる、請求項1から8いずれか一項に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項15】
前記内部コイルの表面は絶縁層をさらに含む、請求項1から14いずれか一項に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項16】
前記第2仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンのうち最内側コイルパターン上の絶縁層の最上面から本体の上面までの最短距離は、前記第1仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンのうち前記連結コイルパターン上の絶縁層の最上面から本体の上面までの最短距離よりも大きい、請求項15に記載の薄膜型インダクタ。
【請求項17】
前記複数のコイルパターンは前記本体のコア中心に対して非対称構造を有する、請求項1から16いずれか一項に記載の薄膜型インダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜型インダクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
IT技術の発展に伴い、装置の小型化及び薄膜化が加速している。これとともに、小型薄型デバイスに対する市場のニーズも増加している。
【0003】
下記特許文献1では、かかる技術トレンドに適するように、ビアホールを有する基板と、上記基板の両面に配置され、上記基板のビアホールを介して電気的に連結されるコイルと、を含むパワーインダクタを提供することにより、均一で且つ高アスペクト比を有するコイルを含むインダクタを提供する努力がなされた。しかし、製造工程の限界により、均一でありながらアスペクト比が高いコイルを形成することには未だに限界があるのが実情である。また、インダクタにおいて磁束が主に集中している領域は中心部のコア領域であるが、かかる磁束が集中する領域に対する技術的な構造改善が要求される状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第1999−0066108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明による薄膜型インダクタが解決しようとする課題の一つは、Rdc特性及びLs特性をともに改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例による薄膜型インダクタは、磁性材料で充填された貫通孔、及び上記貫通孔から離隔し、且つ導電性物質で充填されたビアホールを含む支持部材と、上記支持部材によって支持される内部コイルと、上記支持部材と上記内部コイルを封止する磁性材料とを含む本体と、上記本体の外部面上に配置され、上記内部コイルの両端とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極と、を含む。
【0007】
上記内部コイルは、上記支持部材の上面上に配置される第1コイルと、上記支持部材の下面上に配置される第2コイルと、を含む。また、上記第1及び第2コイルは、上記ビアホールを上記導電性物質で充填して形成したビア電極を介して互いに連結され、上記第1及び第2コイルはそれぞれ、複数のコイルパターンを含む。
【0008】
上記複数のコイルパターンのうち上記ビア電極と直接連結された連結コイルパターンと上記本体のコア中心とを互いに連結する仮想の直線は、上記コア中心を基準に、上記ビア電極側の第1仮想の直線と、その反対側の第2仮想の直線と、を含み、上記第1仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンの高さは実質的に同一であり、上記第2仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンの高さは本体の外部面に行くほど増加し、上記第1仮想の直線は上記本体のコア中心から上記ビア電極に向かい、上記第2仮想の直線はそれと逆の方向に向かう。
【発明の効果】
【0009】
本発明による薄膜型インダクタが奏するいくつかの効果の一つは、コイルの中心であるコアの周りの磁束の流れを円滑にすることでIsat値を改善させ、それぞれのコイルパターンの構造を差別化することでRdcを低減させることができるようにすることである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一例による薄膜型インダクタの概略的な斜視図である。
図2図1に示す薄膜型インダクタの上面図に仮想の直線を追加したものである。
図3図1のI−I'線に沿った断面図である。
図4図3に示す薄膜型インダクタの一変形例による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0012】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。
【0013】
さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対である記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0014】
図1は本発明の一例による薄膜型インダクタの概略的な斜視図であり、図2図1に示す薄膜型インダクタの上面図に仮想の直線を追加したものであり、図3図1のI−I'線に沿った断面図である。ここで、図2及び図3には、説明の便宜のために、仮想の直線L1、L2を加えた。
【0015】
図1図3を参照すると、本発明の一例による薄膜型インダクタ100は、本体1と、上記本体の外部面上に配置される第1及び第2外部電極21、22と、を含む。上記第1及び第2外部電極は、アルファベットの「C」字型に示されているが、上記第1及び第2外部電極が本体内部の内部コイルと電気的に連結されることができれば十分であり、その具体的な形状に制限はない。また、第1及び第2外部電極が導電性物質で構成される必要があることは言うまでもない。
【0016】
上記本体1は、薄膜型インダクタの全体的な外観を構成するが、厚さ(T)方向において互いに対向する上面及び下面、長さ(L)方向において互いに対向する第1端面及び第2端面、幅(W)方向において互いに対向する第1側面及び第2側面を含むことで実質的に六面体形状であってよいが、これに限定されるものではない。
【0017】
上記本体1は、磁性材料11を含み、例えば、フェライト又は金属系軟磁性材料が充填されて形成されることができる。上記フェライトとしては、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ni−Zn−Cu系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Ba系フェライト又はLi系フェライトなどの公知のフェライトを含むことができる。上記金属系軟磁性材料としては、Fe、Si、Cr、Al、及びNiからなる群から選択されたいずれか一つ以上を含む合金であってよく、例えば、Fe−Si−B−Cr系アモルファス金属粒子を含むことができるが、これに制限されるものではない。上記金属系軟磁性材料の粒径は0.1μm以上20μm以下であってよく、エポキシ樹脂又はポリイミドなどの高分子上に分散された形で含まれることができる。
【0018】
一方、上記本体の上記磁性材料により、支持部材12及び内部コイル13が封止される。上記支持部材12は、上記内部コイルを支持する機能を果たし、上記内部コイルを容易に形成する機能も果たす。上記支持部材12は、絶縁特性を有し、薄膜の形を有するもの、例えば、CCL(Copper Clad Laminate)基板やABF絶縁フィルムなどを活用することができることは言うまでもない。その具体的な厚さは、電子部品の小型化に適するように、薄いことが好ましいが、内部コイルを適切に支持することができる程度は要求されるため、例えば、60μm前後の厚さを有することができる。また、上記支持部材12の中央には中央孔Hが形成され、上記中央孔は磁性材料で充填されることが好ましい。上記中央孔を磁性材料で充填することで、全体的な透磁率を向上させることができる。また、上記支持部材12の上記中央孔から所定の間隔だけ離隔している位置には、ビアホール(V)が貫通されて形成される。上記ビアホール(V)の内部は、導電性物質で充填されて、支持部材の上面及び下面にそれぞれ配置される第1コイル131と第2コイル132とを電気的に連結するビア電極veで構成される。
【0019】
上記第1コイル131及び第2コイル132はそれぞれ、複数のコイルパターンを含む。上記複数のコイルパターンのうち連結コイルパターン133a、133bは、上記ビア電極veと直接連結される。これにより、上記第1コイルの一部である連結コイルパターン133aと上記第2コイルの一部である連結コイルパターン133bは、上記ビア電極veを介して互いに電気的且つ物理的に連結される。
【0020】
また、上記複数のコイルパターンはそれぞれ、少なくとも2層以上のコイル層を含み、上記コイル層の少なくとも一つは、異方メッキ層で構成される。ここで、「異方メッキ層」とは、コイルの成長速度において、特定の方向、特にT方向への成長速度が大きく、コイルの厚さがコイルの幅に比べて大きく成長したメッキ層を意味する。
【0021】
この場合、上記連結コイルパターン133a、133bは、他の複数のコイルパターンと同様に、複数のコイル層を含む。上記連結コイルパターン133a、133bは、上記ビア電極veと一体に構成されることができる。ここで、「一体に構成される」とは、連結コイルパターンとビア電極との間に境界線がない場合を意味する。上記連結コイルパターン133a、133bと上記ビア電極veが一体に構成される際に、上記連結コイルパターンの最も下に配置されるコイル層1331a、1331bが、上記ビア電極veとともに形成されることで一体に構成される。
【0022】
以下、コイルパターンが複数層で構成されることについてより詳細に説明する。「複数の層で構成される」とは、層間に境界線があることを意味する。これは、複数の層が互いに異なる工程を経て形成されたことを意味する。例えば、上記連結コイルパターンの最も下に配置されるコイル層と、同一の平面上に配置される他のコイルパターンの最も下に配置されたコイル層は、同一の工程を経て形成されることを意味する。このように、複数のコイルパターンは、複数の層を含んで高アスペクト比を実現するとともに、プロセス安定性を確保することができる。もし、複数のコイルパターンを単一層に実現しようとすると、コイルを成長させるにつれて、コイルパターンの形状又は成長方向を制御することが次第に難しくなって、隣接するコイルパターン間にショート(short)が発生するおそれが大きくなる。
【0023】
一方、図2及び図3を参照し、第1コイルを基準に、具体的なコイルパターンの構造について説明する。ここで、第1コイルについての具体的な説明は、第2コイルについての説明にそのまま適用することができるため、第2コイルについての説明は省略する。
【0024】
図2及び図3には、複数のコイルパターンのうち連結コイルパターン133aとコイルのコア中心Cとを互いに連結する仮想の直線Lが示される。上記直線Lは、上記コア中心を基準に、ビア電極側の第1仮想の直線L1と、その反対側の第2仮想の直線L2と、を含む。
【0025】
上記複数のコイルパターンは、上記第1仮想の直線に沿って配列される際に実質的に同一のレベルの高さを維持する。上記「複数のコイルパターンが第1仮想の直線に沿って配列される際に実質的に同一のレベルの高さを維持する」とは、コイルが複数回巻き取られても、コイルの高さを非常に高いレベルで維持することができることを意味する。これは、内部コイルのアスペクト比(AR、Aspect Ratio)が十分に高い状態を維持することができることを意味する。これにより、内部コイルのRdcを比較的小さく実現することができる。
【0026】
また、支持部材上に複数のコイルパターンを形成する際に、主にメッキ工程が活用される。メッキ工程の特性上、コイルパターンの高さとコイルパターンの幅は、通常、比例関係にある。ここで、「通常」とは、別の処理を経ることなく、通常のメッキ工程、例えば、等方メッキを行うことを意味する。これにより、コイルパターンの高さを小さく制限しようとするとき、最も容易な方法は、コイルパターンの幅も、それに比例する程度に制限することである。ところが、幅が小さいコイルパターンがビア電極と直接連結される連結コイルパターン及びビア電極の場合には、ビアのオープン(open)不良が発生する可能性が高くなる。上記「ビアのオープン不良」とは、ビア電極及び連結コイルパターンを形成する際に、上記連結コイルパターン及びビア電極が支持部材内に形成されたビアホールに対応するアライメント(alignment)を合わせず、第1コイルと第2コイルを互いに電気的に連結させない場合を意味する。つまり、連結コイルパターンの幅を減らすことはRdcの側面だけでなく、内部コイルの構造安定性及び連結安定性の側面においても有利ではない。よって、連結コイルパターンの幅を十分に確保することで、ビアのオープン不良などの信頼性問題を事前に防止する必要がある。その結果、連結コイルパターンの高さも十分に確保することができる。上記連結コイルパターンの幅及び高さは、第1仮想の直線L1に沿って配列された隣接するコイルパターンの幅及び高さと同一のレベルであることができ、必要に応じて、ビアのオープン不良をより確実に確保しようとする場合には、高さは同一のレベルに維持し、連結コイルパターンの幅は隣接するコイルパターンの幅よりも大きくなるように制御することができる。
【0027】
その後、上記複数のコイルパターンが上記第2仮想の直線L2に沿って配列される際に、コイルパターンの高さは本体の外部面に行くほど増加する傾向を有する。上記コイルパターンの高さのうち最外側に配置されるコイルパターンが最大値の高さを有することが好ましい。上記コイルパターンの高さが本体の外部面に行くほど増加する傾向を有するようにする理由は、コイルのRdcを十分に低減させながらも、磁性コアと隣接するコイルパターンの高さは比較的低く形成させることで磁束の流れを最適化するためである。また、磁性コアと隣接するコイルパターンの高さを比較的低く形成すると、磁束の流れを最適化することができる理由は、磁性コアで磁束が集中して、特に内部コイルの最内側の端の周りで磁束が集中するため、上記磁性コアの周りのコイルパターンの高さを比較的低くすると集中した磁束の流れが円滑になるためである。もちろん、最内側コイルパターンの高さを全体的に比較的低くする場合、磁性コアの周りで磁束の流れがより円滑になり得るが、本発明では、最内側のコイルパターンのビア電極と直接連結される連結コイルパターンの高さを十分に高いレベルに維持されるようにして、連結コイルパターンの幅を十分に確保することができる条件を設けることにより、ビアのオープン不良の問題が発生する可能性を事前に防止する。また、最内側コイルパターンのコア中心を基準に、上記連結コイルパターンと対向するコイルパターンの高さだけを最小限に抑え、巻き取り方向に沿って次第にコイルパターンの高さが増加するようにすることで、内部コイルの全体的なRdcを十分に低く維持することができる。
【0028】
一方、第2仮想の直線L2に沿って配列される複数のコイルパターンの高さを次第に増加させる際に、増加する傾向を維持すれば十分であり、その増加程度を一定の値に維持する必要はない。ここで、「増加する傾向を維持する」とは、第2仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンのうち本体の外部面に近いコイルパターンの高さが、それに隣接するコイルパターンの高さと同一であるか、又は高いと十分である。また、「高さ」とは、各コイルパターンの上面のうち最も高い地点からコイルパターンの下面までの距離と定義することができる。
【0029】
図3を参照すると、互いに隣接するコイルパターンの高さが増加する程度は、実質的に同一に維持されるように表現されているが、これに限定されず、その増加程度は小さくてもよく、大きくてもよいことは言うまでもない(図示せず)。この場合、第2仮想の直線に沿って配列されるコイルパターンの高さが増加する程度は、最外側コイルパターンに行くほど小さくなることが好ましい。これは、上記増加程度が小さくなることが、既にそれぞれのコイルパターンの高さが最外側コイルパターンの高さと実質的に同一のレベルに増加し、その増加した高さを維持することを意味するためである。この際、アスペクト比が比較的高いコイルパターンの数が多いため全体的なRdc値を確保することができる。
【0030】
但し、第2仮想の直線L2に沿って配列される複数のコイルパターンの最外側に配置されて、本体の外部面と最も隣接するようになるコイルパターンの高さは、第1仮想の直線L1に沿って配列されるコイルパターンの高さと実質的に同一であることが好ましい。この場合、最外側コイルパターンは、最も高い高さを維持しながら巻き取られるため、Rdcの低減に有利となり得る。
【0031】
次に、図4は、図3に示す薄膜型インダクタの一変形例による断面図であって、ビア電極と連結コイルパターンとの間の連結構造が異なるだけで、他の構成要素は実質的に同一である。よって、説明の便宜のために、図4に示す内容と図3を対比して異なる内容だけを説明し、重複する説明は省略する。また、同一の構成要素に対しては同一の符号を使用する。
【0032】
図4を参照すると、ビア電極がビアホールの両側面を包み込む形で構成される。これにより、ビア電極を形成するためのシード層を、ビア電極に対応する形状に形成されるようにすることで十分に制御することができる。この場合、ビア電極上に配置される連結コイルパターンの最も下の層に関して説明すると、第1コイルの連結コイルパターンの最も下の層と第2コイルの連結コイルパターンの最も下の層との間の距離がより近くなることができる。また、ビア電極を薄く形成すると、第1及び第2コイルのそれぞれの連結コイルパターンが物理的に連結されるようになる。この場合、連結コイルパターンがビア電極から物理的に分離される不良を事前に防止することができる。第1及び第2コイルのそれぞれの連結コイルパターンがビア電極とだけ直接連結される場合は、連結コイルパターンとビア電極が互いに異種の材料で構成される際に、連結コイルパターンがビア電極から脱落する不良が発生する可能性があるが、図4の場合には、上記不良が低減される。
【0033】
上述の薄膜型インダクタによる場合、相対的に磁束が集中するコア領域の周りにおけるコイルパターンの少なくとも一部の厚さを薄くして、磁束の流れを最適化する。
【0034】
但し、この場合、上記最内側のコイルパターンと直接連結されるビア電極のオープン不良を防止するために、ビア電極と直接連結される連結コイルパターンの厚さは、最も厚いコイルパターンの厚さ、例えば、最外側コイルパターンの厚さレベルと同一に確保して、薄膜型インダクタの信頼性を確保する。
【0035】
また、最内側のコイルパターンのうち連結コイルパターンに対向するコイルパターンの厚さを最小限に抑えるとともに、最内側のコイルパターンから最外側コイルパターンまでのコイルパターンをスパイラル状に連続に巻き取る際に、互いに対向するコイルパターンの厚さ差を徐々に低減することにより、全体的なRdc値を有効に確保できるように、コイルパターンの高さを十分に確保する。
【0036】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【0037】
一方、本発明で用いられた一例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一例は、他の一例の特徴と結合して実施される場合を排除しない。例えば、特定の一例で説明された事項が他の一例で説明されていなくても、他の一例でその事項と反対の説明がされているかその事項と矛盾する説明がされていない限り、他の一例に関連する説明であると解釈することもできる。
【0038】
また、本発明で用いられた用語は、一例を説明するために説明されたものであるだけで、本発明を限定しようとする意図ではない。この際、単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数を含む。
【符号の説明】
【0039】
100 薄膜型インダクタ
1 本体
21、22 第1及び第2外部電極
11 磁性材料
12 支持部材
13 内部コイル
131、132 第1及び第2コイル
133a、133b 連結コイルパターン
【要約】
【課題】Rdc特性及びLs特性をともに改善する薄膜型インダクタを提供する。
【解決手段】本発明は、本体と、上記本体の外部面上に配置される外部電極と、を含む薄膜型インダクタに関するものである。上記本体は、支持部材と、上記支持部材によって支持される内部コイルと、を含む。上記内部コイルは、上記支持部材の一面上に配置される上部コイルと、上記支持部材の他面上に配置される下部コイルと、を含み、上記上部及び下部コイルはビア電極を介して連結される。この場合、第1仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンの高さは実質的に同一であり、第2仮想の直線に沿って配列される複数のコイルパターンの高さは本体の外部面に行くほど増加し、上記第1仮想の直線は上記本体のコア中心から上記ビア電極に向かい、上記第2仮想の直線はそれと逆の方向に向かう。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4