(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一端子基端部と、第一端子外方部と、前記第一端子基端部と前記第一端子外方部との間に設けられ、前記第一端子基端部側で他方側に曲げられた第一屈曲部と、を有する第一端子部と、
第二端子基端部と、第二端子外方部と、前記第二端子基端部と前記第二端子外方部との間に設けられ、前記第二端子基端部側で一方側に曲げられた第二屈曲部と、を有する第二端子部と、
前記第一端子部と前記第二端子部を連結する連結体と、
を備え、
前記連結体から前記第一端子基端部の他方側の面までの厚み方向の距離と、前記連結体から第二端子基端部の一方側の面までの厚み方向の距離とは対応していることを特徴とするリードフレーム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、面方向で大きくなることを防止し、ひいては第一基板及び第二基板に反りや歪みが発生することを防止する電子モジュール、リードフレーム及び電子モジュールの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による電子モジュールは、
第一基板と、
前記第一基板の一方側に設けられた第一電子素子と、
前記第一電子素子の一方側に設けられた第二電子素子と、
前記第二電子素子の一方側に設けられた第二基板と、
前記第一電子素子に電気的に接続される第一端子部と、
前記第二電子素子に電気的に接続される第二端子部と、
を備え、
前記第一端子部が、第一端子基端部と、第一端子外方部と、前記第一端子基端部と前記第一端子外方部との間に設けられ、前記第一端子基端部側で他方側に曲げられた第一屈曲部と、を有し、
前記第二端子部が、第二端子基端部と、第二端子外方部と、前記第二端子基端部と前記第二端子外方部との間に設けられ、前記第二端子基端部側で一方側に曲げられた第二屈曲部と、を有してもよい。
【0007】
本発明による電子モジュールは、
少なくとも前記第一電子素子、前記第二電子素子、前記第一端子基端部、前記第一屈曲部、前記第二端子基端部及び前記第二屈曲部を封止する封止部をさらに備え、
前記封止部と外部との境界における、前記第一端子外方部と前記第一基板との間の厚み方向の距離と、前記第二端子外方部と前記第二基板との間の厚み方向の距離とは対応してもよい。
【0008】
本発明による電子モジュールは、
少なくとも前記第一電子素子、前記第二電子素子、前記第一端子基端部、前記第一屈曲部、前記第二端子基端部及び前記第二屈曲部を封止する封止部をさらに備え、
前記封止部と外部との境界における、前記第一端子外方部と前記第一基板との間の厚み方向の距離と、前記第一端子外方部と前記第二基板との間の厚み方向の距離とは対応し、
前記封止部と外部との境界における、前記第二端子外方部と前記第一基板との間の厚み方向の距離と、前記第二端子外方部と前記第二基板との間の厚み方向の距離とは対応してもよい。
【0009】
本発明による電子モジュールにおいて、
前記第一端子基端部は、基端部側で前記第一基板からの厚み方向の距離が離間した第一離間部を有し、
前記第二端子基端部は、基端部側で前記第二基板からの厚み方向の距離が離間した第二離間部を有してもよい。
【0010】
本発明による電子モジュールにおいて、
前記第一端子基端部は第一折り曲げ部を有し、前記第一折り曲げ部の基端部側が前記第一離間部となり、
前記第二端子基端部は第二折り曲げ部を有し、前記第二折り曲げ部の基端部側が前記第二離間部となってもよい。
【0011】
本発明による電子モジュールにおいて、
前記第一折り曲げ部は、縦断面において角形状又は円弧形状を有し、
前記第二折り曲げ部は、縦断面において角形状又は円弧形状を有してもよい。
【0012】
本発明による電子モジュールにおいて、
前記第一端子基端部は、前記第一基板側に突出した第一端子凸部を有し、
前記第二端子基端部は、前記第二基板側に突出した第二端子凸部を有してもよい。
【0013】
本発明によるリードフレームは、
第一端子基端部と、第一端子外方部と、前記第一端子基端部と前記第一端子外方部との間に設けられ、前記第一端子基端部側で他方側に曲げられた第一屈曲部と、を有する第一端子部と、
第二端子基端部と、第二端子外方部と、前記第二端子基端部と前記第二端子外方部との間に設けられ、前記第二端子基端部側で一方側に曲げられた第二屈曲部と、を有する第二端子部と、
前記第一端子部と前記第二端子部を連結する連結体と、
を備えてもよい。
【0014】
本発明による電子モジュールの製造方法は、
前述したリードフレームの前記第一端子基端部を第一基板に設けられた第一導体層又は金属基板からなる第一基板に当接させ、前述したリードフレームの前記第二端子基端部を第二基板に設けられた第二導体層又は金属基板からなる第二基板に当接させる工程と、
前記連結体を切り離す工程と、
を備え、
前記第一導体層又は金属基板からなる前記第一基板は第一電子素子に電気的に接続され、
前記第二導体層又は金属基板からなる前記第二基板は第二電子素子に電気的に接続されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様として、第一端子部が第一屈曲部と第一導体層に接続される第一端子基端部を有し、第二端子部が第二屈曲部と第二導体層に接続される第二端子基端部を有する態様を採用した場合には、第一基板に設けられた第一導体層と第二基板に設けられた第二導体層の両方を利用することができる。この結果、第一基板及び第二基板の両方を用いて回路パターンを形成でき、面方向の大きさが大きくなることを防止でき、ひいては第一基板及び第二基板に反りや歪みが発生することを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の実施の形態
《構成》
本実施の形態において、「一方側」は
図1の上方側を意味し、「他方側」は
図1の下方側を意味する。
図1の上下方向を「第一方向」と呼び、左右方向を「第二方向」と呼び、紙面の表裏方向を「第三方向」と呼ぶ。第二方向及び第三方向を含む面内方向を「面方向」といい、一方側から見た場合には「平面視」という。
【0018】
本実施の形態の電子モジュールは、第一電子ユニットと、第二電子ユニットとを有してもよい。
【0019】
図1に示すように、第一電子ユニットは、第一基板11と、第一基板11の一方側に設けられた複数の第一導体層12と、第一導体層12の一方側に設けられた第一電子素子13と、を有してもよい。第一電子素子13はスイッチング素子であってもよいし、制御素子であってもよい。第一電子素子13がスイッチング素子である場合には、第一電子素子13はMOSFETやIGBT等であってもよい。第一電子素子13及び後述する第二電子素子23の各々は半導体素子から構成されてもよく、半導体材料としてはシリコン、炭化ケイ素、窒化ガリウム等であってもよい。第一電子素子13の他方側の面は第一導体層12とはんだ等の導電性接着剤5(
図9及び
図10参照)を介して接続されてもよい。なお、表示を簡易化するために、
図1、
図5等の図面では導電性接着剤5を示していない。
【0020】
第一電子素子13の一方側には第一接続体60が設けられてもよい。第一接続体60は第一電子素子13の一方側の面とはんだ等の導電性接着剤5を介して接続されてもよい。
【0021】
図1に示すように、第一接続体60の一方側には第二電子ユニットが設けられてもよい。第二電子ユニットは、第一接続体60の一方側に設けられた第二電子素子23を有してもよい。また、第二電子ユニットは、第二基板21と、第二基板21の他方側に設けられた第二導体層22を有してもよい。第二導体層22の他方側には第二接続体70が設けられてもよい。第二接続体70は第二電子素子23の一方側の面及び第二導体層22の他方側の面とはんだ等の導電性接着剤5を介して接続されてもよい。
【0022】
第二電子素子23はスイッチング素子であってもよいし、制御素子であってもよい。第二電子素子23がスイッチング素子である場合には、第二電子素子23はMOSFETやIGBT等であってもよい。
【0023】
第一接続体60は、第一ヘッド部61と、第一ヘッド部61から他方側に延びた第一柱部62を有してもよい。第二接続体70は、第二ヘッド部71と、第二ヘッド部71から他方側に延びた第二柱部72を有してもよい。第一接続体60は断面が略T字形状となり、第二接続体70も断面が略T字形状となってもよい。
【0024】
第一基板11及び第二基板21としては、セラミック基板、絶縁樹脂層等を採用することができる。導電性接着剤5としては、はんだの他、AgやCuを主成分とする材料を用いることもできる。第一接続体60及び第二接続体70の材料としてはCu等の金属を用いることができる。なお、導体層12,22が設けられた基板11,12としては、回路パターニングを施した金属基板を用いることもできる。なお、基板11,21としては例えば回路パターニングを施した金属基板を用いることもでき、この場合には、基板11,21が導体層12,22を兼ねることになる。
【0025】
電子モジュールは、前述した、第一電子素子13、第二電子素子23、第一接続体60、第二接続体70、第一導体層12、第二導体層22等を封止する封止樹脂等から構成される封止部90を有してもよい。
【0026】
第一導体層12は端子部100と接続されてもよく、端子部100の先端側は封止部90の外方に露出して、外部装置と接続可能となってもよい。
【0027】
端子部100は、他方側に曲げられた第一屈曲部112を有する第一端子部110と、一方側に曲げられた第二屈曲部122を有する第二端子部120と、を有してもよい。
【0028】
より具体的には、第一端子部110は、第一導体層12に接続される第一端子基端部111と、封止部90の外方に露出した第一端子外方部113と、第一端子基端部111と第一端子外方部113との間に設けられ、第一端子基端部111側で他方側に曲げられた第一屈曲部112と、を有してもよい。第一端子基端部111は導電性接着剤5を介して第一導体層12の一方側の面に接続されてもよい。
【0029】
第二端子部120は、第二導体層22に接続される第二端子基端部121と、封止部90の外方に露出した第二端子外方部123と、第二端子基端部121と第二端子外方部123との間に設けられ、第二端子基端部121側で一方側に曲げられた第二屈曲部122と、を有してもよい。第二端子基端部121は導電性接着剤5を介して第二導体層22の他方側の面に接続されてもよい。
【0030】
第一端子部110及び第二端子部120は、
図3及び
図4に示すようなリードフレーム130を用いて、取り付けられてもよい。このリードフレーム130は前述した端子部100に対応する構成を有している。より具体的には、本実施の形態におけるリードフレーム130は、第一端子部110と第二端子部120とを有している。第一端子部110は、周縁内方側に設けられた第一端子基端部111と、周縁外方側に設けられた第一端子外方部113と、第一端子基端部111と第一端子外方部113との間に設けられ、第一端子基端部111側で他方側に曲げられた第一屈曲部112と、を有している。第二端子部120は、周縁内方側に設けられた第二端子基端部121と、周縁外方側に設けられた第二端子外方部123と、第二端子基端部121と第二端子外方部123との間に設けられ、第二端子基端部121側で一方側に曲げられた第二屈曲部122と、を有している。第一端子部110及び第二端子部120は連結体131によって互いに連結されており、第一端子基端部111が第一導体層12に導電性接着剤5を介して連結され、第二端子基端部121が第二導体層22に導電性接着剤5を介して連結された後で、連結体131を切り離す製造工程を採用してもよい。リードフレーム130の材料は例えばCu等の金属であってもよい。
【0031】
なお、第一屈曲部112と第二屈曲部122の第二方向に沿った位置は、
図1に示すようにずれていてもよいし、後述する第2の実施の形態等で示されるように合致していてもよい。また、第一端子外方部113と第二端子外方部123は
図1に示すように先端側で曲げられてもよいが、このような態様とは異なり、曲げられていなくてもよい。また、
図1に示すように第一端子外方部113と第二端子外方部123が先端側で曲げられる場合には、先端部の第二方向に沿った位置は、
図1に示すようにずれていてもよいが、このような態様とは異なり、合致していてもよい。
【0032】
図4に示すように、リードフレーム130の一辺(
図4の左側)では第一端子部110だけが設けられ、リードフレーム130の他辺(
図4の右側)では第一端子部110と第二端子部120の両方が設けられてもよい。また、
図4に示されるリードフレーム130の他辺で示されるように、第一端子部110と第二端子部120が所定個数(1〜4個)ごとに入れ子になるようにして配置されてもよい。
【0033】
リードフレーム130の高さ(第一方向の長さ)は、第一基板11及び第二基板21の設計高さ(第一方向での間隔)以上となってもよい。このような態様を採用した場合には、リードフレーム130によって、第一基板11と第二基板21を離間させる力(弾性力)を作用させることができ、ひいては、第一基板11又は第二基板21の反りや歪みによる影響を低減できる点で有益である。なお、封止部90となる封止樹脂を金型内に注入する際、第一基板11及び第二基板21が金型によって一方側から押圧されることになる。このため、リードフレーム130の高さ(第一方向の長さ)が、第一基板11及び第二基板21の設計高さ(第一方向での間隔)より大きくなっていても、第一基板11と第二基板21との間隔は設計通りの距離になる。
【0034】
封止部90と外部との境界A(
図1参照)において、第一端子外方部113と第一基板11との間の厚み方向の距離(第一方向に沿った距離)と、第二端子外方部123と第二基板21との間の厚み方向の距離とは対応してもよい。本実施の形態におい距離が「対応する」とは、平均値から±5%の範囲内にあることを意味する。つまり、第一端子外方部113と第一基板11との間の厚み方向の距離を「L1」とし、第二端子外方部123と第二基板21との間の厚み方向の距離を「L2」とし、第一端子外方部113と第一基板11との間の厚み方向の距離及び第二端子外方部123と第二基板21との間の厚み方向の距離の平均値を「La」とした場合に、第一端子外方部113と第一基板11との間の厚み方向の距離と、第二端子外方部123と第二基板21との間の厚み方向の距離とが対応するとは、1.05×La≧L1≧0.95×Laとなることを意味している。
【0035】
封止部90と外部との境界Aにおいて、第一端子外方部113と第一基板11との間の厚み方向の距離と、第一端子外方部113と第二基板21との間の厚み方向の距離とは対応してもよい。また、第二端子外方部123と第一基板11との間の厚み方向の距離と、第二端子外方部123と第二基板21との間の厚み方向の距離とは対応してもよい。ここでの「対応する」も前述したとおりの意味である。
【0036】
第一端子基端部111は面方向に延びた直線状になっておらず、面方向に対して傾斜してもよい。同様に、第二端子基端部121も面方向に延びた直線状になっておらず、面方向に対して傾斜してもよい。
【0037】
図2に示すように、第一ヘッド部61の一方側の面には第一溝部64が設けられてもよい。第一溝部64は、平面視(面方向)において、第一柱部62の周縁外方に設けられているが、周縁外方の一部に設けられてもよいし、第一柱部62の周縁外方の全部に設けられてもよい。第一ヘッド部61の一方側の面であって、第一溝部64の周縁内方にははんだ等の導電性接着剤5が設けられてもよく、導電性接着剤5を介して第二電子素子23が設けられてもよい。
【0038】
図1に示すように、第二電子素子23の後述する第二ゲート端子23g等の端子に接続される接続子85が用いられてもよい。このような態様に限られることはなく、
図5に示すような第三接続体80が利用されてもよい。第三接続体80は、第三ヘッド部81と、第三ヘッド部81から他方側に延びた第三柱部82を有してもよい。第三接続体80は、はんだ等の導電性接着剤5を介して第二導体層22の他方側の面及び第二電子素子23の一方側の面に接続されてもよい。
【0039】
図2に示すように、平面視において、第一電子素子13は、第一ヘッド部61から外方に露出する態様となってもよい。第一電子素子13がMOSFET等のスイッチング素子である場合には、外方から露出した部分に第一ゲート端子13g等が設けられてもよい。同様に、第二電子素子23がMOSFET等のスイッチング素子である場合には、一方側の面に第二ゲート端子23g等が設けられてもよい。
図2に示す第一電子素子13は、一方側の面に第一ゲート端子13gと第一ソース端子13sを有し、第二電子素子23は、一方側の面に第二ゲート端子23gと第二ソース端子23sを有している。この場合、第二接続体70が第二電子素子23の第二ソース端子23sに導電性接着剤5を介して接続され、接続子85が第二電子素子23の第二ゲート端子23gに導電性接着剤5を介して接続されてもよい。また、第一接続体60は第一電子素子13の第一ソース端子13sと第二電子素子23の他方側に設けられた第二ドレイン端子とを導電性接着剤5を介して接続してもよい。第一電子素子13の他方側に設けられた第一ドレイン端子は導電性接着剤5を介して第一導体層12に接続されてもよい。第一電子素子13の第一ゲート端子13gは導電性接着剤5を介して接続子95(
図1参照)に接続され、当該接続子95は導電性接着剤5を介して第一導体層12に接続されてもよい。
【0040】
第一電子素子13及び第二電子素子23のいずれか一方だけがスイッチング素子の場合には、第一接続体60に載置される第二電子素子23を発熱性の低い制御素子とし、第一電子素子13をスイッチング素子にすることも考えられる。逆に、第一接続体60に載置される第二電子素子23をスイッチング素子とし、第一電子素子13を発熱性の低い制御素子にすることも考えられる。
【0041】
端子部100と導体層12,22との接合は、はんだ等の導電性接着剤5を利用する態様だけではなく、レーザ溶接を利用してもよいし、超音波接合を利用してもよい。
【0042】
また、第一電子素子13、第二電子素子23、第一接続体60、第二接続体70、接続子85(又は第三接続体80)及び接続子95によってチップモジュール50が構成されてもよい(
図7参照)。この場合には、第一電子素子13、第二電子素子23、第一接続体60、第二接続体70、接続子85(又は第三接続体80)及び接続子95を有するチップモジュール50を、第一導体層12を有する第一基板11及び第二導体層22を有する第二基板21の間に配置した後で封止部90によって封止することで、電子モジュールが製造されてもよい。
【0043】
《製造方法》
次に、本実施の形態の電子モジュールの製造方法の一例について説明する。
【0044】
まず、第一治具500に第一電子素子13を配置する(第一電子素子配置工程、
図6(a)参照)。なお、
図6は
図1とは異なる縦断面を示しており、端子部100等は示されていない。
【0045】
次に、第一電子素子13にはんだ等の導電性接着剤5を介して第一接続体60を配置する(第一接続体配置工程、
図6(b)参照)。なお、
図6でははんだ等の導電性接着剤5を示していない。
【0046】
次に、第一接続体60に導電性接着剤5を介して第二電子素子23を配置する(第二電子素子配置工程、
図6(c)参照)。なお、第一接続体60上の導電性接着剤5は第一電子素子13の第一溝部64の周縁内方に配置されている。
【0047】
第二治具550に第二接続体70を配置する(第二電子素子配置工程、
図6(d)参照)。第二治具550は、第二接続体70が配置される位置に複数の治具凹部560を有してもよい。治具凹部560の高さは、チップモジュールの高さに対応してもよい。なお、治具凹部560の高さがチップモジュールの高さに対応しているというのは、導電性接着剤5の厚みも考慮したチップモジュールの全体の設計上の厚み以上の高さを治具凹部560が有していることを意味している。
【0048】
吸引部材等を用いて第二接続体70を第二治具550に吸着させた状態で第二治具550を反転させて、第二電子素子23に導電性接着剤5を介して第二接続体70を配置する(反転載置工程、
図6(e)参照)。
【0049】
次に、導電性接着剤5に熱を加えて溶融させた後で硬化させる(リフローさせる)(第一硬化工程)。このようにして、第一電子素子13及び第二電子素子23を有するチップモジュール50が製造される。
【0050】
次に、チップモジュール50を用いて電子モジュールを製造する方法について説明する。
【0051】
第一基板11に設けられた第一導体層12にチップモジュール50の第一電子素子13を導電性接着剤5を介して載置する(チップモジュール載置工程、
図7(a)参照)。なお、
図7でもはんだ等の導電性接着剤5を示していない。
【0052】
次に、接続子95が第一電子素子13及び第一導体層12の一方側に導電性接着剤5を介して配置される。また、第一端子基端部111が導電性接着剤5を介して第一導体層12に設けられるようにしてリードフレーム130が位置付けられる。この際、リードフレーム130等を位置決めする治具が利用されてもよい(リードフレーム配置工程、
図7(b)参照)。
【0053】
次に、チップモジュール50の第二接続体70に導電性接着剤5を介して当接するように、第二基板21に設けられた第二導体層22を位置づける(第二基板配置工程、
図7(c)参照)。この際、第二導体層22に対して第二端子基端部121が導電性接着剤5を介して当接する。なお、接続子85は第二導体層22に導電性接着剤5によって固定された状態で、第二基板21が配置されるようにしてもよい。なお特に断りが無い限り、本願における「当接」には、直接的に当接する態様の他、間接的に当接する態様も含まれている。間接的に当接する態様としては、例えばはんだ等の導電性接着剤5を介して当接される態様を挙げることができる。
【0054】
次に、導電性接着剤5に熱を加えて溶融させた後で硬化させる(リフローさせる)(第二硬化工程)。なお、この際に用いる導電性接着剤5と、チップモジュールを製造する際に用いる導電性接着剤5とは同じ材料であってもよい。このような態様とは異なり、この際に用いる導電性接着剤5の融点はチップモジュールを製造する際に用いる導電性接着剤5の融点よりも低くなり、第二硬化工程では、チップモジュールを製造する際に用いる導電性接着剤5の融点よりも低い温度で加熱されるようにしてもよい。
【0055】
次に、封止樹脂を第一基板11及び第二基板21の間又は第一基板11及び第二基板21を覆うようにして注入する(封止工程)。
【0056】
次に、リードフレーム130の連結体131を切断する(切断工程)。なお、リードフレーム130の先端側を折り曲げる場合には、連結体131を切断する前又は後でリードフレーム130の先端側を折り曲げてもよい。
【0057】
以上のようにして、本実施の形態の電子モジュールが製造される。
【0058】
《作用・効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による作用・効果の一例について説明する。なお、「作用・効果」で説明するあらゆる態様を、上記構成で採用することができる。
【0059】
電子モジュールを小型化するために、第一電子素子13の一方側に第二電子素子23を設ける態様を採用した場合には電子素子の数が増えるため、第一基板11又は第二基板21だけに導体層12,22による回路パターンを形成すると、面方向における大きさが大きくなる。この点、第一端子部110が第一屈曲部112と第一導体層12に接続される第一端子基端部111を有し、第二端子部120が第二屈曲部122と第二導体層22に接続される第二端子基端部121を有する態様を採用した場合には、第一基板11に設けられた第一導体層12と第二基板21に設けられた第二導体層22の両方を利用することができる。この結果、第一基板11及び第二基板21の両方を用いて回路パターンを形成でき、面方向の大きさが大きくなることを防止でき、ひいては第一基板11及び第二基板21に反りや歪みが発生することを防止できる。
【0060】
第一端子部110及び第二端子部120が
図3及び
図4に示すようなリードフレーム130を用いて取り付けられる態様を採用した場合には、連結体131が切断されるまでの工程において、第一端子部110及び第二端子部120によって第一方向に沿った反発力を作り出すことができる。製造工程において熱が加わることで、第一基板11及び第二基板21が反ってしまったり歪んでしまったりする可能性がある。例えば、ソルダー工程、リフロー工程等では、熱が加わることから第一基板11及び第二基板21が反ってしまったり歪んでしまったりする可能性がある。この点、
図3及び
図4に示すようなリードフレーム130を用いる場合には、第一基板11が第一端子部110の第一端子基端部111を一方側に押す力が連結体131を介して第二端子部120の第二端子基端部121から第二基板21に伝わり、他方、第二基板21が第二端子部120の第二端子基端部121を他方側に押す力が連結体131を介して第一端子部110の第一端子基端部111から第一基板11に伝わる。この結果、その反発力によって、第一基板11及び第二基板21が反ったり歪んだりすることを防止できる。なお、このような反り及び歪みは第一基板11及び第二基板21の面方向での大きさが大きくなるほど大きくなることから、このような場合には、
図3及び
図4に示すようなリードフレーム130を用いることは非常に有益である。
【0061】
一般にリードフレーム130の連結体131は、リードフレーム130を一つずつ位置決めしなくすむように、基板11,21に位置決めされて接続された後で切断される。このため、第一導体層12に接続される第一端子基端部111と、第一端子外方部113と、第一端子基端部111と第一端子外方部113との間に設けられる第一屈曲部112と、第二導体層22に接続される第二端子基端部121と、第二端子外方部123と、第二端子基端部121と第二端子外方部123との間に設けられる第二屈曲部122とが設けられている場合には、
図3及び
図4に示すようなリードフレーム130を採用している可能性が高くなる。
【0062】
前述したようなリードフレーム130を用いた場合で、第一端子基端部111が面方向に延びた直線状になっているときには、第一基板11から加わる力を第二基板21に伝えやすくなる点で有益である。同様に、第二端子基端部121が面方向に延びた直線状になっている場合には、第二基板21から加わる力を第一基板11に伝えやすくなる点で有益である。
【0063】
前述したようなリードフレーム130を用いた場合で、封止部90と外部との境界Aにおいて、第一端子外方部113と第一基板11との間の厚み方向の距離と、第二端子外方部123と第二基板21との間の厚み方向の距離とが対応している場合には、第一基板11が反ったり歪んだりすることで加わる力が第一端子部110、連結体131及び第二端子部120を介して第二基板21に伝わる態様と、第二基板21が反ったり歪んだりすることで加わる力が第二端子部120、連結体131及び第一端子部110を介して第一基板11に伝わる態様を同様のものにすることができる。このため、第一基板11と第二基板21が同じように沿ったり歪んだりした場合には、それらの力を効率よく相殺できる点で有益である。
【0064】
また、
図4に示されるリードフレーム130の他辺(
図4の右側)で示されるように、第一端子部110と第二端子部120が所定個数(1〜4個)ごとに入れ子になるようにして配置される態様を採用することで、第一方向に沿った力を面方向で均一に加えることができる点で有益である。
【0065】
前述したようなリードフレーム130を用いた場合で、封止部90と外部との境界Aにおいて、第一端子外方部113と第一基板11との間の厚み方向の距離と、第一端子外方部113と第二基板21との間の厚み方向の距離とが対応し、第二端子外方部123と第一基板11との間の厚み方向の距離と、第二端子外方部123と第二基板21との間の厚み方向の距離とが対応し、厚み方向(第一方向)における略中間位置に第一端子外方部113及び第二端子外方部123を位置づけられる態様を採用した場合にも、第一基板11が反ったり歪んだりすることで加わる力が第一端子部110、連結体131及び第二端子部120を介して第二基板21に伝わる態様と、第二基板21が反ったり歪んだりすることで加わる力が第二端子部120、連結体131及び第一端子部110を介して第一基板11に伝わる態様を同様のものにすることができる。このため、第一基板11と第二基板21が同じように沿ったり歪んだりした場合には、それらの力を効率よく相殺できる点で有益である。
【0066】
なお、封止部90と外部との境界Aにおいて、第一端子外方部113と第一基板11との間の厚み方向の距離と、第二端子外方部123と第二基板21との間の厚み方向の距離とが対応する場合であっても、連結体131が面方向で延在していない場合(例えば段形状となっている場合)には、厚み方向(第一方向)において略中間位置に第一端子外方部113及び第二端子外方部123が位置づけられることにはならないことには留意が必要である。
【0067】
本実施の形態のように第一電子素子13と第二電子素子23が積層される電子モジュールでは両面がヒートシンクによって冷却されることが考えられるが、前述したように厚み方向(第一方向)において略中間位置に第一端子外方部113及び第二端子外方部123を位置づけられる態様を採用した場合には、各ヒートシンクからの第一方向に沿った距離を等しくすることができる。安全規格のため、例えば電子素子が600Vの電圧を用いる場合には、端子部100のうち封止部90の外方に位置する部分(アルターリード)とヒートシンクとの距離は3.6mm以上となる必要がある。このため、他方側に設けられたヒートシンクと封止部90の外方に位置する端子部100(アウターリード)との間の第一方向に沿った距離と、一方側に設けられたヒートシンクと封止部90の外方に位置する端子部100(アウターリード)との間の第一方向に沿った距離とを同じ値にすることで、電子モジュールの厚みを最大限にまで薄くできる点で有益である。
【0068】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0069】
第1の実施の形態では、第一端子基端部111が面方向に延びた直線状になっており、第二端子基端部121が面方向に延びた直線状になっている態様となっていた。本実施の形態では、
図8及び
図9に示すように、第一端子基端部111が基端部側で第一基板11からの厚み方向(第一方向)の距離が離間し、第一導体層12から離間した第一離間部111aを有し、第二端子基端部121が基端部側で第二基板21からの厚み方向(第一方向)の距離が離間し、第二導体層22から離間した第二離間部121aを有する態様となっている。より具体的には、第一端子基端部111が第一折り曲げ部111bを有し、第一折り曲げ部111bの基端部側(
図8及び
図9の左側)が第一離間部111aとなり、第二端子基端部121が第二折り曲げ部121bを有し、第二折り曲げ部121bの基端部側(
図8及び
図9の左側)が第二離間部121aとなる態様となっている。その他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、第1の実施の形態で説明したあらゆる態様を採用することができる。第1の実施の形態で説明した部材については同じ符号を用いて説明する。
【0070】
第一端子基端部111が第一折り曲げ部111bを有し、第一折り曲げ部111bの基端部側が第一離間部111aとなる態様を採用した場合には、周縁部において第一導体層12と第一端子基端部111との間に設けられた導電性接着剤5に対して十分な厚みを持たせることでき、導電性接着剤5にクラック等が入ることを防止できる。特に第一折り曲げ部111bの基端部側が第一離間部111aとなることで、劣化が進みやすくクラックの入りやすい周縁部で導電性接着剤5の厚みを持たせることができる点で有益である。同様に、第二端子基端部121が第二折り曲げ部121bを有し、第二折り曲げ部121bの基端部側が第二離間部121aとなる態様を採用した場合には、周縁部において第二導体層22と第二端子基端部121との間に設けられた導電性接着剤5に対して十分な厚みを持たせることでき、導電性接着剤5にクラック等が入ることを防止できる。特に第二折り曲げ部121bの基端部側が第二離間部121aとなることで、劣化が進みやすくクラックの入りやすい周縁部で導電性接着剤5の厚みを持たせることができる点で有益である。
【0071】
また、離間部111a,121aを設けることで、端子部100と封止樹脂等の封止部90との密着性が向上することも期待できる。
【0072】
第一折り曲げ部111b及び第二折り曲げ部121bの形状としては様々なものを用いることができるが、一例として、縦断面(第一方向及び第二方向を含む面)において、
図8に示すような角部を有する角形状を有する態様であってもよいし、
図9に示すように円弧形状を有する態様であってもよい。
【0073】
図8に示すように、第一折り曲げ部111bが角形状となっている態様を採用した場合には、第一端子基端部111を折り曲げるだけで形成でき、また第一導体層12からの第一方向に沿った距離を設けやすい点で有益である。同様に、第二折り曲げ部121bが角形状となっている態様を採用した場合には、第二端子基端部121を折り曲げるだけで形成でき、また第二導体層22からの第一方向に沿った距離を設けやすい点で有益である。
【0074】
第1の実施の形態で説明したようなリードフレーム130を採用して電子モジュールを製造する場合で、第一折り曲げ部111bが角形状となっている態様を採用した場合には、第一方向で力が加わったときに角形状からなる第一折り曲げ部111bが第一導体層12に食い込みつつ、食い込んだ部分及びその周縁からの反発力が働くことを期待できる点で有益である。同様に、第1の実施の形態で説明したようなリードフレーム130を採用して電子モジュールを製造する場合で、第二折り曲げ部121bが角形状となっている態様を採用した場合には、第一方向で力が加わったときに角形状からなる第二折り曲げ部121bが第二導体層22に食い込みつつ、食い込んだ部分及びその周縁からの反発力が働くことを期待できる点で有益である。
【0075】
図9に示すように、第一折り曲げ部111bが円弧形状となっている態様を採用した場合には、第一端子基端部111を第一導体層12から緩やかに離間させることができ、第一導体層12に設けられた導電性接着剤5の厚みを緩やかに変化させたい場合には有益である。同様に、第二折り曲げ部121bが円弧形状となっている態様を採用した場合には、第二端子基端部121を第二導体層22から緩やかに離間させることができ、第二導体層22に設けられた導電性接着剤5の厚みを緩やかに変化させたい場合には有益である。
【0076】
第1の実施の形態で説明したようなリードフレーム130を採用して電子モジュールを製造する場合で、第一折り曲げ部111bが円弧形状となっている態様を採用した場合には、第一方向で力が加わったときに円弧形状からなる第一折り曲げ部111bによる弾性力による反発力が働くことを期待できる点で有益である。同様に、第1の実施の形態で説明したようなリードフレーム130を採用して電子モジュールを製造する場合で、第二折り曲げ部121bが円弧形状となっている態様を採用した場合には、第一方向で力が加わったときに円弧形状からなる第二折り曲げ部121bによる弾性力による反発力が働くことを期待できる点で有益である。
【0077】
第1の実施の形態で説明したようなリードフレーム130を採用して電子モジュールを製造する場合には、第一端子基端部111は第一導体層12に押し付けられることが想定されていることから、第一端子基端部111と第一導体層12との間に間隙が設けられて難い構成となっている。このため、本実施の形態のような第一離間部111aが設けられる態様を採用することで、少なくとも第一離間部111aにおいて第一端子基端部111と第一導体層12との間に一定程度の間隙を設けることができ、第一導体層12に設けられた導電性接着剤5にクラックが入ることを防止できる。同様に、第1の実施の形態で説明したようなリードフレーム130を採用して電子モジュールを製造する場合には、第二端子基端部121は第二導体層22に押し付けられることが想定されていることから、第二端子基端部121と第二導体層22との間に間隙が設けられて難い構成となっている。このため、本実施の形態のような第二離間部121aが設けられる態様を採用することで、少なくとも第二離間部121aにおいて第二端子基端部121と第二導体層22との間に一定程度の間隙を設けることができ、導電性接着剤5にクラックが入ることを防止できる。
【0078】
とりわけ、第一基板11及び第二基板21の熱による歪みや反りに対してより強い反発力を付与するために、リードフレーム130の高さ(第一方向の長さ)が、第一基板11及び第二基板21の設計高さ(第一方向での間隔)よりも大きくなる態様を採用した場合には、端子基端部111,121は導体層12,22により強く押し付けられる構成になることから、端子基端部111,121と導体層12,22との間に間隙が設けられ難い構成となっている。この点、本実施の形態のような離間部111a,121aを採用することで、導電性接着剤5の厚みを周縁部で厚くすることができ、信頼性を高めることができる点で有益である。
【0079】
また、基板12,22の厚さ及び端子部110の厚さには公差が存在することから、これらの公差によって導電性接着剤5の厚みが薄くなり過ぎたり、導体層13,23と端子部110との間の距離が離れ過ぎたりすることがある。また、基板11,13の第一方向に沿った位置が最適な位置からずれてしまうこともある。この点、本実施の形態のような離間部111a,121aを採用することで、端子基端部111,121を導体層13,23に比較的近くに位置づけて設計し、端子基端部111,121の一部が導体層13,23と直接接触する態様を採用しても、劣化が進みやすくクラックの入りやすい周縁部では導電性接着剤5の厚みを厚くすることができる。このため、前述した問題を解決できる点でも有益である。また、この結果として、製造工程における位置合わせの精度を下げることができ、製造工程を容易にし、製造効率を高めることができる点で有益である。
【0080】
第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、
図10に示すように、第一端子基端部111が第一基板11側に突出した第一端子凸部116を有し、第二端子基端部121が第二基板21側に突出した第二端子凸部126を有する態様となっている。その他の構成については、上記各実施の形態で説明したあらゆる態様を採用することができる。上記各実施の形態で説明した部材については同じ符号を用いて説明する。
【0081】
第一端子基端部111が第一端子凸部116を有する態様を採用した場合には、第一導体層12と第一端子基端部111との間に設けられた導電性接着剤5に対して十分な厚みを持たせることでき、導電性接着剤5にクラック等が入ることを防止できる。同様に、第二端子基端部121が第二端子凸部126を有する態様を採用した場合には、第二導体層22と第二端子基端部121との間に設けられた導電性接着剤5に対して十分な厚みを持たせることでき、導電性接着剤5にクラック等が入ることを防止できる。
【0082】
第1の実施の形態で説明したようなリードフレーム130を採用して電子モジュールを製造する場合には、第一端子基端部111は第一導体層12に押し付けられることが想定されていることから、第一端子基端部111と第一導体層12との間に間隙が設けられて難い構成となっている。このため、本実施の形態のような第一端子凸部116が設けられる態様を採用することで、周縁部で第一端子基端部111と第一導体層12との間に一定程度の間隙を設けることができ、第一導体層12に設けられた導電性接着剤5にクラックが入ることを防止できる。同様に、第1の実施の形態で説明したようなリードフレーム130を採用して電子モジュールを製造する場合には、第二端子基端部121は第二導体層22に押し付けられることが想定されていることから、第二端子基端部121と第二導体層22との間に間隙が設けられて難い構成となっている。このため、本実施の形態のような第二端子凸部126が設けられる態様を採用することで、周縁部で第二端子基端部121と第二導体層22との間に一定程度の間隙を設けることができ、導電性接着剤5にクラックが入ることを防止できる。
【0083】
とりわけ第一基板11及び第二基板21の熱による歪みや反りに対してより強い反発力を付与するために、リードフレーム130の高さ(第一方向の長さ)が、第一基板11及び第二基板21の設計高さ(第一方向での間隔)よりも大きくなる態様を採用した場合には、端子基端部111,121は導体層12,22により強く押し付けられる構成になることから、端子基端部111,121と導体層12,22との間に間隙が設けられ難い構成となっている。この点、本実施の形態のような端子凸部116,126を採用することで、導電性接着剤5の厚みを周縁部で厚くすることができ、信頼性を高めることができる点で有益である。
【0084】
また、第一端子凸部116及び第二端子凸部126を設けることで、端子部100と封止樹脂等の封止部90との密着性が向上することも期待できる。第一端子凸部116及び第二端子凸部126の形状は様々なものを採用することができ、第一端子凸部116及び第二端子凸部126は、
図10(a)に示すように縦断面が半球又は円弧状になってもよいし、
図10(b)に示すように縦断面が台形状になってもよい。また、これらに限られず、第一端子凸部116及び第二端子凸部126の縦断面は長方形状となってもよいし三角形状となってもよい。
【0085】
第一端子凸部116及び第二端子凸部126の各々は一つだけ設けられる必要はなく、複数設けられてもよい。なお、劣化が進みやすくクラックの入りやすい周縁部で導電性接着剤5の厚みを厚くすることを考えると、端子凸部116,126は端子基端部111,121の周縁部以外に設けられることが有益である。
【0086】
第一端子凸部116及び第二端子凸部126の各々は、平坦形状な端子基端部111,121を叩く等することで簡単に形成することができる点でも有益である。
【0087】
第4の実施の形態
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0088】
上記各実施の形態では、断面が略T字形状の第一接続体60が用いられていたが、本実施の形態の第一接続体60は、
図11に示すように、第一ヘッド部61から他方側に延びた4つの支持部65(65a−65d)を有している。支持体65は、第一導体層12又は第一基板11に当接するようになっている。その他の構成については、上記各実施の形態で説明したあらゆる態様を採用することができる。上記各実施の形態で説明した部材については同じ符号を用いて説明する。
【0089】
本実施の形態では4つの支持部65が利用されている態様を用いて説明するが、これに限られることはなく、1、2、3又は5つ以上の支持部65が用いられてもよい。
【0090】
本実施の形態のように第一ヘッド部61から延びた支持部65が設けられている場合には、第二電子素子23の実装時又は第二電子素子23を実装した後で第二電子素子23の重みによって第一接続体60が傾いてしまうことを防止できる。また、このように支持部65が第一基板11又は第一導体層12に当接することで、放熱性を高めることができる。特に支持部65が第一導体層12に当接する場合には、放熱効果をより高めることができる点で有益である。
【0091】
また、本実施の形態のように複数の支持部65が設けられている場合には、第一接続体60をより安定に設けることができ、かつより高い放熱効果を実現できる点で有益である。
【0092】
支持部65の各々は、面方向で延び、第一基板11又は第一導体層12と当接する支持基端部69(69a−69d)を有してもよい。また、複数の支持部65の各々に支持基端部69が設けられる必要はなく、複数の支持部65のうちの一部に支持基端部69が設けられ、残部に支持基端部69が設けられないようにしてもよい。
【0093】
このような支持基端部69が設けられている場合には、第一接続体60をよりバランスよく第一基板11又は第一導体層12に配置することができ、また支持基端部69で第一基板11又は第一導体層12との接触面積を増やすことができることから、放熱効果を高めることできる。
【0094】
支持部65の各々は第一導体層12に当接してもよい。支持部65に接続される第一導体層12が他の第一導体層12、第二導体層22、第一電子素子13及び第二電子素子23に電気的に接続されておらず電気的な機能を果たさない態様を採用した場合には、支持部65が導通して予想していない挙動を第一電子素子13及び第二電子素子23が示すことを防止できる点で有益である。
【0095】
本実施の形態のように複数の支持部65を有する第一接続体60を採用した場合には、第1の実施の形態で説明したリードフレーム130を利用した場合と同様、第一基板11及び第二基板21の熱による歪みや反りに対して反発力を付与できるようになる。つまり、前述したように電子モジュールの製造工程で熱が加わることで第一基板11及び第二基板21が反ったり歪んだりしようとする力が加わるが、複数の支持部65を有する第一接続体60を用いることで、第一端子基端部111及び第二端子基端部121による作用に加えて、第一接続体60によっても、第二電子素子23、第二接続体70、第三接続体80、接続子85等を介して、第一基板11及び第二基板21の反りや歪みを防止できる点で有益である。
【0096】
第5の実施の形態
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0097】
上記各実施の形態では第二柱部72を有する断面が略T字形状からなる第二接続体70を用いて説明したが、本実施の形態では、
図12に示すように、第二接続体70は、第二ヘッド部71から他方側に延びる延在部75(75a,75b)を有している。その他の構成については、上述した各実施の形態で説明したあらゆる態様を採用することができる。上述した各実施の形態で説明した部材については同じ符号を用いて説明する。
【0098】
本実施の形態では2つの延在部75が利用されている態様を用いて説明するが、これに限られることはなく、1つ又は3つ以上の延在部75が用いられてもよい。
【0099】
本実施の形態によれば、延在部75が設けられていることから、第二電子素子23からの熱を効率よく放熱することができ、第二接続体70によっても高い放熱効果を実現できる。
【0100】
また、本実施の形態のように複数の延在部75が設けられている場合には、より高い放熱効果を実現できる点で有益である。
【0101】
延在部75の各々は第一導体層12に当接してもよい。延在部75に接続される第一導体層12は、他の第一導体層12、第二導体層22、第一電子素子13及び第二電子素子23に電気的に接続されていなくてもよい。
【0102】
本実施の形態のように複数の延在部を有する第二接続体70を採用した場合には、第1の実施の形態で説明したリードフレーム130を利用した場合と同様、第一基板11及び第二基板21の熱による歪みや反りに対して反発力を付与できるようになる。つまり、前述したように電子モジュールの製造工程で熱が加わることで第一基板11及び第二基板21が反ったり歪んだりしようとする力が加わるが、複数の延在部を有する第二接続体70を用いることで、第一端子基端部111及び第二端子基端部121による作用に加えて、第二接続体70によっても第一基板11及び第二基板21の反りや歪みを防止できる点で有益である。
【0103】
第6の実施の形態
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0104】
上記各実施の形態では、第一接続体60及び第二接続体70が用いられている態様を用いて説明したが、このような態様には限られない。
図13に示すように、第一接続体60及び第二接続体70が設けられていなくてもよい。本実施の形態でも、前述した端子部100について説明した効果を得ることができる。
【0105】
上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
電子モジュールは、第一基板11と、第一電子素子13と、第二電子素子23と、第二基板21と、第一端子部110と、第二端子部120と、を有する。前記第一端子部110は、第一端子基端部111と、第一端子外方部113と、前記第一端子基端部111と前記第一端子外方部113との間に設けられ、前記第一端子基端部111側で他方側に曲げられた第一屈曲部112と、を有する。前記第二端子部120は、第二端子基端部121と、第二端子外方部123と、前記第二端子基端部121と前記第二端子外方部123との間に設けられ、前記第二端子基端部121側で一方側に曲げられた第二屈曲部122と、を有する。