特許第6463586号(P6463586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463586
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】スロープ装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/00 20060101AFI20190128BHJP
   E04F 11/18 20060101ALI20190128BHJP
   A61H 3/00 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   E04F11/00 100
   E04F11/18
   A61H3/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-168954(P2014-168954)
(22)【出願日】2014年8月22日
(65)【公開番号】特開2016-44451(P2016-44451A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年8月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】599117255
【氏名又は名称】株式会社 シコク
(74)【代理人】
【識別番号】100144509
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋三
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 幸司
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06463613(US,B1)
【文献】 特開2009−263916(JP,A)
【文献】 特開2011−202430(JP,A)
【文献】 特開2005−320826(JP,A)
【文献】 特開2000−213136(JP,A)
【文献】 米国特許第06928959(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/06
A61H 3/00
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長矩形板状の複数の踏板をその長辺側の縁部同士を対向させた状態で順次ヒンジ部により連結するとともに、上記踏板の一方の長辺側には帯板状の衝合部が、他方の長辺側には帯板状の衝合部が、それぞれ形成されており、上記一対の踏板が略平面状態に延設される使用時形態においては、上記ヒンジ部からその径方向に離間した位置で一方の踏板の衝合部と他方の踏板の衝合部が相互に衝合することでこれら一対の踏板がそれ以上に下方へ折曲するのが規制される一方、非使用時形態においては上記各踏板がその踏面側を外側にして巻き込まれるように使用時形態と非使用時形態の間で形態変更が可能とされたスロープユニットと、
該スロープユニットのスロープ長さ方向に所定間隔離間した複数の踏板の端部にそれぞれ立設状態で着脱可能に固定された複数の手摺支柱間に手摺棒を取付けてなる手摺ユニットを備えたことを特徴とするスロープ装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記手摺ユニットが上記スロープユニットの両側部の何れか一方または双方に設けられていることを特徴とするスロープ装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記手摺ユニットの上記手摺棒は、その長さが増減調整可能に構成されていることを特徴とするスロープ装置。
【請求項4】
請求項1,2又は3において、
上記手摺棒は、上記手摺支柱に対して手摺ブラケットを介して取付けられるとともに、該手摺支柱との相対角度が調整可能に構成されていることを特徴とするスロープ装置。
【請求項5】
請求項1、2,3又は4において、
上記手摺ユニットの上記手摺支柱には、該手摺支柱から上記スロープユニットの幅方向外方へ延出して接地される補助脚が備えられていることを特徴とするスロープ装置。
【請求項6】
請求項1,2,3、4または5において、
上記手摺棒が上下二段に設けられていることを特徴とするスロープ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、段差部に架け渡されて車椅子とか人の通行に供せられる携帯用のスロープ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、老人介護における利便性向上等の観点から、携帯用のスロープ装置が種々提案され(例えば、特許文献1、2参照)、介護福祉の現場において広く使用されるに至っている。
【0003】
これらのスロープ装置は、所定長さの板体で構成され、これを段差部の上位部との間に架け渡して使用されるものであり、主として段差部における車椅子の走行路の確保を目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−143260号公報
【特許文献2】特開2002−097768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなスロープ装置は、段差部における車椅子の走行路の確保を主たる目的とするものであるが、実際の使用状況を調査したところ、車椅子の走行路として利用されるほかに、人の歩行路として使用される場合も多く、その使用頻度は車椅子の走行路としての使用頻度に匹敵するほどのものであった。
【0006】
また、歩行路として使用する場合の使用者は、車椅子を使用するまでもなく少しの距離なら自力で歩行できる人とか、介助者の介助を受けながら歩行できる人、及び介助者が大半であった。そして、これらのうち、前二者は、特に足腰に不安がある人で、例えば、摺り足状態で小さな歩幅でしか歩けないような人であった。
【0007】
これらの事情を勘案すれば、スロープ装置に手摺を付けて歩行者の自力歩行、あるいは介助歩行(介助あを受けながらの歩行)をサポートし、歩行の安全性を確保することが必要であると言える。一方、携帯用のスロープ装置は貸与用品として介護保険の給付対象となるが、これに付設される手摺は、これが非対地固定式でなければ介護保険の給付対象とはならないことから、スロープ装置に備えられる手摺装置は非対地固定式であることが望まれる。
【0008】
ところが、携帯用のスロープ装置に付設される非対地固定式の手摺、あるいは手摺付きのスロープ装置については、手摺強度の確保が難しいこともあって、現在のところ何ら有用な提案はなされていない。
【0009】
一方、本件出願人においては、種々形体の段差部への架設を可能にすべく(即ち、段差部への架設の任意性を確保すべく)、多数の踏板を順次連結し、使用時には展開延設し、非使用時には巻取り状態で保管できるようにした巻取り式のスロープ装置を開発し、既に特許出願(特願2013−181184)を行っているが、係る構造のスロープ装置では、これに手摺を付設する場合、スロープ装置の展開度合(即ち、段差部への架設状態)に応じて手摺の形状・寸法が変化するため、板状のスロープ装置に手摺を付設する場合とは異なった構造が必要であり、手摺装置の信頼性の確保という点において重要である。
【0010】
そこで本願発明は、段差部への架設の任意性と手摺の信頼性の両立を可能とする巻取り式のスロープユニットに手摺ユニットを付設したスロープ装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0012】
本願の第1の発明に係るスロープ装置では、長矩形板状の複数の踏板をその長辺側の縁部同士を対向させた状態で順次ヒンジ部により連結するとともに、上記踏板の一方の長辺側には帯板状の衝合部が、他方の長辺側には帯板状の衝合部が、それぞれ形成されており、上記一対の踏板が略平面状態に延設される使用時形態においては、上記ヒンジ部からその径方向に離間した位置で一方の踏板の衝合部と他方の踏板の衝合部が相互に衝合することでこれら一対の踏板がそれ以上に下方へ折曲するのが規制される一方、非使用時形態においては上記各踏板がその踏面側を外側にして巻き込まれるように使用時形態と非使用時形態の間で形態変更が可能とされたスロープユニットと、該スロープユニットのスロープ長さ方向に所定間隔離間した複数の踏板の端部にそれぞれ立設状態で着脱可能に固定された複数の手摺支柱間に手摺棒を取付けてなる手摺ユニットを備えたことを特徴としている。
【0013】
本願の第2の発明に係るスロープ装置では、上記第1の発明において、上記手摺ユニットを上記スロープユニットの両側部の何れか一方または双方に設けたことを特徴としている。
【0014】
本願の第3の発明に係るスロープ装置では、上記第1または第2の発明において、上記手摺ユニットの上記手摺棒の長さを増減調整可能に構成したことを特徴としている。
【0015】
本願の第4の発明に係るスロープ装置では、上記第1,2または第3の発明において、上記手摺棒を、上記手摺支柱に対して手摺ブラケットを介して取付けるとともに、該手摺支柱との相対角度を調整可能に構成したことを特徴としている。
【0016】
本願の第5の発明に係るスロープ装置では、上記第1,2,3または第4の発明において、上記手摺ユニットの上記手摺支柱に、該手摺支柱から上記スロープユニットの幅方向外方へ延出して接地される補助脚が備えたことを特徴としている。
【0017】
本願の第6の発明に係るスロープ装置では、上記第1,2,3,4または第5の発明において、上記手摺棒を上下二段に設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
(a)本願の第1の発明に係るスロープ装置によれば、長矩形板状の複数の踏板をその長辺側の縁部同士を対向させた状態で順次ヒンジ部により連結し、該各踏板の踏面が略平面状に延設される使用時形態と該各踏板がその踏面側を外側にして巻き込まれる非使用時形態の間で形態変更を可能としたスロープユニットと、該スロープユニットのスロープ長さ方向に所定間隔離間した複数の踏板の端部にそれぞれ立設状態で着脱可能に固定された複数の手摺支柱間に手摺棒を取付けてなる手摺ユニットを備えたので、以下のような効果が奏せられる。
【0019】
(イ)上記スロープユニットを車椅子で走行する場合には、必要に応じて手摺ユニットの手摺棒を把持することで安全性及び信頼性の高い走行が実現される。また、特に介助者に寄らずに自走行する場合には、手摺棒を掴んで車椅子を引き寄せながら進むことで、例えば、車椅子の操作輪を手で回して走行する場合に比して、走行労力が軽減されると
ともに、高い安全性が確保される。
【0020】
(ロ)また、上記スロープユニットを自力歩行で、あるいは介助を受けながら歩行する場合には、上記手摺棒を掴んでこれに沿って歩行することで、例え足腰に不安があり、摺り足状態で小さな歩幅でしか歩けないような人であったとしても、その体勢を維持しながらより安全に歩行することができる。
【0021】
(ハ)さらに、上記スロープユニットが巻取り式のスロープ装置であって、変則的な段差部にも的確に架設できるという特性をもつものであるが、係る変則的な段差部に架設した場合にはその走行面あるいは歩行面が、一枚板で構成されるスロープ装置の場合に比して変則的な形状となるが、かかる場合においても、上記手摺ユニットが備えられていることで安定した走行あるいは歩行が確保され安全性が担保される。
【0022】
また、上記スロープユニットは、上記各踏板の踏面が略平面状に延設される使用時形態においては、上記踏板の一方の長辺側に設けた衝合部と他方の長辺側に設けた衝合部が相互に衝合することでこれら一対の踏板がそれ以上に下方へ折曲するのが規制されるので、例えば、この使用時形態を所要のキャンバー角をもった形態に設定することができる。
【0023】
(b)本願の第2の発明に係るスロープ装置によれば、上記(a)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記手摺ユニットを上記スロープユニットの両側部の何れか一方または双方に設けるようにしているので、想定されるスロープ装置の使用形態に応じて、例えば、車椅子走行が主たる利用形態であれば設置場所のスペース的あるいは形状的な条件等に応じて、上記手摺ユニットの設置形態を決めれば良く、スロープ装置を最大限有効に活用できる。
【0024】
(c)本願の第3の発明に係るスロープ装置では、上記(a)または(b)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記手摺ユニットの上記手摺棒の長さを増減調整可能に構成したので、上記スロープユニットの特性を最大限発揮させることができる。即ち、スロープユニットは、これが架設される段差部の条件によってその走行面あるいは歩行面の形状が変化するが、この形状の変化に伴って該スロープユニットに付設される手摺ユニットの手摺棒の長さが変化するが、この長さの変化は手摺棒自身の長さ調整機能によって吸収され、上記手摺ユニットは常時適正な状態で使用でき、これによりスロープ装置の安全性、信頼性が担保される。
【0025】
(d)本願の第4の発明に係るスロープ装置では、上記(a)、(b)または(c)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記手摺棒を、上記手摺支柱に対して手摺ブラケットを介して取付けるとともに、該手摺支柱との相対角度を調整可能に構成したので、上記(c)に記載した場合と同様に、スロープユニットの架設条件によって走行面あるいは歩行面の形状が変化すると、該スロープユニットに付設される手摺ユニットの手摺棒の形状も変化することになるが、係る変化は、上記手摺ブラケットにおいて手摺支柱に対する手摺棒の相対角度が調整されることで吸収され、上記手摺ユニットは常時適正な状態で使用でき、これによりスロープ装置の安全性、信頼性が担保される。
【0026】
(e)本願の第5の発明に係るスロープ装置では、上記(a)、(b)、(c)または(d)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記手摺ユニットの上記手摺支柱に、該手摺支柱から上記スロープユニットの幅方向外方へ延出して接地される補助脚を備えたので、該補助脚によって上記手摺ユニットに対してその側方(横方向)から掛る力を効率よく支持することができ、この結果、上記手摺ユニットの上記スロープユニットに対する上記手摺ユニットの横方向における取付強度、及びスロープ装置全体の横方向における安定性が向上し、延いてはスロープ装置の使用上における信頼性及び安全性が担保される。
【0027】
(f)本願の第6の発明に係るスロープ装置では、上記(a)、(b)、(c)、(d)または(e)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記手摺棒を上下二段に設けたので、例えば、上記スロープユニット上を車椅子で走行する場合には低い側の手摺棒を使用し、上記スロープユニット上を自力歩行する場合には高い側の手摺棒を利用するなど、実際の使用形態に対応して手摺棒を選択することができ、スロープ装置の使用上の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本願発明の第1の実施の形態に係るスロープ装置の使用状態における全体斜視図である。
図2図1と反対の方向から見たスロープ装置の使用状態における全体斜視図である。
図3図2のA〜矢視図である。
図4図3のB〜矢視図である。
図5】手摺ユニットの手摺支柱部分の分解斜視図である。
図6図5の組み立て状態における斜視図である。
図7】本願発明の第2の実施の形態に係るスロープ装置の使用状態における全体斜視図である。
図8図7と反対の方向から見たスロープ装置の使用状態における全体斜視図である。
図9図8のC〜矢視図である。
図10図9のD〜矢視図である。
図11】手摺ユニットの手摺支柱部分の分解斜視図である。
図12図11の組み立て状態における斜視図である。
図13図1及び図7に示したスロープユニットの構造概念図であって、展開状態(使用時状態)の斜視図である。
図14図1及び図7に示したスロープユニットの構造概念図であって、巻取り状態(非使用時状態)の斜視図である。
図15】スロープユニットを構成する踏板の連結構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0030】
「第1の実施形態」
図1図4には、本願発明の第1の実施形態に係るスロープ装置Zを示している。このスロープ装置Zは、例えば、玄関アプローチとか玄関内の上り框等の段差部Gの高位部Gaと低位部Gbの間に架設されるものであって、次述するスロープユニットXと手摺ユニットYを備えて構成される。
【0031】
1:スロープユニットX
上記スロープユニットXは、本件出願人の出願(特願2013−181184)に係るスロープユニットであって、ここではその具体的構成を図13図15を参照して説明する。
【0032】
上記スロープユニットXは、図13に示すように、長矩形板状の複数の踏板1をその長辺側の縁部同士を対向させた状態で順次ヒンジ部10(後述する)により連結して所定長さとするとともに、その長さ方向の一端側には略楔状断面形状をもつ端部材2を、他端側には同じく略楔状断面形状をもつ端部材3を、それぞれ連結して構成される。
【0033】
そして、このスロープユニットXは、図13に示すように該各踏板1の踏面が略平面状に延設される使用時形態と、図14に示すように該各踏板1がその踏面側を外側にして巻き込まれる非使用時形態の間で形体変更を可能としている。また、上記使用時形態では、次述するように上方からの荷重に抗して略平面状を維持し得るようになっている(実際的には、所要のキャンバー角を得るようにしているため、若干上面(踏面)側へ湾曲突出する形状となっている(図1図7参照))。
【0034】
また、このスロープユニットXは、図13の使用時形態から裏面側へは自由に折曲できる構造となっていることから、図14に示すように、その表面側(踏面側)を外側にして巻き込んで非使用時形態とすることができる。
【0035】
さらに、上記スロープユニットXは、図13に鎖線図示するように、使用時形態の変形例として、長さ方向の中間位置から山型に折曲した山折れ形態とすることもできる。この山折れ形態は、例えば、同図に鎖線図示するように敷居等の突起物を跨いでスロープユニットXを架設する場合の形態である。
【0036】
図15には、上記踏板1の構造を示している。上記踏板1は、アルミ押出型材で一体形成されるものであって、踏板1の一方の長辺側には大径のC形突条でなる外側嵌合体11が、他方の長辺側には小径のC形突条でなる内側嵌合体12が、それぞれ形成されており、一の踏板1の外側嵌合体11に対して他の踏板1の内側嵌合体12を嵌合させることで、これら二枚の踏板1は相対回動可能に連結される。即ち、上記外側嵌合体11と内側嵌合体12でヒンジ部10が構成される。このように複数の踏板1を連結することで、所要長さのスロープユニットXが得られるものである。
【0037】
また、上述のように上記スロープユニットXの使用時形態での形状保持を行わせるために、上記踏板1の一方の長辺側には帯板状の衝合部13が、他方の長辺側には帯板状の衝合部14が、それぞれ形成されており、一対の踏板1が略平面状態に延設された状態において、上記ヒンジ部10からその径方向に離間した位置で一方の踏板1の衝合部13と他方の踏板1の衝合部14が相互に衝合することで、これら一対の踏板1がそれ以上に下方へ折曲するのが規制される。係る折曲規制作用が複数の踏板1相互間において働くことで、上記スロープユニットXの使用時形態での姿勢保持が実現されるものである。
【0038】
なお、上記踏板1の両端部1a、1bの端面には、押出開口21,22,23が形成されているが、この押出開口21,22,23は、該端面に取付けられる端面板4によって閉塞される。そして、これら各端面板4は、スロープユニットXの両縁にあって車椅子の車輪止めとして機能する。さらに、後述のように上記スロープユニットXに上記手摺ユニットYを取付ける場合には、手摺支柱の取付予定位置においては上記端面板4を取り外して上記押出開口21,22,23を露出させ、この露出した上記押出開口21,22,23に後述の手摺支柱40を嵌合固定する(図5参照)。以上が上記スロープユニットXの具体的な構造である。
【0039】
2:手摺ユニットY
上記手摺ユニットYは、図1に示すように、複数(この実施形態では三本)の手摺支柱40と、該各手摺支柱40間に跨って取り付けられた手摺棒51〜54と、上記各手摺支柱40に取り付けられた複数(実施形態では三本)の補助脚45を備えて構成される。
【0040】
2−1:手摺支柱40
上記手摺支柱40は、図5及び図6に示すように、略楕円筒状の管体でなる固定柱41と該固定柱41に内挿される略楕円筒状の管体でなる可動柱42で構成され、該可動柱42の上記固定柱41からの引出量を調整することで、その長さ(高さ)寸法が増減調整され、且つ固定ビス(図示省略)によって所要長さで固定保持される。
【0041】
上記固定柱41の幅方向の両側面には、その全長に亘って縦溝49が形成されている。この縦溝49は、後述のように、補助脚45の固定具46の取付部として機能する。また、上記可動柱42にも、上記固定柱41に対応するように、その幅方向の両側面には、その全長に亘って縦溝50が形成されている。この縦溝50は、後述のように、手摺ブラケット44を支持する延出腕48の取付部として機能する。
【0042】
上記手摺支柱40は、支柱基台30によって上記スロープユニットX踏板1の端部に立設状態で固定される。上記支柱基台30は、図5に示すように、上記固定柱41の側面形状に対応する湾曲受部30aを備えるとともに、該湾曲受部30aの背面側部位に三本の突条31〜33が突設されている。また、上記湾曲受部30aの前面側には、上記固定柱41の側面形状に対応する湾曲形状をもつ押圧具34が締着される。
【0043】
上記支柱基台30は、上記各突条31〜33を上記踏板1の端面上に開口する上記各孔部21〜23に嵌挿し、これを固定ビス71により固定することで上記踏板1該に取り付けられる。
【0044】
上記固定柱41は、その下端部を上記支柱基台30の湾曲受部30aに嵌合させるとともに、該固定柱41の外側面に上記押圧具34を嵌合させ、この状態で該押圧具34を固定ビス72によって上記支柱基台30側に緊締することで、上記踏板1の端部に立設状態で固定される。
【0045】
2−2:手摺ブラケット43,44
上記可動柱42の先端側には、次述の手摺ブラケット43と手摺ブラケット44が取り付けられている。
【0046】
上記手摺ブラケット43は、図6に示すように、弧状面を持つ一対の把持ピース43a,43bを備え、これら一対の把持ピース43a,43bを上記可動柱42の上端に取り付けられた基台76に固定ボルト56によって締着固定している。そして、上記一対の把持ピース43a,43b間に手摺棒51を挟んだ状態で上記固定ボルト56を緊締することで、手摺棒51を上記可動柱42の上端側に固定することができる。
【0047】
なお、上記手摺ブラケット43は、上記固定ボルト56を中心として回動でき、この回動角度の調整によって上記手摺支柱40に対する上記手摺棒51の相対角度(即ち、上記手摺支柱40に対する上記手摺棒51の姿勢)を調整できるようになっている。また、上記固定ボルト56を緩めることで、上記手摺支柱40に対する上記手摺棒51の軸方向位置を変更できることは言うまでもない。
【0048】
上記手摺ブラケット44は、図6に示すように、弧状面を持つ一対の把持ピース44a,44bを備え、これら一対の把持ピース44a,44bを上記可動柱42の軸方向中間位置に取り付けられた延出腕48の先端に固定ボルト57によって締着固定している。そして、上記一対の把持ピース44a,44b間に手摺棒53を挟んだ状態で上記固定ボルト57を緊締することで、手摺棒53を上記可動柱42の中段位置に固定することができる。
【0049】
なお、上記手摺ブラケット44は、上記固定ボルト57を中心として回動でき、この回動角度の調整によって上記手摺支柱40に対する上記手摺棒53の角度(即ち、上記手摺支柱40に対する上記手摺棒53の姿勢)を調整できるようになっている。
【0050】
また、上記延出腕48は、その固定部48aを上記可動柱42の上記縦溝50に嵌合させた状態で固定ビス74により固定されている。そして、上記固定ビス74を緩めて上記延出腕48を上記縦溝50に沿って上下方向へ移動させることで、上記手摺棒53の高さ位置を調整することができる。
【0051】
2−3:手摺棒51〜54
上記手摺棒51〜54は、ともにその一端を略U形に屈曲させた形状をもち、この実施形態では、上記スロープユニットXの一側に立設された三本の手摺支柱40間に跨って取り付けられる。この場合、上記手摺棒51と手摺棒52が各手摺支柱40の手摺ブラケット43側に取り付けられ、上記手摺棒53と手摺棒54が各手摺支柱40の上記手摺ブラケット44側に取り付けられ、これによって上記手摺ユニットYは上下二段に手摺棒を備えることになる。
【0052】
ところで、上述のように、上記手摺棒51と手摺棒52で上段側の手摺棒を構成し、上記手摺棒53と手摺棒54で下段側の手摺棒を構成するが、これらそれぞれ一対の手摺棒を固定的に連結したのでは、上記スロープユニットXの架設状態に応じて変化する上記手摺ユニットYの長さ寸法の変化とか、形状の変化に追従できないことになる。
【0053】
即ち、上記スロープユニットXが、例えば、図1に示すように段差部Gの高位部Gaと低位部Gbの間に略直線的に架設された場合と、図7において鎖線図示するように山折れ形態で架設された場合とでは、該スロープユニットXに付設される上記手摺ユニットYの上記手摺棒の長さ寸法が変化するとともに、該手摺棒の形状が直線状態から山折れ状態に変化することになる。
【0054】
したがって、上記手摺ユニットYを適正状態で使用するためには、上記手摺棒にその長さ寸法の変化と形状の変化に追従できる機能を持たせることが必要となる。これを実現するために、この実施形態では、図4に示すように、一連の手摺棒を構成する上記手摺棒51と手摺棒52、及び上記手摺棒53及び手摺棒54を、共に連結具55によって連結するようにしている。
【0055】
上記連結具55は、図4に示すように、連結ピン58により相対回動可能に連結された一対の連結片55a、55bを備えて構成される。上記各連結片55a、55bは、共にその外端に開口する嵌挿孔59を備えるとともに、該嵌挿孔59の内部側には、その内周面との間に所定の環状隙間をもって中芯59aが設けられている。そして、この嵌挿孔59内にその開口端側から上記手摺棒51、52を嵌挿し、これを上記環状隙間内に進入させることで、該手摺棒51、52を連結する。
【0056】
したがって、この連結状態においては、上記連結具55の上記各連結片55a、55bの相対回動によって上記手摺棒51と手摺棒52の相対関係、即ち、手摺棒51と手摺棒51を連接してなる手摺棒の形状が変化する。また、上記手摺棒51及び手摺棒52が上記連結具55の各連結片55a、55bの嵌挿孔59に対して進退変化することで該各手摺棒51,52の長さが変化することになる。
【0057】
2−4:補助脚45
上記補助脚45は、上記手摺支柱40に付設されて上記手摺ユニットYの横方向外方への倒れを規制して該手摺ユニットYの安定性、延いては上記スロープユニットXを含むスロープ装置Z全体の信頼性を担保するものであって、その両端部45a,45bを相互に略直交方向へ屈曲させた管体で構成される。そして、この補助脚45の一端部45aには、上記手摺支柱40の上記可動柱42の上記縦溝50部分に掛止される固定具46が取り付けられるとともに、その他端部45bには接地材47が取り付けられている。
【0058】
上記補助脚45は、その一端部45aに設けた上記固定具46を上記手摺支柱40の上記可動柱42に掛止し、さらに固定ビス73で固定することで上記端面板4側に取り付けられる。そして、この補助脚45は、上記固定ビス73を緩めて上記固定具46を上記縦溝50に沿って上下方向を移動させることで、上記手摺支柱40に対する取付高さを調整して、上記接地材47を的確に接地させることができるものである。
【0059】
3:スロープ装置Zの設置作業
スロープ装置Zの設置作業を、図1図4に示すように、該スロープ装置Zを段差部Gの高位部Gaと低位部Gbの間に架設する場合を一例として説明する。
【0060】
先ず、上記スロープユニットXを、単体で上記段差部Gの高位部Gaと低位部Gbの間に架設する。このスロープユニットXの段差部Gへの架設状態においては、その一方の端部材2が上記高位部Gaに接地し、他方の端部材3が低位部Gbに接地し、該スロープユニットXは上方へ僅かに湾曲した状態で姿勢が保持され、その上面側への荷重を支持し得る状態とされる。
【0061】
次に、上記スロープユニットXの一方の側部に上記手摺ユニットYを取り付ける。先ず、上記スロープユニットXの一側の前後及び略中央の三か所にそれぞれ手摺支柱40を取り付ける。さらに、これら各手摺支柱40の各手摺ブラケット43部分と、各手摺ブラケット44部分に、それぞれ手摺棒51,52、及び手摺棒53,54を取り付ける。そして、上段側の上記手摺棒51と手摺棒52、及び下段側の上記手摺棒53と手摺棒54を、それぞれ連結具55によって連結する。
【0062】
しかる後、上記手摺ユニットYの各手摺支柱40のそれぞれに上記補助脚45を取り付けて、その接地材47を上記手摺支柱40から側方へ大きく張り出した状態で接地させる(図3参照)。以上で、スロープ装置Zの設置作業が完了する。
【0063】
このようにして設置された上記スロープ装置Zによれば、以下のような作用効果が奏せられる。
【0064】
(a)上記スロープユニットXを車椅子で走行する場合には、必要に応じて手摺ユニットYの手摺棒51〜54を把持することで安全性及び信頼性の高い走行が実現される。また、特に介助者に寄らずに自走行する場合には、手摺棒51〜54を掴んで車椅子を引き寄せながら進むことで、例えば、車椅子の操作輪を手で回して走行する場合に比して、走行労力が軽減されるとともに、高い安全性が確保される。
【0065】
(b)上記スロープユニットXを自力歩行で、あるいは介助を受けながら歩行する場合には、上記手摺棒51〜54を掴んでこれに沿って歩行することで、例え足腰に不安があり、摺り足状態で小さな歩幅でしか歩けないような人であったとしても、その体勢を維持しながらより安全に歩行することができる。
【0066】
(c)上記スロープユニットXを、例えば、敷居を跨ぐようにして山折れ状態で設置した場合には、該スロープユニットXの走行面あるいは歩行面が、一枚板で構成されるスロープ装置の場合に比して変則的な形状となるが、かかる場合においても、上記手摺ユニットYが備えられていることで安定した走行あるいは歩行が確保され安全性が担保される。
【0067】
(d)このスロープ装置Zでは、上記手摺ユニットYに上記手摺棒51〜54を上下二段に設けたので、例えば、上記スロープユニットX上を車椅子で走行する場合には低い側の手摺棒53、54を使用し、上記スロープユニットX上を自力歩行する場合には高い側の手摺棒51、52を利用することで、実際の使用形態に対応して手摺棒を選択することができ、スロープ装置Zの使用上の利便性が向上する。
【0068】
「第2の実施形態」
図7図10には、本願発明の第2の実施形態に係るスロープ装置Zを示している。このスロープ装置Zは、上記第1の実施形態におけるスロープ装置Zと同様に、スロープユニットXと、該スロープユニットXの一方の側縁部に手摺ユニットYを付設して構成される。
【0069】
そして、上記スロープユニットXについては、そのスロープ長さが異なる(短い)点を除き、その他の構成は全て上記第1の実施形態におけるスロープユニットXと同一であるため、ここでは第1の実施形態における該当説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【0070】
これに対して、上記手摺ユニットYは、上記第1の実施形態における手摺ユニットYとはその構成を異にしている。したがって、ここではこの手摺ユニットYについて、その構成等を具体的に説明する。
【0071】
1:手摺ユニットY
上記手摺ユニットYは、図7に示すように、前後二本の手摺支柱60と、該各手摺支柱60間に跨って取り付けられた手摺棒58、及び該摺棒58の両端にそれぞれ連結された端部棒59を備えるとともに、上記各手摺支柱60に補助脚45を取り付けて構成される。
【0072】
1−1:手摺支柱60
上記手摺支柱60は、図11及び図12に示すように、円形の管体でなる固定柱61と該固定柱61に内挿される円形の管体でなる可動柱22で構成され、該可動柱62の上記固定柱61からの引出量を調整することで、その長さ(高さ)寸法が増減調整され、且つ固定ビス(図示省略)によって所要長さで固定保持される。
【0073】
上記手摺支柱60は、支柱基台35によって上記スロープユニットXの踏板1の端部に立設状態で固定される。上記支柱基台35は、図11に示すように、上記固定柱61の外周形状に対応する半円弧状の受部35aを備えるとともに、該受部35aの背面側部位には三本の突条36〜38が突設されている。また、上記受部35aの前面側には、上記固定柱61の外周形状に対応する半円弧状の受部39aを設けた押圧具39が締着される。
【0074】
上記支柱基台35は、上記各突条36〜38を上記踏板1の端面上に開口する上記各孔部21〜23に嵌挿し、これを固定ビス71により固定することで上記踏板1側に取り付けられる。
【0075】
上記固定柱61は、その下端部を上記支柱基台35の受部35aに嵌合させるとともに、該固定柱61の外側面に上記押圧具39を嵌合させ、この状態で該押圧具39を固定ビス72によって上記支柱基台35側に緊締することで、上記踏板1の端部に立設状態で固定される。
【0076】
1−2:手摺ブラケット63
上記可動柱62の先端側には、次述の手摺ブラケット63が取り付けられている。この手摺ブラケット63は、図12に示すように、U形の受体で構成され、基台77を介して上記可動柱62の先端に固定されている。そして、この手摺ブラケット63には、相互に折曲自在に構成された一対の連結ピース67a、67bでなる連結具67が、固定ボルト75によって連結された状態で上記手摺ブラケット63側に枢着されている。
【0077】
また、上記連結具の一方の連結ピース67aの外端側には、直棒状の手摺体68の端部がその軸方向に移動可能に嵌挿されている。また、他方の連結ピース67bの外端側には、大きくU形に屈曲形成された端部手摺体69の一端がその軸方向に移動可能に嵌挿されている。したがって、上記手摺体68と上記端部手摺体69は、上記手摺ブラケット63の固定ボルト75を中心として上下方向に相対回動可能となっている。
【0078】
なお、この実施形態では、上記スロープユニットXの長さが短いため、上記手摺ユニットYにおいては上記手摺支柱60を上記スロープユニットXの前後両端部にそれぞれ配置し、これら一対の手摺支柱60間に跨るようにして1本の手摺棒68を配置したが、例えば、上記スロープユニットXの長さが長くなった場合には、該スロープユニットXの長さ方向の中間位置にも手摺支柱60を配置することになるが、係る場合には複数の手摺棒68同士を中間位置の手摺支柱60部分において連結する。
【0079】
2:補助脚65
上記補助脚65は、上記手摺支柱60に付設されて上記手摺ユニットYの横方向外方への倒れを規制して該手摺ユニットYの安定性、延いては上記スロープユニットXを含むスロープ装置Z全体の信頼性を担保するものであって、その両端部65a,65bを相互に略直交方向へ屈曲させた管体で構成される。
【0080】
そして、この補助脚65は、その一端部65aを、上記固定柱61の上端部に取り付けた固定具64に連結することで上記手摺支柱60側に取り付けられる。また、この補助脚65の他端部65bには接地材66が取り付けられている。
【0081】
なお、この実施形態の手摺ユニットYを備えたスロープ装置Zの設置作業の作業手順等は上記第1の実施形態の場合特許同様であるので、ここでの説明は省略する。また、この手摺ユニットYを備えたスロープ装置Zの作用効果は、上記第1の実施形態の場合と同様であり、該第1の実施形態の該当説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【0082】
「その他」
上記各実施形態においては、上記スロープユニットXの一方の側縁にのみ上記手摺ユニットYを取り付けた場合を例にとって説明したが、本願発明は係る構成に限定されるものではなく、例えば、上記手摺ユニットYを上記スロープユニットXの左右両縁にそれぞれ取り付けることもできる。
【0083】
このように、上記手摺ユニットYを上記スロープユニットXの両側部の何れか一方に設ける態様と、該両側部の双方に設ける態様を任意に選択可能とすれば、想定されるスロープ装置Zの使用形態に応じて、例えば、車椅子走行が主たる利用形態であれば設置場所のスペース的あるいは形状的な条件等に応じて、上記手摺ユニットYの設置形態を決めれば良く、スロープ装置Zを最大限有効に活用できる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本願発明のスロープ装置は、段差部に架設されて、車椅子の走行路とか歩行者の歩行路として機能するものであって、特に高齢者介護の分野にて利用されるものである。
【符号の説明】
【0085】
1 ・・踏板
2、3 ・・端部材
40 ・・手摺支柱
41 ・・固定柱
42 ・・可動柱
45 ・・補助脚
51〜54 ・・手摺棒
60 ・・手摺支柱
61 ・・固定柱
62 ・・可動柱
65 ・・補助脚
X ・・スロープユニット
Y ・・手摺ユニット
Z ・・スロープ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15