(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、文献1に係る発明を初めとして、従来のランニングデータを計測するシステムでは、ユーザの走行スピード、ユーザの時間当たりの移動距離である走行ペース、ユーザの一歩の幅を示すピッチなどの一般的に結果の表示があるのみであり、それをどのように走り方のスキルアップにつなげるかの視点が表示されない。
計測結果の良し悪しやフォアフットやミッドフットなどの走りのタイプの判断結果を表示するものは、閾値が一般的な固定値になっているため、運動能力の異なる、必ずしも競技を目指すのみでない一般ランナーの目的には合わない。
研究で実施されている計測においては、個人ごとに計測が行われて個々に判断するものであるが、専門家の判断が必要であり、高度なスポーツ選手、または機能障害を持つ患者の治療向けであるなど、時間や費用面で手軽には実施できない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、自分の運動レベルに合わせて、気持ちよい運動ができ、その結果として故障も回避しつつレベルアップのアドバイスを、専門家の指導なしに受けたい一般的なスポーツ愛好者向けに、手軽に使ってもらえるシステムを提供するものである。
【0007】
請求項1の発明は、ユーザの
ランニングデータを測定する
ランニングデータ測定装置と、ユーザの
ランニングを支援するための
ランニング支援端末装置からなる
ランニング支援システムであって、
ランニングデータ測定装置は、足部の母指球、踵、小趾球に位置する領域に配置し、ユーザの
ランニングデータを検出するセンサ部と、GPSシステムを利用してユーザのGPSデータを取得するGPS受信部と、ユーザの
段階評価した自己評価値データの入力及び
ランニングデータの測定開始を入力する入力部と、各データを収集し、各データの保存を制御する制御部と、制御部で制御された各データを保存するデータロガー部と、各部と電気的に接続され、各部を駆動させる電源部を備え、
ランニング支援端末装置は、ユーザの装備情報を入力する入力部と、
ランニングデータ、GPSデータ、
段階評価した自己評価
値データを受信解析する制御部と、制御部で解析した
ランニングデータ、GPSデータ、
段階評価した自己評価
値データ
を機械学習する学習部と、
ランニング支援結果を表示する表示部を備え、少なくとも、入力データである
ランニングデータ、GPSデータ、
段階評価した自己評価
値データを教師データとし、教師データを学習部において機械学習することにより数値モデルとし、数値モデルに新たな
ランニングデータを入力すると、新たな
ランニングデータに対する
段階評価した自己評価
値を予想して算出し、
また、予想された段階評価した自己評価
値に影響したランニング要因
の寄与
値を予想して算出し、予想された
段階評価した自己評価
値、及び、予想された
段階評価した自己評価
値に影響したランニング要因
の寄与
値が表示部に表示されることを特徴とした
ランニング支援システムである。
【0008】
請求項2の発明は、
ランニングデータ測定装置には、各データを送信する送信部と、
ランニング支援端末装置には、送信部から送信された各データを受信する受信部と、をさらに備えることを特徴とした請求項1に記載の
ランニング支援システムである。
【0009】
請求項3の発明は、センサ部は、圧力センサ、加速度センサ、on/offスイッチのうち、いずれかであることを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の
ランニング支援システムである。
【0010】
請求項4の発明は、センサ部は、靴の中に着脱自在に収容される合成樹脂製可撓性のシートに備えたことを特徴とした請求項1乃至請求項3のうちいずれか一に記載の
ランニング支援システムである。
【0011】
請求項5の発明は、
ランニング支援端末装置には、インターネットを経由して気象データ、道路地図データ、コースデータ、地形データのうちいずれか一を取得する情報取得手段と、をさらに備えた請求項1乃至請求項4のうちいずれか一に記載の
ランニング支援システムである。
【0012】
請求項6の発明は、
ランニング支援システムは、ワイヤレスイヤホンと、をさらに備え、
ランニング支援端末装置には、予想された
段階評価した自己評価
値の数字データを音声データに変換する音声変換部と、ワイヤレスイヤホンへ音声データを出力する音声出力部と、をさらに備え、ワイヤレスイヤホンには、音声データを受信する受信部を備えたことを特徴とした請求項1乃至請求項5のうちいずれか一に記載の
ランニング支援システムである。
【0013】
請求項7の発明は、
ランニング支援システムは、インターネットを介して接続されるサーバと、をさらに備え、サーバは、専門誌、及び/又は、専門家の専門用語が記憶されている記憶部と、専門用語と
ランニングデータとを照合する照合部と、照合部での照合結果に応じて、表示部に表示された予想された
段階評価した自己評価
値、及び、予想された
段階評価した自己評価値に影響したランニング要因
の寄与
値に対応した専門用語
を表示させる送信部と、を備えたことを特徴とした請求項1乃至請求項6のうちいずれか一に記載の
ランニング支援システムである。
【0014】
請求項8の発明は、
ランニング支援システムは、インターネットを介して接続されるサーバと、をさらに備え、サーバは、ランニングギア選定基準データが記憶されている記憶部と、ランニングギア選定基準データと
ランニングデータとを照合する照合部と、照合部の照合結果に応じて、サーバから
ランニング支援端末装置に対し、ユーザに適合するランニングギア情報を送信する送信部と、を備えたことを特徴とした請求項1乃至請求項7のうちいずれか一に記載の
ランニング支援システムである。
【0015】
請求項9の発明は、
ランニング支援システムは、インターネットを介して接続されるサーバと、をさらに備え、サーバは、
ランニングデータ測定装置から送信された
ランニングデータを受信する受信部と、受信部が受信した
ランニングデータを集計し、第三者に公開する
ランニングデータ公開部と、を備えたことを特徴とした請求項1乃至請求項8のうちいずれか一に記載の
ランニング支援システムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1から請求項3の発明によれば、測定したユーザの運動データ等の教師データを機械学習して数値モデル化し、毎回の運動スキルのレベルを予測判断してユーザに知らせ、さらに予測判断の寄与度から、自らの走りに即した改良点を表示するものである。したがって、表示された予想された自己評価、及び、予想された要因寄与度をユーザが意識して走ることにより、自分に合った運動を行うことができる。
請求項4の発明によれば、より耐久性ある運動支援システムを提供することができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、多くの情報を入力することにより、精度の高い予想された自己評価、及び、予想された要因寄与度を表示することができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、走りながら予想された自己評価を音声データで確認することができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、専門誌、専門家が使用する専門用語が表示されることによって、これらの専門用語に基づいて自分なりの走りを改良することができる。
【0020】
請求項8の発明によれば、ユーザそれぞれに合ったランニングギア情報を提供することができる。
【0021】
請求項9の発明によれば、運動データを公開することができるため、ユーザ、仲間、プロ選手等とのコミュニケーションツールとして利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態を以下に示す。
なお、本明細書において「運動」とあるのは、主に、「ランニング」を意味する。
本発明は、ユーザの運動を測定する運動データ測定装置10と、運動支援端末装置100からなり、測定したユーザの運動データ151等の教師データを機械学習して数値モデル161化し、毎回の運動スキルのレベルを予測判断してユーザに知らせ、さらに予測判断の寄与度から、自らの走りに即した改良点を表示するものである。
【0024】
ジョギングやランニング等、各種の運動は、楽しみながら上達でき、記録が伸びたりなど、正しい方法で楽しむことで、爽やかになったり、健康増進につながったり、人生を楽しむために必要な多くのことを実現することができたりする。そのため、一部の専門家やトップアスリートが携わるだけではなく、一般の人がだれでも正しいやり方で親しむことができることが重要である。
【0025】
ところが、ランニング一つとっても、走り方が適切でないと楽しめない、またはいつもつらい思いをして、上達しないばかりか、場合によっては怪我につながって、継続できないことになることも多い。雑誌、専門書、最近ではネット情報から、適切な情報を得ることは手軽にできるようになってきたが、内容は一般的なテクニックや、経験談にとどまらざるを得ない。運動は個人の特徴ごとに異なるので、年齢、経験、健康を楽しむのか、競技での成績をも目指すのか、個人の特性とそれぞれの目指すものによって取り組みが異なることは明白である。一般情報をどのように実施したら自分に適切であり、爽やかで楽しく、また記録を伸ばしつつモチベーション高く競技にも参加できるようになるかは、なかなか得られない情報であるのが実情である。自分に合った運動方法を知るためには、現時点では、専門家の個別指導が最適と考えられる。最近では映像解析やモーションキャプチャなどの計測技術を使って、個人に合わせた指導が得られる時代になったと言えるかもしれないが、実施のためには費用や時間の面で手軽に実施できるとは言えない。本発明は、自分なりの良いやり方を、自分の実施結果から学ぶやり方で上達のためのアドバイスができるシステムを提供し、毎日の運動で手軽に使って、楽しく充実した運動生活をサポートするものである。
【0026】
図1にあるように、本発明の運動支援システム1は、ユーザの運動データを計測測定する運動データ測定装置10と、この運動データ測定装置10で計測測定した運動データ151、ユーザ自身が入力した自己評価データ152、GPSからのGPSデータ153等の教師データをもとに解析、機械学習等を行い、ユーザに運動の支援を行う運動支援端末装置100に大別される。
【0027】
まず、本発明である運動支援システム1を構成する運動データ測定装置10の基本的構成を示す。
【0028】
運動データ測定装置10は、ユーザの運動データ151を計測測定等行うものであり、構成としては、ユーザの運動データ151を検出するセンサ部10a、10b、10c、GPSシステムを利用してユーザのGPSデータ153等を取得するGPS受信部14、ユーザの自己評価を入力する入力部(入力デバイス)16、各データを収集し、各データの保存、送信等を制御コントロールする制御部11、制御部11で制御された各データを保存するデータロガー部12、そして、各センサ部10a、10b、10c、GPS受信部14、入力部16、制御部11、データロガー部12と電気的に接続され、各センサ部10a、10b、10c、GPS受信部14、入力部16、制御部11、データロガー部12を駆動させる電源部15とを備えている。その他、運動データ151を他の装置である運動支援端末装置100に送信する送信部13を備える構成であってもよい。後述するように、各センサ部10a、10b、10cは、シューズSのインソールIやシート30等に、GPS受信部14、入力部16、制御部11、データロガー部12、電源部15は、シューズSのカウンター部に備えることが考えられる。このような部位に備えることにより、走行の邪魔にならず、また、安定して運動データを測定することができる。
【0029】
センサ部10a、10b、10cの配置位置は、歩くときと走るとき等の運動に特徴的となる位置として、母指球の位置、踵の中心位置、比較的に望ましくない位置として足の外側などに配置して(
図2参照)、その位置にかかる荷重と、荷重発生のタイミング(3箇所のセンサ部10a、10b、10cそれぞれが出力されるタイミング、順番)、荷重の発生から消滅までを接地時間とした荷重持続時間(センサ部10a、10b、10cが出力している間の時間)を測定し、着地の荷重バランス(左右の足のバランス、片方の足のバランス、3箇所のセンサ部10a、10b、10cのバランス、1箇所のセンサのバランス等)、着地の始まる順番、着地の荷重の時間的な変化(接地から接地しなくなるまで)を測定して、これを入力データとする。なお、入力データは、これらに限定されるものではない。
【0030】
このように、センサ部10a、10b、10cは、ユーザの運動データ151を測定するものであり、シューズSを履いた状態でユーザが運動し、ユーザの足によって加えられた力をセンサ部10a、10b、10cで検出するように構成されている。したがって、このセンサ部10a、10b、10cの配置位置としては、上述のように、例えば、ユーザの足部の母指球、踵、小趾球に位置する領域の3箇所に配置することが的確な運動データ151を取ることができるため望ましく、このセンサ部10a、10b、10cの位置でユーザの運動データ151を検出する。なお、運動に特徴的となる位置であれば、上記3箇所以外の場所であってもよく、また、センサ部10a、10b、10cの配置数も問わない。
【0031】
図2では、運動データ測定装置10の例であり、シューズSの左右のインソールIにセンサ部10a、10b、10cを走り等の運動の特徴を捉える位置に配置し、データを扱う制御部11に配線している例を示す。インソールIはシューズSのアウトソールOの内側に沿うように配置される。
【0032】
本発明は、片方だけでも左右バランスの寄与以外は機能するので、片方だけでも良いが、
図2のようにセンサ部10a、10b、10cを左右のシューズSに配置することで、左右のバランスが計測でき、走りの判断に効果的であるので、左右の両シューズSに配置するのが望ましい。
【0033】
センサ部10a、10b、10cは、圧力センサが望ましいが、他のセンサであってもよい。例えば、加速度センサ、圧をかけることによってスイッチが接触するon/offスイッチ等考えられる。圧力センサ、加速度センサ、on/offスイッチ等のうち、本発明の効果を奏するものであればいずれであってもよい。
加速度センサ等は、圧力によって抵抗が変化する簡易なものでも問題なく機能し、また、ノイズに強く、消費電力も少なく、安価である等のメリットがある。
【0034】
センサ部10a、10b、10cは、ユーザが履くシューズSのインソールI、ミッドソール(不図示)、アウトソールO等の部位に埋設することもできるが、
図3で図示したように、シューズSとは別部材のシート30に備えることが望ましい。シート30は、シューズSの中に着脱自在に収容される。素材としては、可撓性のある合成樹脂製が適している。
【0035】
可撓性のある合成樹脂製としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられるが、これら以外の材質であっても本発明の効果を奏することができればどのような素材であってもよい。
【0036】
このように、センサ部10a、10b、10cは、アウトソールOとインソールIの間に収納可能な着脱自在のシート30に備えることもできるため、手軽に設置、取り外しが可能となり、シューズSを変えてもシート30を変えることで簡単に運動データ151を測定することができる。同様に運動データ測定装置10もシューズSから着脱自在とすることによって、シューズSを変えても運動データ151を測定することができる。
【0037】
センサ部10a、10b、10cをシューズSと別部材のシート30に配置することで、インソールIと靴底であるアウトソールOのスライド方向の力を滑りで逃がすことができ、これによってセンサ部10a、10b、10cと、このセンサ部10a、10b、10cからの配線に対する負荷が減少し、耐久性が確保できる。
【0038】
またシート30にセンサ部10a、10b、10cを取り付けることで、ランニングや歩行によって伸び縮み変形を繰り返すインソールIの影響を受けずに圧力を計測できる。同時に、通常1mのストライドのランナーが10km走ると、1万歩程度の繰り返しの力がセンサ部10a、10b、10cにかかることを考えると、毎回のインソールIの伸び縮み変形を受けることからセンサ部10a、10b、10cと配線類を守る働きを持たせることができ、耐久性が向上する。
【0039】
屋外でのスマートフォン等の携帯端末を利用したユーザの位置情報等の取得には、GPSが用いられており、運動データ測定装置10もGPS受信部14で受信することによってユーザの位置情報等のGPSデータ153を特定し、取得することができる。その他、Wi−Fiや通信事業者の基地局情報等を利用してユーザの位置情報等を特定してもよい。
【0040】
運動データ測定装置10には、GPS受信部14を備えた構成の場合、このGPS受信部14からユーザのGPSデータ153である、緯度や経度等の位置データ、速度データ、距離データ、時間データ等の各データが収集されるが、GPSウォッチ(不図示)など同様の機能を有するものを併用する場合は、GPS受信部14を搭載しなくてもよい。
【0041】
GPS受信部14を備えた運動データ測定装置10、GPS機能付きの腕時計等の別によっては、表示される支援結果の表現方法が異なる場合があるが、個人への運動支援、アドバイスが可能である点は変わらない。
【0042】
以上のように、GPS受信部14は、シューズSに備える構成であってもよいし、GPS受信機能を含むフィットネスウォッチを利用してもよい。なお、GPS受信機能を含むフィットネスウォッチは、速度、移動距離等のリアルタイムデータを取得したり、緯度や経度等の位置情報を取得することが可能である。
【0043】
携帯可能な入力部16には、自己評価データ152を入力する1〜5段階の自己評価入力ボタン16a、及び、運動データ151の測定開始を入力するスタートボタン16bが設けてある。そして、スタートボタン16bを押すことによって運動データ151の測定が開始され、ユーザが入力部16を持ちながら走行し、走行中に入力部16の自己評価入力ボタン16aを押すことによって、走りの評価(自己評価)を入力する。5から順に例えば、素晴らしい、非常に良い、良い、まあまあである、及び悪いという段階とすることが考えられる。1〜5段階に限らず、1〜10段階の自己評価入力ボタンを設けてもよい。
【0044】
また、図示しないが、入力部16には、無線送信部が備えられることによって、無線で自己評価データ152である評価入力情報を制御部11に送信する形態の他、有線により評価入力情報が送信されてもよい。
【0045】
制御部11は、記憶部(不図示)に記憶されているプログラムに従ってセンサ部10a、10b、10c、データロガー部12、GPS受信部14、電源部15、入力部16の処理、駆動制御する。例えば、センサ部10a、10b、10cで検出した運動データ151等を収集し、運動データ151等の保存を制御する。すなわち、運動データ151の他、自己評価(走りの評価)データ152、GPSデータ153等を受領、制御する。
【0046】
センサ部10a、10b、10cで計測・収集した運動データ151、入力部16から入力した自己評価データ152、GPS受信部14で受信したGPSデータ153等を保存する。運動データ151等は電気的に記録され、例えば、フラッシュメモリ、ハードディスクやメモリーカード等を用いる。
【0047】
したがって、運動データ151は送信部13から運動支援端末装置100に送信されるか、又は、データロガー部12で保存して、USBメモリやSDカード等の可搬の記憶媒体(図示せず)を介して、走行等の運動後に運動支援端末装置100に運動データ151を移動、保存して活用することでも同様の機能を果たせる。
【0048】
電源部15からの電力供給により、電源部15と電気的に接続されているセンサ部10a、10b、10cと、制御部11と、データロガー部12、送信部13、GPS受信部14等が駆動する。なお、入力部16は、入力部16に備えられた電源部(不図示)からの電力供給により駆動する。
【0049】
運動データ測定装置10によって検出された運動データ151は、例えば、運動データ測定装置10の送信部13からインターネットINを介して運動支援端末装置100に出力され得る。具体的には、本発明の運動支援システム1は、運動するユーザが使用するシューズSに設置した運動データ測定装置10と、運動支援端末装置100と、その他、サーバSBと、それらを通信可能につなぐインターネットINにより構成される。インターネットINにより通信可能な環境を得るためには、モデム等の機器とインターネットプロバイダ等が必要であるが、本発明と直接関係ないので今回説明を割愛する。なお、インターネットINの他、同様の効果を奏するものであれば無線通信、衛星回線、専用回線等であってもよい。
【0050】
図1で図示したように、運動支援端末装置100は、運動データ測定装置10からの運動データ151等を受け取って解析や機械学習等を行い、ユーザに運動支援結果を表示するものである。この運動支援端末装置100構成としては、ユーザの装備情報データ158等を入力する入力部103、運動データ151、自己評価データ152、GPSデータ153等を受信解析する制御部111と、少なくとも、制御部111で解析した運動データ151、ユーザの自己評価データ152、GPSデータ153等を機械学習する学習部105と、運動支援結果を表示する表示部106とを備えている。
【0051】
また、その他、運動データ測定装置10の送信部13から送信された運動データ151を受信する受信部102を別に備える構成も考えられる。運動支援端末装置100としては、パソコンの他、タブレット端末、ユーザが携帯することができるスマートフォン等の携帯情報端末等が用いられる。
【0052】
上述のように、受信部102は、運動データ151、自己評価データ152、GPSデータ153等を受信する。受信は、インターネットIN、無線通信、有線通信等を介して行われる。
【0053】
表示部106は、カラー液晶、有機EL等のモニタにより構成される。また、入力部103は、キーボードやマウス、タッチパネル等のポインティングデバイスにより構成され、ユーザが運動支援端末装置100に対して指示を与えることができるように構成される。タッチパネルの場合、表示部106と受信部102を兼ねることができる。
【0054】
運動支援端末装置100には、インターネットINを経由して気象データ154、道路地図データ156、コースデータ155等を取得する情報取得部104を備えている。したがって、運動支援端末装置100は、インターネットINを介して、気象データ154、道路地図データ116、コースデータ155が格納されているデータベースDBに接続され、各種データを収集取得することができる。
【0055】
気象データ154は、例えば、風速、雨量、湿度、気温等のデータである。
インターネットIN等を介してデータベースDBから最新の気象データ154を取得することができる。
【0056】
また、入力データとしては、例えば、国土地理院等の道路地図データ156、地形データ157を組み合わせることで、コースの特徴、傾斜ほかの情報との連携で別の観点からの運動支援を可能とする。
【0057】
GPSの位置データを使って道路地図データ156と連携するシステムは一般的に活用されており、道路上、曲がり角の多い街中、山の中、公園など、コースの特徴に対応したアドバイスが可能となり、別の視点からの個人の行動の理解が可能となる。これにより、さらに運動の探求と改良ができるとともに、運動へのモチベーションアップにつながり、運動を長く楽しめるきっかけを提供する。
【0058】
道路地図データ156は、データベースDBに格納されており、様々な地理的情報を含んで構成され、具体的には緯度・経度データ、標高データ、土地傾斜データ、河川・溜池・農業用水路画像データなどを含んで構成される。
【0059】
地形データ157は、データベースDBに格納されており、地表面の3次元モデル等が記録されている。この地形データ157は、例えば、国土地理院標高データや、3次元スキャナによる実測データ(点群データ)を用いることが可能である。具体的には、国土地理院等からインターネットIN等を介して道路地図データ156、地形データ157を取得する。
【0060】
コースデータ155は、例えば、コースの名称や所在、コース設計者等のデータである。インターネットIN等を介してデータベースDBから最新のコースデータ155を取得することができる。
【0061】
制御部111は、記憶部に記憶されているプログラムに従って受信部102、入力部103、情報取得部104、学習部105、表示部106等の処理、駆動制御する。例えば、受信部102で受信した運動データ151等を収集し、運動データ151等を制御する。また、制御部111は、運動データ測定装置10からの運動データ151の他、自己評価データ152、GPSデータ153等を受領し、解析する。
【0062】
学習部105で行われる機械学習は、「ニューラルネットワーク(教師あり)」を適用したものであり、過去の運動データ151、自己評価データ152、GPSデータ153、その他、気象データ154、装備情報データ158等に基づいてユーザの運動状態、気分、自己の評価等を予測学習して数値モデルを構築する。
【0063】
学習部105や、機械学習を行う装置(以下、機械学習装置とする)における機械学習は、汎用の計算機若しくはプロセッサを用いることもできるが、例えば、GPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)や大規模PCクラスター等を適用すると、より高速処理が可能となる。
【0064】
機械学習は、SVM(Support Vector Machine)や決定木など、任意の学習手段を用いることができる。
【0065】
機械学習は、学習部105や、機械学習装置に入力されるデータの集合から、その中にある有用な規則や知識表現、判断基準等を解析により抽出し、その判断結果を出力すると共に、知識の学習を行うことで実現される。機械学習の手法は様々であるが、大別すれば「教師あり学習」、「教師なし学習」等に分けられる。さらに、これらの手法を実現する上で、特徴量そのものの抽出を学習する「深層学習」と呼ばれる手法がある。
【0066】
「教師あり学習」とは、ある入力と結果(ラベル)のデータの組を大量に機械学習装置に与えることで、それらのデータセットにある特徴を学習し、入力から結果を推定するモデル、即ち、その関係性を帰納的に獲得することができる。これは
図11のニューラルネットワーク等のアルゴリズムを用いて実現することができる。
【0067】
運動支援システム1は、ユーザの運動の質を向上させるための支援、アドバイス(以下、「運動支援」とする)を、当該ユーザに提供するものである。この運動支援システム1の中核には、数値モデル161があり、この数値モデル161を使って最終的にユーザに運動支援を行う。
【0068】
運動データ151、走りの自己評価データ152、GPSデータ153、気象データ154、装備情報データ158、コースデータ155等のデータは、使い始める最初の段階では機械学習によって作成する数値モデル161の教師データとなり、以後の走りを判断してアドバイス項目を判断するモデル(数値モデル161)となる。
【0069】
数値モデル161は、ユーザが感じる評価のデータである走りの自己評価データ152等を教師データにして学習したモデルであるので、アドバイスは自分がより良いと感じるための要因を表示、アドバイスするようにできており、結果として自分に適したレベルアップ策につながる。また、良くなかった場合には、良くなかった要因と改善の方向が自分の良い時を基準に示すことができる。
【0070】
これは、ユーザが自分を基準とした点で、個人に適したアドバイスのカスタマイズ化とも考えられ、一般的な上達法としてのアドバイスでは扱えない個人へのアドバイスになる。さらに、個人の特性を見抜くうえでは専門家をも超えたものと言え、個人の特性と希望レベルにフィットしたアドバイスができるうえでは、究極の個人アドバイザーと言える。
【0071】
運動支援システム1は、自分で実施した運動の結果に自分の評価をラベルとして対応をつけて数値モデル161化したものであるので、使用したデータの種類にかかわらず、以後の運動の評価が可能であり、その結果に影響した要因の寄与度と、寄与度の大きい要因を示すことができ、改良の努力へ結びつけることができる。実際の運動レベルの向上につながることで、運動へのモチベーション付けにもなり、運動を長く楽しめるきっかけを提供できる。
【0072】
図11は数値モデル161であり、ニューラルネットを用いたモデルの例である。
図9には、本支援システム1の数値モデル161作成時、数値モデル161の更新時のアルゴリズムを示す。基本的な流れは下記のとおりである。
【0073】
ユーザがランニング、ジョギング等(ランニング等とする)の運動をした際の運動データ151、ユーザのランニング等についての自己評価である自己評価データ152、ユーザのGPSデータ153等を入力データとして、これらを「教師データ」とする。また、その他、気象データ154、装備情報データ158、コースデータ155等を入力値としてもよい。すなわち、数値モデル161の基礎となる教師データの入力データとしては、制御部111で受領した運動データ151、走りの評価である自己評価データ152、GPSデータ153の他、気象データ154、装備情報データ158等も入力値とすることができる。
【0074】
また、教師データの基となる運動データ151の数等は問わない。したがって、一回の走行であっても運動データ151として活用できるし、複数回走行したことによって得られた複数個の運動データ151も活用できる。複数個の運動データ151を教師データとし、これを機械学習すると、より精度のよい教師データとなる。なお、どのコースであってもよい。
【0075】
この「教師データ」を運動支援端末装置100の学習部105において機械学習することにより「数値モデル161」を作成する。
【0076】
この「数値モデル161」に、ユーザが新たにランニング等を行った際の新たな運動データを入力すると、その新たな運動データに対する自己評価を学習部105で予想(推定)し、また、その要因寄与度を算出し、予想された自己評価170、及び、この自己評価に基づく予想(推定)された要因寄与度171が表示部106に表示される(
図5、
図6、
図7、
図8参照)。
【0077】
教師データの基となる運動データ151、走りの自己評価データ152、GPSデータ153、気象データ154、装備情報データ158の内訳は次のとおりである。
【0078】
運動データ151の内訳は、接地荷重、接地時間、左右荷重バランス等が挙げられる。また、GPSデータ153の内訳は、速度、ストライド、ピッチ、位置等が挙げられる。これらのうち、接地荷重、接地時間、左右荷重バランスはセンサ部10a、10b、10cで計測測定され、速度、ストライド、ピッチ、位置等はGPS受信部14から取得される。
【0079】
走りの自己評価データ152は、例えば、1〜5段階のうちのユーザの自己評価データ152を入力する。具体的には、1〜5段階の自己評価入力ボタンが設けてある入力部16を持ちながらユーザが走りながら入力する。自己評価の入力のタイミングは、例えば、1kmごとのラップと同時に自己評価を入力するか、又は、ユーザ自身走りの感じ方が変わったときに入力する。この場合は、距離は任意となり、どの距離であっても入力することができる。
気象データ154の内訳は、気温、湿度、日差し(1〜5段階表示)等が挙げられる。これらは、インターネットを介して取得する。
【0080】
装備情報データ158の内訳は、シューズSに関する情報、ウェアに関する情報等が挙げられる。シューズSに関しては、重さ、クッションの特性等を1〜5段階で表示し、ウェアに関しては、重さ、長袖、半袖の別、ロングタイツ、ショートパンツ、レッグカバー等の情報をユーザ自身が入力する。
【0081】
入力値(入力データ)は、運動データ測定装置10で測定した運動データ151や、上記入力値に限らない。ユーザが得られる情報を入力値として入力部103から入力してもよい。例えば、ユーザの体重、体脂肪率など、さらに天気情報、シューズS、ウェア情報などはデバイスがなくても得られる情報である。これにより、運動面に限らず、健康面などへの支援が可能になり、毎日の生活へのアドバイスになる。これを使って生活の質を高める工夫ができ、心身ともに健康な人生を送るきっかけを提供できる。
【0082】
入力部103は、運動支援端末装置100のユーザから各種操作を受け付ける入力デバイスである。入力部103は、例えば、タッチパネル等によって実現される場合、結果が表示される表示部106と、入力の操作をする入力部103とは、一体化される。入力部103は、ユーザによって入力された操作を操作情報として制御部111に出力する。なお、入力部103は、表示部106と一体化せずに、例えば、入力デバイスとして、キーボードやマウス等によって実現されるようにしてもよい。
【0083】
また、
図9のように、数値モデル161を判断のモデルとして作成するときには、走った結果のデータである運動データ151を教師データとしてスピードカテゴリ毎、走行コースの傾斜などの特徴毎のデータ集として作成し、スピードごと、傾斜ごとの数値モデル161として内蔵し、走行結果の判断時にカテゴリーごとのモデルを使うこともできる。
【0084】
すなわち、
図9で図示したように、スピード毎、コース毎の教師データを作成し、数値モデル161化し、カテゴリー毎の数値モデル161を作成することもできる。
【0085】
数値モデル161の更新に関しては、運動のレベルアップができたと感じるとき、年齢が進んで運動能力が変化したと考えられるとき、その他、定期的に更新して、年齢や能力とのずれが出てアドバイスが適切でなくなることがないように更新する。これによりレベルアップ代が自分で把握できるとともに、年相応の目標を設定することを個人に気付かせ、無理のない運動につなげることで、長く運動を嗜むことができるようにすることができる。具体的には、ユーザが
図5で図示したモデル更新ボタン106aを押すことによって、運動データ151、自己評価データ152、GPSデータ153等のデータが学習部105において再度機械学習され、更新される。
また、運動支援端末装置100側で自動的に更新(アップデート)するように設定する構成としてもよい。これにより、客観的で適正な数値モデル161を構築することができる。
【0086】
図9には、運動支援スシステム1活用の際の基本アルゴリズムを示す。新たに走った運動データ151を運動支援端末装置100に送ると、その新たな運動データ151に対する予想された走りのレベル判定(
図5)が表示され、走りのレベル判定に寄与の大きかった要因(
図5)と改善の方向を表示206、さらに距離ごとの速度やその変化など、走った結果の各種データを表示する(
図6〜
図8)。
【0087】
図10には、入力値の例が示してあり、これらの運動データ151、気象データ154、装備情報データ158、走りの自己評価データ152を入力値として入力する。そして、出力値には、走りの評価結果を1〜5などのランクで示す例、結果の表示として、(1)各要素の重み、走りの結果に影響の大きい要因表示、(2)改良の方向表示、(3)評価ランクごとの実走行データなどを表示する。
【0088】
この結果表示を見て、自分の改良ポイントを把握して、改良した走りを実施し、その結果を走ったデータとして入力して改善効果を判断、更なる改善ポイントを表示させることで、自らにフィットし、自らのペースでレベルアップが可能となるため、ユーザの運動が支援されることとなる。
【0089】
また、
図9で図示したように、過去の自分のデータ(サーバSB上の登録データ)を保存しておいて、必要な時に現在のデータと比較してレベルアップを確認することもできるため、これによってもユーザの運動が支援されることとなる。
【0090】
図5には、本支援システム1の判断結果の表示部106の表示例を示す。ここでは、ユーザの距離ごとの速度の折れ線グラフ上に1から5のランク付け(予想された自己評価170)を併記した表示を一例として挙げているが、これに限らない。
図5のように、ランク付けが随時表示され、また、最初の走りと自己評価に変化があったときにグラフ内に表示される。そして、併記された1から5のランク付けの数字をクリックすると、解析結果の表示例として、要因寄与度の画面が表示される。
【0091】
図5の折れ線グラフの下側には任意の走行位置の判断結果への要因寄与度が示してあり、今回の走りで影響の大きかった要因を目で見ることができる。また、その改良の方向を増加・減少の方向を示すことで理解しやすくする。
【0092】
要因の項目としては、
図5で図示したように、速度、ストライド、ピッチ、接地荷重、接地時間、左右バランス、接地位置、気温、湿度、日差し、シューズ、ウェア等であり、これらの要因寄与度が棒グラフ表示される。なお、要因の項目は、これらに限定されない。
【0093】
また、
図5の画面表示の中のデータ詳細ボタン106bをクリックすると、
図6等図示したような、各種データ表示、すなわち、任意の位置の走行データの表示例等が表示される。
【0094】
図6では、右側には右足に関する各種データ表示を、左側には左足に関する各種データ表示がなされている。以下の説明では、右左それぞれ上から第一段目、第二弾目、第三段目、第四段目と称呼する。
【0095】
第一段目は、接地荷重の圧力センサによる圧力センサ値(荷重の強さを表す荷重の微分値)である。ここでは、ユーザの接地荷重を確認することができる。
【0096】
第二段目は、着地の強さの圧力センサによる圧力センサ微分値(着地の強さを表す荷重の微分値)である。ここでは、ユーザの着地の強さを確認することができる。
【0097】
第三段目は、接地荷重及び接地時間のユーザの一歩の3点(母指球、踵、小趾球に位置する領域)個別圧力センサによる圧力センサ値(一歩の3か所の接地荷重の変化と着地タイミング)である。ここでは、ユーザの接地荷重及び接地時間を確認することができる。
【0098】
第四段目は、3点荷重分担及び左右荷重分担の接地荷重及び接地時間のユーザの一歩の3点(母指球、踵、小趾球に位置する領域)個別圧力センサによる積分値(3か所の荷重の積分値)である。ここでは、3点荷重分担及び左右荷重分担や一歩の荷重の受け方を確認することができる。
【0099】
以上を左右の足のバランスを含めて表示し、走り方、または歩き方の良し悪しを自ら理解する助けとする。走る速さ、歩く速さによって、正しい着地の仕方も変化し、自分が良いと感じたレベルに応じて良さランクと要因を示すことで、自らの目標に応じたアドバイスを可能としている。
【0100】
図7、
図8には、スピードの異なる走りの右足の例を示す。
図8は
図7より速度が遅く、
図8では、
図7の速度の半分位のスピードでゆっくり歩いている。各種データ表示の項目や、上から第一段目、第二弾目、第三段目、第四段目と称呼する点は、
図6で説明したことと同様とする。
【0101】
図6から
図8等の図から、ゆっくり走る長く場合は、着地時間が短く、強さとしての荷重微分値が小さく、衝撃が小さいことがわかる。3点の荷重では、踵からの着地であること、荷重バランスはややつま先寄りであることがわかりるが、これが自分なりの良い走り(歩き)であることを示していて、理論的に正しい歩き(走り)方との比較は実施していない。あくまでも自分が気持ちよく感じる歩き方、走り方を探求するものであり、自分のペースでレベルアップに取り組めるように設計してある。歩く時に足に違和感があったり、無理をしたと感じた時にランク付け入力を的確に実施することで、良い時との差と要因を知ることができ、自らが修正を試みることができる。その後、必要に応じて良いランナーとの比較や、以前の自分のデータと比較することで、自らの特徴の分析ができる。
【0102】
上記実施例には、予想された自己評価170、予想された要因寄与度171等の結果の伝達方法として、スピーカ、ワイヤレスイヤホン20等からの音声発信、ブザーでの音での発信など、各種の伝達方法が含まれる(
図4参照)。これにより、ユーザが走行中であっても結果の伝達可能であり、走行方法のアドバイスを続けることで、ユーザが走りながら、歩きながら有効な改良を実行することができ、効果的なレベルアップを可能とする。
【0103】
具体的な構成としては、例えば、運動支援端末装置100には、学習部105で学習算出した予想された自己評価170の数字データを音声データに変換する音声変換部112と、入力部16に内蔵されたスピーカ(不図示)、フォン端子(不図示)、又はワイヤレスイヤホン20のいずれかへ音声データを出力する音声出力部113とをさらに備える。また、運動データ測定装置10の入力部16、ワイヤレスイヤホン20には、音声データを受信する受信部16cとをさらに備える。このような構成により、音声データがスピーカ、イヤホン端子、ワイヤレスイヤホン20のいずれかから出力することにより、ユーザはスピーカ、イヤホン、ワイヤレスイヤホン20を通して予想された自己評価170を音声で聞くことができる。
【0104】
電源部107からの電力供給により、電源部107と電気的に接続されている受信部102、入力部103、情報取得部104、制御部111、学習部105、表示部106等が駆動する。
【0105】
インターネットINを介して接続されるサーバSBをさらに備える場合、すなわち、運動データ測定装置10、運動支援端末装置100、サーバSBがインターネットINを介して接続される場合の他の例について説明する。
上記運動データ151等の解析結果を、専門誌や専門家の運動スキルアップを図るための解説に出てくる視点や言葉と対応付けて支援内容を表示する機能を持たせた運動支援システム1とすることができる。
【0106】
探求心が強いユーザにとっては、ユーザの運動のスキルアップを図るための専門誌や専門家の解説、解説に出てくる視点、用語と対応付けて自らの運動を理解し、改良することは重要である。これは、さらなる改良に結び付くとともに、仲間や専門家とのコミュニケーションをとるための有効な手段となる。また、支援システムでの支援の視点を共有することにより、市民ランナーなど一般の運動愛好者のコミュニティーの中で、運動を長く楽しむための仲間つくりが可能となる。
【0107】
さらに将来の解析の結果から追加の視点が出た場合も、支援システムに追加でき、アドバイスの内容を進化させることができる。一例として、以下のような支援を可能としている。
(1)つま先から着地する「フォアフット」、全体中央から着地する「ミッドフット」、かかとから着地する「リヤフット」の視点から、センサ部10a、10b、10c(3点)の荷重バランスと荷重開始のタイミングから判断し表示する。
(2)つま先の両サイドの圧力差から、外側に偏る「がに股走り」になっていないか、フラット〜内側親指母指球中心の効率的な走りになっているかを表示する。これにより着地の改善ができる。
(3)左右の着地の荷重と接地時間から左右の足にかかる荷重バランスを表示する。これにより、傾いた走りになっていないかがわかって修正できる。
(4)荷重の立ち上がりの強さ(荷重の微分値)を表示する。接地時間の長さと着地の強さから、自分の思う滑らかな走り、または力強い走りになっているかがわかる。
【0108】
この場合の具体的な構成としては、サーバSBに、記憶部SB3と照合部SB4をさらに備え、照合部SB4での照合結果に応じて、表示部106に表示された予想された自己評価、及び、予想された要因寄与度171に対応した専門用語を表示する構成が考えられる。
【0109】
記憶部SB3は、専門誌、及び/又は、専門家の専門用語を予め記憶している。ここでの専門用語としては、例えば、つま先から着地する「フォアフット」、全体中央から着地する「ミッドフット」、かかとから着地する「リヤフット」、つま先の両サイドの圧力差から、外側に偏る「がに股走り」等が挙げられるが、これらに限定されないことは勿論である。また、インターネットINを介することによって、新たな専門誌、及び/又は、専門家の専門用語をその都度記憶することもできる。
【0110】
照合部SB4で前記専門用語と前記運動データ151を照合する。そして、照合部SB4での照合結果に応じて、運動支援端末装置100の表示部106に表示された予想された自己評価170、及び、予想された要因寄与度171に対応した専門用語を表示する。
【0111】
運動データ151等をサーバSB上などに登録しておいて、さらにプロ選手や仲間、ライバルなど、許可を得て模範となるランナーのデータと自分の走りを比較することで、新しい目標を設定してレベルアップに取り組むこともできる。
【0112】
すなわち、自己の運動データ151をサーバSB又はデータベースDB上に格納しておき、また、自己の運動データ151と対比したい他人の運動データ、例えば、プロのランナー、運動仲間、ライバル等の運動データをサーバSB又はデータベースDB上に格納しておき、そして、自己の運動データ151と比較できる。これにより、目標や比較対象が明確となるため、ユーザのレベルアップに繋がる。
【0113】
具体的な構成としては、例えば、サーバSBには、運動データ測定装置10から送信された運動データ151を受信する受信部SB2、受信部SB2が受信した運動データ151を集計し、第三者に公開する運動データ公開部SB1とを備える構成が考えられる。
【0114】
運動データ151を外部から閲覧可能な状態にする運動データ公開部SB1を有する場合には、選択した運動データ151を外部に公開することができる。このことにより、運動データ151を誰でも自由に見ることが可能になり、ユーザをより満足させることができる。
【0115】
また、運動データ公開部SB1は、他の端末装置から送信される要求に応じ、記憶部SB3等に格納されている運動データ151を、他の端末装置に送信する。すなわち、運動データ公開部SB1は、インターネットINに接続された他の端末装置に対して運動データ151を公開する。
【0116】
したがって、不特定多数のユーザ(情報提供者)から運動データ151を自動的に収集し、運動データ151を第三者が閲覧できることによって、収集した運動データ151に基づき、例えば、シューズメーカー側は様々なニーズに合った製品を開発することができる。すなわち、運動データ151は、シューズSを開発する際の有効なデータの一つとなり、例えば、走りのデータ等から、荷重の大きさに応じたクッション性と耐久性を補強したシューズS作りが可能となる。
【0117】
また、ユーザによる投稿によっても運動に関する情報を収集し、サーバSB上で閲覧やコメントの付与などを行う場を提供することによってユーザ、シューズメーカー、閲覧者(プロランナー、他のランナー)間のコミュニケーションツールとなることもできる。
【0118】
運動データ151等の情報を例えば、サーバSB上に格納することで、含まれるシューズSや道具の情報から製品の評判を具体的なデータ付きでフィードバックさせることができ、製品の改良に直接結び付けることが可能になる。かかと着地の人にはかかとのクッションを良いものにする。満足度からさらなるクッション向上が必要かなど、個人ごとに適切に修正改良するカスタマイズも可能である。個人は自分の運動の良いところ、改良ポイントを知ると同時に、カスタマイズされ自分に最適なシューズSや道具を手に入れることができ、さらなるレベルアップの機会を得ることができ、運動を長く楽しめるきっかけを提供する。
【0119】
具体的な構成としては、例えば、サーバSBには、ランニングギア選定基準データが記憶されている記憶部SB3、ランニングギア選定基準データと運動データ151とを照合する照合部SB4、照合部SB4の照合結果に応じて、サーバSBから運動支援端末装置100に対し、ユーザに適合するランニングギア情報を送信する送信部SB5と、を備える構成が考えられる。
【0120】
記憶部SB3には、所定のランニングギア選定基準データが記憶されている。ランニングギア選定基準データとしては、例えば、ユーザの性別、年齢、身長、体重、走り方、ランングフォーム、着地、衝撃、圧力等の各種データが挙げられる。
【0121】
そして、照合部SB4でランニングギア選定基準データと運動データとを照合し、照合部SB4の照合結果に応じて、送信部SB5からサーバSBから運動支援端末装置100に対し、ユーザに適合するランニングギア情報を送信する。したがって、ユーザは、ユーザの運動レベルに応じ、ユーザに適した機能を有するランニングギア情報を取得することができる。
【0122】
以上説明した本発明では、下記のような効果を奏することができる。
【0123】
データを良い走りと悪い走りに分けるか、5段階ランク付けラベルを付けて蓄積し、機械学習等によって走りの良さ悪さとの因果関係を自分のモデル(数値モデル161)として持ち、毎回の走りを自分の良いモデルと比較して良かった点と悪かった点を表示することで、走りの振り返りとレベルアップポイントが自分で理解できる。さらに修正練習にてフォームを磨き、レベルアップ、けがの防止に繋げる。長いランニングライフの必須アイテムになる。
【0124】
自分なりの走りの結果から走りの質の自己判断が可能であり、専門家のアドバイスを直接には必要とせず、手軽に運動スキル改良に取り組むことができる。
【0125】
アドバイスに基づいて、練習の中で修正トライ、その結果を見てさらなる改善につなぐ、セルフアドバイザーとなる。
【0126】
好きな時に最新データを指定してデータの再学習をかけることで、レベルアップした自分の走りのモデルに更新することができ、更なるレベルアップ、または走りの経時劣化が確認でき、修正復活に導くことができる。
【0127】
理論的な取り組みにより、けがのない、常に努力が結果に表れる、楽しいスポーツライフを、手軽な方法で実現できる。
【0128】
マラソン大会などの運動記録の保存と参照ができ、モチベーションアップ、走りの技術向上、無理な走りでの怪我の防止が自分でできる。
【0129】
<符号の説明>
10:運動データ測定装置
10a、10b、10c:センサ部
11:制御部
12:データロガー部
13:送信部
14:GPS受信部
15:電源部
16:入力部
16a:自己評価入力ボタン
16b:スタートボタン
16c:受信部
20:ワイヤレスイヤホン
30:シート
100:運動支援端末装置
102:受信部
103:入力部
104:情報取得部
105:学習部
106:表示部
106a:モデル更新ボタン
106b:データ詳細ボタン
107:電源部
111:制御部
112:音声変換部
113:音声出力部
151:運動データ
152:自己評価データ
153:GPSデータ
154:気象データ
155:コースデータ
156:道路地図データ
157:地形データ
158:装備情報データ
161:数値モデル
170:予想された自己評価
171:予想された要因寄与度
I:インソール
O:アウトソール
S:シューズ
DB:データベース
SB:サーバ
SB1:運動データ公開部
SB2:受信部
SB3:記憶部
SB4:照合部
SB5:送信部
【課題】従来のランニングデータを計測するシステムでは、ユーザの走行スピード、ユーザの時間当たりの移動距離である走行ペース、ユーザの一歩の幅を示すピッチなどの一般的に結果の表示があるのみであった。結果の表示に加えて、結果をどのように走り方のスキルアップにつなげるかの視点が表示される運動支援システムを提供する。
【解決手段】入力データである運動データ、自己評価データ、GPSデータを学習部において機械学習をして数値モデルとし、この数値モデルに新たな運動データを入力することで、新たな運動データに対する自己評価を予想して算出し、また、要因寄与度を予想して算出し、予想された自己評価、及び、予想された要因寄与度が表示部に表示されることを特徴とする。