(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0015】
〔第1の実施の形態〕
最初に、ステッピングモータにおける1−2相励磁駆動について説明する。
図1及び
図2は、1−2相励磁駆動の場合における真理表と流れる電流のタイミングチャートを示す。ステッピングモータを駆動する際には、コイルA
1、A
2、B
1、B
2に流れる電流を
図1及び
図2に示される時間T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8の順に変化させることにより、ステッピングモータを回転させることができる。このようなステッピングモータにおいては、コイルA
1、A
2、B
1、B
2に、電流を流し始める立ち上がりの際に、電圧降下が生じ、立ち上がり特性が悪くなり、高速回転させることができない。尚、
図2におけるα、β、γ、δは、立ち上がりのステップであり、このステップにおいて電圧降下が生じる。また、本実施の形態においては、例えば、
図2におけるA相(A
1、A
2)について、ステッピングモータのパルスモータ励磁相に電圧が印加されている期間、即ち、時間T1、T2、T3、T5、T6、T7を通電期間と記載する場合があり、このうち立ち上がりの期間となる時間T1、T5を通電開始期間と記載する場合がある。
【0016】
(パルスモータ駆動回路)
次に、第1の実施の形態におけるパルスモータ駆動回路について説明する。
図3は、本実施の形態におけるパルスモータ駆動回路の構成を示すものである。尚、
図3は、A相(A
1、A
2)のみを示しており、B相(B
1、B
2)については省略されている。よって、実際のパルスモータ駆動回路においては、B相(B
1、B
2)についても、A相(A
1、A
2)と同様の構成のパルスモータ駆動回路が設けられている。
【0017】
本実施の形態におけるパルスモータ駆動回路は、電源電圧を供給する電源10、コンデンサ21、抵抗22、ダイオード23、第1のスイッチ(S1)31、第2のスイッチ(S2)32、第3のスイッチ(S3)33等を有している。本実施の形態においては、第1のスイッチ(S1)31、第2のスイッチ(S2)32及び第3のスイッチ(S3)33において、オン(ON)とはスイッチが閉じていることを意味し、オフ(OFF)とはスイッチが開いていることを意味する。
【0018】
パルスモータのパルスモータ励磁相40におけるA
1には、低圧側との間においてダイオード51及びトランジスタ61が接続されており、このダイオード51とトランジスタ61は並列に接続されている。また、高圧側との間においてダイオード52及びトランジスタ62が接続されており、このダイオード52とトランジスタ62は並列に接続されている。
【0019】
具体的には、ダイオード51及びトランジスタ61における双方の一方の端子は電源10の負極と接続されており、双方の他方の端子はパルスモータ励磁相40におけるA
1と接続されている。また、ダイオード52及びトランジスタ62における双方の一方の端子はパルスモータ励磁相40におけるA
1と接続されており、双方の他方の端子は高圧側の配線と接続されている。従って、ダイオード51及びトランジスタ61における双方の他方の端子は、ダイオード52及びトランジスタ62における双方の一方の端子と接続されている。
【0020】
また、パルスモータのパルスモータ励磁相40におけるA
2には、低圧側との間においてダイオード53及びトランジスタ63が接続されており、このダイオード53とトランジスタ63は並列に接続されている。また、高圧側との間においてダイオード54及びトランジスタ64が接続されており、このダイオード54とトランジスタ64は並列に接続されている。
【0021】
具体的には、ダイオード53及びトランジスタ63における双方の一方の端子は電源10の負極と接続されており、双方の他方の端子はパルスモータ励磁相40におけるA
2と接続されている。また、ダイオード54及びトランジスタ64における双方の一方の端子はパルスモータ励磁相40におけるA
2と接続されており、双方の他方の端子は高圧側の配線と接続されている。従って、ダイオード53及びトランジスタ63における双方の他方の端子は、ダイオード54及びトランジスタ64における双方の一方の端子と接続されている。
【0022】
電源10の正極には、第1のスイッチ(S1)31の一方の端子、及び、第2のスイッチ(S2)32の一方の端子が接続されており、電源10の負極には、第3のスイッチ(S3)33の一方の端子が接続されている。
【0023】
抵抗22とダイオード23は並列に接続されており、第1のスイッチ(S1)31の他方の端子は、抵抗22及びダイオード23における双方の一方の端子と接続されており、更には、ダイオード52の他方の端子、トランジスタ62の他方の端子、ダイオード54の他方の端子及びトランジスタ64の他方の端子と接続されている。
【0024】
抵抗22及びダイオード23における双方の他方の端子は、コンデンサ21の一方の端子に接続されており、コンデンサ21の他方の端子は、第2のスイッチ(S2)32の他方の端子及び第3のスイッチ(S3)33の他方の端子と接続されている。
【0025】
本実施の形態においては、第1のスイッチ(S1)31と第3のスイッチ(S3)33は連動して動作し、第2のスイッチ(S2)32は、第1のスイッチ(S1)31及び第3のスイッチ(S3)33における動作と逆の動作となるように制御されている。
【0026】
(パルスモータ駆動方法)
次に、第1の実施の形態におけるパルスモータ駆動方法について説明する。
図4は、本実施の形態におけるパルスモータ駆動方法におけるタイミングチャートである。本実施の形態において、ステッピングモータを駆動する際には、コイルA
1、A
2等に流れる電流を
図4に示される時間T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8の順に変化させることにより、ステッピングモータを回転させることができる。
【0027】
具体的には、時間T1においては、パルスモータ励磁相40におけるA
1はLとし、A
2はHとし、第1のスイッチ(S1)31はオフとし、第2のスイッチ(S2)32はオンとし、第3のスイッチ(S3)33はオフとする。尚、トランジスタ61及び64はオンとなり、トランジスタ62及び63はオフとなる。これにより、
図4(b)に示されるように、コンデンサ21に蓄積されていた電荷が電源10の電圧Vcに重畳されるため、A
2をHとする初期においては、電源10の電圧Vcの約2倍となる約2Vcの電圧がパルスモータ励磁相40に印加される。この後、印加される電圧は、コンデンサ21における放電に伴い徐々に低下する。この際、パルスモータ励磁相40に流れる電流は、コンデンサ21より、ダイオード23、トランジスタ64、パルスモータ励磁相40、トランジスタ61の順に流れる。
【0028】
次に、時間T2及びT3においては、パルスモータ励磁相40におけるA
1はL、A
2はHの状態のまま、第1のスイッチ(S1)31はオンとし、第2のスイッチ(S2)32はオフとし、第3のスイッチ(S3)33はオンとする。これにより、電源10における電圧Vcがパルスモータ励磁相40に印加されるとともに、コンデンサ21への充電が行われる。この際、パルスモータ励磁相40に流れる電流は、電源10より、第1のスイッチ(S1)31、トランジスタ64、パルスモータ励磁相40、トランジスタ61の順に流れ、電源10に戻る。また、コンデンサ21は、一方の端子が抵抗22及び第1のスイッチ(S1)31を介し、電源10の正極と接続され、他方の端子が第3のスイッチ(S3)33を介し、電源10の負極と接続される。よって、抵抗22による電流制限を受けつつ、電源10によりコンデンサ21への充電が行われる。尚、抵抗22が設けられていない場合には、
図4(b)において、破線で示されるように、コンデンサ21に大電流が流れてしまうため、電圧降下が生じ、パルスモータの駆動に悪影響を与える。
【0029】
次に、時間T4においては、第1のスイッチ(S1)31はオン、第2のスイッチ(S2)32はオフ、第3のスイッチ(S3)33はオン、パルスモータ励磁相40におけるA
1はLの状態のまま、A
2はLとする。尚、トランジスタ61から64はオフとなっている。この状態においては、パルスモータ励磁相40には電圧が印加されていないため、パルスモータ励磁相40に電流が流れることはない。しかしながら、パルスモータ励磁相40への電力の供給が停止されるため、
図4(b)に示すように、逆起電力が発生する。この状態においては、コンデンサ21は、一方の端子が抵抗22及び第1のスイッチ(S1)31を介し、電源10の正極と接続され、他方の端子が第3のスイッチ(S3)33を介し、電源10の負極と接続されている。よって、電源10によるコンデンサ21への充電が継続される。
【0030】
次に、時間T5においては、パルスモータ励磁相40におけるA
1はHとし、A
2はLのままで、第1のスイッチ(S1)31はオフとし、第2のスイッチ(S2)32はオンとし、第3のスイッチ(S3)33はオフとする。尚、トランジスタ62及び63はオンとなり、トランジスタ61及び64はオフとなっている。これにより、
図4(b)に示されるように、コンデンサ21に蓄積されていた電荷が電源10の電圧Vcに重畳されるため、初期においては、電源10の電圧Vcの約2倍となる約2Vcの電圧がパルスモータ励磁相40に印加される。この後、印加される電圧は、コンデンサ21における放電に伴い徐々に低下する。この際、パルスモータ励磁相40に流れる電流は、コンデンサ21より、ダイオード23、トランジスタ62、パルスモータ励磁相40、トランジスタ63の順に流れる。
【0031】
次に、時間T6及びT7においては、パルスモータ励磁相40におけるA
1はH、A
2はLの状態のまま、第1のスイッチ(S1)31はオンとし、第2のスイッチ(S2)32はオフとし、第3のスイッチ(S3)33はオンとする。これにより、電源10における電圧Vcがパルスモータ励磁相40に印加されるとともに、コンデンサ21への充電が行われる。この際、パルスモータ励磁相40に流れる電流は、電源10より、第1のスイッチ(S1)31、トランジスタ62、パルスモータ励磁相40、トランジスタ63の順に流れ、電源10に戻る。また、コンデンサ21は、一方の端子が抵抗22及び第1のスイッチ(S1)31を介し、電源10の正極と接続され、他方の端子が第3のスイッチ(S3)33を介し、電源10の負極と接続される。よって、抵抗22による電流制限を受けつつ、電源10によりコンデンサ21への充電が行われる。尚、抵抗22が設けられていない場合には、
図4(b)において、破線で示されるように、コンデンサ21に大電流が流れてしまうため、電圧降下が生じ、パルスモータの駆動に悪影響を与える。
【0032】
次に、時間T8においては、第1のスイッチ(S1)31はオン、第2のスイッチ(S2)32はオフ、第3のスイッチ(S3)33はオンの状態のまま、パルスモータ励磁相40におけるA
1はLとし、A
2はLのままである。尚、トランジスタ61から64はオフとなっている。この状態においては、パルスモータ励磁相40には電圧が印加されないため、パルスモータ励磁相40に電流が流れることはない。しかしながら、パルスモータ励磁相40への電力の供給が停止されるため、
図4(b)に示すように、逆起電力が発生する。この状態においては、コンデンサ21は、一方の端子が抵抗22及び第1のスイッチ(S1)31を介し、電源10の正極と接続され、他方の端子が第3のスイッチ(S3)33を介し、電源10の負極と接続される。よって、電源10によるコンデンサ21への充電が継続される。
【0033】
本実施の形態におけるパルスモータ駆動方法では、時間T1及び時間T5において、初期に、電源10の電圧Vcの約2倍となる約2Vcの電圧がパルスモータ励磁相40に印加される。このため、電圧降下が生じることはなく、流れる電流の立ち上がり特性も良好にすることができ、パルスモータを高速回転させることが可能となる。
【0034】
また、本実施の形態におけるパルスモータ駆動回路は、
図5に示されるように、第1のスイッチ(S1)31の位置に、第1のダイオード131を用いて、電源10に対し順方向となるように接続してもよい。また、第2のスイッチ(S2)32の位置に、第1のトランジスタ(TR1)142を用いてもよい。この際、第1のトランジスタ(TR1)142と並列に、電源10に対し逆方向に接続される第2のダイオード132を設けてもよい。また、第3のスイッチ(S3)33の位置に、第2のトランジスタ(TR2)143を用いてもよい。この際、第2のトランジスタ(TR2)143と並列に、電源10に対し逆方向に接続される第3のダイオード133を設けてもよい。尚、本実施の形態においては、トランジスタの一方の端子とは、ソースまたはドレインのうちのいずれか一方であって、トランジスタの他方の端子とは、ソースまたはドレインのうちの他方であるものとする。また、抵抗22を制限素子と記載する場合がある。
【0035】
〔第2の実施の形態〕
(パルスモータ駆動回路)
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるパルスモータ駆動回路は、
図6に示すように、充放電用トランジスタが設けられている構成のものである。
【0036】
また、本実施の形態におけるパルスモータ駆動回路は、
図5に示す場合と同様に、
第1のダイオード131、第1のトランジスタ(TR1)142、第2のトランジスタ(TR2)143を用いている。この際、第1のトランジスタ(TR1)142に並列に第2のダイオード132を設けてもよく、第2のトランジスタ(TR2)143に並列に第3のダイオード133を設けてもよい。
【0037】
図6に示されるように、本実施の形態におけるパルスモータ駆動回路は、充放電用トランジスタ(TRC)150が設けられている。充放電用トランジスタ150の一方の端子は、第1のダイオード131の他方の端子、更には、ダイオード52の他方の端子、トランジスタ62の他方の端子、ダイオード54の他方の端子及びトランジスタ64の他方の端子と接続されている。また、充放電用トランジスタ150の他方の端子は、コンデンサ21の一方の端子と接続されている。本実施の形態においては、充放電用トランジスタ150を制限素子と記載する場合がある。
【0038】
(パルスモータ駆動方法)
次に、第2の実施の形態におけるパルスモータ駆動方法について説明する。
図7は、本実施の形態におけるパルスモータ駆動方法におけるタイミングチャートである。本実施の形態において、ステッピングモータを駆動する際には、コイルA
1、A
2等に流れる電流を
図7に示される時間T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8の順に変化させることにより、ステッピングモータを回転させることができる。
【0039】
具体的には、時間T1においては、パルスモータ励磁相40におけるA
1はLとし、A
2はHとし、第1のトランジスタ(TR1)142はオンとし、第2のトランジスタ(TR2)143はオフとし、充放電用トランジスタ(TRC)150はオンとする。これにより、
図7(b)に示されるように、コンデンサ21に蓄積されていた電荷が電源10の電圧Vcに重畳されるため、初期においては、電源10の電圧Vcの約2倍となる約2Vcの電圧がパルスモータ励磁相40に印加される。この後、印加される電圧は、コンデンサ21における放電に伴い徐々に低下する。この際、パルスモータ励磁相40に流れる電流は、コンデンサ21より、充放電用トランジスタ(TRC)150、トランジスタ64、パルスモータ励磁相40、トランジスタ61の順に流れる。
【0040】
次に、時間T2及びT3においては、パルスモータ励磁相40におけるA
1はL、A
2はHの状態のまま、第1のトランジスタ(TR1)142はオフとし、第2のトランジスタ(TR2)143はオンとする。また、充放電用トランジスタ(TRC)150においてはチョッパ制御を行う。これにより、電源10における電圧Vcがパルスモータ励磁相40に印加されるとともに、コンデンサ21への充電が行われる。この際、パルスモータ励磁相40に流れる電流は、電源10より、第1のダイオード131、トランジスタ64、パルスモータ励磁相40、トランジスタ61の順に流れ、電源10に戻る。また、コンデンサ21は、一方の端子が充放電用トランジスタ(TRC)150及び第1のダイオード131を介し、電源10の正極と接続され、他方の端子が第2のトランジスタ(TR2)143を介し、電源10の負極と接続される。よって、充放電用トランジスタ(TRC)150においてチョッパ制御による電流制限を受けつつ、電源10によりコンデンサ21への充電が行われる。
【0041】
次に、時間T4においては、第1のトランジスタ(TR1)142はオフ、第2のトランジスタ(TR2)143はオンの状態のまま、パルスモータ励磁相40におけるA
1はLのまま、A
2はLとし、充放電用トランジスタ(TRC)150はオンとする。この状態においては、パルスモータ励磁相40には電圧が印加されていないため、パルスモータ励磁相40に電流が流れることはない。しかしながら、パルスモータ励磁相40への電力の供給が停止されるため、
図7(b)に示すように、逆起電力が発生する。この状態においては、コンデンサ21は、一方の端子が充放電用トランジスタ(TRC)150及び第1のダイオード131を介し、電源10の正極と接続され、他方の端子が第2のトランジスタ(TR2)143を介し、電源10の負極と接続される。よって、電源10によるコンデンサ21への充電が継続される。
【0042】
次に、時間T5においては、パルスモータ励磁相40におけるA
1はHとし、A
2はLのまま、第1のトランジスタ(TR1)142はオンとし、第2のトランジスタ(TR2)143はオフとし、充放電用トランジスタ(TRC)150はオンとする。これにより、
図7(b)に示されるように、コンデンサ21に蓄積されていた電荷が電源10の電圧Vcに重畳されるため、初期においては、電源10の電圧Vcの約2倍となる約2Vcの電圧がパルスモータ励磁相40に印加される。この後、印加される電圧は、コンデンサ21における放電に伴い徐々に低下する。この際、パルスモータ励磁相40に流れる電流は、コンデンサ21より、充放電用トランジスタ(TRC)150、トランジスタ62、パルスモータ励磁相40、トランジスタ63の順に流れる。
【0043】
次に、時間T6及びT7においては、パルスモータ励磁相40におけるA
1はH、A
2はLの状態のまま、第1のトランジスタ(TR1)142はオフとし、第2のトランジスタ(TR2)143はオンとする。また、充放電用トランジスタ(TRC)150においてはチョッパ制御を行う。これにより、電源10における電圧Vcがパルスモータ励磁相40に印加されるとともに、コンデンサ21への充電が行われる。この際、パルスモータ励磁相40に流れる電流は、電源10より、第1のダイオード131、トランジスタ62、パルスモータ励磁相40、トランジスタ63の順に流れ、電源10に戻る。また、コンデンサ21は、一方の端子が充放電用トランジスタ(TRC)150及び第1のダイオード131を介し、電源10の正極と接続され、他方の端子が第2のトランジスタ(TR2)143を介し、電源10の負極と接続される。よって、充放電用トランジスタ(TRC)150においてチョッパ制御による電流制限を受けつつ、電源10によりコンデンサ21への充電が行われる。
【0044】
次に、時間T8においては、第1のトランジスタ(TR1)142はオフ、第2のトランジスタ(TR2)143はオンの状態のまま、パルスモータ励磁相40におけるA
1はLとし、A
2はLのまま、充放電用トランジスタ(TRC)150はオンとする。この状態においては、パルスモータ励磁相40には電圧が印加されていないため、パルスモータ励磁相40に電流が流れることはない。しかしながら、パルスモータ励磁相40への電力の供給が停止されるため、
図7(b)に示すように、逆起電力が発生する。この状態においては、コンデンサ21は、一方の端子が充放電用トランジスタ(TRC)150及び第1のダイオード131を介し、電源10の正極と接続され、他方の端子が第2のトランジスタ(TR2)143を介し、電源10の負極と接続される。よって、電源10によるコンデンサ21への充電が継続される。
【0045】
尚、本実施の形態におけるパルスモータ駆動回路は、
図8に示されるように、第1の実施の形態における
図3に示される場合と同様に、第1のダイオード131の位置に、第1のスイッチ(S1)31を設け、第1のトランジスタ(TR1)142の位置に、第2のスイッチ(S2)32を設け、第2のトランジスタ(TR2)143の位置に、第3のスイッチ(S3)33を設けた構造のものであってもよい。また、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0046】
〔第3の実施の形態〕
(パルスモータ駆動回路)
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるパルスモータ駆動回路は、
図9に示されるように、第2の実施の形態におけるパルスモータ駆動回路において、充放電用トランジスタが設けられていない構成のものである。具体的には、コンデンサ21における一方の端子は、ダイオード131の他方の端子、更には、ダイオード52の他方の端子、トランジスタ62の他方の端子、ダイオード54の他方の端子及びトランジスタ64の他方の端子と接続されている。
【0047】
本実施の形態においては、第2のトランジスタ(TR2)143におけるゲート電圧を制御することにより、コンデンサ21を充電する際に電源10より流れる電流量を制御することができる。
【0048】
(パルスモータ駆動方法)
次に、第3の実施の形態におけるパルスモータ駆動方法について説明する。
図10は、本実施の形態におけるパルスモータ駆動方法におけるタイミングチャートである。本実施の形態において、ステッピングモータを駆動する際には、コイルA
1、A
2等に流れる電流を
図10に示される時間T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8の順に変化させることにより、ステッピングモータを回転させることができる。尚、
図10において、ゲート電圧TR1gは第1のトランジスタ(TR1)142におけるゲート電圧であり、ゲート電圧TR2gは第2のトランジスタ(TR2)143におけるゲート電圧である。
【0049】
具体的には、時間T1においては、パルスモータ励磁相40におけるA
1はLとし、A
2はHとし、第1のトランジスタ(TR1)142はオンとし、第2のトランジスタ(TR2)143はオフとする。この際、第1のトランジスタ(TR1)142におけるゲート電圧TR1gは、第1のトランジスタ(TR1)142がオンとなるゲート電圧であり、第2のトランジスタ(TR2)143におけるゲート電圧TR2gは、第2のトランジスタ(TR2)143がオフとなるゲート電圧、即ち、0Vである。これにより、
図10(b)に示されるように、コンデンサ21に蓄積されていた電荷が電源10の電圧Vcに重畳されるため、初期においては、電源10の電圧Vcの約2倍となる約2Vcの電圧がパルスモータ励磁相40に印加される。この後、印加される電圧は、コンデンサ21における放電に伴い徐々に低下する。この際、パルスモータ励磁相40に流れる電流は、コンデンサ21より、トランジスタ64、パルスモータ励磁相40、トランジスタ61の順に流れる。
【0050】
次に、時間T2及びT3においては、パルスモータ励磁相40におけるA
1はL、A
2はHの状態のまま、第1のトランジスタ(TR1)142はオフとし、第2のトランジスタ(TR2)143にはオンする場合よりも低いゲート電圧を印加する。具体的には、第1のトランジスタ(TR1)142におけるゲート電圧TR1gは、第1のトランジスタ(TR1)142がオフとなるゲート電圧、即ち、0Vである。また、第2のトランジスタ(TR2)143におけるゲート電圧TR2gは、コンデンサ21を充電する際に所定の電流量を流すことのできるゲート電圧、即ち、第2のトランジスタ(TR2)143がオンとなるゲート電圧よりも低いゲート電圧である。これにより、電源10における電圧Vcがパルスモータ励磁相40に印加されるとともに、コンデンサ21への充電が行われる。この際、パルスモータ励磁相40に流れる電流は、電源10より、第1のダイオード131、トランジスタ64、パルスモータ励磁相40、トランジスタ61の順に流れ、電源10に戻る。また、コンデンサ21は、一方の端子が第1のダイオード131を介し、電源10の正極と接続され、他方の端子が第2のトランジスタ(TR2)143を介し、電源10の負極と接続される。よって、第2のトランジスタ(TR2)143による電流制限を受けつつ、電源10によりコンデンサ21への充電が行われる。
【0051】
次に、時間T4においては、第1のトランジスタ(TR1)142はオフの状態のまま、第2のトランジスタ(TR2)143はオンとし、パルスモータ励磁相40におけるA
1はLのまま、A
2はLとする。具体的には、第1のトランジスタ(TR1)142におけるゲート電圧TR1gは、第1のトランジスタ(TR1)142がオフとなるゲート電圧、即ち、0Vのままである。第2のトランジスタ(TR2)143におけるゲート電圧TR2gは、第2のトランジスタ(TR2)143がオンとなるゲート電圧である。この状態においては、パルスモータ励磁相40には電圧が印加されていないため、パルスモータ励磁相40に電流が流れることはない。しかしながら、パルスモータ励磁相40への電力の供給が停止されるため、
図10(b)に示すように、逆起電力が発生する。この状態においては、コンデンサ21は、一方の端子が第1のダイオード131を介し、電源10の正極と接続され、他方の端子が第2のトランジスタ(TR2)143を介し、電源10の負極と接続される。よって、電源10によるコンデンサ21への充電が継続される。
【0052】
次に、時間T5においては、パルスモータ励磁相40におけるA
1はHとし、A
2はLのまま、第1のトランジスタ(TR1)142はオンとし、第2のトランジスタ(TR2)143はオフとする。この際、第1のトランジスタ(TR1)142におけるゲート電圧TR1gは、第1のトランジスタ(TR1)142がオンとなるゲート電圧である。第2のトランジスタ(TR2)143におけるゲート電圧TR2gは、第2のトランジスタ(TR2)143がオフとなるゲート電圧、即ち、0Vである。これにより、
図10(b)に示されるように、コンデンサ21に蓄積されていた電荷が電源10の電圧Vcに重畳されるため、初期においては、電源10の電圧Vcの約2倍となる約2Vcの電圧がパルスモータ励磁相40に印加される。この後、印加される電圧は、コンデンサ21における放電に伴い徐々に低下する。この際、パルスモータ励磁相40に流れる電流は、コンデンサ21より、トランジスタ62、パルスモータ励磁相40、トランジスタ63の順に流れる。
【0053】
次に、時間T6及びT7においては、パルスモータ励磁相40におけるA
1はH、A
2はLの状態のまま、第1のトランジスタ(TR1)142はオフとし、第2のトランジスタ(TR2)143には低いゲート電圧が印加されている。具体的には、第1のトランジスタ(TR1)142におけるゲート電圧TR1gは、第1のトランジスタ(TR1)142がオフとなるゲート電圧、即ち、0Vである。また、第2のトランジスタ(TR2)143におけるゲート電圧TR2gは、コンデンサ21を充電する際に所定の電流量を流すことのできるゲート電圧、即ち、第2のトランジスタ(TR2)143をオンにするゲート電圧よりも低いゲート電圧である。これにより、電源10における電圧Vcがパルスモータ励磁相40に印加されるとともに、コンデンサ21への充電が行われる。この際、パルスモータ励磁相40に流れる電流は、電源10より、第1のダイオード131、トランジスタ62、パルスモータ励磁相40、トランジスタ63の順に流れ、電源10に戻る。また、コンデンサ21は、一方の端子が第1のダイオード131を介し、電源10の正極と接続され、他方の端子が第2のトランジスタ(TR2)143を介し、電源10の負極と接続される。よって、第2のトランジスタ(TR2)143による電流制限を受けつつ、電源10によりコンデンサ21への充電が行われる。
【0054】
次に、時間T8においては、第1のトランジスタ(TR1)142はオフの状態のまま、第2のトランジスタ(TR2)143はオンとし、パルスモータ励磁相40におけるA
1はLとし、A
2はLのままである。具体的には、第1のトランジスタ(TR1)142におけるゲート電圧TR1gは、第1のトランジスタ(TR1)142がオフとなるゲート電圧、即ち、0Vのままである。第2のトランジスタ(TR2)143におけるゲート電圧TR2gは、第2のトランジスタ(TR2)143がオンとなるゲート電圧である。この状態においては、パルスモータ励磁相40には電圧が印加されていないため、パルスモータ励磁相40に電流が流れることはない。しかしながら、パルスモータ励磁相40への電力の供給が停止されるため、
図10(b)に示すように、逆起電力が発生する。この状態においては、コンデンサ21は、一方の端子が第1のダイオード131を介し、電源10の正極と接続され、他方の端子が第2のトランジスタ(TR2)143を介し、電源10の負極と接続される。よって、電源10によるコンデンサ21への充電が継続される。
【0055】
尚、上記以外の内容については、第1または第2の実施の形態と同様である。
【0056】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。