(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、設置経験が十分にない者でも防犯カメラを適切な位置に設置させるための支援を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る防犯カメラ設置支援装置は、監視対象の空間に設置する監視カメラに求める画角と監視カメラの仕様を含む設置条件を受け付ける受付手段と、受け付けた設置条件に基づき監視目的に応じた画質で撮影が可能な範囲を示す監視条件適合領域を設定する監視条件適合領域設定手段と、前記監視条件適合領域の範囲に基づき前記監視カメラの撮影領域を示す撮影領域アイコンを生成するアイコン生成手段と、前記空間の画像内に前記撮影領域アイコンを移動可能に表示し、表示された前記撮影領域アイコンの移動操作をさせることによって当該空間における監視カメラの設置位置
及び向きを決定させる表示制御処理手段と、を有
し、前記監視条件適合領域設定手段は、監視カメラの仕様として、当該監視カメラの水平画角、垂直画角及び焦点距離の各範囲を参照して前記監視条件適合領域を設定することを特徴とする。
【0006】
また、受け付けた設置条件に基づき監視目的に応じた画質は保証しないもの
の、その画質に準じる画質で撮影が可能な範囲を示す準監視条件適合領域を設定する準監視条件適合領域設定手段を有し、前
記アイコン生成手段は、前記監視条件適合領域と前記準監視条件適合領域を合成することで
前記撮影領域アイコンを生成することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、監視対象の空間に設置する監視カメラに求める画角と監視カメラの仕様を含む設置条件を受け付ける受付手段、受け付けた設置条件に基づき監視目的に応じた画質で撮影が可能な範囲を示す監視条件適合領域を設定する監視条件適合領域設定手段、前記監視条件適合領域の範囲に基づき前記監視カメラの撮影領域を示す撮影領域アイコンを生成するアイコン生成手段、前記空間の画像内に前記撮影領域アイコンを移動可能に表示し、表示された前記撮影領域アイコンの移動操作をさせることによって当該空間における監視カメラの設置位置
及び向きを決定させる表示制御処理手段、として機能させ
、前記監視条件適合領域設定手段は、監視カメラの仕様として、当該監視カメラの水平画角、垂直画角及び焦点距離の各範囲を参照して前記監視条件適合領域を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、設置経験が十分にない者でも防犯カメラを適切な位置に設置させることができる。
【0009】
また、空間の構造などから監視目的に応じた位置に防犯カメラを設置できない場合でも監視目的に設置した場合の画質に準じた画質で撮影可能な位置に防犯カメラを設置させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る防犯カメラ設置支援装置の一実施の形態を示したブロック構成図である。
【
図2】本実施の形態における防犯カメラ設置支援装置を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
【
図3】本実施の形態における画角情報記憶部に記憶されている画角情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施の形態におけるカメラ情報記憶部に記憶されているカメラ情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図5】本実施の形態における監視カメラの設置位置調整処理を示したフローチャートである。
【
図6】本実施の形態において設定される監視条件適合領域を示した概念図である。
【
図7】本実施の形態において設定される準監視条件適合領域を示した概念図である。
【
図8】本実施の形態において生成される撮影領域アイコンの例を示した図である。
【
図9】本実施の形態において監視カメラの設置対象とする部屋のレイアウト図面と撮影領域アイコンの画面表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る防犯カメラ設置支援装置の一実施の形態を示したブロック構成図である。また、
図2は、本実施の形態における防犯カメラ設置支援装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において防犯カメラ設置支援装置10を形成するコンピュータは、パーソナルコンピュータ(PC)等従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、
図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力手段として設けられたマウス25とキーボード26、及び表示装置として設けられたディスプレイ27をそれぞれ接続する入出力コントローラ28、通信手段として設けられたネットワークコントローラ29を内部バス30に接続して構成される。
【0013】
図1に戻り、本実施の形態における防犯カメラ設置支援装置10は、設置条件受付部11、監視条件適合領域設定部12、準監視条件適合領域設定部13、アイコン生成部14、表示制御処理部15、画角情報記憶部16、カメラ情報記憶部17及びレイアウト情報記憶部18を有している。設置条件受付部11は、監視対象の空間に設置する監視カメラに求める画角と監視カメラの仕様を含む設置条件を受け付ける。なお、本実施の形態において、防犯カメラと監視カメラとは同義である。監視条件適合領域設定部12は、設置条件受付部11により受け付けられた設置条件に基づき監視目的に応じた画質で撮影が可能な範囲を示す監視条件適合領域を設定する。準監視条件適合領域設定部13は、設置条件受付部11により受け付けられた設置条件に基づき監視目的に応じた画質は保証しないもの
の、その画質に準じる画質で撮影が可能な範囲を示す準監視条件適合領域を設定する。アイコン生成部14は、監視条件適合領域と準監視条件適合領域を合成することで監視カメラの撮影領域を示す撮影領域アイコンを生成する。表示制御処理部15は、空間の画像内に撮影領域アイコンを移動可能に表示し、表示された撮影領域アイコンの移動操作を設置者等のユーザにさせることによって当該空間における監視カメラの設置位置を決定させる。レイアウト情報記憶部18には、監視カメラを設置する空間の一例として部屋等のレイアウトの図面(画像)が含まれている。
【0014】
図3は、本実施の形態における画角情報記憶部16に記憶されている画角情報のデータ構成の一例を示す図である。ところで、日本防犯設備協会が定める監視目的に適した監視カメラの画角の種類としては、以下の4種類がある。なお、被写体の人物の身長は約170cmを目安としている。
【0015】
画角C(バストショット)は、人物の胸部から上が画面全体を占める大きさに設定された画角であり、人相が認識できる程度に撮影される。撮影領域は幅1.2m、高さ0.9mである。画角B(全身)は、画面全体に人物の全身が映る大きさに設定された画角であり、画角Cより広範囲を撮影しつつ人相が認識できる程度に撮影される。撮影領域は幅2.4m、高さ1.8mである。画角Aは、画面のほぼ1/2の高さに人物の全身が映る大きさに設定された画角であり、人物が特定できる程度に撮影される。撮影領域は幅4.8m、高さ3.6mである。そして、画角A25は、画面のほぼ1/4の高さに人物の全身が映る大きさに設定された画角であり、行動把握ができる程度に撮影される。撮影領域は幅6.2m、高さ5.1mである。
【0016】
本実施の形態における画角情報には、以上の日本防犯設備協会による基準に従い、各画角の種類に対応させて、画角の幅、高さ、目的及び被写体倍率が設定される。
【0017】
図4は、本実施の形態におけるカメラ情報記憶部17に記憶されているカメラ情報のデータ構成の一例を示す図である。カメラ情報記憶部17には、カメラ情報としてカメラ仕様情報と撮像素子情報が予め設定登録される。カメラ仕様情報には、設置可能な監視カメラの仕様情報が含まれており、本実施の形態では、監視カメラの機種に対応させて、当該機種の水平画角、垂直画角、焦点距離及び撮像素子が少なくとも設定登録される。なお、後述するカメラの選択処理において設置者が監視カメラを選択しやすいように監視カメラの画像を含めるようにしてもよい。
【0018】
防犯カメラ設置支援装置10における各構成要素11〜15は、防犯カメラ設置支援装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するアプリケーションプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部16〜18は、防犯カメラ設置支援装置10に搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0019】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPU21がプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0020】
次に、本実施の形態における監視カメラの設置位置調整処理について
図5に示したフローチャートを用いて説明する。
【0021】
本処理を実施するアプリケーションが起動されると、まず、設置条件受付部11は、
図3に示した画角を選択可能に表示する所定の監視条件選択画面(図示せず)をディスプレイ27に表示する。そして、画面表示された画角情報を参照して、設置者がいずれか1つの画角を選択すると、設置条件受付部11は、その選択されたいずれかの画角を監視条件として受け付ける(ステップ110)。このように、監視条件というのは、監視カメラの設置目的を示す条件であり、画角により指定される。
【0022】
続いて、設置条件受付部11は、
図4に示した監視カメラの機種を選択可能に表示する所定のカメラ選択画面(図示せず)をディスプレイ27に表示する。そして、画面表示されたカメラ仕様情報を参照して、設置者がいずれか1つの機種を選択すると、設置条件受付部11は、その選択された機種を受け付ける(ステップ120)。
【0023】
なお、ステップ110,120で受け付けた情報は、以下に説明するステップ130,140で用いるので、ステップ110,120の実行順を逆にして実行してもよいし、同じ選択画面にて双方の情報を一緒に指定させるようにしてもよい。
【0024】
以上の処理にて画角及び監視カメラの機種が指定されると、監視条件適合領域設定部12は、次のようにして監視条件適合領域を設定する(ステップ130)。監視条件適合領域というのは、監視目的に応じた画質で撮影が可能な範囲を示す。監視条件適合領域は、次の計算式(1)を用いて算出する。監視カメラのレンズから目的に応じた画質で撮影可能な被写体までの距離をL(m)とすると、その距離Lは、
L=(f×H)/(l×X) ・・・ (1)
という計算式にて算出できる。但し、fは焦点距離(mm)である。Hは被写体の高さ(m)であり、ここでは画角の高さに相当する。lはイメージサイズであり、
図4に示した撮像素子情報を参照して当該監視カメラの撮像素子の種類に対応したイメージサイズ(高さ)を得る。Xは被写体倍率であり、
図3に示した画角情報を参照して得る。
【0025】
例えば、ステップ110,120において画角Bと監視カメラC1が選択されたとすると、画角Bの高さ(H)は1.8m、被写体倍率は1である。監視カメラC1は、水平方向の画角が96.0°〜35.4°で、焦点距離f=2.7mm〜9.0mmである。そして、撮影素子は1/3型CMOSなので、撮影素子1/3型CMOSに対応するイメージサイズは3.6mmである。
【0026】
これらの値を上記式に代入すると、最小焦点距離f=2.7mm(水平角96.0°)のとき、
L=(2.7×1.8)/(3.6×1)=1.35m
と算出できる。また、最大焦点距離f=9.0mm(水平角35.4°)のとき、
L=(9.0×1.8)/(3.6×1)=4.5m
と算出できる。
【0027】
すなわち、監視カメラのレンズの位置から近いところで水平角96.0°の幅で1.35m、遠いところで水平角35.4°の幅で4.5mの間が監視条件適合領域となる。
図6は、監視条件適合領域を模式的に表した図であり、監視条件適合領域内に“○”を図示した。
【0028】
続いて、準監視条件適合領域設定部13は、次のようにして準監視条件適合領域を設定する(ステップ140)。準監視条件適合領域というのは、監視目的に応じた画質は保証されないものその画質に準じる画質で撮影が可能な範囲を示す。本実施の形態では、監視条件適合領域を設定した画角より一段劣る画角を用いることにする。すなわち、
図3を参照し、監視条件適合領域が画角Cなら画角B、画角Bなら画角A、画角Aなら画角A25がそれぞれ準監視条件適合領域に該当する。なお、画角A25に対しては適切な幅と高さ、例えば幅11.1m、高さ5.4mなどと適宜設定すればよい。準監視条件適合領域は、監視条件適合領域と同じ計算式(1)を用いて算出する。本実施の形態において準監視条件適合領域の設定の際に用いる画角は、原則、日本防犯設備協会による基準に従うようにしているが、監視条件適合領域の設定の際に用いた画角より広い画角であればよいので、その画角を示す値を設置者に入力指定させるようにしてもよいし、所望の画角を予め設定しておき、その中から選択させるようにしてもよい。
【0029】
上記例に従うと、ステップ110,120において画角Bと監視カメラC1が選択されているので、準監視条件適合領域の設定には画角Aを用いる。画角Aの高さ(H)は3.6m、被写体倍率は1/2である。従って、最小焦点距離f=2.7mm(水平角96.0°)のとき、
L=(2.7×3.6)/(3.6×1/2)=5.4m
と算出できる。また、最大焦点距離f=9.0mm(水平角35.4°)のとき、
L=(9.0×3.6)/(3.6×1/2)=18.0m
と算出できる。
【0030】
すなわち、監視カメラのレンズの位置から近いところで水平角96.0°の幅で5.4m、遠いところで水平角35.4°の幅で18.0mの間が準監視条件適合領域となる。
図7は、準監視条件適合領域を模式的に表した図であり、準監視条件適合領域内に“△”を図示した。
【0031】
以上のように、各領域設定部12,13がそれぞれ監視条件適合領域及び準監視条件適合領域を設定すると、アイコン生成部14は、
図6及び
図7に示した各領域を合成して撮影領域アイコンを生成する(ステップ150)。生成された撮影領域アイコンの例を
図8に示す。
【0032】
続いて、表示制御処理部15は、レイアウト情報記憶部18から監視カメラの設置対象とする部屋のレイアウトの画像情報を読み出し、アイコン生成部14により生成された撮影領域アイコンと共にディスプレイ27に表示する。
図9は、その部屋1のレイアウト図面と撮影領域アイコンの画面表示例を示した図である。表示制御処理部15は、撮影領域アイコン2を撮影領域アイコン2aのように部屋1内の初期位置に表示する。そして、設置者は、ドラッグなどによって撮影領域アイコン2を移動させ、ドロップすることで撮影領域アイコン2bの位置に移動させる。設置者は、このようにして監視カメラの設置に適した位置を探し出す。なお、撮影領域アイコン2に含まれる監視カメラ4の画像が部屋からはみ出さない限り、論理的には撮影領域アイコン2bはその部屋に設置可能である。
【0033】
設置者は、基本的には出入口等の撮影したい場所が撮影領域アイコン2の監視条件適合領域内に含まれるように監視カメラの設置位置を決定する。但し、例えば監視カメラの取付角度の制限や監視カメラを設置したい天井の位置と撮影したい場所との間に梁があるなど部屋の形状や構造上、撮影したい場所が監視条件適合領域内に含まれる場合でも実際には監視カメラの設置が困難な場合、監視カメラによる撮影画像の画質が劣化するものの監視目的が達成しうる可能性のある準監視条件適合領域内に撮影したい場所が含まれるよう撮影領域アイコン2の置く位置を決める。
【0034】
本実施の形態によれば、以上のようにして監視カメラの画角や仕様情報に基づき撮影領域アイコンを生成し、その生成した撮影領域アイコンを監視カメラの設置対象の空間図面上に配置させるようにしたので、設置者は監視カメラの画角や仕様等を気にすることなく室内における監視カメラの設置位置を容易に決めることができる。これにより、経験値や習得知識に依存せずに監視カメラの設置位置を決めることができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、監視条件適合領域と準監視条件適合領域とを合成して撮影領域アイコンを生成したが、監視条件適合領域のみで撮影領域アイコンを生成してもよい。また、本実施の形態では、監視条件適合領域内に“○”を、準監視条件適合領域内に“△”を、それぞれ描写するようにしたが、これは一例であって、他の記号やハッチング等の装飾で監視条件適合領域と準監視条件適合領域、更に各適合領域とそれ以外の領域との別を識別できるようにしてもよい。
【0036】
また、当然ながら複数台の監視カメラを設置対象とする空間内に設置することは可能であり、この場合は、複数の撮影領域アイコンを当該空間内に表示すればよい。