特許第6463669号(P6463669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6463669リンクトラックの配置を有する容量検出用デバイス、並びに前記デバイスの実装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463669
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】リンクトラックの配置を有する容量検出用デバイス、並びに前記デバイスの実装方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20190128BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   G06F3/041 470
   G06F3/041 430
   G06F3/044 Z
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-507470(P2015-507470)
(86)(22)【出願日】2013年4月16日
(65)【公表番号】特表2015-518215(P2015-518215A)
(43)【公表日】2015年6月25日
(86)【国際出願番号】EP2013057900
(87)【国際公開番号】WO2013160151
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2016年4月12日
【審判番号】不服2018-736(P2018-736/J1)
【審判請求日】2018年1月19日
(31)【優先権主張番号】1253820
(32)【優先日】2012年4月25日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516026309
【氏名又は名称】クイックステップ テクノロジーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】ロジエー ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】ブロンダン クリストフ
【合議体】
【審判長】 千葉 輝久
【審判官】 山田 正文
【審判官】 稲葉 和生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−218542(JP,A)
【文献】 特開2010−157239(JP,A)
【文献】 特表2010−541109(JP,A)
【文献】 特表2005−538349(JP,A)
【文献】 特開2011−198009(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/49942(WO,A1)
【文献】 特開2010−262557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
G06F3/041-3/0489
H04M1/00
H04M1/24-1/82
H04M99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明検出域とアクセス域とを有するヒューマン−マシンインターフェースデバイスであって:
− 前記透明検出域内に導電性透明材料製の電極を有する表面と;
− 前記アクセス域内に配置され、そして、電極を有する前記表面へ接続する導電性接続トラックと;
− 前記接続トラックと接続されるフレキシブルリンクを有し、前記アクセス域に接続された第1の部分と、前記アクセス域から延びる第2の部分とを含むフレキシブルコネクタと;
− 電極を有する前記表面用の第一ガードとして使用される、前記透明域内の透明材料製第一導電表面と;
を含む前記デバイスであって、
前記フレキシブルコネクタの前記第1及び第2の部分の前記フレキシブルリンクが、前記導電性接続トラック、前記フレキシブルリンク及び前記フレキシブルコネクタ用の前記第一ガード及び第二ガードとして使用される第二導電表面と前記第一導電表面との間に少なくとも部分的にサンドイッチ状に配置されること、並びに、
前記デバイスがさらに、前記導電性接続トラックと電極を有する前記電極表面とをリンクするための導電材料製のリンクトラックを有すること、
を特徴とし、
或るリンクトラックが、前記透明検出域にある少なくとも1つの電極に接する場合に、このリンクトラックが透明材料製であるものとし、そして、電極を有する前記表面の少なくとも2つの電極の間に置かれるものとする、前記デバイス。
【請求項2】
リンクトラックがアクセス域内に位置する場合に、前記リンクトラックが第二ガードと第三ガードとの間に置かれることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
第二及び第三導電表面の少なくとも1つが、第一導電表面と同じガード電位にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
第二及び第三導電表面のうちの1つが、第一導電表面の延長部分であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
電極及びガードが酸化インジウムスズITOから設計されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
電極が長方形の形状であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
電極が三角形の形状であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
電極が凹形の形状であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
ガードが浮動ブリッジ技術に基づいて設計されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
容量測定が自己容量型であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
電極の少なくとも1つが、前記検出域の外側の、デバイスの側に配置されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
電極の少なくとも1つが第三導電表面の代わりに配置されることを特徴とする、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
デバイスの端部上に置かれる指を検出し、そして、検出される指の配置に応じて前記デバイスのディスプレイスクリーン機能を修正することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に定義されるヒューマン−マシンインターフェースを含む装置において実行される方法。
【請求項14】
指の数及び位置付けを決定して装置を保持する手のタイプを識別することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
端部上で指を検出しない場合に、感知表面の側に接している支持体上に装置が置かれているか否かを識別することを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
電極を有する電極面によって任意の動きを検出するためにデバイスの端部を使用して装置内からのコマンドを開始することを特徴とする、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体と電極配列との間の容量測定用のデバイスに関するものである。前記デバイスは、特に、ヒューマン−マシンインターフェースコマンド用に使用される2次元容量式タッチサーフェス及び3次元容量性検出の一般的な分野における用途を見出すものである。
【0002】
通信及び作業用のデバイスは、タッチコマンドインターフェース、例えば、パッド又はスクリーンをますます利用するようになっている。例えば、携帯電話、スマートフォン、電子ノートブック、PC、マウス、タッチスクリーン、ワイドスクリーンなどを挙げることができる。
【0003】
これらのインターフェースの数多くが容量性技術を利用している。タッチサーフェスは、電子的手段に連結された導電性電極を備えており、コマンドを実行するために、電極と検出すべき物体との間に生成される静電容量の変動を測定することが可能である。
【0004】
現在の容量性技術は、行と列の形態での導電性電極の2つの層を最も頻繁に利用するものである。電子機器は、これらの行と列との間に存在する結合容量を測定する。指が能動面に対して非常に近い場合、指に近い結合容量が変更され、従って、電子機器は前記能動面の平面内に2次元位置(XY)を特定することができる。
【0005】
この技術は、誘電体によって、指の位置及び存在を検出することが可能である。この技術は、一本以上の指の高感度表面のXY平面内での位置について非常に高い解像度を得るという利点を有する。しかしながら、この技術は、物体との接触を検出するのみであるか、又は、数ミリを超えない非常に近い接近での検出であるという欠点を有する。厚い手袋(スキー用グローブ、オートバイ用グローブなど)、長い爪、又はスタイラスでのタッチコマンドを実施することが困難である。容量性電極の感度の低さによって、厚い誘導体を介してコマンドを開始することが不可能である。
【0006】
画面のスクリーニングの可能性及び手の種類(左又は右)を推測するために、ポータブルデバイスを保持する指の位置及び数を検出することも不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
検出すべき物体と電極との間に生成される絶対電気容量の測定を可能にする最近の技術もある。この技術は、自己容量(self−capacitance)として公知の技術に類似している。例えば、仏国特許発明第2756048号明細書:浮動容量測定ブリッジ、仏国特許発明第2893711号明細書:浮動ブリッジによる容量測定用デバイス及び方法、又は仏国特許発明第2844349号明細書:容量センサーを含む近接検出器を挙げることができる。これらの技術は、非常に高い解像度を有する物体−電極間容量の測定を得ることができ、そして、例えば、数センチ又は10センチの距離でさえ指を検出することができる。空間検出は、XYZ三次元で実施されるが、XY平面内でのタッチによっても実施される。この場合には、手袋を使用して又は厚い誘電体の任意のタイプを介して、コマンドを開始することが可能である。
【0008】
従って、これらの技術は、最大可能距離から(タッチスクリーンの周囲又は上の)能動面に近い空間内で対象の位置を検出することを可能にするために絶対容量測定電子技術(absolute-capacitance measurement electronics)を利用することが可能である。タッチスクリーンの全面を容量性電極で覆うことが理想的である。各電極と検出すべき対象(単数又は複数)との間に生成される静電容量を変換するために、これらの電極は電子ユニットへリンクしている。
【0009】
これらの静電容量の絶対測定を実施するために、例えば、各電極のリンクトラック、電極の下部、タッチスクリーンと電極の間のリボンケーブル、電子回路の入力装置などで生成される、検出域の外側(すなわち電極と電子回路との間)に現れることのある寄生容量を除外する必要がある。
【0010】
これらの寄生容量の大部分はガードの使用によって抑制することができ、その電位は、Roziereによる仏国特許発明第2756048号に開示されている電極のものと実質的に同じ値を有する。
【0011】
しかしながら、長距離での体積の測定は、パネルに近いが、その表面の外側の任意の物体の検出の欠点を有する。このことにより、コマンドの可能性が限定されるか、パネルの可視表面が減少するか、あるいは、意図しないコマンドが開始されることがある。
【0012】
この目的に対して、例えば、ポータブルデバイスを持つ手の指先の周辺物(単数又は複数)が望ましい対象として検出されることを回避するために、明らかな電気的結合なしでその全面に電極のみを備えたタッチスクリーンを提供することができる。
【0013】
解決策は、例えば、プリント回路基板(PCB)の多層容量性タッチスクリーンを利用することにある。容量性電極を検出すべき対象の側の外側表面に置き、そして、リンクトラックの全ては、下層のレベルで電極の下に置かれる。これらのトラックは、電極層を介する金属化孔を使用して電極へリンクされる。全てのトラックは電子機器へ接続されるが、接続へ到達するまで保護される(ガード層はリンクトラックの下に置かれる)。従って、電極は、例えば、仏国特許発明第2756048号に記載の浮動ブリッジユニット用の電子ユニットを利用することによってトラックを保護する。
【0014】
しかしながら、電話、スマートフォン、GPS、タッチスクリーン、あるいは、このタイプのタッチ面及びスクリーンを備える任意のデバイス内に前記機能を導入することは困難である。
【0015】
タッチスクリーン下に置かれるディスプレイから出射する光を通過させることを可能にするために、容量性電極のこれらの表面は透明電極を備える必要がある。通常、導電性電極は酸化インジウムスズ(ITO)製である。この材料は、優れた光学的及び電気的特性を有する。技術的理由並びに製造過程及び光学的品質に関わる理由から、金属化孔を使用することが不可能であり、そして、全ての容量性電極を、これらの電極と同じ層のみに置かれる透明なトラックを使用して、感知表面で外部回路へリンクさせる必要がある。
【0016】
本発明の課題は、最小限の誤差で1つ以上の対象の空間位置を検出することができる容量性タッチスクリーンを得るために、電極からの容量性電子機器へのリンクトラックの配置を最適化して不要な静電容量を排除することである。
【0017】
本発明の別の課題は、容量検出デバイスを含むポータブルデバイスを保持する方法によって、新たな機能を導入することである。
【0018】
本発明の別の課題は、対象検出を改良するための電極の新規の配置及び/又は形態である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題の少なくとも1つは、
− 検出域内に透明導電性材料製の電極を有する表面;
− アクセス域内に配置され、そして、電極を持つ表面へ接続される導電性接続トラック;及び
− 電極を有する表面用のガードとして利用される、透明域内の透明材料製第一導電表面;
を含む、透明検出域及びアクセス域を有するヒューマン−マシンインターフェースにより達成することができる。
【0020】
本発明によると、導電性接続トラックは、前記トラック用の第二及び第三ガードとして利用される第二導電表面と第三の導電表面との間で、少なくとも部分的にサンドイッチ状に配置される。更に、本発明によるデバイスは、導電性接続トラックと電極をもつ電極表面とをリンクするための、導電性材料製のリンクトラックを含み;或るリンクトラックが検出表面上の少なくとも1つの電極に接する場合に、前記リンクトラックは透明材料製であり、そして、少なくとも2つの電極の間に置かれる。
【0021】
リンクトラックがアクセス域内に位置する場合、前記リンクトラックを第二ガードと第三ガードとの間に置くことが好ましい。
【0022】
本発明によるデバイスでは、容量測定に対するリンクトラックの影響が低減される。検出域では、リンクトラックが末端部に置かれるのではなく、それらが2つの電極の間で全て実装されるように配慮される。アクセス域では、これらのリンクトラックが、ガードの間(すなわち、ガードが上下に重なっており、これらの2つのガードが、特にそれらの間の電気的結合によって、同一の電位を有することが好ましい)にサンドイッチ状で配置される。前記ガードが、特にそれらの間の電気的結合を介して、第一ガードと同一の電位を有することが好ましい。従って、第二及び第三導電表面の少なくとも1つが第一導電表面と同一のガード電位であることが想定される。
【0023】
本発明は、デバイスのタッチスクリーンであることができる検出表面に近接(空中静止)するか、又は、前記検出表面と接触(タッチ)している対象(単数又は複数)の位置測定の精度(線形性)を大幅に改善することが可能である。
【0024】
検出(感知として定義される)面上に存在する電極及びトラックのみが、対象の存在に反応することができる。従って、任意の不要な物体(例えば、タッチスクリーンを保持する指)を無視して、タッチスクリーンの較正を実施することがより容易且つ着実である。
【0025】
しかしながら、電極を使用してこれらの指を高い精度で検出することができる。なぜなら、特に、タッチスクリーンの端部近くに位置する電極はエッジ効果に敏感であるからである。従って、感知表面の外にある対象を測定することが可能である。ポータブルデバイス(スマートフォン、リモコン、タブレット等)を保持する手の指(又は任意のその他対象)の位置をこのように検出することができる。非透明電極をアクセス域内に置くこともできる。
【0026】
第二導電表面及び第三導電表面のうちの1つが、第一導電表面の延長部分であることが好ましい。例えば、第一及び第二ガードが単一面を構成することができる。第一ガードは、透明又は非透明材料を使用してアクセス域下に延長することができる。
【0027】
本発明によると、電極及びガードは酸化インジウムスズ(ITO)から設計される。例えば、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)又はスズをドープした酸化カドミニウムの光に対して透過的なその他の材料を使用することもできる。
【0028】
本発明によると、電極は、例えば:
− 長方形;
− 三角形;又は
− 凹形;
の種々の形状を有することができる。
【0029】
有利な特徴によると、ガードは浮動ブリッジ技術に基づいて設計される。更に、容量測定は自己容量(self−capacitance)型、すなわち、電極と測定対象との間に生成される静電容量の測定であることが好ましい。
【0030】
本発明の有利な特徴によると、少なくとも1つの電極が、前記検出域の外の、デバイスの側に配置される。従って、パネルの端部での検出は、例えば、スマートフォンのポータブルデバイスの側でコマンドを実施することに役立つことができる。ガードとして機能する第三導電表面の代わりにこの電極を配置することができる。
【0031】
例えば、電話の音量レベルを、検出表面を直接使用することなく、電話の側にわたって親指をスライドさせることによって調節することができる。この利点によって、電話の片面に通常存在する電気機械的ボタンを置き換えることが可能である。
【0032】
本発明の別の観点によると、上記に定義されるようなヒューマン−マシンインターフェースを含む装置において実行される方法が提案される。本発明によると、デバイスの端部に置かれる指が検出され、そして、デバイスのディスプレイスクリーン機能性が、検出された指の配置に応じて修正される。このことによって、例えば、ポータブルデバイスを保持する指の位置に応じてディスプレイのアイコンをロック又は編成することが可能になる。タッチスクリーンの端部での及び感知表面の外側でのコマンドのために1本以上の指を使用してコマンドを実行することが有利である。
【0033】
本発明によると、指の数及び位置を決定して、装置を保持する手のタイプを識別することができる。従って、ポータブルデバイスを保持する左手又は右手を識別することができる。このことによって、特に、デバイスを保持するのが左手か又は右手かに応じて、デバイスのディスプレイスクリーン上の特定のコマンドを再配置することが可能になる。
【0034】
本発明によると、端部上で指の検出がされない場合には、装置が感知表面の側に接している支持体上に置かれているか否かを識別することが可能である。
【0035】
本発明によると、デバイスの端部を使用して、電極を有する電極面により対象の任意の移動を検出して、装置内からのコマンドを開始することが可能である。このタイプのコマンドは、例えば、デバイスの端部に配置される電気機械的ボタン(音量の調節等)を置き換える仮想ボタンに相当する。例えば、端部上の親指の移動を検出することによって、この親指の下に電極を有することなく容量コマンドが発生することを想定することができる。この実施態様は、エッジ効果の検出に相当する。
【0036】
本発明の別の課題は、例えば、容量性電極によって、例えば、デバイスの周縁上の対象(例えば、指)を検出することを可能にする、前述の特徴に限定されないがソフトウェア及びハードウェアを含む上述の又は任意のその他のヒューマン−マシンインターフェースによって達成される。
【0037】
前記デバイスは:
− デバイス上面(これは、特に、ディスプレイスクリーンを可視化することが可能な透明部分を含む表面であることができる)の端部上の対象を検出するために;
− 形状認識又はその他のアルゴリズムによってこれらの対象の厳密な位置を識別するために;及び
− 特に、検出される対象に応じてディスプレイを変更するためのスクリーンディスプレイマネージメントアプリケーションを実施するために;
構成されるプロセッサユニットを含むことができる。
【0038】
特に、対象がデバイスを保持する指である場合、並びに、ディスプレイスクリーンがアイコンを含む場合、保持する指の位置に応じてこれらのアイコンを再配置することができる。例えば、指によって少なくとも部分的に隠れているであろうアイコンを移動させることが可能である。従って、特定のアイコンの位置及び/又は機能を変化させることが可能である。
【0039】
更に、アルゴリズムを実装して、異なる指を区別し、そして、左手又は右手が関与しているかどうかを決定することも可能である。親指を識別することも可能である。これは、指の位置、それらの形状(三次元容量測定によって、特に、対象の形状を評価することが可能である)及びサイズの分析により実行される。プロセッサユニットはマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラであることができ、これらは、容量電子検出回路に接続しており、そして、例えば、携帯電話、タブレット等の一般的な電子デバイス又はデバイスのソフトウェアアプリケーションを制御するものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明のその他の利点及び特徴は、非限定的である実施態様の詳細な説明及び添付の図面を分析することにより明らかになるであろう:
図1a及び1bは、本発明によるデバイスの断面における上面概略図である;
図2は、先行技術による電極を有する表面の概略図である;
図3は、先行技術による、端部で電極に沿って透明トラックを有する、電極を有する表面の詳細な概略図である;
図4は、透明な端部トラックを有さない本発明によるタッチスクリーンの概略図である;
図5aは、本発明によるデバイスの断面における概略図である;
図5bは、接続トラックと電極とをリンクする本発明によるリンクトラックの配置を示す単純化した概略図である;
図6は、アクセス域にわたってガードを有する、本発明によるタッチスクリーンの概略図である;
図7は、アクセス域全体にわたってガードを有する、本発明によるタッチスクリーンの概略図である;
図8は、アクセス域の短い側にわたってガードを有する、本発明によるタッチスクリーンの概略図である;
図9〜12は、電極の種々の幾何学的形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
一般的に言うと、図1a及び1bは、本発明によるデバイスAPを示す。これは、「スマートフォン」タイプの電話又はタッチスクリーンを備えたタブレットコンピュータ、リモコン、ノートブック等であることができる。このデバイスAPはタッチ部である検出表面SDを含み、前記タッチ部の下には、特に、電極の配列(平面又は曲面)が配置される。検出表面SDは、上部から、例えば:
− 外側ガラスVE;
− 破損防止フィルムFAD;
− 透明ボンドCT;及び
− 偏向板P;
− 例えば、酸化インジウムスズ(ITO)の導電性透明材料製の電極E;
− ガラス、PET又は任意のその他の誘電材料製である電極用支持体S;
− 例えば、酸化インジウムスズ(ITO)の導電性透明材料製の層であるガードG;並びに、
− 外側ガラスVEの外側から目に見える必要のあるディスプレイスクリーンEC;
の透明材料製のいくつかの層を含む。
【0042】
従って、電極及びガードは検出表面下にあり、そして、高い抵抗率を有する導電性透明材料製である。
【0043】
この場合、検出表面SDを包囲する非検出表面SNDも区別される。前記表面は、通常、外側から不透明であり、そして、電極を有するものではないが、金属製のトラックPT及びフレキシブルリンクCFへ接続しており、従って、抵抗率が低い。
【0044】
本明細書において、アクセス域は、スクリーンと、非検出表面に相当する外板との間の任意の領域として定義されることができる。
【0045】
図2は、自己容量ユニットとして知られる絶対容量電子測定ユニット2によって作動する透明タッチスクリーン1の従来の構成を示す。フレキシブルシート3は、タッチスクリーン1と電子測定ユニットとをリンクするために使用される。前記電子測定ユニットは、特に、先行技術文献に記載される絶対容量測定を実施するために必要なソフトウェア及びハードウェアを併用したマイクロコントローラ又はマイクロプロセッサを含むことができる。
【0046】
感知表面は、ITO材料製の多数の透明電極4(これらは、しばしば長方形形状であるがこれに限定されない)を備えている。各電極4は、タッチスクリーンの端部で接続トラック5へリンクしている。タッチスクリーンの端部はディスプレイ表面の外側になるので、接続トラック5は金属且つ非透明製であることができる。金属の利点は、その電気抵抗率の低さであり、かなりかさばらない長辺トラック(例えば、10〜20μm幅)を使用することが可能である。
【0047】
図3は、端部の電極をリンクする透明トラックの従来のレイアウトの例である。感知表面としても知られる透明域6では、電極と接続トラック5との間のリンクトラックが透明トラックであるのに対して、アクセス域(タッチスクリーン−透明域)内の接続トラック5は金属製である。
【0048】
この図は、特定の透明リンクトラック7が(電極の外側であるが)感知表面上に置かれることを示している。すなわち、これらの透明トラックは、検出表面の上の最後の電極と通常不透明であるアクセス域との間に置かれる。トラックのこの配置により、これらの域内での対象の位置検出における不具合が増加する。実際には、感知表面の物理的端部まで電極を使用することによって、対象の位置を決定するためのより効率的な信号処理を得ることが可能である。検出表面の端部でのリンクトラックの存在は、信号処理を複雑にし、そして、対象の検出精度を低下させる傾向にある。
【0049】
図4は、本発明によるタッチスクリーンを示す。図3の透明端部トラック7はなくなっており、2列の電極の間をトラック8がリンクするように内側に移されている。従って、電極の最終列は、電極域の周りのアクセス域との境界を構成する。
【0050】
図5aは、図1bと同じエレメントを有するが、新たなガードG2が接続トラックPT上に導入されている。この場合、前記接続トラックPTは、特に、電子的に一緒にリンクされており同一のガード電位にあるガードG1(図1bのガードGに相当)とガードG2との間にサンドイッチ状に置かれる。これらの接続トラックPTは、誘電材料により、次に、金属層(金属ガード)により、あるいは、フレキシブルリンクCFによりガード電位へリンクする透明導電性ITO層(透明ガード)により覆われることができる。従って、これらの接続トラックPTは、電子機器による不要な容量測定を生成することができない。これらは、図2及び3の例におけるようなタッチスクリーンの端部での対象の存在に反応することができない。
【0051】
実際、非検出表面に相当するアクセス域全体にわたって、2つのガードを提供して、そこにある全ての金属及び透明トラックを挟みこむ。更に、検出表面に相当する透明域では、透明トラックが電極の外側端部に残っていない。
【0052】
リンクトラックは、図5aにおいて非表示である。
【0053】
一方で、図5bは、電極を有する表面上に配置される電極Eと導電接続トラックPTとをリンクトラックPLによってリンクすることが可能になるという実施態様を示す。電極は、透明且つITO材料製である。
【0054】
リンクトラックPLは、これらが検出表面SDに相当する検出域内にある場合に、透明である。これらは、アクセス領域内において金属製である。アクセス域では、接続トラックPTが、ガードG2とその上にあるガードG3との間にサンドイッチ状に(接触せずに)配置される。ガードG2及びG3は金属製であることが好ましいが、透明ITO材料製であることもできる。ガードG2は、電極Eに提供されるガードG1の延長部分であることもできる。本発明によると、それは、(少なくとも1つの)測定電極によって(接続トラック上に置かれる)ガードG3を置き換えるために提供される。実際には、その他の全てのようにこれらの電極は、それらの下に置かれるトラックのためのガードとして機能することができる。デバイスの側に配置されるこれらの電極は、端部検出用、すなわち、対象(例えば、デバイスの端部に置かれる指の)の検出用に主に使用することができる。
【0055】
図6は、ガードG1とG2との間に置かれる金属トラック5による一般的な解決法を上面図で示すものである。端部上の任意のトラックが省略されている。フレキシブルコネクタCFをG1とG2との間に配置することも有利である。透明域6における全ての透明トラック8は、2列の電極の間に置かれる。
【0056】
本発明によると、例えば、デバイスを左手又は右手で保持しているかを推測するために、デバイスの一方の側で4本の指(少なくとも2本以上の指)と、もう一方の側での親指とを検出することが可能である。それが右手であるか又は左手であるかに応じて、タッチ(アイコン)、ジェスチャ又はホバリングコマンドのいくつか又は全てを再配置してエルゴノミクスを最適化することができる。
【0057】
例えば、デバイスを保持する手の親指とは反対側にボタン(アイコン)を正確に位置づけて、その他の4本の指の下にある又は近すぎる位置にあるアイコンを開放して、もう一方の手でコマンドを容易にすることが可能である。
【0058】
デバイスを保持する指に対してあまりにも不十分に置かれていると考えられる特定のコマンドを非アクティブにすることもできる。
【0059】
ホバリングの範囲を最適化するために、デバイスを保持する指から最も離れた域も見つけることができる。後者のこの態様はエッジ効果に対して非常に敏感であり、そして、端部にある指はホバリングの範囲をかなり減少する。
【0060】
デバイスを保持する4本の指に対して特定のコマンドを近づけて、これらの指を使用することによるコマンドの可能性を加えることも可能である。
【0061】
タッチスクリーンに近い指又は任意の対象の容量検出は、スクリーン側上でガードにより保護される個々の電極によって有利に行われることができ、測定された容量が非常に低く(数fF以下)そして任意の不要な寄生漏洩容量が検出を損なうことがあるために、前記ガードの電位は前記電極のものと実質的に同等である。
【0062】
電子機器は、各電極−対象間の容量を測定するために各電極を管理する。検出される対象は、電子機器のアース電位に参照される。
【0063】
近い対象の検出性を増加させるために、電極をポータブルデバイスの側に置くこともできる。
【0064】
対象(例えば手)の形状を検出して、手がデバイスをどの方向(正面又は背面)で保持しているかを知ることもできる。
【0065】
表面が非常に平らであり、そして、側面で対象の存在が検出されない場合には、デバイスが平らな表面(例えば、テーブル)上に置かれているか、又は、衣服のポケット内にあるということを推測することができる。
【0066】
図7は、本発明によるデバイスの概略的な正面図である。ガードG2は、透明表面6全体を取り囲むフレームであることに留意されたい。ガードG1(図6には図示されていない)は、金属トラックを構成するようにガードG2と平行な面に配置される。
【0067】
図8は、本発明によるデバイスの別の実施態様を示す。この実施例では、電極を有する表面が長方形であり、ここでは、透明材料製のリンクトラック9が、電極を表面から長方形の短辺上にあるアクセス域10及び11へリンクする。ガードG1及びG2は、これらのアクセス域内にサンドイッチ状に配置される。各アクセス域では、集積回路IC1,IC2が、最も近い電極に由来するリンクトラックへ接続される。透明表面と集積回路との間のトラックは、金属製であることができる。
【0068】
この解決法により、デバイスを保持するための時間の大部分に使用される長辺上に導電接続トラックを置くことを回避することが可能である。この利点により、縦側にある長いトラックを省略することができる。しかしながら、2つの集積回路が相互通信できるように、わずかな導電接続トラック12を縦側に使用する。これらのトラック12は、しかしながら、ガードされる必要がない。2つの集積回路は同じガード電位を使用することができる。集積回路IC2は、次に、リボンケーブルCFを介してプロセッサユニットへリンクされる。
【0069】
電極は、タッチスクリーンの感知表面を可能な限り覆うことが好ましい。
【0070】
図9〜12に見られるように、電極が長方形よりも複雑な形状を有することを想定することができる。
【0071】
三角形状又は凹形状の電極を使用することによって、同じ検出性能(精度)を保ちながら電極の数を最大限に減らすことが可能である。実際に、対象の位置に関して形状が変化する各電極を使用することによって測定情報の項目を追加するために、三角形状を使用することが可能である。
【0072】
共にネスト化される交互配置された凹形電極によって、或る電極から別の電極への対象の移動の間での突然の破断による不具合を低減することが可能であるか、又は、対象の位置に対して形状が変化する各電極を使用することによって情報を追加することが可能である。
【0073】
勿論、本発明は以上に説明された実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を超えない限りで、これらの実施例に種々の調節を行うことができる。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12