【課題を解決するための手段】
【0005】
その結果として、この目的は、
・透明基材と、
・透明層であって、その表面の少なくとも一部が構造化されており、表面構造形状の特性寸法が10nmと100μmの間であり、そして反射層で被覆されている透明層と、
を連続して含む複合材料を対象とする本発明によって達成された。
【0006】
従って本発明は、後で詳述する、変形可能な層上に表面構造形状を形成するための最新技術を利用する。この技術は、完全に規定された形状と10nmほど及びそれより大きい寸法とを有する浮き彫り状のパターンを形成するのを可能にする。従って、透明層の構造化した表面は、要求どおりに規則的であるか又は非規則的であり、あるいは、材料にかかわりなく、任意の「母面(mother surface)」の完全な複製である。このようにして、透明基材の前記透明層とは反対側から見て、この材料の表面の外観、あるいは所望の装飾効果が認められる。
【0007】
本発明の複合材料の他の好ましい特徴によれば、
・表面構造形状の特性寸法は最大で30μmに等しく、そして
・好ましさが増大する順に、少なくとも50、100及び500nmに等しい。ステンレス鋼及びブラシ処理又はラビング処理されたアルミニウムに、例えば深さ1〜2μm及びピッチ10〜20μmの模様を描くことができる。
・透明基材は、ガラス材料(ホウケイ酸ガラス、所望に応じ熱強化処理された、ソーダ石灰フロートガラスなど)、ガラスセラミック、特に透明なもの、(透明)ポリマー材料、例えば単独のポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリアミド、ポリエチレン又はポリプロピレン、又はこれらのうちの複数種の混合物又はコポリマーなど、イオノマー樹脂などから選択され、ポリマー材料に関しては、それは前記透明層とは反対側の面に、例えばポリシロキサン又は同等のものから作られた引掻き傷防止コーティングを備えることができる。
・表面構造化層は、熱架橋性材料、特にゾルゲル材料から作製される。この材料の利点は、(基材を構成する)ガラス板を強化処理するプロセスに耐えることができる高い無機含有率を有する層がもたらされることであり、単独のシリカ、酸化チタン、酸化亜鉛又は酸化アルミニウム、あるいはこれらのうちの複数種の混合物を挙げることができる。シリカゾルは、ゾルゲル前駆体、好ましくはメチルエトキシシランの加水分解によって有利に得られる。処理中に層が変形可能なままであるように、ゾルゲル溶液の調製条件を制御することが重要である。
・表面構造化層は、紫外線のもとで架橋することができる材料から作製される。
・表面構造化層は、熱可塑性ポリマーマトリックスを有しており、単独のポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ(塩化ビニル)、ポリアミド、ポリエチレン又はポリプロピレン、あるいはこれらのうちの複数種の混合物又はコポリマーを挙げることができる。
・反射層は、
・不透明であるか又は
・透明であり、
・金属、例えば銀又はアルミニウム、及び/又は高屈折率を有する酸化物、例えばTiO
2又はZrO
2、及び/又は塗料を含み、本発明に従って実施する際には、反射層は一方の面上に表面構造化、金属化、又は塗装が施され、そして透明基材への接着のために他方の面に接着層を備えたプラスチックフィルムであることができ、
・波長600nmにおける実質屈折率が少なくとも1.8に等しい。
・反射層は保護層で被覆されており、後者は不透明でも透明でもよく、例えば有機及び/又は無機塗料で構成される。
・前記透明層の表面の一部は表面構造化されておらず、反射層で被覆されており、従ってこの代替形態では、ミラー機能が本発明の対象である装飾機能と共存する。
【0008】
上記複合材料はいくつかの方法に従って製造することができる。
【0009】
第1の方法は、
・変形可能な層、すなわち表面の少なくとも一部が表面構造化される前記透明層の前駆体を、透明基材上へ被着すること、
・この変形可能な層を二次スタンプの構造化した面と接触させること、
・被覆した前記基材と前記二次スタンプを不透過性材料で作製したバッグ内に入れること、
・バッグとその内容物を密閉チャンバ内に入れること、
・チャンバから最大で0.5barに等しい圧力まで空気を排出すること、
・バッグを密封してからチャンバ内に空気を再導入すること、
・密封したバッグとその内容物をオートクレーブ内に入れること、
・0.5barと8barの間の圧力、及び25℃と400℃の温度を15分間〜数時間適用すること、
・バッグを開くこと、次いで、
・基材と二次スタンプとを分離すること、
を含む。
【0010】
この方法により形成された表面構造形状は、10nmと100μmの間の寸法(谷の深さ、突起の高さ、突起の幅/直径、谷の幅など)、さらに数センチメートルまでの値を有する(10μm×10μm×4cmの「壁」)。
【0011】
表面構造形状は、この方法によって、少なくとも1平方メートル程度、最大で「全幅フロート(Full Width Float (FWT))」ガラス板の寸法、すなわち特に3m×6mまでの表面上に形成することができる。
【0012】
透明基材上に変形可能な層を被着する方法は限定されない。液体ルートによる被着(薄層塗布、スプレー塗布、浸漬塗布、及びスピン塗布)が採用される。薄層塗布では、静止時に、変形可能な層の液体前駆体がスロットから垂れ下がるメニスカスを形成し、そしてこのスロットを基材の上方で横方向の位置に変位させることにより、スロットから液体前駆体が引き出される。
【0013】
二次スタンプ(secondary stamp)は、その材料をマスターに当てて成形することの結果として得られるのでそのように呼ばれる。その表面構造化材料はポリマーであることができる。
【0014】
バッグの材料は空気不透過性である。
【0015】
チャンバの空気は、最大で0.5barに等しい圧力まで、あるいは好ましさが増す順に、5mbar、2mbar、及び1mbarまで、排出される。例えば、チャンバの空気は0.5mbarほどの圧力に達するまで15分間にわたって排出される。バッグを密封してから、空気をチャンバ内へ再導入する。
【0016】
続いて、密封したバッグをオートクレーブ内に入れる。オートクレーブは、0.5barと8barの間の圧力、及び25℃と400℃の温度の適用を可能にする。オートクレーブでの処理は、15分と数時間の間の時間行うことができる。これらのパラメータは、変形可能な層の性質に応じて調節しなければならない。ここでの目的は、最初は変形可能な層、つまりゾルゲル又はその他のものに、それを変形不能にするため架橋させながら、二次スタンプを押し付けることである。このようにして、二次スタンプの表面に刻まれた模様が基材表面に被着された層に刻み付けられ、固定される。密封と排気の段階は、流体からスタンプへの圧力の伝達を可能にするために必要である。
【0017】
オートクレーブの出口で、孔を開けてからバッグを開き、二次スタンプを基材表面から引き離す。次いで層に新たな熱処理を施して、それを緻密化し、結晶化して(TiO
2,ZnO)、その機械的特性を向上させることができ、及び/又はその表面の親水性/疎水性を変更することができる。
【0018】
この方法は、特別な装置(バッグ及びオートクレーブの下に置くためのシステム)を必要としない。それは、ガラス産業において、特にフロントガラスの積層のため、あるいはまた工業用グレージング材、例えばPrivalite(商標)の登録商品名でサン−ゴバン・グラス社によって販売されているタイプの液晶膜内蔵型積層グレージング材などの製造のためにも、広く使用されている装置との相性がよい。
【0019】
方法が工業ラインに既に配備されている設備品目だけを必要とする限りにおいて、この方法は工業的に操作しやすく、大型グレージング材の処理に適合すると思われる。
【0020】
この方法は、低価格のスタンプ、例えば表面構造化ポリマーシート(特にロール・ツー・ロール技術によって製造される)など、を用いるのに適合している。スタンプが処理中に破壊されない限り、それを数回再使用することができる。
【0021】
二次スタンプの構造化面は空気透過性であると有利である。この場合、密封段階中の接触操作は、被覆された基材とスタンプとの間に気泡を捕捉するのを防止するための特別な予防措置を必要としない。スタンプは、エラストマーポリマー(PDMS、EVA、エポキシタイプ)又はガラス質ポリマー又はコポリマーで構成することができる。
【0022】
この方法の好ましい代替形態では、二次スタンプの構造化面はポリマー又は複合有機(ポリマー)/無機材料で作製され、オートクレーブ内の温度を連続してこのポリマー材料のガラス転移温度よりも高い温度に、次いでそれよりも低い温度にするか、又はその逆にする。この処理により、スタンプの機械的挙動を正確に制御し、そしてスタンプと被覆された基材との接触及び構造の複製品質を最適化することが可能になる。
【0023】
第2の方法によれば、フランス国特許出願公開第2893610号明細書に記載されているように回転部品を使用することにより(例えばロール・ツー・プレート法により)、透明層を表面構造化する。
【0024】
表面構造化した(透明)層上の反射層の形成は、液体ルート又は陰極スパッタリングルートによって行うのが好ましい。
【0025】
本発明による複合材料を概略的に示す添付の単一図面を参照しながら、下記実施例によって本発明を説明する。