特許第6463679号(P6463679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6463679表面構造化基材上に被着した反射層を有する装飾ガラスパネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463679
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】表面構造化基材上に被着した反射層を有する装飾ガラスパネル
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/36 20060101AFI20190128BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20190128BHJP
【FI】
   C03C17/36
   B32B7/02 103
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-530484(P2015-530484)
(86)(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公表番号】特表2015-533759(P2015-533759A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】FR2013052071
(87)【国際公開番号】WO2014037679
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2016年8月10日
(31)【優先権主張番号】1258459
(32)【優先日】2012年9月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ ギュイエモ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス シュマン
【審査官】 原 和秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−133371(JP,A)
【文献】 特開2009−009861(JP,A)
【文献】 特開平10−142410(JP,A)
【文献】 特開2011−068126(JP,A)
【文献】 特開2005−053006(JP,A)
【文献】 特開2012−066985(JP,A)
【文献】 特開2012−036073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 15/00−23/00
B32B 1/00−43/00
B29C 59/00−59/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・透明基材(2)と、
・透明層(3)であって、その表面の少なくとも一部が構造化されており、表面構造形状の特性寸法が10nmと100μmの間であり、そして反射層(4)で被覆されている透明層(3)と、
を連続して含み、
前記透明層の構造化された表面の結果、前記透明基材の前記透明層とは反対側から認められる装飾効果を有し、
前記反射層(4)の波長600nmにおける実質屈折率が少なくとも1.8である
装飾付き複合材料(1)。
【請求項2】
前記透明基材が少なくとも1mの表面積を有する、請求項1に記載の複合材料(1)。
【請求項3】
前記表面構造形状の特性寸法が最大で30μmに等しいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の複合材料(1)。
【請求項4】
前記表面構造形状の特性寸法が少なくとも50nmに等しいことを特徴とする、請求項1から3までの1項に記載の複合材料(1)。
【請求項5】
前記表面構造形状の特性寸法が少なくとも100nmに等しいことを特徴とする、請求項1から4までの1項に記載の複合材料(1)。
【請求項6】
前記表面構造形状の特性寸法が少なくとも500nmに等しいことを特徴とする、請求項1から5までの1項に記載の複合材料(1)。
【請求項7】
前記透明基材(2)がガラス材料、ガラスセラミック、及びポリマー材料から選択されていることを特徴とする、請求項1から6までの1項に記載の複合材料(1)。
【請求項8】
前記透明層(3)が熱架橋性材料から作製されていることを特徴とする、請求項1から7までの1項に記載の複合材料(1)。
【請求項9】
前記透明層(3)が紫外線のもとで架橋することができる材料から作製されていることを特徴とする、請求項1から7までの1項に記載の複合材料(1)。
【請求項10】
前記透明層(3)が熱可塑性ポリマーマトリックスを有していることを特徴とする、請求項1から7までの1項に記載の複合材料(1)。
【請求項11】
前記反射層(4)が不透明であることを特徴とする、請求項1から10までの1項に記載の複合材料(1)。
【請求項12】
前記反射層(4)が透明であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の複合材料(1)。
【請求項13】
前記反射層(4)が、金属、例えば銀又はアルミニウム、及び/又は高屈折率を有する酸化物、例えばTiO又はZrO、及び/又は塗料を含んでいることを特徴とする、請求項1から12までの1項に記載の複合材料(1)。
【請求項14】
前記反射層(4)が保護層(5)で被覆されていることを特徴とする、請求項1から13までの1項に記載の複合材料(1)。
【請求項15】
前記透明層(3)の表面の一部が構造化されておらず、反射層(4)で被覆されていることを特徴とする、請求項1から14までの1項に記載の複合材料(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾グレージング材であって、その表面の少なくとも一部が表面構造化され反射層で直接被覆されている装飾グレージング材に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の目的は、第1の外(前)面と第2の(後)面とがある装飾付きの内装/外装調度エレメントであって、第1の外(前)面は平滑であり容易にきれいにすることができて、擦過性が低く(ガラス板又はこれと同等のもの)、第2の(後)面は選択された幾何学的形状の表面構造を呈し反射コーティングを備えていて、それがこれらの調度エレメントの第1の面の側で見られる装飾外観を作り出す、装飾付きの内装/外装調度エレメントを利用可能にすることである。それらは、ガラス又はプラスチックのシート又はペインであることができ、あるいは精巧で透明なガラスセラミック板であってもよく、これらは内装及び外装調度品(キッチンサイドボード、家具など)、家庭用電気器具などに使用することができる。
【0003】
これまでのところ、表面構造/反射層を一組にしたものは、容易に利用可能な表面構造のスケール及び形状によって、すなわち表面構造化プロセスによって、制限されている。熱間圧延によって得られるものの場合、スケールは数百ミクロンよりも大きく、またサテン仕上げガラスの場合、表面構造(周期150μm)の形状及びスケールは、ガラスに対する化学的攻撃のメカニズムによって決まる(例えば、攻撃時間に応じて高さ10μm)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、1平方メートル以上程度の比較的広い限定しない寸法であることができる表面を備えたシートから製作された複合材料であって、その外面がガラス又は同等のもののシートから構成され、そしてその外観が、反射層で被覆されていて複合材料の表面の少なくとも一部にわたる完全に制御可能な10nm〜100μmの表面構造によって与えられる、複合材料を製造するという目的を設定した。反射層が金属化されている場合、制御可能且つ再現可能な表面構造が、ステンレス鋼、又はブラシ処理又はラビング処理されたアルミニウムのものと同等に複雑な外観をグレージング材に与えるのを可能にする。従って、装飾効果を有するテーブル又は他の家具品目、壁被覆用タイルなどが製造される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その結果として、この目的は、
・透明基材と、
・透明層であって、その表面の少なくとも一部が構造化されており、表面構造形状の特性寸法が10nmと100μmの間であり、そして反射層で被覆されている透明層と、
を連続して含む複合材料を対象とする本発明によって達成された。
【0006】
従って本発明は、後で詳述する、変形可能な層上に表面構造形状を形成するための最新技術を利用する。この技術は、完全に規定された形状と10nmほど及びそれより大きい寸法とを有する浮き彫り状のパターンを形成するのを可能にする。従って、透明層の構造化した表面は、要求どおりに規則的であるか又は非規則的であり、あるいは、材料にかかわりなく、任意の「母面(mother surface)」の完全な複製である。このようにして、透明基材の前記透明層とは反対側から見て、この材料の表面の外観、あるいは所望の装飾効果が認められる。
【0007】
本発明の複合材料の他の好ましい特徴によれば、
・表面構造形状の特性寸法は最大で30μmに等しく、そして
・好ましさが増大する順に、少なくとも50、100及び500nmに等しい。ステンレス鋼及びブラシ処理又はラビング処理されたアルミニウムに、例えば深さ1〜2μm及びピッチ10〜20μmの模様を描くことができる。
・透明基材は、ガラス材料(ホウケイ酸ガラス、所望に応じ熱強化処理された、ソーダ石灰フロートガラスなど)、ガラスセラミック、特に透明なもの、(透明)ポリマー材料、例えば単独のポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリアミド、ポリエチレン又はポリプロピレン、又はこれらのうちの複数種の混合物又はコポリマーなど、イオノマー樹脂などから選択され、ポリマー材料に関しては、それは前記透明層とは反対側の面に、例えばポリシロキサン又は同等のものから作られた引掻き傷防止コーティングを備えることができる。
・表面構造化層は、熱架橋性材料、特にゾルゲル材料から作製される。この材料の利点は、(基材を構成する)ガラス板を強化処理するプロセスに耐えることができる高い無機含有率を有する層がもたらされることであり、単独のシリカ、酸化チタン、酸化亜鉛又は酸化アルミニウム、あるいはこれらのうちの複数種の混合物を挙げることができる。シリカゾルは、ゾルゲル前駆体、好ましくはメチルエトキシシランの加水分解によって有利に得られる。処理中に層が変形可能なままであるように、ゾルゲル溶液の調製条件を制御することが重要である。
・表面構造化層は、紫外線のもとで架橋することができる材料から作製される。
・表面構造化層は、熱可塑性ポリマーマトリックスを有しており、単独のポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ(塩化ビニル)、ポリアミド、ポリエチレン又はポリプロピレン、あるいはこれらのうちの複数種の混合物又はコポリマーを挙げることができる。
・反射層は、
・不透明であるか又は
・透明であり、
・金属、例えば銀又はアルミニウム、及び/又は高屈折率を有する酸化物、例えばTiO2又はZrO2、及び/又は塗料を含み、本発明に従って実施する際には、反射層は一方の面上に表面構造化、金属化、又は塗装が施され、そして透明基材への接着のために他方の面に接着層を備えたプラスチックフィルムであることができ、
・波長600nmにおける実質屈折率が少なくとも1.8に等しい。
・反射層は保護層で被覆されており、後者は不透明でも透明でもよく、例えば有機及び/又は無機塗料で構成される。
・前記透明層の表面の一部は表面構造化されておらず、反射層で被覆されており、従ってこの代替形態では、ミラー機能が本発明の対象である装飾機能と共存する。
【0008】
上記複合材料はいくつかの方法に従って製造することができる。
【0009】
第1の方法は、
・変形可能な層、すなわち表面の少なくとも一部が表面構造化される前記透明層の前駆体を、透明基材上へ被着すること、
・この変形可能な層を二次スタンプの構造化した面と接触させること、
・被覆した前記基材と前記二次スタンプを不透過性材料で作製したバッグ内に入れること、
・バッグとその内容物を密閉チャンバ内に入れること、
・チャンバから最大で0.5barに等しい圧力まで空気を排出すること、
・バッグを密封してからチャンバ内に空気を再導入すること、
・密封したバッグとその内容物をオートクレーブ内に入れること、
・0.5barと8barの間の圧力、及び25℃と400℃の温度を15分間〜数時間適用すること、
・バッグを開くこと、次いで、
・基材と二次スタンプとを分離すること、
を含む。
【0010】
この方法により形成された表面構造形状は、10nmと100μmの間の寸法(谷の深さ、突起の高さ、突起の幅/直径、谷の幅など)、さらに数センチメートルまでの値を有する(10μm×10μm×4cmの「壁」)。
【0011】
表面構造形状は、この方法によって、少なくとも1平方メートル程度、最大で「全幅フロート(Full Width Float (FWT))」ガラス板の寸法、すなわち特に3m×6mまでの表面上に形成することができる。
【0012】
透明基材上に変形可能な層を被着する方法は限定されない。液体ルートによる被着(薄層塗布、スプレー塗布、浸漬塗布、及びスピン塗布)が採用される。薄層塗布では、静止時に、変形可能な層の液体前駆体がスロットから垂れ下がるメニスカスを形成し、そしてこのスロットを基材の上方で横方向の位置に変位させることにより、スロットから液体前駆体が引き出される。
【0013】
二次スタンプ(secondary stamp)は、その材料をマスターに当てて成形することの結果として得られるのでそのように呼ばれる。その表面構造化材料はポリマーであることができる。
【0014】
バッグの材料は空気不透過性である。
【0015】
チャンバの空気は、最大で0.5barに等しい圧力まで、あるいは好ましさが増す順に、5mbar、2mbar、及び1mbarまで、排出される。例えば、チャンバの空気は0.5mbarほどの圧力に達するまで15分間にわたって排出される。バッグを密封してから、空気をチャンバ内へ再導入する。
【0016】
続いて、密封したバッグをオートクレーブ内に入れる。オートクレーブは、0.5barと8barの間の圧力、及び25℃と400℃の温度の適用を可能にする。オートクレーブでの処理は、15分と数時間の間の時間行うことができる。これらのパラメータは、変形可能な層の性質に応じて調節しなければならない。ここでの目的は、最初は変形可能な層、つまりゾルゲル又はその他のものに、それを変形不能にするため架橋させながら、二次スタンプを押し付けることである。このようにして、二次スタンプの表面に刻まれた模様が基材表面に被着された層に刻み付けられ、固定される。密封と排気の段階は、流体からスタンプへの圧力の伝達を可能にするために必要である。
【0017】
オートクレーブの出口で、孔を開けてからバッグを開き、二次スタンプを基材表面から引き離す。次いで層に新たな熱処理を施して、それを緻密化し、結晶化して(TiO2,ZnO)、その機械的特性を向上させることができ、及び/又はその表面の親水性/疎水性を変更することができる。
【0018】
この方法は、特別な装置(バッグ及びオートクレーブの下に置くためのシステム)を必要としない。それは、ガラス産業において、特にフロントガラスの積層のため、あるいはまた工業用グレージング材、例えばPrivalite(商標)の登録商品名でサン−ゴバン・グラス社によって販売されているタイプの液晶膜内蔵型積層グレージング材などの製造のためにも、広く使用されている装置との相性がよい。
【0019】
方法が工業ラインに既に配備されている設備品目だけを必要とする限りにおいて、この方法は工業的に操作しやすく、大型グレージング材の処理に適合すると思われる。
【0020】
この方法は、低価格のスタンプ、例えば表面構造化ポリマーシート(特にロール・ツー・ロール技術によって製造される)など、を用いるのに適合している。スタンプが処理中に破壊されない限り、それを数回再使用することができる。
【0021】
二次スタンプの構造化面は空気透過性であると有利である。この場合、密封段階中の接触操作は、被覆された基材とスタンプとの間に気泡を捕捉するのを防止するための特別な予防措置を必要としない。スタンプは、エラストマーポリマー(PDMS、EVA、エポキシタイプ)又はガラス質ポリマー又はコポリマーで構成することができる。
【0022】
この方法の好ましい代替形態では、二次スタンプの構造化面はポリマー又は複合有機(ポリマー)/無機材料で作製され、オートクレーブ内の温度を連続してこのポリマー材料のガラス転移温度よりも高い温度に、次いでそれよりも低い温度にするか、又はその逆にする。この処理により、スタンプの機械的挙動を正確に制御し、そしてスタンプと被覆された基材との接触及び構造の複製品質を最適化することが可能になる。
【0023】
第2の方法によれば、フランス国特許出願公開第2893610号明細書に記載されているように回転部品を使用することにより(例えばロール・ツー・プレート法により)、透明層を表面構造化する。
【0024】
表面構造化した(透明)層上の反射層の形成は、液体ルート又は陰極スパッタリングルートによって行うのが好ましい。
【0025】
本発明による複合材料を概略的に示す添付の単一図面を参照しながら、下記実施例によって本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による複合材料を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ゾルゲルシリカの層にラビング処理したアルミニウムの面を複製することを説明する。この表面構造は、深さ1〜2μm及びピッチ10〜20μmによって規定される。
【0028】
重量比が45/55のメチルトリエトキシシラン(Sigma−Aldrich社によって販売される)/酢酸(Prolabo)混合物からシリカゾルを調製する。液を周囲温度で12時間にわたって攪拌したままにしておく。
【0029】
上記のラビング処理したアルミニウム面から出発して、成形によりPDMSスタンプを製造する。成形は、Dow Corning社によって販売されるSylgard(商標) 184 Silicone Elastomer Kitの2種の成分(エラストマー:触媒)の10:1混合物を流延し、残留気泡を真空下で抜き、次いでエラストマーを80℃で4時間架橋させることによって行う。
【0030】
Planilux(商標)の商品名でサン−ゴバン・グラス社によって販売されている10×10cm2の2mmガラス基材上に、上記のゾルをスピン塗布(2000rpm、1分)によって被着させる。ガラス基材の表面はCerox(商標)研磨剤によって予めきれいにしておく。層を50℃で5分間乾燥させる。
【0031】
被着に続いて、PDMSスタンプの構造化した面をゾルゲルシリカ層と接触させる。層とマスクとの接触を損なうおそれのある気泡をなくすため、試料を密封用バッグ内に入れ、そして0.5mbarの真空に達するまで排気される密閉チャンバ内に入れる。20分後に、バッグを熱接合によって密封する。
【0032】
続いて、試料をオートクレーブ内に入れ、それらはそこで110℃までの温度上昇及び1.75barまでの圧力上昇を同時に受ける(20℃で5分間、5分間にわたり60℃まで上昇、60℃で10分間保持、5分間にわたって110℃まで上昇、110℃で20分間保持、そして15分間にわたって35℃まで降下、及び、5分間にわたって0barから1.75barまで上昇、1.75barで40分間保持、15分間にわたって0barまで降下)。オートクレーブから出したら、試料を低温条件下で型から取り外す。
【0033】
ゾルゲルシリカ層への模様転写の特性をAFMによって調べる。得られた模様はスタンプが有するものと同様である。
【0034】
この方法によって、同じ複製を熱可塑性層、例えばポリ(メチルメタクリレート)、又は複合熱可塑性−無機層、例えばポリ(メチルメタクリレート)−SiO2の層で行うことができる。
【0035】
こうして形成した表面構造化シリカ層を備えたガラス試料上に、2つのタイプの反射層を被着する。
【0036】
第1のタイプの反射層は、以下の手順、すなわち、
・表面構造化していない面を耐酸性の接着性フィルムで保護する、
・銀めっき液(Dr.−Ing. Schmitt GmbH社(Dieselstr. 16, 64807 Dieburg/Germany)によって供給される希釈可能な液)を、以下によって希釈する、
・250cm3フラスコ内の42μlのMiraflex(商標)1200(第1液)
・250cm3フラスコ内の125μlのMiraflex(商標)PD(第2液)
・250cm3フラスコ内の6mlのMiraflex(商標)RV(第3液)
・250cm3フラスコ内の6mlのMiraflex(商標)S(第4液)
・ガラス基材をタンクに入れ、そこに第1液の内容物を(ガラス上に直接)注ぎ入れる(Sn2+イオン及びSn4+イオンを含む)、
・1分間攪拌し、次いで蒸留水で濯ぐ、
・ガラス基材を第2のタンクに入れ、そこに第2液の内容物を(ガラス上に直接)注ぎ入れる(Pd2+イオンを含む)、
・1分間攪拌し、次いで蒸留水で濯ぐ、
・ガラス基材を最終タンクに入れ、(ストップウォッチのスタート後)そこに第3液及び第4液の内容物を(ガラス上に直接ではなく)注ぎ入れる(硝酸銀及び還元剤を含む)、
・30秒間攪拌し、次いで蒸留水で濯ぐ、
・ガラス基材を第1タンクに入れ、1分間攪拌する、
・蒸留水で濯ぐ。
という手順に従って被着させた銀層である。
【0037】
こうして製造された銀層の厚さは約80nmである。
【0038】
第2のタイプの反射層は、TiO2ターゲット、30%Ar/(Ar+O2)ガス混合物、及び2×10-3mbarの被着圧力を用いたマグネトロン陰極スパッタリングによって、シリカの構造化した面上に銀層と同様に被着させたTiO2層である。
【0039】
その後、銀層又はTiO2層を、Fenziブランドのアルキドタイプの塗料をスプレーで塗布し次いで180℃で15分間焼き付けた厚さ約50μmの層で被覆する。
【0040】
添付の単一図面を参照すると、ガラス板2と、表面構造化シリカ層3と、反射層4と、保護層5とが連続することで構成された複合材料1がこうして得られた。ガラス板2の自由な面の側から、表面構造化シリカ層3と反射層4とが一組になったものの、ラビング処理アルミニウムの表面構造が見られる。本発明によって、いかなる表面構造も、また対応するいかなる装飾外観も、得ることができる。
本発明の態様としては、以下を挙げることができる:
《態様1》
・透明基材(2)と、
・透明層(3)であって、その表面の少なくとも一部が構造化されており、表面構造形状の特性寸法が10nmと100μmの間であり、そして反射層(4)で被覆されている透明層(3)と、
を連続して含む複合材料(1)。
《態様2》
前記表面構造形状の特性寸法が最大で30μmに等しいことを特徴とする、態様1に記載の複合材料(1)。
《態様3》
前記表面構造形状の特性寸法が少なくとも50nmに等しいことを特徴とする、態様1又は2に記載の複合材料(1)。
《態様4》
前記表面構造形状の特性寸法が少なくとも100nmに等しいことを特徴とする、態様1から3までの1つに記載の複合材料(1)。
《態様5》
前記表面構造形状の特性寸法が少なくとも500nmに等しいことを特徴とする、態様1から4までの1つに記載の複合材料(1)。
《態様6》
前記透明基材(2)がガラス材料、ガラスセラミック、及びポリマー材料から選択されていることを特徴とする、態様1から5までの1つに記載の複合材料(1)。
《態様7》
前記透明層(3)が熱架橋性材料から作製されていることを特徴とする、態様1から6までの1つに記載の複合材料(1)。
《態様8》
前記透明層(3)が紫外線のもとで架橋することができる材料から作製されていることを特徴とする、態様1から6までの1つに記載の複合材料(1)。
《態様9》
前記透明層(3)が熱可塑性ポリマーマトリックスを有していることを特徴とする、態様1から6までの1つに記載の複合材料(1)。
《態様10》
前記反射層(4)が不透明であることを特徴とする、態様1から9までの1つに記載の複合材料(1)。
《態様11》
前記反射層(4)が透明であることを特徴とする、態様1から9までのいずれか1つに記載の複合材料(1)。
《態様12》
前記反射層(4)が、金属、例えば銀又はアルミニウム、及び/又は高屈折率を有する酸化物、例えばTiO2又はZrO2、及び/又は塗料を含んでいることを特徴とする、態様1から11までの1つに記載の複合材料(1)。
《態様13》
前記反射層(4)の波長600nmにおける実質屈折率が少なくとも1.8に等しいことを特徴とする、態様1から12までの1つに記載の複合材料(1)。
《態様14》
前記反射層(4)が保護層(5)で被覆されていることを特徴とする、態様1から13までの1つに記載の複合材料(1)。
《態様15》
前記透明層(3)の表面の一部が構造化されておらず、反射層(4)で被覆されていることを特徴とする、態様1から14までの1つに記載の複合材料(1)。
図1