(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの導電性の焼結層は、銅、チタン、銀、アルミニウム、タングステン、ケイ素、ニッケル、スズ、パラジウム、白金およびそれらの混合物の群から選択される金属を含む、請求項1または2に記載の方法。
前記電解銅めっき溶液がさらに、光沢剤、レベリング剤、キャリア、湿潤剤およびそれらの混合物の群から選択される有機添加剤を含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
前記電解銅めっき溶液は、低濃度のレベリング剤および高濃度のキャリアを含有し、前記低濃度のレベリング剤は1〜10mg/lの範囲であり、前記高濃度のキャリアは0.2〜2g/lの範囲である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の方法により銅層を電着された焼結金属層を有するセラミック基板(
図1A)および従来技術の方法により銅層を電着された焼結金属層を有するセラミック基板(
図1B)。
【
図2】少なくとも部分的にレジストで被覆された焼結層についての本発明の方法段階のスキーム。
【
図3】レジストを有さない焼結層についての本発明の方法段階のスキーム。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明の方法は、少なくとも1つの銅層の導電性の焼結層上への電着方法であって、以下の段階:
(i) 少なくとも1つの導電性の焼結層を準備する段階、
(i.a) 前記少なくとも1つの導電性の焼結層を前処理する段階、
(ii) 前記焼結層と、電解銅めっき溶液とを接触させ、且つ前記焼結層と少なくとも1つのアノードとの間に電流を印加する段階、および
(iii) そのことにより、銅層が前記焼結層上に堆積される段階
を含み、その際、前記焼結層の前処理は、段階(i.aa):
(i.aa) 少なくとも1つの導電性の焼結層と、硫黄含有溶液および酸化剤を含むマイクロエッチング剤とを接触させる段階
を含む、前記方法である。
【0020】
本発明の方法は、欠陥のない、または欠陥の少ない、即ち、非常に少ない欠陥しか有さず、高い耐熱性、良好な導電性および熱伝導性、および導電性の焼結層への良好な付着性をもたらす銅層をもたらす。前記導電性の焼結層は、本願において、焼結層として略記される。
【0021】
本発明の方法の1つの実施態様においては、少なくとも1つの導電性の焼結層を基板上に準備する。前記焼結層は基板の外表面上に位置する。
【0022】
基板は、良好な耐熱性および高い熱伝導性を有する材料製である。前記基板の材料は、例えば1200℃の温度までの焼結工程に対して耐熱性である。従って、前記基板は、900℃までのはんだ付け工程において印加される温度にも耐性があり、アニール工程において印加される500℃までの温度にも耐性があり、または表面に搭載された電子素子が安定である200℃までの温度にも耐性がある。
【0023】
耐熱性とは、基板が上述の温度範囲内で寸法安定性であることを意味する。基板はセラミック、ガラス、エナメルおよび石英を含む群から選択される材料製である。セラミックは特に絶縁材料から選択される。セラミックは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、焼結ムライト、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化チタンアルミニウム、酸窒化アルミニウムケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ベリリウム、チタン酸バリウム、チタニア、ジルコニア、マグネシア、カルシア、フェライトおよびそれらの化合物の混合物を含む群から選択される。
【0024】
本発明の方法の1つの実施態様において、少なくとも1つの導電性の焼結層は、銅、チタン、銀、アルミニウム、タングステン、ケイ素、ニッケル、スズ、パラジウム、白金およびそれらの混合物の群から選択される金属を含む。焼結層は、金属銅中に拡散し得る金属を含有しない。そうでなければ、引き続く銅層の堆積の間に、欠陥の数の増加が生じてしまうことがある。
【0025】
焼結層の金属をペーストの形態で基板表面に施与できる。該金属は、粉末の形態でペースト中に含有される。該ペーストはさらに、有機化合物、溶剤、融剤、結合材料などを含有することができる。
【0026】
該ペーストをスクリーン印刷法によって基板に施与できる。該ペーストを基板に施与して、基板の表面全体を連続層として被覆できる。または、該ペーストを基板表面の1つまたはそれより多くの部分だけに被覆するように塗布することができる。後者の場合、該ペーストは、PCBの製造のために焼結されたペーストを有する基板を使用するための回路のパターンを既に形成することができる。
【0027】
基板上にペーストを施与した後、該ペーストを600℃〜1200℃、好ましくは700℃〜1200℃、より好ましくは800℃〜1100℃の範囲の温度で焼結する。
【0028】
焼結工程は3段階で進行し、その間に、該ペーストの気孔率および体積が著しく低減する。第一の段階の間に、ペーストは単に緻密化するだけである一方で、第二の段階においては、ペーストの開放気孔率が著しく低減する。焼結層の機械的強度は、第三の段階の間に粉末粒子間での原子の表面拡散によって形成されるペースト中の粉末粒子間のネック部に基づく。
【0029】
焼結後、生じる焼結層は1μm〜60μmの範囲の厚さを有する。
【0030】
本発明による方法はさらに、段階(i)と段階(ii)との間に段階(i.a):
(i.a) 少なくとも1つの導電性の焼結層を前処理する段階
を含む。
【0031】
焼結層の前処理は、化学的前処理である。焼結層の前処理は、1つまたはそれより多くの方法段階を含む。焼結層の前処理は、段階(i)と段階(ii)との間に、段階(i.aa):
(i.aa) 少なくとも1つの導電性の焼結層をマイクロエッチング剤と接触させる段階
を含む。
【0032】
この方法段階を、本願においてマイクロエッチング段階とも称する。マイクロエッチング剤は、硫黄含有溶液を含む。該マイクロエッチング剤はさらに、酸化剤を含む。硫黄含有溶液は、硫酸および/またはアルカリ金属硫酸水素塩、例えば硫酸水素ナトリウムまたはカリウムを含む。酸化剤は、ペルオキソ化合物を含む。ペルオキソ化合物は、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸二ナトリウム、ペルオキソ二硫酸二カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ナトリウムカロエート(caroate)およびカリウムカロエート、好ましくはペルオキソ二硫酸二ナトリウムを含む群から選択される。
【0033】
マイクロエッチング剤中の硫酸の濃度は20〜100g/l、好ましくは40〜80g/lの範囲である。マイクロエッチング剤中のアルカリ金属硫酸水素塩の濃度は、10〜40g/lの範囲である。マイクロエッチング剤中の酸化剤の濃度は、80〜120g/lの範囲である。
【0034】
焼結層とマイクロエッチング剤との接触時間は、1分〜10分、好ましくは1分〜8分、より好ましくは1分〜5分の範囲である。
【0035】
焼結層とマイクロエッチング剤との接触の間、マイクロエッチング剤の温度は20℃〜40℃、好ましくは25℃〜35℃、より好ましくは25℃〜30℃の範囲である。
【0036】
マイクロエッチング剤は、焼結工程の間または後に焼結層の表面上に形成された酸化物を除去する。焼結層とマイクロエッチング剤との接触(方法段階(i.aa))は有利には、方法段階(ii)および(iii)における焼結層上への銅の電着の間に生じる表面の欠陥の数を低減させる。方法段階(i.aa)がないと、より多量の表面欠陥、例えばウィスカー、ノジュール、リフティング、または焼結層表面にわたる電着された銅層の不均質な厚さを生じる。さらには、マイクロエッチング剤との接触は、電着された銅層の焼結層への付着強度を高める。
【0037】
本発明の1つの実施態様において、焼結層とマイクロエッチング剤との方法段階(i.aa)の接触は、選択的な方法段階(i.aa):
(i.aa) 少なくとも1つの導電性の焼結層と、少なくとも1つのハロゲン化物イオン源を含むマイクロエッチング剤とを接触させる段階
によって置き換えることができる。
【0038】
ハロゲン化物イオンの少なくとも1つの源を含むマイクロエッチング剤は、本願においてハロゲン化物溶液と略記される。ハロゲン化物溶液はさらに、マイクロエッチング剤について上述したとおり、1つまたはそれより多くの成分、硫黄含有溶液および酸化剤を含む。少なくとも1つのハロゲン化物イオンは、フッ化物、塩化物、臭化物およびヨウ化物、好ましくはフッ化物、塩化物および臭化物、より好ましくはフッ化物の群から選択される。
【0039】
ハロゲン化物イオンの少なくとも1つの源は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩を含む群から選択される。ハロゲン化物イオンの少なくとも1つの源は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化水素アンモニウム(NH
4HF
2)、HBF
4(フルオロホウ酸)、フッ化アルミニウム(AlF
3)、フッ化アンモニウム(NH
4F)、フッ化カルシウム(CaF
2)、フッ化スズ(SnF)、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化リチウム(LiCl)、塩化セシウム(CsCl)、塩化マグネシウム(MgCl
2)、塩化カルシウム(CaCl
2)、塩化鉛(ll)(PbCl
2)、塩化鉄(ll)(FeCl
2)、塩化鉄(lll)(FeCl
3)、塩化亜鉛(ZnCl
2)、塩化水銀(l)(Hg
2Cl
2)、塩化水銀(ll)(HgCl
2)、塩化バリウム(BaCl
2)、塩化アルミニウム(AlCl
3)、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭化鉄(lll)(FeBr
3)、臭化リチウム(LiBr)、臭化マグネシウム(MgBr
2)、臭化ルビジウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化銅(l)、三ヨウ化ホウ素、ヨウ化リチウム、ヨウ化マグネシウム、およびヨウ化カルシウム; 好ましくはフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化水素アンモニウム(NH
4HF
2)、フッ化アンモニウム(NH
4F)、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム; より好ましくはフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化水素アンモニウム(NH
4HF
2)、フッ化アンモニウム(NH
4F)を含む群から選択される。
【0040】
ハロゲン化物溶液中のハロゲン化物イオンの濃度は、0.03mol/l〜0.4mol/l、好ましくは0.05mol/l〜0.3mol/l、より好ましくは0.1mol/l〜0.2mol/lの範囲である。
【0041】
焼結層とハロゲン化物溶液とを接触させる時間、および焼結層の接触の間のハロゲン化物溶液の温度は、ハロゲン化物イオンを用いないマイクロエッチング剤について上述されたものと同じである。
【0042】
焼結層とハロゲン化物溶液との接触は、さらに、欠陥の数の減少、且つさらに電着された銅層の付着強度の増加をもたらす。例えば、ウィスカーの数は、面積0.2dm
2に相応する焼結層の単位あたり0〜1個のウィスカーに減少される。焼結層とハロゲン化物溶液との接触は、焼結層が銀、チタン、アルミニウムおよび/またはケイ素を含有する場合に特に有利である。
【0043】
1つの実施態様において、本発明の焼結層の前処理は、段階(i)と段階(i.aa)との間に、さらなる段階(i.ab):
(i.ab) 少なくとも1つの導電性の焼結層をアルカリ性洗浄剤と接触させる段階
を含むことができる。
【0044】
アルカリ性洗浄剤は、アルカリ金属の水酸化物(例えば水酸化カリウム)、アルカリ金属のケイ酸塩(例えばケイ酸ナトリウム)および1つまたはそれより多くの界面活性剤を含有する水溶液である。
【0045】
アルカリ性洗浄剤は、有機不純物、例えば指紋、脂肪またはオイル、および焼結工程から生じるクリンカーを除去する。
【0046】
焼結層とアルカリ性洗浄剤との接触時間は、0.1分〜10分、好ましくは0.5分〜8分、より好ましくは0.5分〜5分の範囲である。
【0047】
焼結層とアルカリ性洗浄剤との接触の間、アルカリ性洗浄剤の温度は40℃〜70℃、好ましくは45℃〜65℃、より好ましくは50℃〜60℃の範囲である。
【0048】
1つの実施態様において、本発明の焼結層の前処理は、さらなる段階(i.ac):
(i.ac) 少なくとも1つの導電性の焼結層を酸性洗浄剤と接触させる段階
を含むことができる。
【0049】
方法段階(i.ac)は、段階(i.ab)の代わりに、または段階(i.ab)に追加して実施することができる。方法段階(i.ac)を、段階(i.ab)の代わりに実施する場合、
図2に示すとおり、段階(i.ac)を段階(i)と段階(i.aa)との間に実施する。方法段階(i.ac)を、段階(i.ab)に追加して実施する場合、
図3に示すとおり、段階(i.ac)を段階(i.ab)と段階(i.aa)との間に実施する。
【0050】
酸性洗浄剤は、無機酸、例えば硫酸、リン酸または硝酸; 有機酸、例えば金属イオンと錯体を形成するカルボン酸、例えばギ酸、酢酸またはクエン酸; および1つまたはそれより多くの界面活性剤、例えば非イオン性湿潤剤、例えばアルコキシル化脂肪アルコールを含有する水溶液である。酸性洗浄剤は、酸化物、好ましくは焼結層中の金属酸化物を除去する。
【0051】
焼結層と酸性洗浄剤との接触時間は、1分〜10分、好ましくは2分〜8分、より好ましくは4分〜6分の範囲である。
【0052】
焼結層と酸性洗浄剤との接触の間、酸性洗浄剤の温度は20℃〜50℃、好ましくは25℃〜45℃、より好ましくは30℃〜42℃、最も好ましくは30℃〜38℃の範囲である。
【0053】
方法段階(i.ab)および(i.ac)に引き続き、1つまたはそれより多くの濯ぎ段階を18℃〜25℃の範囲の室温での水を用いて行ってよい。
【0054】
方法段階(i.aa)に引き続き、1つまたはそれより多くの濯ぎ段階を18℃〜25℃の範囲の室温での脱イオン水を用いて行ってよい。
【0055】
本発明による方法は、段階(ii):
(ii) 焼結層と電解銅めっき溶液とを接触させ、且つ、焼結層と少なくとも1つのアノードとの間に電流を印加する段階
をさらに含む。
【0056】
一般に、焼結層を、電着法によって銅で被覆でき、アルカリシアン化物またはアルカリ非シアン化物系、ピロリン酸錯体イオン系、または酸性電解質銅めっき溶液などの電解銅めっき溶液は既知である。酸性電解銅めっき溶液が好ましい。その中で、酸性硫酸およびフルオロボレート銅めっき溶液が、高い電流密度で銅を堆積させるそれらの能力ゆえに好ましい。酸性硫酸銅めっき溶液がより好ましく、なぜなら、それらはあまり高価ではなく、且つ制御がより容易だからである。
【0057】
本発明の電解銅めっき溶液は、酸性銅めっき溶液であってよい。電解銅めっき溶液は、銅(II)イオン、塩化物イオンおよび酸を含む無機のマトリックスを含む。
【0058】
銅(II)イオンは、電解銅めっき溶液中に硫酸銅・五水和物(CuSO
4×5H
2O)または硫酸銅溶液として導入できる。動作範囲は15〜75g/lの銅(II)イオンである。
【0059】
酸は、硫酸、メタンスルホン酸、およびフルオロホウ酸(HBF
4)、好ましくは硫酸およびメタンスルホン酸、より好ましくは硫酸を含む群から選択される。硫酸(H
2SO
4)を、50〜96質量%の溶液として添加する。酸の使用範囲は、20〜400g/l、好ましくは150〜300g/lである。
【0060】
塩化物イオンを塩化ナトリウム(NaCl)として、または塩酸溶液(HCl)として添加する。ここで、塩化物イオンの使用範囲は、20〜200mg/l、好ましくは70〜120g/lである。
【0061】
電解銅めっき溶液はさらに、有機添加剤を含むことができる。有機添加剤は、光沢剤、レベリング剤、
キャリア、湿潤剤およびそれらの混合物の群から選択される。
【0062】
通常、湿潤剤は、0.005〜20g/l、好ましくは0.01〜5g/lの濃度の酸素含有の高分子化合物である。表1に例を示す。
【0063】
【表1】
【0064】
キャリアとして、3000g/molを上回る分子量を有するポリアルキレングリコールポリマーを使用できる。好ましくは、分子量は3000〜6000g/molの範囲である。エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーが好ましい。
キャリアとしての作用に加えて、
キャリアは、湿潤剤としても作用する。表1に挙げられ且つ星印で示された化合物も
キャリアの例である。使用される
キャリアの濃度は、0.1g/lを上回る。好ましくは、
キャリアの濃度は0.1g/l〜3g/l、より好ましくは0.2g/l〜2g/l、さらにより好ましくは0.3g/l〜2g/lの範囲である。
【0065】
本発明の電着方法および電解銅めっき溶液中で
キャリアが使用される場合、堆積された銅層は高純度である。高純度とは、堆積物が98質量%〜100質量%、好ましくは99質量%〜99.95質量%、より好ましくは99.85質量%〜99.95質量%の範囲の量の銅を含有することを意味する。
【0066】
さらには、好ましい
キャリアは応力の少ない堆積銅層をもたらす。これは、厚さ100μm以上を有する銅層の場合に特に有利であり、なぜなら、堆積された銅層は、それらの厚さが厚いにもかかわらず応力が少ないからである。本願において応力が少ないとは、250MPa未満、好ましくは50MPa〜100MPa、より好ましくは10MPa〜50MPa、最も好ましくは1MPa〜10MPaの内部応力を意味する。
【0067】
一般に光沢剤として硫黄含有物質を使用し、それを表2に挙げる。
【0068】
【表2】
【0069】
使用される光沢剤の濃度は、0.1〜100mg/lの範囲である。
【0070】
レベリング剤のポリマー窒素化合物(例えばポリアミンまたはポリアミド)または窒素含有硫黄化合物、例えばチオウレア誘導体またはラクタムアルコキシレート(DE3836521号C2内に記載)を使用できる。好ましいレベリング剤はポリマー窒素化合物、より好ましくはポリアミド、さらにより好ましくはポリマーのラクタムアルコキシレートである。本発明の電着法および電解銅めっき溶液内で使用されるレベリング剤は、高純度で、表面欠陥が少なく且つ導電性および熱伝導性が高い、堆積銅層をもたらす。
【0071】
使用されるレベリング剤の濃度は、0.1〜100mg/lの範囲、好ましくは0.1〜50mg/lの範囲、より好ましくは1〜20mg/lの範囲、さらにより好ましくは1〜10mg/lの範囲、最も好ましくは1〜5mg/lの範囲である。
【0072】
好ましい実施態様において、電解銅めっき溶液は、低濃度のレベリング剤および高濃度の
キャリアを含有する。低濃度のレベリング剤は、1〜10mg/lの範囲であり、高濃度の
キャリアは0.2〜2g/lの範囲である。好ましくは、低濃度のレベリング剤は、1〜5mg/lの範囲であり、高濃度の
キャリアは0.2〜2g/lの範囲である。
【0073】
低濃度のレベリング剤と高濃度の
キャリアとの組み合わせは、堆積銅層の純度をさらに高め、且つ内部応力をさらに低下させる。さらには、高純度の堆積銅層はさらに、銅の導電性を高める。内部応力の少ない堆積銅層は、焼結層と電着銅層との間のさらに付着強度を高めるので有利である。
【0074】
銅(II)イオンは、焼結層上に銅を電着する間に、電解銅めっき溶液中で枯渇する。従って、銅(II)イオンを電着工程の間に補充しなければならない。本発明の1つの実施態様において、銅(II)イオンの補充を、酸化銅(II)(CuO)および/または炭酸銅(II)を添加することによって実施できる。これは、焼結層上への銅の電着のために不活性なアノードが使用される場合に有利である。
【0075】
本発明の方法において、焼結層がカソードとして電気的に接続され且つ電解銅めっき溶液と接触し、且つ焼結層と少なくとも1つのアノードとの間に電流が印加される。電流は直流電流、交流電流またはパルス電流のいずれかである。
【0076】
本発明の1つの実施態様において、印加電流は、3A/dm
2より上、好ましくは3A/dm
2〜20A/dm
2の範囲、より好ましくは3A/dm
2〜15A/dm
2の範囲の平均電流密度を有する。直流電流が焼結層とアノードとの間に印加される場合、平均電流密度は印加された直流電流密度に相応する。交流電流またはパルス電流が印加される場合、平均電流密度はChandrasekarらによって(M.S.Chandrasekar, Malathy Pushpavanam; Pulse and pulse reverse plating − Conceptual advantages and applications; Electrochimica Acta 53 (2008)、3313−3322; 第5章)に記載されたとおりに定義される。
【0077】
本発明による電解銅めっき溶液および電着方法を用いて、3A/dm
2〜15A/dm
2の範囲の高い電流密度で焼結層上に銅層を堆積することが可能であり、且つその銅層は、高い電流での堆積にもかかわらず表面欠陥が少数であり且つ応力が少ない。
【0078】
直流電流はDCと略記され、電荷が1方向にのみ一定に流れる。本発明による焼結層上への銅の電着は、1A/dm
2〜15A/dm
2、好ましくは2A/dm
2〜10A/dm
2、より好ましくは3A/dm
2〜7A/dm
2の範囲の電流密度での直流電流で実施できる。
【0079】
交流電流はACと略記され、電荷が周期的に方向を反転して流れる。
【0080】
パルス電流はパルス電着において使用され、PEDと略記され、電圧または電流が2つの異なる値の間ですみやかに入れ替わる。これは、等しいまたは異なる振幅、持続時間および極性の一連のパルスをもたらす。印加電流の波形は、2つのグループに分けることができる: (1) 単極性の波形および(2) 双極性の波形。
【0081】
単極性の波形においては、全ての電流パルスが一方向である。全ての電流パルスは同じ極性を有する。全ての電流パルスは順方向パルス(カソードパルス)であるか、または全ての電流パルスは逆方向パルス(アノードパルス)である。パルスに、より高いまたはより低い振幅のパルスが続くことができる、またはパルスに無電流(ゼロ電流)時間(本願ではパルス休止とも称する)が続くことができる。パルスはサイクル内に組み入れられ、且つ全てのサイクルにおいて少なくとも1回の順方向電流パルスが生じる。選択的に、全てのサイクルにおいて、少なくとも2つの順方向電流パルスが生じる。選択的に、全てのサイクルにおいて、少なくとも1つの順方向電流パルスおよび少なくとも1つのパルス休止が生じる。
【0082】
本発明において、パルス電着が好ましく、単極性の波形を有するパルス電着がより好ましく、全てのサイクルにおいて少なくとも1つの順方向電流パルスが生じる単極性の波形を有するパルス電着がさらにより好ましく、全てのサイクルにおいて少なくとも1つの順方向電流パルスおよび少なくとも1つのパルス休止が生じる単極性の波形を有するパルス電着が最も好ましい。
【0083】
焼結層上へのパルス電着による銅の堆積は、有利なことに、欠陥の数および電着銅層内の応力の著しい減少をもたらす。この効果は、サイクルが順方向電流パルスとパルス休止とを含む単極性の波形を用いたパルス電着によって銅が堆積される場合にさらに顕著である。
【0084】
順方向電流パルスの電流密度は3A/dm
2〜20A/dm
2の範囲である。
【0085】
順方向電流パルスの持続時間は20ms〜300msの範囲である。
【0086】
パルス休止の持続時間は0.5ms〜100msの範囲である。
【0087】
双極性波形においては、逆方向(アノード)および順方向(カソード)パルスが混在している。1つの極性(順方向または逆方向)のパルスに、反対の極性のパルスが続くことができる。これはパルス逆方向電流技術、略してPRCと称される。さらには、パルスにパルス休止が続くことができる。パルス逆方向電流をサイクルに供給し、且つ全てのサイクルにおいて少なくとも1つの順方向電流パルスおよび少なくとも1つの逆方向電流パルスが生じる。選択的に、全てのサイクルにおいて、少なくとも1つの順方向電流パルス、少なくとも1つの逆方向電流パルス、および少なくとも1つのパルス休止が生じる。
【0088】
本発明による焼結層上の銅の電着のために適したアノードは、当該技術分野において公知の可溶性または不活性アノードである。4A/dm
2以上の電流密度で堆積が実施される場合、不活性アノードが好ましい。不活性アノードの使用は、より短いめっき時間しか必要とせず且つより良好な表面分布をもたらす、より高い電流密度での電着を実施できるという利点がある。
【0089】
めっき時間は、本発明の電着法において印加される電流密度、および焼結層上に電着される銅層の所望の厚さに依存する。例えば、3A/dm
2での電着が7.5時間実施されると300μm厚の銅層が得られ、且つ10A/dm
2での電着が2.3時間実施されると、300μm厚の銅層が得られる。
【0090】
工程温度(堆積の間の電解銅めっき溶液の温度を意味する)は、15℃〜60℃、好ましくは15℃〜50℃、より好ましくは20℃〜40℃、さらにより好ましくは20℃〜30℃、最も好ましくは22℃〜25℃の範囲である。
【0091】
焼結層上への銅の電着の間、電解銅めっき溶液を撹拌できる。電解質の撹拌を、空気撹拌によって、スパージャーによって、エダクターによって、電解質を焼結層上に噴霧することによって、またはパネルの運動(キャリアバーの運動とも称される)によって、好ましくはスパージャーおよび/またはパネルの運動によって実施できる。スパージャーがパネルの運動と併用して使用される場合、パネルの運動(この場合、ナイフの運動とも称される)は、スパージャーの流れの方向に対して90°の角度で実施される。
【0092】
本発明の方法の好ましい実施態様において、電流が焼結層とアノードとの間に既に印加されている際に、焼結金属層を電解銅めっき溶液中に差し込む。好ましい代替法としては、電流がまだオフになっているときに、焼結金属層を電解銅めっき溶液中に差し込む。この場合、焼結層を電解質中に差し込んだ後、非常に短い時間内で焼結層とアノードとの間に電流を印加する。本願において非常に短い時間とは、1秒〜2秒の範囲の時間を意味する。この実施態様は、電着銅層と焼結層との間の付着強度におけるさらなる増加、および電着銅層内の欠陥数のさらなる減少をもたらす。
【0093】
1つの実施態様において、本発明の方法は、段階(i.a)と(ii)との間にさらなる段階(ii.a):
(ii.a) 焼結層と電解銅めっき溶液とを接触させ、且つ、方法段階(ii)におけるものよりも短い時間の間、焼結層と少なくとも1つのアノードとの間に電流を印加する段階
を含むことができる。
【0094】
段階(ii.a)は、本願において予備めっき段階とも称される。より短い時間の予備めっき段階は、1〜10分、好ましくは4〜6分の範囲の時間を意味する。予備めっき段階を、段階(ii)と同じ電解銅めっき溶液中で、同じアノードを用い且つ同じ温度で実施する。予備めっき段階を、0.5〜2A/dm
2の範囲の低電流密度で直流電流を使用して実施する。予備めっき段階から得られる銅層の厚さは、0.1μm〜3μm、好ましくは0.5〜1.5μmの範囲である。この方法段階は有利にも、引き続き方法段階(ii)によってめっきされるべき表面の平坦性を強化し、且つ、方法段階(ii)の間に電着される銅層の付着性をさらに高める。
【0095】
本発明の方法は、バッチ式で実施されてもよいし、搬送ライン式(水平または垂直)で実施されてもよく、好ましくはバッチ式である。
【0096】
1つの実施態様において、本発明の方法は段階(iii)の後にさらなる段階(iii.a):
(iii.a) 上に堆積銅層を有する焼結層を200℃〜500℃の範囲の温度で保持する段階
を含むことができる。
【0097】
段階(iii.a)は、本願においてアニール段階とも称される。該アニール段階を、10分〜400分の範囲の時間の間実施する。有利には、アニール段階は、延性の増加、電着された銅層の内部応力のさらなる減少、および電着銅層と焼結層との間の付着強度のさらなる増加をもたらす。
【0098】
本発明による方法を用いて、厚い銅層を焼結層上に電着できる。この厚い銅層は、100μm〜600μm、好ましくは100μm超〜600μm、より好ましくは150μm〜600μm、さらにより好ましくは200μm〜400μm、最も好ましくは200μm〜300μmの範囲の厚さを有する。
【0099】
銅層を焼結層上に電着して、焼結層の表面全体を連続層として被覆することができる。または、銅層を電着して、焼結層表面の1つまたはそれより多くの部分のみを被覆することができる。
【0100】
さらなる実施態様において、本発明の方法は、焼結層表面上に二次元の銅構造を生成するためのさらなる段階を含むことができる。好ましくは該二次元の銅構造は回路パターンである。
【0101】
本発明の方法の1つの実施態様において、金属粉末を含有するペーストを既に回路パターンの形態で基板表面に施与する。ペーストの焼結後、焼結されたパターン上に本発明の方法によって銅を電着する。従って、電着された銅は既に回路パターンを示している。
【0102】
本発明の方法のさらなる実施態様において、導電性の焼結層は、連続層として基板の表面全体を被覆する。
【0103】
本発明の方法のさらなる実施態様において、導電性の焼結層は、連続層として基板の表面全体を被覆し、且つ電着銅層は連続層として焼結層の表面全体を被覆する。
【0104】
この2つの実施態様において、銅の回路パターンは従来技術、例えばプリント回路を製造するために当該技術分野において公知の技術によって形成される。プリント回路は、銅を、回路の所望の電気経路に相応するパターンにエッチングするエッチング工程によって製造される。プリント回路の形成において、マスクレジストを焼結層または電着銅層に、シルクスクリーン印刷によって施与する。焼結層を有する基板、および適用可能である場合は電着銅層を次に、エッチング溶液の浴、一般には塩酸の水溶液に浸漬する。適切な時間の後、銅および焼結層が、マスクされていない領域において基板に達するまで塩酸によって除去されて、銅の回路パターンが製造される。プリント回路を製造するための従来の技術は、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、およびフルアディティブ法を含む。
【0105】
本発明の方法のさらなる実施態様において、導電性の焼結層は連続層として基板表面全体を被覆し、且つレジストのマスクが焼結層上に施与される。その後、方法段階(ii)および(iii)を実施する。さらに、任意の方法段階を実施することができるが、方法段階(i.ab)は除外される。この実施態様において、方法段階(i.ab)、焼結層とアルカリ性洗浄剤との接触は
図2に示されるとおり実施されない。
【0106】
本発明の方法のさらなる実施態様において、導電性の焼結層は、レジストのマスクによって被覆されない。この実施態様においては、方法段階(ii)および(iii)を実施し、且つ、
図3に示されるとおり方法段階(i.ab)を含む全てのさらなる任意の方法段階を実施できる。
【0107】
本発明の方法を用いて、銅層を導電性の焼結層上に電着することが可能であり、且つその銅層は焼結層への優れた付着性を有する。付着強度を試験するために使用されることが知られている剥離試験において、電着された銅層を、下にある焼結層から分離することはほぼ不可能である。むしろ、銅層が焼結層から取り外されるよりは基板が破壊する。
【0108】
本発明の方法を用いてさらに、銅層を導電性の焼結層上に電着することが可能であり、且つその銅層は100μm〜600μmの範囲の厚い厚さおよび高純度を有する。電着銅層は少数の欠陥しか有さず、そのことは銅層が欠陥をほぼ含まないことを意味する。電着銅層は内部応力が少なく、そのことは銅層が内部応力が乏しく且つ内部応力をほぼ有さないことを意味する。それらの特性は、電着銅層に非常に高い導電性並びに非常に高い熱伝導性を付与する。さらには、銅層の内部応力が少ないことは、基板内のたわみまたはクラックの発生を防ぐために有利である。
【0109】
本発明の方法を用いてさらに、銅層を導電性の焼結層上に電着することが可能であり、且つその銅層は高い延性、低い表面粗さ、および均質な厚さ分布を有する。
【0110】
非常に高い導電性および非常に高い熱伝導性のために、本発明の方法によって焼結層上に電着された銅層は、高出力電子用途のために、特に高出力電子用途用のプリント回路板のために特に適している。
【0111】
例1: 本発明による例
長さ188mmおよび幅137mmの寸法を有する窒化アルミニウム製のセラミック基板を以下の実施例において使用した。該基板を、銅およびチタンを含有する導電性の焼結層で被覆した。該基板を本発明の方法によって金属被覆した。
【0112】
表3: 基板の前処理手順:
【表3】
【0113】
ハロゲン化物溶液の組成:
100g/lのペルオキソ二硫酸二ナトリウム
20g/lの硫酸水素ナトリウム
0.15mol/lのフッ化ナトリウム
60g/lの硫酸(H
2SO
4)。
【0114】
前処理後、基板を銅の電着に供した。まず基板を電解銅堆積浴中で5分間、電流密度1A/dm
2での直流電流を使用して予備めっきした(方法段階(ii.a)に相応)。その後、基板を電解銅堆積浴と接触させ、以下の条件に従ってめっきした(方法段階(ii)に相応)。該電解銅堆積浴は、レベリング剤、光沢剤および
キャリア(InPro A200、Atotech GmbHの製品)を含有する従来の酸性硫酸銅めっき浴であった。
【0115】
めっき条件:
直流電流: 電流密度: 5.5A/dm
2、前面での電流: 70A、裏面での電流: 40A
めっき時間=165分。
【0116】
基板の前処理および電着の結果を
図1に示す。本発明によって処理された基板(
図1A)は、光沢があり且ついかなる欠陥も有さない滑らかな堆積銅層を有する。前処理および銅を電着するための従来の方法によって処理された同一の基板を、
図1Bに示す。
図1Bにおける基板は、多数のノジュールを有する粗く且つ艶消しの堆積銅層を有する。
【0117】
例2: 本発明の例および比較例
長さ188mmおよび幅137mmの寸法を有する酸化アルミニウム製のセラミック基板を以下の実施例において使用した。基板は、銀−銅−チタン合金製の導電性の焼結層のパターンを有する。従って、基板の一部を導電性の焼結層で被覆し、他の部分は焼結層がなく、セラミック表面が剥き出しであった。従って、焼結層のない部分は電気的に絶縁されており、且つ絶縁領域または非伝導性領域と称される。基板を、前処理段階(i.aa)を変化させて前処理し、前処理段階の全体の手順を表4に示す。前処理された基板を本発明の方法によって金属被覆した。
【0118】
表4: 焼結層の前処理手順:
【表4】
【0119】
表5: 前処理段階(i.aa)
【表5】
【0120】
前処理後、基板を銅の電着に供した。まず基板を電解銅堆積浴中で5分間、電流密度1A/dm
2での直流電流を使用して予備めっきした(方法段階(ii.a)に対応)。その後、基板を電解銅堆積浴と接触させ、以下の条件に従ってめっきした(方法段階(ii)に相応)。電解銅堆積浴は、銅(II)イオン、硫酸、塩化物イオン、光沢剤、レベリング剤を1〜10mg/lの濃度範囲で、および
キャリアを0.2〜2g/lの濃度範囲で含有する酸性硫酸銅めっき浴であった。基板の前処理および電着の結果を表6に要約する。
【0121】
めっき条件:
直流電流: 電流密度: 5.5A/dm
2、前面での電流: 14A、裏面での電流: 14A、めっき時間=252分。
【0122】
表6: 基板上の焼結層の前処理および電着の結果
【表6】
【0123】
本発明によって処理された基板(基板1および2)は、光沢があり且ついかなる欠陥も有さない滑らかな堆積銅層を有する。対照的に、従来の方法によって前処理された基板(基板3)上に堆積された銅層は、多くの欠陥を示す。この基板上への焼結層は銅で被覆され、さらには焼結層のない基板の部分、いわゆる絶縁領域も、銅で被覆された。基板のそれらの部分は、電着段階の間、その上への銅の堆積を防ぐために、意図的に焼結層を有さないままにされた。セラミック基板が電気的に非伝導性であるため、従来の前処理段階は、絶縁領域が何らかの形で伝導性を付与されたと結論付けられる。
【0124】
例3: 本発明の例および比較例
本発明により堆積された、および従来の銅堆積浴からの銅層の内部応力を測定した。本発明による銅電着浴は、銅(II)イオン、硫酸、塩化物イオン、光沢剤、レベリング剤を1〜10mg/lの濃度範囲で、および
キャリアを0.2〜2g/lの濃度範囲で含有した。この浴を基板4〜6をめっきするために使用した。
【0125】
使用された従来の銅電着浴は、銅(II)イオン、硫酸、塩化物イオンおよび有機添加剤を含有した。この浴を基板7〜9をめっきするために使用した。
【0126】
基板は応力の測定用の試験片であった。該基板を1分間、酸性洗浄剤(Atotech GmbH製のCupraPro S8 Cleaner)で、30秒間、10% w/vの硫酸で前処理した。該基板を電解銅堆積浴と接触させ、表7に要約される条件に従ってめっきした。
【0127】
全ての基板は、付着性で光沢のある、無欠陥の銅層で完全に被覆された。
【0128】
銅被覆における応力を以下のとおりに測定した。試験片は鋼合金(41% Ni、58% Fe、0.8% Mn)製であり、ばねのような特性を有する。堆積後、試験片を試験用スタンド(Deposit 10 stress analyzer Model No. 683、Specialty Testing & Development Co.、York、PA、米国)上に載置し、前記試験用スタンドは、堆積後に試験片の足部が広がった距離を測定する。この距離Uは、堆積の応力を計算する式に含まれる。
【0129】
応力=U/3*T*K
Uは増大する広がりの数値であり、Tは堆積厚であり、且つKは前記片の較正定数である。
【0130】
堆積厚Tは、増量法によって決定され、且つ、以下の式に従って決定される: T=W/D*A、前記式中、W=グラムでの堆積重量、D=1cm
3当たりのグラムでの堆積された金属の比重、且つA=cm
3での表面積。
【0131】
測定された試験片の各々のロットは、堆積応力試験に使用される場合、わずかな差異で応答するであろうことが認識される。この程度の差異は、試験片の各々のロットが較正される場合に、製造元によって測定される。Kについての値は、Specialty Testing & Development Coによって提供される試験片の各々のロットと共に提供される。
【0132】
応力が圧縮性または引張性であるかも測定される。試験片の足部がめっきされた側の上で外向きに広がる場合、堆積応力は引張性である。試験片の足部がめっきされた側の上で内向きに広がる場合、堆積応力は圧縮性である。堆積された銅層の応力の値を表7に要約する。
【0133】
表7: 基板、めっき条件および得られた応力値
【表7】
【0134】
RTは20〜25℃の間の温度である。
【0135】
応力値は、本発明により堆積された銅層が非常に低い引張応力を有する一方で、従来の堆積浴から堆積された銅層は著しく高い引張応力を有することを示す。