(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抗体が、(i)American Type Culture Collection(ATCC)にPTA−10772として寄託されているプラスミドによってコードされる重鎖のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む重鎖、および(ii)ATCCにPTA−10774として寄託されているプラスミドによってコードされる軽鎖のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の前記組成物。
前記免疫抱合体が、DM4と、(i)American Type Culture Collection(ATCC)にPTA−10772として寄託されているプラスミドによってコードされる重鎖のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む重鎖、および(ii)ATCCにPTA−10774として寄託されているプラスミドによってコードされる軽鎖のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体とを含み、前記DM4が、スルホ−SPDBによって前記抗体に連結している、請求項1〜9のいずれか一項に記載の前記組成物。
前記免疫抱合体が、DM4と、(i)配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖および(ii)配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む抗体とを含み、前記DM4が、スルホ−SPDBによって前記抗体に連結している、請求項1〜9のいずれか一項に記載の前記組成物。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、FOLR1結合免疫抱合体のための新規の投薬レジメンを提供する。
I.定義
【0027】
本発明の理解を促すために、いくつかの用語及び語句を以下に定義する。
【0028】
本明細書で使用する場合、用語「ヒト葉酸受容体1」、「FOLR1」、または「葉酸受容体アルファ(FR−α)」は、別途記載のない限り、任意の天然ヒトFOLR1を指す。故に、これらの用語の全ては、本明細書で示される、タンパク質または核酸配列のいずれをも指し得る。用語「FOLR1」は、「完全長」のプロセシングされていないFOLR1、及び細胞内でのプロセシングからもたらされるFOLR1のいずれの形態をも包含する。この用語はまた、FOLR1の自然発生変異体、例えば、スプライス変異体、対立遺伝子変異体、及びイソ型を包含する。本明細書に記載のFOLR1ポリペプチドは、ヒト組織型または別の起源など多様な起源から単離するか、あるいは組み換えまたは合成法によって調製することができる。FOLR1配列の例としては、NCBI参照番号P15328、NP_001092242.1、AAX29268.1、AAX37119.1、NP_057937.1、及びNP_057936.1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
用語「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を通じて、標的、例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、または前述のものの組み合わせを認識し、それに特異的に結合する、免疫グロブリン分子を意味する。本明細書で使用する場合、用語「抗体」は、抗体が、所望の生物学的活性を呈する限り、抗体の抗原決定部分を含む、少なくとも2つの無傷の抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、融合タンパク質、ならびに抗原認識部位を含む、任意の他の修飾された免疫グロブリンから生成される、無傷のポリクローナル抗体、無傷のモノクローナル抗体、その抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片)、単鎖Fv(scFv)突然変異体、二重特異性抗体などの多特異性抗体を包含する。抗体は、いずれの5つの主要なクラスの免疫グロブリン、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMのもの、または、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューと称される、それらの重鎖定常ドメインの同一性に基づいて、それらのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)のものであってもよい。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なった周知のサブユニット構造、及び3次元構成を有する。抗体は、裸であるか、または毒素、放射性同位体などの他の分子に抱合されてもよい。
【0030】
「遮断」抗体または「拮抗」抗体は、FOLR1など、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害または減少させるものである。いくつかの実施形態において、遮断抗体または拮抗抗体は、抗原の生物学的活性を実質的または完全に阻害する。生物学的活性は、10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%、95%、または更には100%減少することができる。
【0031】
用語「抗FOLR1抗体」または「FOLR1に結合する抗体」は、FOLR1を標的とすることにおいて、抗体が診断及び/または治療薬として有用であるように十分な親和性をもって、FOLR1と結合する能力のある抗体を指す。無関係の非FOLR1タンパク質への抗FOLR1抗体の結合範囲は、例えば、放射免疫測定(RIA)によって測定した場合、FOLR1への抗体の結合の約10%未満であり得る。ある特定の実施形態では、FOLR1に結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、または0.1nM以下の解離定数(Kd)を有する。
【0032】
用語「抗体断片」は、無傷の抗体の一部分を指し、無傷の抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、抗体断片から形成される、線形抗体、単鎖抗体、及び多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
「モノクローナル抗体」は、単一の抗原決定基またはエピトープの高度に特異的な認識及び結合に関与する、同種の抗体集団を指す。これは、異なる抗原決定基に向けられる異なる抗体を典型的に含む、ポリクローナル抗体とは対照的である。用語「モノクローナル抗体」は、無傷及び全長の両方であるモノクローナル抗体、ならびに抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、単鎖(scFv)突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ならびに、抗原認識部位を含む任意の他の修飾された免疫グロブリン分子を包含する。更に、「モノクローナル抗体」は、限定されるものではないが、ハイブリドーマ、ファージ選択、組み換え発現、及びトランスジェニック動物を含む、任意の数の手段で作製されたかかる抗体を指す。
【0034】
用語「ヒト化抗体」は、特異的免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、または最小非ヒト(例えば、マウス)配列を含むそれらの断片である、非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態を指す。典型的に、ヒト化抗体は、相補性決定領域(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有する、非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDRの残基で置き換えられた、ヒト免疫グロブリンである(Jones et al.,1986,Nature,321:522−525、Riechmann et al.,1988,Nature,332:323−327、Verhoeyen et al.,1988,Science,239:1534−1536)。いくつかの事例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、所望の特異性、親和性、及び能力を有する非ヒト種由来の抗体の対応する残基で置き換えられる。ヒト化抗体は、抗体の特異性、親和性、及び/または能力を精錬及び最適化するために、Fvフレームワーク領域及び/または置き換えられた非ヒト残基内のいずれかにおける更なる残基の置換によって、更に修飾されてもよい。一般的に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDR領域のうち全てまたは実質的に全てを含む、少なくとも1つ、典型的には2つ、または3つの可変ドメインのうち、実質的に全てを含むことになるが、一方で、実質的に全てのFR領域は、ヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含んでもよい。ヒト化抗体を生成するために使用される方法の例は、米国特許第5,225,539号に記載されている。いくつかの実施形態では、「ヒト化抗体」は、表面再構成(resurfaced)抗体である。
【0035】
抗体の「可変領域」は、単独または組み合わせのいずれかの、抗体の軽鎖の可変領域または抗体の重鎖の可変領域を指す。重鎖または軽鎖の可変領域は、各々、超可変領域としても既知の3つの相補性決定領域(CDR)によって接続される、4つのフレームワーク領域(FR)から構成される。各鎖内のCDRは、もう一方の鎖のCDRとともに、FRによって近接して結合され、抗体の抗原結合部位の形成に貢献する。CDRを決定するための技法は少なくとも2つあり、それらは、(1)異種間配列変異性に基づく手法(すなわち、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,(5th ed.,1991,National Institutes of Health,Bethesda Md.))、及び(2)抗原抗体複合体の結晶学的研究に基づく手法(Al−lazikani et al(1997)J.Molec.Biol.273:927−948))である。加えて、CDRを決定するために、これらの2つのアプローチの組み合わせを当該技術分野において使用する場合がある。
【0036】
Kabatの番号付けシステムは、概して、可変ドメイン(おおよそ軽鎖の残基1〜107及び重鎖の残基1〜113)内の残基を参照する場合に使用される(例えば、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest.5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。
【0037】
Kabatのようなアミノ酸位置の番号付けとは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)における、抗体の編集の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用される番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用することにより、実際の直線アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはCDRの短縮化、またはそこへの挿入に対応する、少数または追加のアミノ酸を含むことができる。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後ろに単一のアミノ酸挿入物(Kabatによる残基52a)、及び重鎖FR残基82の後ろに挿入された残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、及び82cなど)を含んでもよい。残基のKabat番号付けは、所定の抗体に対して、抗体の配列の相同性領域における、「標準的な」Kabat番号付けを行った配列との配列比較によって、決定することができる。Chothiaは、代わりに、構造的ループの位置について言及する(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901−917(1987))。Kabat番号付け慣例を使用して番号付けした場合、ChothiaのCDR−H1ループの末端は、ループの長さに応じてH32〜H34間で変化する(これは、Kabat番号付けスキームが、H35A及びH35Bに挿入を行うためであり、35Aも35Bも存在しない場合、ループは32で終了し、35Aのみが存在する場合、ループは33で終了し、35A及び35Bの両方が存在する場合、ループは34で終了する)。AbM超可変領域は、KabatのCDRとChothiaの構造的ループとの間の中間を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される。
【表A】
【0038】
用語「ヒト抗体」は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して製造される、ヒトによって生成される抗体、またはヒトによって生成される抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体を意味する。ヒト抗体のこの定義には、無傷もしくは全長抗体、その断片、ならびに/またはマウス軽鎖及びヒト重鎖ポリペプチドを含む抗体など、少なくとも1つのヒト重鎖及び/または軽鎖ポリペプチドを含む抗体が含まれる。
【0039】
用語「キメラ抗体」は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が、2つ以上の種に由来する、抗体を指す。典型的には、軽鎖及び重鎖の両方の可変領域は、所望の特異性、親和性、及び能力を有する哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)の1つの種に由来する抗体の可変領域に対応し、一方で、定常領域は、その種での免疫反応を誘発することを避けるために、別のもの(通常、ヒト)に由来する抗体における配列と相同である。
【0040】
用語「エピトープ」または「抗原決定基」は、本明細書で交換可能に使用され、特定の抗体によって認識及び特異的に結合される能力のある抗原の部分を指す。抗原がポリペプチドの場合、エピトープは、連続するアミノ酸、及びタンパク質の3次折り畳みによって並置される、不連続のアミノ酸の両方から形成され得る。連続するアミノ酸から形成されたエピトープは、典型的に、タンパク質の変性時に保持されるが、一方で3次折り畳みによって形成されたエピトープは、典型的に、タンパク質の変性時に失われる。エピトープは、典型的に、固有の空間配座に、少なくとも3個、より一般的には少なくとも5または8〜10個のアミノ酸を含む。
【0041】
「結合親和性」とは、概して、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位と、その結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有相互作用の総合計の強度を指す。別段の指定がない限り、本明細書において使用される際、「結合親和性」は、結合ペアのメンバー(例えば、抗体と抗原)間の1:1の相互作用を反映する、内在性の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は、概して、解離定数(Kd)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載のものを含む、当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は、一般的に、ゆっくりと抗原に結合し、容易に解離する傾向にあるが、一方で、高親和性抗体は、一般的に、より速く抗原に結合し、より長く結合された状態に留まる傾向にある。結合親和性を測定する種々の方法が、当該技術分野で既知であり、そのうちの任意のものを、本発明の目的に使用することができる。特定の例示的な実施形態を、以下に記載する。
【0042】
結合親和性に関して本明細書で使用する場合の「またはそれよりも優れた」とは、分子とその結合パートナーとの間のより強い結合を指す。本明細書で使用する場合の「またはそれよりも優れた」とは、より小さい数のKd値によって表される、より強い結合を指す。例えば、抗原に対する親和性が、「0.6nMまたはそれよりも優れた」である抗体は、その抗原に対する抗体の親和性が、0.6nM未満、すなわち、0.59nM、0.58nM、0.57nMなど、または0.6nM未満の任意の数値である。
【0043】
「特異的に結合する」とは、一般的に、抗体が、その抗原結合ドメインを介してエピトープに結合すること、及びその結合が、抗原結合ドメインとエピトープとの間にいくらかの相補性をもたらすこと、を意味する。この定義に従って、抗体は、それが、その抗原結合ドメインを介して、あるエピトープに、無作為の無関係なエピトープに結合する場合よりも容易に結合する場合、そのエピトープに「特異的に結合する」と言われる。用語「特異性」は、ある抗体があるエピトープに結合する相対的な親和性を規定して、本明細書に使用される。例えば、抗体「A」は、所定のエピトープに対して、抗体「B」よりも高い特異性を有すると見なすことができるか、または抗体「A」は、関連するエピトープ「D」に対して有するものよりも、高い特異性でエピトープ「C」に結合すると言われ得る。
【0044】
「優先的に結合する」とは、抗体が、関連、類似、相同、または相似エピトープへの結合よりも容易に、あるエピトープに特異的に結合することを意味する。したがって、所定のエピトープに「優先的に結合」する抗体は、かかる抗体が、関連エピトープと交差反応し得る場合であっても、関連エピトープよりも、そのエピトープに結合する可能性が高い。
【0045】
抗体は、それが、ある程度エピトープへの参照抗体の結合を妨害する程度まで、そのエピトープに優先的に結合する場合、所定のエピトープへの参照抗体の結合を、「競合的に阻害する」と言われる。競合的阻害は、当該技術分野で既知の任意の方法、例えば、競合ELISAアッセイによって判定することができる。抗体は、所定のエピトープへの参照抗体の結合を、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%、競合的に阻害すると言われ得る。
【0046】
本明細書で使用する場合、語句「実質的に類似」または「実質的に同じ」とは、当業者が、2つの値の間の差異を、該値(例えば、Kd値)によって測定される生物学的特徴の範囲内に、生物学的及び/または統計学的有意性がほとんどないか、またはないとみなすような、2つの数値(一般的に、一方は本発明の抗体と関連し、もう一方は、参照/比較抗体と関連する)間の十分に高い程度の類似性を意味する。該2つの値の間の差異は、参照/比較抗体の値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満であってもよい。
【0047】
「単離された」ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、天然に見られない形態のポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物である。単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物には、もはや天然に見られる形態ではない程度まで精製されているものが含まれる。いくつかの実施形態において、単離された抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、実質的に純粋である。
【0048】
本明細書で使用する場合、「実質的に純粋」とは、少なくとも50%純粋(すなわち、汚染物質を含まない)、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも98%純粋、または少なくとも99%純粋な物質を指す。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「免疫抱合体」または「抱合体」は、細胞結合剤(すなわち、抗FOLR1抗体もしくはその断片)に結合され、一般式、C−L−Aによって定義され、式中、C=細胞毒素、L=リンカー、及びA=抗FOLR1抗体もしくは抗体断片である、化合物またはその誘導体を指す。免疫抱合体はまた、逆の順序の一般式、A−L−Cによって定義されてもよい。
【0050】
用語「IMGN853」は、huMov19抗体、スルホSPDBリンカー、及びDM4マイタンシノイドを含有する、本明細書に記載の免疫抱合体を指す。huMov19抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を持つ可変重鎖と配列番号5のアミノ酸配列を持つ可変軽鎖とを含む。
【0051】
「リンカー」は、安定した共有結合方式で、通常はマイタンシノイドなどの薬物である化合物を、抗FOLR1抗体またはその断片などの細胞結合剤と結合させる能力のある任意の化学部分である。リンカーは、化合物または抗体が、活性に留まる条件下において、酸誘発性開裂、光誘発性開裂、ペプチダーゼ誘発性開裂、エステラーゼ誘発性開裂、及びジスルフィド結合開裂の影響を受けやすいか、または実質的に抵抗性であり得る。好適なリンカーは、当該技術分野で周知であり、例えば、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定性基、光解離性基、ペプチダーゼ不安定性基、及びエステラーゼ不安定性基が挙げられる。リンカーにはまた、本明細書に記載、及び当該技術分野で既知の、荷電リンカー及びその親水性形態が含まれる。
【0052】
用語「癌」及び「癌性」は、細胞の集団が、制御されない細胞成長によって特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態を指すか、または表す。癌の例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が挙げられるが、これらに限定されない。かかる癌のより具体的な例としては、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌腫、腹膜の癌、肝細胞癌、消化管癌、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、直腸結腸癌、上皮性または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓癌腫、及び種々の型の頭頚部癌が挙げられる。癌は、FOLR1を発現する癌であり得る。
【0053】
「腫瘍」及び「新生物」は、前癌性病変を含む、良性(非癌性)または悪性(癌性)のいずれかの過剰な細胞の成長または増殖からもたらされる任意の組織塊を指す。
【0054】
用語「癌細胞」、「腫瘍細胞」、及び同義語は、腫瘍細胞集団の大部分を構成する非腫瘍原性細胞及び腫瘍原性幹細胞(癌幹細胞)の両方を含む、腫瘍または前癌性病変に由来する細胞の全集団を指す。本明細書で使用する場合、単に、再生及び分化する能力を欠くような腫瘍細胞を指している場合の用語「腫瘍細胞」は、そのような腫瘍細胞を癌幹細胞から区別するために、用語「非腫瘍原性」によって修飾されるであろう。
【0055】
用語「対象」は、具体的な治療の受容者となる、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類などを含むがこれらに限定されない、任意の動物(例えば、哺乳動物)を指す。典型的に、「対象」及び「患者」は、ヒト対象を指して、本明細書で交換可能に使用される。
【0056】
用語「理想体重」(IBW)は、総体重と無関係であるサイズ記述子を指す。IBWは、性別及び身長、ならびに任意選択で体格サイズを補正した体重の見積もりである。IBWは、例えば、式、IBW=0.9H−88(男性向け)及びIBW=0.9H−92(女性向け)を使用して計算することができ、式中、Hはcm単位の身長である。
【0057】
用語「除脂肪体重」(LBW)は、部分脂肪量(FM
frac)を説明し得るサイズ記述子を指す。LBWは、総体重からFM
frac及び体重の積を引いたものと等しい。LBWは、例えば、式、LBW=1.10×kg単位の体重−128([kg単位の体重]
2/[100×メートル単位の身長]
2)(男性向け)及びLBW=1.07×kg単位の体重−148([kg単位の体重]
2/[100×メートル単位の身長]
2)(女性向け)を使用して計算することができる。
【0058】
用語「調整理想体重」(AIBW)または「調整体重」(ADJ)は、性別、総体重、及び身長を説明するサイズ記述子を指す。AIBW及びADJは、本明細書全体で交換可能に使用される。AIBW(ADJ)は、例えば、式、ADJ=IBW+0.4(kg単位の体重−IBW)を使用して計算することができる。
【0059】
IBW、LBW、及びAIBW(ADJ)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Green and Duffull,British Journal of Clinical Pharmacology 58:119−133(2004)中でより詳細に考察されている。
【0060】
1つ以上の更なる治療剤との「組み合わせ」投与には、同時(併用)及び任意の順序での連続投与が含まれる。
【0061】
用語「薬学的製剤」は、活性成分の生物学的活性を有効にすることができるような形態にあり、製剤が投与されるであろう対象に対して許容できないほど毒性である追加の構成成分を含有しない、調製物を指す。製剤は滅菌であり得る。
【0062】
本明細書に開示の抗体または免疫抱合体の「有効量」は、具体的に提示される目的を実行するのに十分な量である。「有効量」は、提示される目的に関して、経験に基づいて、通常の方法で、決定することができる。
【0063】
用語「治療有効量」は、対象または哺乳動物において、疾患または障害を「治療」するのに有効な抗体または他の薬物の量を指す。癌の場合、治療有効量の薬物は、癌細胞の数を減少させること、腫瘍サイズを減少させること、末梢器官への癌細胞の浸潤を阻害する(すなわち、ある程度遅延させ、ある特定の実施形態では停止させる)こと、腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度遅延させ、ある特定の実施形態では停止させる)こと、腫瘍成長をある程度阻害すること、癌と関連付けられる症状のうちの1つ以上をある程度緩和すること、及び/あるいは、無増悪生存期間(PFS)、無疾患生存期間(DFS)、もしくは全生存期間(OS)の増加、完全寛解(CR)、部分寛解(PR)、または場合によっては、疾患安定(SD)、疾患進行(PD)の減少、無増悪期間(TTP)の短縮、卵巣癌の場合にはCA125の減少、またはこれらの任意の組み合わせなどの好ましい反応をもたらすことができる。
【0064】
本明細書における「治療」の定義を参照されたい。その薬物が、既存の癌細胞の成長の予防及び/または殺傷を行うことができる限り、それは、細胞増殖抑制性及び/または細胞毒性であってもよい。ある特定の実施形態では、増加したFOLR1レベルの特定により、減少した量のFOLR1標的化治療薬を投与することで、より高い用量を用いる場合に見られるものと同じ治療的効果を達成することができる。「予防的有効量」は、必要な用量及び期間で、所望の予防的結果を達成するのに有効な量を指す。必ずしもそうではないが、典型的には、予防的投与は、疾患の初期段階の前またはその時点で使用されるため、予防的有効量は、治療有効量を下回ることになる。
【0065】
用語「好ましく反応する」は、概して、対象において有益な状態を引き起こすことを指す。癌治療に関しては、この用語は、対象に治療的効果を提供することを指す。癌における肯定的な治療的効果は、ある数の方法で測定することができる(W.A.Weber,J.Nucl.Med.50:1S−10S(2009)を参照されたい)。例えば、腫瘍成長阻害、分子マーカー発現、血清マーカー発現、及び分子イメージング技法全てが、抗癌治療薬の治療的有効性を評定するために使用され得る。腫瘍成長阻害に関しては、NCI基準に従い、42%以下のT/Cが抗腫瘍活性の最低レベルである。T/C(%)=被治療者の平均腫瘍体積/対照の腫瘍体積×100により、10%未満のT/Cは、抗腫瘍活性レベルが高いと考えられる。好ましい反応は、例えば、無増悪生存期間(PFS)、無疾患生存期間(DFS)、もしくは全生存期間(OS)の増加、完全寛解(CR)、部分寛解(PR)、または場合によっては、疾患安定(SD)、疾患進行(PD)の減少、無増悪期間(TTP)の短縮、卵巣癌の場合にはCA125の減少、またはこれらの任意の組み合わせによって評定することができる。
【0066】
PFS、DFS、及びOSは、国立がん研究所、及び新薬認可のための米国食品医薬品局によって規定された基準によって測定することができる。Johnson et al,(2003)J.Clin.Oncol.21(7):1404−1411を参照されたい。
【0067】
「無増悪生存期間」(PFS)は、登録から疾患の進行または死亡までの期間を指す。PFSは、カプラン・マイヤー法及び固形癌の治療効果判定(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)(RECIST)1.1基準を使用して概して測定される。概して、無増悪生存期間は、癌が悪化することなく患者が生存し続ける状況を指す。
【0068】
「無増悪期間」(TTP)は、登録から疾患の進行までの期間として定義される。TTPは概して、RECIST 1.1判定基準を使用して測定される。
【0069】
「完全寛解」または「完全寛解」または「CR」は、治療に反応して腫瘍または癌の全兆候が消失したことを示す。これは、必ずしも癌が治癒したことを意味するわけではない。
【0070】
「部分寛解」または「PR」は、治療に反応して、1つ以上の腫瘍もしくは病変のサイズもしくは体積、または身体中の癌の程度が減少したことを指す。
【0071】
「疾患安定」は、進行または再発のない疾患を指す。疾患安定においては、部分寛解とされるのに十分な腫瘍の縮小も、疾患進行とされるのに十分な腫瘍の増加もない。
【0072】
「疾患進行」は、もう1つの新たな病変もしくは腫瘍、及び/または既存の非標的病変の明白な進行の出現を指す。疾患進行はまた、腫瘍の塊または広がりの増加に起因して、治療開始から20パーセントを超える腫瘍成長に戻る。
【0073】
「無疾患生存期間」(DFS)は、患者が無疾患のままである、治療中及び治療後の時間の長さを指す。
【0074】
「全生存期間」(OS)は、患者の登録から、死亡または最後に生存が確認された日にちでの打ち切りまでの期間を指す。OSは、投薬を受けていないまたは未治療の個体または患者と比較した余命の延長を含む。全生存期間は、患者が、例えば、診断または治療時から、1年、5年など、決められた期間生存し続ける状況を指す。
【0075】
「CA125レベルの減少」は、Gynecologic Cancer Intergroup(GCIG)ガイドラインに従って評定することができる。例えば、CA125レベルを治療前に測定して、基準CA125レベルを確立することができる。CA125レベルは、治療中または治療後に1回以上測定することができ、基準レベルと比較したCA125レベルの経時的削減が、CA125レベルの減少とみなされる。
【0076】
「治療する」または「治療」または「治療すること」または「軽減」または「軽減すること」などの用語は、診断される病態または障害の症状の治癒、遅延、緩和、及び/または進行の停止を行う治療的手段を指す。故に、治療を必要とする者には、既に障害を有すると診断された者、またはその疑いがある者が含まれる。ある特定の実施形態では、対象は、患者が、癌細胞の数の減少もしくは完全な不在、腫瘍サイズの縮小、癌細胞の末梢器官への浸潤の阻害もしくは不在、例えば、軟組織及び骨内への癌の拡散、腫瘍転移の阻害もしくは不在、腫瘍成長の阻害もしくは不在、特定の癌に関連する1つ以上の症状の緩和、罹患率及び死亡率の減少、生活の質の向上、腫瘍の腫瘍原性、腫瘍原性頻度、もしくは腫瘍原性能力の減少、腫瘍内の癌幹細胞の数もしくは頻度の減少、腫瘍原性細胞から非腫瘍原性状態への分化、無増悪生存期間(PFS)、無疾患生存期間(DFS)、もしくは全生存期間(OS)の増加、完全寛解(CR)、部分寛解(PR)、疾患安定(SD)、疾患進行(PD)の減少、無増悪期間(TTP)の短縮、卵巣癌の場合にはCA125の減少、またはこれらの任意の組み合わせのうち、1つ以上を示す場合、本発明の方法による癌の「治療」に成功する。
【0077】
防護的または予防的手段は、標的とする病理学的状態または障害の進行を予防及び/または遅延させる治療的手段を指す。故に、防護的または予防的手段を必要とする者としては、障害を有する傾向にある者、及び障害が予防されるであろう者が挙げられる。
【0078】
用語「事前治療する」及び「事前治療」は、抗FOLR1治療薬の投与の前に起きる治療的手段を指す。例えば、本明細書に詳述されるように、ステロイドなどの予防剤は、抗FOLR1治療薬の投与前、約1週間、約5日、約3日、約2日、または約1日もしくは24時間以内に投与することができる。予防薬はまた、抗FOLR1治療薬と同日に、抗FOLR1治療薬の前に投与することができる。
【0079】
用語「最大濃度」(Cmax)は、薬物の投薬後に測定される血中の薬物の最高濃度を指す。
【0080】
用語「曲線下面積」(AUC)は、薬物を投与した後の血流中の薬物の総量を指す。AUCは、特定の期間にわたって定義することができる。故に、例えば、AUC
0〜∞は、薬物の投薬後無限の時間にかけての血流中の薬物の総量を指す。別の例では、AUC
0〜24は、薬物の投薬後24時間の血流中の薬物の総量を指す。別の例では、AUC
0〜168は、薬物の投薬後168時間(または1週間)の血流中の薬物の総量を指す。
【0081】
「定常状態での見かけの分布容積」(V
ss)は、身体中の薬物の合計量の、血漿中の薬物の濃度に対する比率か、または全身中の薬物が血漿中と同じ濃度であった場合は、薬物の全量を含有するために必要な「見かけの」容積を指す。
【0082】
「化学療法剤」は、作用機構に関わらず、癌の治療に有用な化合物である。化学療法剤としては、例えば、CD20の拮抗薬、例えば、リツキシマブ及びシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレジニソン(predinisone)、フルダラビン、エトポシド、メトトレキサート、レナリドマイド、クロラムブシル、ベンタムスチン(bentamustine)、及び/またはかかる化学療法剤の修飾版が挙げられる。
【0083】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指して、本明細書で交換可能に使用される。ポリマーは、直鎖または分枝鎖であり得、修飾されたアミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断されてもよい。この用語はまた、天然に、または介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識化成分との抱合などの任意の他の操作もしくは修飾によって、修飾されたアミノ酸ポリマーを包含する。また、例えば、1つ以上のアミノ酸の類似体(例えば、非天然のアミノ酸などを含む)、ならびに当該技術分野で既知の他の修飾を含む、ポリペプチドもこの定義に含まれる。本発明のポリペプチドは抗体に基づいているため、ある特定の実施形態では、ポリペプチドが、単鎖または連鎖として生じ得ることが理解される。
【0084】
2つ以上の核酸またはポリペプチドとの関連において、用語「同一」またはパーセント「同一性」は、いずれのアミノ酸置換も配列同一性の一部とは見なさずに、最大一致について比較及び配列比較(必要であればギャップを導入する)した際、同じであるか、または特定の割合の同じヌクレオチドもしくはアミノ酸残基を有する、2つ以上の配列またはサブ配列を指す。同一性パーセントは、配列比較ソフトウェアもしくはアルゴリズムを使用して、または目視検査によって測定することができる。アミノ酸またはヌクレオチド配列の配列比較を得るために使用可能な種々のアルゴリズム及びソフトウェアが、当該技術分野で既知である。配列比較アルゴリズムのかかる1つの非限定的な例は、Karlin et al,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.,87:2264−2268に記載され、Karlin et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.,90:5873−5877において修正され、NBLAST及びXBLASTプログラム(Altschul et al.,1991,Nucleic Acids Res.,25:3389−3402)に組み込まれるアルゴリズムである。ある特定の実施形態では、Gapped BLASTは、Altschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389−3402に記載のように使用することができる。BLAST−2、WU−BLAST−2(Altschul et al.,1996,Methods in Enzymology,266:460−480)、ALIGN、ALIGN−2(Genentech,South San Francisco,California)、またはMegalign(DNASTAR)は、配列を配列比較するために使用可能な、公的に利用可能な追加のソフトウェアプログラムである。ある特定の実施形態では、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアのGAPプログラムを使用して、決定することができる(例えば、NWSgapdna.CMPマトリックス、及びギャップ加重40、50、60、70、または90、及び長さ加重1、2、3、4、5、または6を使用して)。ある特定の代替的な実施形態では、Needleman及びWunsch(J.Mol.Biol.(48):444−453(1970))のアルゴリズムを組み込むGCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを使用して、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントを決定することができる(例えば、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックス、及びギャップ加重16、14、12、10、8、6、または4、及び長さ加重1、2、3、4、5を使用して)。あるいは、ある特定の実施形態では、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の同一性パーセントは、Myers及びMiller(CABIOS,4:11−17(1989))のアルゴリズムを使用して決定される。例えば、同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)を使用して、ならびに残基表、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4でPAM120を使用して、決定することができる。特定のソフトウェアによる最大配列比較に適切なパラメータは、当業者であれば決定することができる。ある特定の実施形態では、配列比較ソフトウェアの初期設定パラメータを使用する。ある特定の実施形態では、第1のアミノ酸配列の、第2の配列アミノ酸に対する同一性パーセント「X」は、100×(Y/Z)として計算し、式中、Yは、第1の配列と第2の配列の配列比較において、完全な一致としてスコアされた(目視検査または特定の配列比較プログラムによって配列比較した場合)アミノ酸残基の数であり、Zは、第2の配列の総残基数である。第1の配列の長さが、第2の配列よりも長い場合、第1の配列の第2の配列に対する同一性パーセントは、第2の配列の第1の配列に対する同一性パーセントよりも長くなる。
【0085】
非限定的な例として、任意の具体的なポリヌクレオチドが、参照配列に対して特定の割合の配列同一性(例えば、少なくとも80%同一である、少なくとも85%同一である、少なくとも90%同一である、及びいくつかの実施形態において、少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である)を有するかどうかは、ある特定の実施形態において、Bestfitプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix(登録商標),Genetics Computer Group,University Research Park,575 Science Drive,Madison,WI 53711)を使用して、判定することができる。Bestfitは、Smith and Waterman,Advances in Applied Mathematics 2:482 489(1981)の部分相同性アルゴリズムを使用して、2つの配列間の最良の相同性セグメントを見出す。Bestfitまたは任意の他の配列比較プログラムを使用して、特定の配列が、例えば、本発明による参照配列に95%同一であるかどうかを判定する場合、パラメータは、同一性が参照ヌクレオチド配列の全長にわたって計算され、相同性におけるギャップが参照配列におけるヌクレオチドの総数の最大5%まで許容されるように、設定する。
【0086】
いくつかの実施形態において、本発明の2つの核酸またはポリペプチドは、実質的に同一である、すなわち、それらは、配列比較アルゴリズムを使用して、または目視検査によって測定される、最大一致について比較及び配列比較した際、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、及びいくつかの実施形態においては、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有する。同一性は、少なくとも約10、約20、約40〜60個、またはその間の任意の整数値の残基長の配列の領域にわたって存在し得、60〜80個の残基よりも長い領域、例えば、少なくとも約90〜100個の残基にわたってもよく、いくつかの実施形態においては、配列は、例えば、ヌクレオチド配列のコード領域など、比較される配列の全長にわたって、実質的に同一である。
【0087】
「保存的アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸残基が、類似の側鎖を有するもう1つのアミノ酸残基で置き換えられるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されており、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アルパラギン、グルタミン、セリン、テオロニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、ならびに芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。例えば、チロシンに対するフェニルアラニンの置換は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド及び抗体の配列における保存的置換は、抗原、すなわち、ポリペプチドまたは抗体が結合するFOLR1への、アミノ酸配列を含むポリペプチドまたは抗体の結合を無効にするわけではない。抗原結合を排除しないヌクレオチド及びアミノ酸の保存的置換を特定する方法は、当該技術部分野で周知である(例えば、Brummell et al.,Biochem.32:1180−1 187(1993)、Kobayashi et al.Protein Eng.12(10):879−884(1999)、及びBurks et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:.412−417(1997)を参照されたい)。
【0088】
本開示及び特許請求の範囲で使用される際、単数形の「a(1つの)」、「an(1つの)」、及び「the」には、内容によりそうでない旨が明確に示されない限り、複数形が含まれる。
【0089】
実施形態が「含む」という言葉を伴って本明細書に記載されるいかなる場合も、別の「〜からなる」及び/または「本質的に〜からなる」に関して記載される類似の実施形態も提供されることが理解される。
【0090】
本明細書において「A及び/またはB」などの語句に使用される、用語「及び/または」は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」、ならびに「B」の両方を含むように意図される。同様に、「A、B、及び/またはC」などの語句に使用される、用語「及び/または」は、次の実施形態の各々を包含するように意図される:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
II.FOLR1結合剤
【0091】
本明細書に記載の方法は、FOLR1と特異的に結合する薬剤(「FOLR1結合剤」)(例えば、抗体もしくはその抗原結合断片またはポリペプチド)を投与する方法を提供する。ある特定の実施形態では、FOLR1結合剤は、抗体、免疫抱合体、またはポリペプチドである。ヒトFOLR1に対するアミノ酸及びヌクレオチド配列は、当該技術分野で既知であり、また本明細書では、配列番号1及び配列番号2で表されて提供される。故に、いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、配列番号1内で見出されるエピトープと結合することができる。
【0092】
治療的に有効な抗FOLR1抗体の例は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0009181号に見出すことができる。治療的に有効な抗FOLR1抗体の例は、huMov19(M9346A)である。配列番号3〜5のポリペプチドは、それぞれ、huMov19(M9346A)の重鎖の可変ドメイン、及びhuMov19の可変ドメイン軽鎖バージョン1.00、可変ドメイン軽鎖バージョン1.60を含む。ある特定の実施形態では、huMov19抗FOLR1抗体は、配列番号3によって表される可変ドメイン重鎖、及び配列番号5によって表される可変ドメイン軽鎖(huMov19のバージョン1.60)からなる。ある特定の実施形態では、huMov19(M9346A)抗体は、ブダペスト条約の規約の下で2010年4月7日の時点での所在地10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110のAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されている、ATCC寄託番号PTA−10772、及びPTA−10773または10774を有する、プラスミドによってコードされる。本発明の治療方法に有用なFOLR1免疫抱合体の例は、以下に提供される。
【0093】
いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、ヒト化抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体または断片は、表面再構成抗体またはその抗原結合断片である。他の実施形態では、FOLR1結合剤は、完全ヒト抗体またはその抗原結合断片である。
【0094】
ある特定の実施形態では、FOLR1結合剤は、疾患安定の誘導、腫瘍細胞の増殖の阻害、腫瘍における癌幹細胞の頻度を減少させることによる腫瘍の腫瘍原性の減少、腫瘍成長の阻害、生存率の増加、腫瘍細胞の細胞死の誘発、非腫瘍原性状態への腫瘍原性細胞の分化、または腫瘍細胞の転移の予防といった効果のうちの1つ以上を有する。
【0095】
ある特定の実施形態では、抗体依存性細胞毒性(ADCC)活性を有する抗体であるFOLR1結合剤。
【0096】
いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、腫瘍体積を縮小する能力がある。FOLR1結合剤が腫瘍体積を縮小させる能力は、例えば、対照対象の平均腫瘍体積で除した治療対象の平均腫瘍体積である、T/C%値を測定することによって評価することができる。ある特定の実施形態では、ヒトFOLR1に特異的に結合する免疫抱合体または他の薬剤は、細胞毒性剤を介して細胞死を誘発する。例えば、ある特定の実施形態では、ヒトFOLR1抗体に対する抗体を、タンパク質内部移行によって、FOLR1を発現している腫瘍細胞において活性化されたマイタンシノイドと抱合する。ある特定の実施形態では、FOLR1結合剤は、腫瘍成長を阻害する能力がある。ある特定の実施形態では、FOLR1結合剤は、インビボで(例えば、異種移植片マウスモデルにおいて、及び/または癌を有するヒトにおいて)腫瘍の成長を阻害する能力がある。
【0097】
FOLR1結合分子は、CDR1個あたり最大4個(すなわち、0、1、2、3、または4個)の連続するアミノ酸置換を持つhuMov19(M9346A)のCDRを含む、例えば、抗体または断片がマウスMov19の6個のCRD(すなわち、配列番号6〜9、16、及び12)を含まない、FOLR1に特異的に結合する抗体または抗原結合断片であり得る。ポリペプチドは、本明細書に記載の個々の可変軽鎖または可変重鎖のうちの1つを含み得る。抗体及びポリペプチドはまた、可変軽鎖及び可変重鎖の両方を含んでもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、FOLR1結合分子は、配列番号6〜10の配列及び配列番号12の配列を含む抗体または抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、FOLR1結合分子は、配列番号6〜9の配列、ならびに配列番号11及び12の配列を含む抗体または抗原結合断片である。
【0099】
配列番号3、配列番号4、または配列番号5と少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチドを含むポリペプチドも提供される。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3、配列番号4、または配列番号5と、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。故に、ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、(a)配列番号3と少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチド、及び/または(b)配列番号4もしくは配列番号5と少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、(a)配列番号3のアミノ酸配列を有するポリペプチド、及び/または(b)配列番号4もしくは配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。特定の実施形態において、ポリペプチドは、抗体であり、及び/またはポリペプチドは、FOLR1に特異的に結合する。特定の実施形態において、ポリペプチドは、FOLR1に特異的に結合する、マウス、キメラ、またはヒト化抗体である。ある特定の実施形態では、配列番号3、配列番号4、または配列番号5とある特定の割合の配列同一性を有するポリペプチドは、保存的アミノ酸置換のみが、配列番号3、配列番号4、または配列番号5とは異なる。
【0100】
ポリペプチドは、本明細書に記載の個々の軽鎖または重鎖のうちの1つを含み得る。抗体及びポリペプチドはまた、軽鎖及び重鎖の両方を含んでもよい。
【0101】
モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein(1975)Nature 256:495に記載のものなど、ハイブリドーマ法を使用して調製することができる。ハイブリドーマ法を使用してマウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物に、上述のように免疫付与し、リンパ球による抗体の生成を誘発し、それが免疫抗原に特異的に結合することになる。リンパ球はまた、インビトロで免疫付与することもできる。免疫付与の後に、リンパ球を単離し、例えば、ポリエチレングリコールを使用して、好適な骨髄腫細胞系と融合して、次に未融合のリンパ球及び骨髄腫細胞とは別に選択されるハイブリドーマ細胞を形成する。免疫沈降、免疫ブロット、またはインビトロ結合アッセイ(例えば、放射免疫測定(RIA)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA))によって決定される、選択された抗原に特異的に向けられるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、次いで、標準的な方法を使用したインビトロ培養(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,1986)、または動物における腹水腫瘍としてインビボでのいずれかで、繁殖させることができる。モノクローナル抗体は、次いで、ポリクローナル抗体について上述のように、培養培地または腹水から精製することができる。
【0102】
あるいは、モノクローナル抗体はまた、米国特許第4,816,567号に記載のように、組み換えDNA方法を使用して製造することもできる。モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドを、成熟B細胞またはハイブリドーマ細胞から、例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を特異的に増幅する、オリゴヌクレオチドプライマーを使用して、RT−PCRによって単離し、それらの配列を、従来の手順を使用して判定する。重鎖及び軽鎖をコードする単離ポリヌクレオチドを、次に、好適な発現ベクターにクローニングし、それを、そうしなければ免疫グロブリンタンパク質を生成しない、例えば、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトすると、宿主細胞によってモノクローナル抗体が生成される。また、所望の種の組み換えモノクローナル抗体またはその断片は、(McCafferty et al.,1990,Nature,348:552−554、Clackson et al.,1991,Nature,352:624−628、及びMarks et al.,1991,J.Mol.Biol.,222:581−597)に記載のように、所望の種のCDRを発現しているファージディスプレイライブラリーから単離することもできる。
【0103】
モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドを、組み換えDNA技術を使用する多数の異なる方法で更に修飾し、代替の抗体を生成してもよい。いくつかの実施形態において、例えば、マウスモノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖の定常ドメインは、1)キメラ抗体を生成するために、例えば、ヒト抗体の領域で、または2)融合抗体を生成するために、非免疫グロブリンポリペプチドで、置換することができる。いくつかの実施形態において、定常領域を切断または除去して、モノクローナル抗体の所望の抗体断片を生成する。可変領域の部位特異的または高密度な突然変異生成を使用して、モノクローナル抗体の特異性、親和性などを最適化することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、ヒトFOLR1に対するモノクローナル抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、表面再構成抗体である。ある特定の実施形態では、かかる抗体は、ヒト対象に投与する場合、抗原性及びHAMA(ヒト抗マウス抗体)反応を減少させるために、治療的に使用される。ヒト化抗体は、当該技術分野で既知の種々の技法を使用して製造することができる。ある特定の代替的な実施形態では、FOLR1に対する抗体は、ヒト抗体である。
【0105】
ヒト抗体は、当該技術分野で既知の種々の技法を使用して、直接的に調製することができる。標的抗原に対する抗体を生成する、インビトロで免疫付与したか、または免疫付与した個体から単離した不死化ヒトBリンパ球を生成することができる(例えば、Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985)、Boemer et al.,1991,J.Immunol.,147(1):86−95、及び米国特許第5,750,373号を参照されたい)。また、例えば、Vaughan et al.,1996,Nat.Biotech.,14:309−314、Sheets et al.,1998,Proc.Nat’l.Acad.Sci.,95:6157−6162、Hoogenboom and Winter,1991,J.Mol.Biol.,227:381、及びMarks et al.,1991,J.Mol.Biol.,222:581中に記載されているように、ヒト抗体はファージライブラリーから選択され得るが、これは、そのファージライブラリーがヒト抗体を発現する場合である。抗体ファージライブラリーの生成及び使用の技法はまた、米国特許第5,969,108号、同第6,172,197号、同第5,885,793号、同第6,521,404号、同第6,544,731号、同第6,555,313号、同第6,582,915号、同第6,593,081号、同第6,300,064号、同第6,653,068号、同第6,706,484号、及び同第7,264,963号、ならびにRothe et al.,2007,J.Mol.Bio.,doi:10.1016/j.jmb.2007.12.018(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。親和性成熟戦略及び鎖シャッフリング戦略(Marks et al.,1992,Bio/Technology 10:779−783、参照によりその全体が組み込まれる)が、当該技術分野で既知であり、高い親和性のヒト抗体を生成するために採用することができる。
【0106】
ヒト化抗体はまた、内因性免疫グロブリン生成の非存在下において、免疫付与時にヒト抗体の全範囲を生成する能力がある、ヒト免疫グロブリンの遺伝子座を含む、トランスジェニックマウスにおいて製造することができる。このアプローチは、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、及び同第5,661,016号に記載される。
【0107】
本発明はまた、FOLR1を特異的に認識する、二重特異性抗体を包含する。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープを、特異的に認識及び結合する能力のある抗体である。異なるエピトープは、例えば、両方の抗体が、FOLR1、ならびに例えば、1)T細胞受容体(例えばCD3)もしくはFc受容体(例えば、CD64、CD32、もしくはCD16)などの白血球上のエフェクター分子、または2)以下に詳細に記載される細胞毒性剤、を特異的に認識し、それに結合することができるように、同じ分子(例えば、同じFOLR1)内、または異なる分子上にあることができる。
【0108】
本発明のポリペプチドは、ヒトFOLR1に対する抗体、またはその断片を含む、組み換えポリペプチド、天然ポリペプチド、または合成ポリペプチドであり得る。
【0109】
ポリペプチド及び類似体は、通常はタンパク質の一部ではない、追加の化学部分を含むように、更に修飾され得る。その誘導された部分は、タンパク質の可溶性、生物学的半減期、または吸収を改善することができる。この部分はまた、タンパク質などのいずれの望ましい副作用も減少または排除し得る。この部分についての概要は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,20th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(2000)に見出すことができる。
【0110】
抗体または他のタンパク質の精製のための、当該技術分野で既知の方法にはまた、例えば、米国特許公開第2008/0312425号、同第2008/0177048号、同第2009/0187005号に記載されるものであり、その各々が、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
III.免疫抱合体
【0111】
薬物またはプロドラッグに連結または抱合される、本明細書に開示の、抗FOLR1抗体、抗体断片、及びそれらの機能的等価物を含む抱合体(本明細書では免疫抱合体としても言及される)を投与する方法も、本明細書に記載される。好適な薬物またはプロドラッグは、当該技術分野で既知である。薬物またはプロドラッグは、細胞毒性剤であってもよい。本発明の細胞毒性抱合体において使用される細胞毒性剤は、細胞死をもたらす、細胞死を誘発する、または何らかの方法で細胞の生存率を減少させる、任意の化合物であり得、例えば、マイタンシノイド及びマイタンシノイド類似体が含まれる。他の好適な細胞毒性剤は、例えば、ベンゾジアゼピン、タキソイド、CC−1065及びCC−1065類似体、デュオカルマイシン及びデュオカルマイシン類似体、エンジイン、例えば、カリケアマイシン、アウリスタチンを含むドラスタチン及びドラスタチン類似体、トマイマイシン誘導体、レプトマイシン誘導体、メトトレキサート、シスプラチン、カルボプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ならびにモルホリノドキソルビシンである。
【0112】
かかる抱合体は、抗体または機能的等価物への薬物またはプロドラッグの結合のために、連結基を使用して、調製することができる。好適な連結基は、当該技術分野で周知であり、例えば、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸性不安定性基、光解離性基、ペプチダーゼ不安定性基、及びエステラーゼ不安定性基が挙げられる。
【0113】
薬物またはプロドラッグは、例えば、ジスルフィド結合を通じて、抗FOLR1抗体またはその断片に連結され得る。リンカー分子または架橋剤は、抗FOLR1抗体またはその断片と反応し得る、反応性化学基を含む。細胞結合剤との反応のための反応性化学基は、N−スクシンイミジルエステル及びN−スルホスクシンイミジルエステルであり得る。加えて、リンカー分子は、反応性化学基を含み、それは、薬物と反応してジスルフィド結合を形成することができるジチオピリジル基であり得る。リンカー分子としては、例えば、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)(例えば、Carlsson et al.,Biochem.J.,173:723−737(1978)を参照されたい)、N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)(例えば、米国特許第4,563,304号)、N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルジチオ)2−スルホブタノエート(スルホ−SPDB)(米国公開第20090274713号を参照されたい)、N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)(例えば、CAS登録番号341498−08−6を参照されたい)、2−イミノチオラン、またはアセチルスクシン無水物が挙げられる。例えば、抗体または細胞結合剤は、架橋試薬で修飾することができ、このようにしてもたらされる遊離または保護チオール基を含む抗体または細胞結合剤は、次に、ジスルフィドまたはチオールを含むマイタンシノイドと反応して、抱合体を生成する。抱合体は、HPLC、サイズ排除、吸収、イオン交換及び親和性捕捉、透析、または接線流濾過を含むがこれらに限定されない、クロマトグラフィーによって精製することができる。
【0114】
本発明の別の態様では、抗FOLR1抗体は、免疫抱合体の効能、可溶性、または有効性を強化する際、ジスルフィド結合及びポリエチレングリコールスペーサーを介して細胞毒性薬物に連結する。かかる開裂可能な親水性リンカーは、国際公開第WO2009/0134976号に記載されている。このリンカー設計の追加の利点は、抗体−薬物抱合体の、所望の高モノマー比及び最小凝集である。この態様においては、2〜8の狭い範囲の薬物負荷で、ポリエチレングリコールスペーサー((CH
2CH
2O)
n=1〜14)を持つジスルフィド基(−S−S−)を介して連結された、細胞結合剤と薬物との抱合体が特に企図され、癌細胞に対して比較的極めて強力な生物学的活性を示し、所望の生化学的特性である、高い抱合収率及び高いモノマー比を、最小のタンパク質凝集とともに有することが示される。
【0115】
非開裂型連結を持つ抗体−マイタンシノイド抱合体もまた、調製することができる。かかる架橋剤は、当該技術分野において説明され(例えば、米国公開第20050169933号を参照されたい)、N−スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、抗体を、文献に記載のように、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、スルホ−SMCC、マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、スルホ−MBS、またはスクシンイミジル−ヨード酢酸などの架橋試薬で修飾し、1〜10個の反応基を導入する(Yoshitake et al,Eur.J.Biochem.,101:395−399(1979)、Hashida et al,J.Applied Biochem.,56−63(1984)、及びLiu et al,Biochem.,18:690−697(1979))。修飾された抗体を、次に、チオール含有マイタンシノイド誘導体と反応させ、抱合体を生成する。抱合体を、Sephadex G25カラムを通じたゲル濾過、または透析もしくは接線流濾過によって、精製することができる。修飾された抗体を、チオール含有マイタンシノイド(1〜2モル当量/マレイミド基)で処理し、抗体−マイタンシノイド抱合体を、Sephadex G−25カラムを通じたゲル濾過、セラミックヒドロキシアパタイトカラム上のクロマトグラフィー、透析もしくは接線流濾過、またはこれらの方法の組み合わせによって、精製する。典型的に、1個の抗体につき1〜10個のマイタンシノイドが、結合される。1つの方法は、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)で抗体を修飾してマレイミド基を導入し、続いて、修飾された抗体をチオール含有マイタンシノイドと反応させて、チオエーテル結合抱合体を得ることである。また、1個の抗体分子につき、1〜10個の薬物分子を有する抱合体が生じる。抗体、抗体断片、及び他のタンパク質のマイタンシノイド抱合体は、同じ方法で作製される。
【0116】
本発明の別の態様において、FOLR1抗体は、PEGスペーサーの仲介を通じた非開裂型連結を介して、薬物に連結される。薬物と抗FOLR1抗体または断片との間のリンカーを形成する、親水性PEG鎖を含む好適な架橋試薬もまた、当該技術分野で周知であるか、または市販されている(例えば、Quanta Biodesign,Powell,Ohioから)。好適なPEG含有架橋剤はまた、当業者に既知の標準的な合成化学技法を使用して、市販されているPEG自体から合成することができる。薬物を、米国特許公開第20090274713号及び国際公開第WO2009/0134976号に詳述されている方法によって、二官能性PEG含有架橋剤と反応させて、式、Z−X
l−(−CH
2−CH
2−O−)
n−Y
p−Dの化合物を得ることができ、それを、次に細胞結合剤と反応させて、抱合体を提供することができる。あるいは、細胞結合は、二官能性PEG架橋剤で修飾して、チオール反応基(マレイミドまたはハロアセトアミドなど)を導入してもよく、それを、次にチオール含有マイタンシノイドで処理して、抱合体を提供することができる。別の方法では、細胞結合は、二官能性PEG架橋剤で修飾して、チオール部分を導入することができ、それを、次にチオール反応性マイタンシノイド(マレイミドまたはハロアセトアミドを持つマイタンシノイドなど)で処理して、抱合体を提供することができる。
【0117】
好適なPEG含有リンカーの例としては、抗FOLR1抗体またはその断片との反応のためのN−スクシンイミジルエステルまたはN−スルホスクシンイミジルエステル部分、ならびに化合物との反応のためのマレイミドまたはハロアセチル系部分を有するリンカーが挙げられる。PEGスペーサーは、本明細書に記載の方法によって、当業者に既知の任意の架橋剤に組み込むことができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも1つの荷電基を含むリンカーであり、これは、例えば、米国特許公開第2012/0282282号に記載されており、その内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、荷電または荷電前(pro−charged)架橋剤は、抗体1個あたり2〜20個の薬物が連結されたモノクローナル抗体−薬物抱合体に対しては特に、修飾された細胞結合剤及び細胞結合剤−薬物抱合体の可溶性を著しく増加させる、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボキシルまたは四級アミン置換基を含むものである。荷電前部分を含むリンカーから調製された抱合体は、抱合体が細胞内で代謝された後に、1つ以上の荷電部分をもたらし得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルジチオ)−2−スルホペンタノエート(スルホ−SPP)、及びN−スクシンイミジル4−(2−ピリジルジチオ)−2−スルホブタノエート(スルホ−SPDB)からなる群から選択される。
【0119】
本明細書に開示のリンカーのうちの多くは、米国特許公開第2005/0169933号、同第2009/0274713号、及び同第2012/0282282号、ならびに国際公開第WO2009/0134976号に詳述されており、その内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0120】
本発明は、約2〜約8個の薬物分子(「薬物負荷」)、例えば、マイタンシノイドが、抗FOLR1抗体またはその断片に連結される態様を含む。「薬物負荷」とは、本明細書で使用される場合、細胞結合剤(例えば、抗FOLR1抗体またはその断片)に結合し得る薬物分子(例えば、マイタンシノイド)の数を指す。一態様では、細胞結合剤に結合し得る薬物分子の数は、平均して約2〜約8個(例えば、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1)であり得る。N2’−デアセチル−N2’−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−マイタンシン(DM1)及びN2’−デアセチル−N2’−(4−メルカプト−4−メチル−1−オキソペンチル)マイタンシン(DM4)を使用することができる。
【0121】
故に、一態様では、免疫抱合体は、抗体1個あたり1個のマイタンシノイドを含む。別の態様では、免疫抱合体は、抗体1個あたり2個のマイタンシノイドを含む。別の態様では、免疫抱合体は、抗体1個あたり3個のマイタンシノイドを含む。別の態様では、免疫抱合体は、抗体1個あたり4個のマイタンシノイドを含む。別の態様では、免疫抱合体は、抗体1個あたり5個のマイタンシノイドを含む。別の態様では、免疫抱合体は、抗体1個あたり6個のマイタンシノイドを含む。別の態様では、免疫抱合体は、抗体1個あたり7個のマイタンシノイドを含む。別の態様では、免疫抱合体は、抗体1個あたり8個のマイタンシノイドを含む。
【0122】
一態様では、免疫抱合体は、抗体1個あたり約1〜約8個のマイタンシノイドを含む。別の態様では、免疫抱合体は、抗体1個あたり約2〜約7個マイタンシノイドを含む。別の態様では、免疫抱合体は、抗体1個あたり約2〜約6個マイタンシノイドを含む。別の態様では、免疫抱合体は、抗体1個あたり約2〜約5個マイタンシノイドを含む。別の態様では、免疫抱合体は、抗体1個あたり約3〜約5個マイタンシノイドを含む。別の態様では、免疫抱合体は、抗体1個あたり約3〜約4個マイタンシノイドを含む。
【0123】
一態様では、免疫抱合体を含む組成物は、平均して、抗体1個あたり約2〜約8個(例えば、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1)の結合した薬物分子(例えば、マイタンシノイド)を有する。一態様では、免疫抱合体を含む組成物は、平均して、抗体1個あたり約1〜約8個の薬物分子(例えば、マイタンシノイド)を有する。一態様では、免疫抱合体を含む組成物は、平均して、抗体1個あたり約2〜約7個の薬物分子(例えば、マイタンシノイド)を有する。一態様では、免疫抱合体を含む組成物は、平均して、抗体1個あたり約2〜約6個の薬物分子(例えば、マイタンシノイド)を有する。一態様では、免疫抱合体を含む組成物は、平均して、抗体1個あたり約2〜約5個の薬物分子(例えば、マイタンシノイド)を有する。一態様では、免疫抱合体を含む組成物は、平均して、抗体1個あたり約3〜約5個の薬物分子(例えば、マイタンシノイド)を有する。一態様では、免疫抱合体を含む組成物は、平均して、抗体1個あたり約3〜約4個の薬物分子(例えば、マイタンシノイド)を有する。
【0124】
一態様では、免疫抱合体を含む組成物は、平均して、抗体1個あたり、約2±0.5、約3±0.5、約4±0.5、約5±0.5、約6±0.5、約7±0.5、または約8±0.5個の結合した薬物分子(例えば、マイタンシノイド)を有する。一態様では、免疫抱合体を含む組成物は、平均して、抗体1個あたり、約3.5±0.5個の薬物分子(例えば、マイタンシノイド)を有する。
【0125】
抗FOLR1抗体またはその断片は、二官能性架橋試薬を抗FOLR1抗体またはその断片と反応させ、それによって、リンカー分子の抗FOLR1抗体またはその断片への共有結合をもたらすことにより、修飾することができる。本明細書で使用する場合、「二官能性架橋試薬」は、細胞結合剤を本明細書に記載の薬物などの薬物に共有的に連結する、任意の化学部分である。別の方法において、連結部分の一部分は、薬物によって提供される。この態様において、薬物は、細胞結合剤を薬物に結合するために使用される、より大きなリンカー分子の一部である、連結部分を含む。例えば、マイタンシノイドDM1を形成するために、マイタンシンのC−3ヒドロキシル基の側鎖は、遊離スルフヒドリル基(SH)を有するように修飾される。このマイタンシンのチオール化形態は、修飾された細胞結合剤と反応して、抱合体を形成することができる。したがって、最後のリンカーは、2つの構成成分から構築され、そのうちの1つは架橋試薬によって提供されるが、もう1つはDM1由来の側鎖によって提供される。
【0126】
薬物分子はまた、血清アルブミンなどの中間担体分子を通じて、抗体分子に連結されてもよい。
【0127】
本明細書に使用される際、「細胞結合剤に連結した」または「抗FOLR1抗体または断片に連結した」という表現は、好適な連結基またはその前駆体を介して、細胞結合剤である抗FOLR1抗体または断片に結合した少なくとも1つの薬物誘導体を含む、抱合体分子を指す。例示的な連結基は、SPDBまたはスルホ−SPDBである。
【0128】
ある特定の実施形態では、本発明において有用な細胞毒性剤は、マイタンシノイド及びマイタンシノイド類似体である。好適なマイタンシノイドの例としては、マイタンシノールのエステル及びマイタンシノール類似体が挙げられる。マイタンシノール及びマイタンシノール類似体のように、微小管形成を阻害し、哺乳動物細胞に毒性の高い、あらゆる薬物が含まれる。
【0129】
好適なマイタンシノールエステルの例としては、修飾された芳香環を有するもの、及び他の位置に修飾を有するものが挙げられる。かかる好適なマイタンシノイドは、米国特許第4,424,219号、同第4,256,746号、同第4,294,757号、同第4,307,016号、同第4,313,946号、同第4,315,929号、同第4,331,598号、同第4,361,650号、同第4,362,663号、同第4,364,866号、同第4,450,254号、同第4,322,348号、同第4,371,533号、同第5,208,020号、同第5,416,064号、同第5,475,092号、同第5,585,499号、同第5,846,545号、同第6,333,410号、同第7,276,497号、及び同第7,473,796号に開示されている。
【0130】
ある特定の実施形態では、本発明の免疫抱合体は、チオール含有マイタンシノイド(DM1)、正式名称N
2’−デアセチル−N
2’−(3−メルカプト−1−オキソプロピル)−マイタンシンを、細胞毒性剤として利用する。DM1は、次の構造式(I)によって表される。
【化1】
【0131】
別の実施形態において、本発明の抱合体は、チオール含有マイタンシノイドN
2’−デアセチル−N
2’(4−メチル−4−メルカプト−1−オキソペンチル)−マイタンシン(例えば、DM4)を、細胞毒性剤として利用する。DM4は、次の構造式(II)によって表される。
【化2】
【0132】
立体障害チオール結合を含む側鎖を含む別のマイタンシノイドは、N
2’−デアセチル−N−
2’(4−メルカプト−1−オキソペンチル)−マイタンシン(DM3と称される)は、次の構造式(III)によって表される。
【化3】
【0133】
米国特許第5,208,020号及び同第7,276,497号に教示されるマイタンシノイドの各々もまた、本発明の抱合体に使用することができる。この点に関して、米国特許第5,208,020号及び同第7,276,697号の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
マイタンシノイド上の多くの位置が、連結部分に化学的に結合するための位置として機能することができる。例えば、ヒドロキシル基を有するC−3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC−14位、ヒドロキシで修飾されたC−15位、及びヒドロキシ基を有するC−20位は、全て有用であることが予想される。いくつかの実施形態において、C−3位は、結合部分に化学的に結合するための位置として機能し、いくつかの具体的な実施形態においては、マイタンシノールのC−3位は、結合部分に化学的に結合するための位置として機能する。
【0135】
いくつかの抱合体の構造的表示を、以下に示す。
【化4】
【化5】
【化6】
【0136】
上記のいずれの構造式によっても示されるいずれの化合物または抱合体のためのいずれの立体異性体及びそれらの混合物も本開示に含まれる。
【0137】
かかる抗体−マイタンシノイド抱合体の生成のための複数の記述が、米国特許第6,333,410号、同第6,441,163号、同第6,716,821号、及び同第7,368,565号に提供され、その各々は、全体として本明細書に組み込まれる。
【0138】
一般的に、水性緩衝液中の抗体の溶液は、反応基を保有するジスルフィド部分を有する、モル過剰マイタンシノイドとともにインキュベートすることができる。反応混合物を、過剰アミン(エタノールアミンタウリンなど)の添加によって、反応停止させることができる。マイタンシノイド−抗体抱合体は、次に、ゲル濾過によって精製することができる。
【0139】
1個の抗体分子あたりのマイタンシノイド分子の数は、252nm及び280nmにおける吸光度比を、分光光度的に測定することによって、決定することができる。平均のマイタンシノイド分子/抗体数は、例えば、約1〜約10個または2〜5個であり得る。平均のマイタンシノイド分子/抗体数は、例えば、約3〜約4個であり得る。平均のマイタンシノイド分子/抗体数は、例えば、約3.5個であり得る。
【0140】
抗体とマイタンシノイドまたは他の薬物との抱合体を、インビトロで種々の望ましくない細胞系の増殖を抑制するそれらの能力について、評価することができる。例えば、ヒトリンパ腫細胞株Daudi及びヒトリンパ腫細胞株Ramosなどの細胞株は、これらの化合物の細胞毒性の評定に容易に使用することができる。評価する細胞を化合物に4〜5日間曝露し、細胞の生存率を、既知の方法による直接アッセイで測定することができる。IC
50値は、次に、アッセイの結果から計算することができる。
【0141】
免疫抱合体は、本明細書に記載のいくつかの実施形態によると、細胞内に内部移行され得る。免疫抱合体は、したがって、それがFOLR1発現細胞によって取り込まれるか、または内部移行される際に、治療効果を発揮することができる。いくつかの特定の実施形態では、免疫抱合体は、開裂可能リンカーによって細胞毒性剤に連結された、抗体、抗体断片、またはポリペプチドを含み、細胞毒性剤は、抗体、抗体断片、またはポリペプチドから開裂され、ここで、FOLR1発現細胞によって内部移行される。
【0142】
いくつかの実施形態において、免疫抱合体は、腫瘍体積を縮小する能力がある。例えば、いくつかの実施形態において、免疫抱合体での治療は、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満のT/C%値をもたらす。いくつかの特定の実施形態では、免疫抱合体は、KB、OVCAR−3、IGROV−1、及び/またはOV−90異種移植片モデルにおいて腫瘍サイズを減少させることができる。いくつかの実施形態では、免疫抱合体は、転移を阻害する能力がある。
III.FOLR1結合剤を投与する方法
【0143】
本発明のFOLR1結合剤(抗体、免疫抱合体、及びポリペプチドを含む)は、癌の治療など治療療法を含むがこれらに限定されない、種々の用途に有用である。ある特定の実施形態では、本薬剤は、腫瘍成長の阻害、分化の誘発、転移の阻害、腫瘍体積の縮小、及び/または腫瘍の腫瘍原性の減少に有用である。使用方法はインビボ法であり得る。
【0144】
本明細書に記載の方法に従い、FOLR1結合剤は、特定の用量で投与することができる。例えば、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約0.15mg/kg〜約7mg/kgの用量で投与され得、体重のキログラムは、理想体重(IBW)、除脂肪体重(LBW)、または調整理想体重(AIBWまたはADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.0mg/kg〜約6.0mg/kgの用量で投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.3mg/kg〜約6.0mg/kgの用量で投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約0.15mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約0.5mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約1.0mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約1.1mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約1.5mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約1.8mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約2.0mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約2.5mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約2.8mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.0mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.3mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.75mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約4.2mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約4.5mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約4.8mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約5.0mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約5.5mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約5.6mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.0mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.1mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.2mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.3mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.4mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.5mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.6mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.7mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.8mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.9mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約7.0mg/kgで投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、体重のキログラムはAIBW(ADJ)に調整される。
【0145】
更に、FOLR1結合剤は、特定の投薬間隔で投与され得る。例えば、FOLR1結合剤は、約1週間に4回から約4週間に1回投与され得る。故に、いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約3週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約2週間半に1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約2週間に1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約10日間に1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約1週間に1回投与される。
【0146】
FOLR1結合剤はまた、約3週(すなわち、約21日)周期で投与され得る。例えば、FOLR1結合剤は、約3週間に2回投与され得る。故に、いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、21日周期の1日目及び8日目頃に投与され得る。他の実施形態では、FOLR1結合剤は、約3週間に3回投与され得る。故に、いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、21日周期の1日目、8日目、及び15日目頃に投与され得る。
【0147】
FOLR1結合剤はまた、約4週(すなわち、約28日)周期で投与され得る。例えば、FOLR1結合剤は、約4週間に3回投与され得る。故に、いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、28日周期の1日目、8日目、及び15日目頃に投与され得る。
【0148】
本明細書に記載の方法に従い、FOLR1結合剤は、特定の用量で投与することができる。例えば、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約0.15mg/kg〜約7mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され得る。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.0mg/kg〜約6.0mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.3mg/kg〜約6.0mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約0.15mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約0.5mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約1.0mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約1.1mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約1.5mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約1.8mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約2.0mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約2.5mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約2.8mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.0mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.3mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.75mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。.いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約4.2mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約4.5mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約4.8mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約5.0mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約5.5mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約5.6mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.0mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.1mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.2mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.3mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.4mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.5mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.6mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.7mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.8mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.9mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約7.0mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与される。
【0149】
本明細書に記載の方法に従い、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約0.15mg/kg〜約7mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され得、体重のキログラムは、理想体重(IBW)、除脂肪体重(LBW)、または調整理想体重(AIBWまたはADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.0mg/kg〜約6.0mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.3mg/kg〜約6.0mg/kgの用量で、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約0.15mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約0.5mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約1.0mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約1.1mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約1.5mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約1.8mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約2.0mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約2.5mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約2.8mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.0mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.3mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約3.75mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約4.2mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約4.5mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約4.8mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約5.0mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約5.5mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約5.6mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.0mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.1mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.2mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.3mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.4mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.5mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.6mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.7mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.8mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約6.9mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤(例えば、IMGN853)は、約7.0mg/kgで、4週間スケジュールに基づき3週間にわたって週1回投与され、体重のキログラムは、IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)に調整される。いくつかの実施形態では、体重のキログラムはAIBW(ADJ)に調整される。
【0150】
いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、特定のCmaxをもたらす用量で投与され得る。例えば、いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約110〜約160μg/mLのCmaxをもたらす用量で投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約110〜約150μg/mLのCmaxをもたらす用量で投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約110〜約140μg/mLのCmaxをもたらす用量で投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約120〜約160μg/mLのCmaxをもたらす用量で投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約120〜約150μg/mLのCmaxをもたらす用量で投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約120〜約140μg/mLのCmaxをもたらす用量で投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約90〜約160μg/mLのCmaxをもたらす用量で投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約90〜約150μg/mLのCmaxをもたらす用量で投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約90〜約140μg/mLのCmaxをもたらす用量で投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約100〜約160μg/mLのCmaxをもたらす用量で投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約100〜約150μg/mLのCmaxをもたらす用量で投与される。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、約100〜約140μg/mLのCmaxをもたらす用量で投与される。
【0151】
ある特定の実施形態では、FOLR1結合剤は、特定のAUCをもたらす用量で投与され得る。例えば、ある特定の実施形態では、FOLR1結合剤は、2785時間・μg/mL以下のAUC
0〜24をもたらす用量で投与される。ある特定の実施形態では、FOLR1結合剤は、2741時間・μg/mL以下のAUC
0〜24をもたらす用量で投与される。ある特定の実施形態では、FOLR1結合剤は、2700時間・μg/mL以下のAUC
0〜24をもたらす用量で投与される。いくつかの実施形態では、投与は、約1000〜3500時間・μg/mLのAUC
0〜24を生じさせる。いくつかの実施形態では、投与は、約1000〜3000時間・μg/mLのAUC
0〜24を生じさせる。いくつかの実施形態では、投与は、約1000〜2785時間・μg/mLのAUC
0〜24を生じさせる。いくつかの実施形態では、投与は、約1000〜2741時間・μg/mLのAUC
0〜24を生じさせる。いくつかの実施形態では、投与は、約1000〜2700時間・μg/mLのAUC
0〜24を生じさせる。いくつかの実施形態では、投与は、約1000〜2500時間・μg/mLのAUC
0〜24を生じさせる。いくつかの実施形態では、投与は、1500〜3500時間・μg/mL以下のAUC
0〜24を生じさせる。いくつかの実施形態では、投与は、1500〜3000時間・μg/mL以下のAUC
0〜24を生じさせる。いくつかの実施形態では、投与は、1500〜2785時間・μg/mL以下のAUC
0〜24を生じさせる。いくつかの実施形態では、投与は、1500〜2741時間・μg/mL以下のAUC
0〜24を生じさせる。いくつかの実施形態では、投与は、1500〜2700時間・μg/mL以下のAUC
0〜24を生じさせる。いくつかの実施形態では、投与は、約1500〜2500時間・μg/mLのAUC
0〜24を生じさせる。
【0152】
ある特定の実施形態では、FOLR1結合剤または拮抗薬(例えば、抗FOLR1抗体)で治療される疾患は、癌である。特定の実施形態において、癌は、FOLR1結合剤(例えば、抗体)が結合する、FOLR1発現細胞によって特徴付けられる。ある特定の実施形態では、腫瘍は、ヒトFOLR1を過剰発現する。
【0153】
本発明は、治療有効量のFOLR1結合剤を対象(例えば、治療を必要とする対象)に投与することを含む、癌を治療する方法を提供する。本発明に包含される方法によって治療することができる癌としては、新生物、腫瘍、転移、または制御されていない細胞成長を特徴とする任意の疾患もしくは障害が挙げられるが、これらに限定されない。癌は、原発性または転移性癌であり得る。本発明に包含される方法によって治療することができる癌の具体的な例としては、卵巣癌、肺癌、直腸結腸癌、膵臓癌、肝臓癌、乳癌、脳癌、腎臓癌、前立腺癌、消化管癌、黒色腫、子宮頸癌、膀胱癌、膠芽腫、上皮性癌、及び頭頚部癌が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、癌は卵巣癌である。ある特定の実施形態では、癌は上皮性癌である。ある特定の実施形態では、癌は肺癌である。ある特定の実施形態では、肺癌は非小細胞肺癌である。ある特定の実施形態では、非小細胞肺癌は、肺の腺癌である。
【0154】
いくつかの実施形態では、癌は、FOLR1(ポリペプチドまたは核酸)を発現する癌である。いくつかの実施形態では、FOLR1結合剤は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開出願第2012/0282175号または国際公開出願第WO2012/135675号に記載されているように、FOLR1の発現レベルが増加している患者に投与される。故に、いくつかの実施形態では、FOLR1発現は、免疫組織化学(IHC)によって測定され、定義されたスコアを呈する対照(例えば、較正された対照)との比較によって染色強度スコア及び/または染色均一度スコアを付与される(例えば、強度が、レベル3の較正された対照と比較される場合には、試験試料には3の強度スコアが付与され、あるいは、強度が、レベル2の較正された対照と比較される場合には、試験試料には2の強度スコアが付与される)。不均一または均一である染色均一性も、FOLR1発現の増加を示す。染色強度スコア及び染色均一性スコアは、単独か、または組み合わせで使用することができる(例えば、2均一、2不均一、3均一、3不均一など)。別の例では、FOLR1発現の増加は、対照値(例えば、癌を患っていない対象、またはFOLR1値が上昇していない癌を患う対象からの組織または細胞における発現レベル)に比べて、少なくとも2倍、少なくとも3倍、または少なくとも5倍の増加を検出することで決定することができる。
【0155】
いくつかの実施形態では、癌は、IHCによる1不均一以上のレベルでFOLR1を発現する癌である。いくつかの実施形態では、癌は、IHCによる2不均一以上のレベルでFOLR1を発現する癌である。いくつかの実施形態では、癌は、IHCによる3不均一以上のレベルでFOLR1を発現する癌である。いくつかの実施形態では、癌は、IHCによる2不均一以上のレベルでFOLR1を発現する肺癌である。いくつかの実施形態では、癌は、IHCによる3不均一以上のレベルでFOLR1を発現する肺癌である。いくつかの実施形態では、癌は、IHCによる2不均一以上のレベルでFOLR1を発現する卵巣癌である。いくつかの実施形態では、癌は、IHCによる3不均一以上のレベルでFOLR1を発現する卵巣癌である。いくつかの実施形態では、癌は、IHCによる1不均一以上のレベルでFOLR1を発現する子宮内膜癌である。いくつかの実施形態では、癌は、IHCによる2不均一以上のレベルでFOLR1を発言する子宮内膜癌である。
【0156】
ある特定の実施形態では、腫瘍成長を阻害する方法は、治療有効量のFOLR1結合剤を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、対象はヒトである。ある特定の実施形態では、対象は、腫瘍を有するか、または腫瘍を除去されている。
【0157】
加えて、本発明は、対象における腫瘍の腫瘍原性を減少させる方法を提供し、この方法は、治療有効量のFOLR1結合剤を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、腫瘍は癌幹細胞を含む。ある特定の実施形態では、腫瘍中の癌幹細胞の頻度は、本薬剤の投与によって減少する。
【0158】
本発明は、更に、本明細書に記載のFOLR1結合剤のうち1つ以上を含む医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、薬剤的に許容されるビヒクルを更に含む。これらの医薬組成物は、ヒト患者において腫瘍成長の阻害及び癌の治療における使用を見出す。
【0159】
ある特定の実施形態では、保管及び使用のために、製剤を、精製された本発明の抗体または薬剤と、薬剤的に許容されるビヒクル(例えば、担体、賦形剤)とを合わせることによって調製する(Remington,The Science and Practice of Pharmacy 20th Edition Mack Publishing,2000)。好適な薬剤的に許容されるビヒクルとしては、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などの非毒性緩衝剤;塩化ナトリウムなどの塩;アスコルビン酸及びメチオニンを含む、酸化防止剤;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩化物;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量ポリペプチド(例えば、約10個未満のアミノ酸残基);血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アルパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、グルコース、マンノース、またはデキストリンなどの炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属複合体(例えば、Zn−タンパク質複合体);ならびに、TWEENまたはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
本明細書に記載の医薬組成物は、局所または全身治療のいずれかのためのあらゆる手段で投与することができる。投与は、経皮貼付、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴、坐薬、噴霧剤、液剤、及び粉末剤などの、局所(例えば、膣及び直腸送達を含む粘膜へ)、経肺(例えば、噴霧器によるものを含む粉末剤もしくはエアロゾル剤の吸入または吹送によって;気管内、鼻腔内、表皮、及び経皮);経口;または静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、もしくは筋肉内の注射もしくは注入を含む、非経口;または頭蓋内(例えば、髄腔内もしくは脳室内)の投与であり得る。いくつかの実施形態では、投与は静脈内である。
【0161】
抗体または免疫抱合体は、医薬複合製剤中、または併用療法としての投薬レジメンにおいて、第2の化合物と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、第2の化合物はステロイドである。いくつかの実施形態では、本方法は、ステロイド及び免疫抱合体の投与を含み、これは、免疫抱合体のみの投与と比較して頭痛の減少をもたらす。
【0162】
ステロイドは、免疫抱合体と同時に、免疫抱合体の投与前に、及び/または免疫抱合体の投与後に、投与され得る。いくつかの実施形態では、ステロイドは、免疫抱合体の投与前、約1週間、約5日、約3日、約2日、または約1日もしくは24時間以内に投与される。いくつかの実施形態では、ステロイドは、免疫抱合体の投与前1日以内に投与される。いくつかの実施形態では、ステロイドは複数回投与される。いくつかの実施形態では、ステロイドは、免疫抱合体の投与約1日前、及び免疫抱合体の投与の同日に、投与される。ステロイドは、例えば、局所、経肺、経口、非経口、または頭蓋内投与を含む、あらゆる方法によって投与され得る。いくつかの実施形態では、投与は経口である。いくつかの実施形態では、投与は静脈内である。いくつかの実施形態では、投与は経口と静脈内との両方である。
【0163】
本抗体または免疫抱合体はまた、医薬複合製剤中、または併用療法としての投薬レジメンにおいて、鎮痛剤、もしくは頭痛を防止するか治療する他の医薬品と組み合わせることができる。例えば、本抗体または免疫抱合体の投与に加えて、アセトアミノフェン及び/またはデフェンヒドラミンを投与することができる。鎮痛剤は、免疫抱合体の投与と同時に、またはその後に投与することができ、任意の適切な投与経路によることができる。いくつかの実施形態では、鎮痛剤は経口投与する。
【0164】
いくつかの実施形態では、本方法は、抗体または免疫抱合体である第1の化合物、ステロイドである第2の化合物、及び鎮痛剤である第3の化合物の投与を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、IMGN388である第1の化合物、デキサメタゾンである第2の化合物、ならびにアセトアミノフェン及び/またはジフェンヒドラミンである第3の化合物の投与を含む。
【0165】
抗体または免疫抱合体は、医薬複合製剤中、または併用療法としての投薬レジメンにおいて、抗癌特性を有する第2の化合物と組み合わせることができる。薬学的複合製剤または投薬レジメンの第2の化合物は、互いに悪影響を与えることのないように、複合剤のADCに対して相補的な活性を有し得る。FOLR1結合剤及び第2の抗癌剤を含む医薬組成物も提供される。
【0167】
本開示の実施形態は、本開示のある特定の抗体の調製及び本開示の抗体を使用するための方法を詳述する、以下の非限定的な実施例を参照して更に定義され得る。材料と方法との両方に対する多くの修正が本開示の範囲から逸脱することなく実施可能であることが、当業者には明らかとなるであろう。
【実施例】
【0168】
本明細書に記載の実施例及び実施形態は、例示目的のみであること、及びそれを踏まえた種々の修正または変更が当業者に提示され、本出願の趣旨及び範囲内に含まれるであろうことを、理解されたい。
【0169】
実施例1
ヒト癌患者におけるIMGN853投薬試験
IMGN853は、葉酸受容体1(FOLR1)結合抗体及び強力なマイタンシノイドであるDM4を含む、抗体薬物抱合体(ADC)である。IMGN853は、各々が全体として参照により本明細書に組み込まれる、国際公開出願第WO2011/106528号、同第WO2012/135675号、及び同第WO2012/138749号、ならびに米国公開出願第2012/0009181号、同第2012/0282175号、及び同第2012/0282282号に既に記載されている。IMGN853はhuMov19−sSPDB−DM4であり、huMov19抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を持つ可変重鎖と配列番号5のアミノ酸配列を持つ可変軽鎖とを含む。FOLR1タンパク質は、多くの固形腫瘍、特に、上皮性卵巣癌(EOC)、上皮性癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び明細胞性腎細胞癌において上昇したレベルで発現される。
【0170】
最大耐量(MTD)及び第2相の推奨用量(RP2D)を決定するため、ならびにIMGN853の安全性、薬物動態学(PK)、薬力学(PD)、及び効能を評価するための研究を開始した。研究は、上皮性卵巣癌(EOC)及び他のFOLR1陽性固形腫瘍を含む任意の型のFOLR1を発現している不応性固形腫瘍を患う患者にIMGN853免疫抱合体を投与した、加速用量滴定(accelerated dose titration)構成部分、及び用量拡大構成部分という2つの部分を含む。
【0171】
研究の加速滴定部分では、IMGN853を各21日(3週)周期の1日目に静脈内投与(IV)で与えた。臨床試験の加速部分において、29人の患者がIMGN853の0.15〜7.0mg/kgの範囲の7つの用量レベルにわたり登録され、23人の患者についての安全性データが現在利用可能である。最初の4回の投薬コホートにおいて治療された患者において報告されたいずれのグレードの研究薬物関連のAEも存在しなかった。最大5.0mg/kgの用量では、IMGN853関連のAEは軽度から中等度であった。5.0及び7.0mg/kgの用量レベルでは、それぞれ、患者10人中4人、及び5人中5人が、眼毒性を報告した。
【表1】
【0172】
薬物曝露を23人の患者において測定すると、2.0mg/kg以上の用量での半減期が約5日間で、概して直線的に増加したことが見出された。重症の上皮性癌を患う1人の患者も、5mg/kgでCA125反応及び未確認の部分寛解を有した。卵巣癌を患う3人の患者についてCA125反応が確認されたことが報告された(7mg/kg、5mg/kgで各1人、及び3.3mg/kgで1人)。5.0mg/kg以上の用量でIMGN853を受けている患者は、抗FOLR1免疫抱合体(例えば、IMGN853)投与の30〜60分前に、デキサメタゾン10mgをIVで(または同様のステロイド等価物)を受けた。
【0173】
薬物動態(PK)パラメータが、IMGN853第1相試験の周期1(各患者への投薬の第1周期のみ)について報告される。(
図1A及びB。)IMGN853のクリアランスは、半減期が約35.4時間または1.5日で、低用量にて急速(CL=1.1mL/時間/kg)であることが示される。クリアランスは、より高い用量にて減少し(CL=0.4mL/her/kg)、半減期は、2.0mg/kg以上の用量にて約4日または約5日に増加する。曝露(AUC)及びCmaxも同様に、より高い用量で概して増加することが示される。
【0174】
7.0mg/kgの用量では、5人の患者全員が眼毒性を経験した。1人の患者については、研究治療に関連すると確実にみなされたグレード3の用量制限点状角膜炎、及びグレード2の視力障害が報告された。加えて、各々グレード3、グレード2、及びグレード1の視力障害を患う患者が1人おり、全ての事象が、恐らくまたは間違いなくIMGN853治療に関係しているとみなされた。結果として、7.0mg/kgの用量レベルにて、この投与スケジュール(すなわち、3週間に1回)における最大耐量を超過したとみなし、7.0mg/kgの用量レベルに留まっている全患者に対して、用量を以前の用量レベル(5.0mg/kg)に減少させ、7人の追加の患者を5mg/kgの用量で評価した。既に治療した3人の患者と併せて、10人の患者を5mg/kgの用量で治療した。総勢10人の5mg/kgレベルにある患者のうち3人が視力障害を有し、このうち1人がグレード3の視力障害を患い、2人の患者が角膜変形を有した。他の関係するグレード3の有害事象は、アルカリホスファターゼの上昇、及びグレード3の低リン血症を含んだ。追加の患者を3.3mg/kgの用量レベルに登録して、この用量に当初から割り当てられていた3人の患者に見られた安全性プロファイルを更に検証し確認した。3.3mg/kgにて現在治療を受けている追加の6人の患者の安全審査が進行中であり、IMGN853は耐用性良好である。現在のところ、3.3mg/kgの用量レベルにて治療された9人の患者のうち3人が、グレード2の末梢神経障害(1人)、グレード2の悪心、疲労、及びASTの上昇(1人)を含むIMGN853関連のAEを報告し、1人の患者はグレード2の嘔吐を被った。
【0175】
MTDを定義すると、研究は用量拡大相に進むことになる。3つの拡大コホートが、FOLR1タンパク質陽性の患者を評価することになり、これら3つは、(1)白金製剤抵抗性上皮性卵巣癌、(2)再発性または不応性上皮性卵巣癌、及び(3)再発性または不応性非小細胞肺癌(NSCLC)、である。コホート2及び3は、それぞれ、投与前及び投与後の腫瘍の生検によって、ならびに/またはFLT−PETイメージングによって、IMGN853のPD評定を受けることになる。IMGN853は、少なくとも3.3mg/kgの用量で投与されることになり、5.0mg/kgの用量もしくは6.0mg/kg程度の高い用量、または更には7.0mg/kgの用量を含んでもよい。まず、IMGN853は、1mg/分の速度で投与するべきであり、耐用性が良好な場合は、30分後に速度を3mg/分に加速させることができる。3mg/分にて30分後に耐用性が良好である場合は、速度は5mg/分に加速させてもよい。後続の注入は耐性速度にて送達することができる。
【0176】
3.3mg/kg以上でのIMGN853投薬全てに対して、実施例2に記載されるプロトコルを使用して予防的ステロイド治療を含める(例えば、ステロイド治療は、IMGN853投与の30〜60分前の10mgのデキサメタゾンのIV(または同様のステロイド等価物)で含まれ、必要とされ、予防的ジフェンヒドラミンHCl及びアセトアミノフェンがIMGN853投与の前に推奨される)。周期は、(i)患者の疾患が悪化する、(ii)患者が許容できない毒性を経験する、(iii)患者が同意を取り下げる、(iv)患者が、更なる研究治療を妨げ得る合併状態を発症する、または(v)患者が、服薬不履行もしくは管理上の理由により中断するまで、繰り返す。
【0177】
反応は、RECIST及びGynecologic Cancer Intergroup(GCIG)判定基準(適宜)を使用して評定する。
【0178】
実施例2
注入反応に対するIMGN853ステロイド系予防法
注入反応の可能性を減少させるために、以下のステロイド系予防法プロトコルのいずれかを使用することができる。
【0179】
(1)患者は、抗FOLR1免疫抱合体(例えば、IMGN853)投与の30〜60分前に、デキサメタゾン10mgのIV(または同様のステロイド等価物)を受ける。
【0180】
(2)患者は、抗FOLR1免疫抱合体(例えば、IMGN853)投与の30〜60分前に、アセトアミノフェン(325〜650mgのIVまたはPO)を伴って、または伴わずに、デキサメタゾン10mgのIV(または同様のステロイド等価物)及びジフェンヒドラミンHCl(25〜50mgのIVまたはPO)を受ける。この予防法プロトコルは、推奨され、各研究者の判断による。
【0181】
(3)患者は、抗FOLR1免疫抱合体(例えば、IMGN853)の投与の前日に、経口で1日2回、デキサメタゾン8mg(または同様のステロイド等価物)を受ける。抗FOLR1免疫抱合体(例えば、IMGN853)の投与当日、抗FOLR1免疫抱合体(例えば、IMGN853)投与の30〜60分前に、患者は、アセトアミノフェン(325〜650mgのIVまたはPO)を伴って、または伴わずに、デキサメタゾン10mgのIV(または同様のステロイド等価物)、ジフェンヒドラミンHCl(25〜50mgのIVまたはPO)を受ける。
(4)注入の24時間前以内に、ステロイド(例えば、デキサメタゾン)を経口投与する。
【0182】
実施例3
IMGN853曝露と眼毒性との関係
実施例1及び2に記載したIMGN853プロトコルで治療した各患者について、注入終了時から開始し21日目まで継続して、各周期にわたる種々の時点にて、IMGN853の血漿濃度を測定した。薬物動態(PK)パラメータ分析により、角膜への沈着及び視力の損失を特徴とする、Cmaxと眼毒性の発生との間の明らかな関連性が特定された。統計的に有意な相関も、最初の24時間における曲線化面積(AUC
0〜24)によって測定した場合に、早期曝露レベルで観察された。(
図2A〜2Cを参照されたい。)
【0183】
3.3〜7.0mg/kgのコホートでは、眼毒性は、
図2Aにおいて点線で示す、Cmax値が147.7μg/ml以上の10人中9人の患者において観察された。Cmax値が147.7μg/mlを下回る患者は眼毒性を発症しなかった。
図2Bにおいて点線で示す、AUC
0〜24が2785時間
*μg/ml以上の全(9人中9人)患者が眼毒性を発症し、一方で、それを下回る患者はいずれの眼毒性も有しなかった。効能信号は3.3mg/kg以上の用量で観察され、眼毒性の報告とは相関しなかった。活性の信号を有した患者における最低Cmax値は、91.25μg/mlであった。
【0184】
24人の患者を、3.3mg/kg、5.0mg/kg、または7.0mg/kgのIMGN853のどれかで治療した後、閾値を上回るCmax値は、フィッシャーの直接確率検定をp=0.00004で使用して、(可逆性)眼毒性と相関した。2,741時間
*μg/mlの閾値レベルを上回るAUC
0〜24値も、フィッシャーの直接確率検定をp=0.00001で使用して、(可逆性)眼毒性と相関した。これらの結果、ならびに公称時間及び濃度値を使用する計算に基づき、約150μg/mlを超えるCmaxまたは2785時間
*μg/mlを超えるAUC
0〜24値を有する患者は、上昇した眼毒性罹患率を有する可能性が高く、活性信号を有する患者は、少なくとも約90μg/mgのCmaxレベルを有したと決定した。各用量レベル内で見られた変動性を減少させるため、ならびに各患者の体重での最適な効能及び最小の毒性に対するCmaxレベルを達成するために、投薬を改変する戦略を開発した。
【0185】
実施例4
IMGN853の代替投薬手法
上で実施例3に記載のように、150μg/mlを超えるCmax値または2785時間
*μg/mlを超えるAUC
0〜24値と眼毒性の発生率との間の相関は、全用量レベルにわたって観察された。加えて、初期PKパラメータ分析により、CmaxはIMGN853の用量と比例して増加したが、用量レベル内で、Cmax、AUC
0〜24、及び分布容積の著しい変動があったことが示された(
図3)。
【0186】
Cmaxの変動は、PKを10人の患者において分析した5mg/kgのコホートにおいて特に顕著であった。周期にわたって明白な患者内のCmaxの変動性はなく、注入時間は、患者間で同様であり、Cmax変動とは関連付けられなかった。共変量分析により、体重とCmaxとの間の相関が示された。(
図4)。
【0187】
分布容積(V
ss)は、生物製剤についての血漿容積を示し、体重と共に直線的に増加しない。Cmax値をVssによって正規化すると、変動は減少した。これらのデータは、総体重を基準とする以外に代替投薬手法を模索することは、コホートにわたってより均一な投薬を生じさせ得ることを示唆する。これを受けて、Cmax値を、3.3(n=3)、5.0(n=10)、及び7mg/kg(n=5)の用量群で治療した全患者について、代替投薬計算を使用して見積もった。計算したCmax値を5mg/kgの用量レベルに正規化し、総体重(TBW)投薬から観察されたCmax値と比較した。体表面積(BSA)も考慮した。しかしながら、BSA投薬に基づくCmax値はCmax値を減少させたが変動性への影響は最小でしかなく、体重とCmaxとの間の正相関は、程度は少ないものの、それでも観察された。3つの追加の代替式を評価した。(1)理想体重(IBW)、除脂肪体重(LBW)、及び調整体重(ADJ)。IBW、LBW、ADJ、及びBSAの各々についての式を以下に提供する。
理想体重(IBW)
IBW(男性)=0.9H−88
IBW(女性)=0.9H−92
(式中、H=cm単位の身長)
除脂肪体重(LBW)
男性=1.10×kg単位の体重−128([kg単位の体重]
2/[100×メートル単位の身長]
2)
女性=1.07×kg単位の体重−148([kg単位の体重]
2/[100×メートル単位の身長]
2)
調整理想体重(AIBWまたはADJ)
IBW+0.4(kg単位の実体重−IBW)
体表面積(BSA)−モステラー式
BSA(m
2)=(身長(cm)×体重(kg)/3600)
1/2
体表面積(BSA)−ボイド式
BSA(m
2)=(0.0003207×身長(cm)
0.3×体重(グラム)
(0.7285−(0.0188×LOG(グラム))]
【0188】
平均Cmax値は、それぞれ、IBW、LBW、AIBW(ADJ)、及びTBWについて、93.06、82.72、110.77、及び137.46μg/mlであった。加えて、3つ全ての尺度は、Cmaxにおける標準偏差を減少させた(21.7、20.5、22.9対TBWについての33.7μg/ml)。(
図5を参照されたい。)
【0189】
上述したように、正相関がTBW対Cmaxについて観察された。IBW及びLBW対体重のプロットの相関分析は、体重に対する負相関を示した。AIBW(ADJ)体重による投薬は、体重依存性が最も低く(
図6を参照)、BSAと同様であったが、PK変動制はより低かった。
【0190】
IBW、LBW、またはAIBW(ADJ)による投薬は、TBW投薬と比較してより低い体重依存性をもたらす。現在のデータに基づくと、AIBW(ADJ)体重による投薬は、Cmaxの最小の変動をもたらす。
【0191】
AUC
0〜24値を、総体重に基づいて、3.3、5、または7mg/kgのIMGN853を受けた24人の患者において観察した(
図7「実TBW」を参照されたい)。加えて、AUC
0〜24値を、調整理想体重に基づいて5mg/kgのIMGN853を受けた7人の患者においても観察した(
図7「5 実ADJ」を参照されたい)。24人の患者において得られたこれらの実値を、患者ら全員を総体重に基づいて5mg/kgで治療した場合(
図7「TBW 5mg/kg」)、及び患者ら全員を調整理想体重に基づいて、5、5.4、または6mg/kgで治療した場合(
図7「ADJ 5mg/kg」、「ADJ 5.4mg/kg」、及び「ADJ 6mg/kg」)にこれらの同じ患者らで得られたはずの予測値と比較した。
図7における表中に示すように、AIBW(ADJ)に基づいて5mg/kgのIMGN853を投与することにより、眼毒性と関連付けられるAUC
0〜242741時間
*μg/mlの閾値レベルを超過することが予測される患者の数が最小となる。加えて、AIBW(ADJ)に基づいて5mg/kgのIMGN853を受けた7人の患者のうち14%のみが、2741時間
*μg/mlを上回るAUC
0〜24レベルに達し、一方で、TBWに基づいて、3.3、5、または7mg/kgのIMGN853を受けた患者の38%が、このレベルを超過した。AUC
0〜24の当初の分析を、公称時間及び濃度値を使用して計算し、2785時間
*μg/mlの値をもたらした。実時間を使用して再計算すると、結果は、AUC
0〜24値のわずかな改変、及び2741時間
*μg/mlの閾値の決定であった。
【0192】
次に患者を、調整理想体重に基づく5mg/kg、調整理想体重に基づく6mg/kg、総体重に基づく5mg/kg、または総体重に基づく7mg/kgのいずれかで治療した。これらの患者において観察されたAUC
0〜24値を
図8(「実」)に示し、これらの値を、これらの患者全員を調整理想体重に基づいて5mg/kg、調整理想体重に基づいて6mg/kg、総体重に基づいて5mg/kg、または総体重に基づいて7mg/kgで治療した場合に得られたはずの予測値(「予測」)と比較する。調整理想体重に基づく投薬により、以下の表2に示すように、早期曝露レベルにおける変動性が減少し、眼性有害事象が減少した。具体的には、調整理想体重に基づいて5mg/kgを受けている患者1人のみがグレード1の視覚障害を経験し、調整理想体重に基づいて6mg/kgを受けている3人の患者がグレード1〜2の眼毒性を経験した。対照的に、総体重に基づく5mg/kg以上の用量は、眼性有害事象を有し、グレード3の眼性有害事象が発生した患者がより多かったことと関連付けられた。
【表2】
【0193】
実施例5
IMGN853の代替スケジュール
Q3W投薬(漸増用量)後のIMGN853の密及び疎(ピーク及び全体)濃度時間プロファイルに基づく集団PKモデルを開発した。上述したIMGN853のPKは、研究した用量範囲にわたって線形であるように見える。
【0194】
このモデルを使用して、以下の候補レジメンについて、IMGN853への定常状態曝露をシミュレーションした。
1〜2.5mg/kgのQW(0.15mg/kgの増分で10個の用量レベル)
2〜5mg/kgのQ2W(0.3mg/kgの増分で10個の用量レベル)
1〜2.5mg/kgのQW×4後、Q2W×4(0.15mg/kgの増分で10個の用量レベル)
4W中1〜2.5mg/kgのQW×3(0.15mg/kgの増分で10個の用量レベル)
【0195】
QW×4後、Q2W×4の投薬レジメンは、経時的に最低の蓄積(すなわち、蓄積指数1)をもたらし、一方で、QW投薬レジメンは、最高の蓄積(すなわち、蓄積指数1.97)をもたらした。4W中QW×3は、眼毒性で観察されたレベルを下回るレベルにCmaxを制限しながら、全曝露を最大約3倍まで増加させた(表3)。
【表3】
【0196】
また、集団PKモデルを使用して、モンテカルロの再サンプリングによって500人の患者の仮定集団をシミュレーションした。150μg/ml未満のC
maxである対象のパーセンテージにより投薬レジメンを決定してIMGN853の安全性プロファイルを最適化するために、記述統計を導いた。4W中のQW×3については、1.5、2.0、及び2.5mg/kgの用量レベルは、それぞれ、C
maxが150μg/mlである集団の99%、95%、及び90%をもたらした。
【0197】
実施例6
多回用量IMGN853のインビボでの抗腫瘍活性及び予測薬物動態
雌のCD−1マウスにおいて10mg/kgの用量で静脈内投与した無傷のIMGN853抱合体の血漿濃度を、注射後の種々の時点でELISAによって決定した。非コンパーメント薬物動態分析プログラム(201)、WinNonlin、プロフェッショナルバージョン6.1(Pharsight,Mountain View,CA)の標準アルゴリズムを使用して、薬物動態(PK)分析を実施した。最大濃度(Cmax)、濃度時間曲線下総面積(AUC
0〜∞)、最終消失相における半減期(t
1/2)、総血中クリアランス(CL)、及び定常状態での分布容積(Vss)を見積もった。投与後1〜28日の濃度データを使用して、抱合体のt
1/2を決定するための一次速度定数の値を評価した。投与後1〜28日の濃度データを使用して、抗体のt
1/2を決定するための一次速度定数の値を評価した。10mg/kgの用量で生成された測定値に基づいて、PKシミュレーションを、単回及び多回用量スケジュールの両方で、種々の用量レベルを使用して、WinNonlinによって実施した。得られたパラメータを、雌のSCIDマウスにおけるNCI−H2110(非小細胞肺癌、NSCLC)異種移植片において、種々の用量レベル及びスケジュールで、IMGN853の抗腫瘍活性と比較して評価した。
【0198】
IMGN853を単回注射として投与すると、用量依存性抗腫瘍活性がNCI−H2110モデルにおいて観察された。全用量レベル(2.8、5.6、及び8.5mg/kg)は、10%未満のT/C値で高度に活性であったが、増加したIMGN853用量で完全腫瘍退縮(CR)の数が増加した。予測血漿PKパラメータも、Cmax(最大血漿濃度)、Cavg(平均血漿濃度)、及び曝露(AUC
0〜540時間)の用量依存性の増加を示した。故に、IMGN853の単回用量の活性は、
図9に示すように、用量依存性であり、血漿PKパラメータに基づいて予測可能であることが示された。
【0199】
単回用量の活性とは対照的に、IMGN853の多回用量スケジュールは、活性がCmaxに依存しないことを示す(
図10)。毎日または3日毎のいずれかのスケジュールで2.8mg/kg×3の用量(全用量8.4mg/kg)で投与したIMGN853は、8.5mg/kgでの単回用量のIMGN853と同様の活性を有した。興味深いことに、抱合体の全曝露(AUC)及び平均血漿濃度(Cavg)は処置群にわたって同等であったが、Cmaxは8.5mg/kgの単回用量群において最高であった。多回用量スケジュールで観察された活性は、単回の高用量群においては腫瘍のない動物がいなかったのに対して、研究の最後に腫瘍のない動物が残っていたことから、この投薬方法がより優れた活性を有することを示唆する。
【0200】
追加のIMGN853用量レベル及びスケジュールをNCI−H2110異種移植片に対する活性について評価し、その結果は、単回用量のIMGN853と比べて、多回用量投薬が等しく活性であるか、またはそれよりも良好な活性を有することを一貫して示した。5.6mg/kgのIMGN853の単回用量として投与したIMGN853の予測平均血漿濃度を、3日間1日1回の1.4mg/kgのものと比較した。より低い全用量(4.2mg/kg)を有するにもかかわらず、Cmax及び曝露(AUC
0〜540)1.4mg/kg qd×3は、インビボでの同等の抗腫瘍活性を有した(
図11)。これらの結果は、一定の最小血漿濃度を維持することが活性に不可欠であることを示唆する。
【0201】
IMGN853の単回高用量と整合させた全用量によるIMGN853の週間スケジュールも、インビボでの同等の活性を有することが見出された(
図12)。再び、わずかに高いCavg及びAUCをもたらすが同等の全体的活性を伴う単回投与のIMGN853(8.5mg/kg)では、最低閾値を上回って平均血漿濃度を維持することが活性に必要とされた。単回用量対多回用量スケジュールでの予測薬物動態パラメータにおける重要な差異は、Cmaxの飛躍的な減少である。週間投薬のCmaxは、単回用量のIMGN853のCmaxよりもほぼ60%低いことが予測される。より高いCmaxに達することに明白な活性面での利益がないため、高い血漿濃度を回避することは毒性を減少させるのに有益であり得る。
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【0202】
発明の概要及び要約ではなく、発明を実施するための形態の節が、特許請求の範囲を解釈するために使用されることを意図されていることが理解される。発明の概要及び要約の節は、発明者によって企図される本発明の例示的実施形態を全てではなく1つ以上示すものであり、故に、いかようにも本発明及び添付の特許請求の範囲を限定するとは意図されない。
【0203】
本発明は、特定機能及びその関係の実装を例示する機能的な構成要素を活用して上に記載されてきた。これらの機能的構成要素の境界は、説明の都合上、恣意的に本明細書で定義された。特定機能及びその関係が適切に実施される限り、代替的な境界が定義され得る。
【0204】
特定の実施形態の前述の説明は、本発明の一般的性質を十分に明らかにするため、当業者の範囲内の知識を適用することによって、必要以上の実験を伴わずに、様々な適用のためにかかる特定の実施形態を、本発明の一般概念を逸脱することなく、容易に修正及び/または適合することができるであろう。したがって、かかる適合及び修正は、本明細書に提示される教示及び指導に基づき、開示される実施形態の均等物の意義及び範囲の中に含まれることが意図される。本明細書における表現または用語は、限定ではなく説明を目的とするものであり、したがって、本明細書の用語または表現は、当業者によって、教示及び指導を考慮して解釈されることを理解されたい。
【0205】
本発明の幅及び範囲は、上述の例示的な実施形態のいかなるものによっても制限されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ定義されるものとする。
【化7】
【化8】