特許第6463758号(P6463758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463758
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】化合物の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20190128BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20190128BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20190128BHJP
   A61K 31/437 20060101ALN20190128BHJP
【FI】
   C07D471/04 104Z
   C07D471/04CSP
   !A61P35/00
   !A61P43/00 111
   !A61K31/437
【請求項の数】22
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-536458(P2016-536458)
(86)(22)【出願日】2014年8月21日
(65)【公表番号】特表2016-528296(P2016-528296A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】US2014052146
(87)【国際公開番号】WO2015027092
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2017年8月8日
(31)【優先権主張番号】61/868,933
(32)【優先日】2013年8月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】504344509
【氏名又は名称】アレイ バイオファーマ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ハン, チョン
(72)【発明者】
【氏名】グリーン, キーナ
(72)【発明者】
【氏名】ゴスラン, フランシス
(72)【発明者】
【氏名】スカローネ, ミケランジェロ
(72)【発明者】
【氏名】ニコルズ, ポール ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ウェイドン
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー, キース エル.
(72)【発明者】
【氏名】クレーン, ザッカリー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ステンゲル, ピーター ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シャーキャ, サガール
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−520896(JP,A)
【文献】 特表2007−530650(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/114113(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/024898(WO,A1)
【文献】 特表平11−505537(JP,A)
【文献】 特表2011−509301(JP,A)
【文献】 特表2009−501130(JP,A)
【文献】 特表2008−531568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
A61K 31/437
A61P 35/00
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の(R)−5−ブロモ−4−(3−(アミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【化18】

を調製する方法であって、
式(II)の化合物
【化19】

ここでXはI、Cl又はBrである
を式(III)の化合物
【化20】

ここで、Rはアミノ保護基である
と反応させて式(IV)の化合物
【化21】

を提供するステップを含む方法。
【請求項2】
XはCl又はBrである、請求項の方法。
【請求項3】
XはClである、請求項に記載の方法。
【請求項4】
反応は有機溶媒中で行われる、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記有機溶媒は、アルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、スルホラン、アセトニトリル及びプロピオニトリルから成る群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記アルコールは、2−メチル−2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−プロパノール及び2−プロパノールから成る群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記アルコールは、2−メチル−2−ブタノールである、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記反応は、N−メチモルホリン、14−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム及びリン酸カリウムから成る群から選択される塩基を用いて行われる、請求項1〜のいずれか一つの方法。
【請求項9】
前記塩基はN−メチルモルホリンである、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記アミノ保護基は、トリフェニルメチル(トリチル)、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、カルボキシベンジル(Cbz)、トリフルオロアセチル及びアセチルから成る群から選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
式(IV)の化合物
【化22】

Rはアミノ保護基である
をニトロ還元に供して、式(V)の化合物
【化23】

を得るステップをさらに含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ニトロ還元のステップは、還元剤として水素、硫化物又はボランを用いて行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ニトロ還元のステップは、白金又はラネーニッケル触媒を用いて行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記触媒は、バナジウム、鉄及び銅から成る群から選択される修飾剤と組み合わせて使用される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ニトロ還元ステップは、N−メチモルホリン、14−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、及びテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)から成る群から選択される塩基で実施される、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ニトロ還元ステップは、2−メチル−2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチルテトラヒドロフラン及びテトラヒドロフランから選択される溶媒中で実施される、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
式(V)の化合物
【化24】

式(VI)の化合物
【化25】

ここで、Rは、塩素、フッ素、臭素及びORから成る群から選択され、ここで、Rはシクロプロピルカルボニル、イソブチルカルボニル、イソプロピルカルボニル、エチルカルボニル、メチルカルボニル、2−ピリジル、及びN−スクシンイミダールら成る群から選択される)
と反応させ式(VII)の化合物
【化26】

を得るステップをさらに含む、請求項11〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
式(VII)の化合物
【化27】

中の保護基Rを除去して、式(I)の(R)−5−ブロモ−4−(3−(アミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【化28】

を得るステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記アミノ保護基Rはtert−ブチルオキシカルボニル(Boc)である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アミノ保護基Rの除去は、硫酸、塩酸、又はトリフルオロ酢酸を用いて酸性条件下で行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
式(I)の(R)−5−ブロモ−4−(3−(アミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの硫酸塩、塩酸塩またはトリフルオロ酢酸塩を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、14−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)およびテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)からなる群から選択される塩基で処理するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
式(II)の化合物
【化29】

であって、ここでXはBrである化合物、またはその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は2013年8月22日に出願された米国特許第61/868、933号の優先権の利益を主張し、本出願は参照により本明細書に援用される。
【0002】
一態様では、本発明は抗癌活性を有する化合物、例えば、CHK1キナーゼ活性を阻害する化合物の作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質キナーゼは他のタンパク質をリン酸化するキナーゼ酵素である。これらのタンパク質のリン酸化は通常、タンパク質の機能変化を生み出す。ほとんどのキナーゼは、セリン及びスレオニン又はチロシン上で作用し、いくつかのキナーゼはこの3つのアミノ酸全てで作用する。これらの機能変化によって、キナーゼは多くの細胞経路を制御することができる。タンパク質キナーゼ阻害剤はこれらのタンパク質キナーゼを阻害する化合物であり、そのため、細胞経路に影響を及ぼすために使用することができる。
【0004】
チェックポイントキナーゼ1(「CHK1」)は、セリン/スレオニンキナーゼである。CHK1は細胞周期の進行を調節し、細胞内のDNA損傷応答の主要因である。CHK1阻害剤は、腫瘍細胞を化学療法及び放射線照射等の様々な遺伝毒性物質に感作させることが示されている(Tse、Archie N.、et al.、”Targeting Checkpoint Kinase 1 in Cancer Therapeutics.”Clin.Cancer Res.13(7)(2007)1955−1960)。多くの腫瘍がG1DNA損傷チェックポイント経路を欠くため、DNA損傷を修復し、生存させるためにS及びG2チェックポイントに依存することが観察されている。(Janetka、James W.、et al.、”Inhibitors of checkpoint kinases:From discovery to the clinic.”Drug Discovery&Development Vol.10、No.4(2007)473−486)。
【0005】
S及びG2チェックポイントはCHK1によって制御される。CHK1の阻害はS及びGチェックポイントを解除することによって、DNA修復を障害し、その結果、腫瘍細胞の死を増加させることが示されている。しかし、非癌性細胞が機能的なGチェックポイントを有しており、DNA修復と生存を可能にする。
【0006】
チェックポイントキナーゼ2(「CHK2」)もまたセリン/スレオニンキナーゼである。CHK2の機能はDNA損傷による細胞周期停止及びアポトーシスを誘導する中心をなしている。(Ahn、Jinwoo、et al.、”The CHK2 protein kinase.”DNA Repair 3(2004)1039−1047)。CHK2は遺伝毒性傷害に応答して活性化し、いくつかの経路に沿ってチェックポイントシグナルを伝播し、最終的にG1、S、G2/M相における細胞周期停止、DNA修復の活性化及びアポトーシス細胞死を引き起こす。(Bartek、Jiri、et al.、”CHK2 Kinase−A Busy Messenger.”Nature Reviews Molecular Cell Biology.Vol.2(12)(2001)877−886)。癌細胞はゲノム完全性 チェックポイントを一つ以上欠いていることが多いため、CHK2の阻害によって、腫瘍細胞をγ線照射又はDNA損傷剤等の抗がん治療に対して選択的により感受性を持つようにし得る。
【0007】
正常細胞は他のチェックポイントを依然として活性化し回復するが、チェックポイントを欠く癌細胞は死ぬ可能性がより高い。CHK2のペプチドベースの阻害剤が、G2チェックポイントを抑止し、p53欠損癌細胞をDNA損傷剤に感作させることが実証されている。(Pommier、Yves、et al.、”Targeting CHK2 Kinase:Molecular Interaction Maps and Therapeutic Rationale.”Current Pharmaceutical Design.Vol.11、No.22(2005)2855−2872)。
【0008】
CHK1及び/又はCHK2阻害剤は周知であり、例えば、国際公開WO2009/089352、WO2009/089359及びWO2009/140320を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2009/089352号
【特許文献2】国際公開第2009/089359号
【特許文献3】国際公開第2009/140320号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Tse、Archie N.、et al.、”Targeting Checkpoint Kinase 1 in Cancer Therapeutics.”Clin.Cancer Res.13(7)(2007)1955−1960
【非特許文献2】anetka、James W.、et al.、”Inhibitors of checkpoint kinases:From discovery to the clinic.”Drug Discovery&Development Vol.10、No.4(2007)473−486
【非特許文献3】Ahn、Jinwoo、et al.、”The CHK2 protein kinase.”DNA Repair 3(2004)1039−1047
【非特許文献4】Bartek、Jiri、et al.、”CHK2 Kinase−A Busy Messenger.”Nature Reviews Molecular Cell Biology.Vol.2(12)(2001)877−886
【非特許文献5】Pommier、Yves、et al.、”Targeting CHK2 Kinase:Molecular Interaction Maps and Therapeutic Rationale.”Current Pharmaceutical Design.Vol.11、No.22(2005)2855−2872
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様は、式(I)の(R)−5−ブロモ−4−(3−(アミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【化1】

及びその薬学的に許容される塩の調製方法に関する。式(I)の(R)−5−ブロモ−4−(3−(アミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンは、CHK1阻害剤として使用することができる。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式(I)の(R)−5−ブロモ−4−(3−(アミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを調製する方法であって、
【化18】

式(II)の化合物
【化19】

ここでXはハロゲンである
【化20】

を式(III)の化合物
ここで、Rはアミノ保護基である、
と反応させて式(IV)の化合物
【化21】

を提供するステップを含む、前記方法。
(項目2)
Xは、I、Cl、F又はBrである、項目1に記載の方法。
(項目3)
XはCl又はBrである、項目2の方法。
(項目4)
XはClである、項目3に記載の方法。
(項目5)
反応は有機溶媒中で行われる、項目1〜4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
有機溶媒は、アルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、スルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリルから成る群から選択される、項目5に記載の方法。
(項目7)
アルコールは、2−メチル−2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−プロパノール及び2−プロパノールから成る群から選択される、項目6に記載の方法。
(項目8)
アルコールは、2−メチル−2−ブタノールである、項目7に記載の方法。
(項目9)
反応は、N−メチモルホリン、1、4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、N,Nジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウムから成る群から選択される塩基を用いて行われる、項目1〜8のいずれか一つの方法。
(項目10)
塩基はN−メチルモルホリンである、項目9に記載の方法。
(項目11)
アミノ保護基は、トリフェニルメチル(トリチル)、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、カルボキシベンジル(Cbz)、トリフルオロアセチル及びアセチルから成る群から選択される、項目1〜10のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
式(IV)の化合物
【化22】

Rはアミノ保護基である、
をニトロ還元に供して、式(V)の化合物
【化23】

を得るステップをさらに含む項目1〜11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
ニトロ還元のステップは、還元剤として水素、硫化物又はボランを用いて行われる、項目12に記載の方法。
(項目14)
ニトロ還元のステップは、白金又はラネーニッケル触媒を用いて行われる、項目13に記載の方法。
(項目15)
触媒は、バナジウム、鉄及び銅から成る群から選択される修飾剤と組み合わせて使用される、項目14に記載の方法。
(項目16)
ニトロ還元ステップは、N−メチモルホリン、1、4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、N,Nジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、及びテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)から成る群から選択される塩基で実施される、項目13〜15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
ニトロ還元ステップは、2−メチル−2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチルテトラヒドロフラン及びテトラヒドロフランから選択される溶媒中で実施される、項目13〜16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
式(V)の化合物を
【化24】

式(VI)の化合物
【化25】

と反応させ、ここで、Rは、塩素、フッ素、臭素及びORから成る群から選択され、ここで、Rはシクロプロピルカルボニル、イソブチルカルボニル、イソプロピルカルボニル、エチルカルボニル、メチルカルボニル、2−ピリジル、及びN−スクシンイミダール等から成る群から選択され、式(VII)の化合物を得るステップをさらに含む、項目12〜17のいずれか1項に記載の方法。
【化26】

(項目19)
式(VII)の化合物中の保護基Rを除去するステップをさらに含み、
【化27】

式(I)の(R)−5−ブロモ−4−(3−(アミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを得る項目18に記載の方法。
【化28】

(項目20)
アミノ保護基Rはtert−ブチルオキシカルボニル(Boc)である項目19に記載の方法。
(項目21)
アミノ保護基Rの除去は、硫酸、塩酸、又はトリフルオロ酢酸を用いて酸性条件下で行われる、項目20に記載の方法。遊離塩基形態は、塩を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はリン酸カリウム等の無機塩基と反応させることによって、又はピペリジン、ピロリジン、1、4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、N,Nジイソプロピルエチルアミン(DIEA)又はテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)等の有機塩基と反応させることによって得ることができる。一実施形態では、塩基はピペラジンである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特定の実施形態を詳細に参照し、その実施例は添付の構造及び式に図示する。本発明は、列挙された実施形態と合わせて説明されるが、本発明はそれらの実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、本発明の範囲内に含まれ得る全ての代替物、修正物及び等価物を包含するものとする。当業者は、本発明の実施に使用することができる、本明細書に記載のものと類似又は同等の多くの方法及び材料を認識する。本発明は、記載のいかなる方法及び材料に限定されない。援用される文献、特許、及び類似の材料の一つ以上が、以下に限定されないが、定義された用語、用語の使用法、記載された技術等を含んで、本出願と異なっている又は矛盾している場合、本出願が優先される。
【0013】
定義
「含む」(comprise、comprising、include、including及びincludes)という用語は、本明細書及び以下の特許請求の範囲で使用されるとき、記載の特徴、整数、成分又は方法の存在を特定することを意図しているが、その他の特徴、整数、成分、方法又はそのグループの一つ以上の存在又は追加することを排除しない。
【0014】
「約」という用語は、時間、温度と共に使用されるとき、±5時間、例えば±1時間を意味する。「約」という用語は、温度と共に使用されるとき、摂氏±5℃、例えば摂氏±1℃を意味する。「約」という用語は、パーセンテージ又はその他の値、温度と共に使用されるとき、それが参照するパーセンテージ又は値の±10%、例えば±5%を意味する。
【0015】
「治療する」又は「治療」という用語は、治療、予防、緩和策又は予防策を指す。本発明の目的のために、有益又は望ましい臨床結果として、以下に限定されないが、症状の緩和、疾患の範囲の縮減、疾患の安定した(すなわち、悪化していない)状態、疾患の進行の遅延又は減速、疾患の状態の寛解又は緩和、及び検出可能であるか検出不能であっても、寛解(部分的寛解又は完全寛解)が挙げられる。「治療」はまた、治療を受けていない場合に予想される生存期間と比較して生存期間が延長することを意味することもできる。治療を必要とする者として、すでに疾患もしくは障害に罹患している者、並びに疾患もしくは障害を有する傾向にある者、又は疾患もしくは障害を予防すべき状態にある者が挙げられる。
【0016】
「治療有効量」又は「有効量」という表現は、当該治療を必要とする哺乳動物に投与した場合に、(i)特定の疾患、病態もしくは障害を治療又は予防、(ii)特定の疾患、病態もしくは障害の一つ以上の症状を減弱、改善又は除去、又は(iii)本明細書に記載の特定の疾患、病態もしくは障害の一つ以上の症状の発症を予防又は遅延させるのに十分な量の式Iの化合物を意味する。上述のような量に対応する化合物の量は、特定の化合物、疾患状態及びその重症度、治療を必要とする哺乳動物の特性(例えば、体重)等の要因に応じて変化するが、当業者によって日常的に決定することができる。
【0017】
「がん(癌)」及び「癌性」という用語は、一般的に異常又は無秩序な細胞増殖を特徴とする哺乳動物の生理的状態を指し、又は記述する。「腫瘍」は一つ以上の癌細胞を含む。がんの例として、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫及び白血病又はリンパ性悪性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。当該がんのより具体的な例として、扁平上皮癌(例えば、上皮扁平細胞癌)、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、大腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌又は腎癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、皮膚癌、黒色腫、ならびに頭頸部癌が挙げられる。
【0018】
「薬学的に許容される」という表現は、物質又は組成物が、製剤を含む他の成分及び/又は当該製剤で治療を受ける哺乳動物と、化学的及び/又は毒物学的に互換性があることを示す。
【0019】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という表現は、本発明の化合物の薬学的に許容される有機塩又は無機塩を指す。
【0020】
本発明の化合物はまた、必ずしも薬学的に許容される塩ではない前記化合物の他の塩も含み、本発明の化合物を調製及び/又は精製し、及び/又は本発明の化合物のエナンチオマーを分離するための中間体として有用であり得る。
【0021】
「哺乳動物」という用語は、本明細書に記載の疾患を発症するリスクを有する又はその状態にある温血動物を意味し、以下に限定されないが、モルモット、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ハムスター及びヒトを含む霊長類が挙げられる。
【0022】
「キラル」という用語は鏡像パートナーの非重畳可能性の特性を有する分子を指し、用語「アキラル」は鏡像パートナーに重畳可能な分子を指す。
【0023】
「立方異性体」という用語は、同一の化学構造を有する化合物を指すが、空間内の原子又は基の配置が異なる。
【0024】
「ジアステレオマー」は、キラリティーの2つ以上の中心との立方異性体を意味し、その分子はもう一つ別の分子の鏡像ではない。ジアステレオマーは、例えば、融点、沸点、スペクトル特性及び反応性といった異なる物理的特性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動及びクロマトグラフィー等の高解像度分析法の下で分離することができる。
【0025】
「エナンチオマー」は、互いに重畳することができない鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。
【0026】
本明細書で使用される立体化学の定義及び規則は、S.P.Parker、Ed.、McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company、New York;and Eliel、E.and Wilen、S.、”Stereochemistry of Organic Compounds”、John Wiley&Sons、Inc.、New York、1994に従っている。本明細書に記載の式IからVIIの化合物は、不斉又はキラル中心を含んでいてもよく、したがって、異なる立体異性形態で存在してもよい。本明細書に記載の式IからVIIの化合物の立体異性形態は全て、以下に限定されないが、ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体ならびにラセミ混合物等のその混合物を含み、本発明の一部を形成することを意図する。多くの有機化合物は、光学活性な形態、すなわち、平面偏光面を回転させる能力を有する。光学活性化合物を記述する場合、接頭辞D及びL、又はR及びSは、そのキラル中心について、分子の絶対配置を示すために使用される。接頭辞d及びl又は(+)及び(−)は、化合物による平面偏光の回転の符号を指定するために使用され、(−)又は1は、化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdの接頭辞を有する化合物は右旋性である。所与の化学構造について、これらの立体異性体は、それらが互いの鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体は、エナンチオマーを指すこともでき、当該異性体の混合物はエナンチオマー混合物と呼ばれることが多い。エナンチオマーの50:50の混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体であることを意味し、化学反応又は方法において、立体選択又は立体特異性のない場所で生じる可能性がある。「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」という用語は、光学活性を欠いている、2つのエナンチオマー種の等モル混合物を指す。
【0027】
「互変異性体」又は「互変異性体形態」という用語は、低エネルギーの障壁を介して相互転換できる異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られている)は、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性化反応等のプロトンの移行を介した相互変換を含む。原子価互変異性体は、結合性電子のいくつかの再編成による相互変換を含む。
【0028】
本明細書で使用される表現「薬学的に許容される塩」は、本明細書に記載の式IからVIIの化合物の薬学的に許容される有機塩又は無機塩を指す。例示的な塩として、以下に限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチアニン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシル酸塩」、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸塩及びパモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸))塩が挙げられる。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン又は他の対イオン等の別の分子を含んでいてもよい。対イオンは、親化合物上の電荷を安定にする任意の有機又は無機部分であってもよい。さらに、薬学的に許容される塩はその構造中に一つ以上の荷電原子を有していてもよい。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である例は、複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容される塩は一つ以上の荷電原子及び/又は一つ以上の対イオンを有することができる。
【0029】
本明細書に記載の式IからVIIの化合物は、塩基であり、所望の薬学的に許容される塩は、当該技術分野で利用可能な任意の適切な方法によって調製することができ、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸で遊離塩基を処理する、又は有機酸で遊離塩基を処理することができ、有機酸として、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸等、グルクロン酸又はガラクツロン酸、αヒドロキシ酸等、クエン酸又は酒石酸、アスパラギン酸又はグルタミン酸等のアミノ酸、安息香酸又は桂皮酸などの芳香族酸、ベンゼンスルホン酸等のスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸又はエタンジスルホン酸等が挙げられる。
【0030】
本明細書に記載の式IからVIIの化合物が酸である場合、所望の薬学的に許容される塩は、例えば、アミン(第一級、第二級又は第三級)、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物等の無機塩基又は有機塩基で遊離酸を処理するといった任意の適切な方法によって調製することができる。適切な塩の具体例として、以下に限定されないが、例えばグリシン及びアルギニン、アンモニア、第一級、第二級及び第三級アミン等のアミノ酸に由来する有機塩、ならびにピペリジン、モルホリン及びピペラジン等の環状アミン、及びナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムに由来する無機塩が挙げられる。
【0031】
「溶媒和物」は、一つ以上の溶媒分子及び本明細書に記載の式IからVIIの化合物の会合又は複合体を指す。溶媒和物を形成する溶媒の例として、限定されないが、水、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ペンタノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、ギ酸エチル、酢酸、トルエン、アニソール、ピリジン、1,3−ジイソプロピルベンゼン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジクロロメタン、1、2−ジクロロエタン、メチルシクロヘキサン、アセトニトリル、バレロニトリル及びエタノールアミンが挙げられる。「水和物」という用語は溶媒分子が水である複合体を指す。
【0032】
CHK1/2阻害剤
本発明に記載の方法は、例えばWO2009/140320に記載の実施例のようなCHK1及び/又はCHK2を阻害する、式(I)の(R)−5−ブロモ−4−(3−(アミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン及びその医薬製剤の調製に有用であり得る。この化合物は、潜在的に、CHK1及び/又はCHK2によって調節される疾患、病態及び/又は障害の治療に有用である。
【0033】
化合物の調製
本明細書に記載の化合物は、不斉又はキラル中心を含んでいてもよく、したがって、異なる立体異性形態で存在してもよい。本明細書に記載の式IからVIIの化合物の立体異性形態は全て、以下に限定されないが、ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体ならびにラセミ混合物等の混合物を含み、本発明の一部を形成することを意図する。また、本発明は、全ての幾何異性体及び位置異性体を包含する。任意の特定のキラル原子の立体化学が指定されていない本明細書に示される構造では、すべての立体異性体が企図され、本発明の化合物として含まれる。立体化学が特定の構成を表す単線のくさび又は破線によって指定されている場合、その立体異性体は同じように指定、定義される。
【0034】
本明細書に記載の化合物は、非溶媒和ならびに水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒と溶媒和形態で存在することができ、本発明は、両方の溶媒和及び非溶媒和形態の両方を包含することが意図される。
【0035】
本明細書に記載の化合物は、異なる互変異性型で存在してもよく、全てのそのような形態は、本発明の範囲内に包含される。用語「互変異性体」又は「互変異性体形態」は、低エネルギーの障壁を介して相互転換できる異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られている)は、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性化反応等のプロトンの移行を介した相互変換を含む。原子価互変異性体は、結合性電子のいくつかの再編成による相互変換を含む。
【0036】
本明細書に記載の発明はまた、本明細書に引用したものと同一である本発明の同位体標識化合物を包含するが、一つ以上の原子は、通常自然界に見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換される。指定された任意の特定の原子又は元素の同位体は全て、本発明の化合物及びその使用の範囲内にあると考えられる。本発明の化合物に組み込むことができる例示的な同位体として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体、例えばH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123I及び125Iが挙げられる。本発明の特定の同位体標識化合物(例えば、H及び14Cで標識されたもの)は、化合物及び/又は基質組織内分布アッセイに有用である。トリチウム化(H)及び炭素−14(14C)同位体は、調製及び検出性が容易であるため有用である。さらに、重水素(すなわち、H)等のより重い同位体で置換することによって、より大きい代謝安定性から得られる特定の治療上の利点をもたらすことができ(例えば、インビボ半減期の延長又は必要な投与量の減少)、したがって、いくつかの状況で好ましいことがある。15O、13N、11C及び18F等のポジトロン放出同位体は、基質受容体占有率を調べるために、陽電子射出断層撮影法(PET)試験に有用である。本発明の同位体標識化合物は一般に、非同位体標識試薬を同位体標識試薬に置き換えることによって、本明細書の以下の実施例に開示されたものと類似の手順に従うことによって調製することができる。
【0037】
本発明に記載の化合物を調製するための出発物質及び試薬は、Sigma−Aldrich Chemical社(ミルウォーキー、ウィスコンシン州)等の市販品から一般に入手可能であり、又は例えば当業者に周知の方法を用いて調製される(例えば、Louis F.Fieser and Mary Fieser、Reagents for Organic Synthesis、v.1−19、Wiley、N.Y.(1967−1999 ed.)、又は補助資料を含むBeilsteins Handbuch der organischen Chemie、4、Aufl.ed.Springer−Verlag、Berlin、(Beilsteinオンラインデータベースを介しても入手可能である)に一般的に記載される方法によって調製する)
【0038】
上述のように、一態様では、本発明は式(I)の(R)−5−ブロモ−4−(3−アミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの調製方法に関するものであり、
【化2】
式(II)の化合物を
【化3】
Xはハロゲンであり
を式(III)の化合物
【化4】
ここで、Rはアミノ保護基であり、
【化5】
と反応させて、式(IV)の化合物を提供するステップを含む。
【0039】
一実施形態では、式(II)の化合物は、式(III)の化合物の約1.0〜約3.0当量で反応させる。一実施形態では、式(II)の化合物と式(III)の化合物の間の反応は、室温以上の温度で行われる。一実施形態では、50℃以上の温度で反応が行われる。一実施形態では、約85℃で反応が行われる。
【0040】
一実施形態では、XはI、Cl、F又はBrである。一実施形態では、XはCl、F又はBrである。一実施形態では、XはIである。一実施形態ではXはFである。一実施形態では、XはClである。一実施形態では、XはBrである。
【0041】
一実施形態では、式(II)の化合物は、式(II−a)の化合物である。
【化6】
【0042】
一実施形態では、式(II)の化合物は、式(II−b)の化合物である。
【化7】
【0043】
一実施形態では、式(II)の化合物は、式(II−c)の化合物である。
【化8】
【0044】
一実施形態では、上述の式(II)の化合物と式(III)の化合物との反応は、有機溶媒又は溶媒混合物中で行われる。一実施形態では、有機溶媒は、アルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、Nメチル−2−ピロリドン(NMP)、スルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリルから成る群から選択される。一実施形態では、アルコールは、2−メチル−2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−プロパノール、2−プロパノールから成る群から選択される。一実施形態では、アルコールは、2−メチル−2−ブタノールである。
【0045】
一実施形態では、上述の化合物(II)と化合物(III)との反応は、N−メチモルホリン、1、4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウムから成る群から選択される塩基で行われる。一実施形態では、塩基はN−メチルモルホリンである。
【0046】
一実施形態では、アミノ保護基Rは、トリフェニルメチル(トリチル)、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、カルボキシベンジル(Cbz)、トリフルオロアセチル及びアセチルから成る群から選択される。
【0047】
一実施形態では、本発明の方法は、さらに、式(IV)の化合物
【化9】
ここでRはアミノ保護基である、
を、ニトロ還元に供して、式(V)の化合物を得るステップをさらに含む。
【化10】
【0048】
一実施形態では、ニトロ還元のステップは、還元剤として水素、硫化物又はボランを用いて行われる。一実施形態では、水素化は、白金又はラネーニッケル触媒を用いて行われる。一実施形態では、触媒は、バナジウム、鉄及び銅から成る群から選択される修飾剤と組み合わせて使用される。一実施形態では、水素化のステップは、N−メチモルホリン、1、4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、N,Nジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)から成る群から選択される塩基で行われる。一実施形態では、水素化のステップは、2−メチル−2−ブタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチルテトラヒドロフラン及びテトラヒドロフランから選択される溶媒中で行われる。一実施形態では、水素化のステップは、5バールの水素で行われる。
【0049】
一実施形態では、本発明の方法はさらに、式(V)の化合物を
【化11】
式(VI)の化合物と反応させ、
【化12】
ここで、Rは、塩素、フッ素、臭素及びORから成る群から選択され、ここで、Rはシクロプロピルカルボニル、イソブチルカルボニル、イソプロピルカルボニル、エチルカルボニル、メチルカルボニル、2−ピリジル、N−スクシンイミダール等から成る群から選択され、式(VII)の化合物を得るステップをさらに含む。
【化13】
【0050】
一実施形態では、本発明の方法は、さらに、式(VII)の化合物中の保護基Rを除去するステップを含み、
【化14】
式(I)の(R)−5−ブロモ−4−(3−(アミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを得る。
【化15】
【0051】
一実施形態では、アミノ保護基Rはtert−ブチルオキシカルボニル(Boc)である。この場合、その脱保護は、硫酸、塩酸又はトリフルオロ酢酸を用いた酸性条件下で行うことができる。遊離塩基形態は、塩を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はリン酸カリウム等の無機塩基と処理させることによって、又はピペリジン、ピロリジン、1、4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、N,Nジイソプロピルエチルアミン(DIEA)又はテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)等の有機塩基と反応させることによって得ることができる。一実施形態では、塩基はピペラジンである。
【0052】
当業者は、WO2009140320に記載の条件及びスキーム2、3、4及び5の試薬(その内容は参照により援用される)を、式(I)の化合物の調製の上記の方法にも適用できることを認識する。
【0053】
分離方法
本明細書に記載の式IからVIIの化合物の調製方法では、反応産物を互いから、及び/又は出発物質から分離することが有利になり得る。各ステップ又は一連のステップの所望の生成物を、当該技術分野において一般的な技術により、所望の程度の均一性になるまで、分離及び/又は精製(以下、分離と呼ぶ)する。一般的には、このような分離は、多相抽出、溶媒又は溶媒混合物からの結晶化、蒸留、昇華、又はクロマトグラフィーを伴う。クロマトグラフィーは、例えば以下を含む任意の数の方法を伴うことができ、以下、逆相と順相、サイズ排除、イオン交換、高、中及び低圧液体クロマトグラフィー方法及び装置、小規模分析、擬似移動床(SMB)及び分取薄層又は厚層クロマトグラフィー、ならびに小規模薄層及びフラッシュクロマトグラフィー技術。
【0054】
分離方法の別のクラスは、所望の生成物、未反応出発物質、生成物による反応等に結合するか、分離可能にするために選択される試薬と、混合物の処理を含む。このような試薬として、活性炭、モレキュラーシーブ、イオン交換媒体等の吸着剤又は吸収剤が挙げられる。あるいは、試薬は、塩基性物質の場合は酸、酸性物質の場合は塩基、抗体、結合タンパク質等の結合試薬、クラウンエーテル、液体/液体イオン抽出試薬(LIX)等の選択的キレート剤であってもよい。
【0055】
適切な分離方法の選択は、関与する物質の性質に依存する。例えば、蒸留及び昇華における沸点及び分子量、クロマトグラフィーにおける極性官能基の存在又は非存在、多相抽出における酸性及び塩基性媒体中の材料の安定性等がある。当業者は、所望の分離を達成する可能性が最も高い技術を適用する。
【0056】
ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶等、当業者に周知の方法により、その物理化学的差異に基づいて、個々のジアステレオマーに分離することができる。エナンチオマーは、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコール又はモッシャーの酸塩化物等のキラル補助剤)との反応によって、エナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換することができ、ジアステレオマーを分離し、個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに(例えば加水分解によって)変換する。また、本明細書に記載の式IからVIIの化合物のいくつかは、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であってもよく、本発明の一部とみなされる。エナンチオマーはまた、キラルHPLCカラムの使用によって分離することもできる。
【0057】
単一の立体異性体(例えば、エナンチオマー)は、実質的にその立体異性体を含まないで、光学活性分割剤を用いて、ジアステレオマーの形成等の方法を用いてラセミ混合物を分解することによって得てもよい(Eliel、E.and Wilen、S.”Stereochemistry of Organic Compounds、”John Wiley&Sons、Inc.、New York、1994;Lochmuller、C.H.、(1975)J.Chromatogr.、113(3):283−302)。本明細書に記載の式Iから式VIIのキラル化合物のラセミ混合物は、任意の適切な方法によって分離及び単離することができ、当該方法は、(1)キラル化合物によるイオン性、ジアステレオマーの塩の形成、及び分別結晶又はその他の方法による分離、(2)キラル誘導体化試薬でジアステレオマーの化合物の形成、ジアステレオマーの分離、及び純粋な立体異性体への変換、ならびに(3)キラル条件下で、直接的に、実質的に純粋又は濃縮された立体異性体の分離を含む。“Drug Stereochemistry、Analytical Methods and Pharmacology、”Irving W.Wainer、Ed.、Marcel Dekker、Inc.、New York(1993)を参照のこと。
【0058】
方法(1)では、ジアステレオマー塩は、ブルシン、キニーネ、エフェドリン、ストリキニーネ、α−メチル−β−フェニルエチルアミン(アンフェタミン)エナンチオマー的に純粋なキラル塩基を、カルボン酸及びスルホン酸等の酸性官能基を担持する不斉化合物と反応させることによって形成することができる。ジアステレオマー塩は、分別結晶又はイオンクロマトグラフィーによって、分離を誘導してもよい。アミノ化合物の光学異性体の分離について、カンファースルホン酸、酒石酸、マンデル酸、又は乳酸等のキラルカルボン酸又はスルホン酸の添加によって、ジアステレオマー塩を形成することができる。
【0059】
あるいは、方法(2)によって、分解された基質をキラル化合物の一つのエナンチオマーと反応させ、ジアステレオマー対を形成する(E.and Wilen、S.”Stereochemistry of Organic Compounds”、John Wiley&Sons、Inc.、1994、p.322)。ジアステレオマー化合物は、非対称化合物を、メンチル誘導体等のエナンチオマー的に純粋なキラル誘導体試薬と反応させることによって形成することができ、次にジアステレオマーの分離及び加水分解を行い、純粋又は濃縮されたエナンチオマーを得る。光学的純粋性を決定する方法は、メンチルエステル、例えば、塩基存在下の(−)クロロギ酸メンチル、又はモッシャーエステル、ラセミ混合物のα−メトキシ−α−(トリフルオロメチル)酢酸フェニル等のキラルエステルを作製すること(Jacob III.J.Org.Chem.、(1982)47:4165)、2つのアトロプ異性エナンチオマー又はジアステレオマーの存在について、H NMRスペクトルを分析することを伴う。アトロプ異性化合物の安定なジアステレオマーは、順相及び逆相クロマトグラフィー、次にアトロプ異性ナフチル−イソキノリンの分離方法(WO96/15111)によって、分離及び単離することができる。方法(3)により、2つのエナンチオマーのラセミ混合物は、キラル固定相を使用するクロマトグラフィーによって分離することができる(“Chiral Liquid Chromatography”(1989)W.J.Lough、Ed.、Chapman and Hall、New York;Okamoto、J.Chromatogr.、(1990)513:375−378)。濃縮又は精製されたエナンチオマーは、旋光性及び円偏光二色性等の不斉炭素原子で、その他のキラル分子を区別するために使用される方法によって区別することができる。
【0060】
投与及び医薬製剤
式(I)の化合物は、治療を受ける病態に適切な任意の都合のよい経路によって投与することができる。適切な経路として、経口、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、皮内、髄腔内及び硬膜外を含む)、経皮、直腸、経鼻、(頬側及び舌下を含む)局所、膣内、腹腔内、肺内及び鼻腔内が挙げられる。
【0061】
化合物は任意の好都合な投与形態、例えば、錠剤、粉末、カプセル剤、溶液、分散液、懸濁液、シロップ、スプレー、坐薬、ゲル、乳剤、パッチ等で投与してもよい。このような組成物は、医薬製剤、例えば、希釈剤、担体、pH調整剤、甘味料、増量剤、及びさらなる活性薬剤に従来の成分を含んでもよい。非経口投与が所望される場合、組成物は、無菌であり、溶液又は懸濁液中で注射又は注入に適した形態にある。
【0062】
一般的な製剤は、式(I)の化合物及び担体又は賦形剤を混合することによって調製される。適切な担体及び賦形剤は、当業者に周知であり、例えば、Ansel、Howard C.、et al.、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems Philadelphia:Lippincott、Williams&Wilkins、2004;GeNNaro、Alfonso R.、et al. Remington:The Science and Practice of Pharmacy Philadelphia:Lippincott、Williams&Wilkins、2000;and Rowe、Raymond C.Handbook of Pharmaceutical Excipients Chicago、Pharmaceutical Press、2005に詳細に記述されている。製剤はまた、一つ以上の緩衝剤、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、防腐剤、抗酸化剤、不透明剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、芳香剤、香味剤、希釈剤及びその他の周知の添加剤を含んでいてもよく、医薬品(すなわち、本発明の式(I)の化合物又はその医薬組成物)を上品な形で提供し、又は医薬品(すなわち薬剤)の製造を補助することができる。
【0063】
一実施形態は、式(I)の化合物を含む医薬組成物、又はその薬学的に許容される塩を含む。さらなる実施形態は、医薬的に許容される担体又は賦形剤と共に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0064】
式(I)の化合物による治療方法
式(I)の化合物は、一つ以上の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することにより、疾患又は病態を治療又は予防するために使用することができる。一実施形態では、ヒト患者を、検出可能にCHK1活性を阻害する量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、薬学的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクルで治療する。
【0065】
CHK1及び/又はCHK2によって調節される疾患又は障害を予防又は治療する方法は、当該治療を必要とする哺乳動物に、有効量の式(I)の化合物を投与することを含むことができる。
【0066】
別の実施形態では、哺乳動物の過剰増殖性疾患を治療する方法を提供し、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を哺乳動物に投与することを含む。
【0067】
別の実施形態では、以下の特定の病態を含むがんの治療を必要とする哺乳動物において、治療又は予防する方法であり、方法は前記哺乳動物に治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0068】
ある特定の実施形態では、式(I)のCHK1阻害剤(すなわち、式(I)の化合物)は、DNA損傷剤と組み合わせて投与される。一般的に、DNA損傷剤は、式(I)のCHK1阻害剤の前に投与される。DNA損傷剤として、Gemzar(登録商標)(ゲムシタビン)、Camptosar(登録商標)(イリノテカン又はCPT−11)、Temodar(登録商標)(テモゾロミド)、ゼローダ(登録商標)(カペシタビン)、Hycamtin(登録商標)(トポテカン)、シスプラチン、Eloxatin(登録商標)(オキサリプラチン)、Paraplatin(カルボプラチン)、カンプトテシン、ara−C(シタラビン)、5−FU(フルオロウラシル)、Cytoxan(登録商標)(シクロホスファミド)、Etopophos(登録商標)又はVepesid(登録商標)(エトポシドホスフェート)、Vumon(登録商標)(テニポシド)、アドリアマイシンPFS(登録商標)又はアドリアマイシンRDF(登録商標)(ドキソルビシン)、ダウノルビシン、Alimta(登録商標)(ペメトレキセド)、及び放射線照射が挙げられる。ある特定の実施形態では、DNA損傷剤は、ゲムシタビン、イリノテカン、テモゾロミド、カペシタビン、カンプトテシン、シスプラチン、ara−C及び5−FUから成る群から選択される。ある特定の実施形態では、DNA損傷剤は、ゲムシタビン、イリノテカン、テモゾロミド及びカペシタビンから選択される。ある特定の実施形態では、DNA損傷剤は、ゲムシタビン、イリノテカン、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン及びシタラビンから選択される。ある特定の実施形態では、DNA損傷剤は、ゲムシタビン及びイリノテカンから選択される。DNA損傷剤は、承認又は推奨される用量で投与される。
【0069】
CHK1阻害剤は多くの抗癌剤の活性を増強することができるため、幅広い範囲の腫瘍タイプを、本明細書に記載の組成物及び方法によって治療することができる。対象となる腫瘍タイプとして、限定されないが以下が挙げられる。心臓では肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫及び奇形腫、肺では気管支原性肺癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫、消化管では食道(扁平上皮癌、腺癌、肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(膵癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、腺管腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、泌尿生殖器系では腎臓(腺癌、ウイルムス腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)腎臓、膀胱と尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺癌(腺癌・肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌腫、絨毛癌、肉腫、間質細胞腫瘍、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫)、肝臓では肝癌(肝細胞癌)、胆管細胞癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、骨では骨肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨症)、良性脊索腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液性線維腫(chondromyxofibroma)、類骨骨腫及び巨細胞腫、神経系では頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、グリオーマ、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形神経膠芽腫、希突起神経膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、グリオーマ、サルコーマ)、婦人科では、子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍子宮頚部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類の癌腫]、顆粒膜卵胞膜細胞腫、セルトリー・ライデッグ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、繊維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状横紋筋肉腫(胎児型横紋筋肉腫]、ファロピウス管(癌腫)、血液学的には、血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンスリンパ腫[悪性リンパ腫]、皮膚では、悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、ホクロの異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬、乳房では、浸潤性乳癌(浸潤性乳管癌及び浸潤性小葉癌)等、ならびに副腎では、神経芽細胞腫。用語、過剰増殖性疾患は、上記の特定の病態を含む。本明細書で提供される場合、用語「癌性細胞」は、上記の特定の病態のいずれか一つの障害を受けた細胞を含む。
【0070】
本明細書の特定の実施形態では、、がんは、大腸癌(ras変異を含む)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、卵巣癌、転移性乳癌、膵臓癌、肝胆道癌(肝細胞癌、胆管癌及び胆管癌を含む)、胃癌、精巣癌、頭頸部扁平上皮癌、白血病(急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病及び慢性リンパ性白血病)、リンパ腫(マントル細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫)、及び前立腺癌から選択される。
【0071】
本明細書の特定の実施形態では、、がんは固形腫瘍癌である。
【0072】
本明細書の特定の実施形態では、、がんは、膵臓癌、卵巣癌及び結腸直腸癌から選択される。
【0073】
本明細書の特定の実施形態では、、がんは、大腸癌(ras変異を含む)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、及び神経膠腫から選択される。ある特定の実施形態では、CHK1阻害剤は、DNA損傷剤と併用して投与される。さらなる実施形態では、DNA損傷剤はイリノテカンである。
【0074】
本明細書の特定の実施形態では、、がんは、非小細胞肺癌、卵巣癌、転移性乳癌、膵臓癌、肝胆道癌(肝細胞癌、胆管癌及び胆管癌を含む)及び胃癌から選択される。ある特定の実施形態では、CHK1阻害剤は、DNA損傷剤と併用して投与される。さらなる実施形態では、DNA損傷剤はゲムシタビンである。
【0075】
本明細書の特定の実施形態では、、がんは、大腸癌(ras変異を含む)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、卵巣癌(肝細胞癌、胆管癌及び胆管癌を含む)、胃癌、精巣癌及び頭頸部扁平上皮癌から選択される。ある特定の実施形態では、CHK1阻害剤は、DNA損傷剤と併用して投与される。さらなる実施形態では、DNA損傷剤は、シスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチンから成る群から選択される。
【0076】
本明細書の特定の実施形態では、、がんは、白血病(急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病及び慢性リンパ性白血病を含む)、リンパ腫(マントル細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含む)及び前立腺癌から選択される。ある特定の実施形態では、CHK1阻害剤は、DNA損傷剤と併用して投与される。さらなる実施形態では、DNA損傷剤はシタラビンである。
【0077】
本明細書の別の実施形態は、がん治療のための医薬の製造における式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0078】
別の実施形態では、CHK1及び/又はCHK2によって調節される疾患又は障害を治療又は予防する方法であり、当該治療を必要とする哺乳動物に、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0079】
別の実施形態では、がんを予防又は治療する方法であり、当該治療を必要とする哺乳動物に、単独で、又は抗癌特性を有する一つ以上の追加の化合物と組み合わせて、有効量の式(I)の化合物を投与することを含む。
【0080】
CHK1阻害剤は、抗癌剤(又はDNA損傷剤)がCHK1依存性細胞周期チェックポイントをトリガーする場合、広い範囲の抗がん剤の活性を増強することが期待される。
【0081】
式(I)の化合物は、哺乳動物の過剰増殖性疾患を治療するための組成物中で使用することができ、当該組成物は、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含み、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、抗代謝物質、アンチセンスDNA又はRNA、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、シグナル伝達阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素阻害剤、レチノイド受容体モジュレーター、プロテアソーム阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、生体応答修飾物質、抗ホルモン剤、血管新生抑制剤、抗アンドロゲン、標的化抗体、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤から選択される抗腫瘍剤と併用される。
【0082】
式(I)の化合物は、哺乳動物の過剰増殖性疾患を治療するための方法に使用することができ、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を哺乳動物に投与することを含み、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、抗代謝物質、アンチセンスDNA又はRNA、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、シグナル伝達阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素阻害剤、レチノイド受容体モジュレーター、プロテアソーム阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、生体応答修飾物質、抗ホルモン、血管新生阻害剤、抗アンドロゲン、標的化抗体、HMG−CoA還元酵素阻害剤、及びプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤とから選択される抗腫瘍剤と併用される。
【0083】
別の実施態様は、治療に使用する式(I)の化合物を提供する。さらなる実施形態では、前記使用はDNA損傷剤の使用も含む。
【0084】
別の実施形態は、過剰増殖性疾患の治療に使用するための式(I)の化合物を提供する。さらなる実施形態では、過剰増殖性疾患は、上記の特定された病態を含むがんである。さらなる実施形態では、前記使用はDNA損傷剤の使用も含む。
【0085】
式(I)の化合物は哺乳動物の異常な細胞増殖を阻害するための医薬組成物に使用することができ、当該組成物は、一定量の化学療法剤と併用して、一定量の式(I)の化合物又はその立体異性体又はその薬学的に許容される塩を含み、一定量の化合物、立体異性体又は塩及び一定量の化学療法剤は、異常な細胞増殖を阻害するのに共に有効である。多くの化学療法剤は、当該分野で周知である。ある特定の実施形態では、化学療法剤は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、抗代謝物質、アンチセンスDNA又はRNA、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、シグナル伝達阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素阻害剤、レチノイド受容体モジュレーター、プロテアソーム阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、生体応答修飾物質、抗ホルモン、血管新生阻害剤、抗アンドロゲン、標的化抗体、HMG−CoA還元酵素阻害剤、及び/又はプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤から選択される。
【0086】
式Iの化合物は、哺乳動物の異常な細胞増殖を阻害する、又は過剰増殖障害を治療する方法に使用することができ、当該方法は、哺乳動物に、放射線療法と組み合わせて一定量の式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、当該量の当該化合物又は塩は、放射線療法と組み合わせて、哺乳動物の異常な細胞増殖を阻害する、又は過剰増殖障害を治療するのに有効である。放射線療法を投与するための技術は、当該分野で周知であり、これらの技術は、本明細書に記載の併用療法で使用することができる。この併用療法における式Iの化合物の投与は、本明細書に記載されるように決定することができる。
【0087】
式Iの化合物は、異常な細胞を死滅及び/又はその増殖を阻害する目的で、当該細胞を放射線での治療により感作させることができると考えられる。したがって、式Iの化合物は、哺乳動物の異常な細胞を放射線治療に感作させる方法に使用することができ、当該方法は、哺乳動物に、一定量の式Iの化合物又はその立体異性体又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、その量は、放射線治療に異常な細胞を感作させるのに有効である。前記方法で使用される化合物、立体異性体又は塩の量は、本明細書に記載の化合物の有効量を確認する方法に従い、又は当業者に周知の方法によって決定することができる。
【0088】
別の実施形態は、過剰増殖性疾患の治療のための医薬の製造における、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。さらなる実施形態では、過剰増殖性疾患は、上記の特定された病態を含むがんであってもよい。さらなる実施形態では、前記使用はDNA損傷剤の使用も含む。
【0089】
別の実施形態は、上記で特定された病態を含むがん治療を受けている患者の治療に、CHK1及び/又はCHK2阻害剤を使用するために、医薬品の製造における式Iの化合物の使用を提供する。さらなる実施形態では、前記使用はDNA損傷剤の使用も含む。
【0090】
別の実施形態では、oは過剰増殖性疾患の治療における式Iの化合物の使用を提供する。さらなる実施形態では、過剰増殖性疾患は、上記の特定された病態を含むがんである。さらなる実施形態では、前記使用はDNA損傷剤の使用も含む。
【0091】
別の実施形態は、がん治療を受けている患者の治療に、CHK1及び/又はCHK2阻害剤を使用するために、医薬品の製造における式Iの化合物の使用を提供する。さらなる実施形態では、前記使用はDNA損傷剤の使用も含む。
【0092】
別の実施形態では、過剰増殖性疾患の治療において使用するための式Iの化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0093】
別の実施形態では、がん治療に使用するための式Iの化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0094】
併用療法
本明細書に記載の式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、単独で、又は治療するための他の治療剤と併用して使用することができる。式(I)の化合物は、一つ以上の追加の医薬品、例えば、異なる作用機序により機能する抗炎症性化合物と併用して使用することができる。併用医薬製剤又は投与計画の第二の化合物は、好ましくは、式Iの化合物と互いに悪影響を及ぼさないように、式Iの化合物に対して相補的な活性を有する。当該分子は、意図する目的に有効な量で組み合わせて適切に存在する。化合物は、単一の医薬組成物中に、一緒に又は別々に投与されてもよく、別々に投与された場合、任意の順序で同時に又は順次に投与することができる。このような順次投与は投与間隔が短くても離れていてもよい。
【実施例】
【0095】
本発明を例示するために、以下の実施例が含まれる。しかし、この実施例は本発明を限定せず、単に本発明の実施方法の提示に過ぎないことを理解されたい。当業者は、記載の化学反応を、本発明の化合物を調製するための代わりの方法に容易に適用することができ、当該方法は本発明の範囲内であることを認識する。
【0096】
下記の実施例では、断りがない限り、全ての温度は摂氏温度(℃)で示す。試薬は、Sigma−Aldrich Chemical社等の商業的供給業者から購入し、特記しない限り、さらに精製することなく使用した。
【0097】
実施例1:(R)−5−ブロモ−4−(3−アミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの調製
【化16】
【0098】
ステップ1:(R)−5−ブロモ−4−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの調製
【0099】
機械的撹拌器、窒素/真空マニホールド、熱電対及びコンデンサーを備えた不活性化されたの10Lのジャケット反応器に、2−メチル−2−ブタノール(3.30L)5−ブロモ−4−クロロ−3−ニトロ−1Hピロロ[2,3−b]ピリジン(330g、1.00当量)、(R)−tert−ブチルピペリジン−3−イルカーバメート(456g、2.00当量)及びN−メチルモルホリン(115g、1.00当量)を充填した。反応混合物を85℃で48時間撹拌し、20℃に冷却した。次に、混合物を15重量%のクエン酸水溶液(3.30kg)及び水(3.30kg)で洗浄した。2−メチル−2−ブタノールの大部分は、50℃の真空下で留去した。アセトニトリルを添加し、混合物を元の容量に戻した。合計10.3kgのアセトニトリルを添加するまで、連続蒸留を行った。水(3.20kg)をゆっくりと約1時間かけて55℃で懸濁液に充填した。スラリーをゆっくりと4時間かけて20℃に冷却した。得られた固体を濾過により回収し、1:1(v/v)のアセトニトリルと水(1.60L)の混合物で洗浄した。生成物を70℃で窒素下、真空オーブン中で乾燥させ、黄色の固体として、358g(69%収率)の(R)−5−ブロモ−4−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを得た。H NMR(600MHz、DMSO−d):δ13.12(s、1H)、8.60(s、1H)、8.39(s、1H)、6.80(d、J=6.8Hz、1H)、3.49(m、1H)、3.34(m、2H)、3.22(t、J=11.2Hz、1H)、3.00(t、J=10.2Hz、1H)、1.88(dd、J=12.3、2.8Hz、1H)、1.74(m、2H)、1.38(m、1H)、1.34(s、9H)。13C NMR(150MHz、DMSO−d):δ154.8、148.9、148.2、147.9、130.6、128.5、113.8、109.6、77.6、54.7、48.9、47.3、30.0、28.1(3C)、24.2。HRMS−ESI(m/z):C1723BrNについての[M+H]計算値、440.0928;実測値、440.0912。
【0100】
ステップ2及び3:(R)−5−ブロモ−4−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの調製
【0101】
1Lリットルの不活の加圧反応器に、(R)−5−ブロモ−4−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(75.0g、1.00当量)、1%のPt+2%V/C(11.3g、15重量%)、N−メチルモルホリン(29.3g、1.70当量)、及び2−MeTHF(750mL)を充填した。反応混合物を5バールの水素で、50℃で最短2時間で撹拌した。シクロプロパンカルボニルクロリド(26.7g、1.50当量)を15℃で10分かけて反応器に充填した。反応混合物を25℃で1時間攪拌し、セライトを通して濾過した。ケーキを2−MeTHF(150mL)で洗浄した。濾液を15重量%の塩化アンモニウム水溶液(450mL)及び水(450mL)で洗浄し、元の量の1/3に真空蒸留した。トルエンを添加し、溶液を元の容量に戻した。2−MeTHFが2重量%以下になるまでトルエンを添加しながら、連続真空蒸留を55℃で行った。得られた固体を、濾過により単離し、トルエンで洗浄し、真空オーブン中で、40℃で一晩乾燥させ、オフホワイトの固体として、69.8g(補正収率69%)の(R)−5−ブロモ−4−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(1:1のトルエン溶媒和物)を得た。H NMR(600MHz、THF−d、4℃):δ10.76(s、1H)、9.72(s、1H)、8.15(s、1H)、7.90(d、J=2.4Hz、1H)、7.18−7.08(m、5H)、6.41(d、J=7.8Hz、1H)、3.82(m、1H)、3.60(m、1H)、3.44(t、J=10.6Hz、1H)、3.30(dd、J=10.6、3.9Hz、1H)、3.03(d、J=10.9Hz、1H)、2.29(s、3H)、2.08(m、1H)、1.89(m、2H)、1.66(m、1H)、1.37(s、9H)、1.36(m、1H)、0.95−0.80(m、4H)。13C NMR(150MHz、THF−d、4℃):δ170.0、155.8、149.0、147.8、147.6、138.4、129.6(2C)、128.9(2C)、126.0、116.6、115.6、111.9、108.8、78.5、55.8、50.2、49.1、31.8、28.6(3C)、26.3、21.5、15.8、7.70、7.56。HRMS−ESI(m/z):C2129BrNについての[M+H]計算値、478.1448;実測値、478.1431。
【0102】
ステップ4:(R)−5−ブロモ−4−(3−アミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの調製
【0103】
機械的撹拌器、窒素/真空マニホールド、熱電対、及びコンデンサーを備えた不活の1Lのジャケット反応器に、(R)−5−ブロモ−4−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(1:1トルエン溶媒和物)(30.0g、1.00当量)、テトラヒドロフラン(180mL、6.00mL/g)を充填し、次に4.5Mの硫酸(36.1mL、3.00当量)を充填した。反応混合物を50±5℃で2時間攪拌し、その後20℃に冷却した。水性ピペラジン溶液(水190mLに溶解した42.4g)を25℃でゆっくりと添加し、次に15.0mLの飽和したブラインを添加した。水性の下部層を除去した。得られた溶液を20℃で5分間撹拌した。水(22.0mL)を添加した。合計260mLのエタノールを添加するまで、蒸留速度を一致させるように、エタノールの供給速度を調整することによって、連続蒸留を50℃で行った。水(340mL)を1時間かけて50℃で添加した。得られた固体を濾過により単離し、水(60mLを2回)中の20%エタノールで洗浄し、50℃で真空オーブン中で一晩乾燥させ、淡黄色の固体として、16.4g(78%補正収率)の(R)−5−ブロモ−4−(3−アミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを得た。(注:遊離塩基生成物のプロトン(H)及び炭素13(13C)のスペクトルは非常に広い。そのため、以下に示すスペクトルは、ビス−HCl塩に変換された遊離塩基である。)H NMR(300MHz、DMSO−d):δ11.98(br、1H)、9.78(s、1H)、8.44(br、3H)、8.25(s、1H)、7.45(d、J=2.4Hz、1H)、3.57(m、1H)、3.43(m、1H)、3.41(m、1H)、3.28(m、1H)、3.14(m、1H)、2.15(m、1H)、1.90(penta、J=6.5Hz、1H)、1.81(m、1H)、1.72(m、1H)、1.52(m、1H)、0.83(m、4H)。13C NMR(75MHz、DMSO−d):δ172.9、149.5、145.9、145.1、121.9、114.2、113.1、107.8、53.8、51.1、47.5、28.6、24.37、14.7、7.55、7.45。HRMS−ESI(m/z):C1621BrNOについての[M+H]計算値、378.0924;実測値、378.0912。
【0104】
実施例2
【化17】
【0105】
あるいは、化合物(R)−5−ブロモ−4−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(シクロプロパンカルボキサミド)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンは、(R)−5−ブロモ−4−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを単離しない方法によって、5−ブロモ−4−クロロ−3−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン及び(R)−tert−ブチルピペリジン−3−イルカーバメートから調製することができる。既存の手順に対する変更は以下である。(R)−5−ブロモ−4−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−ニトロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの溶液を、15重量%のクエン酸水溶液(10.0g/g)及び水(10.0g/g)で洗浄した後、2−メチル−2−ブタノール中で直接水素化した。2−メチル−2−ブタノール中の溶液の濃度はHPLC質量分析で決定した。