(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ボイラ運転中、前記ボイラ内における前記複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれにおいて、その特定の配置にある時に前記スートブロワエレメントが放出した前記第1の加圧流体スプレーおよび前記第2の加圧流体スプレーの一方または両方を通して前記スートブロワエレメントに戻る前記1つ以上の反力を示すそれぞれの値を生成するステップを含む、請求項7に記載の方法。
前記スートブロワエレメントに関して、少なくとも1つの実質的堆積が、前記複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれに対応する少なくとも1つの熱交換器の位置にあるかどうかを示すマップを構築するステップを含む、請求項8に記載の方法。
前記スートブロワエレメントが移動し回転すると、複数の異なるタイムインスタンスのそれぞれにおいて、その特定のタイムインスタンスに関し、前記第1の加圧流体スプレーおよび前記第2の加圧流体スプレーの一方または両方を通して前記スートブロワエレメントにかかる前記1つ以上の反力を示すそれぞれの値を生成するステップと、
前記複数の異なるタイムインスタンスのそれぞれを、複数の前記スートブロワエレメントの配置のうちの対応する1つに関連付けるステップと
を含む、請求項7に記載の方法。
ボイラ運転中における生成された複数の値と複数のベースライン値とをそれぞれの第1の周波数領域データセットおよび第2の周波数領域データセットに変換するステップを含む、請求項14に記載の方法。
前記第1の周波数領域データセットおよび前記第2の周波数領域データセットの両方に関して特定された周波数帯の前記周波数領域データを、対応する第1の時間領域データセットおよび第2の時間領域データセットに変換するステップであって、前記第1の時間領域データセットおよび前記第2の時間領域データセットの各エレメントは、前記複数の異なるタイムインスタンスのうちの関連する1つと関連する振幅値とによって規定される、ステップである、請求項15に記載の方法。
第1のノズルおよび第2のノズルから第1の加圧流体スプレーおよび第2の加圧流体スプレーを放出するスートブロワエレメントでボイラの熱交換器のファウリングを検出するためのシステムであって、
前記熱交換器に対するまたは前記熱交換器上の1つ以上の実質的堆積に対する、前記第1の加圧流体スプレーおよび第2の加圧流体スプレーの一方または両方の衝撃によって生じる1つ以上の反力であり、前記第1の加圧流体スプレーおよび前記第2の加圧流体スプレーの一方または両方を通して前記スートブロワエレメントに戻る1つ以上の反力を示す値を生成するデータ取得システムを備え、
前記データ取得システムは、生成された前記値に基づいて、ファウリングを示す実質的堆積が前記熱交換器上にある時を判定するようにさらに構成されている、システム。
前記スートブロワエレメント上のひずみ値を検出するために前記スートブロワエレメント上に配置されたひずみゲージ検出素子であって、生成された前記値が前記検出したひずみ値に基づく、ひずみゲージ検出素子を備える、請求項20に記載のシステム。
前記データ取得システムは、ボイラ運転中、前記ボイラ内における複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれにおいて、その特定の配置にある時に前記スートブロワエレメントが放出した前記第1の加圧流体スプレーおよび前記第2の加圧流体スプレーの一方または両方を通して前記スートブロワエレメントに戻る前記1つ以上の反力を示す、それぞれの値を生成することを行うように構成され、前記スートブロワエレメントの各々の配置が、第1の原位置と第2の最大位置との間の対応する直線位置と前記スートブロワエレメントの回転方位とによって規定される、請求項20に記載のシステム。
第1のノズルおよび第2のノズルから第1の加圧流体スプレーおよび第2の加圧流体スプレーを放出するスートブロワエレメントでボイラの熱交換器のファウリングを検出するためのコンピュータプログラム製品であって、
コンピュータ可読プログラムコードを有している非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読プログラムコードが、
前記熱交換器または前記熱交換器上の1つ以上の実質的堆積に対する、前記第1の加圧流体スプレーおよび前記第2の加圧流体スプレーの一方または両方の衝撃によって生じる1つ以上の反力であり、前記第1の加圧流体スプレーおよび前記第2の加圧流体スプレーの一方または両方を通して前記スートブロワエレメントに戻る1つ以上の反力を示す値を生成するコンピュータ可読プログラムコードと、
生成された前記値に基づいて、ファウリングを示す実質的堆積が前記熱交換器上にある時を判定するコンピュータ可読プログラムコードと
を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体
を備える、コンピュータプログラム製品。
前記スートブロワエレメント上のひずみ値を検出するために前記スートブロワエレメント上に配置されたひずみゲージ検出素子から前記検出したひずみ値を受信するコンピュータ可読プログラムコードであって、生成された前記値が前記検出したひずみ値に基づく、コンピュータ可読プログラムコードを備える、請求項26に記載のコンピュータプログラム製品。
前記スートブロワエレメントの検出した直線および角度位置に対応する、リニアエンコーダおよびロータリエンコーダからのデータを受信するコンピュータ可読プログラムコードと、
前記ひずみゲージ検出素子が検出したひずみ値を記録するコンピュータ可読プログラムコードと、
スートブロワ直線位置および角度位置を含む前記スートブロワエレメントの配置情報を格納するコンピュータ可読プログラムコードと
を備える、請求項27に記載のコンピュータプログラム製品。
ボイラ運転中、前記ボイラ内における複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれにおいて、その特定の配置にある時に前記スートブロワエレメントが放出した前記第1の加圧流体スプレーおよび前記第2の加圧流体スプレーの一方または両方を通して前記スートブロワエレメントに戻る前記1つ以上の反力を示す、それぞれの値を生成するコンピュータ可読プログラムコードであって、前記スートブロワエレメントの各々の配置が、第1の原位置と第2の最大位置との間の対応する直線位置と前記スートブロワエレメントの回転方位とによって規定される、コンピュータ可読プログラムコードを備える、請求項26に記載のコンピュータプログラム製品。
前記スートブロワエレメントに関して、少なくとも1つの実質的堆積が、前記複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれに対応する少なくとも1つの熱交換器の位置にあるかどうかを示すマップを構築するコンピュータ可読プログラムコードを備える、請求項30に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の実施態様によれば、ボイラの熱交換器のファウリングを検出するための方法が提供される。本方法は、スートブロワエレメントの第1および第2のノズルから第1および第2の加圧流体スプレーを放出するステップと、熱交換器または熱交換器上の1つ以上の実質的堆積の上に、第1および第2の加圧流体スプレーの一方または両方の衝撃によって生じる1つ以上の反力であり、第1および第2の加圧流体スプレーの一方または両方を通してスートブロワエレメントに戻る1つ以上の反力を示す値を生成するステップと、値に基づいて、ファウリングを示す実質的堆積が熱交換器上にある時を判定するステップとを含み得る。
【0007】
第1および第2の加圧流体スプレーのそれぞれは、蒸気の亜音速流れを含み得る。
【0008】
1つ以上の反力は、1つ以上のスートブロワエレメントにかかるねじり力を含み得る。
【0009】
生成値は、検出値を検出するためにスートブロワエレメント上に配置されたひずみゲージ検出素子からの検出値に基づき得る。
【0010】
本方法は、基準位置に対するノズルの直線位置を判定するステップと、基準方位に対するノズルのうちの少なくとも1つの回転方位を判定するステップと、値ならびにノズルの直線位置および回転方位に基づいて1つ以上の実質的堆積が熱交換器表面上にあるかどうかを判定するステップと、1つ以上の実質的堆積が熱交換器上にあると判定された場合、ノズルの直線位置および回転方位に基づいて、熱交換器上の1つ以上の実質的堆積の可能な位置の特定の対を判定するステップとを含み得る。
【0011】
ノズルの直線位置および回転方位を判定するステップは、開始時間から経過した期間に基づくものであってもよい。
【0012】
本方法は、第1の原位置から第2の最大位置まで、熱交換器の複数のプラテンに対して実質的に垂直な方向に、スートブロワエレメントを動かすステップと、スートブロワエレメントをその長手方向軸線を中心として回転させるステップと、ボイラ内における複数の異なるスートブロワエレメントの配置を規定するステップであって、それぞれが、第1の原位置と第2の最大位置との間の対応する直線位置と、スートブロワエレメントの回転方位とによって規定される、ステップとを含み得る。
【0013】
ボイラ運転中、ボイラ内における複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれにおいて、その特定の配置にある時にスートブロワエレメントが放出した第1および第2の加圧流体スプレーの一方または両方を通してスートブロワエレメントに戻る1つ以上の反力を示す、それぞれの値が生成されてもよい。
【0014】
本方法は、スートブロワエレメントに関して、少なくとも1つの実質的堆積が、複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれに対応する少なくとも1つの熱交換器の位置にあるかどうかを示すマップを構築するステップを含み得る。
【0015】
本方法は、複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれにおいて、それぞれのベースライン値を測定するステップであって、各ベースライン値は、その特定の配置においてファウリングが存在しないことを示す、ステップを含み得る。
【0016】
それぞれのベースライン値を測定している間にスートブロワエレメントを移動し、かつスートブロワエレメントを回転させることは、ボイラ運転中、1つ以上の反力を示すそれぞれの値を生成する場合と実質的に同じ速さで起こしてもよい。
【0017】
本方法は、複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれにおいて、少なくとも1つの実質的堆積が、ボイラ運転中に生成されたそれぞれの値とその特定の配置と関連するそれぞれのベースライン値との間の比較に基づいて、その特定のスートブロワエレメントの配置に対応する熱交換器の2つの可能な位置のうちの少なくとも1つにある時を判定するステップを含み得る。
【0018】
本方法は、スートブロワエレメントが移動および回転すると、複数の異なるタイムインスタンスのそれぞれにおいて、その特定のタイムインスタンスに関し、第1および第2の加圧流体スプレーの一方または両方を通してスートブロワエレメントにかかる1つ以上の反力を示すそれぞれの値を生成するステップと、複数の異なるタイムインスタンスのそれぞれを、複数のスートブロワエレメントの配置のうちの対応する1つに関連付けるステップとを含み得る。
【0019】
本方法は、複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれにおいて、それぞれのベースライン値を測定するステップであって、各ベースライン値は、その特定の配置においてファウリングが存在しないことを示す、ステップを含み得る。
【0020】
本方法は、ボイラ運転中における複数の生成値と複数のベースライン値とをそれぞれの第1および第2の周波数領域データセットに変換するステップを含み得る。
【0021】
本方法は、第1および/または第2の周波数領域データセットの複数の周波数帯を検討して、複数の周波数帯の中の特定の周波数帯を特定するステップであって、特定の周波数帯は、複数のうちの他の周波数帯のどれよりも生成されたそれぞれの値に対応する応答を与える可能性が高い、ステップを含み得る。
【0022】
本方法は、第1および第2の周波数領域データセットの両方に関して特定された周波数帯の周波数領域データを、対応する第1および第2の時間領域データセットに変換するステップであって、第1および第2の時間領域データセットの各エレメントは、複数の異なるタイムインスタンスのうちの関連する1つと、関連する振幅値とによって規定される、ステップを含み得る。
【0023】
第1のセットの時間領域データの各エレメントは、第2の時間領域データセットにおけるそれぞれの対応するエレメントと関連付けられてもよい。
【0024】
本方法は、第1および第2のセットの時間領域データの対応するエレメントの各対に関して、第1の時間領域データセットのエレメントの関連する振幅値と第2の時間領域データセットの対応するエレメントとの間の比較に基づいて、1つ以上の実質的堆積が熱交換器上にある時を判定するステップを含み得る。
【0025】
本発明の第2の実施態様によれば、ボイラの熱交換器のファウリングを検出するための方法が提供される。本方法は、スートブロワエレメントのノズルから加圧流体スプレーを放出するステップと、熱交換器の表面または熱交換器上の1つ以上の実質的堆積に対する、加圧流体の衝撃によって生じる反力であり、加圧流体スプレーを通してスートブロワエレメントに戻る反力を示す値を生成するステップと、反力を示す値に基づいて、ファウリングを示す実質的堆積が熱交換器上にある時を判定するステップとを含み得る。
【0026】
本発明の第3の実施態様によれば、第1および第2のノズルから第1および第2の加圧流体スプレーを放出するスートブロワエレメントでボイラの熱交換器のファウリングを検出するためのコンピュータプログラム製品が提供される。本コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読プログラムコードを有している非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。特定のコンピュータ可読プログラムコードは、a)熱交換器または熱交換器上の1つ以上の実質的堆積に対する、第1および第2の加圧流体スプレーの一方または両方の衝撃によって生じる1つ以上の反力であり、第1および第2の加圧流体スプレーの一方または両方を通してスートブロワエレメントに戻る1つ以上の反力を示す値を生成するコンピュータ可読プログラムコードと、b)生成値に基づいて、ファウリングを示す実質的堆積が熱交換器上にある時を判定するコンピュータ可読プログラムコードとを含み得る。
【0027】
本発明の第4の実施態様によれば、第1および第2のノズルから第1および第2の加圧流体スプレーを放出するスートブロワエレメントでボイラの熱交換器のファウリングを検出するためのシステムが提供される。本システムは、熱交換器または熱交換器上の1つ以上の実質的堆積に対する、第1および第2の加圧流体スプレーの一方または両方の衝撃によって生じる1つ以上の反力であり、第1および第2の加圧流体スプレーの一方または両方を通してスートブロワエレメントに戻る1つ以上の反力を示す値を生成するデータ取得システムを含み得る。データ取得システムはまた、生成値に基づいて、ファウリングを示す実質的堆積が熱交換器上にある時を判定する。
【0028】
本明細書で説明する場合、データ取得システムと制御システムとは、入力データを受信し、コンピュータ命令を通してそのデータを処理し、出力データを生成する、任意の種類のコンピュータを備え得る。そのようなコンピュータは、携帯装置、ラップトップもしくはノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、マイクロコンピュータ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、メインフレーム、サーバ、携帯電話、携帯情報端末、他のプログラム可能コンピュータ装置、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。そのようなコンピュータはまた、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラマブルロジックデバイスを用いて実装できる、あるいは、特定用途向け集積回路(ASIC)などとして実現できる。「コンピュータ」の語はまた、上に列挙した装置のうちの2つ以上、例えば2つ以上のマイクロコンピュータの組み合わせを包含するように意図されている。そのようなコンピュータは、互いに無線または有線で接続されてもよい。データ取得システムと制御システムとは、単一のコンピュータとして組み合わされ得ることもまた企図されている。したがって、本発明の実施態様は、「回路」、「モジュール」、「コンポーネント」、または「システム」と本明細書で総称され得る、ハードウェアとして完全に実装されてもよいし、ソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)として完全に実装されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとを組み合わせた実装で実装されてもよい。さらに、本発明の実施態様は、コンピュータ可読プログラムコードを有している1つ以上のコンピュータ可読媒体で実施される、コンピュータプログラム製品の形態を取り得る。
【0029】
本明細書は、本発明を特定し、かつ明確に主張する特許請求の範囲で締めくくられているが、類似の参照番号が類似の要素を指す添付の図面と併せて、以下の説明から、本発明は、より良く理解されると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の発明を実施するための形態では、限定するためではなく例示として、本明細書の一部を成す添付の図面を参照し、そこでは、本発明が実行され得る特定の好適な実施形態を示す。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなしに、他の実施形態が利用され得ること、また変更をなし得ることを理解されたい。
【0032】
図1は、1つ以上のスートブロワ(本明細書では「スートブロワエレメント」とも称する)を持つスートブロワシステム2を有するクラフト黒液回収ボイラシステム10の概略図であり、ただし、様々なスートブロワシステムおよびスートブロワシステムの補助装置を有する他のボイラシステムも本発明の範囲内である。複数のスートブロワを有するクラフト黒液ボイラシステムは、2006年3月30日に出願の「Method of Determining Individual Sootblower Effectiveness」と題する米国特許出願公開第2006/0065291号明細書に開示および説明されており、これは、本明細書に参照により援用される。熱交換器表面上の堆積を減らすための任意の機構を利用する任意の断面形状のスートブロワを含む、任意の適切なスートブロワを本発明の実施形態において使用できる。
【0033】
黒液は、製紙プロセスにおける化学パルプ化の副産物であり、回収ボイラシステム10において燃焼される。「希黒液」の初期濃度は、約15%である。黒液は、蒸発器12において焼成条件(乾燥固形分含量65%〜85%)まで濃縮させ、次いで、回収ボイラシステム10において燃焼させる。蒸発器12は、蒸解釜(図示せず)の下流にある洗浄機(図示せず)から希黒液を受ける。
【0034】
回収ボイラシステム10は、黒液を燃焼して高温の作動ガスを生成する炉16を画定する封止されたハウジングを備える回収ボイラ14と、熱伝達部18と、炉16と熱伝達部18との間のブルノーズれんが20とを備える(
図1参照)。ボイラシステム10は、エコノマイザ50と、ボイラバンク52と、過熱器部60とをさらに備え、これらすべては、熱伝達部18に配置される(
図1参照)。炉16における燃料の燃焼の結果として得られる灰を含む、高温の作動ガスは、ブルノーズ部20の周囲を通り、熱伝達部18内に入って通り抜け、次いで、電気集塵装置26で濾過され、煙突28を通って出る(
図1参照)。
【0035】
垂直に配置された壁管32は、炉16の垂直壁30内に組み込まれる。以下に詳述するように、主に水である流体を壁管32に通して、炉16で生成された高温の作動ガスからの熱の形態であるエネルギーが壁管32を通って流れる流体に伝達されるようにする。炉16は、燃焼のために空気を導くため、一次レベル空気口34と、二次レベル空気口36と、三次レベル空気口38とを3つの異なる高さレベルに有する。黒液は、スプレーガン40から炉16内に噴霧される。黒液は、蒸発器12からガン40に供給される。
【0036】
エコノマイザ50は、供給装置から供給水を受ける。図示の実施形態では、供給水は、約250°Fの温度でエコノマイザ50に供給される。エコノマイザ50は、約450°Fの温度まで水を加熱し得る。熱伝達部18を通って移動する高温の作動ガスは、供給水を加熱するために、熱の形態のエネルギーをエコノマイザ50に供給する。加熱水は、次いで、エコノマイザ5からボイラバンク52の上部ドラム(蒸気ドラム)52Aに供給される(
図1参照)。上部ドラム52Aは、一般的に、気水分離器として働く。
図1に示す実施形態では、水は、上部ドラム52Aから下部ドラム(マッドドラム)56まで延びる第1の管セット54を流れ下る。水が管54を流れ下る際に、水は、約400〜600°Fの温度まで加熱され得る。加熱水の一部分は、下部ドラム56から、ボイラバンク52の第2の管セット58を通って、上部ドラム52Aまで流れる。下部ドラム56にある加熱水の残りの部分は、炉16の壁管32に供給される。ボイラバンク52の第2の管セット58および炉16の壁管32を通って流れる水は、飽和状態まで加熱され得る。飽和状態では、流体は、主に液体であるが、いくらかの蒸気も提供され得る。壁管32の流体は、上部ドラム52Aにあるボイラバンク52に戻る。蒸気は、上部ドラム52Aにおいて液体から分離される。上部ドラム52Aにある蒸気は、過熱器部60に供給されると共に、水は、第1の管セット54を介して下部ドラム56に戻る。
【0037】
図2に示す実施形態では、過熱器部60は、第1、第2、および第3の過熱器61、62、および63を備え、第1、第2、および第3の過熱器61、62、および63のそれぞれは、プラテン61A、62A、および63Aを備える約20〜50の熱伝達エレメント64を備え得る。本明細書で使用する場合、「熱交換器」は、過熱器61、62、63ならびに高温ガスからの熱を水などの流体に伝達する他の装置を含む。プラテン61A、62A、および63Aは、管を備えるが、
図2では概略的に、矩形の構造として示されている。蒸気は、入口管寄せ(図示せず)と呼ばれる対応するマニホールド管を通って、プラテン61A、62A、および63Aに入り、プラテン61A、62A、および63A内で過熱され、過熱蒸気として、出口管寄せ(図示せず)と呼ばれる別のマニホールド管を通って、プラテン61A、62A、および63Aを出る。プラテン61A、62A、および63Aは、例えば、管寄せ(図示せず)から懸架され得る。熱伝達部18を通って移動する高温の作動ガスは、熱の形態のエネルギーを蒸気を過熱するための過熱器部60に供給する。
図2に示す実施形態では、高温の作動ガスは、矢印101の方向に移動する。過熱器部60は、3つ未満の過熱器または4つ以上の過熱器を備え得ることが企図されている。
【0038】
各熱伝達エレメント64の外面、または伝熱面67は、炉16の内部に曝されている。
図2において、各伝熱面67は、平坦な表面として示されているが、各熱伝達エレメント64は管を備えることから、その熱伝達エレメント64を備える管の外面によって、伝熱面67は画定される。炉16の通常運転中、各熱伝達エレメント64の伝熱面67のすべてまたはかなりの部分が灰で覆われてしまうことがある。熱伝達エレメント64の運転効率を改善するために、これらのエレメント64の伝熱面67のかなりの部分は、その部分を覆った灰を除去するために、スートブロワシステム2によって洗浄される。
【0039】
高温の作動ガスは、
図2に示す矢印101の方向に、過熱器部60を通って移動することから、前端61B、62B、および63Bは、反対側である後端61C、62C、および63Cよりも大量の灰に曝され、したがって、一般的に、前端61B、62B、および63Bは、後端61C、62C、および63Cよりも大量の灰で被覆される。以下詳述するように、高温の作動ガスが矢印101の方向に流れるため、そのことが、堆積物がプラテン61A、62A、および63Aの前面および後面61D〜63Dおよび61E〜63E上にどのように蓄積されるかに影響する。
図2において、各プラテン61A〜63Aの厚さを「T」で示す。各熱伝達エレメント64の伝熱面67、すなわち、各プラテン61A〜63Aは、それぞれの前縁および後縁61B〜63Bおよび61C〜63C、ならびにそれぞれの前面および後面61D〜63Dおよび61E〜63Eを備える。
【0040】
上述のように、スートブロワシステム2は、1つ以上のスートブロワ84を備える。本明細書において、スートブロワ84は、「スートブロワエレメント」とも称する。スートブロワ84は、洗浄するように機能する、すなわち、熱伝達エレメント64の伝熱面67から灰などを除去する。各スートブロワ84は、少なくとも1つのノズル88、典型的には、ランス86の遠位端において約180度離れた一対の半径方向ノズル88を有する細長い管またはランス86を備え得る(
図2参照)。ノズル88は、スートブロワノズルを画定する。ランス86は、蒸気(または水)源(図示せず)と流体連通している。好ましくは、蒸気は、約100〜400psiの圧力で供給される。
【0041】
直線駆動装置184は、ボイラ14の外側であり得る第1の原位置からスートブロワ84が過熱器部60内に配置される第2の最大位置までスートブロワ84を移動させるために、各スートブロワ84に接続できる。リニアエンコーダ186は、直線駆動装置184の一部を形成するもしくは直線駆動装置184に接続する、またはスートブロワ84に直接接続することができて、ホームロケーションなどの基準位置に対するスートブロワ84の直線位置を判定する。回転駆動装置188はまた、その第1の直線原位置からその第2の最大位置まで移動する際に、0度の原位置などの基準方位または角度位置に対してスートブロワ84を回転するために、各スートブロワ84に接続できる。ロータリエンコーダ190は、回転駆動装置188の一部を形成するもしくは回転駆動装置188に接続する、またはスートブロワ84に直接接続することができて、角度原位置に対するスートブロワ84の回転方位または角度位置を判定する。直線駆動装置184と回転駆動装置188とは、装置184、188の動作を制御するための制御システム6に接続される。リニアエンコーダ186とロータリエンコーダ190とは制御システム6に接続され、その結果、制御システム6は、検出した、スートブロワ84の直線位置および角度位置に対応する、エンコーダ186および190が生成したデータを受信する。各スートブロワ84の第1位置と第2の位置との間における内側に向かう動きは、第1のストロークと呼ばれ、第2の位置と第1の位置との間における外側に向かう動きは、第2のストロークと呼ばれる。
【0042】
図2に示すように、スートブロワ84は、熱伝達エレメント64の高さ「H」および幅「W」に対して略垂直に、かつ熱伝達エレメント64間で移動し得る。スートブロワ84がそれらの第1および第2の位置の間で移動すると、蒸気がノズル88を介して排出される。伝熱面67上を覆った灰に蒸気が接触すると、灰の一部分が除去される。経年的に、残灰の蓄積は、スートブロワ84で除去するには弾力的になりすぎることがあり、代替的な洗浄方法が用いられることもある。上述のスートブロワ84は、蒸気および/または水利用するが、ただし、本発明の各実施形態は、このように限定されるものではなく、スートブロワはまた、音波式すす吹きなどの別の原理やボイラ14の使用中にすす吹きを可能とする別の原理に基づくものであってもよいことに留意されたい。
【0043】
図3Aは、熱伝達エレメント64の伝熱面67上に形成された灰堆積に衝突する、スートブロワ84からの蒸気噴射の相対的な位置の概略図である。特に、
図3Aは、プラテン62Aの後面62Eおよび前縁62Bならびに隣接するプラテン61Aの後面61Eおよび後縁61Cの図である。灰および他の物質とのガス流れの方向のために、ガスは、前縁62Bに当たり、前縁62Bに堆積302を形成しやすい。ガスは、プラテン61Aの前面および後面61Dおよび61Eにわたって流れ、後縁61Cには直接当たらないため、後縁61C上には堆積がほとんどまたは全く形成されない。図示のように、堆積302は、前縁62Bの上部領域と比べて、前縁62Bの底部に近づくほど重く、または大きくなる。
図3Aの斑点模様301は、前縁62Bからの距離がプラテン表面62Dおよび62Eに沿って増すにつれて、堆積302が薄く、または少なくなることを説明しようとしている。
【0044】
図3Aでは、スートブロワ84のノズル88は、紙面の外および内に移動する。紙面の外へ移動する際、スートブロワランス86は、ノズル88および放出された蒸気噴射が時計回り方向308に回転するように回転され得る。
図3Aにおいてプラテン62Aの前縁62Bおよび前面および後面62Dおよび62E上に描かれているように、ファウリング、すなわち、実質的な灰堆積302が熱伝達エレメント64の伝熱面67上にある場合、ノズル88のうちの1つから放出された蒸気のスプレー304が、その堆積302に衝突する。
図4に関して以下に詳述するように、堆積302に対する、蒸気のスプレー304を備える加圧流体の衝撃によって、蒸気のスプレー304を通してスートブロワランス86のノズル領域へと転じて戻る反力306が生じる。スートブロワランス86に戻る反力306を、スートブロワランス86は、回転方向308と反対向きの反力トルクとして受ける。一部の実施形態では、蒸気304の速度は、反力がいかに有効にスートブロワランス86に戻るかの役割を果たす。例えば、亜音速蒸気流は、超音速蒸気流よりも大きな振幅で反力を戻し得る。
【0045】
図3Bは、ファウリングが存在する、4つの隣接するプラテン61A、62Aの平面図を示す。図示のように、堆積302は、典型的には、プラテン64の「前」縁(例えば、前縁61B、62B)上に、プラテンの「後」縁(例えば、後縁61C、62C)に近づくほど存在する堆積質量が少なくなって形成される。各堆積302は、プラテン64の前面61D、62Dおよび後面61E、62Eの両方の上に形成され得る。よって、堆積302は、隣接するプラテン64の隣接する後縁61Cと前縁62Bとの間の間隙G
1において外側に向けて成長し得、隣接するプラテン64の隣接する後面61E、61Dと前面62E、62Dとの間の間隙G
2において外側に向けて成長し得る。
【0046】
図3Bでは、スプレーパターン402が2つの熱伝達エレメント64間の領域においてどのように生じ得るかを説明するために、蒸気噴射スプレーパターン例402を示す。熱伝達エレメント64は、隣接する熱伝達エレメント64の中心の間の、約1フィートを含む距離404だけ離間し得る。スートブロワ84がその原位置からその最大位置まで移動する間に、スートブロワ84は、20〜50の熱伝達エレメント64と遭遇し得る。各熱伝達エレメント64は、約2インチから約2.5インチの厚さTを有し得る。全第1および第2のストロークを通したスートブロワ86の行程には、約90〜120秒かかり得る。例として、20の熱伝達エレメント64は、約20フィートの長さにわたる。スートブロワ86は、120秒でこの長さを進む速さで移動する場合、スートブロワ86のノズル88は、約2インチ/秒の速さで移動し、2つの隣接する熱伝達エレメント64間の約10インチ移動するのに約5.0秒かかる。スートブロワ84のノズル88を0.5〜1.0Hzの速度で回転した場合、ノズル88は、2つの隣接する熱伝達エレメント64の間にある間、全360度を通して回転できる。当業者であれば、スートブロワ84の直線速度と、スートブロワノズル88の回転速度と、隣接する熱伝達エレメント64間の間隔とを選択して、スプレーパターン402が熱伝達エレメント64の伝熱面67の様々な部分とどのように相互作用するかを判定および制御できることを認識するはずである。
【0047】
図4は、
図3Aおよび
図3Bに示すように配置された場合、反力がどのようにノズル88において生成されるかを図式的に説明している。ノズル88のうちの1つからの蒸気のスプレー304が、堆積302に当たる。しかしながら、流れ304が離散的な流れエレメントから構成されると考えられる場合、同じ堆積302に当てる時、下方の離散的な流れエレメント322は、上方の離散的な流れエレメント320よりも移動距離が少ない。この距離の差のために、離散的な流れエレメント322が堆積302に当たることにより生じた力は、離散的な流れエレメント320が堆積302に当たることにより生じた力よりも大きくなる。流れ304が堆積302に当たることによって生成される全反力306では、離散的な流れエレメント322からの寄与が、離散的な流れエレメント320からの寄与よりも大きくなる。よって、流れ304を通してノズル88に戻る反力306は、ランス86の外周面に対して垂直ではなく、ランス86の中心軸線を通らず、スートブロワランス86上にねじり力をかける。
【0048】
図4の左側には、スプレー305は堆積、または隣接するプラテン61Aの後縁61Cの任意の部分に当たっていないため、なんら反力が示されていない。
【0049】
ランス86の表面に対して垂直であり、ランス86の中心を通って延びる反力は、流れが、プラテン面67または実質的堆積302に当たり、かつスプレーが当たっている表面に対して実質的に垂直である場合に起こり得ることに留意されたい。
【0050】
図5は、
図3Bと同様の図であるが、各熱伝達エレメント64が複数の管502として描かれている。
図5では、各熱伝達エレメント64は、紙面内および外に延びる複数の管502を備えるものとして示されている。熱伝達エレメント64を画定する管502の外面は、その熱伝達エレメント64のための伝熱面67を備える。
【0051】
図5はまた、スートブロワ84のランス86に取り付けられたひずみゲージ検出素子8を画定する1つ以上のひずみゲージを示している。図示の実施形態では、それぞれのひずみゲージ検出素子8は、好ましくは、それぞれ個々のスートブロワ84に取り付けられるが、代替的に、ひずみゲージ検出素子8は、すべてよりも少ないスートブロワ84のために提供されてもよい。ひずみゲージ検出素子8は、データ取得システム(DAS)9に接続されデータを伝えてよく、その結果、データ取得システムは、制御システム6と通信し得る。ひずみゲージ検出素子8とDAS9とは、スートブロワ84にかかるねじり反力または反力トルクを測定および監視する。しかしながら、当業者であれば認識するように、反力は、以下、すなわち、曲げ力、せん断力、接線力、または半径方向の力のうちのいずれかであり得る。
【0052】
図5では、熱伝達エレメント64のいずれの上にもファウリングまたは堆積は存在しない。しかしながら、これらの状況下であってさえ、ひずみゲージ8は、スートブロワ84を炉壁30に対して内および外に移動する際に蒸気噴射304および305が様々な管502の表面に当たる際の反作用として生じた力の結果として得られるひずみ値を検出することが考えられる。以下に詳細に説明するように、ひずみゲージ検出素子8によって検出され、DAS9に通信されるデータを収集しながら、スートブロワ84の1回以上の全第1および第2のストローク(例えば、10回の通過)を行うことができる。このデータは、ベースライン条件とみなすことができ、ファウリングまたは灰堆積が熱伝達エレメント64の伝熱面67上に存在しない場合でもスートブロワ84が作動中に遭遇し得る反力を表す。
【0053】
ボイラをしばらく運転した後、実質的灰堆積、またはファウリングが管502の表面上に蓄積され得る(例えば
図3B参照)。よって、
図5の管502もまたファウリングを含む場合、蒸気噴射304および305のスートブロワ84が直線的におよび回転して移動する際、灰堆積は、蒸気噴射304および305に遭遇し得る。よって、蒸気噴射304および305のうちの少なくとも1つは、それが対応するノズル88が1つ以上の横または直線位置にある際に堆積(例えば、302)に当たり得、1つの蒸気噴射304、305はまた、スートブロワ84が横に動く間に回転し、それが対応するノズル88が1つ以上の異なる角度方位にある際に、その堆積に当たり得る。スートブロワ84の動きは、その第1の原位置からその第2の最大位置まで、過熱器61、62、および63のうちの1つ以上の複数の熱伝達エレメント64に対して実質的に垂直な方向に、スートブロワ84を動かすステップ、ならびにスートブロワノズル88をスートブロワの長手方向軸線を中心として回転するステップとして説明できる。この動きを離散的なステップに分解する場合、ボイラ14内における複数の異なるスートブロワノズルの配置(本明細書では「スートブロワの配置」とも称する)を規定でき、その結果、第1の原位置と第2の最大位置との間におけるスートブロワノズル88の対応する直線位置と、基準位置、すなわちゼロ原位置に対するスートブロワノズル88の回転方位または角度位置とによって各配置が規定される。ノズル88は、互いに一定の角度距離、例えば180度を置いて配置されるため、各配置は、2つのノズル88のうちの1つに関して、ゼロ原位置またはゼロ原位置に対するスートブロワランス86上の既定の角度位置に対して、規定され得る。所与のスートブロワ84に関して反力関連データを収集するために、ボイラ運転中、ボイラ14内における複数の異なるスートブロワの配置のそれぞれにおいて、ひずみゲージ検出素子8は、その特定の配置にある時にスートブロワノズル88が放出した加圧流体スプレー304、305の一方または両方を通してスートブロワ84に戻る反力(複数あり)に関する、それぞれのひずみ値を検出できる。これらのひずみ値は、DAS9に伝えられ、次いで、DAS9は、スートブロワ84に戻る反力(複数あり)を示す、検出したひずみ値に基づいて、対応する値を生成できる。図示の実施形態では、ノズル88は180度離間しているため、2つのノズル88が放出した2つのスプレーのうちのどちらを通して反力(複数あり)がスートブロワ84に戻ったかを判定できないことがある。
【0054】
図5を参照すると、スートブロワランス86の表面702は、トルク下で圧縮および伸張を経ることになり得る。一例では、ひずみゲージ検出素子8は、ランス86の表面702に配置された複数対のひずみゲージエレメントを備える。一方の対は、表面が張力下となる方向における長さの増加を測定し、他方の対は、表面が圧縮下となる方向における長さの減少を測定する。この手の1つの従来のひずみゲージ検出素子は、ひずみゲージ対からなるホイートストンブリッジ構成を利用するが、他の構成もまた企図されている。ひずみゲージは、スートブロワランス86の表面702にかかるひずみを比例する抵抗変化に変換する。よって、ひずみゲージ検出素子8は、1つ以上の熱伝達エレメント64の1つ以上の表面67に対する、1つ以上の蒸気スプレー、または噴射304、305の衝撃によって生じ、かつスプレー304、305の一方または両方を通してスートブロワランス86に戻る1つ以上の反力から得られるひずみ、例えばひずみ値に比例する電圧を検出および生成する。一般的に、ひずみゲージ検出素子8は、ひずみ値を「マイクロひずみ」単位で測定し、1マイクロひずみは、ひずみ値1μm/mである。説明されるひずみゲージに加えて、反力トルクなどのスートブロワランス86に対する反力はまた、固定式近接センサ、磁歪センサ、磁気弾性センサ、光ファイバセンサ、回転駆動装置188のモータ電流、および様々な他の技法によって本発明の範囲から逸脱することなく測定され得る。
【0055】
図5に示すDAS9は、ひずみゲージ検出素子8が検出した各ひずみ値を記録し、ランス84に戻る1つ以上の反力を示す、ひずみゲージ検出素子8からの各検出ひずみ値に基づいて、対応する値を生成するために、各スートブロワランス86ごとにひずみゲージ検出素子8と有線または無線構成で接続され得る。DAS9はまた、その対応するひずみゲージ検出素子8が検出した値と関連付けられた各スートブロワ84に関する配置情報を記憶する。上述のように、リニアエンコーダ186とロータリエンコーダ190とは制御システム6に接続され、その結果、制御システム6は、検出した、スートブロワ84の直線位置および角度位置に対応する、エンコーダ186および190が生成したデータを受信する。また上述のように、DAS9は、制御システム6と通信できる。したがって、DAS9は、制御システム6から、各スートブロワに関してスートブロワの直線位置と角度位置とを含むスートブロワの配置データを連続的に受信し得る。したがって、DAS9が生成した各反力値に関して、ひずみゲージ検出素子8が反力値の計算に関連し使用されるデータを検出した場合、DAS9は、その反力値に、スートブロワ84の直線位置と角度位置とを含むスートブロワ配置データを対応または割り当てできる。
【0056】
DAS9はまた、ひずみゲージ検出素子8が反力値の計算に関連し使用されるデータを検出した時に時間に対応する反力値に期間を関連付けできる。スートブロワが固定直線速度および回転速度で動作している場合、スートブロワ動作の開始および/または終了時間と、DAS9が維持する内部タイムスタンプとを用いて、各反力値は、特定の直線位置および回転位置と互いに関連付けできる。
あるいは、所与のスートブロワランス86は、既知の位置および既知の回転方位から特定の時点に出発する場合、そして、その移動速度および回転速度が既知である場合、その特定の時点から経過した時間に基づいて、(ボイラ内における)その位置および(基準位置または値に対する)角度方位を任意の時点で判定できる。したがって、DAS9は、検出ひずみ値をひずみゲージ検出素子8から受信した期間に対応するスートブロワの直線位置および角度方位を割り当てできる。
【0057】
図6は、トルク関連の測定装置、例えばひずみゲージ検出素子8を有する、スートブロワ84の一部分と、そこに設置されるデータ取得システム9との図である。すす吹きサイクルは、スートブロワ84が原位置にある状態で開始する。その直線駆動装置184に電力を供給すると、装置184は、スートブロワランスを炉壁を通して回収ボイラ10内に移動させる。そのノズル88がボイラの内側に入ると、スートブロワ84内に高圧蒸気が導入されて、洗浄サイクルを開始できる。直線駆動装置184は、その回転駆動装置188がスートブロワランス86を回転させながら、スートブロワランス86をボイラ10内にその最大位置になるまで動かし続けることができる。この時点で、直線駆動装置184は、その方向を反転するように制御される。加えて、この時点では、回転駆動装置188は、スートブロワランス86をボイラ10から出す方向に引く際に異なるノズル経路を作り出すために、スートブロワ84を既定の異なる量だけ回転させることができる。直線駆動装置184は、ノズル88が高圧蒸気を遮断し得る炉壁付近となるまで後退し続ける。
【0058】
図7は、ボイラ運転中、第1および第2のストロークを通したスートブロワ84の移動中にスートブロワ84にかかる反力を示す、ひずみゲージ検出素子8から受信したデータに基づいてDAS9が生成し得る値の時間領域表現を示している。水平軸は、スートブロワがその原位置から動き始めてからの時間(秒単位)を表す。線806は、ボイラ内への方向におけるスートブロワランス86の行程を表し、スートブロワランスがその最大位置に到達すると終わる。線808は、ボイラから出る方向におけるスートブロワランス86の行程を表し、スートブロワランスがその原位置に戻ると終わる。スートブロワランス86の行程の間、ひずみゲージ検出素子8は、熱伝達エレメント64の伝熱面67上のファウリング灰堆積に対して、または直接伝熱面67に対して衝突する、ノズル88が放出した蒸気噴射のうちの一方または両方を通してスートブロワランス86に戻る反力に関連するデータを検出および収集する。説明したように、検出ひずみ値は、DAS9で用いられて、反力を示す値を生成し、反力を示すこれらの生成値の振幅は、
図7の垂直な軸802で表されている。
【0059】
図8は、本発明の原理による、
図7の時間領域データの周波数領域表現を示す。
図7に示す時間領域データに対してフーリエ解析を行うことができる。DAS9が
図7の時間領域データを
図8の周波数領域データに変換し得ることが企図されている。
図8では、
図7の時間領域信号がその周波数領域成分に変換されており、水平軸904は、様々な周波数を表し、垂直軸902は、それらの周波数におけるスペクトルエネルギーの振幅を表している。図示のように、他の周波数と比べ、スペクトルエネルギーのピークがあるいくつかの周波数帯906、908、910、912、914がある。
図8の1つの実施態様では、水平軸904は約12,500Hzの周波数まで広がっており、したがって、ひずみゲージ8構造が検出した値は、約25,000Hzのレートでサンプリングされて、
図7に表される時間領域データが生成され得るが、本発明の範囲内でより低いサンプリングレートもまた企図される。
【0060】
これらの周波数帯906〜914のうちのすべてが、熱伝達エレメント64の伝熱面67上のファウリング灰堆積に対して、または直接伝熱面67に対して衝突する、スートブロワランス86からの噴射流のうちの一方または両方に関連し得るわけではない。これらは、例えば、ベアリング、ギヤ、モータなどによって生成される力などの、ボイラ14内またはスートブロワ自体の中における他の周期的に繰り返す成分または動作に関連していることもある。よって、様々な周波数範囲のさらなる解析が実行されて、蒸気噴射304、305のうちの一方または両方によってランス86に戻る反力が引き起こした、ひずみゲージ検出素子8からの検出値に最も関連する周波数帯906〜914はどれであるとみられるかを判定し得る。約300〜500Hzの範囲にある1つのそのような周波数帯908が経験的に調査されて、これが、ひずみゲージ検出素子8が検知した様々な信号値に関連し、蒸気噴射304、305のうちの一方または両方によってランス86に戻る反力に対応する可能性があるかを判定する。当業者であれば、300Hz〜500Hzの範囲が1つの範囲例として選択されたことと、他の周波数範囲もまた対象とするものであることを認識するはずである。
【0061】
結果として、
図8に示される周波数領域信号は、DAS9によってフィルタリングして、300Hz〜500Hzの間の周波数に関連する成分のみを含むことができる。これらフィルタリングされた成分のみを時間領域に変換して戻すことにより、
図9に示す信号が得られる。
図9は、本発明の原理による、
図7の時間領域表現から選択された限られた周波数帯の時間領域表現を示している。
図9では、水平軸1004は、スートブロワランス86が原位置から移動を開始してからの時間量をもう一度表し、垂直な軸1004は、
図7と単位と同じ測定単位で測定された振幅を表す。
図9の信号内では、いくつかの高い振幅ピーク1006、1008、1010がはっきり現れている。
【0062】
上述のように、DAS9が生成した各反力値に関して、ひずみゲージ検出素子8が反力値の計算に関連し使用されるデータを検出した場合、DAS9は、その反力値に、スートブロワ84の直線位置と角度位置とを含むスートブロワ配置データを対応または割り当てできる。DAS9はまた、ひずみゲージ検出素子8が反力値の計算に関連し使用されるデータを検出した時に、時間対応する反力値に期間を関連付けできる。DAS9は、スートブロワ84がその第1の原位置からその行程を開始する際に0の開始時間となるようにして、各スートブロワの配置に時間値をさらに割り当てる。スートブロワの第1の原位置に対するプラテン前縁61B〜63Bの位置と、
図7に示すデータが収集された時の各スートブロワの配置に関する時間値とを把握することによって、
図9にあるこれらの高い振幅ピーク1006、1008、1010が生じた時をスートブロワノズル88がプラテン61A〜63Aの前縁61B〜63Bに隣接して配置された時と比較できる。これらのピークの多くが、スートブロワノズル88がプラテン前縁61B〜63Bに隣接して配置されたのと実質的に同時に生じた場合、ひずみゲージ検出素子8が、スートブロワランス86にかかったねじり反力またはトルクに関連するひずみ値を検出したと考えられる。したがって、高い振幅ピーク1006、1008、および1010に対応するタイムインスタンスにおいて、スートブロワランス86からの蒸気噴射のうちの一方または両方が伝熱面67上のファウリング灰堆積に対して、または直接伝熱面67に対して衝突したことが考えられる。DAS9は、制御システム6と通信することから、また制御システム6は、スートブロワ84の、検出した直線位置および角度位置に対応するエンコーダ186および190が生成したデータを受信することから、DAS9は、ピーク1006、1008、および1010のそれぞれを、ピーク1006、1008、および1010に対応するひずみゲージ検出素子8が対応するデータを検出した時のスートブロワ84の直線位置および角度位置を含む、対応するスートブロワの配置データと対応し得る。
【0063】
図9の信号が高い振幅ピークを含み、これらのピークは、スートブロワがプラテン前縁61B〜63Bに隣接した時に生じたと考えられることから、300〜500Hzの範囲にある周波数帯908が、ひずみゲージ検出素子9が検出した様々な信号値と関連付けられ、蒸気噴射のうちの一方または両方によってスートブロワに戻る反力に対応することが考えられる。300〜500Hzの範囲の周波数帯908が高い振幅ピークを含まなければ、またはスートブロワがプラテン前縁61B〜63Bに隣接した時に生じたのではない多くの高い振幅ピークを含むならば、
図9のデータの他の様々な周波数帯が、経験的に調査されて、これらの周波数帯のうちの1つ以上が、ひずみゲージ検出素子8が検出した様々な信号値と関連付けられ、蒸気噴射304、305のうちの一方または両方によってランス86に戻る反力に対応し得る高い振幅ピークを含むかが判定され得る。スートブロワシステム2を最初に作動させる時と、スートブロワシステム2に対する大幅な変更に見舞われた他の時とに較正を行う際、
図8の様々な周波数帯906〜914の見直しを行う必要があることが考えられる。
【0064】
上述のひずみゲージ検出素子は、蒸気噴射304によってランス86に戻る反力306(
図4参照)と、蒸気噴射305を介してスートブロワランス86に戻る反力(
図4に示さず)との正味結果を検出する。蒸気噴射304がプラテン面67または堆積302に当たらない場合、ランス86に対するその反力の大きさは、ゼロまたはほぼゼロであり得る。同様に、蒸気噴射305がプラテン面67または堆積302に当たらない場合、ランス86に対するその反力の大きさは、ゼロまたはほぼゼロであり得る。上述のひずみゲージ検出素子8は、正味結果のどの部分が蒸気噴射304からの反力306に帰せられ、どの部分が蒸気噴射305からの反力に帰せられるのかを区別できないこともある。当業者であれば、個々の寄与を計算できるように、スートブロワランス86に対する曲げ力または並進力を判定するために、検出素子を配置および配列できることを認識するはずである。
【0065】
しかしながら、ひずみゲージ検出素子8が蒸気噴射304、305の一方または両方を介してランス86に戻る力の一方または両方の正味結果を検出する配列では、スートブロワランス上のなんらかのひずみが、a)スプレー304がプラテン伝熱面67または堆積302に当たった結果、b)スプレー305がプラテン伝熱面67または堆積302に当たった結果、あるいはc)両方のスプレー304、305がそれぞれのプラテン伝熱面67または堆積302に当たった結果であるかどうかに関する不確かさが存在する。そのため、スートブロワランス86の特定の配置における少なくとも1つの堆積または少なくとも1つのプラテン伝熱面67の存在は判定できるが、1つ以上の追加的なセンサが提供されない限りは、1つまたは2つの堆積/プラテン伝熱面がひずみゲージ検出素子8によって配置されたかを判定できない。
【0066】
この明白な不確かさは、少なくとも2つの異なる理由により、些細なことになり得る。洗浄作業中、図示の実施形態のスートブロワランスは、両方のノズルから同時に蒸気流を噴霧する。したがって、スートブロワランスの洗浄作業が堆積に対応することが既知である配置で行われる場合、その堆積には、少なくとも1つの蒸気噴射が当たり、スートブロワが回転すれば両方の蒸気噴射が当たる可能性がある。次に、
図3Bは、堆積302が過熱器部60内において実際に形成する仕方が、2つの可能な位置のうちのどちらに堆積302が実際にあるかを判定するための追加的な情報を提供することを示している。例えば、
図3Bでは、スートブロワランス86のこの特定の配置において、ノズル88に隣接するプラテン64の表面のうちの少なくとも1つの上に堆積302があると判定がなされ得る。ひずみゲージ検出素子8は、堆積に当たっているのが、具体的には、右側のノズルからのスプレー304とは判定できないことがあるが、プラテン61A〜63Aの位置の構成と高温のガス流の方向とに関する知識によって、特定の配置において遭遇するあらゆる堆積は、プラテン61A〜63Aの後縁61C〜63Cではなく、プラテン61A〜63Aの前縁61B〜63B上にあると仮定することによって、いかなるあいまいさも解決できる。
【0067】
図10、
図11A、および
図11Bは、本発明の原理による、熱交換器表面67上のファウリングを検出するための方法例のそれぞれの流れ図である。
図10の方法によれば、ステップ1102において、スートブロワエレメント84(例えば、ノズル88)の直線または横方向の位置が監視される。スートブロワノズル88の角度方位もまた監視される。よって、特定の時点において、ボイラ内におけるスートブロワノズル88の直線位置と、2つのノズル88から蒸気噴射が放射される角度とが分かっている。この情報とボイラ内におけるプラテン61A〜63Aの構成および位置に関する既定の知識に基づいて、特定の時点において、ノズル88から放射される蒸気噴射をプラテン61A〜63Aに対して過熱器部60内においてどこに配置するかの判定が行われる。したがって、蒸気噴射に関連する検出されるあらゆるデータが、過熱器部60内における2つの可能な位置のうちの1つと関連付けられ得る。
【0068】
よって、
図10の方法は、ステップ1104において、スートブロワエレメントの第1および第2のノズルから第1および第2の加圧流体スプレーを放出するステップと、ステップ1106において、熱交換器、例えば、プラテン61A〜63Aのうちの1対以上、または熱交換器上の1つ以上の実質的堆積に対する、第1および第2の加圧流体スプレーの一方または両方の衝撃によって生じ、かつ第1および第2の加圧流体スプレーの一方または両方を通してスートブロワエレメントに戻る1つ以上の反力を示す値を生成するステップとに進む。以下詳述するように、ステップ1108において、値に基づいて、ファウリングを示す実質的堆積が熱交換器上にある時を判定するために、検出値を使用する。
【0069】
図11Aの流れ図は、
図10の方法がどのように達成され得るかに関して追加的な詳細を提供する。
図11Aの方法は、ステップ1120において開始し、そこでは、スートブロワ制御システム6は、直線駆動装置184を介してスートブロワエレメント(例えば、スートブロワノズル)の動きを第1の原位置から第2の最大一まで制御し、かつ回転駆動装置188を介してスートブロワエレメントをその長手方向軸線を中心に回転させる。したがって、ステップ1122において、例えば過熱器部60内における、ボイラ内における複数の異なるスートブロワエレメントの配置を規定でき、各配置が、第1の原位置と第2の最大位置との間の対応する直線位置と、スートブロワエレメントの回転方位とによって規定される。
【0070】
図12Bに関して説明したように、異なるスートブロワエレメントの配置においてひずみゲージ検出素子8が検出した値に関連するマップを構築できる。したがって、ステップ1124では、ボイラ運転中、ボイラ内における複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれにおいて、その特定の配置にある時にスートブロワエレメントが放出した第1および第2の加圧流体スプレーの一方または両方を通してスートブロワエレメントに戻る1つ以上の反力を示す、それぞれの値が検出され得る。次いで、ステップ1126では、スートブロワエレメントに関して、ファウリングが、複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれに対応する2つの可能な熱交換器の位置のうちの少なくとも1つに存在するかどうかを示すマップを構築できる。
【0071】
図11Aのステップ1128および1130は、特定のスートブロワエレメントの配置においてファウリングが存在するかどうかに関して判定をするのを補助する1つの可能なやり方に関連する。最初に、ステップ1128において、複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれにおいて、それぞれのベースライン値が測定され、各ベースライン値は、その特定の配置においてファウリングが存在しないことを示す。
図5を参照して上述したように、プラテン61A〜63A上にファウリングが存在しないボイラ内でスートブロワランスを操作できる。したがって、ひずみゲージ検出素子8が検出した、結果として得られる値は、熱交換プラテン61A〜63Aの表面上のいかなるファウリングまたは堆積でもなく、ボイラの固有の構造から生じる反力トルクを表すベースライン値を提供し得る。
【0072】
ボイラ運転中、特定のスートブロワエレメントの配置におけるひずみゲージからの検出値をその配置におけるベースライン値と比較して、2つの値の間の差を判定できる。この差は、単純にひずみゲージからの生の値ではなく、特定のスートブロワエレメントの配置においてファウリングが存在するかどうかに関して判定をなすために使用され得る。よって、ステップ1130において、複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれにおいて、ボイラ運転中に検出されたそれぞれの値とその特定の配置と関連付けられたそれぞれのベースライン値との間の差に基づいて、その特定のスートブロワエレメントの配置に対応する熱交換器の少なくとも2つの可能な位置にあることの判定がなされる。例えば、ボイラ運転中に検出されたそれぞれの値が、それぞれのベースライン値の約140%〜約170%、好ましくは150%よりも大きい場合、特定のスートブロワエレメントの配置においてファウリングが存在する可能性があるとの判定がなされることが考えられる。2つの値の比が特定の量よりも大きいと判定することは、2つの値の間の差がなんらかの既定の閾値を超えていると判定することに等しく、2つの値が測定される単位が本発明の異なる実施形態では変わり得ることを考慮する。使用される具体的な比の値(例えば、150%)は、スートブロワエレメントの設計ならびに回収ボイラの構成および設計に基づいて変わり得るが、経験的な1つ以上の較正作業を通して判定し得ることも、当業者であれば認識するはずである。
【0073】
特に、時間領域データに関して、検出値のなんらかの解析を行うことができ、周波数領域データに関して他の解析を行うことができる。よって、
図11Aのステップの少なくとも一部を
図11Bに概説されるように行うことができる。
【0074】
図11Bのように、スートブロワエレメント84は、ノズル88が様々なプラテン61A〜63Aのそれぞれの表面に隣接する際に、スートブロワエレメント84が加圧流体スプレーを放射しながら、横方向に移動し、かつ回転する。スートブロワエレメントの横方向の位置および角度方位は、特定のスートブロワの配置を規定する。ステップ1150では、スートブロワエレメントが移動および回転すると、複数の異なるタイムインスタンスのそれぞれにおいて、その特定のタイムインスタンスに関し、加圧流体の第1および第2のスプレーの一方または両方を通してスートブロワエレメント84にかかる1つ以上の反力を示すそれぞれの値を検出する。ステップ1150ではまた、複数の異なるタイムインスタンスのそれぞれを、複数のスートブロワエレメントの配置のうちの対応する1つに関連付ける。
【0075】
スートブロワエレメント84の作動中に収集された検出値に加えて、(
図11Bのステップ1128で説明したような)ベースライン値もまた収集され得る。よって、ステップ1152では、複数の異なるスートブロワエレメントの配置のそれぞれにおいて、それぞれのベースライン値が測定され得、各ベースライン値は、その特定の配置においてファウリングが存在しないことを示す。
【0076】
この時点で、ボイラ運転中に検出された値と、ベースライン値とは、時間領域データであり、それぞれの周波数領域データにそれぞれ変換できる。当業者であれば認識するように、離散的な時間領域データは、離散フーリエ変換(例えば、高速フーリエ変換)を用いて周波数領域データに変換できる。
【0077】
よって、ステップ1154では、ボイラ運転中における複数の検出値は、第1の周波数領域データセットに変換され、複数のベースライン値は、第2の周波数領域データセットに変換される。周波数領域になると、上述の方式では、第1および第2の周波数領域データセットの複数の周波数帯を検討して、複数の周波数帯の中の特定の周波数帯を特定でき、特定の周波数帯は、複数のうちの他の周波数帯のどれよりも、第1および第2の加圧流体スプレーの一方または両方によってスートブロワエレメント84に戻る1つ以上の反力によって生じた検出されたそれぞれの値に対応する応答を与える可能性が高い。例えば、第2の周波数領域データセットは、目的の特定の周波数帯を最初に特定するために使用されてよく、次いで、第1の周波数領域データセットは、特定された周波数帯が所望の周波数帯であることを確認するために使用され得る。よって、そのデータが、スートブロワノズル88が放出した蒸気の第1および第2のスプレーの一方または両方を通してスートブロワエレメント84に戻る反力(複数あり)に関連する可能性がある、または反力(複数あり)を示す特定の周波数帯が、特定され得る。次いで、この特定の周波数帯は、周波数領域データの他の周波数帯からのデータよりも詳細に解析され得る。
【0078】
ステップ1156では、第1の周波数領域データセット(動作値)に関する、特定された周波数帯の周波数領域データは、第1の時間領域データセットに変換される。また、第2の周波数領域データセット(ベースライン値)に関する、特定された周波数帯の周波数領域データは、第2の時間領域データセットに変換される。時間領域に戻すことで、元の検出値を収集するために利用される(ステップ1150からの)タイムインスタンスに再び対応するデータが得られる。よって、第1および第2の時間領域データセットの各エレメントは、複数の異なるタイムインスタンスのうちの関連する1つと、関連する振幅値とによって規定され得る。
【0079】
特定のタイムインスタンスにおいて、第1の時間領域データセットからの動作関連の値は、第2の時間領域データセットからの対応するベースライン関連の値と比較され得る。この比較は、特定のタイムインスタンスにおいてファウリングにスートブロワノズルが遭遇したか否かを示し得る。そのタイムインスタンスはまた、特定のスートブロワの配置に関連付けられていることから、判定は、特定のスートブロワの配置において、それぞれのスートブロワノズル88に隣接するプラテン61A〜61Cの2つの可能な伝熱面67のうちの少なくとも1つにファウリングが存在するかどうかを示す。
【0080】
したがって、ステップ1158では、第1および第2のセットの時間領域データの対応するエレメントの各対に関し、第1の時間領域データセットのエレメントの関連する振幅値と第2の時間領域データセットの対応するエレメントとの間の差に基づいて、実質的堆積が熱交換器のプラテン61A〜61Cの2つの可能な伝熱面67のうちの少なくとも1つの上にあるかどうかの判定がなされる。例えば、エレメントの対に関するこの差が、既定の閾値よりも大きい場合、このことは、これらの2つのエレメントに関連付けられた特定のスートブロワの配置において、実質的堆積が(例えば、約95%よりも大きい信頼レベルで)あることを示す。先に示唆したように、第1の時間領域データセットのエレメントの関連付けられた振幅値が、第2の時間領域データセットの対応するエレメントの値の約140%〜約170%、好ましくは150%よりも大きい場合、これらの2つのエレメントに関連付けられた特定のスートブロワエレメントの配置においてファウリングが存在する可能性があるとの判定がなされることが考えられる。上述のように、2つの値の比が特定の量よりも大きいと判定することは、2つの値の間の差がなんらかの既定の閾値を超えていると判定することに等しく、2つの値が測定される単位が本発明の異なる実施形態では変わり得ることを考慮する。
【0081】
上述のステップの一部を助けるために、ひずみゲージ8からの検出値ならびにスートブロワノズル88の横方向の位置および回転方位を表す1つ以上のマップが構築され得る。
図12Aは、いくつかの列1212といくつかの行1214とを有するベースラインマップ1210を示している。列1212のそれぞれは、スートブロワノズル88の(基準位置に対する)特定の横方向の位置を表し、行1214のそれぞれは、スートブロワノズル88の(基準方位に対する)特定の角度方位、または回転方位を表す。よって、マップ1210の各エレメント1202は、規定されるスートブロワエレメントの配置を表す。各エレメント1202における値は、スートブロワエレメントが特定のスートブロワエレメントの配置に配置された場合のひずみゲージ検出素子8からの検出値に対応する。上述のように、ベースライン検出値は、プラテン61A〜63Aの伝熱面上にファウリングが存在しないことを示す検出値である。
【0082】
図12Bは、スートブロワノズル88の横方向の位置を表す列1212と、スートブロワノズル88の角度方位を表す行1214とを有する同様に構築されたマップ1220である。表の各エレメント1204はまた、スートブロワエレメントが特定のスートブロワエレメントの配置にある場合に生じる、ひずみゲージからの検出値に対応し、その配置は、横方向の位置と角度方位との具体的な組み合わせによって規定される。しかしながら、
図12Aのマップ1210とは異なり、マップ1220のエレメント1204の値は、ボイラの通常運転中に収集されたひずみゲージセンシング8からの検出値を反映する。
【0083】
図12Aおよび
図12Bの2つのマップ1210、1220に基づいて、
図12Cに示すような第3のマップ1230を構築できる。マップ1230の各エレメント1206はまた、特定の規定されるスートブロワエレメントの配置に対応する。しかしながら、各エレメント1206の値は、その配置において検出された動作値1204と、その配置において測定されたベースライン値1202との間の差を表す。マップ1230からのエレメント値1206は、特定のスートブロワの配置に対応する実質的堆積があるかどうかを判定するために使用できる。したがって、プラテン伝熱面67の洗浄を達成するために蒸気噴射が特定のスートブロワの配置において放出されるか否かは、そのスートブロワの配置に対応するマップ1230からの値に依存する。例えば、マップ1230の値が既定の閾値を超え、そのスートブロワの配置に対応する位置に実質的堆積がある可能性を示している場合、スートブロワがその対応する配置にある間、蒸気がノズル88から放出される。所与のスートブロワの配置において放出される蒸気の量および持続時間はまた、そのスートブロワの配置に関するマップ1230の対応する値の値に基づいて変わり得る。
【0084】
スートブロワエレメントの各移動方向に関して、対応するマップセットを構築できる。よって、スートブロワノズルが特定の横方向の位置および特定の角度方位にあるとしても、ひずみゲージからの検出値は、スートブロワノズルがボイラの内への方向に移動しているか、ボイラの外への方向に移動しているかに依存し得る。したがって、各方向についてそれぞれのマップ1210〜1230セットを構築できる。
【0085】
様々な異なる仕方で
図12Aのベースラインマップ1210を構築できる。ベースラインデータ収集と動作データ収集との両方の間、スートブロワエレメントが同じ速さで移動し、かつ同じ速さで回転すると仮定すると、それぞれのデータ収集セットでスートブロワエレメントの開始角度方位が同じである限り、特定の横方向の位置における角度方位は、異なるデータ収集についても一致する。この条件は、いつも満たされるわけではないため、
図12Aに示す概念的な表現1210とは別にベースラインマップを構築できる。
【0086】
本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、スートブロワは、2つの異なるモード、すなわち、検出モードと洗浄モードとで稼働できる。「検出モード」では、スートブロワは、堆積を検出するのに有利である状態で動作させる(すなわち、圧力、速度、および/または流量を選択する)ことができる。スートブロワは、初期ベースライン値を確立するために、ならびにボイラ運転中の蓄積を(例えば毎日)検出するために、検出モードで稼働させることができる。スートブロワは、検出モードでの1つ以上の運転の結果に基づいて、その洗浄モードで稼働させることができる。洗浄モードで稼働している間、スートブロワのプロセス変数(例えば、速度、圧力、流量など)は、検出モードで稼働している場合とは異なり得、またボイラ内におけるスートブロワの位置に応じて、有益な洗浄結果をもたらすために変更され得る。しかしながら、検出モードでは、スートブロワのプロセス変数は、ベースライン検出と各検出運転との間の一貫性を維持するために、運転のたびに変えることはしない。例えば、噴射の圧力および速度は、検出モードの間、洗浄モードよりも低いことがある。
【0087】
例えば、ベースラインマップ1210は、xの異なる角度位置を表すx行1214を有し得る。しかしながら、スートブロワエレメントが原位置から最大位置まで一回横断する間、スートブロワエレメントは、各横方向の位置(マップ1210の列1212)において図らずも単一の角度方位だけとなる。よって、列1212で表される横方向の位置のそれぞれについて異なる行1214を生成するために、x、または場合によりxよりも多い異なるベースラインデータ収集稼働を行うことができる。このようにして、ベースラインマップ1210は、その(x掛けるn個の)エレメントにおけるベースライン値を有するように構築できる。あるいは、ベースラインデータ収集の間、マップの行1214を生成するための値を収集するために、スートブロワエレメントは、特定の横方向の位置において停止し、かつ角度方位範囲にわたって回転され得る。
【0088】
したがって、ボイラ運転中に行われるデータ収集の間、スートブロワエレメントが横方向の位置「3」にある時の(表1220からの)検出値は、位置「c」における角度方位と一致し得る。ベースラインマップ1210は各エレメントにおけるベースライン値を有するように構築されたことから、ベースラインマップ1210は、差を判定するために動作関連の検出値と比較され得る値を有する。よって、スートブロワエレメントが原位置から最大位置まで一回横断する間、マップ1220および1230の各列1212は、単一の行1214のみにおいて意味のある値を有する一方、ベースラインマップ1210は、列1212ごとに行1214のそれぞれにおいて関連値を有することができる。
【0089】
しかしながら、複数の動作横断の後、
図12Cの差マップ1230を生成して、特定の列(すなわち、スートブロワの横方向の位置)に関して、複数の異なる行(すなわち、スートブロワの角度方位)に関してファウリングを示す値を収集できるようにする。
【0090】
図12Cのマップ1230は、ボイラのプラテン61A〜63Aを洗浄するためにスートブロワの動作を制御するのに有益であり得る。特に、特定のスートブロワエレメントに関して、マップ1230の各エレメントは、スートブロワエレメントがその表の要素に対応する特定の配置にある間、実質的堆積、またはファウリングに遭遇したかを示す。ボイラ内のスートブロワエレメントごとに対応するマップ1230を構築でき、それによって、ファウリングが存在する場所を示す、過熱器部60の内側の3次元マップを作成する。よって、スートブロワ制御システムを構築できて、スートブロワエレメントがファウリングと関連付けられた特定の配置にある場合、スートブロワエレメントからその配置におけるファウリングの量に関連する速さおよび持続時間で蒸気を放出できるようにする。逆に、スートブロワエレメントが、ファウリングと関連付けられていない特定の配置にある場合、いかなる蒸気の放出も防ぐことができる。このようにして、ボイラプラテンの洗浄中、スートブロワエレメントの効率的かつ有効な制御を達成できる。
【0091】
本発明の特定の実施形態を示しかつ説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなしに様々な他の変更および修正がなされ得ることが当業者には明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲に含まれるすべての変更および修正を包含することが意図されている。