特許第6463834号(P6463834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6463834再使用可能なインサート留め要素を備えたファスナ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463834
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】再使用可能なインサート留め要素を備えたファスナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 63/12 20060101AFI20190128BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20190128BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20190128BHJP
   F16B 19/00 20060101ALI20190128BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   B65D63/12 A
   B60R16/02 623C
   F16B2/08 S
   F16B2/08 U
   F16B19/00 Q
   H02G3/30
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-511837(P2017-511837)
(86)(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公表番号】特表2017-534532(P2017-534532A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】US2014053349
(87)【国際公開番号】WO2016032507
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2017年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】517023758
【氏名又は名称】エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド ジェフリー エイ
(72)【発明者】
【氏名】ギルバートソン ダニエル
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−009810(JP,A)
【文献】 特開平11−013720(JP,A)
【文献】 特開2010−276041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 63/10 − 63/12
B60R 16/02
F16B 2/08
F16B 5/00 − 5/12
F16B 19/00
H02G 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナであって、該ファスナは、
(a) 細長いストラップ受け入れチャンネルを含む爪を含み、該爪は、前記ストラップ受け入れチャンネル内に突出するように配置された係止タングを含み、
(b) 第1の端および第2の端を有するストラップをさらに含み、前記第1の端は、ヘッド上に形成されており、前記ストラップは、ケーブルタイが、閉鎖ループを形成するように、前記ストラップ受け入れチャンネル内に挿入されるように寸法形状決めされており、前記ストラップは、ケーブルタイが閉鎖ループに形成されるときに、前記係止タングによって係合されるようになっており、
(c) 前記爪および前記ストラップの少なくとも一方の上に形成された孔付きヘッドをさらに含み、前記インサートファスナは、
(i) 横断開口部を構成するように形状決めされたプラットホームを含み、前記プラットホームは、実質的に平らな前面および実質的に平らな後面を含み、1対のスプリングタブが、前記後面の両側に形成されており、
(ii) 前記プラットホーム上に形成された支持部材と、
(iii) 自由端を備えた細長い解放アームを有する第1の保持ウイングと、をさらに含み、前記第1の保持ウイングの少なくとも一部が、前記第1の保持ウイングが前記支持部材に回動可能に結合されるように、前記プラットホームの前記横断開口部を通して鉛直方向上方に延び、かつ、前記プラットホームの前記前面の上方に位置決めされ、前記第1の保持ウイングは、該第1の保持ウイングの外側面上に形成された一連の段を有する内方に湾曲した背面を備えた略三角形ブレードであり、
前記第1の保持ウイングは、パネルのいずれの側からも前記ファスナの係合を外すために前記内方に湾曲した背面上に内向き圧縮力を受け入れるように構成されている、ファスナ。
【請求項2】
前記ファスナは、一体的プラスチック部材として作られている、請求項1に記載のファスナ。
【請求項3】
前記孔付きヘッドは、前記支持部材に回動可能に結合された第2の保持ウイングをさらに含む、請求項1に記載のファスナ。
【請求項4】
前記支持部材は、
(a) 前記プラットホーム上に形成され、前記プラットホームの前記後面から外に直交して延びる1対のアームと、
(b) 前記1対のアームの間で横断的に延びるクロス部材と、を含む、請求項に記載のファスナ。
【請求項5】
前記第1の保持ウイングおよび前記第2の保持ウイングは、前記クロス部材にヒンジ連結されており、前記クロス部材から外方に対向して延びている、請求項に記載のファスナ。
【請求項6】
前記第1の保持ウイングおよび前記第2の保持ウイングの各々は、細長い解放アームを
含み、前記細長い解放アームの少なくとも一部は、前記プラットホームの前記開口部全体を通して延びている、請求項に記載のファスナ。
【請求項7】
前記解放アームは、略矩形のバーの形態をしている。請求項に記載のファスナ。
【請求項8】
前記第1の保持ウイングおよび前記第2の保持ウイングの各々は、前記インサートファスナが平らなパネルを通して挿入されるときに、平らなパネルに選択的に係合するようになっている少なくとも1つの段を含む、請求項に記載のファスナ。
【請求項9】
前記第1の保持ウイングおよび前記第2の保持ウイングの各々は、手動で撓ませることができる外部に露出されたくぼみ面を含む、請求項に記載のファスナ。
【請求項10】
前記爪は、前壁、後壁、内端壁、外端壁、および、互いに前記細長いチャンネルを構成する1対の側壁を含む、請求項に記載のファスナ。
【請求項11】
前記プラットホームは、前記ヘッドの前記外側端壁上に形成され、前記ヘッドの前記外側端壁からから外に直交して突出する、請求項10に記載のファスナ。
【請求項12】
前記ストラップは、前面および底面を備えた細長い可撓性バンドの形態をしている。請求項11に記載のファスナ。
【請求項13】
複数のラチェット形歯が、前記ストラップの前記底面上に形成されており、前記複数のラチェット形歯は、前記ストラップが閉鎖ループに形成されるときに、係止機構によって順次係合されるように設計されている、請求項12に記載のファスナ。
【請求項14】
孔付きヘッドであって、該孔付きヘッドは、
(a) 横断開口部を構成するように形状決めされたプラットホームと、
(b) 前記プラットホーム上に形成された支持部材と、
(c) 前記支持部材に回動可能に結合された第1の保持ウイングと、を含み、前記第1の保持ウイングの少なくとも一部が、前記プラットホームの前記横断開口部を通って延び、
(d) 前記支持部材に回動可能に結合された第2の保持ウイングをさらに含み、前記第1の保持ウイングおよび前記第2の保持ウイングの各々は、元の配向を有し、前記第1の保持ウイングおよび前記第2の保持ウイングの各々は、自由端を備えた細長い解放アームを含み、前記自由端は、前記プラットホームの前面の上方に位置決めされ、前記細長い解放アームの少なくとも一部は、前記プラットホームの前記横断開口部の全体を通して延び、
前記第1の保持ウイングおよび前記第2の保持ウイングの各々は、内向き圧縮力を受けると、内方に回動し、前記内向き圧縮力を除去すると、前記元の配向に戻り、前記第1の保持ウイングおよび前記第2の保持ウイングは、互いに横方向にオフセットされており、 前記第1の保持ウイングは、該第1の保持ウイングの外側面上に形成された一連の段を有する内方に湾曲した背面を備えた略三角形ブレードであり、前記第1の保持ウイングは、パネルのいずれの側からも前記ファスナの係合を外すために前記内方に湾曲した背面上に内向き圧縮力を受け入れるように構成されている、孔付きヘッド。
【請求項15】
前記孔付きヘッドは、一体的プラスチック部材として作られている、請求項14に記載の孔付きヘッド。
【請求項16】
前記プラットホームは、実質的に平らな前面、および、実質的に平らな後面を含む、請求項14に記載の孔付きヘッド。
【請求項17】
前記支持部材は、
(a) 前記プラットホーム上に形成され、前記プラットホームの前記後面から外に直交して延びる1対のアームと、
(b) 前記1対のアームの間で横断的に延びるクロス部材と、を含む、請求項16に記載の孔付きヘッド。
【請求項18】
前記第1の保持ウイングおよび前記第2の保持ウイングは、前記クロス部材にヒンジ連結されており、前記クロス部材から外方に対向して延びている、請求項17に記載の孔付きヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、ケーブルタイのようなファスナに関し、さらに詳しくは、パネルの開口部を通して嵌合挿入されるように設計されたファスナを含むケーブルタイに関する。
【背景技術】
【0002】
結束タイおよびハーネスデバイスとしても一般的に知られているケーブルタイのようなファスナは、一群の平行ワイヤまたはケーブルのような複数の細長い物体を互いに結合するために当業界では広く使用されているよく知られたデバイスである。当業界でよく知られ、一般的に使用されている1つのタイプのファスナは、一方の端が孔付きヘッドに取り付けられる細長いストラップを含む。細長いストラップの自由端は、典型的には、孔付きヘッドを通して挿入するのを容易にする狭い幅のテールを構成するように形状決めされている。複数の鋸刃または歯が、細長いストラップの1つの面に沿ってその長さの大部分に沿って形成されている。さらに、内部爪(internal pawl)または係止タングが、孔付きヘッド内に配置されており、ストラップ上の鋸刃に順次係合するようになっている。
【0003】
上記のタイプのファスナは、通常、複数の平行ワイヤを互いに結束するために、以下の仕方で使用される。詳しくは、複数のワイヤを束ねた状態で、ファスナの細長いストラップをワイヤの束のまわりに巻き付け、細長いストラップの自由端を孔付きヘッドに挿通することによって、閉鎖ループに形成する、ファスナが閉鎖ループに形成された状態で、鋸刃付きストラップの自由端を、孔付きヘッドを通して前進させ、ファスナを束のまわりにきつく締め付けると、内部爪は、ストラップの鋸刃に係止係合して、ストラップが孔付きヘッドから引き出される、すなわち、戻り出ることを防止する。このようにして、内部爪が鋸刃付きストラップ上に係合することで、締め付けられたケーブルタイをワイヤ束のまわりに閉鎖ループ構成で取り付ける。
【0004】
いくつかの適用では、(i)(例えば、極熱または尖った物体による)損傷を受けやすい自動車の領域から迂回させるために、および/または、(ii)車両の運転中に自動車本体内で束が動かない(かたかた鳴らない)ようにするために、ケーブルタイのようなファスナで結束された一群のワイヤを平らな面に当ててしっかりと保持することが望ましい。
【0005】
したがって、ケーブルタイのようなファスナは、通常、束を自動車パネルに固定的に取り付けるために、自動車パネルの開口部を通して嵌合的に挿入されるのに特によく適したインサート、またはプッシュマウントファスナを備える。インサートファスナは、通常、種々の異なる形状で作られる。
【0006】
1つのよく知られたタイプのインサートファスナは、その矢印状ヘッド形状のために、しばしば矢印ヘッド型ファスナと呼ばれている。矢印ヘッド型ファスナを備えたケーブルタイの例が、共に出典を明示することによってそれらの開示が本願の一部とされるJ.R.Franksに付与された米国特許第8,2829,047号、および、J.C.Bonoitたちに付与された米国特許第5,333,822号に示されている。
【0007】
矢印ヘッド型ファスナヘッドは、典型的には、1対の対向するウイング、またはブレードを含み、各々のブレードの内側端は、普通のステムのような支持構造上に固定的に取り付けられている。1対のブレードの自由端は、反対方向に外方に延びるように設計されており、適当な力を受けたときに内方に撓むことができる。
【0008】
このようにして、矢印ヘッド型ファスナのファスナは、ファスナヘッドを、平らな面の開口部を通して単純に押すことによって、平らな面に取り付けられることができる。詳しくは、今、図1(a)-図1(c)を参照すると、矢印ヘッドファスナヘッド13を備えた従来技術のファスナ11が、実質的に平らなパネル17の開口部15を通しての矢印ヘッドファスナヘッド13の挿入の種々の段階で示されている。図1(a)でわかるように、ファスナヘッド13の先端19が、矢印Aで表わされているように、パネル17の前面17−1からパネル17の後面17−2に向かう方向に、開口部15を通して後方に挿入される。ウイング21−1および21−2の撓み性によって、ファスナヘッド13上に加えられた後方への力は、開口部15を直ぐに構成するパネルの部分に、図1(b)に示されているように、開口部15を貫通するのに必要な程度、ヘッド13を圧縮させる。一旦、ウイング21−1および21−2が開口部15を完全に貫通すると、ファスナ13のヘッドは、弾力的に拡張して、図1(c)に示されているように、元の形状に戻る。このようにして、ウイング21は、後面17−2に直接当接して、ファスナ13がパネル17から引き出される、すなわち、戻り出ることを防止する。同時に、拡張可能なバスケット、または1つまたはそれ以上の円弧状のタブの形態の支持部材23が、付勢力を前面に向けて印加し、ファスナヘッド13をパネル17と係合させてしっかりと保持する。
【0009】
車両の耐用年数中、(例えば、保守、或いは、他の部品への接近のために)自動車パネルからワイヤ束、またはハーネスを分離することがしばしば必要となる。パネル開口部から矢印ヘッド型ファスナを引き出し、ワイヤ束をパネルから分離することを可能にするために、ケーブルタイ11のような伝統的なケーブルタイは、操作者が、ファスナの撓み可能なウイングの露出面上に内向きの圧縮力を手動で加えることを必要とする。パネルから撓み可能なウイングの係合を外すのに十分なファスナ上での内向きの圧縮力を維持する間に、ファスナをパネル開口部から外に戻す。必要な仕事が完了すると、ファスナの弾力構造により、パネルの開口部を通してファスナを再び挿入することが可能になる。
【0010】
しかしながら、矢印ヘッド型ファスナの露出された外面は、しばしば使用者に接近不能にされていることを理解すべきである。特に、パネルの後側は、車体、ファブリック層、或いは他の同様な要素のような自動車の他の部分によって包囲されているので、使用者は、典型的には、自動車パネルの背後では限られた接近を有する。加えて、ケーブルタイの少なくとも一部は、典型的には、パネルの前側から開口部を覆い、それによって、撓み可能なウイングがパネルの前部から接近不能にされる。
【0011】
使用者は、自動車パネルに取り付けられた矢印ヘッドファスナに接近する手段を有しないので、パネルからのファスナの取り外しは、典型的には、ファスナを切断し、或いはその他の仕方で永久的に破壊することによって達成される。その結果、使用者は、ファスナを再使用することができず、それにより、自動車保守の関連した観点が不必要に複雑に、かつ高価にされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、2つまたはそれ以上の物品を互いに結束する新しい、改良されたファスナを提供することである。
【0013】
本発明のもう1つの目的は、束を自動車パネルに固定的に取り付けるために、自動車パネルの開口部を通して嵌合的に挿入されるのに特によく適したファスナヘッドを含む上記のようなファスナを提供することである。
【0014】
本発明のさらにもう1つの目的は、ファスナヘッドが自動車パネルから容易に取り外されることを可能にし、必要に応じて、再使用されることを可能にするように設計された上記のようなファスナを提供することである。
【0015】
本発明のさらにもう1つの目的は、限られた数の部品を有し、使用が簡単で、製造費用が安い上記のようなファスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、本発明の1つの特徴として、ファスナであって、該ファスナは、(a)細長いストラップ受け入れチャンネルを含む爪を含み、該爪は、前記ストラップ受け入れチャンネル内に突出するように配置された係止タングを含み、(b)第1の端および第2の端を有するストラップをさらに含み、前記第1の端は、ヘッド上に形成されており、前記ストラップは、ケーブルタイが、閉鎖ループを形成するように、前記ストラップ受け入れチャンネル内に挿入されるように寸法形状決めされており、前記ストラップは、ケーブルタイが閉鎖ループに形成されるときに、前記係止タングによって係合されるようになっており、(c)前記爪および前記ストラップの少なくとも一方の上に形成されたインサートファスナをさらに含み、前記インサートファスナは、(i)横断開口部を構成するように形状決めされたプラットホームと、(ii)前記プラットホーム上に形成された支持部材と、(iii)前記支持部材に回動可能に結合された第1の保持ウイングと、を含み、前記第1の保持ウイングの少なくとも一部は、前記プラットホームの前記横断開口部を通して延びる、ファスナが提供される。
【0017】
本発明のもう1つの特徴は、インサートファスナあって、該インサートファスナは、(a)横断開口部を構成するように形状決めされたプラットホームと、(b)前記プラットホーム上に形成された支持部材と、(c)前記支持部材に回動可能に結合された第1の保持ウイングと、を含み、前記第1の保持ウイングの少なくとも一部が、前記プラットホームの前記横断開口部を通って延びる、インサートファスナを提供することである。
【0018】
種々の他の特徴および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。以下の詳細な説明では、本願の一部を形成する添付の図面が参照され、添付の図面には、例示として、本発明を実施するための実施形態が示されている。説明される実施形態は、当業者が本発明を実施することができるように十分詳細に記載されており、他の実施形態を使用することができ、本発明の範囲を逸脱することなく、構造的変形を行うことができることが理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、制限的な意味で取られるべきでなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって最もよく画定される。
【0019】
図面において、同じ参照番号は、同じ部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1(a)】矢印ヘッドファスナを備えた従来技術のケーブルタイであって、ケーブルタイが、断面で示されているパネルの開口部を通してのその矢印ヘッドファスナの挿入の種々の段階で示されているケーブルタイの一連の分解側面図の1つである。
図1(b)】矢印ヘッドファスナを備えた従来技術のケーブルタイであって、ケーブルタイが、断面で示されているパネルの開口部を通してのその矢印ヘッドファスナの挿入の種々の段階で示されているケーブルタイの一連の分解側面図の1つである。
図1(c)】矢印ヘッドファスナを備えた従来技術のケーブルタイであって、ケーブルタイが、断面で示されているパネルの開口部を通してのその矢印ヘッドファスナの挿入の種々の段階で示されているケーブルタイの一連の分解側面図の1つである。
図2】本発明の教示によって作られたケーブルタイの正面図である。
図3図2に示されたケーブルタイの左側面図である。
図4図3に示されたケーブルタイの底面図である。
図5図2に示されたケーブルタイの拡大分解底面図である。
図6図2に示されたケーブルタイの拡大分解底面斜視図である。
図7図2に示されたケーブルタイの拡大分解左側面斜視図である。
図8図2に示されたケーブルタイの拡大分解頂面図である。
図9図2に示されたケーブルタイの拡大分解左側面斜視図である。
図10図2に示されたケーブルタイの拡大分解右側面斜視図である。
図11図2に示されたケーブルタイの拡大分解端面斜視図である。
図12図2に示されたケーブルタイの拡大分解左側面図である。
図13図2に示されたケーブルタイであって、パネルに取り付けられて示されている拡大分解端面斜視図である。
図14(a)】図13に示されたケーブルタイの拡大分解正面図である。
図14(b)】ケーブルタイがパネルに取り付けられて示された、線14(b)-14(b)に沿った、図14(a)に示されたケーブルタイの分解断面図である。
図15(a)】図13に示されたケーブルタイの拡大分解正面図である。
図15(b)】ケーブルタイがパネルに取り付けられて示された、線15(b)-15(b)に沿った、図14(a)に示されたケーブルタイの分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
今、図2図4を参照すると、本発明の教示により作られ、全体的に参照番号111によって同定されているケーブルタイが示されている。本発明はまた、本発明が、ケーブルタイに限定されず、任意のタイプのファスナの利用を考えていることを認識している。1つの実施形態では、ケーブルタイ111は、とりわけ、複数の平行ワイヤを互いに結束するために、閉鎖ループ形状に形成されるのがよい。以下でさらに詳細に説明するように、ケーブルタイ111は、ケーブルタイ111が結合された自動車パネルからケーブルタイ111を完全に取り外すのを容易にするように特に設計されている。その結果、ケーブルタイ111は、特に再使用によく適しており、これは、本発明の主要な特徴である。
【0022】
ファスナまたはケーブルタイ111は、細長いストラップ113と、細長いストラップ113の一端上に形成された爪115と、爪115上に形成された孔付きヘッド117と、を含む一体的な部材である。以下に詳細に説明するように、孔付きヘッド117の特定の構造は、ケーブルタイ111の再使用を容易にし、そのようにして、本発明の主要な特徴として役立つ。
【0023】
好ましくは、ファスナまたはケーブルタイ111、或いは同様な任意の他のタイプのファスナは、在来の成形機を使用して、ナイロンのような、耐久性の安価なプラスチック材料から作られる。しかしながら、ファスナまたはケーブルタイ111は、本発明の精神から逸脱することなく、広範な種々の代替材料を使用して作ることができることを理解すべきである。
【0024】
ストラップ113は、長さの大部分に沿って横方向断面が略均一な矩形形状を有する細長い可撓性バンドとして作られている。しかしながら、ストラップ113は、本発明の精神から逸脱することなく、代替形状および構成に作ることができることを理解すべきである。
【0025】
ストラップ111は、第1の端119と、第2の端121と、実質的に平らな前面123と、底面125と、1対の対向する長手方向に延びる側方部材、すなわちレール127−1および127−2と、を含む。図5図7で最も明らかにわかるように、複数のラチェット形歯129が、底面123に、その長さの大部分に沿って一体的に形成されており、各歯129は、側方部材127−1および127−2の間で底面に亘って横方向に延びている。以下でさらに詳細に説明するように、歯129は、ケーブルタイ111のようなファスナが閉鎖ループに形成されるときに、爪(pawl)115によって順次係合されるように設計されている。
【0026】
図5図9で最も明らかにわかるように、爪115は、前壁131と、後壁133と、内側端壁135と、外側端壁137と、左側139および右側壁141と、を含むように形状決めされた拡大化された矩形ブロック、すなわち、バックルとして作られており、共に、前壁131から後壁133まで爪115を貫通して延びる細長いストラップ受け入れチャンネル143を構成している。
【0027】
わかるように、ストラップ113の第1の端119は、内側端壁135の外側面上に一体的に形成されており、内側端壁135の外側面から外に略直交して延びている。さらに、細長いチャンネル143は、横断面が略矩形であり、ファスナ111が、閉鎖ループに形成されるときに、ストラップ113の区分を嵌合的に受け入れるように適当に寸法形状決めされている。
【0028】
係止爪115は、さらに、前壁131に沿って外側端壁の内側面に回動可能に結合された係止機構145を含む。爪115の係止機構145は、その結果当然に、細長いチャンネル143内に突出するように配向され、以下でさらに詳細に説明するように、ストラップ113が爪115内に挿入されるときに、ストラップ113に選択的に係合する。
【0029】
理解できるように、爪115の係止機構145は、ここでは、自由端149に向かって形成された複数のラチェット形歯147を含む略ブロック形部材として表わされている。理解できるように、ケーブル111は、係止機構145上の多数の歯147が、ストラップ113が閉鎖ループ形状に形成されるときに爪115とストラップの113の間の係止強さを最大にするようにストラップ113上の対応する歯129に係合するように、設計されている。しかしながら、本発明の精神から逸脱することなく、爪115の代わりに、比較的平らな平面部材のような代替型式の爪も使用することができることを理解すべきである。
【0030】
今、図5図12を参照すると、孔付きヘッド117が、爪115の外側端壁137上に一体的に形成されている。以下に詳細に説明するように、孔付きヘッド117は、ケーブルタイ111によってハーネス結束されたワイヤ束を固定的に取り付けるために、自動車パネル、或いは他の同様な平坦面の開口部内に手動で挿入されるように設計されている。さらに、本発明の主要な特徴として、孔付きヘッド117は、孔付きヘッド117が結合された自動車パネルから孔付きヘッド117を解放するための手段を備える。
【0031】
孔付きヘッド117は、実質的に平らなプラットホーム、またはベース151を含み、プラットホーム151は、爪115の外側端壁137上に一体的に形成されており、爪115の外側端壁137から外に直交して延びている。プラットホーム151は、爪115の前壁131の下にわずかに引っ込んだ実質的に平らな前面153と、爪115の後壁133と実質的に面一に延びる実質的に平らな後面155と、を含む。プラットホーム151は、さらに、前面153から後面155まで貫通して延びる略矩形の中央開口部157を含む。以下に詳細に説明するように、開口部157を含むことで、孔付きヘッド117が結合されているパネルのいずれの側からの孔付きヘッド117の解放が容易にされる。
【0032】
孔付きヘッド117は、さらに、開口部157の上方でプラットホーム151の後面155上に形成されており支持部材159と、一対の対向するパネル保持ウイング、またはブレード161−1および161−2と、を含み、保持ウイング161−1および161−2は、支持部材159上に形成されており、支持部材159に対して回動的に撓むことができる。支持部材159およびウイング161は共に、以下でさらに詳細に説明するように、自動車パネルの対応する開口部に嵌合的に挿入されるように寸法形状決めされており、ウイング161は、パネルに係合して、ファスナ117をパネルに取り付ける。
【0033】
図6図7、および図11で最も明らかにわかるように、支持部材159は、ここでは、プラットホーム151の後面155上に一体的に形成され、開口部157の両側でプラットホーム151の後面155から外に直交して延びる1対の間隔を隔てて配置された平行アーム163−1および163−2を含む略U字形の剛性構造として表わされている。支持部材159にそのU字形形状を与えるように、水平なクロス部材165が、アーム163−1および163−2の自由端上に一体的に形成されており、アーム163−1および163−2の自由端の間に延びている。
【0034】
保持ウイング161−1および161−2は、クロス部材165にヒンジ結合されており、外方に対向して延びている。各ウイング161は、適用な内向き圧縮力を受けると、内方に回動することができることを理解すべきである。内向き力を除去すると、各ウイングは、外方に弾力的に回動して、元の配向に戻るように作られている。このようにして、ウイング161は、自動車パネルを貫通するのに必要な程度、内方に撓み、次いで、自動車パネルに係合するように設計されている。その後、ファスナ117は、ファスナ117をパネルから解放することを可能にするように圧縮されると、ウイング161の弾力構造により、ファスナ117は、その元の形状に戻ることが可能になり、したがって、同様な用途での再使用のために利用可能とされる。
【0035】
図6図7図11、および図12で最も明らかにわかるように、各ウイング161は、その1つの隅部がクロス部材165にヒンジ結合された拡大された略三角形ブレードとして作られている。ウイング161−1および161−2は、それぞれ、内方に湾曲した、すなわち凹状の背面167−1および167−2を含むように形状決めされている。各背面167は、露出されており、指のくぼみ面として役立つように適当に形状決めされており、使用者は、この指のくぼみ面に手動の力を加えて、各対応するウイング161を内方に回動させて、それによって、ファスナ117の幅を潰すことができる。
【0036】
ウイング161−1および161−2はまた、それぞれ、一連の段、すなわちラチェット169−1および169−2を含むように形状決めされている。各組の段169は、その対応するウイングの外側面上に形成されており、以下にさらに詳細に示されているように、孔付きヘッド117が挿入される開口部を直ぐに構成する自動車パネルの部分に係合するように設計されている。理解できるように、多数の段169を使用することで、種々の寸法形状のパネル開口部内でウイング161を使用することが可能になる。
【0037】
ウイング161−1および161−2は、さらに、それぞれ、細長い解放アーム171−1および171−2を含むように形状決めされている。各解放アーム171は、その対応するウイング161の遠位端上に形成され、その対応するウイング161の遠位端から外方に鉛直方向上方に延びる細長い略矩形のバーとして作られている。図9図12で最も明らかにわかるように、アーム171−1および171−2は、略平行な関係で上方に突出しており、プラットホーム151の開口部157全体を通して延びている。このようにして、アーム171−1および171−2の自由端173−1および173−2は、それぞれ、プラットホーム151の前面153の上方に位置決めされ、それによって、使用者は、タイ111の前部からウイング161の配向を操作することができ、このことは大変望ましい。
【0038】
本実施形態では、ウイング161は、互いに横方向にオフセットされているものとして(すなわち、各ウイング161が回動する円弧状の経路が、対向するウイング161の円弧状経路と交差しないように)示されていることに留意すべきである。その結果、ウイング161は、成形の目的で多方向において十分に接近可能であるのみならず、日常の使用中に互いに干渉する危険をも回避する。
【0039】
図5図8で最も明らかにわかるように、1対の湾曲したスプリングタブ175−1および175−2が、後面155の両側に一体的に形成されている。各スプリングタブ175は、円弧状経路に沿って延びており、下向きに湾曲している。以下でさらに詳細に説明するように、各スプリングタブ175は、弾力構造を有し、ファスナ117が結合されるパネルの前面上に安定化させる保持力を加えるように設計されている。
【0040】
上記で簡単に言及したように、タイ111は、平行ワイヤを互いに結束し、次いで、ハーネス結束された束を自動車パネルに取り付ける使用に特によく適している。本発明の主要な特徴として、タイ111は、孔付きヘッド117に接近し、孔付きヘッド117が結合されている自動車パネルから孔付きヘッド117を選択的に解放するための多数の手段を備えるように設計されている。一旦解放された後、タイ111の弾力構造は、その後、同じ、または、別の自動車パネルに結合することを可能にする。
【0041】
例示の目的でのみ、ここでは、複数の平行ワイヤを自動車パネルに取り付けるために使用されるものとして記載されている。しかしながら、タイ111は、複数の平行ワイヤを自動車パネルに取り付ける使用に限定されない。むしろ、タイ111は、本発明の範囲から逸脱することなく、(i)他のタイプの(すなわち、電気ワイヤ以外の)物品のまわりに巻き(の開口部を通して)付けられ、次いで、(ii)他のタイプの(すなわち自動車パネル以外の)平らな面に取り付けられることができることを理解すべきである。
【0042】
今、再び図2図4を参照すると、タイ111は、互いに結合すべき複数の平行ワイヤのまわりで巻き付けストラップ113によって上記の仕方で使用することができる。次いで、ストラップ113の第2の端121は、きつく引かれ、それによって、物品を互いに取り付け、ヘッド117の後面133の方に差し向けられる。
【0043】
次いで、ストラップ113の第2の端121は、チャンネル143および後壁133を通して送られる。係止タング145のテーパした前面により、チャンネル143内に継続してストラップを挿入すると、爪145は、外方に撓まされ、第2の端121が前面131を通してチャンネル143から出ることができるのに必要な程度、回動される。
【0044】
ケーブルタイ111のようなファスナが、所望の物品のまわりに閉鎖ループに形成された状態で、ストラップ113に加えられた引き出し力は、爪145上の1つまたはそれ以上の歯147を、ストラップ113上の1つまたはそれ以上の対応する歯129に係合させる。その結果、タイ111は、一定した信頼できる程度の張力で指定された束のまわりに閉鎖ループ形状でしっかりと保持されたままになる。
【0045】
今、図14(a)、図14(b)、図15(a)、および、図15(b)を参照すると、ケーブルタイ111、特にヘッド117の主な特徴および利点を理解するのに有用な一連の図が示されている。詳しくは、上記の仕方で複数のワイヤを結束したならば、次いで、タイ111は、孔付きヘッド117を、孔付きヘッドに形成された開口部203を通して挿入することによって、自動車パネル201に取り外し可能に結合されることができる。詳しくは、図15(b)で最もよくわかるように、孔付きヘッド117のクロス部材、または、尖端165は、開口部203と整合して配置され、矢印Iで表わされているように、パネル201の前面205からパネル201の後面207に向かう方向に後方に挿入される。
【0046】
ヘッド117が、開口部203を通して後方に挿入されるときに、開口部203を直ぐに構成するパネル201の部分は、背面167−1および167−2に当接する。ファスナ117に加えられる力の後方印加により、パネル201は、ウイング161が開口部203を少なくとも部分的に貫通することができるのに必要な程度、保持ウイング161を内方に撓ませる。
【0047】
一旦、ウイング161の背面167がパネル201を完全に貫通した後、ウイング261は、それらの弾力構造により、外方に回動、すなわち拡張する。最終的に、ウイング161が外方に撓むことで、各ウイング161上の段169が、図示されているように、開口部203を直ぐに構成するパネル201の部分に係合し、適当な段161は、開口部203の寸法に基づく。弾力構造により各ウイングによって加えられる継続される外方への力は、ファスナ117を、パネル201に結合された状態にしっかとと保持するのに役立ち、スプリングタブ175が、追加の保持力を前面205上に加え、ファスナ117を、パネル201の開口部203内の所定位置に安定化させる。
【0048】
上述したように、ケーブルタイ111のようなファスナは、孔付きヘッド117を自動車パネル201のいずれの側からも解放するのを可能にするように特に設計されている。すなわち、接近がパネルの一方の側で制限されている場合でも、ファスナ117はなお、パネル201の反対側から解放することができる。
【0049】
例えば、パネル201の前面からのケーブルタイ111のようなファスナへの接近が制限されている場合には、ファスナ117は、それぞれ、矢印DおよびD’で表わされているように、背面167−1および167−2を手動で押し下げることによりウイング161上に内向き圧縮力を加えることによって、パネル201の後部から係合を外すことができる。圧縮力を維持する間に、矢印Wで表わされているように、前方引出力を加えることによって、ファスナ117を引き出す、すなわち、抜き出すことができる。
【0050】
同様に、パネル201の後面からのケーブルタイ111のようなファスナへの接近が制限されている場合には、ファスナ117は、それぞれ、矢印CおよびC’で表わされているように、解放アーム171−1および171−2上に内向き圧縮力を加えることによって、パネル201の前部から係合を外すことができる。解放アーム171−1および171−2上で圧縮力を維持する間に、矢印Wで表わされているように、前方引出力を加えることによって、ファスナ117を引き出す、すなわち、抜き出すことができる。
【0051】
アーム171−1および171−2の端173−1および173−2は、それぞれ、プラットホーム151の開口部157を通って前面153を越えて延びているので、アーム171は、図14(b)および図15(b)に示されているように、プラットホーム151の前部から操作のために接近可能である。さらに、プラットホーム151は、外側端壁137から外に直交して延びているので、ストラップ113およびヘッド115は、アーム171への接近を阻止、或いはその他の仕方で邪魔しない。
【0052】
上記で簡単に言及されているように、孔付きヘッド117の弾力構造は、パネル201から手動で取り外された後、孔付きヘッド117の再使用を可能にする。したがって、ケーブルタイ111によって結束されたワイヤハーネスは、パネル201への直接の接近を必要とする保守、或いは他の同様な事情のために自動車パネル201から取り外される場合に、必要な仕事が完了すると、ファスナ/ケーブルタイ111は、パネル201に再取り付けされることができる。対照的に、在来のタイは、ワイヤハーネスを自動車パネルから分離することを可能にするために、しばしば切断されることを必要とする。
【0053】
上に示した実施形態は、単なる例示的なものとして意図され、当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、上に示した実施形態に対して多くの変形および変更を行うことができるはずである。すべてのかかる変形および変更は、添付の特許請求の範囲で画定される本発明の範囲内にあることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
111 ケーブルタイ
113 ストラップ
115 爪
117 孔付きヘッド
159 支持部材
161 保持ウイング
171 解放アーム
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14(a)】
図14(b)】
図15(a)】
図15(b)】