(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463835
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】自動車用の制御装置及び当該制御装置を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20190128BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20190128BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20190128BHJP
B23K 1/005 20060101ALI20190128BHJP
B23K 1/20 20060101ALI20190128BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20190128BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
B60R16/02 610A
H01L23/02 C
H01L23/02 Z
B23K1/00 330E
B23K1/005 A
B23K1/20 A
H05K5/00 A
H05K5/02 J
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-512700(P2017-512700)
(86)(22)【出願日】2015年8月6日
(65)【公表番号】特表2017-535466(P2017-535466A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】EP2015068210
(87)【国際公開番号】WO2016034362
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2017年4月25日
(31)【優先権主張番号】102014217552.6
(32)【優先日】2014年9月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス アルベアト
(72)【発明者】
【氏名】ゲアハート バウアー
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ヘニガー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス コイテン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ノヴァク
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート シューフ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヴィーチョレク
【審査官】
上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0114221(US,A1)
【文献】
実開昭63−113321(JP,U)
【文献】
特開平03−151694(JP,A)
【文献】
実開昭56−104141(JP,U)
【文献】
実開昭56−126897(JP,U)
【文献】
特開2004−079576(JP,A)
【文献】
特開2007−216836(JP,A)
【文献】
特開2006−319235(JP,A)
【文献】
実開昭51−003867(JP,U)
【文献】
実開昭61−102080(JP,U)
【文献】
実開昭62−112182(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B23K 1/00
B23K 1/005
B23K 1/20
H01L 23/02
H05K 5/00
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の制御装置(1)であって、
該自動車用の制御装置(1)は、
・ 複数の電子コンポーネント(3)が配置されているプリント基板(2)を有しており、複数の前記電子コンポーネント(3)は、前記プリント基板(2)の複数の導体路を介して互いに電気的に接続されており、
前記自動車用の制御装置(1)はさらに、
・ 実質的に気体不浸透性のカバー(4)を有しており、前記カバー(4)が素材結合によって前記プリント基板(2)に接合されて、前記カバー(4)は前記プリント基板(2)と共に閉じた中空室(5)を構成しており、当該中空室(5)内に前記電子コンポーネント(3)と、前記電子コンポーネント(3)に対応する前記導体路とが設けられており、
前記カバー(4)は、金属材料又はプラスチック材料を有し、
前記カバー(4)には、前記プリント基板(2)側を向いた面に、素材結合による接合を形成するため、はんだ付け可能な材料がコーティングされている
ことを特徴とする自動車用の制御装置(1)。
【請求項2】
自動車用の制御装置(1)であって、
該自動車用の制御装置(1)は、
・ 複数の電子コンポーネント(3)が配置されているプリント基板(2)を有しており、複数の前記電子コンポーネント(3)は、前記プリント基板(2)の複数の導体路を介して互いに電気的に接続されており、
前記自動車用の制御装置(1)はさらに、
・ 実質的に気体不浸透性のカバー(4)を有しており、前記カバー(4)が素材結合によって前記プリント基板(2)に接合されて、前記カバー(4)は前記プリント基板(2)と共に閉じた中空室(5)を構成しており、当該中空室(5)内に前記電子コンポーネント(3)と、前記電子コンポーネント(3)に対応する前記導体路とが設けられており、
前記カバー(4)は、金属材料又はプラスチック材料を有し、
前記カバー(4)は、気体不浸透性のコーティングを有する、
ことを特徴とする自動車用の制御装置(1)。
【請求項3】
前記カバー(4)と前記プリント基板(2)との間の前記素材結合による接合が、溶接によって形成されている、
請求項1または2に記載の制御装置(1)。
【請求項4】
前記カバー(4)と前記プリント基板(2)との間の素材結合による接合が、はんだ付けによって形成されており、
前記プリント基板(2)の金属層(6)が、はんだによって前記カバー(4)にはんだ付けされている、
請求項1または2に記載の制御装置(1)。
【請求項5】
前記はんだ付けには、レーザはんだ付けが含まれている、
請求項4に記載の制御装置(1)。
【請求項6】
前記金属層(6)は、少なくとも、前記中空室(5)から外側に向いた領域においてシーリングされており、これにより、前記中空室(5)の外部において、前記金属層(6)と、前記カバー(4)の周囲環境との接触が阻止されている、
請求項4または5に記載の制御装置(1)。
【請求項7】
前記プリント基板(2)は、金属製の主支持体(7)上に配置されている、
請求項1から6までのいずれか1項に記載の制御装置(1)。
【請求項8】
前記プリント基板(2)に電気的に接続されておりかつ当該プリント基板(2)に配置されているコネクタ(8)をさらに有しており、
前記カバー(4)は、当該カバー(4)が前記プリント基板(2)に接合されている状態において、前記中空室(5)の外部で、前記コネクタ(8)を前記プリント基板(2)に機械的に固定するように構成されている、
請求項1から7までのいずれか1項に記載の制御装置(1)。
【請求項9】
前記主支持体(7)上に配置されてかつ前記プリント基板(2)に電気的に接続されているコネクタ(8)をさらに有しており、
前記カバー(4)は、当該カバー(4)が前記プリント基板(2)に接合されている状態において、前記中空室(5)の外部で、前記コネクタ(8)を前記主支持体(7)に機械的に固定するように構成されている、
請求項7に記載の制御装置(1)。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の制御装置(1)を製造する方法において、
・ 複数の前記電子コンポーネント(3)が配置されている前記プリント基板(2)を準備するステップと、
・ 気体不浸透性の前記カバー(4)を準備するステップと、
・ 前記カバー(4)が、前記プリント基板(2)と共に、複数の前記電子コンポーネント(3)が設けられている閉じた中空室(5)を構成するように、前記カバー(4)と前記プリント基板(2)とを素材結合によって接合するステップとを有する、ことを特徴とする、制御装置(1)を製造する方法。
【請求項11】
前記接合には、溶接が含まれている、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記接合には、はんだ付け、特にレーザはんだ付けが含まれており、
はんだを用いて前記プリント基板(2)の金属層(6)を前記カバー(4)にはんだ付けする、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記中空室(5)の外部において、前記金属層(6)と、前記カバー(4)の周囲環境とが直接接触することを阻止するため、前記接合の前に前記金属層(6)をシーリングする、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記接合の後、前記金属層(6)をシーリングするため、シーリングコーティングが、前記プリント基板(2)と前記カバー(4)とにオーバラップするように、前記中空室(5)の外部においてシーリングコーティングが形成される、
請求項10から13までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の制御装置に関する。本発明はさらに、制御装置を製造する方法に関する。
【0002】
自動車では、例えば電子制御回路を備えた制御装置と、種々異なるタスクのための複数のセンサなどの対応する電子コンポーネントとが使用される。例えば、変速機では、シャフトの回転数及びギヤアクチュエータのポジションを求めるために複数のセンサが使用される。これらの制御装置には、例えば、1つの制御ロジックと、1つ以上のマイクロプロセッサと、複数のセンサの測定値を評価しかつギヤアクチュエータ、特に弁を操作するために別の複数の要素とが含まれている。これらの制御装置は、例えばワイヤハーネスを回避する又はこれを低減するためにますます、車両の制御すべきコンポーネントに直接組み込まれることが多くなっている。特に変速機用の制御装置は、この変速機内に又はこの変速機に直接配置される。これらの制御装置は動作時に不利な周囲環境条件に曝される。ここでは一般的には、例えば150°までの高温及び/又は高圧になる。付加的にこれらの制御装置は通例、高温及び/又はアグレッシブなオイルに曝される。
【0003】
本発明の課題は、制御装置の確実な動作に寄与する制御装置及びこのような制御装置を製造する方法を示すことである。
【0004】
本発明の一様相によれば、プリント基板を有する自動車用の制御装置が示される。このプリント基板には、このプリント基板の導体路を介して互いに電気的に接続されている複数の電子コンポーネントが配置されている。制御装置は、実質的に気体不浸透性のカバーをさらに有しており、このカバーは、素材結合によってプリント基板に接合されており、これによってこのカバーがプリント基板と共に、閉じた中空室を構成しており、この中空室内には、上記電子コンポーネント及びこれに対応する導体路が設けられている。
【0005】
これらの電子コンポーネントには、例えば複数のコンデンサ、コイル、マイクロプロセッサ又はこれに類するものが含まれており、これらは、プリント基板に配置されておりかつ互いに電子的に作用結合されている。例えばこれらの電子コンポーネントは、プリント基板の導体路を介して、かつ/又は、ボンディングされた金線によって互いに電気的に接続されている。
【0006】
気体不浸透性でありかつ液体不浸透性でもある上記カバーにより、制御装置の電子コンポーネントがオイル、特にアグレッシブなオイル、ならびに有害な気体及び化学製品から保護される。これらの電子コンポーネントはさらに、塩又は加工残滓から保護される。これらのオイル、気体、塩及び/又は残滓は、例えば変速機内に存在し、この変速機には、又はこの変速機内には制御装置が配置されている。対応する導体路も、上記カバーによって保護される。このためにカバーは、素材結合によってプリント基板に接合されており、これによってプリント基板と共に、電子コンポーネントの周りに、閉じた中空室が構成されるようになっている。言い換えると、上記電子コンポーネント及び/又は別の複数の電子コンポーネントならびに対応する導体路の周りでは、閉じられておりかつ周囲を包囲する、素材結合による結合継目が形成されているのである。形状結合で接合されるカバーとは異なり、実質的に液体及び/又は気体が中空室に浸入することはない。これにより、電子コンポーネントは、シーリングされ、周囲環境から密閉される。付加的には、特に形状結合のカバーにおいて使用されるゴム状のパッキングを省略することができる。これらのパッキングにより、完全な気体密閉性が保証されることはない。なぜならば、気体は、このようなパッキングを通して大量に拡散し得るからである。
【0007】
例えば上記化学製品ないしは気体には硫黄化合物が含まれており、これによって硫化物が発生し得る。硫化物は、少なくとも部分的に導電性であり、保護されていない電子コンポーネント、プリント基板の導体路及び/又は金線に堆積することになる。この際には硫化物と化学反応を起こすことがある。例えば、プリント基板の導体路、特に銀導体路は、硫黄化合物によって酸化する。この際には電子コンポーネントの導体抵抗及び/又は機能が変化することがあり、例えば、変速機の切換特性にマイナスの影響を及ぼすことがある。さらにこのような気体は、信号の変化を引き起こすことがあり、これにより、例えば制御装置による誤った評価が生じてしまうことになる。
【0008】
したがって全体として、プリント基板に素材結合によって接合されかつ上で説明したカバーにより、制御装置の寿命及び精度が改善される。さらに上で説明した制御装置は、例えば変速機の近傍で使用するためのプリパッケージされたモジュールとして、又は取付型制御装置として具現化可能である。
【0009】
一実施形態によれば、カバーとプリント基板との間の素材結合による接合は、溶接によって作製される。
【0010】
別の実施形態によれば、カバーとプリント基板との間の素材結合による接合は、はんだ付けによって作製され、プリント基板の金属層が、はんだによってカバーにはんだ付けされる。金属層とは、例えばプリント基板の1つ以上の導体路のことであると理解され、この金属層は、はんだによってカバーにはんだ付けされる。金属層は、例えば銅層である。はんだには、例えばすずのような金属のはんだ材料が含まれる。
【0011】
別の実施形態によれば、はんだ付けにはレーザはんだ付けが含まれている。このレーザはんだ付けによって可能になるのは、はんだ付けに必要な熱を局所的に、したがって点状に、対応するはんだ付けすべき領域に加えることである。熱を局所的に加えることにより、はんだ炉又は高温トンネル内でのはんだ付けとは異なり、制御装置全体が強く加熱されることが回避される。制御装置全体を加熱することにより、プリント基板に接続されている別の複数の部材、例えばコンデンサがプリント基板から剥離することもある。
【0012】
別の実施形態によれば、金属層は、中空室の外部において、この金属層と、カバーの周囲環境との直接の接触が阻止されるようにシーリングされている。このシーリングによって阻止されるのは、すでに述べた気体又はオイルが、金属層の化学分解によって中空室に達し、ひいては電子コンポーネントに接触してしまうことである。例えば、気体は、金属層を通って「侵食」し得る。これにより付加的には、カバーがもはや十分には素材結合によってプリント基板に接合されずに、このプリント基板から剥離することに結び付き得る。自動車の動作時にはこの制御装置は高い温度に曝され、これにより、中空室における圧力上昇が発生する。これにより、プリント基板及びカバーに大きな力が作用し、この大きな力にカバーは持ちこたえなければならない。上記シーリングによって保証されるのは、金属層の分解に起因して、加わっている圧力及び力の下で、カバーがプリント基板から剥離しないことである。
【0013】
別の実施形態によれば、金属層は、少なくとも、中空室から外側を向く領域においてシーリングされており、これにより、この中空室の外部においてこの金属層と、カバーの周囲環境との接触が阻止される。
【0014】
例えば、金属層には付加的なコーティングが施され、引き続いてカバーにはんだ付けされる。択一的にはシーリングコーティングが中空室の外部において被着され、ここでこのシーリングコーティングは、プリント基板と、カバーとにオーバラップしており、これによって金属層が、中空室の外部において露出していないかないしはカバーの周囲環境に接触しないようにする。この付加的なコーティングないしはシーリングコーティングにより、中空室の外部において、金属層が、カバーの周囲環境に直接接触しないようにする。これによって阻止されるのは、金属層が、オイル又は気体によって分解し、これにより、カバーがプリント基板から剥離する、かつ/又は、気体又は液体が中空室に浸透することである。
【0015】
別の実施形態によれば、カバーは金属材料又はプラスチック材料を有する。金属材料とは、例えばはんだ付け可能な金属であってよい。この金属材料により、カバーを安定して形成することができ、かつ、高い液体不浸透性及び気体不浸透性が保証される。プラスチック材料を使用する際には、特に軽量でありかつ弾力性のあるカバーを実現することができる。これにより、カバーが弾性的に曲がることにより、例えば上で述べた中空室内の圧力上昇を補償することができる。
【0016】
別の実施形態によれば、カバーには、プリント基板側を向いた面に、溶接可能又ははんだ付け可能な材料がコーティングされている。例えばカバーにプラスチック材料を使用する際には、このカバーは、プリント基板に素材結合するため、はんだ付け可能ないしは溶接可能なコーティングを有することが可能であり、これによって素材結合による接合が作製可能になる。
【0017】
別の実施形態において、カバーは気体不浸透性のコーティングを有する。この気体不浸透性のコーティングは、例えば、中空室から外側に向いたカバーの外側の面に被着され、実質的に気体及び/又は液体が、閉じた中空室に一層浸入し得ないようにする。
【0018】
別の実施形態によれば、プリント基板は金属製の主支持体に配置される。これにより、制御装置は、この主支持体を介して別の部材に、例えば変速機のケーシングに機械的により確実に固定される。付加的には金属製の主支持体を介し、制御装置の熱を容易に排出することができる。これにより、制御装置の過熱を回避することができる。
【0019】
別の実施形態によれば、制御装置は、プリント基板に電気的に接続されておりかつこのプリント基板又は金属製の主支持体に配置されているコネクタを有しており、カバーは、このカバーが、プリント基板に接合されている状態において、中空室の外部で、このコネクタをプリント基板又は主支持体に機械的に固定するように構成されている。コネクタは、例えば、プレス嵌め接触によってプリント基板に電気的に接続される。カバーは、対応する形状を有しているため、このカバーが素材結合により、したがって固定に位置決めされてプリント基板に接合される場合、このカバーは、摩擦結合により、例えば緊締により、プリント基板にコネクタを固定する。例えば、カバーは延長部を有しており、ここではコネクタが、この延長部と、プリント基板ないしは主支持体との間で緊締される。付加的又は択一的には、カバーが、形状結合によってコネクタをプリント基板ないしは主支持体に固定するようにこのカバーを形成する。
【0020】
本発明の第2様相によれば、本発明の第1様相による制御装置を製造する方法が示される。この方法には、
・ 複数の電子コンポーネントが配置されているプリント基板を準備するステップと、
・ 気体不浸透性のカバーを準備するステップと、
・ カバーが、プリント基板と共に、複数の電子コンポーネントが設けられている閉じた中空室を構成するように、カバーとプリント基板とを素材結合によって接合するステップとを有している。
【0021】
この方法により、実質的に複数の上記利点を得ることができる。
【0022】
別の複数の実施形態及び利点は、従属請求項、及び以下の実施例の詳細な説明に記載されている。
【0023】
本発明の実施例を以下、複数の図面を参照して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施例による制御装置の概略断面図である。
【
図2】第2実施例による制御装置の概略断面図である。
【
図3】第3実施例による制御装置の概略断面図である。
【
図4】複数の上記実施例のうちの1つに記載された制御装置を製造する方法の概略流れ図である。
【0025】
図1〜
図3には、3つの実施例による制御装置1の概略断面図が示されている。違いについて検討する前に、これらの3つの実施例の複数の共通点を説明する。
【0026】
これらの実施例において制御装置1は、自動車の自動変速機の制御装置である。制御装置1は、例えば、ホールセンサのような複数のセンサの測定値を評価し、これらの測定値に依存して自動変速機の切り換えを制御するように構成されている。択一的には、別の使用目的のために制御装置1を設けることも可能である。
【0027】
各制御装置1は、プリント基板2を有する。プリント基板2には、複数の電子コンポーネント3が配置されている。これらの電子コンポーネントに含まれるのは、例えば、複数のコンデンサ、コイル、少なくとも1つのマイクロプロセッサ及び/又は別の素子である。これらの電子コンポーネント3は、特にボンディングされた金線及び/又はプリント基板2の導体路を介して互いに電気的に接続されている。
【0028】
複数の電子コンポーネント3及び対応する導体路を保護するため、気体不浸透性のカバー4がプリント基板2にはんだ付けされている。カバー4は、はんだ付け可能な金属材料を有している。これにより、カバー4は、素材結合によってプリント基板2に接合され、ここでこのカバーは、プリント基板2と共に、閉じた中空室5を画定している。これにより、カバー4とプリント基板2との間で、複数の電子コンポーネント3の周りに、素材結合によるつながった結合継目が形成される。これによって中空室5は完全にシーリングされ、カバー4の周囲に対して密閉される。
【0029】
素材結合による接合ないしははんだ付けを作製するため、プリント基板2の金属層6が、カバー4にはんだ付けされる。このためにはすずのようなはんだが金属層6に被着され、このはんだは、上記接合を作製するため、溶融される。金属層6には、プリント基板2の1つ以上の導体路が含まれている。特に金属層6は、銅材料からなる。上記はんだは、高温応用に適しており、特に200℃の範囲の温度に適している。
【0030】
カバー4は、冒頭に説明したようにオイル、気体及びこれに類するものから、複数の電子コンポーネント3と、対応するプリント基板2の導体路とを保護するために設けられている。特にカバー4によって阻止されるのは、中空室5に硫黄のような化合物が浸入して、電子コンポーネント3及び/又は導体路に接触し得ることである。ここでは、カバー4とプリント基板2との形状結合は不要であり、完全な気体不浸透性を保証しないパッキングは不要である。
【0031】
カバー4は、金属材料の代わりにプラスチック材料を有することも可能である。このプラスチック材料は、プリント基板2側を向いた面が、はんだ付け可能な材料によってコーティングされているため、このプラスチック材料をプリント基板2にはんだ付けすることができる。同様にカバー4は、はんだ付けできない金属材料、例えばアルミニウムを有することができ、この場合には、この金属材料の相応の箇所が、はんだ付け可能な材料によってコーティングされる。
【0032】
オプションではカバー4が、気体不浸透性の付加的なコーティングを有することも可能であり、このコーティングは有利には、中空室5から外側に向いた、カバー4の外側の面に被着される。このコーティングは、中空室5内への気体又は液体の浸入を阻止するのに寄与する。特にプラスチックカバーでは、このような付加的なコーティングは必須になり得る。
【0033】
複数のセンサに電気的に接続するため、アクチュエータを制御するため、かつ/又は、例えばコントロールユニットのような別の複数のコンポーネントに電気的に接続するため、制御装置1は1つずつのコネクタ8を有する。コネクタ8は、例えばプレス嵌め接触により、又ははんだ付けを介して、プリント基板2に電気的に接続されている。コネクタ8は、中空室5の外部に配置されている。
【0034】
以下では、
図1〜
図3に示した3つの実施例の違いを説明する。
【0035】
図1に示した実施例においてコネクタ8は、プリント基板2に配置されている。プリント基板2にはんだ付けされているカバー4の状態において、カバー4は、これがコネクタ8をプリント基板2に摩擦結合で固定するように構成されている。このためにカバー4は、延長部9を有する。コネクタ8は、延長部9とプリント基板2との間に少なくとも部分的に緊締されている。
図1に示した制御装置1は、変速機内に取り付けられるように構成されている。
【0036】
図2に示した実施例において、プリント基板2は、金属製の主支持体7に固定されている。金属製の主支持体7を介し、カバー4と共にプリント基板2を機械的に別のコンポーネントに、例えば変速機のケーシング壁に固定することができる。例えば、主支持体7は、別のコンポーネントに溶接、ねじ止め又は別の仕方で取り付けられる。
【0037】
さらに制御装置1のコネクタ8は、プリント基板2それ自体に配置されるか又は機械的に固定されるのではなく、主支持体7に固定される。この際にコネクタ8は、
図1に示した実施例と同様に、カバー4の延長部9を介して主支持体7に摩擦結合で固定される。特にコネクタ8は緊締されている。付加的にはオプションのパッキング10が設けられており、このパッキングは、プリント基板2へのコネクタ8の電気的な接続部を密封する。
【0038】
さらに電子コンポーネント3は、プリント基板2にではなく、付加的なプリント基板11に配置されている。この付加的なプリント基板11は、HDI(英語High-Density-Interconnectの略語)プリント基板であり、これは極めて小型に構成されている。この付加的なプリント基板11は、プリント基板2に配置されている。ここではこの付加的なプリント基板11は、プリント基板2に貼り合わせられる。別の接合技術も考えられる。
【0039】
図2による図示の制御装置1は、択一的に付加的にケーシング内に封入されている。
【0040】
図1及び
図2に示したコネクタ8はオプションで、それぞれ形状結合によってカバー4に機械的に結合することも可能である。これにより、プリント基板2ないしは主支持体7へのコネクタ8の改善された機械的な固定が得られる。
【0041】
オプションでは
図1及び
図2に示したコネクタ8をカバー4の一部とすることも可能である。これにより、コネクタ8及びカバー4が一体で形成される。これにより、製造及び取付コストが節約される。
【0042】
図示しない実施例では、
図1及び
図2に示したコネクタ8の代わりに、別のプラスチック製取付部材が設けられ、このプラスチック製取付部材は、カバー4によってプリント基板2及び/又は金属製の主支持体7に固定される。
【0043】
図3に示した実施例においてコネクタ8は、カバー4によって機械的にプリント基板2に固定されていない。むしろコネクタ8それ自体は、プリント基板2に機械的に固定されており、例えば、このプリント基板にはんだ付けされているか又はプレス嵌め接触によって固定されている。例えば溶接のような別の接合技術も考えられる。択一的には、
図3に示したプリント基板2は、
図2に示した実施例と同様に金属製の主支持体に載置することが可能である。この際にはプリント基板2に固定する代わりに、主支持体にコネクタ8を固定することができる。
図3に示した制御装置1はここでも、変速機内に取り付けるように構成されている。
【0044】
図4には、
図1〜
図3に基づいて説明した制御装置1を製造する方法の流れ図が略示されている。特に3つの実施例のそれぞれ制御装置1と、カバー4との接合を説明する。
【0045】
ステップS1では、電子コンポーネント3が配置されているプリント基板2を準備する。
【0046】
さらに気体不浸透性のカバー4をステップS2において準備する。
【0047】
ステップS3では、カバー4と、プリント基板2の金属層6とをはんだ付けして、閉じた中空室5が形成されるようにし。この中空室内には電子コンポーネント3が配置されている。
【0048】
ステップS3では、準備したカバー4と、準備したプリント基板2とを相応に配置して、はんだ炉又は温風トンネルにガイドする。この際には熱がこの制御装置1に入り、特にはんだに入るため、はんだは、カバー4とプリント基板2との間に素材結合を作製するために溶融される。
【0049】
択一的にははんだ炉又は温風トンネルにおけるはんだ付けの代わりに、レーザはんだ付けを行うこともできる。ここではレーザを用いて点状に、制御装置1のはんだ付けすべき領域に熱エネルギを入れる。これにより、熱エネルギは実質的には、制御装置1の別の領域に、例えば電子コンポーネント3には入ることがない。
【0050】
オプションでは、素材結合による接合の前に金属層6をシーリングして、中空室5の外部において金属層6と、カバー4の周囲環境との直接の接触を阻止することが可能である。このために金属層6に、例えば付加的なコーティングが施され、引き続いてカバー4とはんだ付けされる。この付加的なコーティングは、中空室5の外部において金属層6と、カバー4の周囲環境とが直接に接触しないようにする。これによって阻止されるのは、金属層6が、オイル又は気体によって分解され、これによりカバー4がプリント基板2から剥離する、かつ/又は、気体又は液体が中空室5に浸透してしまうことである。
【0051】
オプションでは、上記のシーリングは、ステップS3後、すなわち接合の後に行われ、中空室5の外部にシーリングコーティングを被着し、ここでこのシーリングコーティングは、プリント基板2とカバー4とにオーバラップしている。ここでは、中空室5の外部において金属層6が、露出していないか乃至はカバー4の周囲環境に接触しないように、シーリングコーティングは上記のコンポーネントにオーバラップしている。