(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置検出エリアの外部に配置される第3の領域内に配置され、かつ、それぞれ前記複数の第2の電極の少なくとも一部に接続される複数の第3のFPC接続端子、を備え、
前記第3の領域は、前記第1の領域を挟んで前記第2の領域の反対側に設けられ、
前記第1の領域と前記第3の領域とは、前記到達範囲の幅より離れて配置される、
請求項1に記載のセンサ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施の形態による電子機器1及びスタイラス10(ペン)の構成を示す図である。本実施の形態による電子機器1は例えばタブレット型のコンピュータであり、同図に示すように、ホストコントローラ2、表示装置3、センサコントローラ4、及びタッチセンサ5を有して構成される。スタイラス10は、上述したアクティブスタイラスである。
【0019】
ホストコントローラ2は、プロセッサ及びメモリ(ともに図示せず)を有するコンピュータであり、プロセッサがメモリに記憶されるプログラムを読み出して実行することにより、図示した表示装置3及びセンサコントローラ4を含む電子機器1の各部の制御、描画用のアプリを含む各種のアプリの実行などの各種処理を行う。メモリには、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などのメインメモリと、フラッシュメモリなどの補助記憶装置とが含まれる。
【0020】
表示装置3は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する表示パネル(図示せず)と、この表示パネルを駆動することにより任意の表示を行う駆動回路(図示せず)とを有する装置であり、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどによって構成される。表示パネルの表面には表示領域3a及びベゼル領域3bが設けられる。表示領域3aは上記複数の画素が配置される領域であり、ベゼル領域3bは、駆動回路と、表示領域3a内の各画素を駆動回路に接続する配線とが配置される領域である。駆動回路は、ホストコントローラ2の制御を受けて、表示パネルの各画素を駆動するように構成される。
【0021】
センサコントローラ4及びタッチセンサ5は、ホストコントローラ2に対する入力装置(センサ)である。具体的に説明すると、まずタッチセンサ5は、スタイラス10又はユーザの指でタッチするための平面であるタッチ面と、このタッチ面の直下に配置された各複数の線状電極5x,5yとを有し、タッチ面内に位置検出エリアを構成する装置である。位置検出エリアは各複数の線状電極5x,5yを用いた位置検出(詳しくは後述する)が可能となる領域であり、表示領域3aに比べて若干大きな面積を有する領域である。タッチ面は表示装置3の表示パネルと重畳して設けられており、複数の線状電極5x,5yはタッチ面と表示パネルの間に配置される。複数の線状電極5xは、それぞれ図示したy方向(タッチ面内の方向)に延在しており、図示したx方向(タッチ面内でy方向と直交する方向)に等間隔で配置される。また、複数の線状電極5yは、それぞれ図示したx方向に延在しており、図示したy方向に等間隔で配置される。複数の線状電極5x,5yの一方を表示パネル内の共通電極(図示せず)と共用してもよく、そのように構成した電子機器1は「インセル型」と呼ばれる。なお、
図1及び後掲の各図では、図面を分かりやすくするために各10本の線状電極5x,5yのみを示しているが、実際にはより多数の線状電極5x,5yが配置される。
【0022】
センサコントローラ4は、プロセッサ及びメモリ(ともに図示せず)を有するマイコンであり、プロセッサがメモリに記憶されるプログラムを読み出して実行することにより、タッチ面上におけるスタイラス10及びユーザの指(図示せず)の指示位置を検出するとともに、スタイラス10が送信したデータ信号を受信可能に構成される。スタイラス10の指示位置の検出は、静電容量方式又はアクティブ静電結合方式により実行される。また、ユーザの指の位置の検出は、静電容量方式により実行される。
【0023】
静電容量方式は、複数の線状電極5x,5yと、スタイラス10のペン先の近傍に設けられたペン電極(図示せず)又はユーザの指との間に生ずる静電容量の変化に基づいて、それぞれの指示位置を取得する方式である。静電容量方式による位置検出を行う場合、センサコントローラ4は、所定の検出用信号を複数の線状電極5xのそれぞれに順次供給し、その都度、複数の線状電極5yそれぞれの電位を測定する。ある線状電極5xと線状電極5yの交点にペン電極又はユーザの指が接近している場合、その線状電極5xからその線状電極5yに向かって流れる電流の一部がユーザの人体に向かって流れ出るため、その線状電極5yについて測定される電位が小さくなる。センサコントローラ4は、この電位の変化を利用して指示位置の検出を行う。
【0024】
アクティブ静電結合方式は、スタイラス10が送信したペン信号をタッチセンサ5により受信し、その結果に基づいてスタイラス10の指示位置を検出する方式である。ペン信号には、上述したように、無変調のバースト信号である位置信号と、スタイラス10に関連する各種データを示すデータ信号とが含まれる。各種データには、スタイラス10のペン先にかかる圧力を示す筆圧データなどが含まれる。
【0025】
アクティブ静電結合方式による指示位置の検出を行う場合、センサコントローラ4は、複数の線状電極5x,5yのそれぞれで位置信号を受信し、その結果に基づいてスタイラス10の指示位置を検出する。また、センサコントローラ4は、複数の線状電極5x,5yのうち検出した指示位置に最も近いものを用いて、スタイラス10が検出したデータ信号の受信を行う。
【0026】
センサコントローラ4による指示位置の検出について、より詳しく説明する。本実施の形態によるセンサコントローラ4は、複数の線状電極5x,5yにほぼ共通に発生するノイズ(例えば、表示装置3で発生するノイズ)の影響を低減するため、上述した差動増幅器を用いる方法(差動法)により、スタイラス10及びユーザの指の指示位置を検出するよう構成される。
【0027】
具体的に説明すると、まず静電容量方式による検出を行う場合、センサコントローラ4は、複数の線状電極5xのそれぞれに順次着目し、着目した線状電極5xを含む1以上の互いに隣接する線状電極5xに上記所定の検出用信号を供給し、その状態で、複数の線状電極5yのそれぞれに順次着目し、着目した線状電極5yと、着目した線状電極5yから所定本数(0本を含む)分離れて配置される他の線状電極5yとを、それぞれ差動増幅器の非反転入力端子と反転入力端子とに接続する。そして、差動増幅器の出力信号の電位により、スタイラス10又はユーザの指の指示位置の検出を行う。
【0028】
次にアクティブ静電結合方式による検出を行う場合、センサコントローラ4は、例えばx座標の検出を行う際には、複数の線状電極5xのそれぞれに順次着目し、着目した線状電極5xと、着目した線状電極5xから所定本数分(0本を含む)離れて配置される他の線状電極5xとを、それぞれ差動増幅器の非反転入力端子と反転入力端子とに接続する。そして、差動増幅器の出力信号の電位により、スタイラス10の指示位置のx座標の検出を行う。同様に、例えばy座標の検出を行う際には、複数の線状電極5yのそれぞれに順次着目し、着目した線状電極5yと、着目した線状電極5yから所定本数(0本を含む)分離れて配置される他の線状電極5yとを、それぞれ差動増幅器の非反転入力端子と反転入力端子とに接続する。そして、差動増幅器の出力信号の電位により、スタイラス10の指示位置のy座標の検出を行う。
【0029】
このような差動法を用いた検出によれば、静電容量方式及びアクティブ静電結合方式のいずれにおいても、差動増幅器が複数の線状電極5x,5yに共通に発生するノイズをキャンセルする役割を果たすので、センサコントローラ4は、ノイズに影響されることなく正確に、指示位置を検出することが可能になる。
【0030】
センサコントローラ4は、以上のようにして検出したスタイラス10及びユーザの指の指示位置を示す座標と、スタイラス10から受信したデータ信号に含まれる各種データとを、ホストコントローラ2に対してレポートするよう構成される。また、センサコントローラ4は、スタイラス10から受信される筆圧データに基づいて、スタイラス10がタッチ面に接触したことを示すペンダウン情報と、スタイラス10がタッチ面から離れたことを示すペンアップ情報との取得を行い、それぞれのタイミングでホストコントローラ2に対してレポートするよう構成される。
【0031】
ホストコントローラ2は、センサコントローラ4から座標が入力されたことを受けて、ポインタの表示及びインクデータの生成の少なくとも一方を行う。このうちポインタの表示は、表示装置3の表示領域3a上の入力された座標と対応する位置に、所定のポインタ画像を表示することによって行う。
【0032】
インクデータは、センサコントローラ4から順次供給される複数の座標のそれぞれによって構成される制御点と、各制御点の間を所定の補間曲線によって補間してなる曲線データとを含むデータである。ホストコントローラ2は、ユーザの指については、座標の入力が開始されたことを契機としてインクデータの生成を開始し、座標の入力が終了したことを契機としてインクデータの生成を終了する。一方、スタイラス10については、ペンダウン情報が入力されたことを契機としてインクデータの生成を開始し、ペンアップ情報が入力されたことを契機としてインクデータの生成を終了する。なお、スタイラス10についてインクデータを生成する際には、ホストコントローラ2は、スタイラス10から受信される筆圧データなどに基づき、インクデータを構成する曲線データの幅及び/又は透明度の制御も行う。ホストコントローラ2は、生成したインクデータのレンダリングを行って表示装置3に表示させるとともに、生成したインクデータを自身のメモリに記憶させる。
【0033】
センサコントローラ4は、図示しないフレキシブルプリント回路(FPC)基板上に設けられる。タッチセンサ5は、上述した位置検出エリアの外部に配置された複数のFPC接続端子Tを有しており、これらのFPC接続端子Tを介して、センサコントローラ4が設置されたフレキシブルプリント回路基板に圧着される。
【0034】
図2は、タッチセンサ5の拡大図である。タッチセンサ5は2層構造を有しており、
図2及び後掲の各図において、ドッドパターンを付した構成は上層UL(第1の層)に配置される構成であり、右上がりのラインパターンを付した構成は下層LL(第2の層)に配置される構成である。なお、図面の理解を容易にするため、
図2においては、上層UL及び下層LLのそれぞれについて一部の構成の図示を省略している。また、
図3は、
図2に示したタッチセンサ5の構成のうち上層ULに形成された部分のみを示す図であり、
図4は、
図2に示したタッチセンサ5の構成のうち下層LLに形成された部分のみを示す図であり、
図5(a)は、
図2〜
図4に示したA−A線に対応するタッチセンサ5の断面図であり、
図5(b)は、
図2〜
図4に示したB−B線に対応するタッチセンサ5の断面図である。
【0035】
初めに
図5の断面図に着目すると、タッチセンサ5は、内部に上層UL及び下層LLが形成された絶縁層5aと、絶縁層5aの上側に形成されたカバーガラス5bとを有して構成される。カバーガラス5bの上面は、タッチセンサ5のタッチ面(スタイラス10又はユーザの指が直接触れる面)を構成する。
【0036】
絶縁層5aは、例えば、上層ULの各構成を形成したフィルムと、下層LLの各構成を形成したフィルムとを貼り合わせることによって形成することとしてもよい(フィルムセンサ)し、薄膜工法を用い、カバーガラス5bの下面に絶縁層、上層UL、絶縁層、下層LL、絶縁層を順に形成することによって形成することとしてもよい(OGS(One Glass Solution)センサ)。前者の場合、上層ULと下層LLの間を接続することはできないが、後者の場合、絶縁層を貫通するスルーホール導体によって上層ULと下層LLを相互に接続することができる。本実施の形態では、前者の場合のように上層ULと下層LLの間を接続しない場合を取り上げて説明することとし、上層ULと下層LLの間をスルーホール導体によって接続する場合については、後述する第3の変形例で説明することとする。
【0037】
図2〜
図4に示すように、各線状電極5x(第1の電極)はいずれも上層ULに配置され、各線状電極5y(第2の電極)はいずれも下層LLに配置される。また、複数のFPC接続端子Tは、上層ULに配置される複数のFPC接続端子T1(第1のFPC接続端子)と、下層LLに配置される複数のFPC接続端子T2L(第2のFPC接続端子)と、下層LLに配置される複数のFPC接続端子T2R(第3のFPC接続端子)と、上層UL又は下層LLに配置される複数のFPC接続端子TGと、上層UL又は下層LLに配置される複数のFPC接続端子TDとを含んで構成される。
【0038】
複数のFPC接続端子T1は、上層ULに配置された複数の配線L1(第1の配線)によって、複数の線状電極5xと相互に接続される。また、複数のFPC接続端子T2Lは、下層LLに配置された複数の配線L2L(第2の配線)によって、複数の線状電極5yの少なくとも一部と相互に接続される。さらに、複数のFPC接続端子T2Rは、下層LLに配置された複数の配線L2R(第3の配線)によって、複数の線状電極5yの少なくとも一部と相互に接続される。本実施の形態では、複数のFPC接続端子T2Lに接続される線状電極5yと、複数のFPC接続端子T2Rに接続される線状電極5yとは、y方向に交互に配置される。
【0039】
複数のFPC接続端子T1は、位置検出エリアの外部に配置される領域A1(第1の領域)内に等間隔で配置される。同様に、複数のFPC接続端子T2Lは、位置検出エリアの外部に配置される領域A2L(第2の領域)内に等間隔で配置され、複数のFPC接続端子T2Rは、位置検出エリアの外部に配置される領域A2R(第3の領域)内に等間隔で配置される。領域A2Rは、領域A1を挟んで領域A2Rの反対側に設けられる。なお、
図2〜
図4には、領域A2L、領域A1、及び領域A2Rが一直線に並ぶ例を示しているが、この構成は必ずしも必須ではなく、例えば、領域A1の位置が領域A2L,A2Rを結ぶ線分に対してy方向に多少オフセットしていても構わない。
【0040】
タッチセンサ5上におけるペン信号の到達範囲の幅を図示したようにRとすると、領域A1と領域A2Lとは、この幅Rより離れて配置される。別の言い方をすれば、領域A1と領域A2Lとの間のx方向の離隔距離D1Lは幅Rより大きい値に設定される(D1L>R)。同様に、領域A1と領域A2Rとについても、幅Rより離れて配置される。別の言い方をすれば、領域A1と領域A2Rとの間のx方向の離隔距離D1Rは幅Rより大きい値に設定される(D1R>R)。なお、幅Rの具体的な値は通常8mm程度になることから、離隔距離D1L,D1Rの具体的な値は通常、それぞれ8mmより大きい値に設定される。
【0041】
離隔距離D1L,D1Rをこのように設定することで、スタイラス10のペン先が複数のFPC接続端子Tの近傍に位置している場合に、FPC接続端子T1とFPC接続端子T2L,T2Rとの両方にペン信号が受信されてしまうことを回避できる。したがって、FPC接続端子T1とFPC接続端子T2L,T2Rとの両方によってペン信号が受信されてしまい、その結果としてユーザの意図しない線が画面上に描画されてしまうことを防止することが可能になる。
【0042】
また、複数の配線L1,L2L,L2Rはそれぞれ、位置検出エリアの外部に等間隔で形成される。各配線の具体的な導体幅及びスペース幅は、いずれも0.1mm以下となるように、又は、導体幅とスペース幅の合計値がカバーガラス5bの上面から下層LLの上面までの距離D4(
図5(a)参照)以下となるように決定される。いずれにしても、こうして形成される複数の配線L1,L2L,L2Rそれぞれの配列ピッチは、各FPC接続端子Tの配列ピッチより狭くなる。したがって、複数の配線L1は、接続先である複数のFPC接続端子T1の配列方向(x方向)の幅D2xより狭い幅D3x(<D2x)で配列された部分を有し、複数の配線L2Lは、接続先である複数のFPC接続端子T2Lの配列方向(x方向)の幅D2yLより狭い幅D3yL(<D2yL)で配列された部分を有し、複数の配線L2Rは、接続先である複数のFPC接続端子T2Rの配列方向(x方向)の幅D2yRより狭い幅D3yR(<D2yR)で配列された部分を有している。結果として、複数の配線L1,L2L,L2Rはそれぞれ、対応するFPC接続端子Tの近傍において、FPC接続端子Tを海側とする扇状地のような外観を呈している。
【0043】
複数の配線L1,L2L,L2Rをこのように配線することで、配線部分において受信されるノイズの量の配線間での違いを最小限に抑えることができる。したがって、差動法を用いて行う位置検出の精度を向上することが可能になる。
【0044】
複数の配線L1,L2L,L2Rそれぞれの両側には、グランド配線LGが配置される。また、領域A1,A2L,A2Rそれぞれの両側には、このグランド配線LGに接続されるFPC接続端子TGが配置される。本実施の形態においては、グランド配線LGは、
図3及び
図4に示すように上層UL及び下層LLの同じ位置に同じ形状で形成される。FPC接続端子TGに直接接続されていないグランド配線LGは、他のグランド配線LG及び後述するグランドパターンPGを介して、いずれかのFPC接続端子TGに接続される。各FPC接続端子TGには、センサコントローラ4からグランド電位が供給される。
【0045】
また、
図3及び
図4に示すように、複数の配線L1と複数の配線L2Lの間の領域、及び、複数の配線L1と複数の配線L2Rの間の領域のそれぞれには、上層ULと下層LLに1本ずつ、グランド配線LGと併走する検出用配線LDが配置される。上層ULの検出用配線LDは、
図3に示すように、配線L1に隣接する2本のグランド配線LGのそれぞれに沿って形成される。一方、下層LLの検出用配線LDは、
図4に示すように、配線L2Lに隣接するグランド配線LG及び配線L2Rに隣接するグランド配線LGのそれぞれに沿って形成される。また、領域A1と領域A2Lの間の領域、及び、領域A1と領域A2Rの間の領域のそれぞれには、上層ULと下層LLに1つずつ、検出用配線LDに接続されるFPC接続端子TDが配置される。上層ULの2つのFPC接続端子TDは、FPC接続端子T1に隣接する2つのFPC接続端子TGのそれぞれに隣接して配置される。一方、下層LLの2つのFPC接続端子TDは、FPC接続端子T2Lに隣接するFPC接続端子TG及びFPC接続端子T2Rに隣接するFPC接続端子TGのそれぞれに隣接して配置される。
【0046】
さらに、上層ULには、
図3に示すように、2つのグランドパターンPG(第2のグランドパターン)と、2つの検出パターンPD(第2の検出パターン)とが設けられ、下層LLには、
図4に示すように、1つのグランドパターンPG(第1のグランドパターン)と、2つの検出パターンPD(第1の検出パターン)とがさらに設けられる。これらの各パターンの具体的な構成は特に限定されず、一様な導体によって構成してもよいし、メッシュ状に配置した微細な配線(メッシュ配線)によって構成してもよい。また、これらの各パターンの材質は導電物質であればよく、MAM(Mo-Al-Mo)、MCM(Mo-Cu-Mo)、Al、Cu、APC(Ag-Pd-Cu)、ITO(Indium Tin Oxide)、有機化合物など各種の材料を用いて構成することができる。
【0047】
上層ULに設けられる2つのグランドパターンPGのうちの一方は、平面的に見て複数の配線L2Lと重なる領域に配置されており、
図3に示すように、平面的に見て複数の配線L2Lの両側に位置する上層UL内の2本のグランド配線LGと接続される。同様に、上層ULに設けられる2つのグランドパターンPGのうちの他方は、平面的に見て複数の配線L2Rと重なる領域に配置されており、
図3に示すように、平面的に見て複数の配線L2Rの両側に位置する上層UL内の2本のグランド配線LGと接続される。また、下層LLに設けられるグランドパターンPGは、平面的に見て複数の配線L1と重なる領域に配置されており、
図4に示すように、平面的に見て複数の配線L1の両側に位置する下層LL内の2本のグランド配線LGと接続される。
【0048】
グランド配線LG及びグランドパターンPGをこのように配置することにより、配線L1,L2L,L2Rはそれぞれ、両サイドと、上側又は下側とをグランド電位で覆われた状態となる。したがって、これらの方向から到来するノイズ(横方向からのノイズには、他の配線で生ずるノイズを含む)の影響を受けにくくなるので、これによっても、位置検出の精度を向上することが可能になる。
【0049】
上層ULに設けられる2つの検出パターンPDと、下層LLに設けられる2つの検出パターンPDとは、
図3及び
図4から理解されるように、位置検出エリアの外部領域のうち複数のFPC接続端子T近傍の領域に形成される。より具体的には、配線及びグランドパターンPGが形成されていない位置に同一の形状で形成される。また、上層ULに設けられる2つの検出パターンPDはそれぞれ、
図3に示すように、上層ULに設けられる2本の検出用配線LDの一方及び他方と接続される。同様に、下層LLに設けられる2つの検出パターンPDはそれぞれ、
図4に示すように、下層LLに設けられる2本の検出用配線LDの一方及び他方と接続される。
【0050】
検出パターンPDは、スタイラス10がFPC接続端子Tの近傍にあるか否かを判定するためにペン信号を検出するもので、センサコントローラ4は、各FPC接続端子TDの電位を監視し、その結果に基づき、スタイラス10がFPC接続端子Tの近傍にあるか否かを判定するよう構成される。詳しく説明すると、FPC接続端子TDの電位がペン信号と同様の変化を示す場合、検出パターンPDによってペン信号が受信されていることを意味するので、スタイラス10がFPC接続端子Tの近傍にあると言える。そこでセンサコントローラ4は、FPC接続端子TDの電位がペン信号と同様の変化を示す場合に、スタイラス10がFPC接続端子Tの近傍にあると判定する。そしてセンサコントローラ4は、スタイラス10がFPC接続端子Tの近傍にあると判定した場合に、アクティブ静電結合方式によって検出されたスタイラス10の指示位置について、ホストコントローラ2へのレポートを停止する(すなわち、検出した指示位置を破棄する)よう構成される。
【0051】
本実施の形態においては、
図2に示した距離D(複数のFPC接続端子Tと、これらと最も近い位置に配置された線状電極5yとの間の距離)が上述した幅R(タッチセンサ5上におけるペン信号の到達範囲の幅)より小さくなっていることから、スタイラス10がFPC接続端子Tの近傍にある場合に、ペン信号が線状電極5x又は線状電極5yとFPC接続端子Tとの両方によって受信され、それによってアクティブ静電結合方式による位置が検出されてしまう可能性がある。こうして検出された位置はスタイラス10の位置を正しく反映していないものであるから、ユーザの意図しない線が画面上に描画されてしまうことを防止するために、ホストコントローラ2へのレポートの対象から除外すべきである。
【0052】
この点、本実施の形態によるセンサコントローラ4の上記動作によれば、スタイラス10がFPC接続端子Tの近傍にある場合に、アクティブ静電結合方式によって検出されたスタイラス10の指示位置のレポートが停止されるので、上記のようにスタイラス10の位置を正しく反映していない検出位置がホストコントローラ2にレポートされてしまうことを防止できる。したがって、ユーザの意図しない線が画面上に描画されてしまうことを防止することが可能になる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態による電子機器1によれば、センサコントローラ4は、検出パターンPDにおけるペン信号の検出状態を確認することにより、スタイラス10がFPC接続端子Tの近傍にあるか否かを判定することができる。したがって、スタイラス10がFPC接続端子Tの近傍にある場合には、仮に位置が検出されたとしても、FPC接続端子Tによって受信されたペン信号によるものとみなして破棄することができるので、ユーザの意図しない線が画面上に描画されてしまうことを防止することが可能になる。
【0054】
また、本実施の形態による電子機器1によれば、FPC接続端子T1及びFPC接続端子T2L,T2Rの両方にペン信号が受信されてしまうことを回避できる。したがって、FPC接続端子T1及びFPC接続端子T2L,T2Rの両方の両方によってペン信号が受信されてしまい、その結果としてユーザの意図しない線が画面上に描画されてしまうことを防止することが可能になる。
【0055】
さらに、本実施の形態による電子機器1によれば、ある程度大きくならざるを得ない複数のFPC接続端子T1,T2L,T2Rの配列方向の幅よりも小さな幅で複数の配線L1,L2L,L2Rを配列するので、配線部分において受信されるノイズの量の配線間での違いを最小限に抑えることができる。したがって、差動法を用いて行う位置検出の精度を向上することが可能になる。
【0056】
本実施の形態には様々な変形例が考えられる。そこで以下では、本実施の形態の4つの変形例を取り上げて説明する。
【0057】
図6は、本実施の形態の第1の変形例によるタッチセンサ5の構成のうち上層ULに形成された部分のみを示す図であり、
図7は、本実施の形態の第1の変形例によるタッチセンサ5の構成のうち下層LLに形成された部分のみを示す図である。
【0058】
第1の変形例の特徴は、下層LLの検出パターンPDが平面的に見て複数の配線L1と重なる領域に配置された部分を含み、上層ULの検出パターンPDが平面的に見て複数の配線L2L,L2Rと重なる領域に配置された部分を含む点にある。より具体的に言えば、下層LLの2つの検出パターンPDはそれぞれ、平面的に見て複数の配線L1と重なる領域の一部にまで延設されている。これに伴い、下層LLのグランド配線LGの形状も変更されている。また、上層ULの2つの検出パターンPDのうち配線L2L側に形成されている一方は、平面的に見て複数の配線L2Lと重なる領域の一部にまで延設され、配線L2R側に形成されている他方は、平面的に見て複数の配線L2Rと重なる領域の一部にまで延設されている。これに伴い、上層ULのグランド配線LGの形状も変更されている。
【0059】
このように、検出パターンPDは、平面的に見て配線L1,L2L,L2Rと重なる領域に配置されていても構わない。こうすることで、検出パターンPDの面積をより大きくすることが可能になる。
【0060】
図8は、本実施の形態の第2の変形例によるタッチセンサ5の構成のうち上層ULに形成された部分のみを示す図であり、
図9は、本実施の形態の第2の変形例によるタッチセンサ5の構成のうち下層LLに形成された部分のみを示す図である。
【0061】
第2の変形例の特徴は、上層UL及び下層LLのそれぞれにおいて、上記実施の形態では検出パターンPDが存在していた位置にもグランドパターンPGが形成されている点にある。本変形例では、検出パターンPD及びFPC接続端子TDは設けられない。また、上記実施の形態で設けられていたグランド配線LGのうち検出パターンPDとグランドパターンPGの間に位置していたものと、それに対応するFPC接続端子TGとについても、本変形例では設けられない。
【0062】
本変形例によるセンサコントローラ4は、各FPC接続端子TDに代えてグランドパターンPGに接続されている各FPC接続端子TGの電位を監視し、その結果に基づき、スタイラス10がFPC接続端子Tの近傍にあるか否かを判定するよう構成される。このようにしても、センサコントローラ4は、スタイラス10がFPC接続端子Tの近傍にあるか否かを判定することができる。したがって、スタイラス10がFPC接続端子Tの近傍にある場合に、アクティブ静電結合方式によって検出されたスタイラス10の指示位置のレポートを停止することができるので、上記実施の形態と同様に、ユーザの意図しない線が画面上に描画されてしまうことを防止することが可能になる。
【0063】
図10は、本実施の形態の第3の変形例によるタッチセンサ5の拡大図であり、
図11は、本実施の形態の第3の変形例によるタッチセンサ5の構成のうち上層ULに形成された部分のみを示す図であり、
図12は、本実施の形態の第3の変形例によるタッチセンサ5の構成のうち下層LLに形成された部分のみを示す図である。
【0064】
第3の変形例の特徴は、各複数の配線L2L,L2Rのほとんどの部分及びFPC接続端子T2L,T2Rが上層ULに形成され、平面的に見て複数の配線L2L,L2Rと重なる領域に配置されるグランドパターンPGが下層LLに形成される点にある。各複数の配線L2L,L2Rはそれぞれ、対応する線状電極5yの端部近傍に設けられるスルーホール導体THにより、下層LLから上層ULに延設される。
【0065】
本変形例によれば、グランドパターンPGを下層LLにまとめて形成することができる。したがって、各複数の配線L1,L2L,L2Rそれぞれの下側をグランド電位で覆うことができるので、各複数の配線L1,L2L,L2Rのいずれについても、下層LLのさらに下にある表示装置3で発生するノイズを遮蔽することが可能になる。これにより、位置検出の精度をさらに向上することが可能になる。
【0066】
なお、ノイズの発生状況等によっては、スルーホール導体を用いて各複数の配線L1を下層LLに延設することにより、グランドパターンPGを上層ULにまとめて形成することとしてもよいし、スルーホール導体を用いて各複数の配線L1を下層LLに延設するとともに、スルーホール導体を用いて各複数の配線L2L,L2Rを上層ULに延設し、平面的に見て複数の配線L1と重なる領域に配置されるグランドパターンPGを上層ULに形成し、平面的に見て複数の配線L2L,L2Rと重なる領域に配置されるグランドパターンPGを下層LLに形成することとしてもよい。さらに、上層ULと下層LLのグランド配線LGをスルーホール導体を用いて相互に接続してもよいし、上層ULと下層LLの検出用配線LDをスルーホール導体を用いて相互に接続してもよい。
【0067】
図13は、本実施の形態の第4の変形例によるタッチセンサ5の拡大図である。
【0068】
第4の変形例の特徴は、線状電極5x,5yが単純な長方形ではなく四角形が対角線方向に数珠つなぎされた形状を有する点にある。四角形は線状電極5x,5yの交点間に1つずつ設けられ、x方向に隣接する2つの四角形、及び、y方向に隣接する2つの四角形はそれぞれ、長方形状の微細なブリッジ導体によって接続されている。
【0069】
このように、線状電極5x,5yの形状は単純な長方形でなくてもよく、本発明は、様々な形状の線状電極5x,5yに適用し得る。
【0070】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0071】
図14は、本実施の形態によるタッチセンサ5の拡大図である。また、
図15は、本実施の形態によるタッチセンサ5の構成のうち上層ULに形成された部分のみを示す図であり、
図16は、本実施の形態によるタッチセンサ5の構成のうち下層LLに形成された部分のみを示す図である。本実施の形態による電子機器1は、複数の線状電極5xのすべてが配線L2Lと配線L2Rの両方に接続されている点で、第1の実施の形態による電子機器1と相違する。その他の点では第1の実施の形態による電子機器1と同様であるので、以下では、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付し、第1の実施の形態との相違点に着目して説明する。
【0072】
複数の線状電極5xのすべてが配線L2Lと配線L2Rの両方に接続されることから、本実施の形態においては、配線L2L,L2Rそれぞれの本数が増加し、線状電極5xの本数と等しくなっている。また、これに応じて、FPC接続端子T2L,T2Rそれぞれの数も第1の実施の形態に比べて増加している。
【0073】
一方、本実施の形態においても、領域A1と領域A2Lとは、タッチセンサ5上におけるペン信号の到達範囲の幅Rより離れて配置される(D1L>R)。領域A1と領域A2Rとについても同様である(D1R>R)。したがって、本実施の形態においても、FPC接続端子T1とFPC接続端子T2L,T2Rとの両方によってペン信号が受信されてしまい、その結果としてユーザの意図しない線が画面上に描画されてしまうことを防止することが可能になる。
【0074】
また、本実施の形態においても、複数の配線L1,L2L,L2Rは、平面的に見てベゼル領域3bと重なる領域内に、それぞれ各FPC接続端子Tより狭い幅、かつ、等間隔で延設される。つまり、複数の配線L1は、接続先である複数のFPC接続端子T1の配列方向(x方向)の幅D2xより狭い幅D3x(<D2x)で配列された部分を有し、複数の配線L2Lは、接続先である複数のFPC接続端子T2Lの配列方向(x方向)の幅D2yLより狭い幅D3yL(<D2yL)で配列された部分を有し、複数の配線L2Rは、接続先である複数のFPC接続端子T2Rの配列方向(x方向)の幅D2yRより狭い幅D3yR(<D2yR)で配列された部分を有している。したがって、本実施の形態においても、配線部分において受信されるノイズの量の配線間での違いを最小限に抑えることができるので、差動法を用いて行う位置検出の精度を向上することが可能になる。
【0075】
さらに、本実施の形態においても、配線L2L,L2Rそれぞれの本数が増加していることに伴って一部の形状及び位置に若干の変更が加えられている点を除き、グランド配線LG、FPC接続端子TG、グランドパターンPG、検出用配線LD、FPC接続端子TD、及び検出パターンPDが第1の実施の形態と同様に配置されている。したがって、本実施の形態においても、スタイラス10の位置を正しく反映していない検出位置がホストコントローラ2にレポートされてしまうことを防止でき、したがって、ユーザの意図しない線が画面上に描画されてしまうことを防止することが可能になる。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【課題】FPC接続端子T1とFPC接続端子T2L(又はT2R)の両方によってペン信号が受信されてしまい、その結果としてユーザの意図しない線が画面上に描画されてしまうことを防止する。
【解決手段】本発明によるセンサは、ペンが送信したペン信号を検出するためのセンサであって、それぞれペン信号を受信可能に構成された各複数の線状電極5x及び線状電極5yを有し、位置検出エリアを構成するタッチセンサ5と、位置検出エリアの外部に配置される領域A1内に配置され、かつ、それぞれ複数の線状電極5xに接続される複数のFPC接続端子T1と、位置検出エリアの外部に配置される領域A2L(A2R)内に配置され、かつ、それぞれ複数の線状電極5yの少なくとも一部に接続される複数のFPC接続端子T2L(T2R)と、を備え、領域A1と領域A2L(A2R)とは、タッチセンサ5上におけるペン信号の到達範囲の幅Rより離れて配置される。