【実施例】
【0118】
3−(1,2,4−トリアゾール[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド塩形態の研究
以下の特徴:結晶性、水への高い溶解度(10g/L超)、及び一定組成を有する1つ以上の塩形態を同定することを目的に、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの様々な塩形態を合成した。更に、この試験は、その生産が容易にスケーリング可能であり、そして、低毒性有機溶媒中で実施することができる塩形態を同定することを目的としていた。
【0119】
極性非毒性(クラス2及び3)有機溶媒中で様々な3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの塩形態を得た。薬理学的許容可能性及び酸強度(pKa5.0以下)に基づいて対イオンを選択した。3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドがpKa 約6.4の塩基であるという事実に基づいて、最小酸強度を選択した。
【0120】
最初の段階において、選択された有機溶媒への溶解度について最初の塩基を試験した。この試験で使用した最大の選択された溶媒の容積は、塩基1mg当たり1.25mLであった。様々な有機溶媒への最初の塩基の溶解度を試験した結果を表1に示す。10mg/mL以下で塩基が可溶性であった低毒性(クラス3)、低沸点(T
boiling<100℃)、極性の溶媒を、更なる試験のために選択した。
【0121】
第2の段階では、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの塩基100mg及び様々な酸から塩を得ることを試みた。この研究段階においては、試験サンプルが溶媒に完全に溶解し、そして、酸を添加した後に沈殿物が形成されるか、又は酸を添加した後に系が均質であり、該系を室温に冷却した後に沈殿物が形成される、様々な溶媒/酸の対を選択した。ほとんどの場合、酸を添加するか又は溶液を冷却した直後に3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの塩が生じた(
図1を参照)。溶液を冷却した後に沈殿物が形成されなかった場合、メチルtert−ブチルエーテルを該塩溶液に添加して結晶化プロセスを開始させた(
図2を参照)。
【0122】
【表1】
【0123】
得られた全てのサンプルの結晶性を、X線粉末回折法を使用して試験した(結晶性構造を調べるために)。X’Celerator検出器を備えるCubiX-Pro XRD X線粉末回折計(アノード電圧45kV、電流40mA)を使用して、温度25℃(±5℃)及び相対空気湿度約70%において回折パターンを得た。サーベイステップ 0.02° 2θ、角度範囲3〜45° 2θ。得られた回折パターンを、X’Pert HighScore Plusソフトウェアパッケージを使用して詳細に試験した。
【0124】
X線粉末回折法を使用するサンプルの結晶性の試験は、試験したサンプルHAL-G-194-1、HAL-G-196-1、HAL-G-196-2、HAL-G-196-4、HAL-G-196-5、HAL-G-196-6、HAL-G-196-7、HAL-G-196-8、HAL-G-196-9、HAL-G-196-13、HAL-G-196-16、HAL-G-196-17、HAL-G-196-25、HAL-G-196-28、HAL-G-196-29、HAL-G-196-30、HAL-G-196-3、HAL-G-196-19、HAL-G-196-20、HAL-G-196-21、HAL-G-196-23、HAL-G-196-24、HAL-G-196-26、HAL-G-196-35が、個別の結晶相又は相混合物を表すことを示した(
図1及び2を参照)。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を使用して、このようなサンプルの溶解度を試験した(クロマトグラフは、Phenomenex Lunaカラム、5μM、4.6×250mmを備えるAgilent 1100シリーズの装置を使用して得た。移動相(10mM KH
2PO
4pH=3):アセトニトリルの体積比=60:40。流速は、1.0mL/分である。検出は、254nmで実施した。ランタイムは、16分間である)。また、以下の方法を使用してサンプルを試験した:偏光顕微鏡法(Leica DMRB偏光顕微鏡、解像度1600×1200)(結晶性を確認するため)、イオンクロマトグラフィー(アニオン及びカチオンの化学量論的比率を確認するため)、示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)(組成を確認し、そして、サンプルの温度安定性を試験するため);
1H NMR(500 MHz Bruker AVANCE 500、13MHz、溶媒DMSO-d
6)(構造を確認し、純度及び有機溶媒の含量を評価するため);重量吸湿(吸湿性を評価するため)。DSCは、Mettler 822e DSC装置を使用して実施した。標準物質の相変化に基づいて、ISO 11357-1規格に準拠して測定系を較正した(C
6H
12;Hg;安息香酸;Ga;KNO
3;In;Sn;Bi;CsCl;純度グレード99.99%)。温度較正の調整誤差(Inに基づいて測定)は、0.1°である。加熱速度10°/分、温度範囲30〜300℃の人工空気流中、標準アルミニウムセル内でサンプルを試験した。TG測定は、Mettler 851e SDTA/TGA TG分析器を使用して行った。標準物質の融点(Ag;Al;Bi;In;Sn;純度グレード99.99%)を使用して装置を較正した。計量誤差は、NMT 0.1%である(CaC
2O
4・2H
2O標準を使用して決定)。加熱速度10°/分、温度範囲30〜150℃の人工空気流中、標準的な開放系のアルミニウム容器内で試験を実施した。脱水を避けるために、測定前に物質を機械的処理には曝さなかった。
【0125】
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの遊離塩基(同質異像I)の物理的及び化学的な性質の試験
X線粉末回折データ(
図3を参照)に基づいて、HAL-G-194-1遊離塩基サンプルは個別の結晶相であり、これは偏光顕微鏡法によっても確認された(
図4を参照)。
1H NMR分光法を使用して化合物の構造を確認した(
図5を参照)。脱イオン水への遊離塩基の見掛けの溶解度は1mg/mL未満であった(表2を参照)。
【0126】
【表2】
【0127】
遊離塩基の脱イオン水への平衡溶解度は、HPLC分析に基づいておよそ2.3×10
−4mg/mLであった(表3を参照)。
【0128】
【表3】
【0129】
DSC法及びTG法を使用したサンプルの試験結果を表6及び7に示す。遊離塩基サンプルのDSC分析は、最大198℃まで加熱したときにサンプルは変化せず、遊離塩基は211℃で融解することを示した(
図6を参照)。TG分析中、サンプルの重量損失は同定されなかった(
図7を参照)。3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの遊離塩基の吸湿性の試験は、相対空気湿度90%において、サンプルが3質量パーセント未満の水を吸収したことを示した(
図8を参照)。60℃の温度で7日間サンプルを維持したとき、不純物の含量は一定のままである(表4を参照)。
【0130】
【表4】
【0131】
6日間溶媒(アセトン)に懸濁させた3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの遊離塩基の同質異像の安定性の試験は、HAL-G-194-1サンプルの結晶構造が変化することを示した(
図3、表5を参照)。
1H NMR分光法を使用して、入手したサンプルの構造及び純度を確認した(
図5を参照)。
【0132】
【表5】
【0133】
塩酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩(同質異像I)の物理的及び化学的な性質の試験
塩酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプル(HAL-G-196-2)を、テトラヒドロフラン(THF)中で得た。X線粉末回折(
図9を参照)に基づいて、塩は個別の結晶相であると同定された。同じ結晶相が、エタノール中で調製された塩酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプル(HAL-G-196-1サンプル)で明らかになった。化合物の構造を1H NMR分光法で確認した(
図10を参照)。HAL-G-196-1及びHAL-G-196-2のサンプルの
1H NMRスペクトルが残留溶媒のシグナルを含むことに留意すべきである。イオンクロマトグラフィーを使用してアニオン及びカチオンの化学量論的比率を決定し、一塩酸塩の形成を確認した。DSC分析(
図11を参照)の結果、2つの吸熱転移(第1の吸熱転移(T=139℃)は溶媒喪失に対応し、そして、第2の吸熱転移(T=180℃)はサンプルの融解に対応する)が同定された。TG分析中、3.6%のサンプル重量減少が観察され、これは、恐らく、残留溶媒量の減少によって引き起こされた(
図12を参照)。サンプルの吸湿性の試験は、HAL-G-196-2サンプルが恐らく二水和物であることを示したが、その理由は、該サンプルが、体積が二水和物に対応した水を脱離及び吸収したためである(
図13を参照)。更なる開発を実現不能なものと認識した。
【0134】
塩酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩(sale)(同質異像II)の物理的及び化学的な性質の試験
塩酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプル(HAL-G-196-3)を、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)を添加した後のアセトン媒体から得た。X線粉末回折(
図9を参照)に基づいて、塩は個別の結晶相であると同定された。これは、HAL-G-196-1及びHAL-G-196-2の結晶相とは異なっていた。化合物の構造を
1H NMR分光法によって確認した(
図10を参照)。イオンクロマトグラフィーを使用してアニオン及びカチオンの化学量論的比率を決定し、一塩酸塩の形成を確認した。DSC分析(
図11を参照)の結果、サンプルの融解に対応する1つの吸熱転移(T=190℃)が同定された。TG分析中、サンプルの重量減少は観察されなかった。脱イオン水へのHAL-G-196-3サンプルの見掛けの溶解度は約3mg/mLの量となった(表2を参照)。塩酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩(同質異像II)の脱イオン水への平衡溶解度は、HPLC分析によって約37.1mg/mLと測定された(表3を参照)。サンプルの吸湿性の試験は、HAL-G-196-3サンプルが相対空気湿度90%において8質量パーセント未満の水を吸収することを示した(
図13を参照)。温度60℃で7日間サンプルを維持したとき、不純物の含量は一定のままであった(表4を参照)。6日間溶媒(アセトン)に懸濁させた際のHAL-G-196-3サンプルの安定性の試験は、HAL-G-196-3サンプルの結晶構造が変化しないままであったことを示した(表5を参照)。したがって、塩酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のこの形態は、塩形態としての更なる開発のための要件を満たす物理的及び化学的な性質を有していた。
【0135】
硫酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の物理的及び化学的な性質の試験
硫酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプル(HAL-G-196-6)を、アセトン媒体中で得た。X線粉末回折(
図14を参照)に基づいて、サンプルは、結晶相の組み合わせを含むことが見出されたが、その理由は、ピークの拡散性及び1つの単位格子による相反射を使用して回折パターンを確立及び説明できないことが、幾つかの結晶相の存在、そして、恐らく、試験サンプルにおける非晶質相の顕著な共有を示していたためである。化合物の構造を
1H NMR分光法によって確認した(
図15を参照)。HAL-G-196-6サンプルの
1H NMRスペクトルが残留溶媒のシグナルを含むことに留意すべきである。イオンクロマトグラフィーを使用してアニオン及びカチオンの化学量論的比率を決定し、これによって一硫酸塩の形成を確認した。DSC分析(
図16を参照)の結果、1つの吸熱転移が同定され、これは恐らく溶媒減少に対応していた。物質の融解に対応する過剰の吸熱転移が存在しないことは、試験サンプル中にかなりの比率の非晶質相が存在することを示していた。硫酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の脱イオン水への見掛けの溶解度は約1mg/mLであった(表2を参照)。この塩の溶解度が低いことから、更なる開発を実現不能なものと認識した。
【0136】
臭化水素と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩(同質異像I)の物理的及び化学的な性質の試験
臭化水素と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプル(HAL-G-196-7)を、エタノール媒体からの結晶化を介して得た。X線粉末回折(
図17を参照)に基づいて、塩は個別の結晶相であると同定された。化合物の構造を
1H NMR分光法によって確認した(
図18を参照)。HAL-G-196-7サンプルの
1H NMRスペクトルは、残留溶媒のシグナルを含む。イオンクロマトグラフィーを使用してアニオン及びカチオンの化学量論的比率を決定し、これによって一臭化水素酸塩の形成を確認した。DSC分析(
図19を参照)の結果、2つの吸熱転移(第1の吸熱転移(T=129℃)は溶媒喪失に対応し、一方、第2の吸熱転移(T=190℃)はサンプルの融解に対応する)が同定された。TG分析中、1.7%のサンプル重量減少が観察され、これは、恐らく、残留溶媒量の減少によって引き起こされた(
図20を参照)。臭化水素酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の脱イオン水への見掛けの溶解度は約5mg/mLであった(表2を参照)。サンプルの吸湿性の試験は、相対空気湿度90%においてサンプルが10質量パーセント超の水を吸収し、そして、空気中で解凍されたことを示した。この塩形態の吸湿性が高いことから、更なる開発を実現不能なものと認識した。
【0137】
臭化水素と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩(同質異像II)の物理的及び化学的な性質の試験
臭化水素と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプル(HAL-G-196-8)を、テトラヒドロフラン(THF)媒体からの結晶化を介して得た。X線粉末回折(
図17を参照)に基づいて、塩は個別の結晶相であると同定された。臭化水素と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩をアセトンから結晶化させたときに同じ結晶相が得られた(HAL-G-196-9サンプル)。化合物の構造を
1H NMR分光法によって確認した(
図18を参照)。HAL-G-196-8及びHAL-G-196-9の両方の
1H NMRスペクトルは残留溶媒のシグナルを含む。イオンクロマトグラフィーを使用してサンプルHAL-G-196-8及びHAL-G-196-9におけるアニオン及びカチオンの化学量論的比率を決定し、一臭化水素酸塩の形成を確認した。DSC分析(
図19を参照)の結果、1つの吸熱転移(T=224℃)が同定され、これはサンプルの融解に対応していた。TG分析によって、サンプルの重量減少は明らかにならなかった。臭化水素と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の脱イオン水への見掛けの溶解度は1mg/mL未満であった(表2を参照)。この塩の溶解度が低いことから、更なる開発を実現不能なものと認識した。
【0138】
リン酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の物理的及び化学的な性質の試験
リン酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプル(HAL-G-196-13)を、エタノール媒体からの結晶化を介して得た。X線粉末回折(
図21を参照)に基づいて、塩は個別の結晶相であると同定された。化合物の構造を
1H NMR分光法によって確認した(
図22を参照)。HAL-G-196-13サンプルの
1H NMRスペクトルは、残留溶媒のシグナルを含む。イオンクロマトグラフィーを使用して決定したアニオン及びカチオンの化学量論的比率により、ジヒドロリン酸塩の形成を確認した。DSC分析(
図23を参照)の結果、2つの吸熱転移(溶媒減少に対応する第1の吸熱転移(T=131℃)及びサンプルの融解に対応する第2の吸熱転移(T=235℃))が同定された。TG分析中、3%のサンプル重量減少が観察され、これは、恐らく、残留溶媒量の減少によって引き起こされた(
図24を参照)。HAL-G-196-13サンプルは、恐らく結晶構造中にエタノールを含む溶媒和物であると同定され、これは、X線粉末回折データによって確認された(
図21を参照)。この塩の結晶構造における溶媒含量が高いことから、更なる開発を実現不能なものと認識した。
【0139】
酒石酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の物理的及び化学的な性質の試験
酒石酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプル(HAL-G-196-16)を、エタノール媒体からの結晶化を介して得た。X線粉末回折(
図25を参照)に基づいて、塩は個別の結晶相であると同定された。酒石酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアムとの塩をTHF媒体から結晶化させたときに同じ結晶相が得られた(HAL-G-196-17サンプル)。化合物の構造を
1H NMR分光法によって確認した(
図26を参照)。HAL-G-196-8及びHAL-G-196-9サンプルの
1H NMRスペクトルは、残留溶媒のシグナルを含んでいた。イオンクロマトグラフィーを使用して決定したHAL-G-196-16及びHAL-G-196-17サンプルにおけるアニオン及びカチオンの化学量論的比率により、各サンプルについて一酒石酸塩の形成を確認した。DSC分析(
図27を参照)の結果、溶媒減少及びサンプルの融解に対応する1つの吸熱転移(T=161℃)が同定された。HAL-G-196-16サンプルのTG分析中、温度範囲30〜100℃で0.8%の重量減少、次いで、温度範囲130〜170℃で0.7%の更なる重量減少が観察され、これは、恐らくサンプルの部分的分解に起因していた(
図28を参照)。HAL-G-196-16サンプルは、恐らく結晶構造中にエタノールを含む溶媒和物であると同定され、これは、X線粉末回折データによって確認された(
図25を参照)。この塩の結晶構造における溶媒含量が高いことから、更なる開発を実現不能なものと認識した。
【0140】
メタンスルホン酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の物理的及び化学的な性質の試験
メタンスルホン酸塩と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプル(HAL-G-196-21)を、アセトン媒体からの結晶化を介して得た。X線粉末回折データ(
図29を参照)に基づいて、塩は個別の結晶相であると同定され、これは偏光顕微鏡法によっても確認された(
図30を参照)。メタンスルホン酸塩と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩をTHF媒体(HAL-G-196-20サンプル)及びエタノール媒体(HAL-G-196-19サンプル)から結晶化させたときに同じ結晶相が得られた。化合物の構造を
1H NMR分光法によって確認した(
図31を参照)。イオンクロマトグラフィーを使用してHAL-G-196-19、HAL-G-196-20、及びHAL-G-196-21のサンプルにおけるアニオン及びカチオンの化学量論的比率を決定し、各サンプルについて一メシル酸塩の形成を確認した。これらサンプルのDSC分析(
図32を参照)の結果、サンプルの融解に対応する1つの吸熱転移(T=220℃)が同定された。TG分析中、サンプルの重量減少は観察されなかった。メタンスルホン酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプルの吸湿性の試験は、相対空気湿度90%においてサンプルが2質量パーセント未満の水を吸収したことを示した。メタンスルホン酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の脱イオン水への見掛けの溶解度は46mg/mL超であった(表2を参照)。3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の脱イオン水への平衡溶解度は、HPLC分析によって得られたデータに従って100mg/mL超であった(表3を参照)。温度60℃で7日間サンプルを維持したとき、不純物の含量は一定のままであった(表4を参照)。6日間溶媒(アセトン)で処理した3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の安定性の試験は、サンプルの結晶構造が変化しないままであったことを示した(表5を参照)。したがって、メタンスルホン酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩は、塩形態としての更なる開発のための要件を満たす物理的及び化学的な性質を有していた。
【0141】
4−メチルベンゼンスルホン酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の物理的及び化学的な性質の試験
4−メチルベンゼンスルホン酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプル(HAL-G-196-24)を、アセトン媒体からの結晶化を介して得た。X線粉末回折データ(
図33を参照)に基づいて、塩は個別の結晶相であると同定され、これは偏光顕微鏡法によっても確認された(
図34を参照)。4−メチルベンゼンスルホン酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩をTHF媒体からの結晶化を介して得たときに同じ結晶相が得られた(HAL-G-196-23サンプル)。化合物の構造を
1H NMR分光法によって確認した(
図35を参照)。イオンクロマトグラフィーを使用してHAL-G-196-23及びHAL-G-196-24のサンプルにおけるアニオン及びカチオンの化学量論的比率を決定し、各サンプルについて一トシル酸塩の形成を確認した。HAL-G-196-24サンプルのDSC分析(
図36を参照)の結果、サンプルの融解に対応する1つの吸熱転移(T=184℃)が同定された。TG分析中、サンプルの重量減少は観察されなかった。サンプルの吸湿性の試験は、相対空気湿度90%においてHAL-G-196-24サンプルが4質量パーセント未満の水を吸収したことを示した(
図37を参照)。4−メチルベンゼンスルホン酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の脱イオン水への見掛けの溶解度は1mg/mL未満であった(表2を参照)。4−メチルベンゼンスルホン酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の脱イオン水への平衡溶解度は、HPLC分析によって得られたデータに従って2.2mg/mLであった(表3を参照)。温度60℃で7日間サンプルを維持したとき、不純物の含量は一定のままであった(表4を参照)。6日間溶媒(アセトン)で処理した4−メチルベンゼンスルホン酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の安定性の試験は、サンプルの結晶構造が変化しないままであったことを示した(表5を参照)。したがって、4−メチルベンゼンスルホン酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩は、塩形態としての更なる開発のための要件を満たす物理的及び化学的な性質を有していた。
【0142】
リンゴ酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの物理的及び化学的な性質の試験
リンゴ酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプル(HAL-G-196-25)を、エタノール媒体からの結晶化を介して得た。X線粉末回折(
図38を参照)に基づいて、塩は個別の結晶相であると同定された。リンゴ酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の同じ結晶相が、THF媒体からの結晶化を介して得られた(HAL-G-196-26サンプル)。化合物の構造を
1H NMR分光法によって確認した(
図39を参照)。イオンクロマトグラフィーを使用して決定したサンプルHAL-G-196-19、HAL-G-196-25、及びHAL-G-196-26におけるアニオン及びカチオンの化学量論的比率により、各サンプルについて一リンゴ酸塩の形成を確認した。HAL-G-196-25サンプルの
1H NMRスペクトルは、残留溶媒のシグナルを含む。DSC分析(
図40を参照)の結果、2つの吸熱転移(第1の吸熱転移(T=128℃)は溶媒喪失及びサンプルの融解に対応し、第2の吸熱転移(T=205℃)はその後のサンプルの分解に対応する)が同定された。TG分析中、温度範囲80〜130℃で2%のサンプル重量減少が観察され、これは、恐らく塩の融解中の残留溶媒量の減少に起因していた(
図41を参照)。その後の重量減少は、恐らく、融解したサンプルの分解に関連している。実施した試験に基づいて、HAL-G-196-25サンプルが溶媒和物であることが理解された。この塩の結晶構造における溶媒含量が高いことから、更なる開発を実現不能なものと認識した。
【0143】
フマル酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩(一フマル酸塩)の物理的及び化学的な性質の試験
フマル酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプル(HAL-G-196-28)を、エタノール媒体から得た。X線粉末回折(
図42を参照)に基づいて、塩は個別の結晶相であると同定された。化合物の構造を
1H NMR分光法によって確認した(
図43を参照)。イオンクロマトグラフィーを使用して決定したHAL-G-196-28サンプルにおけるアニオン及びカチオンの化学量論的比率により、一フマル酸塩の形成を確認した。HAL-G-196-28サンプルの
1H NMRスペクトルは、残留溶媒のシグナルを含む。DSC分析(
図44を参照)の結果、溶媒減少及び塩の融解に対応する1つの吸熱転移(T=148℃)が同定され、これは、恐らく部分的なサンプルの分解に付随していた。TG分析中、温度範囲95〜170℃で3.5%のサンプル重量減少が観察され、これは、恐らく塩の融解中の残留溶媒量の減少によって引き起こされた(
図45を参照)。実施した試験に基づいて、HAL-G-196-28サンプルが溶媒和物であることが理解された。この塩の結晶構造における溶媒含量が高いことから、更なる開発を実現不能なものと認識した。
【0144】
フマル酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩(ヘミフマル酸塩)の物理的及び化学的な性質の試験
フマル酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプル(HAL-G-196-29)を、THF媒体からの結晶化を介して得た。X線粉末回折データ(
図42を参照)に基づいて、塩は個別の結晶相であると同定され、これは偏光顕微鏡法によっても確認された(
図46を参照)。アセトン媒体からの結晶化を介して得られたフマル酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプルにおいて同じ結晶相が同定された(HAL-G-196-30サンプル)。化合物の構造を
1H NMR分光法によって確認した(
図43を参照)。イオンクロマトグラフィーを使用して決定したHAL-G-196-29及びHAL-G-196-30サンプルにおけるアニオン及びカチオンの化学量論的比率により、ヘミフマル酸塩の形成を確認した。HAL-G-196-29サンプルのDSC分析(
図44を参照)の結果、溶媒減少及びサンプルの融解に対応する1つの吸熱転移(T=244℃)が同定された。TG分析中、1%のサンプル重量減少が観察され、これは、恐らく残留溶媒量の減少によって引き起こされた(
図45を参照)。フマル酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩のサンプルの吸湿性の試験は、相対空気湿度90%においてサンプルが4質量パーセント未満の水を吸収したことを示した。フマル酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の脱イオン水への見掛けの溶解度は1mg/mL未満であった(表2を参照)。フマル酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の脱イオン水への平衡溶解度は、HPLC分析によって得られたデータに従って7.4×10
−3mg/mLであった(表3を参照)。温度60℃で7日間サンプルを維持したとき、不純物の含量は一定のままであった(表4を参照)。6日間溶媒(アセトン)で処理したときのフマル酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとの塩の安定性の試験は、サンプルの結晶構造が変化しないままであったことを示した(表5を参照)。したがって、フマル酸と3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドとのヘミフマル酸塩は、塩形態として更なる開発のための要件を満たす物理的及び化学的な性質を有していた。
【0145】
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの塩形態同定の結果
要約すると、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの塩形態を同定するための研究の過程で、12個の対イオンを含み4種の異なる溶媒を用いて得られた、様々な塩形態の50を超えるサンプルを試験した。実施した試験は、4種の酸(塩酸、メタンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、及びフマル酸)の塩が、好ましい物理的及び化学的な性質、すなわち、結晶性、遊離塩基と比べて高い水への溶解度、並びに調製時の高い純度、及び温度安定性を有することを示した。更に、これら塩は、低毒性有機溶媒及び容易にスケーリング可能な方法を使用して製造され得、そして、薬理学的に許容し得るアニオンを含み得る。
【0146】
しかし、同定された塩は、驚くべきことに、水への溶解度の観点で顕著な差を示した:例えば、フマル酸塩の溶解度(7.4×10
−3mg/mL)は、遊離塩基の溶解度(2.3×10
−4mg/mL)と同等であったが;一方、4−メチルベンゼンスルホン酸塩(2.4mg/mL)、塩酸塩(37.1mg/mL)、及びメタンスルホン酸塩(100mg/mL超)の溶解度は、遊離塩基の形態の3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの溶解度よりも10,000倍高い溶解度を有していた。しかし、メチルtert−ブチルエーテルを添加することも、溶液を室温未満に更に冷却することもなく、アセトン又はエタノールからの結晶化を介して得られ得るのはメタンスルホン酸塩のみである。
【0147】
したがって、容易にスケーリング可能な方法を使用して低毒性有機溶媒中で得られ得、そして、結晶性を有する薬理学的に許容し得るアニオンを含有し、そして、水への溶解度が高い3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの好ましい結晶性塩形態を、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩として同定した。
【0148】
メタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの同質異像の入手及び説明
【0149】
実施例:
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩を更に研究する目的のために、その調製方法を開発した。方法の開発中、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩が2つの同質異像で存在し得ることを見出した。本発明者らが明らかにしたこれらの相の形成における差は、いくつかの場合、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩をアセトン中で調製したときに沈殿物が自然には形成されなかったと言うことにより要約することができる。より濃縮された溶液から塩が結晶化した際、相の組み合わせ又は任意の個々の相が形成され得ることが見出された。X線粉末回折法を両方の同質異像に適用して、構造の結晶性を調べた。ニッケルフィルタ(CuKα1線、波長=1.5406Å)及びposition-sensitive detector LynxEye(サーベイステップ0.02° 2θ、角度範囲4〜65° 2θ)を備えつけたBragg-BrentanoジオメトリのX線粉末回折計Bruker D8 Advance(アノード電圧40kV、電流40mA)を使用して、25℃(±5℃)及び相対空気湿度 約70%において、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのサンプルのメタンスルホン酸塩のサンプルの回折パターンを得た。得られた回折パターンを、Bruker TOPAS5ソフトウェアパッケージを使用して詳細に試験した。
【0150】
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩(同質異像I)の合成
アセトン(1,050mL、1gあたり20mLの量で)中の3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(53.2g、0.10mol)の懸濁液を沸騰するまで加熱し、そして、激しく撹拌しながら10分間沸騰させた。次いで、混合物の加熱及び撹拌を続けながら、(添加直前に)新たに調製したエタノール200mL中のメタンスルホン酸(10.1g、0.105mol)の溶液(得られる溶液の濃度が0.5mol/Lになるようにエタノールの量を計算する)を一度に添加した。得られた反応混合物を15分間沸騰させ、次いで、速度約10℃/時で20℃まで冷却し、次いで、温度+10℃で12時間放置して、沈殿物を結晶化させ形成させた。沈殿物を濾過によって回収し、アセトン(3×150mL)で洗浄し、そして、温度60℃のキャビネット内で恒量になるまで乾燥した。収率:85〜90%。
【0151】
NMR
1H (500 MHz, DMSO-d
6)スペクトル:2.36-2.45 (m, 1H, H
piperazine), 2.41 (c, 3H, Me), 2.67 (c, 3H, Me), 2.86 (c, 3H, Me), 2.94 (d, J=11.2 Hz, 1H, H
piperazine), 3.08 (t, J=10.7 Hz, 1H, H
piperazine), 2.94 (d, J=10.7 Hz, 1H, H
piperazine), 4.06 (c, 2H, CH
2(benzyl)), 7.24 (t, J=6.8 Hz, 1H, H
(arom.)), 7.53-7.63 (m, 2H, H
(arom.)), 7.73 (d, J=8.6 Hz, 1H, H
(arom.)), 7.96 (d, J=9.2 Hz, 1H, H
(arom.)), 8.03 (dd, J
1=8.6 Hz, J
2=1.6 Hz, 1H, H
(arom.)), 8.12 (d, J=8.6 Hz, 1H, H
(arom.)), 8.25 (c, 1H, H
(arom.)), 8.40 (c, 1H, H
(arom.)), 8.65 (d, J=6.8 1H, H
(arom.)), 10.60 (c, 1H, NH
amide).
質量スペクトル、m/z:533.2263
【0152】
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩(同質異像I)のNMR
1H及び
13Cスペクトルを
図47に示す。
【0153】
メタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像II)の合成
アセトン350mL中の3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(17.73g、0.033mol)の懸濁液を沸騰するまで加熱し、そして、激しく撹拌しながら10分間沸騰させた。次いで、混合物の加熱及び撹拌を続けながら、(添加直前に)新たに調製したエタノール70mL中のメタンスルホン酸(3.36g、0.035mol)の溶液を添加した。反応混合物を15分間沸騰させ、次いで、20℃に冷却したところ;沈殿物は形成されなかった。溶液を低圧で初期容量の半分まで蒸発させ、そして、温度20〜25℃で24時間放置した。形成された沈殿物を濾過によって回収し、アセトン(3×150mL)で洗浄し、そして、温度45℃のキャビネット内で恒量になるまで乾燥した。収率:85〜90%。
【0154】
NMR
1H (500 MHz, DMSO-d
6)スペクトル:2.35-2.43 (m, 1H, H
piperazine), 2.41 (c, 3H, Me), 2.66 (c, 3H, Me), 2.87 (c, 3H, Me), 2.95 (d, J=11.3 Hz, 1H, H
piperazine), 3.10 (t, J=10.5 Hz, 1H, H
piperazine), 2.94 (d, J=10.5 Hz, 1H, H
piperazine), 4.05 (c, 2H, CH
2(benzyl)), 7.26 (t, J=6.9 Hz, 1H, H
(arom.)), 7.52-7.61 (m, 2H, H
(arom.)), 7.73 (d, J=8.6 Hz, 1H, H
(arom.)), 7.96 (д, J=9.1 Hz, 1H, H
(arom.)), 8.03 (dd, J
1=8.6 Hz, J
2=1.6 Hz, 1H, H
(arom.)), 8.12 (d, J=8.6 Hz, 1H, H
(arom.)), 8.27 (c, 1H, H
(arom.)), 8.41 (c, 1H, H
(arom.)), 8.65 (d, J=6.9 1H, H
(arom.)), 10.62 (c, 1H, NH
amide).
質量スペクトル、m/z:533.2268.
【0155】
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩(同質異像I)のNMR
1H及び
13Cスペクトルを
図48に示す。
【0156】
メタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像II)の結晶性の試験
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像I)のメタンスルホン酸塩は、以下の単位格子パラメータを有する個別の結晶相であった:a=51.46±0.05Å;b=7.81±0.05Å及びc=7.63±0.05Å、β=108.9±0.1°、V=2898.9±0.5Å
3。P2
1/n空間群。独立の部分の体積は、1つの式単位に対応していた(
図49aを参照)。サンプルのデバイ粉末図における特徴的な視覚的に識別可能なピークの位置及び強度を表6に示す。メタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像I)の単位格子の独立の部分の概観を
図50aに示す。
【0157】
【表6】
【0158】
塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像I)の結晶性の補助試験
【0159】
サンプルの純度、微結晶のサイズ、試験したサンプルにおける微小応力の存在、及び様々な他の要因が、試験サンプルのデバイ粉末図における特徴的な視覚的に識別可能なピークの位置及び強度に対して著しい影響を生じさせ得ることがよく知られている。デバイ粉末図の種類の特定、特に、特徴的な視覚的に識別可能なピークの位置及び強度の特定のために、塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像I)のサンプルに対して補助試験を実施した。異なるジオメトリのサーベイ(x線透過率及びBragg-Brentanoジオメトリ)を使用して、デバイ粉末図の受領を行った。サンプルのデバイ粉末図における特徴的な視覚的に識別可能なピークの位置及び強度を表7及び8に提示する。
【0160】
【表7】
【0161】
表7に提供されたデータから明らかであるとおり、様々なサーベイジオメトリの使用は、デバイ粉末図におけるピークの位置及び強度に大きな影響を与えない。
【0162】
小さなサイズの微結晶及びサンプルPF114-56-MsOHにおける微小応力の存在は、サンプル番号2とは対照的に、そのX線回折パターンのラインの強力な拡張及びひずみを引き起こす(表8を参照)。更に、サンプル番号3のX線回折パターンは不純物のピークを示し、その体積比(不純物のピークの強度と主な相の強度との間の比に従って評価)は5%になる。
【0163】
【表8】
【0164】
異なるサンプルのX線回折パターンの比較によって、全てのサンプルに特徴的なピークを決定し、そして、ピークの位置及び強度における可能性のあるばらつきを分析することができた(表9を参照)。
【0165】
【表9】
【0166】
X線粉末回折パターンの最も情報価値の高い領域は、2θの低角度領域である。この領域では、反射の位置が著しく異なるが、回折角度の拡大の際にピークの数が増加し、そして、その重複が材料となる。代表的であるとみなすことができる角度領域は、試験した化合物の単位格子パラメータの値に依存し;5〜50A格子パラメータを有する研究された有機化合物については、層間距離範囲3〜30Åを代表的な領域とみなすことができる。このような場合、回折角度範囲は、3〜25° 2θに等しくなる。したがって、塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像I)をキャラクタライズするために、回折角度(2θ)14.5、16.9、17.2、17.4、18.7、20.8、23.2における相対強度20%以上のピークを使用することが可能である。
【0167】
表9に提供されるデータから分かるとおり、回折角度(2θ)14.5、16.9、17.2、17.4、18.7、20.8における全てのピークは、20%よりも高い相対強度を有する。しかし、このようなピークの強度は、サーベイ方法、サンプルの純度、塩結晶のサイズ、サンプルテクスチャリングの効果、及び様々な他のパラメータに本質的に依存して変動し得る。この理由のため、塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像I)のX線回折パターンにおいて、回折角度(2θ)14.5、16.9、17.2、17.4、18.7、20.8、23.2における幾つかのピークは20%未満の強度を与え得る。したがって、塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像I)をキャラクタライズするために、14.5、16.9、17.2、17.4、18.7、20.8、23.2から選択される回折角度(2θ)における相対強度20%以上の2つ、3つ、又は4つのピークを使用することが可能である。
【0168】
塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像I)の異なるサンプルのサーベイ過程で得られるX線回折パターンのピークの分析から、回折角度(2θ)18.7におけるピークが、全ての場合において最大相対強度を有するピークであることが明らかである。したがって、塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像I)をキャラクタライズするために、最大相対強度を有する回折角度(2θ)18.7におけるピークを使用することが可能である。最も強力なピークの位置の観点におけるX線回折パターンのキャラクタライズは常に信頼できるわけではないことに留意することが重要であるが、その理由は、サンプルテクスチャリングに応じて、別のピークが最も強力なものであり得、これは、異なるジオメトリを有する機器によるサーベイ中に同質異像IIについて観察された(以下を参照)。
【0169】
上記所見を考慮して、塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像I)をキャラクタライズするために、表9に提示された回折角度(2θ)におけるピークのフルセットを使用することが可能である:7.2、11.9、12.5、13.4、14.5、16.2、16.9、17.2、17.4、18.7、20.8、21.4、23.2、24.1、24.6、25.4、27.1。
【0170】
サンプルテクスチャリングの効果、微結晶のサイズの変化、及び順序は、ピーク強度に強力な影響を有し得る。これに起因して、観察されるピークの数は顕著に少なくなり得る。代表的なサンプリング調査の広く使用されているルールはみられなかった。1995年の米国薬局方は、X線粉末回折パターンのキャラクタライズの要件について言及している。X線回折パターンを説明するためには、10個の最も強度の高いピークを選択する必要があり、そして、その位置は、±0.20° 2θまでの精度で決定されるべきである。それと共に、サンプリングピークの相対強度の偏差は、20%を超えてはならない。ピーク強度が著しく変動し得るという事実に起因して、塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像I)のキャラクタライズには、以下から選択される回折角度(2θ)における5〜10個の最も強度の高いピークを使用することが合理的であると本発明者らは考える:7.2、11.9、12.5、13.4、14.5、16.2、16.9、17.2、17.4、18.7、20.8、21.4、23.2、24.1、24.6、25.4、27.1。
【0171】
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像II)の塩メタンスルホン酸の結晶性の試験
【0172】
X線粉末回折を使用して、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩(同質異像II)のサンプルの結晶性を試験した。結果は、サンプルが、以下の単位格子パラメータを有する個別の結晶相であることを示した:a=13.77±0.05Å;b=8.09±0.05Å、及びc=30.83±0.05Å、β=117.8±0.1、V=3036.36±0.5Å
3、及びP2
1/c空間群(
図49bを参照)。塩サンプルのデバイ粉末図における特徴的な視覚的に識別可能なピークの位置及び強度を表10に示す。メタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像II)の単位格子の独立の部分の概観を
図50bに示す。
【0173】
【表10】
【0174】
塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像II)の結晶性の補助試験
【0175】
メタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像II)のデバイ粉末図における特徴的な視覚的に識別可能なピークの位置及び強度を特定するために、X線回折分析法によって塩の結晶性の補助試験を実施した。異なるジオメトリのサーベイ(x線透過率及びBragg-Brentanoジオメトリ)を使用して、デバイ粉末図の受領を行った。サンプルのデバイ粉末図における特徴的な視覚的に識別可能なピークの位置及び強度を表11及び12に提示する。
【0176】
【表11】
【0177】
X線回折パターンサンプルの強力なテクスチャリングに起因して、様々なジオメトリの機器における読み出し値は大きく異なる。更に、Bragg-Brentanoジオメトリにおけるサーベイは、ピーク強度を本質的に変化させる。したがって、透過率ジオメトリのサーベイ時には回折角度(2θ)21.2におけるピークが最大相対強度を有するピークであるが、Bragg-Brentanoジオメトリのサーベイ時には、このようなピークの強度は43.7%から最大値までになった。
【0178】
【表12】
【0179】
サンプルA819419におけるデータを得た機器は、0.25° 2θに等しい高い「ゼロ誤差」を有する。X線回折パターンは、ラインの強力な拡張を示すが、拡張に対する機器の寄与は知られていないので、微結晶のサイズを正確に評価することは不可能である。
【0180】
異なるサンプルのX線回折パターンの比較によって、全てのサンプルに特徴的なピークを決定し、そして、ピークの位置及び強度における可能性のあるばらつきを分析することができた(表13を参照)。
11.8;14.6;17.2;17.4;17.6;19.7;21.2;22.0、及び22.6。
【0181】
【表13】
【0182】
同質異像IIの最も強力なピークは、以下の角度値に特徴的である:11.8;14.6;17.2;17.4;17.6;19.7;21.2;22.0、及び22.7。これらピークがX線回折パターンに存在し、そして、その相対強度は10%よりも高い。許容強度の低下は、このような異像がテクスチャリングされやすいという事実によって決定され、したがって、ピークの相対強度の範囲が同質異像Iの場合よりも広い。したがって、塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像II)をキャラクタライズするために、回折角度(2θ)11.8;14.6;17.2;17.4;17.6;19.7;21.2;22.0、及び22.7における相対強度10%以上のピークを使用することが可能である。
【0183】
表13に提供されるデータから分かるとおり、回折角度(2θ)11.8;14.6;17.2;17.4;17.6;19.7;21.2;22.0、及び22.7における全てのピークは、10%よりも高い相対強度を有する。しかし、このようなピークの強度は、サーベイ方法、サンプルの純度、塩結晶のサイズ、サンプルのテクスチャリングの効果、及び様々な他のパラメータに本質的に依存して変動し得る。この理由のため、塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像II)のX線回折パターンにおいて、回折角度(2θ)11.8;14.6;17.2;17.4;17.6;19.7;21.2;22.0、及び22.7における幾つかのピークは10%未満の強度を有し得る。したがって、塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像II)をキャラクタライズするために、11.8;14.6;17.2;17.4;17.6;19.7;21.2;22.0、及び22.7から選択される回折角度(2θ)における相対強度20%以上の3つ、4つ、5つ、又は6つのピークを使用することが可能である。
【0184】
塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像II)の異なるサンプルのサーベイ過程で得られるX線回折パターンのピークの分析から、サーベイパラメータに依存して、最大相対強度が回折角度(2θ)21.3におけるピーク又は回折角度(2θ)17.6におけるピークに属し得ることが明らかである。したがって、メタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像II)をキャラクタライズするために、17.6又は21.2から選択される回折角度(2θ)における最大相対強度を有するピークを使用することが可能である。
【0185】
上記所見を考慮して、塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像II)をキャラクタライズするために、表13に提示される回折角度(2θ)におけるピークのフルセットを使用することが可能である:7.3、11.8、14.6、17.2、17.4、17.6、19.7、21.2、22.0、22.7、26.1。
【0186】
ピーク強度が著しく変動し得るという事実に起因して、塩メタンスルホン酸及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像I)のキャラクタライズには、以下から選択される回折角度(2θ)における4〜8個のピークを使用することが合理的であると本発明者らは考える:7.3、11.8、14.6、17.2、17.4、17.6、19.7、21.2、22.0、22.7、26.1。
【0187】
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド遊離塩基及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドメタンスルホン酸塩の同質異像の溶解動態の試験
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の同質異像の更なる試験中に、遊離塩基及び2つのメタンスルホン酸塩形態の同質異像の溶解の動態を試験した。米国局方装置1バスケット法(USP40、General Chapter <711> Dissolution)、溶解媒体体積:700mL、温度:37±1℃、パドル攪拌機の回転速度:100rpmを使用して溶解動態試験を実施した。試験サンプルの溶解速度は、6回の繰り返しの平均として計算した。3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドメタンスルホン酸塩の同質異像用の溶解媒体として蒸留水を使用し、そして、水500mL中メタンスルホン酸12.2mLの溶液を遊離塩基用の溶解媒体として使用した。3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド100mg又は3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドメタンスルホン酸塩118mg(遊離塩基として計算すると100mg)を含有する試験部分を溶解に使用した。試験開始後780分間(13時間)、調製した溶液のpHを測定した。遊離塩基の溶解を試験するために使用した溶液のpHは、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドメタンスルホン酸塩の同質異像の溶解を試験するために使用した溶液のpH(同質異像IについてはpH5.04、そして、同質異像IIについてはpH4.95)に比べてより酸性であった(pH4.02)。
【0188】
溶解動態試験の結果を
図51に示す。提示されるデータによれば、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩のサンプル中に含有されていた3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの95%が1分間未満で溶液に移動し、そして、該塩の完全な溶解が4分間未満以内に生じる。対照的に、更に780分間(13時間)の溶解期間にわたって遊離塩基の90%未満しかメタンスルホン酸12.2mLを含有する溶液に溶解しなかった。
【0189】
したがって、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の合成及び結晶構造の決定において実施された試験は、この化合物が少なくとも2つの同質異像で存在し得ることを示した。各同質異像は、容易にスケーリング可能な方法を使用して低毒性有機溶媒中で得ることができ、薬理学的に許容し得るアニオンを含有し、結晶性及び水への高い溶解度を有する。両同質異像におけるカチオンの化学構造は、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのカチオンに一致及び対応し、両化合物は、メタンスルホン酸塩であり、そして、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのプロトン化形態及びメシラートアニオンを含有する。両同質異像の3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドは、メチル基を保有しているピペラジン環の窒素原子においてプロトン化される。両同質異像は、溶媒分子を含有しない。同質異像の構造の差は、分子の残りと比較して芳香族複素環の共通の位置に主に関連している(
図50を参照)。
【0190】
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの遊離塩基及びメタンスルホン酸塩の薬物動態特性の試験
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド塩形態の薬物としての適用性を分析するために、その薬物動態特性の試験を実施した。
【0191】
C57BL/6系統のマウスに3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(同質異像I)の遊離塩基を用量50mg/kgで単回投与した後、及びメタンスルホン酸塩を用量59mg/kg(遊離塩基として計算すると50mg/kgと等価)で単回投与した後、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの薬物動態を試験した。試験の結果を、
図52並びに表14及び15に示す。
【0192】
【表14】
【0193】
【表15】
【0194】
薬物動態試験からは予想外の結果が導かれ、遊離塩基の投与後の最高の3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの動物血漿濃度(C
max=1,490ng/mL)は、該塩形態の投与後に特定された最高濃度(C
max=1,099ng/mL)を3分の1超上回っていた。更に、塩形態が遊離塩基よりもはるかに高い溶解速度を有していたという事実にもかかわらず、該塩形態が最高濃度に達するまでの時間(T
max)は、遊離塩基の2倍であった。塩形態の経口投与後の3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの最高血漿濃度が低いにもかかわらず、該塩形態の投与は、より高い物質濃度平均(AUC
t/t)を与える。これら結果は、遊離塩基と塩形態との間の溶解度の差の観点から予想外であるが、その理由は、最高(C
max)及び平均(AUC
t/t)の動物血漿濃度は、典型的には、物質を投与するために使用される塩形態の溶解度と相関するが、一方、最高血漿濃度に達するまでの時間(T
max)は、典型的には、使用される塩形態の溶解速度と逆相関するためである。
【0195】
したがって、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの遊離塩基及びメタンスルホン酸塩の薬物動態パラメータの試験は、その薬物動態プロファイルにおいて著しい差が観察されたが、溶解動態の差に基づいて説明することができるようなものではないという予想外の結果をもたらす。薬物動態特性の差は、処置有効性、投与の安全性、及び/又は薬物候補の他の特性を変化させ得る。開発された3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド塩形態の有用性を更に評価するために、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの遊離塩基及びメタンスルホン酸塩形態の急性毒性及び有効性の試験を実施した。
【0196】
化合物の急性毒性試験実験における遊離塩基及びメタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの安全性の試験
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの遊離塩基及びメタンスルホン酸塩の安全性を試験するために、急性毒性試験を実施した。
【0197】
経口投与経路を使用して2〜3月齢のCD-1系統の雄マウスにおいて3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの遊離塩基及びそのメタンスルホン酸との塩の急性毒性を試験した。各薬物用量試験につき、6匹の動物の群を使用した。この試験は、同じ動物匹数の対照群を含んでおり、この群には、等価な溶媒用量の0.5% メチルセルロース水溶液を投与した。経過観察期間は、28日間であった。実験用マウスの生存率分析によって、Bliss分析を実施し、そして、試験した薬物の致死用量を決定することができた。急性毒性試験の結果、並びに遊離塩基及びメタンスルホン酸塩の半致死用量の計算値を表16に示す。
【0198】
【表16】
【0199】
上に示したデータは、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の半致死用量(LD
50は、試験群の動物の半数を死亡させる用量である)が、遊離塩基の致死用量の約2倍であったことを示す。試験群の動物の90%を死亡させる用量について、同様のより顕著な効果が観察された(表16を参照)。遊離塩基及び塩形態として3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドを投与したところ、いずれも動物の中毒の類似の徴候:呼吸困難、活力低下、逆毛(tumbled fur)、下痢、腹部膨満、一部の動物では局所脱毛が引き起こされたが、物質をメタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの形態で投与したとき、このような作用を発現しない用量は2倍多かった。
【0200】
したがって、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの遊離塩基及びメタンスルホン酸塩の安全性試験は、塩形態が著しく高い安全性を特徴とすることを示す予想外の結果をもたらし、これは、投与時に実験用動物の生体で観察可能な効果を引き起こされない3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの用量(遊離塩基として計算)がより高いことに加えて、遊離塩基と比べて該塩形態の半致死用量(LD
50)がほぼ2倍に増加したことによって示された。3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の好ましい安全性プロファイルによって、この塩形態は、遊離塩基と比べて薬物候補としてより魅力的なものになる。
【0201】
BCR/ABL誘発性慢性骨髄性白血病モデルを使用する3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの遊離塩基及びメタンスルホン酸塩の有効性の試験
慢性骨髄性白血病(CML)の処置についての3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの遊離塩基及びメタンスルホン酸塩の有効性を評価するために、マウスにおけるBCR/ABL誘発性CML様疾患に対する化合物の活性の試験を実施した。この試験では、C57BL/6N系統のマウスを使用した。被験動物に亜致死性線量の放射線を照射し、続いて、レトロウイルス導入に起因してp185-T315I
BCR/ABLを発現するドナーのSca1+骨髄細胞を静脈内移植した。p185-T315I
BCR/ABLを発現する細胞の移植後11日目に処置を開始した。
【0202】
遊離塩基及びメタンスルホン酸塩として経口投与された3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドによる処置の有効性を試験した。処置された動物の平均生存時間に対する3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの遊離塩基(用量50mg/kg)、メタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド(遊離塩基として計算された用量8.5;21;34;及び50mg/kg)の経口投与の効果の試験結果を表17に示す。
【0203】
提示されたデータが示すとおり、遊離塩基及び塩形態として3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドを投与すると、いずれも処置された動物の平均生存時間を増加させる。3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩で処置された動物については、マウスの平均寿命が、投与された塩形態の用量に依存することが観察された。用量40mg/kg(遊離塩基として計算すると34mg/kgと等価)の3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の投与は、50mg/kg 遊離塩基の投与と同じ処置効果を有する。用量59mg/kg(遊離塩基として計算すると50mg/kgと等価)のメタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの投与は、対照群と比べて動物の寿命をほぼ2倍増大させることを保証する。この指標による塩形態の有効性は、遊離塩基よりも大きい。
【0204】
【表17】
【0205】
したがって、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの遊離塩基及びメタンスルホン酸塩の有効性の試験は、塩形態の投与がより有効であったことを示す予想外の結果をもたらし、これは、等価用量の遊離塩基を投与した群と比べて、塩形態を投与した群の動物の平均生存時間がより長いことに現れた。したがって、メタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの有効性がより高いことから、この塩形態は、遊離塩基と比べて薬物候補としてより魅力的なものになる。
【0206】
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の生物活性の試験
本開示の主題である3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩及びその結晶形態の生物活性を様々な実験で試験した。
【0207】
ヒトキナーゼ酵素活性に対する3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の効果の試験
ナノモル濃度範囲の濃度の3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩は、Bcr-Ablチロシンキナーゼを阻害し、この酵素の臨床的に重要な突然変異型を不活化する。Bcr-Ablキナーゼ阻害実験の結果を表18に要約する。3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩による野性型Bcr-Ablの最大半量阻害濃度(IC
50)は、0.49〜3.1nMの範囲であった(3回の独立した実験の結果に基づく)。T315I突然変異を有するBcr-AblのIC
50は、0.78〜21nMの範囲であった(3回の独立した実験の結果に基づく)。
【0208】
【表18】
【0209】
濃度100nMでは、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩は、(試験した337個のキナーゼのうちの)以下のヒトチロシンキナーゼのそれぞれの活性を著しく阻害した(50%超阻害):ABL1、ABL2/ARG、BLK、DDR1、DDR2、EPHA2、EPHA8、EPHB2、FGR、FLT4/VEGFR3、FMS、FRK/PTK5、FYN、HCK、KDR/VEGFR2、LCK、LYN、LYN B、P38a/MAPK14、PDGFRa、PDGFRb、RAF1、RET、RIPK3、ZAK/MLTK。ここで、以下のキナーゼについては、活性の90%超が阻害された:ABL1、ABL2/ARG、DDR1、DDR2、FMS、FRK/PTK5、LCK、LYN、LYN B、PDGFRa、RET。
【0210】
様々な腫瘍細胞株に対する3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の細胞毒性の試験
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩は、フィラデルフィア染色体陽性(Ph+)慢性骨髄性白血病(CML)及びPh+急性リンパ芽球性白血病(ALL)のモデルにおける未成熟リンパ球細胞(T315I突然変異細胞を含む)に対して細胞毒性を示した。実験中、薬物は、ヒト腫瘍細胞株K562(IC
50 8nM)、KCL-22(IC
509nM)、及びBV-173 (IC
50 5nM)(Ph+ CMLモデルを表す)、並びにTom-1(IC
50 5nM)、SupB15(IC
5050nM)細胞株(Ph+ ALLモデルを表す)に対して毒性を示した。
【0211】
また、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩は、マウス造血BaF3系統BCR-ABL遺伝子又はその突然変異型のレトロウイルス導入によって得られたモデル腫瘍細胞株に対して毒性を示した[1]:BaF3/BCR-ABL(IC
50 5nM)、BaF3/BCR-ABL Y253F(IC
50 25nM)、BaF3/BCR-ABL E255K(IC
50 25nM)、BaF3/BCR-ABL F317L(IC
50 250nM)、及びBaF3/BCR-ABL T315I(IC
50 75nM)。
【0212】
また、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩は、急性リンパ芽球性白血病株(CCRF-CEM)、乳がん株(MDA-MB-468)、卵巣がん株(SKOV-3)、及びリンパ腫株(SR、EL4)を含むがこれらに限定されないヒト腫瘍細胞株に対して細胞毒性を示した。
【0213】
異種移植片慢性白血病モデルにおける3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の有効性の試験
K562系統の細胞が皮下移植された無胸腺マウスの異種移植片モデルを使用する試験中に、1日間当たり25及び40mg/kg(対応して、遊離塩基として計算すると21及び34mg/kg)の用量の3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の経口投与の腫瘍サイズに対する効果を評価した。腫瘍のサイズが500mm
3に達した後に療法を開始し、療法期間は14日間であり、経過観察期間は240日間であった。1日間当たり25mg/kg(遊離塩基として計算すると21)の用量で3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩を投与すると、腫瘍サイズが測定不可能なサイズまで減少し、その後、経過観察の35日目の後に増殖した。1日間当たり40mg/kg(遊離塩基として計算すると34)の用量で薬物を投与すると、全てのマウスにおいて240日間の全経過観察期間中に再発することなく腫瘍が消失した。
【0214】
急性白血病モデルにおける3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の有効性の試験
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の有効性を、急性白血病マウスモデルにおいて評価した。病状を誘発するために、急性白血病が誘発されたC57BL/6N系統のマウスから得られた骨髄細胞を使用した。亜致死性線量の放射線の照射後に動物の尾静脈に細胞を注入した。病状誘発後5日目に療法を開始し、そして、2週間継続した。試験結果は、用量40mg/kg(遊離塩基として計算すると34mg/kgと等価)の3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩を経口投与すると、療法を受けなかった対照群と比べて動物の平均生存時間が25%超増大することを示した。
【0215】
腸固形腫瘍モデルにおけるメタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの有効性の試験
メタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの有効性を腸固形腫瘍モデルにおいて試験した。病状を誘発するために、HCT116系統の細胞を使用した。200μL(2.5×10
7細胞/mL)の量の細胞を無胸腺雌マウス(SCID)の右側に皮下注射した。腫瘍が200mm
3のサイズに達した後、全てのマウスを腫瘍サイズによって無作為化し、そして、対照群及び処置群に分配した。用量25mg/kg(遊離塩基として計算すると21mg/kgと等価)の3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の経口投与を無作為化の次の日に開始し、そして、20日間継続した。処置(20日間)の完了時に腫瘍成長阻害の有効性を判定するために、処置/対照群間の平均サイズ比を計算した(% T/C)。試験結果は、用量25mg/kgの薬物を投与すると、ほぼ完全に腫瘍が転移しなかった(T/C<35%)ことを示した。
【0216】
非小細胞肺がんのモデルにおける3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の有効性の試験
無胸腺雄マウスを試験で使用した。ケタミン/キシラジン麻酔下のマウスの左肢に、マトリゲル溶液(BD Pharmingen) 0.2mLと共にA549(1×10
7細胞)を注射した。注射後1週間、腫瘍サイズによって無作為化した処置群及び対照群にマウスを分配した。無作為化の次の日に、用量25mg/kg(遊離塩基として計算すると21mg/kgと等価)の3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の経口投与を開始し、そして、20日間継続した。腫瘍成長阻害の有効性を判定するために、処置/対照群の平均サイズ比を計算した(% T/C)。試験結果は、用量25mg/kgの薬物を投与すると、ほぼ完全に腫瘍が転移しなかった(T/C<35%)ことを示した。
【0217】
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の薬物動態の詳細な試験
ラット及びイヌにおけるメタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの薬物動態の試験中、経口投与後の薬物のバイオアベイラビリティがかなり高いことが見出された:イヌにおけるバイオアベイラビリティは用量範囲2〜22mg/kg(遊離塩基として計算すると2〜19mg/kg)においてF=45.9%〜66.1%。ラットでは、用量範囲5〜80mg/kg(遊離塩基として計算すると4.2〜68mg/kg)においてF=13.8%〜59.5%。
【0218】
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩は、用量範囲5〜50mg/kgでマウスに経口投与した後2〜4時間の期間にわたって吸収され、82ng/mL〜1,099ng/mLの対応する最高濃度に達した。
【0219】
濃度−時間曲線下面積(AUC)は、5mg/kg〜50mg/kgの全用量範囲にわたって、372ng*h/mLから12,104ng*h/mLへと直線的に変化した。用量範囲5〜80mg/kgのメタンスルホナート塩として薬物をラットに経口投与した後、該薬物は、2.3〜5.3時間以内に72ng/mLから1,250ng/の対応する最高濃度に達した。AUCは、5mg/kg〜80mg/kgの全用量範囲にわたって、430ng*h/mLから21,124ng*h/mLへと直線的に変化した。
【0220】
3−(1,2,4−トリアゾール[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドは、用量範囲2〜45mg/kgで3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩をイヌに経口投与した後、消化管から比較的緩徐に吸収され、3〜8.5時間後に31.8〜224ng/mLの範囲の最高血漿濃度に達した。AUCは、2mg/kg〜22mg/kgの全用量範囲にわたって、420ng*h/mLから5,480ng*h/mLへと直線的に変化し、そして、その後の45mg/kgへの用量増加中には変化しなかった(5,173ng*h/mL)。
【0221】
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドは、全身血流からかなり緩徐に排出される;半減期は、イヌでは約7時間、そして、ラット及びマウスでは約3時間である。静脈内投与後のクリアランスはかなり高い:イヌでは2.12L/h/kg、ラットでは1.61L/h/kg。大きな見掛けの体積分布(イヌではVd=14.1L/kg、ラットでは6.16L/kg)は、組織における薬物分布が広範囲に及ぶことを示す。
【0222】
ラット組織における薬物分布の試験によって、肺(血漿よりもおよそ71倍高い)、脾臓(血漿よりも45倍高い)、腎臓(血漿よりも34倍高い)、骨髄(血漿よりも27倍高い)、肝臓(血漿よりも21倍高い)において物質が高濃度であることが明らかになった。脳における3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド曝露濃度は、血漿曝露からおよそ20%になった。
【0223】
3−(1,2,4−トリアゾール[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド代謝は、シトクロム酵素薬を使用する試験によれば、シトクロムP450アイソフォームCYP3A4の関与を含むが、以下のシトクロムP450アイソフォーム:CYP1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6は含まない。ラット、イヌ、及びヒトの場合、肝細胞における3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドの代謝の試験で同様の代謝プロファイルの形成が明らかになり、その中から2つのグルタチオンコンジュゲート、N−デスメチル誘導体及びN−オキシドが同定された。ラット及びイヌの血漿において、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのアミド結合の加水分解から生じるカルボン酸生成物が同定された。動物の血漿におけるこのような代謝物の定量的測定は、代謝物の濃度−時間曲線下面積が3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド自体の曝露の10%を決して超えないことを示した。
【0224】
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の安全性の試験
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド薬物(メシル酸塩の形態)は、イオンhERGチャネルに対する薬物の効果の試験、単回及び反復投与後の薬物毒性の評価、並びに化合物のアレルギー能及び免疫毒性の試験を含む、拡大臨床前安全性評価の対象であった。
【0225】
メシル酸塩の形態の3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミド薬物(0.1〜10μM)は、カリウムhERGチャネルを阻害し、IC
50値は7.8μMであった。
【0226】
急性毒性試験の結果は、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩のLD
10が、マウスについては800mg/kg(遊離塩基として計算すると678mg/kgと等価)であり、そして、ラットについては2,000mg/kg(遊離塩基として計算すると1,695mg/kgと等価)であったことを示した。イヌへの単回投与における薬物のMTDは、45mg/kg(遊離塩基として計算すると38mg/kg)であった。
【0227】
2回の別々の試験のデータに従って、28日間の毎日胃内投与において、ラットにおけるメタンスルホン酸塩及び3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのMTDは、50〜73mg/kg(遊離塩基として計算すると42〜62mg/kg)になり、これは、(用量50mg/kgについての)28日目におけるC
max 661±289ng/mL及びAUC
24 8,596±2,209ng*h/mLに対応していた。
【0228】
アレルギー特性を同定するために以下の方法を使用した:モルモットの全身性アナフィラキシー及び急性皮膚アナフィラキシーモデルを使用するアナフィラキシー誘発活性の評価;経皮及び結膜への薬物適用後のモルモットにおける即時型過敏(ITH)反応及び遅延型過敏(DTH)反応の評価;マウスにおけるDTH反応の評価;マウスにおけるコンカナバリンAに対する炎症反応の試験;好酸球の血球数の測定、食細胞好中球活性に対する効果の評価(ニトロブルー−テトラゾリウム試験(NBT))、並びに該薬物を皮下投与したモルモットモデルを使用する白血球特異的溶解反応シナリオ。3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩は、試験したモデルのいずれにおいても検出可能なアレルギー活性を全く示さなかった。
【0229】
3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩の免疫毒性効果の試験は、マウスへの薬物の単回胃内投与が、対照群と比べて試験動物の血液中の赤血球凝集素及び溶血素のレベルに対して効果を有しないことを示した。該薬物のマウスへの胃内投与(21日間)は、血液中の赤血球凝集素及び溶血素のレベルに対して効果を有しておらず、遅延型過敏試験において効果を有しておらず、ロゼット試験において効果を有しておらず、そして、血液から分離した好中球の食作用活性を変化させなかった。したがって、実施した試験は、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩が毒性免疫効果を有していないことを示した。
【0230】
Ames試験を使用する遺伝子毒性試験の結果、キイロショウジョウバエにおいて誘導された体細胞モザイクの試験、及びマウス骨髄細胞を使用する分裂中期の染色体異常アッセイは、3−(1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イルエチニル)−4−メチル−N−(4−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−トリフルオロメチルフェニル)ベンズアミドのメタンスルホン酸塩が、試験した全ての用量(濃度)においてモデルのいずれにおいても遺伝毒性作用を有していないことを示した。