(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
検出された前記トリガ情報が示すコマンドに応じて、前記アプリケーションプログラムの取得若しくは起動、又は実行中の前記アプリケーションプログラムの終了を制御する制御部をさらに備える
請求項3に記載の受信装置。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本技術の実施の形態について説明する。
【0029】
[放送システムの構成]
図1は、放送システムの構成例を示す図である。
【0030】
放送システム1は、放送装置11、受信装置13、及びコンテンツ配信サーバ18から構成される。
【0031】
放送装置11は、放送局に設置される。放送装置11は、例えば番組やCM等のAVコンテンツを、デジタルテレビジョン放送信号として送信する。デジタルテレビジョン放送信号は、通常放送及びNRT放送として送信するようになされている。
【0032】
通常放送とは、当該放送信号が受信された受信装置13において、リアルタイムでの視聴を前提とした放送である。また、NRT放送とは、リアルタイムでの視聴を前提とせず、AVコンテンツの放送時刻にAVコンテンツを視聴する必要がなく、AVコンテンツをデータとして放送信号により送信するものである。
【0033】
また、放送装置11は、番組等のAVコンテンツの進行に連動して実行させるデータ放送用コンテンツの実行を指示するためのコマンドとしてのトリガ情報を、デジタルテレビジョン放送信号に含めて送信する。このトリガ情報は、コマンドの種類を示す情報の他、データ放送用コンテンツ、すなわち、データ放送用コンテンツの取得先を示す情報などを含む。なお、トリガ情報の詳細については後述する。
【0034】
また、放送装置11は、NRT放送において非リアルタイムに送信されるAVコンテンツのダウンロードに関する情報(以下、ダウンロード情報という)を、AVコンテンツとともに定期的に送信する。なお、ダウンロード情報としては、例えば、前述したNRT-ITがあり、その詳細については後述する。
【0035】
放送装置11から送信されたデジタルテレビジョン放送信号は、中継局12を経由して、受信装置13により受信される。
【0036】
受信装置13は、例えばユーザ宅に設置される。受信装置13は、通常放送のデジタルテレビジョン放送信号を受信した場合、デジタルテレビジョン放送信号から得られるAVコンテンツをディスプレイ13Aに表示させて、視聴させる。
【0037】
また、受信装置13は、AVコンテンツのダウンロード予約を行った場合、予約されたAVコンテンツの放送開始時刻に、NRT放送のデジタルテレビジョン放送信号の受信を開始し、デジタルテレビジョン放送信号から得られるAVコンテンツをストレージ14に記録する。そして、受信装置13は、ストレージ14に記録されたAVコンテンツを読み出して、再生することで、NRT放送により放送されたAVコンテンツを視聴させる。
【0038】
また、受信装置13は、LAN(Local Area Network)15に接続されており、ルータ16を介してインターネット17に接続可能とされる。受信装置13は、デジタルテレビジョン放送信号からトリガ情報が得られた場合、トリガ情報に含まれるデータ放送用コンテンツの取得先に基づいて、インターネット17を介してコンテンツ配信サーバ18に接続し、データ放送用コンテンツを取得する。なお、データ放送用コンテンツは、インターネット17を介して取得する方法に限らず、例えば、デジタルテレビジョン放送信号を復調して得られる多重化ストリームから取得されるようにしてもよい。
【0039】
受信装置13は、取得されたデータ放送用コンテンツに基づいて、AVコンテンツの仮予約の登録を行った後、放送装置11から定期的に送信されるダウンロード情報に基づいて、仮予約されたAVコンテンツの本予約の登録を行う。なお、データ放送用コンテンツ(後述するTDOコンテンツ)を用いたダウンロード予約の詳細については後述する。
【0040】
コンテンツ配信サーバ18は、放送局等に設置される。コンテンツ配信サーバ18は、NRT放送においてダウンロード予約が可能なAVコンテンツのリストを提示するためのデータ放送用コンテンツを生成する。コンテンツ配信サーバ18は、受信装置13からの取得要求に応じて、インターネット17を介してデータ放送用コンテンツを配信する。
【0041】
放送システム1は、以上のように構成される。
【0042】
なお、データ放送用コンテンツは、受信装置13に供給されるアプリケーションプログラムが受信装置13のコンピュータにより実行されることで実現されるので、以下、データ放送用コンテンツを、データ放送用アプリケーションプログラム又はデータ放送用アプリとも称する。
【0043】
[放送装置の構成]
図2は、放送装置の構成例を示す図である。
【0044】
放送装置11は、ビデオエンコーダ31、オーディオエンコーダ32、多重化部33、トリガ生成部34、ダウンロード情報生成部35、及び送出部36から構成される。
【0045】
ビデオエンコーダ31は、前段から入力される番組等のAVコンテンツのビデオストリームを所定の符号化方式に従って符号化し、その結果得られる符号化ビデオストリームを多重化部33に供給する。なお、ビデオエンコーダ31における符号化方式としては、例えば、MPEG2(Moving Picture Experts Group phase 2)方式、H.264方式などがある。
【0046】
オーディオエンコーダ32は、ビデオエンコーダ31に入力されるビデオストリームに対応するオーディオストリームを所定の符号化方式に従って符号化し、その結果得られる符号化オーディオストリームを多重化部33に供給する。なお、オーディオエンコーダ32における符号化方式としては、例えば、AC3(Audio Code number 3)方式、AAC(Advanced Audio Coding)方式などがある。
【0047】
トリガ生成部34は、前段から入力されるAVコンテンツのビデオストリームの進行に合わせてトリガ情報を生成し、多重化部33に供給する。
【0048】
ダウンロード情報生成部35は、ダウンロード予約可能なAVコンテンツに関する情報に基づいて、定期的に、例えばNRT-IT等のダウンロード情報を生成し、多重化部33に供給する。
【0049】
多重化部33には、ビデオエンコーダ31からの符号化ビデオストリーム、オーディオエンコーダ32からの符号化オーディオストリーム、トリガ生成部34からのトリガ情報、及びダウンロード情報生成部35からのダウンロード情報が供給される。
【0050】
多重化部33は、符号化ビデオストリーム及び符号化オーディオストリームを多重化し、さらに、トリガ情報も多重化し、その結果得られる多重化ストリームを送出部36に供給する。具体的には、例えば、TS(トランスポートストリーム)に多重化する。あるいは、デジタルテレビジョン放送のネットワーク配信を考慮して、それに適したISO ベースメディアファイルフォーマット(MP4)に多重化するようにしてもよい。
【0051】
また、多重化部33は、ダウンロード情報生成部35からダウンロード情報が供給された場合、ダウンロード情報を、多重化ストリームに多重化する。
【0052】
送出部36は、多重化部33から供給される多重化ストリームをデジタルテレビジョン放送信号として送出する。
【0053】
放送装置11は、以上のように構成される。
【0054】
[受信装置の構成]
図3は、受信装置の構成例を示す図である。
【0055】
受信装置13は、チューナ51、多重分離部52、ビデオデコーダ53、ビデオ出力部54、オーディオデコーダ55、オーディオ出力部56、トリガ検出部57、制御部58、メモリ59、操作部60、通信I/F61、キャッシュメモリ62、アプリエンジン63、ダウンロード情報検出部64、及びダウンロード予約部65から構成される。
【0056】
チューナ51は、ユーザによって選局されたチャンネルに対応するデジタルテレビジョン放送信号を受信して復調し、その結果得られる多重化ストリームを多重分離部52に供給する。
【0057】
多重分離部52は、チューナ51から供給される多重化ストリームを分離し、分離された符号化ビデオストリーム及び符号化オーディオストリームをそれぞれ、ビデオデコーダ53及びオーディオデコーダ55に供給する。また、多重化ストリームとともに送信されたトリガ情報又はダウンロード情報が検出された場合、トリガ情報をトリガ検出部57に、ダウンロード情報をダウンロード情報検出部64にそれぞれ供給する。
【0058】
ビデオデコーダ53は、多重分離部52からの符号化ビデオストリームを復号し、その結果得られるビデオ信号をビデオ出力部54に供給する。
【0059】
ビデオ出力部54は、ビデオデコーダ53から供給されるビデオ信号を後段(例えば、ディスプレイ13A)に出力する。また、ビデオ出力部54は、アプリエンジン63から供給されるデータ放送用アプリケーションプログラム(以下、データ放送用アプリという)のビデオ信号と、ビデオデコーダ53から供給されるビデオ信号を合成して、後段に出力する。
【0060】
オーディオデコーダ55は、多重分離部52からの符号化オーディオストリームを復号し、その結果得られるオーディオ信号をオーディオ出力部56に供給する。
【0061】
オーディオ出力部56は、オーディオデコーダ55から供給されるオーディオ信号を後段(例えば、スピーカ)に出力する。
【0062】
トリガ検出部57は、多重分離部52により分離される多重化ストリームからトリガ情報を検出し、制御部58に供給する。
【0063】
制御部58は、メモリ59に記録されている制御用プログラムを実行することにより、受信装置13の各部の動作を制御する。また、制御部58は、トリガ検出部57から供給されるトリガ情報に基づいて、データ放送用アプリの取得、起動、イベント発火、休止、終了等を制御する。
【0064】
操作部60は、ユーザからの各種の操作を受け付けて、それに対応する操作信号を制御部58に通知する。
【0065】
通信I/F61は、アプリエンジン63からの制御に従い、インターネット17を介してコンテンツ配信サーバ18に接続する。アプリエンジン63は、制御部58からの制御に従い、通信I/F61及びインターネット17を介してコンテンツ配信サーバ18からデータ放送用アプリを取得し、キャッシュメモリ62に保持させる。
【0066】
アプリエンジン63は、制御部58からの制御に従い、キャッシュメモリ62に保持されているデータ放送用アプリを読み出して実行する。
【0067】
ダウンロード情報検出部64は、多重分離部52により分離される多重化ストリームからダウンロード情報を検出し、制御部58に供給する。
【0068】
制御部58は、ダウンロード情報検出部64から供給されるダウンロード情報の解析を行い、その解析結果をメモリ59に記録する。
【0069】
ダウンロード予約部65は、制御部58からの制御に従い、AVコンテンツのダウンロード予約に関する処理を行う。ダウンロード予約部65は、仮予約登録部71及び本予約登録部72から構成される。
【0070】
仮予約登録部71は、制御部58からの制御に従い、データ放送用アプリの実行により選択される所望のAVコンテンツを仮予約として登録する。
【0071】
本予約登録部72は、制御部58からの制御に従い、制御部58により解析されたダウンロード情報に含まれるAVコンテンツの識別子と、仮予約登録部71により仮予約されたAVコンテンツの識別子が一致する場合、仮予約されたAVコンテンツを本予約として登録する。
【0072】
ダウンロード予約部65は、本予約登録されたAVコンテンツの予約開始時刻になった場合、チューナ51を制御して、所定のチャンネルのAVコンテンツのダウンロードを行う。チューナ51により受信され、復調された多重化ストリームは、多重分離部52により分離され、ストレージ14に記録される。なお、AVコンテンツがインターネット17に接続された配信用のサーバから取得される場合、ダウンロード予約部65は、本予約登録されたAVコンテンツの予約開始時刻になった場合、通信I/F61を制御して、所定のチャンネルのAVコンテンツのダウンロードを行う。通信I/F61により受信されたAVコンテンツは、ストレージ14に記録される。
【0073】
ストレージ14に記録されたAVコンテンツの再生が指示された場合、ビデオデコーダ53は、ストレージ14に記録された符号化ビデオストリームを読み出して復号し、その結果得られるビデオ信号を、ビデオ出力部54を介して後段に出力する。また、オーディオデコーダ55は、ストレージ14に記録された符号化オーディオストリームを読み出して復号し、その結果得られるオーディオ信号を、オーディオ出力部56を介して後段に出力する。
【0074】
受信装置13は、以上のように構成される。
【0075】
[NRT放送の詳細]
次に、NRT放送の詳細について説明する。NRT放送においては、ユーザが個々のAVコンテンツを選択した後、受信し蓄積する方式(以下、Pull型NRT放送という)と、ユーザが特定のAVコンテンツの集合を視聴する登録を行った上で、受信装置13がこれらのAVコンテンツを自動的に受信して蓄積する方式(以下、Push型NRT放送という)の2つの方式がある。
【0076】
ここでは、Pull型NRT放送について説明する。
【0077】
図4は、NRT放送及び通常放送を含む放送波の信号におけるプロトコルスタックを示す図である。
【0078】
図4に示すように、最も下位の階層は、Physical Layer(物理層)とされ、当該チャンネルのために割り当てられた放送波の周波数帯域がこれに対応する。Physical Layerに隣接する上位の階層は、TS(トランスポートストリーム)とされる。
【0079】
TSにおいては、上位の階層のパケットが、トランスポートパケットと呼ばれる固定長のパケットに分割されて伝送され、このトランスポートパケットの連続が、トランスポートストリームとなる。すなわち、1つの放送チャンネルに対応する周波数帯域において伝送される信号は、全てその放送チャンネルに対応するヘッダ情報などを有するトランスポートパケットにより伝送される。
【0080】
トランスポートストリームに隣接する上位の階層は、Section又はPES(Packetized Elementary Stream)とされる。例えば、通常放送のAVコンテンツのように、リアルタイムで再生されるデータは、PESのパケットとして伝送される。また、ファイル転送のデータ、制御情報のデータなどは、Sectionのパケットとして伝送される。
【0081】
図4に示すように、PESのパケットの種類に対応して、Caption Coding,Audio Coding,及びVideo CodingがPESの上位階層として規定される。Caption Codingは、画像の字幕に関するデータが格納されるパケットであり、Audio Codingは、音声データが格納されるパケットであり、Video Codingは、画像データが格納されるパケットとされる。
【0082】
Sectionに隣接する上位階層として、PSIP及びPSIが規定される。PSIP(Program and System Information Protocol)は、VCT,NRT-ITなどを有する階層とされる。このPSIPのデータは、VCT,NRT-ITなどを含んで構成され、受信装置13により定期的に受信されるようになされている。PSI(Program Specific Information)は、PAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)などを有する階層とされる。
【0083】
また、Sectionに隣接する上位階層として、DSM-CC(Digital Storage Media Command and Control)が表示されている。DSM-CCは、放送ストリームのMPEG2-TS上でIPパケットを伝送するためのアダプテーションレイヤーとして用いられる。なお、DSM-CCは、ISO規格として規定される。
【0084】
DSM-CCに隣接する上位階層として、Interactive Data Codingが表示される。Interactive Data Coding,Caption Coding,Audio Coding,及びVideo Codingに格納されるデータにより、ストリーミング放送が実現される。すなわち、これらのデータを受信することで、通常放送の番組を受信して再生することができる。
【0085】
また、DSM-CCに隣接する上位階層として、IPが表示される。ここで表示されるIPは、TCI/IPのプロトコルスタックにおけるIPと同じものであり、IPアドレスによりIPパケットが特定される。NRT放送は、IPパケットを用いて構成されるようになされている。勿論、NRT放送は、通信ではなく、放送として提供されるものであるから、本来、通信プロトコルであるTCI/IPのプロトコルスタックを用いる必要はないが、AVコンテンツのダウンロードを行うにあたり、形式的にIPパケットが用いられる。
【0086】
IPに隣接する上位階層は、UDPとされ、その上位階層としてFLUTE/ALC(Asynchronous Layered Coding Protocol)/LCT(Layered Coding Transport (Building Block))が表示される。すなわち、NRT放送においては、TCP/IP通信におけるUDPのポートが指定されたパケットが送信され、例えば、FLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)によるセッションが確立されるようになされている。なお、FLUTEの詳細は、RFC3926として規定されている。
【0087】
図5は、NRT-ITの例を示す図である。
【0088】
NRT-IT(NRT Information Table)は、受信装置13において、各チャンネルにおいて放送されるNRT放送のAVコンテンツのそれぞれを識別可能とするための記述子により構成されるテーブルである。
【0089】
図5に示すように、NRT-ITには、AVコンテンツ単位の記述領域に、各AVコンテンツのダウンロードに関する情報が記述される。
図5の例では、Content#1,Content#2,・・・,Content#Nごとに、その記述領域に、Content ID,Distribution start/end,Content name,Content URL等の情報が記述される。
【0090】
Content IDは、AVコンテンツを識別するためのIDが記述される。このIDは、所定の文字や数値などにより記述される。
【0091】
Distribution start/endは、AVコンテンツの配信スケジュールに関する情報が記述される。配信スケジュールとしては、AVコンテンツの放送開始時刻及び放送終了時刻を表す情報が記述される。なお、AVコンテンツは、NRT放送のAVコンテンツであるため、放送開始時刻及び放送終了時刻により、AVコンテンツを視聴可能な時間が表されるものではなく、AVコンテンツのダウンロードを開始すべき時刻及び終了すべき時刻が表される。
【0092】
Content nameは、AVコンテンツの名称に関する情報が記述される。この名称としては、例えば、AVコンテンツのタイトルが文字列や数値などにより記述される。
【0093】
Content URLは、AVコンテンツが配置されている場所を特定するためのURL(Uniform Resource Locator)に関する情報が記述される。
【0094】
このように、NRT-ITの記述領域には、Content IDにより識別されるAVコンテンツに関する情報として、Distribution start/end,Content name,Content URLが記述され、これらの情報が記述されたNRT-ITがダウンロード情報として送信される。
【0095】
なお、NRT-ITの記述領域には、例えば、AVコンテンツのバージョンや有効期限に関する情報などを記述することもできる。
【0096】
NRT-ITは、以上のように構成される。
【0097】
なお、このNRT-ITに関しては、例えば、本出願人による出願である特許文献1(特開2011−41242号公報)に記載されている。
【0098】
[トリガ情報の詳細]
次に、トリガ情報の詳細について説明する。トリガ情報は、データ放送用アプリを制御するための情報である。このトリガ情報には、例えば、プリキャッシュ、エクスキュート、インジェクトイベント、サスペンド、及びターミネートのコマンドが含まれる。
【0099】
プリキャッシュコマンド(Pre-cache)は、データ放送用アプリの取得を指示するためのコマンドである。また、エクスキュートコマンド(Execute)は、データ放送用アプリの起動を指示するためのコマンドである。さらに、インジェクトイベントコマンド(Inject_event)は、実行中のデータ放送用アプリにおいてイベントを引火させるためのコマンドである。
【0100】
サスペンドコマンド(Suspend)は、実行中のデータ放送用アプリを休止させるためのコマンドである。また、ターミネートコマンド(Terminate)は、実行中のデータ放送用アプリを終了させるためのコマンドである。
【0101】
図6は、プリキャッシュ、エクスキュート、インジェクトイベント、サスペンド、及びターミネートの各コマンドに応じて受信装置13にて動作するデータ放送用アプリの状態遷移図である。
【0102】
図6に示すように、データ放送用アプリの状態は、終了状態(Stopped)、準備状態(Ready)、実行中状態(Active)、又は休止状態(Suspended)の4種類のうちのいずれかに遷移していると定義される。
【0103】
終了状態は、データ放送用アプリが受信装置13に未取得である状態を指す。準備状態は、そのデータ放送用アプリが受信装置13に取得済みであって起動されていない状態を指す。実行中状態は、データ放送用アプリが起動されて実行中である状態を指す。休止状態は、データ放送用アプリの実行が中断され、その中断したときの状態を示す情報が退避メモリに保持されている状態を指す。
【0104】
データ放送用アプリが終了状態に遷移しているとき(受信装置13に未取得のとき)、プリキャッシュコマンドのトリガ情報が受信され、プリキャッシュコマンドに従ってそのデータ放送用アプリが取得されると、準備状態に遷移する。
【0105】
データ放送用アプリが準備状態であるとき、エクスキュートコマンドのトリガ情報が受信され、エクスキュートコマンドに従ってそのデータ放送用アプリが起動されると、実行中状態に遷移する。
【0106】
また、データ放送用アプリが終了状態に遷移しているとき(受信装置13に未取得のとき)、エクスキュートコマンドのトリガ情報が受信され、エクスキュートコマンドに従ってそのデータ放送用アプリが取得されて起動されると、実行中状態に遷移する。
【0107】
データ放送用アプリが実行中状態に遷移しているとき、サスペンドコマンドのトリガ情報が受信され、サスペンドコマンドに従って実行中のデータ放送用アプリが中断されると休止状態に遷移する。
【0108】
データ放送用アプリが休止状態に遷移しているとき、エクスキュートコマンドのトリガ情報が受信され、エクスキュートコマンドに従って、中断されていたデータ放送用アプリが再開されると、実行中状態に遷移する。
【0109】
データ放送用アプリが準備状態、実行中状態、又は休止状態に遷移しているとき、ターミネートコマンドのトリガ情報が受信され、ターミネートコマンドに従って、実行中のデータ放送用アプリが終了されると、終了状態に遷移する。
【0110】
データ放送用アプリは、以上のようにその状態が遷移する。
【0111】
図7は、トリガ情報をTSに多重化する場合を示している。
【0112】
この場合、
図7のAに示すように、TSのPMT(Program Map Table) descriptorに、トリガ情報のdescriptorを定義し、
図7のBに示すようにトリガ情報が記述される。具体的には、
図7のBにおけるdescriptor_length以降の位置に、トリガ情報のシンタックスが記述される。
【0113】
なお、PMT descriptorでなく、例えば、SIT(selection information table) descriptorにトリガ情報のdescriptorを定義するようにしてもよい。
【0114】
図8は、トリガ情報がデジタルテレビジョン放送信号のTSのPCR(Program Clock Reference)パケットに配置されて送信される場合の概念を示している。
【0115】
図8に示すように、トリガ情報は全てのPCRパケットに格納されるわけではなく、AVコンテンツと連動させる適切なタイミングにおいてのみ、PCRパケットに格納される。PCRパケットは、TSパケットのadaptation_fieldにPCRが格納されたものであり、トリガ情報は、PCRの後に続くtransport_private_data_byteに格納される。
【0116】
なお、
図7及び
図8においては、トリガ情報をTSに多重化して伝送する例と、PCRに格納して伝送する例を示したが、トリガ情報の格納、及び伝送方法としてはこれに限定されるものではない。例えば他にトリガ情報を映像情報そのものに埋め込んでもよい。また、トリガ情報のコマンドとして、プリキャッシュ、エクスキュート、インジェクトイベント、サスペンド、及びターミネートを一例に説明したが、それ以外のコマンドを用いることも可能である。
【0117】
また、このトリガ情報に関しては、例えば、本出願人による出願である特願2011−041801号(出願日:平成23年2月28日)に記載されている。
【0118】
[AVコンテンツ送信処理の流れ]
次に、
図9のフローチャートを参照して、放送装置11により行われるAVコンテンツ送信処理について説明する。
【0119】
ステップS11において、ビデオエンコーダ31は、前段から入力される番組等のAVコンテンツのビデオストリームを符号化し、その結果得られる符号化ビデオストリームを多重化部33に供給する。
【0120】
ステップS12において、オーディオエンコーダ32は、前段から入力されるオーディオストリームを符号化し、その結果得られる符号化オーディオストリームを多重化部33に供給する。
【0121】
ステップS13において、トリガ生成部34は、トリガ情報を送信するか否かを判定する。ステップS13において、トリガ情報を送信すると判定された場合、処理は、ステップS14に進む。
【0122】
ステップS14において、トリガ生成部34は、前段から入力されるAVコンテンツのビデオストリームの進行に対応させたトリガ情報を生成する。一方、ステップS13において、トリガ情報を送信しないと判定された場合、ステップS14をスキップして、処理は、ステップS15に進む。
【0123】
ステップS15において、ダウンロード情報生成部35は、NRT-IT(ダウンロード情報)を送信するか否かを判定する。ステップS15において、NRT-ITを送信すると判定された場合、処理は、ステップS16に進む。
【0124】
ステップS16において、ダウンロード情報生成部35は、ダウンロード予約可能なAVコンテンツに関する情報に基づいて、NRT-ITを生成する。一方、ステップS16において、NRT-ITを送信しないと判定された場合、ステップS16をスキップして、処理は、ステップS17に進む。
【0125】
ステップS17において、多重化部33は、多重化ストリームを生成し、送出部36に供給する。
【0126】
すなわち、多重化部33においては、符号化ビデオストリーム及び符号化オーディオストリームが多重化されるとともに、トリガ情報を送信する場合にはトリガ情報も多重化され、さらに、NRT-ITを送信する場合にはNRT-ITも多重化される。
【0127】
ステップS18において、送出部36は、多重化部33から供給された多重化ストリームをデジタルテレビジョン放送信号として送出する。その後、処理はステップS11に戻り、前述したそれ以降の処理が繰り返される。
【0128】
以上のように、放送装置11においては、AVコンテンツの送信が行われるに際して、所定のタイミングで、トリガ情報又はNRT-ITが生成され、AVコンテンツとともに送信される。
【0129】
[AVコンテンツ受信処理の流れ]
次に、
図10及び
図11を参照して、受信装置13により行われるAVコンテンツ受信処理について説明する。
【0130】
ステップS31において、チューナ51は、ユーザにより選局されたチャンネルに対応するデジタルテレビジョン放送信号を受信して復調し、多重分離部52に供給する。
【0131】
ステップS32において、多重分離部52は、チューナ51からの多重化ストリームを分離し、分離された符号化ビデオストリーム及び符号化オーディオストリームを、ビデオデコーダ53及びオーディオデコーダ55に供給する。また、多重分離部52は、多重化ストリームとともに送信されたトリガ情報又はNRT-ITが検出された場合、トリガ情報をトリガ検出部57に、NRT-ITをダウンロード情報検出部64にそれぞれ供給する。
【0132】
ステップS33において、ビデオデコーダ53は、多重分離部52により分離された符号化ビデオストリームを復号し、その結果得られるビデオ信号を、ビデオ出力部54を介してディスプレイ13Aに出力する。
【0133】
ステップS34において、オーディオデコーダ55は、多重分離部52により分離された符号化オーディオストリームを復号し、その結果得られるオーディオ信号を、オーディオ出力部56を介してスピーカ(不図示)に出力する。
【0134】
これにより、放送装置11から送信されてくるAVコンテンツが受信され、ユーザにより視聴される。
【0135】
ステップS35において、トリガ検出部57は、多重分離部52により分離される多重化ストリームからトリガ情報が検出されたか否かを判定する。
【0136】
ステップS35において、トリガ情報が検出されたと判定された場合、処理は、ステップS36に進む。ステップS36において、制御部58は、検出されたトリガ情報の示すコマンドを解析する。
【0137】
ステップS37において、制御部58は、解析されたコマンドがプリキャッシュであるか否かを判定する。ステップS37において、コマンドがプリキャッシュであると判定された場合、処理は、ステップS38に進む。
【0138】
ステップS38において、アプリエンジン63は、制御部58からの制御に従い、当該トリガ情報のApp_idにより特定されるデータ放送用アプリとして、TDOコンテンツのデータを取得する。このTDOコンテンツは、コンテンツ配信サーバ18から取得され、キャッシュメモリ62に保持される。なお、App_idは、当該トリガ情報に対応して取得すべきデータ放送用アプリの識別情報である。
【0139】
続いて、ステップS39において、コマンドがエクスキュートであるか否かを判定する。例えば、解析されたコマンドがプリキャッシュである場合(ステップS39の「No」)、処理は、ステップS31に戻り、前述した処理が繰り返される。そして、再度、トリガ情報が検出され(ステップS35の「Yes」)、コマンドがエクスキュートであると判定された場合(ステップS39の「Yes」)、処理は、ステップS40に進む。
【0140】
ステップS40において、アプリエンジン63は、制御部58からの制御に従い、App_idにより特定されるデータ放送用アプリとして、キャッシュメモリ62に保持されたTDOコンテンツを起動する。
【0141】
なお、アプリエンジン63は、App_idにより特定されるデータ放送用アプリのプログラムデータが未取得(キャッシュメモリ62に存在しない)の場合には、それを取得してから起動する。また、アプリエンジン63は、現在実行中のデータ放送用アプリがあるならば、それを終了させてから、起動する。
【0142】
ステップS41において、アプリエンジン63は、TDOコンテンツに、仮予約可能なAVコンテンツのダウンロードに関する情報(以下、仮予約ダウンロード情報という)が含まれるか否かを判定する。TDOコンテンツには、例えば、
図12に示す仮予約ダウンロード情報が記述される。
【0143】
図12は、TDOコンテンツの構成例を示す図である。
【0144】
図12に示すように、TDOコンテンツは、HTML(HyperText Markup Language)により記述される。
【0145】
tdo要素の開始タグと終了タグの間には、1以上のitems要素が記述される。各item要素は、content name要素,content ID要素,content url要素から構成される。
【0146】
content name要素は、AVコンテンツの名称を記述するための要素であり、
図12の例では、「sportsnews10thApril」が記述されている。
【0147】
content ID要素は、AVコンテンツを識別するIDを記述するための要素であり、
図12の例では、「01234567」が記述されている。
【0148】
content url要素は、AVコンテンツの配置されている場所を特定するURLを記述するための要素であり、
図12の例では、「http://www.abc.com/NRT/sportsnews/940822.mp4」が記述されている。
【0149】
このように、TDOコンテンツには、仮予約可能なAVコンテンツを識別するための仮予約ダウンロード情報として、AVコンテンツごとに、ID、名称、及びURLが記述される。
【0150】
なお、
図12の例では、1つのAVコンテンツの仮予約ダウンロード情報を代表して記述したが、2以上の仮予約可能なAVコンテンツがある場合には、それに応じた仮予約ダウンロード情報がitems要素により記述される。また、仮予約ダウンロード情報には、AVコンテンツを一意に識別可能な情報が含まれていればよいので、ID、名称、又はURLの全ての情報が含まれている必要はなく、また、それ以外の他の識別情報を用いてもよい。また、tdo要素やitems要素のタグ以外の他のタグを用いてもよい。
【0151】
図10のフローチャートに戻り、ステップS41において、仮予約ダウンロード情報が含まれると判定された場合、処理は、ステップS42に進む。ステップS42において、アプリエンジン63は、仮予約ダウンロード情報をビデオ出力部54に供給し、ディスプレイ13Aに表示させる。例えば、
図13に示すような、仮予約可能なAVコンテンツのリストがディスプレイ13Aに表示される。
【0152】
図10のフローチャートに戻り、ステップS43において、制御部58は、ユーザによる操作部60の操作に基づいて、所望のAVコンテンツが選択されたか否かを判定する。ステップS43において、所望のAVコンテンツが選択されたと判定された場合、処理は、
図11のステップS44に進む。
【0153】
一方、ステップS43において、所望のAVコンテンツが選択されなかったと判定された場合、処理は、ステップS31に戻り、前述した処理が繰り返される。なお、トリガ情報が検出されなかった場合(ステップS35の「No」)、あるいはTDOコンテンツに仮予約ダウンロード情報が含まれていない場合(ステップS41の「No」)、所望のAVコンテンツの選択が行われないため、処理はステップS31に戻り、前述した処理が繰り返される。
【0154】
図11のステップS44において、制御部58は、AVコンテンツとともに定期的に送信されるNRT-ITがメモリ59に記録されているか否かを判定する。ステップS44において、NRT-ITが記録されていないと判定された場合、処理は、ステップS45に進む。例えば、放送装置11から定期的に送信されるNRT-ITが、電波障害や受信装置13における取りこぼし(受信ミス)などにより受信されなかった場合、放送装置11には、古いNRT-ITが記録されたままになる。
【0155】
ステップS45において、仮予約登録部71は、制御部58からの制御に従い、選択された所望のコンテンツの仮予約の登録を行う。なお、この時点では、予約は仮のものであるため、仮予約登録は、確実にダウンロードが行われることを保障するものではない。
【0156】
そして、受信装置13では、放送装置11から新たなNRT-ITが送信された場合、NRT-ITが受信され、ダウンロード情報検出部64により検出される(ステップS46)。ステップS47において、制御部58は、新たに受信されたNRT-ITの解析を行う。
【0157】
ステップS48において、制御部58は、新たに受信されたNRT-ITの解析結果に基づいて、NRT-ITに含まれるAVコンテンツの識別子と、仮予約されたAVコンテンツの識別子が一致するか否かを判定する。
【0158】
この判定処理では、例えば、NRT-IT(ダウンロード情報)に記述されたContent ID(
図5)と、TDOコンテンツ(仮予約ダウンロード情報)のcontent ID要素に記述された仮予約されたAVコンテンツのID(
図12)が一致するか否かが判定される。また、Content IDに限らず、
図5のNRT-ITと、
図12のTDOコンテンツで共通の情報となる、Content name,Content URL等の他の識別情報を用いた判定処理を行ってもよい。
【0159】
ステップS48において、識別子が一致すると判定された場合、処理は、ステップS49に進む。
【0160】
ステップS49において、制御部58は、仮予約されたAVコンテンツがダウンロード及び視聴可能であるか否かを判定する。ステップS49において、仮予約されたAVコンテンツがダウンロード及び視聴可能であると判定された場合、処理は、ステップS50に進む。
【0161】
ステップS50において、本予約登録部72は、制御部58からの制御に従い、仮予約されたAVコンテンツを、本予約として登録する。
【0162】
すなわち、NRT-ITが記録されていない場合、一旦、選択された所望のAVコンテンツを仮予約として登録しておく。そして、新たにNRT-ITを受信した場合に、そのNRT-ITに含まれるAVコンテンツの識別子と、仮予約された所望のAVコンテンツの識別子が一致する場合には、仮予約された所望のAVコンテンツを本予約として登録する。
【0163】
また、ステップS44において、NRT-ITが記録されていると判定された場合、処理は、ステップS47に進む。そして、ステップS47において、制御部58は、記録されているNRTを解析し、その解析結果に基づいて、そのNRT-ITに含まれるAVコンテンツの識別子と、選択された所望のAVコンテンツの識別子が一致するか否かを判定する(ステップS48)。ステップS48において、AVコンテンツの識別子が一致すると判定された場合、処理は、ステップS49に進む。
【0164】
そして、当該AVコンテンツがダウンロード及び視聴可能である場合(ステップS49の「Yes」)、ステップS50において、本予約登録部72は、制御部58からの制御に従い、選択された所望のAVコンテンツを、本予約として登録する。
【0165】
すなわち、NRT-ITが記録されている場合、選択された所望のAVコンテンツを仮予約の登録をせずに、そのAVコンテンツの識別子が、NRT-ITに含まれるAVコンテンツの識別子と一致する場合には、直ちに、そのAVコンテンツを本予約として登録する。
【0166】
なお、ステップS48において、NRT-ITに含まれるAVコンテンツの識別子と、当該AVコンテンツの識別子が一致しないと判定された場合、処理は、ステップS51に進む。ステップS51において、制御部58は、AVコンテンツが仮予約済みであるか否かを判定する。ステップS51において、AVコンテンツが仮予約されていないと判定された場合、仮予約登録部71は、制御部58からの制御に従い、AVコンテンツの仮予約登録を行う(ステップS52)。一方、ステップS51において、AVコンテンツが仮予約されていると判定された場合、ステップS52をスキップして、処理は、ステップS53に進む。そして、受信装置13では、放送装置11から新たなNRT-ITが送信された場合、NRT-ITが受信される(ステップS53)。
【0167】
ステップS54において、制御部58は、仮予約登録(ステップS45)が行われた場合には、その仮予約登録が行われた後、一定時間が経過したか否かを判定する。ステップS54において、一定時間を経過していないと判定された場合、処理は、ステップS47に戻り、再度、当該AVコンテンツの識別子が、新たに受信されたNRT-ITに含まれるAVコンテンツの識別子と比較されることになる。
【0168】
一方、ステップS54において、一定時間が経過したと判定された場合、仮予約登録は無効とみなされて解除され、処理は、ステップS55に進む。ステップS55において、制御部58は、アプリエンジン63を制御して、ダウンロード不可である旨を示すメッセージを、ディスプレイ13Aに表示させる。
【0169】
また、例えば、AVコンテンツを記録するために必要な容量がストレージ14に不足している場合など、ステップS49において、当該AVコンテンツがダウンロード及び視聴可能ではないと判定された場合も同様に、ダウンロード不可である旨を示すメッセージが表示される。なお、ストレージ14の容量不足が解消した場合には、本予約登録が行われるようにしてもよい。
【0170】
ステップS55の処理が終了すると、
図10及び
図11のコンテンツ受信処理は終了する。
【0171】
すなわち、仮予約登録後一定時間が経過したり、当該AVコンテンツがダウンロード及び視聴可能でない場合には、メッセージが表示され、AVコンテンツのダウンロードが行われないこととなる。
【0172】
ステップS56において、トリガ検出部57は、多重分離部52により分離される多重化ストリームからトリガ情報が検出されたか否かを判定する。
【0173】
ステップS56において、トリガ情報が検出されたと判定された場合、処理は、ステップS57に進む。ステップS57において、制御部58は、検出されたトリガ情報の示すコマンドを解析する。
【0174】
ステップS58において、制御部58は、解析されたコマンドがターミネートであるか否かを判定する。ステップS58において、コマンドがターミネートであると判定された場合、処理は、ステップS59に進む。
【0175】
ステップS59において、アプリエンジン63は、当該トリガ情報のApp_idにより特定されるデータ放送用アプリであるTDOコンテンツが実行中であれば、それを終了させる。そして、処理は、ステップS60に進む。
【0176】
なお、トリガ情報が検出されなかった場合(ステップS56の「No」)、あるいは解析されたコマンドがターミネートではない場合(ステップS58の「No」)、トリガ情報の処理はスキップされ、処理は、ステップS60に進む。また、トリガ情報によるTDOコンテンツの終了の処理は、本予約登録が終わった後に限らず、例えば、仮予約登録が終わった後などに行われるようにしてもよい。
【0177】
ステップS60において、ダウンロード予約部65は、本予約登録されたAVコンテンツの予約開始時刻になったか否かを判定し、予約開始時刻となるまで待機する。なお、この予約開始時刻は、NRT-ITに記述されたDistribution start/endにより特定される。ステップS60において、予約開始時刻になったと判定された場合、処理は、ステップS61に進む。
【0178】
ステップS61において、ダウンロード予約部65は、チューナ51を制御して、所定のチャンネルのAVコンテンツのダウンロードを行う。チューナ51により受信され、復調された多重化ストリームは、多重分離部52により分離され、ストレージ14に記録される。なお、ストレージ14には、AVコンテンツとともに、NRT-IT等の情報も記録される。また、2以上のAVコンテンツが選択された場合には、ステップS60,S61の処理が繰り返され、すべてのAVコンテンツがダウンロードされる。また、AVコンテンツがインターネット17に接続された配信用のサーバから取得される場合、ダウンロード予約部65は、通信I/F61を制御して、所定のチャンネルのAVコンテンツのダウンロードを行い、ダウンロードされたAVコンテンツがストレージ14に記録される。
【0179】
AVコンテンツのダウンロードが終了すると、ステップS62において、制御部58は、アプリエンジン63を制御して、ダウンロードされたAVコンテンツのリストを表示させる。
【0180】
ステップS63において、制御部58は、ユーザによる操作部60の操作に基づいて、表示されたAVコンテンツのリストの中から、再生するAVコンテンツの選択を受け付ける。
【0181】
ユーザによりAVコンテンツが選択された場合、ビデオデコーダ53及びオーディオデコーダは、選択されたAVコンテンツに対応する符号化ビデオストリーム及び符号化オーディオストリームをそれぞれ、ストレージ14から読み出す。そして、ビデオデコーダ53は、符号化ビデオストリームを復号し、その結果得られるビデオ信号をディスプレイ13Aに出力する。また、オーディオデコーダ55は、符号化オーディオストリームを復号し、その結果得られるオーディオ信号をスピーカ(不図示)に出力する。
【0182】
これにより、放送装置11からダウンロードされ、ストレージ14に記録されたAVコンテンツが再生され、ユーザにより視聴される(ステップS64)。
【0183】
以上のように、受信装置13においては、AVコンテンツとともに送信されるトリガ情報が検出され、検出されたトリガ情報に基づいて、データ放送用アプリとしてのTDOコンテンツが取得され、TDOコンテンツにより所望のAVコンテンツが選択される。そして、TDOコンテンツにより選択される所望のAVコンテンツが仮予約として登録され、定期的に送信されるNRT-ITに含まれるダウンロード可能なAVコンテンツの識別子と、仮予約されたAVコンテンツの識別子が一致する場合、仮予約されたAVコンテンツが本予約として登録される。
【0184】
これにより、受信装置13が保持しているNRT-ITが最新のものでない場合であっても、所望のAVコンテンツの仮予約登録を行っておき、新たにNRT-ITを受信してから仮予約登録を本予約登録に変更するので、新たにNRT-ITが受信されるまで、ダウンロード予約を待つ必要なない。そのため、AVコンテンツのダウンロード予約の機会を失うといったことがなくなるため、確実に、NRTサービスにおけるAVコンテンツのダウンロード予約を行うことができる。その結果、ダウンロード予約の機会を広げることができる。
【0185】
なお、前述した
図1の放送システム1は、例えば現状の米国のように、デジタルテレビジョン放送の放送帯域にデータ放送用コンテンツを放送するための帯域が設けられていない状態において、AVコンテンツに連動し得るデータ放送用コンテンツを実現するものである。また、前述した説明では、AVコンテンツは、放送装置11によりデジタルテレビジョン放送信号で放送される例を主に説明したが、前述したように、専用の配信用のサーバを設けて、インターネット17を介して配信するようにしてもよい。
【0186】
また、前述した説明では、データ放送用アプリとして、TDOコンテンツを説明し、TDOコンテンツにより仮予約可能なAVコンテンツをディスプレイ13Aに表示して選択させる例を説明したが、ディスプレイ13Aに表示せずに選択するようにしてもよい。例えば、制御部58がTDOコンテンツを実行することで、あらかじめ設定された条件などに基づいて、AVコンテンツを選択するようにしてもよい。
【0187】
また、TDOコンテンツは、トリガ情報に基づいて取得され、起動されるだけでなく、他のTDOコンテンツから起動されるようにしてもよい。また、TDOコンテンツは、HTMLにより記述されるとして説明したが、その他、JavaScript(登録商標),JPEGファイル,PNGファイルなどから構成される。また、TDOコンテンツの記述言語としては、例えば、BML(Broadcast Markup Language)など他の記述言語を採用することもできる。
【0188】
また、前述した説明では、Pull型NRT放送について説明したが、Push型NRT放送についても同様に適用することができる。
【0189】
[本技術を適用したコンピュータの説明]
前述した一連の処理は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
【0190】
そこで、
図14は、前述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
【0191】
プログラムは、コンピュータ100に内蔵されているハードディスク等の記録部108やROM(Read Only Memory)102に予め記録しておくことができる。
【0192】
あるいはまた、プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブルメディア111に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブルメディア111は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
【0193】
なお、プログラムは、前述したようなリムーバブルメディア111からコンピュータ100にインストールする他、ダウンロードサイトから、デジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータ100に無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータ100に有線で転送し、コンピュータ100では、そのようにして転送されてくるプログラムを、通信部109で受信し、記録部108にインストールすることができる。
【0194】
コンピュータ100は、CPU(Central Processing Unit)101を内蔵している。CPU101には、バス104を介して、入出力インタフェース105が接続されており、CPU101は、入出力インタフェース105を介して、ユーザによって、キーボードや、マウス、マイク等で構成される入力部106が操作等されることにより指令が入力されると、それに従って、ROM102に格納されているプログラムを実行する。あるいは、また、CPU101は、記録部108に格納されているプログラム、衛星若しくはネットワークから転送され、通信部109で受信されて記録部108にインストールされたプログラム、又はドライブ110に装着されたリムーバブルメディア111から読み出されて記録部108にインストールされたプログラムを、RAM(Random Access Memory)103にロードして実行する。これにより、CPU101は、前述したフローチャートにしたがった処理、あるいは前述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU101は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース105を介して、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される出力部107から出力、あるいは、通信部109から送信、さらには、記録部108に記録等させる。
【0195】
ここで、本明細書において、コンピュータに各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
【0196】
また、プログラムは、1のコンピュータにより処理されるものであってもよいし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであってもよい。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであってもよい。
【0197】
なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0198】
さらに、本技術の実施の形態は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。