特許第6463928号(P6463928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社FTSの特許一覧

<>
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000002
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000003
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000004
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000005
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000006
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000007
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000008
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000009
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000010
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000011
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000012
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000013
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000014
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000015
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000016
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000017
  • 特許6463928-溶接用電極の補正精度判定装置及び方法 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463928
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】溶接用電極の補正精度判定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/24 20060101AFI20190128BHJP
   B23K 11/11 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   B23K11/24 336
   B23K11/11 570Z
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-178815(P2014-178815)
(22)【出願日】2014年9月3日
(65)【公開番号】特開2016-52665(P2016-52665A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2017年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶽本 英二
【審査官】 奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−259855(JP,A)
【文献】 特開2002−172471(JP,A)
【文献】 特開2000−176649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/00−11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降駆動されるロボットに設けた電極が、前記ロボットの昇降によって高さ補正された状態において、前記電極の補正が適正であるか否かを判定する溶接用電極の補正精度判定装置であって、
前記電極の上方に配された導電性の可動部材と、
前記可動部材の上面と下面とに対向するように配置された上下一対の導電性の検知部材と、
前記可動部材が、高さ補正された前記電極に押し上げられ、且つ前記一対の検知部材と非接触であるときに、前記電極の補正高さが適正であると判定する判定手段とを備えていることを特徴とする溶接用電極の補正精度判定装置。
【請求項2】
前記ロボットに対し相対的に昇降駆動されるキャリアと、
前記キャリアに下向きに設けた可動側電極とを備え、
前記可動部材の厚さが、前記電極と前記可動側電極とに挟まれる被溶接物の厚さと同じ寸法とされ、
適正範囲で高さ補正された前記電極が前記可動部材に当接した状態で、前記キャリアの下降により前記可動側電極が前記可動部材に当接可能となっていることを特徴とする請求項1記載の溶接用電極の補正精度判定装置。
【請求項3】
前記可動部材が弾性変形可能な板材であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の溶接用電極の補正精度判定装置。
【請求項4】
昇降駆動されるロボットに設けた電極が、前記ロボットの昇降によって高さ補正された状態において、前記電極の補正が適正であるか否かを判定する溶接用電極の補正精度判定方法であって、
前記電極の上方に配された導電性の可動部材と、
前記可動部材の上面と下面とに対向するように配置された上下一対の導電性の検知部材とを設けた上で、
前記可動部材が、高さ補正された前記電極に押し上げられ、且つ前記検知部材と非接触であるときに、前記電極の補正高さが適正であると判定することを特徴とする溶接用電極の補正精度判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接用電極の補正精度判定装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上下動可能なロボットに固定側電極を上向きに設け、ロボットに対し相対的に上下動可能なキャリアに可動側電極を下向きに設けた溶接装置において、電極の摩耗に応じて電極の位置を補正する技術が開示されている。この装置では、キャリブレーション工程において、使用前の固定側電極と可動側電極を治具に当接させ、このときのロボットとキャリアの位置を基準値として記憶させる。また、摩耗状態でも、同様に、両電極を治具に当接させ、そのときのロボットとキャリアの位置を計測して記憶させる。そして、キャリブレーション工程で記憶した基準位置と摩耗時の記憶値とに基づいて電極の補正量を演算し、得られた演算値に基づいてロボットを昇降させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−156546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような補正方法では、ロボットを上下動させるための昇降装置の機械的な精度が低い場合、演算値に基づいてモータを電気的に正確に制御して補正を行っても、電極の位置を高精度で補正することはできない。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電極の補正が適正であるか否かを高い精度で判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の溶接用電極の補正精度判定装置は、
昇降駆動されるロボットに設けた電極が、前記ロボットの昇降によって高さ補正された状態において、前記電極の補正が適正であるか否かを判定する溶接用電極の補正精度判定装置であって、
前記電極の上方に配された導電性の可動部材と、
前記可動部材の上面と下面とに対向するように配置された上下一対の導電性の検知部材と、
前記可動部材が、高さ補正された前記電極に押し上げられ、且つ前記検知部材と非接触であるときに、前記電極の補正高さが適正であると判定する判定手段とを備えているところに特徴を有する。
【0007】
第2の発明の溶接用電極の補正精度判定方法は、
昇降駆動されるロボットに設けた電極が、前記ロボットの昇降によって高さ補正された状態において、前記電極の補正が適正であるか否かを判定する溶接用電極の補正精度判定方法であって、
前記電極の上方に配された導電性の可動部材と、
前記可動部材の上面と下面とに対向するように配置された上下一対の導電性の検知部材とを設けた上で、
前記可動部材が、高さ補正された前記電極に押し上げられ、且つ前記一対の検知部材と非接触であるときに、前記電極の補正高さが適正であると判定するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロボットを上下動させるための昇降駆動手段の機械的な精度が低くても、電極の補正高さが適正であるか否かを電気的手段によって高精度で判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1,2の溶接装置において溶接を行っている状態をあらわす正面図
図2】溶接装置において電極位置補正の準備を行っている状態をあらわす正面図
図3】溶接を行っている状態をあらわす部分拡大正面図
図4】電極位置補正の準備を行っている状態をあらわす部分拡大正面図
図5】摩耗した固定側電極と可動側電極の摩耗量を確認する工程をあらわす部分拡大正面図
図6】摩耗した固定側電極と可動側電極の摩耗量を確認する工程をあらわす部分拡大正面図
図7】補正精度判定装置において判定が行われていない状態をあらわす正面図
図8】補正精度判定装置において判定が行われていない状態をあらわす部分拡大正面図
図9】補正精度判定装置において固定側電極の補正が適正であると判定されている状態をあらわす部分拡大正面図
図10】補正精度判定装置において固定側電極の補正が不適正であると判定されている状態をあらわす部分拡大正面図
図11】補正精度判定装置において固定側電極の補正が不適正であると判定されている状態をあらわす部分拡大正面図
図12】補正精度判定装置の構成をあらわすブロック図
図13】実施例1の溶接工程において溶接回数に基づいて電極位置補正又は電極交換が行われる手順をあらわすフローチャート
図14】電極交換時における電極位置の補正が行われる手順をあらわすフローチャート
図15】実施例2の溶接工程において溶接回数に基づいて電極交換が行われる手順をあらわすフローチャート
図16】電極摩耗時において電極位置の補正が行われる手順をあらわすフローチャート
図17】電極交換時における電極位置の補正が行われる手順をあらわすフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)第1発明の溶接用電極の補正精度判定装置は、
前記ロボットに対し相対的に昇降駆動されるキャリアと、
前記キャリアに下向きに設けた可動側電極とを備え、
前記可動部材の厚さが、前記電極と前記可動側電極とに挟まれる被溶接物の厚さと同じ寸法とされ、
適正範囲で高さ補正された前記電極が前記可動部材に当接した状態で、前記キャリアの下降により前記可動側電極を前記可動部材に当接させるようになっていてもよい。
【0011】
(2)第2発明の溶接用電極の補正精度判定方法は、
前記ロボットに対し相対的に昇降駆動されるキャリアと、
前記キャリアに下向きに設けた可動側電極とを備え、
前記可動部材の厚さを、前記電極と前記可動側電極とに挟まれる被溶接物の厚さと同じ寸法に設定した上で、
適正範囲で高さ補正された前記電極が前記可動部材に当接した状態で、前記キャリアを下降させて前記可動側電極を前記可動部材に当接させてもよい。
【0012】
(1)及び(2)の構成によれば、可動部材の厚さが被溶接物の厚さと同じ寸法であるから、可動側電極が可動部材に当接した状態のキャリアの下降位置に基づいて、可動側電極の高さを高い精度で補正することができる。
【0013】
(3)第1及び第2の発明において、前記可動部材が弾性変形可能な板材であってもよい。この構成によれば、電極の補正量が適正範囲外で可動部材が検知部材に当接したときには、可動部材が弾性変形することにより、検知部材やそれを支持する部材等の破損等を回避できる。
【0014】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図14を参照して説明する。
【0015】
<溶接装置A>
図1,2に示すように、溶接装置Aは、ロボット用駆動機構11により昇降駆動されるロボット10と、ロボット10に一体に昇降するように取り付けた固定側電極12(請求項に記載の電極)と、キャリア用駆動機構14によりロボット10に対して相対的に昇降駆動されるキャリア13と、キャリア13に一体に昇降するように取り付けた可動側電極15とを備えて構成されている。ロボット10の下端部には、固定側電極12が上向きに取り付けられている。キャリア13は、固定側電極12の上方に配されている。キャリア13の下端部には、可動側電極15が、固定側電極12と上下方向に対向するように下向きに取り付けられている。
【0016】
溶接を行う際には、図1,3に示すように、ロボット10を所定の溶接高さに固定し、水平に向けた板状の被溶接物16を、固定側電極12と可動側電極15との間に挟み、両電極12,15に通電する。尚、本実施例1の溶接装置Aは、スポット溶接やパラレル溶接等の溶接形態に対応している。
【0017】
溶接累計回数が所定の回数に達すると、溶接用電極(固定側電極12と可動側電極15)を交換する。固定側電極12と可動側電極15の上下寸法にはばらつきがあるため、溶接工程における固定側電極12の上端(被溶接物16の下面に当接する位置)の高さ及び可動側電極15の下端(被溶接物16の上面に当接する位置)の高さを補正する。高さ補正を行う際には、まず、固定側電極12と可動側電極15の上端高さの誤差を確認し、その誤差の分だけ溶接時におけるロボット10の位置を上昇させるとともに、キャリア13の位置を下降させる。固定側電極12の高さ補正が適正に行われているか否かは、補正精度判定装置Bによって行われる。
【0018】
<補正精度判定装置B>
補正精度判定装置Bは、溶接位置とは別ブースの補正精度判定位置に設けられている。補正精度判定装置Bは、図7に示すように、溶接時における被溶接物16とほぼ同じ高さに配された水平な板状をなす可動部材20と、上下一対の検知部材21,22とを備えている。可動部材20は、ガイドレール24によって上下動可能に設けた昇降体25から水平に片持ち状に延出した形態である。可動部材20は、導電性を有し、上下方向へ弾性変形可能な材料(例えば、バネ鋼)からなる。また、可動部材20の板厚寸法は、被溶接物16の板厚と同じ寸法である。
【0019】
上下一対の検知部材21,22は、導電性を有する水平な板状をなし、可動部材20の延出端部(自由端部)の上方と下方とに分かれて配されている。上側の検知部材21の下面と下側の検知部材22の上面との間隔は、可動部材20の板厚寸法よりも大きい寸法に設定されている。この両検知部材21,22の上下間隔は、可動部材20の板厚寸法と、固定側電極12の適正とされる高さ補正の量とを勘案して設定されている。
【0020】
図8〜11に示すように、補正精度判定装置Bは判定手段23を備えている。可動部材20と上下両検知部材21,22は、判定手段23を構成する電気回路(図示省略)に電線を介して接続されている。また、図12に示すように、判定手段23には、ロボット10の高さに関する情報が、ロボット用駆動機構11(又はロボット用駆動機構を制御する制御盤)から電気信号として入力されるようになっている。判定手段23は、可動部材20と上側の検知部材21とが電気的に導通しているか否かを検出するとともに、可動部材20と下側の検知部材22とが電気的に導通しているか否かを検出する。そして、これらの導通検出結果とロボット10の高さに関する情報とに基づいて、固定側電極12の補正量が適正であるか否かが判定される。
【0021】
<実施例1の作用>
次に、本実施例1の作用を説明する。溶接工程では、1回の溶接が行われる毎に、両電極12,15の交換時にリセットされた溶接回数カウンターが減算され、図13に示すように、この溶接回数カウンターに基づいて、溶接累計回数が電極交換設定回数に到達したか否かを判定する(ステップS011)。溶接累計回数が電極交換設定回数に到達していない場合は、そのまま溶接が継続される。溶接累計回数が電極交換設定回数に到達した場合は、電極交換が行われる(ステップS012)。
【0022】
<電極交換の手順>
次に、電極交換の手順について説明する。溶接累計回数が電極交換設定回数に到達すると、図14に示すように、溶接装置Aの制御部(図示省略)において電極交換指示信号がONとなる(ステップS021)。これにより、ロボット10が電極交換位置へ移動し(ステップS022)、固定側電極12と可動側電極15が交換される(ステップS023)。その後、溶接回数カウンターがリセットされる(ステップS024)。両電極12,15が交換された後、ロボット10が溶接位置へ移動する(ステップS025)。
【0023】
<交換後の電極位置補正の手順>
ロボット10が溶接位置にある状態では、交換された固定側電極12の上端の高さ(即ち、固定側電極12の上下寸法の誤差)が確認される(ステップS026)。同時に、可動側電極15の下端の高さ(即ち、可動側電極15の上下寸法の誤差)も確認される。この固定側電極12と可動側電極15の寸法の誤差を確認する際には、予め、誤差が適正範囲内である原点設定用の固定側電極12と可動側電極15を用いて、準備工程を実行しておく。準備工程では、図4に示すように、ロボット10を溶接工程時と同じ高さ(以下、溶接位置という)にした状態で、キャリア13を下降させ、原点設定用の可動側電極15の下端を原点設定用の固定側電極12の上端に当接させる。このときの原点設定用の固定側電極12の上端の高さを、Hoとする。また、キャリア13(原点設定用の可動側電極15)の原点高さからの下降寸法Moを記憶させておく。以上が、準備工程である。
【0024】
そして、固定側電極12と可動側電極15を交換した後、図5に示すように、ロボット10を溶接位置に上昇させた状態で、キャリア13を下降させ、交換後の可動側電極15の下端を、交換後の固定側電極12の上端に当接させる。このとき、固定側電極12の上端の高さ(両電極12,15の当接高さ)が、Hoよりも低い場合、キャリア13(可動側電極15)の原点高さからの下降寸法Mwを検出する。固定側電極12を交換した後におけるキャリア13の原点高さからの下降寸法Mwと、原点設定用の固定側電極12を用いた準備工程におけるキャリア13の原点高さからの下降寸法Moとの寸法差(Mw−Mo)が、交換後の固定側電極12の誤差寸法Wfと交換後の可動側電極15の誤差寸法Wmを併せた両電極12,15の総誤差寸法である。
【0025】
この後、一旦、キャリア13と可動側電極15を上昇させ、両電極12,15の間に補正量検出治具26を配置する。この補正量検出治具26は、水平な板状をなし、板厚は被溶接物16の厚さよりも薄い。図6に示すように、補正量検出治具26の上面は、溶接時における被溶接物16の上面と同じ高さHmに設定されている。そして、キャリア13を下降させ、補正量検出治具26の上面に交換後の可動側電極15の下端を当接させる。このときのキャリア13(可動側電極15)の原点高さからの下降寸法と、原点設定用の可動側電極15を原点高さから下降させて被溶接物16の上面に当接させたときの下降寸法との差が、交換後の可動側電極15の誤差寸法Wmとなる。この誤差寸法Wmは、実測したものであから、正確な値である。
【0026】
交換後の可動側電極15の誤差寸法Wmが得られると、交換後の固定側電極12の誤差寸法Wfを演算により得ることができる。即ち、上述のように、固定側電極12の誤差寸法と可動側電極15の誤差寸法とを併せた総誤差寸法(Mw−Mo)が既に得られているので、この総誤差寸法(Mw−Mo)から可動側電極15の誤差寸法Wmを減算すれば、固定側電極12の誤差寸法Wfが算出される。以上により、ステップS026の固定側電極12の誤差寸法Wfの確認が完了する。そして、固定側電極12の誤差寸法Wfが、固定側電極12の高さ補正量としてロボット用駆動機構11に設定されるとともに、可動側電極15の誤差寸法Wmが、可動側電極15の高さ補正量としてキャリア用駆動機構14に設定される。
【0027】
<交換後の補正精度判定の手順>
この後、ロボット10を補正精度判定位置へ移動させる(ステップS027)。補正位置確認工程が行われていない状態の補正精度判定装置Bは、図7に示すように、可動部材20と昇降体25がその自重により下降し、可動部材20の延出端部が、下側検知部材22の上面に当接(載置)された状態で待機している。この状態では、図8に示すように、可動部材20と下側の検知部材22とが、直接、接触しているので、電気的に導通可能である。但し、可動部材20と上側の検知部材21は、離間しているので導通不能である。
【0028】
補正精度判定位置に移動させる際には、ロボット10を溶接位置より低い高さまで下降させ、固定側電極12を可動部材20に対しその下方に離間した位置で待機させておく。また、キャリア13を上昇させ、可動側電極15を可動部材20の上方に離間した位置で待機させておく。そして、ロボット10を溶接位置まで上昇させる。このときのロボット10の溶接位置は、固定側電極12が摩耗していない時よりも、固定側電極12の誤差寸法Wfに相当する寸法分だけ上方の位置となるように補正される。
【0029】
このロボット10(固定側電極12)の高さ補正は、ロボット用駆動機構11においてモータ(図示省略)の駆動により行われる。モータの回転数は固定側電極12の誤差寸法Wfに応じて設定、制御されるのであるが、機械的構造部の精度が低いと、ロボット10(固定側電極12)の補正後の上昇位置が、本来の補正高さと一致しないことがある。即ち、上昇完了時における固定側電極12の上端の高さが、誤差の殆ど無い原点設定用の固定側電極12の上端の高さに対して上方又は下方へずれる虞がある。
【0030】
そこで、補正精度判定装置Bでは、固定側電極12と可動側電極15の補正精度が、溶接に支障のない適正な範囲内であるか否かを判定する(ステップS203)。判定は、可動部材20と上側の検知部材21との電気的導通の有無、可動部材20と下側の検知部材22との電気的導通の有無、及びロボット10の高さに関する情報とに基づいて行われる。
【0031】
具体的には、固定側電極12の補正量が適正である場合には、図9に示すように、ロボット10が補正後の溶接位置に到達すると、その旨が判定手段23に入力される。また、ロボット10が溶接位置まで上昇するのに伴い、固定側電極12が可動部材20を押し上げるので、可動部材20は、下側の検知部材22から離間し、上側の検知部材21よりも低い位置に留まる。つまり、可動部材20は、上下両検知部材21,22と非接触である。したがって、判定手段23では、ロボット10が補正後の溶接位置に到達したことと、可動部材20と上側の検知部材21とが電気的に非導通であることと、可動部材20と下側の検知部材22とが電気的に非導通であることを条件として、固定側電極12の補正量が適正であると判定される。
【0032】
また、固定側電極12の補正量は、適正であると判定されても、その適正範囲内(つまり、上下両検知部材21,22の上下間隔から可動部材20の板厚寸法を減じた寸法の範囲内)でばらつきがある。そこで、固定側電極12の補正量が適正であると判定された状態のまま、ロボット10(固定側電極12)の高さを変えずに、キャリア13を下降させ、可動側電極15の下端を可動部材20の上面に当接させる。そして、このときのキャリア13の高さを、溶接時における可動側電極15の高さとして記憶させる。これにより、溶接時における固定側電極12の上端と可動側電極15の下端との上下間隔を、高い精度で被溶接物16の厚さ寸法と同じ寸法に設定することができる。
【0033】
また、固定側電極12の補正量が適正範囲を超えて大き過ぎた場合には、図10に示すように、ロボット10が補正後の溶接位置に到達したときに、固定側電極12に押し上げられた可動部材20が、上側の検知部材21に当接する。このとき、可動部材20は、上側の検知部材21との当接により湾曲変形する。したがって、判定手段23では、ロボット10が補正後の溶接位置に到達したことと、可動部材20と上側の検知部材21とが電気的に導通していることと、可動部材20と下側の検知部材22とが電気的に非導通であることを条件として、固定側電極12の補正量が不適正(適正範囲外)であると判定する。
【0034】
また、固定側電極12の補正量が適正範囲よりも小さい場合には、図11に示すように、ロボット10が補正後の溶接位置に到達したときに、固定側電極12の上端は、可動部材20に到達せずに、可動部材20の下面よりも低い位置に留まる。したがって、可動部材20は、固定側電極12によって押し上げられず、下側の検知部材22に載置された(接触した)ままである。したがって、判定手段23では、ロボット10が補正後の溶接位置に到達したことと、可動部材20と下側の検知部材22とが電気的に導通していることと、可動部材20と上側の検知部材21とが電気的に非導通であることを条件として、固定側電極12の補正量が不適正(適正範囲外)であると判定する。
【0035】
<補正精度判定後の工程>
補正精度の判定が終わった後、固定側電極12の補正量が適正範囲内であった場合には、ロボット10を溶接位置へ移動させ(ステップS029)、溶接工程に進む。また、固定側電極12の補正量が適正範囲外であった場合には、補正不適正と判定された回数が限定設定回数(例えば、2回)に到達したか否かを判定する(S030)。補正不適正と判定された回数が限定設定回数に到達していないと判定された場合は、ロボット10を溶接位置へ移動させ(ステップS025)、再び、固定側電極12の上端の高さ(即ち、固定側電極12の上下寸法の誤差)を確認する(ステップS026)。また、補正不適正と判定された回数が限定設定回数に到達したと判定された場合には、溶接装置Aの制御部(図示省略)において電極交換指示信号がONとなる(ステップS021)。これにより、ロボット10が電極交換位置へ移動し(ステップS022)、固定側伝電極と可動側電極15が交換される(ステップS023)。
【0036】
<実施例1の効果>
本実施例1の溶接用電極の補正精度判定装置B及び方法は、昇降駆動されるロボット10に設けた固定側電極12が、ロボット10の昇降によって高さ補正された状態において、固定側電極12の補正が適正であるか否かを判定する手段である。この装置は、固定側電極12の上方に配された導電性の可動部材20と、可動部材20の上面と下面とに対向するように配置された上下一対の導電性の検知部材21,22と、可動部材20が、高さ補正された固定側電極12に押し上げられ、且つ一対の検知部材21,22と非接触であるときに、固定側電極12の補正高さが適正であると判定する判定手段23とを備えている。この装置によれば、ロボット10を上下動させるための昇降装置(ロボット用駆動機構11)の機械的な精度が低くても、固定側電極12の補正高さが適正であるか否かを電気的手段によって高精度で判定することができる。
【0037】
また、補正精度判定装置Bは、ロボット10に対し相対的に昇降駆動されるキャリア13と、キャリア13に下向きに設けた可動側電極15とを備えており、可動部材20の厚さが、溶接工程で固定側電極12と可動側電極15とに挟まれる被溶接物16の厚さと同じ寸法とされ、適正範囲で高さ補正された固定側電極12が可動部材20に当接して補正精度が判定されている状態で、キャリア13を下降させて可動側電極15を可動部材20に当接させるようになっている。この構成によれば、可動部材20の厚さが被溶接物16の厚さと同じ寸法であるから、可動側電極15が可動部材20に当接した状態のキャリア13の下降位置に基づいて、可動側電極15の高さを高い精度で補正することができる。
【0038】
また、可動部材20は、弾性変形可能な板材である。したがって、固定側電極12の補正量が適正範囲外で可動部材20が上側の検知部材21に強く当接したときには、可動部材20が弾性変形することにより、上側の検知部材21やそれを支持する部材等の破損等を回避することができる。
【0039】
<実施例2>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1〜12,15〜17を参照して説明する。本実施例2の溶接装置Aと補正精度判定装置Bは、実施例1の溶接装置A及び補正精度判定装置Bと同じ構成であるため、説明は省略する。また、実施例2の効果も実施例1と同じであるため、説明は省略する。
【0040】
上記実施例1では、溶接用電極(固定側電極12と可動側電極15)の摩耗が有る程度進んだと推定されたときに、両電極12,15を交換した。これに対し本実施例2では、溶接用電極(固定側電極12と可動側電極15)の摩耗が進んだ場合、直ちに電極12,15を交換せず、固定側電極12の上端(被溶接物16の下面に当接する位置)の高さ及び可動側電極15の下端(被溶接物16の上面に当接する位置)の高さを補正する。高さ補正を行う際には、まず、固定側電極12と可動側電極15の摩耗量を確認し、その摩耗量の分だけ溶接時におけるロボット10の位置を上昇させるとともに、キャリア13の位置を下降させる。固定側電極12の高さ補正が適正に行われているか否かは、補正精度判定装置Bによって行われる。
【0041】
<実施例2の作用>
次に、本実施例2の作用を説明する。溶接工程では、1回の溶接が行われる毎に、両電極12,15の交換時にリセットされた溶接回数カウンターが減算され、図15に示すように、この溶接回数カウンターに基づいて、溶接の累計回数が電極位置補正設定回数に到達したか否かを判定する(ステップS101)。溶接累計回数が電極位置補正設定回数に到達していない場合は、そのまま溶接が接続される。溶接累計回数が電極位置補正設定回数に到達した場合は、電極位置補正が行われる(ステップS102)。電極位置補正の手順は、後に説明する。
【0042】
電極位置補正が実行された後は、溶接累計回数が電極交換設定回数に到達したか否かを判定する(ステップS103)。溶接累計回数が電極交換設定回数に到達していない場合は、そのまま溶接が継続される。溶接累計回数が電極交換設定回数に到達した場合は、電極交換が行われる(ステップS104)。電極交換の手順は、後に説明する。
【0043】
<摩耗時の電極位置補正の手順>
次に、電極位置補正の手順について説明する。図16に示すように、ロボット10が溶接位置にある状態で、固定側電極12の摩耗量を確認する(ステップS201)。摩耗量の確認は、予め、固定側電極12と可動側電極15が摩耗していない状態で、準備工程を実行しておく。準備工程では、図4に示すように、ロボット10を溶接工程時と同じ高さ(以下、溶接位置という)にした状態で、キャリア13を下降させ、可動側電極15の下端を固定側電極12の上端に当接させる。このときの固定側電極12の上端の高さを、Hoとする。また、キャリア13(可動側電極15)の原点高さからの下降寸法Moを記憶させておく。以上が、準備工程である。
【0044】
そして、摩耗後、図5に示すように、ロボット10を溶接位置に上昇させた状態で、キャリア13を下降させ、摩耗した可動側電極15の下端を、摩耗した固定側電極12の上端に当接させる。このとき、固定側電極12の上端の高さ(両電極12,15の当接高さ)は、Hoよりも低い。そして、キャリア13(可動側電極15)の原点高さからの下降寸法Mwを検出する。この摩耗時の下降寸法Mwと摩耗していない時の下降寸法moとの寸法差(Mw−Mo)が、固定側電極12の摩耗量Wfと可動側電極15の摩耗量Wmを併せた両電極12,15の総摩耗量である。
【0045】
この後、一旦、キャリア13と可動側電極15を上昇させ、両電極12,15の間に補正量検出治具26を配置する。この補正量検出治具26は、水平な板状をなし、板厚は被溶接物16の厚さよりも薄い。図6に示すように、補正量検出治具26の上面は、溶接時における被溶接物16の上面と同じ高さHmに設定されている。そして、キャリア13を下降させ、補正量検出治具26の上面に摩耗した可動側電極15の下端を当接させる。このときのキャリア13(可動側電極15)の原点高さからの下降寸法と、摩耗していない可動側電極15を原点高さから下降させて被溶接物16の上面に当接させたときの下降寸法との差が、可動側電極15の摩耗量Wmとなる。この摩耗量Wmは、実測したものであから、正確な値である。
【0046】
可動側電極15の摩耗量Wmが得られると、固定側電極12の摩耗量Wfを演算により得ることができる。即ち、上述のように、固定側電極12の摩耗量と可動側電極15の摩耗量とを併せた総摩耗量(Mw−Mo)が既に得られているので、この総摩耗量(Mw−Mo)から可動側電極15の摩耗量Wmを減算すれば、固定側電極12の摩耗量Wfが算出される。以上により、ステップS201の固定側電極12の摩耗量Wfの確認が完了する。そして、固定側電極12の摩耗量Wfが、固定側電極12の高さ補正量としてロボット用駆動機構11に設定されるとともに、可動側電極15の摩耗量Wmが、可動側電極15の高さ補正量としてキャリア用駆動機構14に設定される。
【0047】
<摩耗時の補正精度判定の手順>
この後、図16に示すように、補正精度判定装置Bが設けられている補正精度判定位置へロボット10を移動させる(ステップS202)。補正位置確認工程が行われていない状態の補正精度判定装置Bは、図7に示すように、可動部材20と昇降体25がその自重により下降し、可動部材20の延出端部が、下側検知部材22の上面に当接(載置)された状態で待機している。この状態では、図8に示すように、可動部材20と下側の検知部材22とが、直接、接触しているので、電気的に導通可能である。但し、可動部材20と上側の検知部材21は、離間しているので導通不能である。
【0048】
補正精度判定位置に移動させる際には、ロボット10を溶接位置より低い高さまで下降させ、固定側電極12を可動部材20に対しその下方に離間した位置で待機させておく。また、キャリア13を上昇させ、可動側電極15を可動部材20の上方に離間した位置で待機させておく。そして、ロボット10を溶接位置まで上昇させる。このときのロボット10の溶接位置は、固定側電極12が摩耗していない時よりも、固定側電極12の摩耗量Wfに相当する寸法分だけ上方の位置となるように補正される。
【0049】
このロボット10(固定側電極12)の高さ補正は、ロボット用駆動機構11においてモータ(図示省略)の駆動により行われる。モータの回転数は固定側電極12の摩耗量Wfに応じて設定、制御されるのであるが、機械的構造部の精度が低いと、ロボット10(固定側電極12)の補正後の上昇位置が、本来の補正高さと一致しないことがある。即ち、上昇完了時における固定側電極12の上端の高さが、摩耗していない固定側電極12の上端の高さに対して上方又は下方へずれる虞がある。
【0050】
そこで、図16に示すように、補正精度判定装置Bにおいて、補正量が溶接に支障のない適正な範囲内であるか否かを判定する(ステップS203)。判定は、可動部材20と上側の検知部材21との電気的導通の有無、可動部材20と下側の検知部材22との電気的導通の有無、及びロボット10の高さに関する情報とに基づいて行われる。
【0051】
具体的には、固定側電極12の補正量が適正である場合には、図9に示すように、ロボット10が補正後の溶接位置に到達すると、その旨が判定手段23に入力される。また、ロボット10が溶接位置まで上昇するのに伴い、固定側電極12が可動部材20を押し上げるので、可動部材20は、下側の検知部材22から離間し、上側の検知部材21よりも低い位置に留まる。つまり、可動部材20は、上下両検知部材21,22と非接触である。したがって、判定手段23では、ロボット10が補正後の溶接位置に到達したことと、可動部材20と上側の検知部材21とが電気的に非導通であることと、可動部材20と下側の検知部材22とが電気的に非導通であることを条件として、固定側電極12の補正量が適正であると判定される。
【0052】
また、固定側電極12の補正量は、適正であると判定されても、その適正範囲内(つまり、上下両検知部材21,22の上下間隔から可動部材20の板厚寸法を減じた寸法の範囲内)でばらつきがある。そこで、固定側電極12の補正量が適正であると判定された状態のまま、ロボット10(固定側電極12)の高さを変えずに、キャリア13を下降させ、可動側電極15の下端を可動部材20の上面に当接させる。そして、このときのキャリア13の高さを、溶接時における可動側電極15の高さとして記憶させる。これにより、溶接時における固定側電極12の上端と可動側電極15の下端との上下間隔を、高い精度で被溶接物16の厚さ寸法と同じ寸法に設定することができる。
【0053】
また、固定側電極12の補正量が適正範囲を超えて大き過ぎた場合には、図10に示すように、ロボット10が補正後の溶接位置に到達したときに、固定側電極12に押し上げられた可動部材20が、上側の検知部材21に当接する。このとき、可動部材20は、上側の検知部材21との当接により湾曲変形する。したがって、判定手段23では、ロボット10が補正後の溶接位置に到達したことと、可動部材20と上側の検知部材21とが電気的に導通していることと、可動部材20と下側の検知部材22とが電気的に非導通であることを条件として、固定側電極12の補正量が不適正(適正範囲外)であると判定する。
【0054】
また、固定側電極12の補正量が適正範囲よりも小さい場合には、図11に示すように、ロボット10が補正後の溶接位置に到達したときに、固定側電極12の上端は、可動部材20に到達せずに、可動部材20の下面よりも低い位置に留まる。したがって、可動部材20は、固定側電極12によって押し上げられず、下側の検知部材22に載置された(接触した)ままである。したがって、判定手段23では、ロボット10が補正後の溶接位置に到達したことと、可動部材20と下側の検知部材22とが電気的に導通していることと、可動部材20と上側の検知部材21とが電気的に非導通であることを条件として、固定側電極12の補正量が不適正(適正範囲外)であると判定する。
【0055】
<補正精度判定後の工程>
補正精度の判定が終わった後、固定側電極12の補正量が適正範囲内であった場合には、ロボット10を溶接位置へ移動させ(ステップS204)、溶接工程に進む。また、固定側電極12の補正量が適正範囲外であった場合には、固定側電極12の摩耗量を確認する工程へ戻る(ステップS201)。
【0056】
<電極交換の手順>
次に、電極交換の手順について説明する。溶接累計回数が電極交換設定回数に到達すると、図17に示すように、溶接装置Aの制御部(図示省略)において電極交換指示信号がONとなる(ステップS301)。これにより、ロボット10が電極交換位置へ移動し(ステップS302)、固定側伝電極と可動側電極15が交換される(ステップS303)。その後、溶接回数カウンターがリセットされる(ステップS304)。両電極12,15が交換された後、ロボット10が溶接位置へ移動する(ステップS305)。
【0057】
溶接位置では、交換された固定側電極12の上端の高さ(即ち、固定側電極12の上下寸法の誤差)が確認される(ステップS306)。同時に、可動側電極15の下端の高さ(即ち、可動側電極15の上下寸法の誤差)も確認される。この交換後の固定側電極12と可動側電極15の寸法誤差の確認と、この寸法誤差確認に基づく両電極12,15の高さ補正は、上記実施例1と同じ方法及び手順で行われるため、説明は省略する。高さ補正により、そして、固定側電極12の高さのばらつき量が、固定側電極12の高さ補正量としてロボット用駆動機構11に設定されるとともに、可動側電極15の高さのばらつき量が、可動側電極15の高さ補正量としてキャリア用駆動機構14に設定される。
【0058】
この後、ロボット10を補正精度判定位置へ移動させ(ステップS307)、固定側電極12と可動側電極15の補正精度が適正範囲内であるか否かを判定する(ステップS308)。この補正精度の判定は、実施例1で説明した電極交換後の補正精度の判定と同じ方法、手順で行われるので、説明は省略する。また、補正精度の判定が終わった後の手順(ステップS309,S310)は、実施例1で説明した補正精度の判定が終わった後の手順(ステップS029,S030)と同じであるから、説明は省略する。
【0059】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1,2では、適正範囲で高さ補正された固定側電極が可動部材に当接した状態で、可動側電極を可動部材に当接させたが、適正範囲で高さ補正された固定側電極が可動部材に当接した状態で、可動側電極を可動部材に当接させないようにしてもよい。この場合、可動部材の厚さ寸法は、被溶接物の厚さと異なる寸法にしてもよい。
(2)上記実施例1,2では、可動部材を弾性変形し得るようにしたが、可動部材を弾性変形させず、検知部材を、可動部材側からの押圧力にしたがって弾性的に移動又は弾性的に変形するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
A…溶接装置
B…補正精度判定装置
10…ロボット
12…固定側電極(電極)
13…キャリア
15…可動側電極
20…可動部材
21,22…検知部材
23…判定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17