(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の静電チャックでは、次のような問題がある。すなわち、発熱体は、発熱体材料(金属ペースト)をスクリーン印刷で所望のパターンに形成(パターン形成)することによって作製される。ところが、スクリーン印刷の場合、印刷滲み、スクリーンマスクによるメッシュ痕、スクリーンマスクの位置ずれ、印刷方向とパターン形成方向との相違等により、パターン形成された発熱体材料に厚みや幅のばらつき等が発生する場合がある。
【0006】
そのため、焼成後の発熱体の厚みや幅にばらつきが生じ、発熱体を均一に発熱させることが困難となる。これにより、発熱体が内蔵されるセラミック基板の温度ばらつき(面方向の温度ばらつき)が生じるため、セラミック基板に支持された半導体ウェハに温度ばらつきが生じる。結果として半導体ウェハの加工精度が低下する場合がある。
【0007】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、発熱体の厚みや幅のばらつきを抑制し、発熱体が設けられた本体基板の温度ばらつきを抑制できる半導体製造装置用部
品の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、セラミックからなる本体基板と、該本体基板に設けられた発熱体
および吸着用電極と、を備えた半導体製造装置用部品の製造方法であって、前記本体基板となるセラミックグリーンシート上に、発熱体材料である感光性金属ペーストを塗布する塗布工程と、前記セラミックグリーンシート上に塗布した前記感光性金属ペーストを露光及び現像し、前記セラミックグリーンシート上に前記発熱体となる中間発熱体を形成する露光現像工程と、
前記セラミックグリーンシートと異なる他のセラミックグリーンシートに、スクリーン印刷で吸着用電極となる電極用インクを塗布することで、中間吸着用電極を形成する吸着用電極形成工程と、前記セラミックグリーンシート
、前記他のセラミックグリーンシート、前記中間吸着用電極及び前記中間発熱体を同時焼成し、前記本体基板
、前記吸着用電極及び前記発熱体を形成する焼成工程と、を有することを特徴とする半導体製造装置用部品の製造方法である。
【0009】
前記半導体製造装置用部品の製造方法では、前記塗布工程、前記露光現像工程を順に行う。すなわち、フォトリソグラフィを用いて、発熱体材料(感光性金属ペースト)を所望のパターンに形成する。そのため、フォトリソグラフィを用いて形成された発熱体材料(中間発熱体)のパターンの厚みや幅のばらつきは、従来のスクリーン印刷等の方法で形成されたパターンの厚みや幅のばらつきと比べて、少なくできる。
【0010】
これにより、厚みや幅のばらつきが抑制され、発熱の均一性に優れている発熱体を前記焼成工程において形成できる。よって、発熱体が設けられた本体基板の温度ばらつき(面方向の温度ばらつき)、さらには本体基板に支持された半導体ウェハ等の温度ばらつきを抑制できる。その結果、例えば、半導体ウェハに対するエッチングの加工精度を高め、歩留りを向上させることができる。
【0011】
また、前述のフォトリソグラフィを用いて形成された発熱体材料(中間発熱体)のパターンに異なる線幅が混在していたとしても、それぞれのパターンの厚みや幅のばらつきを抑制できる。これにより、例えば、異なる線幅が混在するような複雑なパターンの発熱体を精度良く形成することができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、セラミックからなる本体基板と、該本体基板に設けられた発熱体
および吸着用電極と、を備えた半導体製造装置用部品の製造方法であって、キャリアフィルム上に、発熱体材料である感光性金属ペーストを塗布する塗布工程と、前記キャリアフィルム上に塗布した前記感光性金属ペーストを露光及び現像し、前記キャリアフィルム上に前記発熱体となる中間発熱体を形成する露光現像工程と、前記キャリアフィルム上の前記中間発熱体を前記本体基板となるセラミックグリーンシート上に転写する転写工程と、
前記セラミックグリーンシートと異なる他のセラミックグリーンシートに、スクリーン印刷で吸着用電極となる電極用インクを塗布することで、中間吸着用電極を形成する吸着用電極形成工程と、前記セラミックグリーンシート
、前記他のセラミックグリーンシート、前記中間吸着用電極及び前記中間発熱体を同時焼成し、前記本体基板
、前記吸着用電極及び前記発熱体を形成する焼成工程と、を有することを特徴とする半導体製造装置用部品の製造方法である。
【0013】
前記半導体製造装置用部品の製造方法では、前記塗布工程、前記露光現像工程、前記転写工程を順に行う。すなわち、フォトリソグラフィを用いて、キャリアフィルム上に発熱体材料(感光性金属ペースト)を所望のパターンに形成し、これをセラミックグリーンシート上に転写する。そのため、前述した本発明の第1の態様における半導体製造装置用部品の製造方法と同様の作用効果が得られる。
【0014】
本発明の第3の態様は、セラミックからなる本体基板と、該本体基板に設けられた発熱体と、を備え、該発熱体は、矩形状の断面を有することを特徴とする半導体製造装置用部品である。
【0015】
前記半導体製造装置用部品において、本体基板に設けられた発熱体は、矩形状の断面を有する。そのため、発熱体は、厚みや幅のばらつきが少なく、発熱の均一性に優れたものとなる。これにより、発熱体が設けられた本体基板の温度ばらつき(面方向の温度ばらつき)、さらには本体基板に支持された半導体ウェハ等の温度ばらつきを抑制できる。その結果、例えば、半導体ウェハに対するエッチングの加工精度を高め、歩留りを向上させることができる。
【0016】
このように、本発明によれば、発熱体の厚みや幅のばらつきを抑制し、発熱体が設けられた本体基板の温度ばらつきを抑制できる半導体製造装置用部品及びその製造方法を提供することができる。
【0017】
前記第1及び第2の態様の半導体製造装置用部品の製造方法において、前記中間発熱体は、矩形状の断面を有していてもよい。この場合には、発熱体材料(中間発熱体)の厚みや幅のばらつきを抑制できる。これにより、厚みや幅のばらつきを抑制し、発熱の均一性に優れた発熱体が得られる。なお、ここでの「断面」とは、例えば、中間発熱体の長さ方向(軸方向)に直交する断面のことをいう。後述する発熱体も同様である。また、「矩形状」とは、例えば、中間発熱体の断面が長方形状であることいい、長方形の角部に多少の丸みを有する略長方形状等も含む。
【0018】
前記中間発熱体は、表面粗さRaが1μm以下であってもよい。この場合には、発熱体材料(中間発熱体)の厚みや幅のばらつきを抑制できる。これにより、厚みや幅のばらつきを抑制し、発熱の均一性に優れた発熱体が得られる。
【0019】
また、前記半導体製造装置用部品の製造方法において、前記塗布工程では、セラミックグリーンシート上に、発熱体材料である感光性金属ペーストを塗布する。感光性金属ペーストの塗布方法は、従来公知のスクリーン印刷等の方法を用いることができる。
【0020】
また、前記露光現像工程では、前記塗布工程においてセラミックグリーンシート上に塗布した感光性金属ペーストを露光及び現像する。感光性金属ペーストには、「ネガ型」と「ポジ型」がある。ネガ型の感光性金属ペーストを用いた場合には、発熱体となる部分を露光し、それ以外の部分を露光しない。また、現像において未露光部分を除去し、露光部分を残す。一方、ポジ型の感光性金属ペーストを用いた場合には、発熱体となる部分を露光せず、それ以外の部分を露光する。また、現像において露光部分を除去し、未露光部分を残す。
【0021】
前記感光性金属ペーストとしては、「ネガ型」の場合、例えば、金属粉末(金属材料)、感光性ポリマー、光硬化剤等を含有する金属ペーストを用いることができる。感光性ポリマー、光硬化剤等は、従来公知のものを用いることができる。一方、「ポジ型」の場合、例えば、金属粉末(金属材料)、溶解抑止剤(ポリマー)、光分解促進剤等を含有する金属ペーストを用いることができる。
【0022】
前記感光性金属ペーストに含有する金属粉末(金属材料)としては、前記焼成工程においてセラミックからなる本体基板及び発熱体を同時焼成により形成するため、本体基板の焼成温度よりも高融点である必要がある。したがって、金属粉末(金属材料)としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、これらの合金等を主成分として用いることができる。「主成分とする」とは、感光性金属ペーストがタングステン、モリブデン等の金属粉末(金属材料)を50体積%以上含むことをいう。
【0023】
前記第3の態様の半導体製造装置用部品において、前記発熱体は、表面粗さRaが1μm以下であってもよい。この場合には、発熱体は、厚みや幅のばらつきが少なく、発熱の均一性に優れたものとなる。
【0024】
また、前記半導体製造装置用部品としては、例えば、半導体ウェハ等を支持して加熱する加熱装置、半導体ウェハ等を静電引力により吸着保持する静電チャック、半導体ウェハ等を静電引力により吸着保持し搬送する搬送部材が挙げられる。加熱装置では、本体基板が半導体ウェハ等を支持する。また、本体基板に設けられた発熱体が半導体ウェハ等を加熱する。静電チャックや搬送部材では、本体基板に設けられた吸着用電極によって発生した静電引力により、半導体ウェハ等は本体基板に吸着保持される。また、本体基板に設けられた発熱体が半導体ウェハ等を加熱する。
【0025】
前記本体基板は、例えば、積層した複数のセラミック層により構成することができる。このような構成にすると、本体基板の内部に各種の構造(例えば発熱体等)を容易に形成することができる。
【0026】
前記本体基板を構成するセラミック材料としては、例えば、アルミナ、イットリア(酸化イットリウム)、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化珪素、窒化珪素等の高温焼成セラミックを主成分とする焼結体等を用いることができる。
【0027】
前記本体基板を構成するセラミック材料としては、用途に応じて、ホウケイ酸系ガラスやホウケイ酸鉛系ガラスにアルミナ等の無機セラミックフィラーを添加したガラスセラミック等の低温焼成セラミックを主成分とする焼結体を用いてもよい。また、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウム等の誘電体セラミックを主成分とする焼結体を用いてもよい。
【0028】
また、半導体の製造におけるドライエッチング等の各処理では、プラズマを用いた技術が種々採用される。プラズマを用いた処理では、ハロゲンガス等の腐食性ガスが多用される。このため、プラズマや腐食性ガスに晒される静電チャック等の半導体製造装置用部品には、高い耐食性が要求される。したがって、本体基板は、プラズマや腐食性ガスに対する耐食性があるセラミック材料、例えば、アルミナ、イットリア等を主成分とするセラミック材料からなることが好ましい。
【0029】
前記発熱体を構成する金属材料としては、前記感光性金属ペーストに含有する金属粉末(金属材料)と同様であり、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、これらの合金等を主成分として用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(実施形態1)
本実施形態は、本発明の半導体製造装置用部品を静電チャックに適用した例である。
【0032】
図1〜
図3に示すように、静電チャック(半導体製造装置用部品)1は、セラミックからなる本体基板11と、本体基板11に設けられた発熱体41と、を備えている。発熱体41は、矩形状の断面を有する。以下、この静電チャックについて詳細に説明する。
【0033】
図1に示すように、静電チャック1は、被吸着物である半導体ウェハ8を吸着保持する装置である。静電チャック1は、本体基板11、金属ベース12、接着層13等を備えている。本体基板11と金属ベース12とは、両者の間に配置された接着層13を介して接合されている。
【0034】
本実施形態では、本体基板11側を上側、金属ベース12側を下側とする。上下方向とは、本体基板11と金属ベース12との積層方向であり、本体基板11及び金属ベース12の厚み方向である。上下方向(厚み方向)に直交する方向とは、静電チャック1が平面的に広がる方向(平面方向、面方向)である。
【0035】
同図に示すように、本体基板11は、半導体ウェハ8を吸着保持する部材である。本体基板11は、直径300mm、厚み3mmの円板状に形成されている。本体基板11の上面111は、半導体ウェハ8を吸着する吸着面である。本体基板11は、複数のセラミック層(図示略)を積層して構成されている。各セラミック層は、アルミナを主成分とするアルミナ質焼結体からなる。
【0036】
本体基板11の内部には、吸着用電極21及び発熱体(ヒータ電極)41が配置されている。吸着用電極21は、本体基板11の内部において、略同一平面上に配置されている。吸着用電極21は、直流高電圧を印加することにより静電引力を発生する。この静電引力により、半導体ウェハ8は本体基板11の上面(吸着面)111に吸着され保持される。吸着用電極21は、タングステンからなる。
【0037】
発熱体41は、本体基板11の内部において、吸着用電極21よりも下方側(金属ベース12側)に配置されている。発熱体41は、本体基板11の内部において、略同一平面上に配置されている。また、発熱体41は、矩形状(長方形状)の断面を有する。発熱体41は、表面粗さRaが1μm以下である。また、発熱体41は、タングステンからなる。吸着用電極21及び発熱体41を構成する材料としては、前述のタングステンの他、モリブデン、これらの合金等を用いることができる。吸着用電極21及び発熱体41を構成する材料として金や銀を用いる場合に比べて、セラミック多層配線基板の製造コストを低く抑えることができる。
【0038】
同図に示すように、金属ベース12は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属製の冷却用部材(クーリングプレート)である。金属ベース12は、直径340mm、厚み32mmの円板状に形成されている。金属ベース12は、本体基板11の下方側に配置されている。金属ベース12の内部には、冷却媒体(例えば、フッ素化液、純水等)を流通させる冷媒流路123が設けられている。
【0039】
同図に示すように、接着層13は、本体基板11と金属ベース12との間に配置されている。接着層13は、シリコーン樹脂からなる接着剤により構成されている。本体基板11と金属ベース12とは、接着層13を介して接合されている。
【0040】
図2(A)に示すように、吸着用電極21は、前述のとおり、本体基板11の内部において、略同一平面上に配置されている。吸着用電極21は、平面視で円形状に形成されている。
【0041】
図2(B)に示すように、吸着用電極21の下方側(金属ベース12側)には、ビア22が配置されている。ビア22は、本体基板11の中心軸に沿って上下方向に形成されている。ビア22は、吸着用電極21に接続されている。
【0042】
図1に示すように、静電チャック1の内部には、金属ベース12の下面122から本体基板11側に向かって上下方向に形成された内部穴31が設けられている。内部穴31には、筒状の絶縁部材32が嵌め込まれている。内部穴31の底面には、メタライズ層23が設けられている。メタライズ層23は、ビア22に接続されている。すなわち、吸着用電極21は、ビア22を介して、メタライズ層23に接続されている。
【0043】
メタライズ層23には、内部接続端子33が設けられている。内部接続端子33には、端子金具34が取り付けられている。端子金具34は、電源回路(図示略)に接続されている。吸着用電極21には、内部接続端子33等を介して、静電引力を発生させるための電力が供給される。
【0044】
図3(A)に示すように、発熱体41は、前述のとおり、本体基板11の内部において、略同一平面上に配置されている。長尺状の1本の発熱体41は、何度も折り返して略同心円状に配置されている。
【0045】
図3(B)に示すように、発熱体41の下方側(金属ベース12側)には、一対のビア42、43が配置されている。一対のビア42、43は、発熱体41の一対の端子部411、412にそれぞれ接続されている。
【0046】
図3(C)に示すように、一対のビア42、43の下方側(金属ベース12側)には、一対のドライバ(内部導電層)44、45が配置されている。一対のドライバ44、45は、一対のビア42、43にそれぞれ接続されている。各ドライバ44、45は、平面視が略半円形状に形成されている。
【0047】
図3(D)に示すように、一対のドライバ44、45の下方側(金属ベース12側)には、一対のビア46、47が配置されている。一対のビア46、47は、一対のドライバ44、45にそれぞれ接続されている。
【0048】
図1に示すように、静電チャック1の内部には、金属ベース12の下面122から本体基板11側に向かって上下方向に形成された内部穴51が設けられている。内部穴51には、筒状の絶縁部材52が嵌め込まれている。内部穴51の底面には、一対のメタライズ層48が設けられている(
図1では一方のみを示す)。一対のメタライズ層48は、一対のビア46、47にそれぞれ接続されている。すなわち、発熱体41(端子部411、412)は、ビア42、43、ドライバ44、45及びビア46、47を介して、メタライズ層48に接続されている。
【0049】
メタライズ層48には、内部接続端子53が設けられている。内部接続端子53には、端子金具54が取り付けられている。端子金具54は、電源回路(図示略)に接続されている。発熱体41には、内部接続端子53等を介して、発熱体41を発熱させるための電力が供給される。
【0050】
図示を省略したが、静電チャック1(本体基板11、金属ベース12、接着層13)の内部には、半導体ウェハ8を冷却するヘリウム等の冷却用ガスの供給通路となる冷却用ガス供給路が設けられている。本体基板11の上面(吸着面)111には、冷却用ガス供給路が開口して形成された複数の冷却用開口部(図示略)及びその冷却用開口部から供給された冷却用ガスが本体基板11の上面(吸着面)111全体に広がるように形成された環状の冷却用溝部(図示略)が設けられている。
【0051】
次に、静電チャック(半導体製造装置用部品)1の製造方法について説明する。
図4〜
図7に示すように、静電チャック(半導体製造装置用部品)1の製造方法は、本体基板11となるセラミックグリーンシート110e上に、発熱体材料である感光性金属ペースト410を塗布する塗布工程と、セラミックグリーンシート110e上に塗布した感光性金属ペースト410を露光及び現像し、セラミックグリーンシート110e上に発熱体41となる中間発熱体410aを形成する露光現像工程と、セラミックグリーンシート110e及び中間発熱体410aを同時焼成し、本体基板11及び発熱体41を形成する焼成工程と、を有する。以下、この静電チャック1の製造方法を詳細に説明する。
【0052】
まず、ステップ1として、従来公知の方法により、アルミナを主成分とするセラミックグリーンシートを作製する。本実施形態では、本体基板11となる6枚のセラミックグリーンシート110a〜110f(
図7参照)を作製する。
【0053】
次いで、ステップ2として、
図4(A)に示すように、セラミックグリーンシート110e(
図7参照)に、パンチング等の方法で一対のスルーホール191、192を形成する。一対のスルーホール191、192は、一対のビア42、43となる位置に形成する。
【0054】
次いで、ステップ3として、
図4(B)に示すように、セラミックグリーンシート110eに形成した一対のスルーホール191、192内に、メタルマスク等を用いて、ビア用インク420、430を充填する。ビア用インク420、430は、アルミナを主成分とするセラミックグリーンシート用の原料粉末にタングステン粉末を混合してスラリー状としたメタライズインクである。
【0055】
次いで、ステップ4として、
図5(A)に示すように、セラミックグリーンシート110e上に、スクリーン印刷で感光性金属ペースト410を塗布する。感光性金属ペースト410は、セラミックグリーンシート110e上の全体に塗布する。感光性金属ペースト410は、タングステン粉末、感光性ポリマー、光硬化剤等を含有するペーストである。感光性金属ペースト410は、粘度を100〜20000poise、塗布厚みを5〜30μmとすることができる。塗布した感光性金属ペースト410は、80〜120℃、5〜30分の条件で乾燥させる。
【0056】
次いで、ステップ5として、
図5(B)に示すように、セラミックグリーンシート110eの上方に、ガラスマスク72を位置合わせして配置する。そして、セラミックグリーンシート110e上の感光性金属ペースト410に対して、露光装置71からガラスマスク72を介して所定の部分に光(紫外線)を当てる。光源としては、水銀灯(g線、h線)等を用いることができる。露光量は、200〜6000mjとすることができる。露光装置71としては、例えば、直描露光装置(LDI:Laser Direct Imager)が用いられる。ガラスマスク72は、紫外線を透過可能とする複数の光透過部、及び、紫外線を透過不能とする非透過部からなるフォトマスクが用いられる。
【0057】
このとき、感光性金属ペースト410のうち、発熱体41となる部分に光を当てる。これにより、感光性金属ペースト410のうち、光を当てた部分(露光した部分)を硬化させ、中間発熱体410aを形成する。光を当てなかった部分(露光しなかった部分)は、未露光部410bとなる。
【0058】
次いで、ステップ6として、
図5(C)に示すように、感光性金属ペースト410のうち、中間発熱体410a以外の部分(未露光部410b)を除去する。具体的には、感光性金属ペースト410を塗布したセラミックグリーンシート110eを現像液に浸漬する。現像液としては、0.1〜5質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いた。これにより、感光性金属ペースト410のうち、未露光部410bが除去され、中間発熱体410aが残る。その後、洗浄、乾燥を行う。乾燥は、80〜120℃、5〜30分の条件で行う。
【0059】
図6に示すように、セラミックグリーンシート110e上の中間発熱体410aは、矩形状(長方形状)の断面を有する。中間発熱体410aは、表面粗さRaが1μm以下である。中間発熱体410aのパターン幅(線幅)Wは、20〜2000μmとすることができる。なお、同図は、中間発熱体410aの長さ方向(軸方向)に直交する断面を示したものである。
【0060】
次いで、ステップ7として、
図7に示すように、セラミックグリーンシート110e以外のセラミックグリーンシート110c、110fの必要な箇所にも、前述のメタライズインクの充填、塗布等を行う。
【0061】
具体的には、セラミックグリーンシート110cに、パンチング等の方法でスルーホールを形成する。そして、スルーホール内に、メタルマスク等を用いて、ビア22となるビア用インク220を充填する。その後、セラミックグリーンシート110c上に、スクリーン印刷等の方法で吸着用電極21となる電極用インク210を塗布する。ビア用インク220及び電極用インク210は、前述のメタライズインクである。
【0062】
また、セラミックグリーンシート110fに、パンチング等の方法で一対のスルーホールを形成する。そして、一対のスルーホール内に、メタルマスク等を用いて、一対のビア46、47となるビア用インク460、470を充填する。その後、セラミックグリーンシート110f上に、スクリーン印刷等の方法でドライバ44、45となるドライバ用インク440、450を塗布する。ビア用インク460、470及びドライバ用インク440、450は、前述のメタライズインクである。
【0063】
また、セラミックグリーンシート110d〜110fには、内部穴31となる部分に貫通孔を形成しておく(前述の
図5では貫通孔の図示を省略)。また、セラミックグリーンシート110fには、内部穴51となる部分に凹部を形成しておく。
【0064】
次いで、ステップ8として、複数のセラミックグリーンシート110a〜110f(
図7参照)を積層し、熱圧着する。これにより、セラミックグリーンシート110a〜110f、中間発熱体410等を含む積層シートを得る。そして、積層シートを所定の形状にカットする。その後、還元雰囲気中、1400〜1800℃の範囲(例えば1450℃)の温度条件で5時間、積層シートの同時焼成を行う。その結果、セラミックグリーンシート110a〜110f中のアルミナ、導電性ペースト中のタングステン、及び、感光性金属ペースト410(中間発熱体410a)中のタングステンが同時焼結する。そして、セラミックグリーンシート110a〜110fがアルミナ質焼結体となり、感光性金属ペースト410(中間発熱体410a)が発熱体41となる。
【0065】
次いで、ステップ9として、アルミナ質焼結体の必要な箇所に、メタライズ層23、48等を形成する。これにより、本体基板11を得る。その後、シリコーン樹脂からなる接着剤を用いて、本体基板11と金属ベース12とを接合する。これにより、本体基板11と金属ベース12とが接着層13により接合された静電チャック1を得る。
【0066】
なお、本実施形態では、本体基板11を構成するセラミックとしてアルミナを用いたが、例えば、窒化アルミニウムを用いる場合、前述のステップ8において、還元雰囲気中、1600〜2000℃の範囲の温度条件で5時間、積層シートの同時焼成を行う。
【0067】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態の静電チャック(半導体製造装置用部品)1の製造方法では、前記塗布工程、前記露光工程及び前記現像工程を行う。すなわち、フォトリソグラフィを用いて、発熱体材料(感光性金属ペースト410)を所望のパターンに形成する。そのため、フォトリソグラフィを用いて形成された発熱体材料(中間発熱体410a)のパターンの厚みや幅のばらつきは、従来のスクリーン印刷等の方法で形成されたパターンの厚みや幅のばらつきと比べて、少なくできる。
【0068】
これにより、厚みや幅のばらつきが抑制され、発熱の均一性に優れている発熱体41を前記焼成工程において形成できる。よって、発熱体41が設けられた本体基板11の温度ばらつき(面方向の温度ばらつき)、さらには本体基板11に支持された半導体ウェハ8の温度ばらつきを抑制できる。その結果、例えば、半導体ウェハ8に対するエッチングの加工精度を高め、歩留りを向上させることができる。
【0069】
また、前述のフォトリソグラフィを用いて形成された発熱体材料(中間発熱体410a)のパターンに異なる線幅が混在していたとしても、それぞれのパターンの厚みや幅のばらつきを抑制できる。これにより、例えば、異なる線幅が混在するような複雑なパターンの発熱体41を精度良く形成することができる。
【0070】
また、本実施形態の製造方法では、中間発熱体410aは、矩形状の断面を有する。そのため、発熱体材料(中間発熱体410a)の厚みや幅のばらつきを抑制できる。これにより、厚みや幅のばらつきを抑制し、発熱の均一性に優れた発熱体41が得られる。
【0071】
また、中間発熱体410aは、表面粗さRaが1μm以下である。そのため、発熱体材料(中間発熱体410a)の厚みや幅のばらつきを抑制できる。これにより、厚みや幅のばらつきを抑制し、発熱の均一性に優れた発熱体41が得られる。
【0072】
本実施形態の静電チャック(半導体製造装置用部品)1において、本体基板11に設けられた発熱体41は、矩形状の断面を有する。そのため、発熱体41は、厚みや幅のばらつきが少なく、発熱の均一性に優れたものとなる。これにより、発熱体41が設けられた本体基板11の温度ばらつき(面方向の温度ばらつき)、さらには本体基板11に支持(保持)された半導体ウェハ8の温度ばらつきを抑制できる。その結果、例えば、半導体ウェハ8に対するエッチング等の加工精度を高め、歩留りを向上させることができる。
【0073】
また、本実施形態において、本体基板11に設けられた発熱体41は、表面粗さRaが1μm以下である。そのため、発熱体41は、厚みや幅のばらつきが少なく、発熱の均一性に優れたものとなる。
【0074】
このように、本実施形態によれば、発熱体41の厚みや幅のばらつきを抑制し、発熱体41が設けられた本体基板11の温度ばらつきを抑制できる静電チャック(半導体製造装置用部品)1及びその製造方法を提供することができる。
【0075】
(実施形態2)
本実施形態は、
図8、
図9に示すように、前述の実施形態1の静電チャック1(
図1〜
図3参照)において、その製造方法を変更した例である。
【0076】
図8、
図9に示すように、に示すように、本実施形態の静電チャック(半導体製造装置用部品)1の製造方法は、キャリアフィルム600上に、発熱体材料である感光性金属ペースト410を塗布する塗布工程と、キャリアフィルム600上に塗布した感光性金属ペースト410を露光及び現像し、キャリアフィルム600上に発熱体41となる中間発熱体410aを形成する露光現像工程と、キャリアフィルム600上の中間発熱体410を本体基板11となるセラミックグリーンシート110e上に転写する転写工程と、セラミックグリーンシート110e及び中間発熱体410aを同時焼成し、本体基板11及び発熱体41を形成する焼成工程と、を有する。
【0077】
本実施形態の製造方法は、前述の実施形態1の製造方法におけるステップ1〜9のうち、ステップ4〜6が異なり、その他のステップは前述の実施形態1と同様である。以下、実施形態1と異なるステップ4〜6を中心に説明する。
【0078】
ステップ4Aとして、
図8(A)に示すように、樹脂製のキャリアフィルム600上に、塗工機等を用いて感光性金属ペースト410を塗布する。感光性金属ペースト410は、キャリアフィルム600上の全体に塗布する。塗布した感光性金属ペースト410は、80〜120℃、5〜30分の条件で乾燥させる。本実施形態のキャリアフィルム600は、ポリエチレンナフタレート(PEN)からなる。なお、キャリアフィルム600としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド等を用いることができる。
【0079】
ステップ5Aとして、
図8(B)に示すように、キャリアフィルム600の上方に、ガラスマスク72を位置合わせして配置する。そして、キャリアフィルム600上の感光性金属ペースト410に対して、露光装置71からガラスマスク72を介して所定の部分に光(紫外線)を当てる。
【0080】
このとき、感光性金属ペースト410のうち、発熱体41となる部分に光を当てる。これにより、感光性金属ペースト410のうち、光を当てた部分(露光した部分)を硬化させ、中間発熱体410aを形成する。光を当てなかった部分(露光しなかった部分)は、未露光部410bとなる。
【0081】
ステップ6A−1として、
図8(C)に示すように、感光性金属ペースト410のうち、中間発熱体410a以外の部分(未露光部410b)を除去する。具体的には、感光性金属ペースト410を塗布したキャリアフィルム600を現像液に浸漬する。これにより、感光性金属ペースト410のうち、未露光部410bが除去され、中間発熱体410aが残る。その後、洗浄、乾燥を行う。乾燥は、80〜120℃、5〜30分の条件で行う。
【0082】
ステップ6A−2として、
図9(A)に示すように、セラミックグリーンシート110e上に、中間発熱体410aが形成されたキャリアフィルム600を接着(圧着)する。このとき、キャリアフィルム600に形成された中間発熱体410aがセラミックグリーンシート110e側となるように、セラミックグリーンシート110e上にキャリアフィルム600を接着(圧着)する。
【0083】
ステップ6A−3として、
図9(B)に示すように、セラミックグリーンシート110eからキャリアフィルム600を剥がす。これにより、セラミックグリーンシート110e上に中間発熱体410aを転写する。すなわち、セラミックグリーンシート110e上に中間発熱体410aを形成する。
【0084】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0085】
本実施形態の静電チャック(半導体製造装置用部品)1の製造方法では、前記塗布工程、前記露光現像工程、前記転写工程を順に行う。すなわち、フォトリソグラフィを用いて、キャリアフィルム600上に発熱体材料(感光性金属ペースト410)を所望のパターンに形成し、これをセラミックグリーンシート110e上に転写する。そのため、前述した実施形態1における静電チャック(半導体製造装置用部品)1の製造方法と同様の作用効果が得られる。
【0086】
また、本実施形態の製造方法は、セラミックグリーンシート110eが水と反応しやすい材料の場合に好適である。水と反応しやすい材料としては、窒化アルミニウムが挙げられる(2AlN+3H
2O→2NH
3+Al
2O
3)。例えば、現像液が炭酸ナトリウム水溶液の場合、その現像液とセラミックグリーンシート110eとが反応してしまうが、本実施形態の製造方法では、現像液とセラミックグリーンシート110eとが接触しないため、そのような問題が起こらず好適である。
【0087】
(実験例)
本実験例では、異なる方法でパターン形成した発熱体材料の表面粗さ及び厚みばらつきを評価した。また、異なる方法でパターン形成した発熱体材料をセラミックグリーンシートと同時焼成した発熱体の形状を観察した。
【0088】
まず、実施形態1と同様の感光性金属ペースト(発熱体材料)を用いて、実施形態1と同様のフォトリソグラフィによりパターンをセラミックグリーンシート(アルミナグリーンシート)上に形成した(試料11)。比較として、従来の金属ペースト(発熱体材料)を用いて、スクリーン印刷によりパターンをセラミックグリーンシート上に形成した(試料21)。線幅は、いずれも0.70mmとした。
【0089】
次いで、接触式の粗さ測定機(東京精密社製、SURFCOM 1500SD3)を用いて、試料11及び試料21の発熱体材料の表面粗さを分析した。測定条件としては、測定範囲:1000μm、最小分解能:0.0001μm、測定力:0.75mN、触針材質:ダイヤモンド、触針形状:60°円錐形、測定速度:0.5mm/秒とした。
【0090】
図10は、試料11の発熱体材料の表面粗さ分析結果である。
図11は、試料21の発熱体材料の表面粗さ分析結果である。
図10及び
図11を比較すると、フォトリソグラフィにより形成された試料11の表面粗さは、スクリーン印刷により形成された試料21の表面粗さに比べて、小さいことがわかる。また、
図10に示すように、試料11の発熱体材料は、断面が矩形状であることがわかる。
【0091】
次に、感光性金属ペースト(発熱体材料)を用いて、フォトリソグラフィにより4種類の異なる線幅のパターンを同一のセラミックグリーンシート上に同時に形成した(試料12)。比較として、従来の金属ペースト(発熱体材料)を用いて、スクリーン印刷により4種類の異なる線幅のパターンを同一のセラミックグリーンシート上に同時に形成した(試料22)。4種類の異なる線幅は、0.18mm、0.36mm、0.72mm、1.10mmである。それぞれの線幅のパターンにおける厚みの平均値を求めた。
【0092】
図12は、試料12及び試料22の発熱体材料の線幅と厚みとの関係を示したグラフである。同図において、S1が試料12の結果、S2が試料22の結果である。同図から、フォトリソグラフィにより形成された試料12(S1)は、線幅が異なる試料ごとの厚みの差が小さいことがわかる。よって、パターンが異なる線幅が混在していたとしても、フォトリソグラフィにより形成された試料12(S1)は、スクリーン印刷により形成された試料22(S2)よりも、パターンの厚みのばらつきを抑制できることがわかる。
【0093】
次に、感光性金属ペースト(発熱体材料)を用いて、フォトリソグラフィにより3種類の異なる線幅のパターンをセラミックグリーンシート上に形成した。このセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックシートを積層・熱圧着し、所定の条件で焼成を行うことにより、発熱体を有する本体基板を得た(試料13)。比較として、従来の金属ペースト(発熱体材料)を用いて、スクリーン印刷により3種類の異なる線幅のパターンをセラミックグリーンシート上に形成した。このセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックシートを積層・熱圧着し、所定の条件で焼成を行うことにより、発熱体を有する本体基板を得た(試料23)。これらの本体基板の断面(特に発熱体の断面形状)を観察した。
【0094】
図13(A)〜(C)は、試料13の発熱体(線幅:0.18mm、0.36mm、0.72mm)の断面形状を示す写真である。
図14は、試料13の発熱体の断面形状を示す模式図である。
図15(A)〜(C)は、試料23の発熱体(線幅:0.18mm、0.36mm、0.72mm)の断面形状を示す写真である。
図16は、試料23の発熱体の断面形状を示す模式図である。
【0095】
図13(A)〜(C)に示すように、試料13の発熱体は、断面が矩形状(長方形状)である。すなわち、
図14に示すように、本体基板11に設けられた発熱体41は、断面が矩形状(長方形状)である。長方形の角部は、多少の丸みを有している。発熱体41は、線幅や厚みがほぼ一定である。
【0096】
一方、
図15(A)〜(C)に示すように、試料23の発熱体は、幅方向両端部が三角形状に尖っている。すなわち、
図16に示すように、本体基板911に設けられた発熱体941は、幅方向両端部が三角形状に尖っている。発熱体941の幅方向両端部は、先端へ行くほど厚みが小さくなっている。
【0097】
この結果から、試料13の発熱体(フォトリソグラフィによりパターンを形成)は、矩形状の断面を有することにより、試料23の発熱体(スクリーン印刷によりパターンを形成)に比べて、厚みや幅のばらつきが少なく、発熱の均一性に優れたものであることがわかる。
【0098】
(その他の実施形態)
本発明は、前述の実施形態、実験例等に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0099】
(1)前述の実施形態では、前記塗布工程において、セラミックグリーンシート上に、スクリーン印刷で感光性金属ペーストを塗布したが、例えば、セラミックグリーンシートに対してメタルマスクを配置しておき、塗布工程ではメタルマスクを介して感光性金属ペーストを塗布するようにしてもよいし、塗工機等を用いて塗布してもよい。
【0100】
(2)前述の実施形態では、発熱体を本体基板の内部に設けたが、例えば、本体基板の表面に設けてもよい。同様に、吸着用電極を本体基板の内部に設けたが、例えば、本体基板の表面に設けてもよい。
【0101】
(3)前述の実施形態では、感光性金属ペーストとして、現像時に露光部分が残る「ネガ型」の感光性金属ペーストを用いたが、現像時に露光部分が除去される「ポジ型」の感光性金属ペーストを用いてもよい。