特許第6463942号(P6463942)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大成建設株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社オカモト・コンストラクション・システムの特許一覧

<>
  • 特許6463942-スリット用型枠 図000002
  • 特許6463942-スリット用型枠 図000003
  • 特許6463942-スリット用型枠 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463942
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】スリット用型枠
(51)【国際特許分類】
   E04G 15/06 20060101AFI20190128BHJP
   E04G 9/00 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   E04G15/06 D
   E04G9/00 102
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-213810(P2014-213810)
(22)【出願日】2014年10月20日
(65)【公開番号】特開2016-79731(P2016-79731A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508112737
【氏名又は名称】株式会社オカモト・コンストラクション・システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 知英
(72)【発明者】
【氏名】町田 恵津子
(72)【発明者】
【氏名】猪野 寛明
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−101366(JP,A)
【文献】 特開2013−032673(JP,A)
【文献】 特公昭51−049499(JP,B2)
【文献】 特開2000−220157(JP,A)
【文献】 特開2000−204534(JP,A)
【文献】 米国特許第05190395(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 15/06
E04G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚のせき板と、前記二枚のせき板の間に介設された中間部材と、が重ね合わされてなるスリット用型枠であって、
前記二枚のせき板がそれぞれ分割可能であり、
一方の前記せき板の分割箇所と他方の前記せき板の分割箇所とが、当該二枚のせき板を重ねた状態で一致しないように構成されていることを特徴とするスリット用型枠。
【請求項2】
前記中間部材が板材であることを特徴とする、請求項1に記載のスリット用型枠。
【請求項3】
前記二枚のせき板が鋼板であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のスリット用型枠。
【請求項4】
二枚のせき板と、前記二枚のせき板の間に介設された中間部材と、が重ね合わされてなるスリット用型枠であって、
前記二枚のせき板および前記中間部材が、型枠の外側に突出するフランジ部において固定されていることを特徴とするスリット用型枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物にスリットを形成するためのスリット用型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物には、コンクリートの膨張や収縮にともなうひび割れや、地震時に応力が集中することによる破損等を防止するために、所定の位置にスリットや目地を設ける場合がある。
【0003】
スリットは、発泡ポリスチレン等からなるスリット用型枠を設けておき、型枠の脱型時にこのスリット用型枠を撤去することにより形成するのが一般的である。
また、特許文献1には、スリット材本体を前後から支持する支持部材と、スリット材本体の前後に配設された目地棒と、スリット材本体の両側面に配設された溝型鋼と、スリット材本体の側方に間隔をあけて配設されたセパレータとを備えるスリット構造が開示されている。このスリット構造では、溝型鋼を貫通する連結ボルトを介して、セパレータによりスリット材本体を支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−044197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来のスリット用型枠は、硬化したコンクリートに付着したり、コンクリート打設時の圧力により変形するおそれがある。このようなケースでは、スリット用型枠の撤去作業に手間がかかる。
また、特許文献1のスリット構造は、構造が煩雑で、特殊な金具を使用するため、施工に手間がかかるとともに、費用が高くなる。
【0006】
このような観点から、本発明は、簡易にコンクリート構造物にスリットを形成することを可能としたスリット用型枠を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のスリット用型枠は、二枚のせき板と、前記二枚のせき板の間に介設された中間部材とが重ね合わされてなり、前記二枚のせき板がそれぞれ分割可能であり、一方の前記せき板の分割箇所と他方の前記せき板の分割箇所とが、当該二枚のせき板を重ねた状態で一致しないように構成されている。
前記中間部材は、板材であってもよいし、丸鋼等の棒材であってもよい。
また、前記二枚のせき板は、材料調達の容易さ、撤去時の容易さや、転用性等を考慮すると、鋼板であることが望ましい。
【0008】
かかるスリット用型枠によれば、コンクリートによる押圧力が作用している場合であっても、中間部材を取り外すことで簡易に撤去することができる。中間部材は、2枚のせき板の間に介設されているため、コンクリートに付着していない。したがって、中間部材を比較的簡易に抜き出すことができる。
【0009】
また、前記二枚のせき板がそれぞれ分割可能に構成されているため、スリット用型枠の撤去作業を行いやすくなる。
また、一方の前記せき板の分割箇所と他方の前記せき板の分割箇所とが、当該二枚のせき板を重ねた状態で一致しないように構成されているため、分割箇所がコンクリート圧に対して弱点となることを防止することができる。
さらに、前記二枚のせき板および前記中間部材は、型枠の外側に突出するフランジ部において互いに固定されているのが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のスリット用型枠によれば、コンクリート構造物のスリットを簡易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態のスリット用型枠を示す斜視図である。
図2】スリット用型枠の使用状況を示す図であって、(a)は型枠の平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
図3】スリット用型枠の各部材を示す側面図であって、(a)は第二のせき板、(b)は第一のせき板、(c)は中間部材、(d)は固定板材である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態では、空目地(スリット)を有するコンクリート構造物を形成する場合について説明する。
コンクリート構造物の空目地は、スリット用型枠1を利用して形成する。
【0015】
スリット用型枠1は、図1に示すように、2枚のせき板2,3と、中間部材4とを重ね合わせることにより構成されている。なお、本明細書の説明において、上下前後左右は、図1に示す方向に統一する。
【0016】
スリット用型枠1は、図2の(a)に示すように、型枠5の一部を構成している。スリット用型枠1の前面側は、前せき板51,51により挟まれており、スリット用型枠1の後面側は、後せき板52,52により挟まれている。
すなわち、スリット用型枠1は、せき板51,52と交差するように配設されている。
【0017】
スリット用型枠1のせき板2,3は、表面が平らな鋼板により構成されている。本実施形態では、中間部材の右側に配設される第一のせき板2と、中間部材の左側に配設される第二のせき板3とを有している。なお、せき板2,3を構成する板材は、例えば木製板材であってもよく、コンクリート打設時に圧力が作用した場合であっても変形しない強度を有していれば、必ずしも鋼板である必要はない。
【0018】
せき板2,3は、コンクリート構造物の空目地を形成する箇所において、左右のコンクリートの端面に配設される板材であって、図2の(b)に示すように、コンクリート構造物の断面形状に応じて台形状に形成されている。なお、せき板2,3の形状は、コンクリート構造物の断面形状に応じて適宜形成すればよく、台形状に限定されない。
【0019】
せき板2,3は、コンクリート構造物の断面形状よりも大きな高さを有している。せき板2,3の上端部21,31は、前せき板51および後せき板52と組み合せた状態で、コンクリート構造物の設計断面(前せき板51および後せき板52の上端)から上方に突出する。
【0020】
図3の(b)に示すように、第一のせき板2の上端部21は長方形状に形成されていて、前後の端部が一般部20の端面よりも左右に突出している。
同様に、図3の(a)に示すように、第二のせき板3の上端部31も長方形に形成されていて、前後の端部が一般部30の端面よりも左右に突出している。
【0021】
図3の(a)および(b)に示すように、せき板2,3の上端部21,31には、貫通孔22,32が形成されている。
貫通孔22,32には、固定ボルトが挿通される。第一のせき板2、第二のせき板3および中間部材4は、貫通孔22および貫通孔32に挿通した固定ボルトを介して連結される。すなわち、せき板2,3の上端部21,31は、フランジ部を構成している。なお、本実施形態では、第一のせき板2の上端部21に4つの貫通孔22,22が上端縁と平行となるように形成されており、同様に第二のせき板3の上端部31に4つの貫通孔32,32が上端縁と平行となるように形成されているが、貫通孔22,32の数および配置は限定されない。
【0022】
せき板2,3の本体部20,30(上端部21,31以外の部分であって、コンクリートに接する部分)からは、前後に突出する下フランジ部23,33が形成されている。本実施形態では、本体部20,30の高さ方向中央部よりも下側に下フランジ部23,33が形成されているが、下フランジ部23,33の形成箇所(高さ位置)は限定されない。
【0023】
図2の(b)に示すように、せき板2(3)の前側に形成された下フランジ部23(33)は、前せき板51の外面(前面)よりも突出する形状を有している。また、せき板2(3)の後側に形成された下フランジ部23(33)は、後せき板52の外面(後面)よりも突出する形状を有している。
【0024】
下フランジ部23,33には、図3の(a)および(b)に示すように、固定ボルトを挿通するための貫通孔24,34が1個所ずつ形成されている。なお、下フランジ部23,33に形成される貫通孔24,34の数は限定されない。貫通孔24,34は、固定ボルトの挿通が可能に形成されており、第一のせき板2、第二のせき板3および中間部材4は、貫通孔24および貫通孔34を挿通した固定ボルトを介して固定される。
【0025】
第一のせき板2は、図3の(b)に示すように、前後の分割板材2a,2bを組み合わせることにより形成されている。すなわち、せき板2は、前後に分割可能である。
同様に、第二のせき板3は、図3の(a)に示すように、前後の分割板材3a,3bを組み合わせることにより、前後に分割可能に形成されている。
【0026】
なお、第一のせき板2の分割板材2a,2bと、第二のせき板3の分割板材3a,3bは異なる形状に形成されている。すなわち、第一のせき板2の分割位置2c(分割板材2a,2bの突き合わせ面)と第二のせき板3の分割位置3c(分割板材3a,3bの突き合わせ面)は互いに異なっていて、両せき板2,3を重ねた状態で、分割位置が一致しないように構成されている(図2の(b)参照)。
【0027】
分割板材の他方の分割板材側端面には、半円状の凹部が形成されている。凹部は、分割板材同士を組み合わせることで、円形の貫通孔25,35を形成する。本実施形態では、せき板2に、上下2段の貫通孔25,35が形成されているが、貫通孔25,35の数は限定されない。
なお、貫通孔25,35は必要に応じて形成すればよく、省略してもよい。
【0028】
中間部材4は、表面が平らな鋼板により構成されていて、2枚のせき板2,3の間に介設された状態で使用する。なお、中間部材4を構成する材料は、コンクリート打設時に作用する圧力に対して変形することがない強度を有していれば、鋼板以外の板材であってもよい。また、中間部材4は、鋼棒等の棒状部材であってもよい。
【0029】
中間部材4は、せき板2,3よりも大きな幅寸法を有していて、図1に示すように、2枚のせき板2,3と重ねた状態で、前後の端部が突出する。すなわち、中間部材4の前後の端部は、図2に示すように、前せき板51の前面および後せき板52の後面から突出する。
【0030】
中間部材4は、コンクリート構造物の断面形状よりも大きな高さを有しており、図2の(b)に示すように、上端部41が前せき板51および後せき板52の上方に突出する形状を有している。
【0031】
中間部材4の上端部41には、図3の(c)に示すように、固定ボルトを挿通するための貫通孔42,42が形成されている。中間部材4は、貫通孔42を挿通させた固定ボルトを介してせき板2,3に固定される。すなわち、上端部41は、フランジ部を構成している。
上端部41は、長方形状に形成されていて、前後の端部が一般部40の端面よりも左右に突出している。
【0032】
本実施形態では、せき板2,3の上端部21,31に形成された貫通孔22,32の位置に応じて上端部41に4つの貫通孔42が形成されている。なお、貫通孔42の数および配置は限定されない。
【0033】
中間部材4の本体部40(上端部41以外の部分)には、前後に突出する下フランジ部43が形成されている。本実施形態では、本体部40の高さ方向中央部よりも下側に下フランジ部43が形成されているが、下フランジ部43の形成箇所は限定されない。
【0034】
図2の(b)に示すように、中間部材4の前側に形成された下フランジ部43は、前せき板51の外面(前面)よりも突出する形状を有している。また、中間部材4の後側に形成された下フランジ部43は、後せき板52の外面(後面)よりも突出する形状を有している。
下フランジ部43の先端は、せき板2,3と中間部材4とを重ね合わせた状態で、せき板2,3の下フランジ部23,33の先端と一致する。
【0035】
下フランジ部43には、固定ボルトを挿通するための貫通孔44が1個所ずつ形成されている。なお、下フランジ部43に形成される貫通孔44の数は限定されない。中間部材4は、貫通孔44を挿通させた固定ボルトを介してせき板2,3に固定される。
【0036】
中間部材4は、図3の(c)に示すように、前後の分割板材4a,4bを組み合わせることにより形成されている。すなわち、中間部材4は、前後に分割可能である。
なお、中間部材4の分割位置4c(分割板材4a,4bの突き合わせ個所)は、各せき板2,3の分割位置2c,3cと異なっている。すなわち、2枚のせき板2,3と中間部材4とを重ね合わせると、左右のせき板2,3および中間部材4に形成された3つの分割位置は、一致しないように構成されている(図2の(b)参照)。
【0037】
分割板材の他方の分割板材側の端面には、半円状の凹部が形成されている。凹部は、分割板材4a,4bを組み合わせることで、円形の貫通孔45を形成する。本実施形態の中間部材4には、上下2段の貫通孔45,45が形成されているが、貫通孔45の配置および数は、限定されるものではない。また、貫通孔45は必要に応じて形成すればよく、省略してもよい。
【0038】
実施形態では、2枚のせき板2,3と中間部材4とを固定ボルトを介して固定する際に、上端部21,31,41に固定板材6を固定する。
固定板材6は、上端部21,31,41と同等の形状を有した長方形状の鋼板であって、上端部21,31,41に形成された貫通孔22,32,42の位置に応じて貫通孔61が形成されている。
【0039】
スリット用型枠1は、各分割板材の上端部を固定板材6に固定することで、一体に固定されているとともに、上端部21,31,41の剛性が高められている。
なお、2枚のせき板2,3と中間部材4との当接面には、潤滑剤を塗布しておく。潤滑剤を構成する材料や、潤滑剤の設置方法は限定されない。
【0040】
次に、本実施形態のコンクリート構造物の施工方法について説明する。
コンクリート構造物の施工方法は、型枠組立工程と、打設工程と、脱型工程とを備えている。
【0041】
型枠組立工程は、スリット用型枠1が配設された型枠5を組み立てる工程である。
本実施形態では、型枠5を組み立てるとともに、鉄筋7の配筋と、配線用管8の配管を行う(図2の(a)参照)。
【0042】
鉄筋7は、縦筋と横筋とを組み合わせることにより格子状に配筋されている。なお、鉄筋7として、鉄筋籠を配設してもよい。また、鉄筋7の配設ピッチや、鉄筋径等は限定されるものではない。
【0043】
配線用管8は、コンクリート構造物内を挿通する電線等を配線するための管材であって、せき板2,3および中間部材4に形成された貫通孔25,35,45を挿通している。なお、配線用管8は、必要に応じて配管すればよく、省略してもよい。
【0044】
スリット用型枠1は、せき板2,3、中間部材4および固定板材6を重ね合わせるとともに固定ボルトにより固定した状態で、前せき板51および後せき板52と組み合わせる。
せき板2,3と中間部材4との当接面には、潤滑剤を塗布する。また、せき板2,3のコンクリートとの接触面には剥離剤を塗布しておく。
【0045】
本実施形態では、まず、せき板2,3の後側の分割板材2b,3bと中間部材4の後側の分割板材4bとを組み合わせた状態で、後せき板52に設置する。
次に、鉄筋6および配線用管材7を配設した後、せき板2,3の分割板材2a,3aと中間部材4の分割板材4aを取り付けるとともに、前せき板51を設置する。
なお、型枠5の組立順序は限定されない。
【0046】
打設工程は、型枠5内にコンクリートを打設する工程である。
コンクリートを打設したら、所定の強度が発現するまで、コンクリートを養生する。
【0047】
脱型工程は、コンクリートの養生後、型枠5を撤去する工程である。
スリット用型枠1の撤去は、まず、中間部材4を撤去する。
中間部材4を撤去すると、第一のせき板2と第二のせき板3との間に隙間が形成されるため、両せき板2,3をコンクリート部材との当接面から撤去する際には、この隙間を利用して撤去する。
【0048】
本実施形態のスリット用型枠1を利用すれば、コンクリートによる押圧力が作用している場合であっても、中間部材4を取り外すことで、スリット用型枠1を簡易に撤去することができる。中間部材4は、2枚のせき板2,3の間に介設されているため、コンクリートに付着していない。したがって、中間部材4を比較的簡易に抜き出すことができる。
【0049】
せき板2,3および中間部材4は、鋼板により形成されているため、コンクリート打設時の液圧により変形することがなく、高品質に施工を行うことが可能である。
また、中間部材4とせき板2,3との当接面には潤滑剤が塗布されているため、中間部材4の撤去が容易である。
【0050】
中間部材4は、前後に分割可能なため、摩擦抵抗が少なく、簡易に撤去することができる。
さらに、中間部材4は、せき板2,3よりも大きな形状を有しているため、中間部材4を抜き出す際に突出部分を利用することで、作業性が向上する。
【0051】
せき板2,3の撤去は、中間部材4を撤去することにより他方のせき板3,2との間に隙間を有した状態で行うため、容易である。
また、せき板2,3は、前後に分割可能であるため、コンクリート面との付着面積が小さく、撤去しやすい。
【0052】
せき板2,3および中間部材4が、前後に分割可能であるため、配線用管材8の設置も容易である。
なお、せき板2,3および中間部材4の各分割個所は、異なる位置となるように設定されているため、分割箇所がコンクリートによる押圧力に対して弱点となることが防止されている。
【0053】
二枚のせき板2,3および中間部材4は、前せき板51および後せき板52の外側に突出するフランジ部において互いに固定されているため、コンクリート構造物にスリット用型枠1を構築するための箱抜き等を形成する必要がない。また、脱型時の作業性も向上する。
【0054】
本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【0055】
例えば、前記実施形態では、せき板および中間部材が、分割可能な場合について説明したが、せき板および中間部材は、1枚の板材により構成されていてもよい。また、せき板及び中間部材の分割数は限定されない。
【0056】
潤滑剤および剥離剤の塗布は、必要に応じて行えばよい。
中間部材は、必ずしもせき板よりも大きな形状を有している必要はない。
【0057】
前記実施形態では、中間部材として、1枚の板材を2枚のせき板の間に介設する場合について説明したが、スリット(空目地)の大きさに応じて、複数枚の板材を2枚のせき板の間に介設してもよい。
【0058】
前記実施形態では、せき板と中間部材とをボルト接合する場合について説明したが、せき板および中間部材の固定方法は限定されない。
【符号の説明】
【0059】
1 スリット用型枠
2 第一のせき板
2a,2b 分割板材
20 本体部
21 上端部(フランジ部)
22 貫通孔
23 下フランジ部(フランジ部)
24 貫通孔
3 第二のせき板
3a,3b 分割板材
30 本体部
31 上端部(フランジ部)
32 貫通孔
33 下フランジ部(フランジ部)
34 貫通孔
4 中間部材
4a,4b 分割板材
41 上端部(フランジ部)
42 貫通孔
43 下フランジ部(フランジ部)
44 貫通孔
5 型枠
6 固定板材
図1
図2
図3