特許第6463959号(P6463959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463959
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20190128BHJP
【FI】
   A63F7/02 334
   A63F7/02 326B
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-245130(P2014-245130)
(22)【出願日】2014年12月3日
(65)【公開番号】特開2016-106722(P2016-106722A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】神岡 弘之
(72)【発明者】
【氏名】齋田 明紀
【審査官】 廣瀬 貴理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−057800(JP,A)
【文献】 特開2014−057741(JP,A)
【文献】 特開2010−075630(JP,A)
【文献】 特開2009−233385(JP,A)
【文献】 特開2003−225452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤着脱可能に取り付けと共に、少なくとも遊技球を前記遊技盤の表面である遊技面へ発射可能とする機構が設けられた本体と、
前記遊技盤の背面に設けられ、少なくとも遊技の進行に応じて前記遊技盤の表面から背面へ移行し、下部に位置する球回収部まで遊技球の自重で案内する球案内路部材と、
前記球案内路部材に取り付けられ、前記本体から伝わる振動の強度が所定のしきい値を超えた強度の振動を検出するように調整された振動検出手段と、
前記遊技盤の周縁部の少なくとも上下の関係となる複数箇所に設けられ、該遊技盤を前記本体に装着するための着脱操作部とを有し、
前記球回収部で発生する振動が、前記所定のしきい値を超えて伝わらないように、前記振動検出手段の前記球案内路部材への取付位置を、複数の前記着脱操作部のうち相対的に上となる着脱操作部の近傍に設けたことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を案内する案内路を有する遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機、特にパチンコ機の遊技盤の表面である遊技面には、役物装置や装飾部材が取り付けられ、背面側には、各種制御基板が取り付けられると共に、遊技面から回収した遊技球を回収位置(一般には、遊技盤の下部)まで案内する球案内路部材(遊技球流路ユニット)が設けられている。
【0003】
例えば、役物装置では、当該役物装置に流入した遊技球の動向が演出の1つとして機能し、かつ、遊技球の到達位置によって、以後の遊技状態が選択されるようになっている。
【0004】
このため、遊技球の動向を変化させる要因の1つである振動が意図的に発生することは、遊技仕様の観点から好ましくない。意図的に振動を発生させる要因としては、遊技盤を装着したパチンコ機本体を叩く(所謂「どつき」)といった事象が挙げられる。
【0005】
そこで、遊技盤の背面側に振動センサを配置して、所定以上の強度の振動を検出した場合に、対抗処置(遊技中止、警告等)を実行するようにしている。
【0006】
パチンコ機に搭載される振動センサには、感度、すなわち、遊技仕様(遊技の進行)に影響を及ぼす振動が発生したか否かの強度のしきい値が設定される。しきい値は、所謂不正目的による振動を正確かつ確実に検知することが重要である。
【0007】
特許文献1には、パチンコ台に対し加えられる外力を検出する外力検出手段(振動検出)と、その外力検出に基づいて外力に対して対処する対処手段を設けることが記載されている。
【0008】
また、特許文献2には、パチンコ機の前面側に振動センサを取り付け、遊技者には告知されていない特定のタイミングで遊技者がパチンコ機をどついた場合には、それに伴うパチンコ機の振動を振動センサが検知して、通常は行われないような演出を実行することが記載されている。
【0009】
さらに、特許文献3には、遊技機本体に振動検出手段と鍵穴の挿入状態を検知する鍵検知手段を設け、鍵の挿入状態が検知されている間に限り、振動検出に基づく報知を禁止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭62−221380号公報
【特許文献2】特開2004−113299号公報
【特許文献1】特開2007−151792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
パチンコ機では、遊技盤の表面である遊技面に沿って遊技球が移動している。また、パチンコ機では、遊技盤の背面に設けられた球案内路部材に沿って遊技球が移動している。遊技球の移動は、振動の原因となり得る。
【0012】
特に、遊技盤の背面に設けた球案内路部材では、遊技盤の上方から落下してくる遊技球を下方で受け止める場合があり、受け止めるときの振動の強度が、振動センサに設定したしきい値を超えることがある。
【0013】
すなわち、パチンコ機本体を叩いたときの振動は、振動センサにダイレクトに伝搬する必要があるのに対し、遊技の進行上の遊技球の移動に起因する振動は、振動センサへの伝搬を抑制する必要がある。
【0014】
しかしながら、振動センサの取り付け位置を特定する目安がなく、現状では試行錯誤を繰り返し、振動センサの取り付け位置を調整している。
【0015】
このため、振動センサの取付作業が煩雑となり、作業効率が低下する。また、パチンコ機の組み付け作業時に精度よく振動センサを取り付けたとしても、パチンコ機の設置場所によっては再調整が必要となる場合がある。
【0016】
本発明は上記事実を考慮し、振動を精度よく監視することができる遊技機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、遊技盤を着脱可能に取り付けると共に、少なくとも遊技球を前記遊技盤の表面側である遊技面へ発射可能とする機構が設けられた本体と、前記遊技盤の背面側に設けられ、少なくとも遊技の進行に応じて前記遊技盤の表面側から背面側へ移行し、下部に位置する球回収部まで遊技球の自重で案内する球案内路部材と、前記球案内路部材に取り付けられ、前記本体から伝わる振動の強度が所定のしきい値を超えた強度の振動を検出するように調整された振動検出手段と、前記遊技盤の周縁部の少なくとも上下の関係となる複数箇所に設けられ、該遊技盤を前記本体に装着するための着脱操作部とを有し、前記球回収部で発生する振動が、前記所定のしきい値を超えて伝わらないように、前記振動検出手段の前記球案内路部材への取付位置を、複数の前記着脱操作部のうち相対的に上となる着脱操作部の近傍に設けたことを特徴としている。
本発明によれば、振動検出手段の取り付け位置の目標(上部の着脱操作部)が目視で確認できるため、作業効率を向上することができる。
本発明は、遊技盤に取り付けられ、遊技球が移動するときの振動の強度が所定のしきい値以下に減衰される第1の領域、かつ外部から伝わる振動の強度が前記しきい値以下まで減衰しない第2の領域の双方の共通領域に取り付けられ、前記外部から伝わる前記しきい値を超えた強度の振動を検出するように調整された振動検出手段を有している。
【0018】
本発明によれば、振動検出手段は、外部から伝わるしきい値を超えた強度の振動を検出するように調整されて遊技盤に取り付けられる。
【0019】
この振動検出手段を取り付ける領域として、第1の領域、第2の領域を特定する。
【0020】
第1の領域は、遊技球が移動するときの振動の強度が所定のしきい値以下に減衰される領域である。
【0021】
第2の領域は、外部から伝わる振動の強度がしきい値以下まで減衰しない領域である。
【0022】
振動検出手段は、第1の領域及び第2の領域の双方の共通領域に取り付ければよい。
【0023】
すなわち、振動検出手段の取り付け位置として、遊技球が移動するときの振動は検出せず、外部から伝わる振動を確実に検出し得る位置を特定することができ、振動検出手段を遊技盤へ取り付けるための作業効率を向上することができる。
【0024】
本発明は、遊技盤が複数の支持点で支持された状態で着脱可能に取り付けられると共に、少なくとも遊技球を遊技盤の表面である遊技面へ発射する機構が設けられた本体と、遊技盤の背面に設けられ、少なくとも遊技の進行に応じて遊技盤の表面から背面へ移行する遊技球を自重により上から下へ落下及び流動させながら案内する球案内路部材と、前記遊技盤に取り付けられ、遊技球が球案内路部材に案内されるときの振動の強度が所定のしきい値以下に減衰される第1の領域、かつ前記本体から伝わる振動の強度が前記しきい値以下まで減衰しない第2の領域の双方の共通領域に取り付けられ、前記本体から伝わる前記しきい値を超えた強度の振動を検出するように調整された振動検出手段と、を有している。
【0025】
本発明によれば、振動検出手段は、本体から伝わるしきい値を超えた強度の振動を検出するように調整されて遊技盤に取り付けられる。
【0026】
この振動検出手段を取り付ける領域として、第1の領域、第2の領域を特定する。
【0027】
第1の領域は、遊技球が球案内路部材に案内されるときの振動の強度が所定のしきい値以下に減衰される領域である。
【0028】
第2の領域は、本体から伝わる振動の強度がしきい値以下まで減衰しない領域である。
【0029】
振動検出手段は、第1の領域及び第2の領域の双方の共通領域に取り付ければよい。
【0030】
すなわち、振動検出手段の取り付け位置が特定でき、遊技球が移動するときの振動は検出せず、本体から伝わる振動を確実に検出し得る位置へ取り付けるための作業効率を向上することができる。
【0031】
本発明において、前記振動検出手段が、前記球案内路部材に取り付けられ、前記第1の領域が、前記振動検出手段の取り付け位置と、前記球案内路部材の内の最も強い振動が発生する位置との距離によって確定され、前記第2の領域が、前記振動検出手段の取り付け位置と、前記遊技盤の本体への支持点との距離によって確定されることを特徴としている。
【0032】
振動検出手段は、球案内路部材に取り付けられる。
【0033】
また、第1の領域は、振動検出手段の取り付け位置と、球案内路部材の内の最も強い振動が発生する位置との距離によって確定される。
【0034】
第2の領域は、振動検出手段の取り付け位置と、遊技盤の本体への支持点との距離によって確定される。
【0035】
すなわち、振動源からの距離によって振動検出手段の取り付け位置を特定することができる。
【0036】
本発明において、前記球案内路部材が、複数の締結点によって前記遊技盤の背面に取り付けられ、前記第1の領域が、前記振動検出手段の取り付け位置と、前記締結点との距離が短ければ短いほど拡大されることを特徴としている。
【0037】
球案内路部材は、複数の締結点によって遊技盤の背面に取り付けられている。このとき、締結点での振動は、締結点以外の振動よりも減衰され易い。このため、振動検出手段の取り付け位置と、締結点との距離が短ければ短いほど、第1の振動源からの振動が振動検出手段に伝わり難くなるため、その分、第1の領域を拡大することができる。
【0038】
例えば、振動検出手段の周囲に締結点があることで、振動検出手段に向かって伝搬される振動を、当該締結点で減衰(収束)させることができる。
【0039】
本発明は、遊技盤が複数の支持点で支持された状態で着脱可能に取り付けられると共に、少なくとも遊技球を遊技盤の表面である遊技面へ発射する機構が設けられた本体と、遊技盤の背面に設けられ、少なくとも遊技の進行に応じて遊技盤の表面から背面へ移行する遊技球を自重により上から下へ落下及び流動させながら案内する球案内路部材と、前記遊技盤に取り付けられ、遊技球が球案内路部材に案内されるときの振動の強度が所定のしきい値以下に減衰される第1の領域、かつ前記本体から伝わる振動の強度が前記しきい値以下まで減衰しない第2の領域の双方の共通領域に取り付けられ、前記本体から伝わる前記しきい値を超えた強度の振動を検出するように調整された振動検出手段とを有し、前記遊技盤の周縁には、前記本体に装着するための支持点として、少なくとも上下の関係となる2点の支持点が設けられ、相対的に上となる支持点に近い方に前記振動検出手段が設けられ、当該振動検出手段の周囲、かつ前記相対的に上となる支持点よりも近い領域には、球案内路部材を遊技盤の背面に締結するための少なくとも複数の締結点が設けられていることを特徴としている。
【0040】
本発明によれば、振動検出手段は、本体から伝わるしきい値を超えた強度の振動を検出するように調整されて遊技盤に取り付けられる。
【0041】
この振動検出手段を取り付ける領域として、第1の領域、第2の領域を特定する。
【0042】
第1の領域は、遊技球が球案内路部材に案内されるときの振動の強度が所定のしきい値以下に減衰される領域である。
【0043】
第2の領域は、本体から伝わる振動の強度がしきい値以下まで減衰しない領域である。
【0044】
振動検出手段は、第1の領域及び第2の領域の双方の共通領域に取り付ければよい。
【0045】
ここで、遊技盤の周縁には、本体に装着するための支持点として、少なくとも上下の関係となる2点の支持点が設けられ、相対的に上となる支持点に近い方に振動検出手段を取り付けることで、共通領域とすることができる。
【0046】
すなわち、振動検出手段の取り付け位置として、遊技球が移動するときの振動は検出せず、本体から伝わる振動を確実に検出し得る位置を特定することができ、振動検出手段を遊技盤へ取り付けるための作業効率を向上することができる。
【0047】
また、振動検出手段の周囲、かつ相対的に上となる支持点よりも近い領域には、球案内路部材を遊技盤の背面に締結するための少なくとも複数の締結点が設けられている。
【0048】
球案内路部材は、複数の締結点によって遊技盤の背面に取り付けられている。このとき、締結点での振動は、締結点以外の振動よりも減衰され易い。このため、振動検出手段の取り付け位置と、締結点との距離が短ければ短いほど、第1の振動源からの振動が振動検出手段に伝わり難くなるため、その分、第1の領域を拡大することができる。
【0049】
例えば、振動検出手段の周囲に締結点があることで、振動検出手段に向かって伝搬される振動を、当該締結点で減衰(収束)させることができる。
【0050】
なお、本発明において、振動の強度を所定値と比較する場合に、「しきい値以下の強度としきい値を超える強度」で区別したが、しきい値の特定の仕方によっては、「しきい値以上の強度としきい値未満の強度」で区別してもよい。
【発明の効果】
【0051】
以上説明した如く本発明では、振動を精度よく監視することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本実施の形態に係るパチンコ機の正面図である。
図2】本実施の形態に係る遊技盤を図1のII線から見た正面図である。
図3】本実施の形態に係るセンター役物内の案内路の構造を示す斜視図である。
図4】本実施の形態に係る振動センサを示し、(A)は動作回路図、(B)は外観正面図、(C)衝撃検知時の動作タイミングチャートである。
図5】本実施の形態に係る遊技盤の背面の正面図である。
図6】本実施の形態に係る遊技盤の背面に取り付けられた振動センサ及びその周辺の拡大図である。
図7図6の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10の本体10Aの前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
【0054】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0055】
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。一体皿24の図1の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、回転操作すると、パチンコ機10の本体全体が開放する。
【0056】
一体皿24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁壁32には、上皿球抜きレバー(図示省略)が設けられ、この上皿球抜きレバーを操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
【0057】
一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、受け皿スピーカ60Uが配置されている。
【0058】
ここで、一体皿24における上皿部28の周縁壁32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
【0059】
また、ガラス枠16の上部円弧に相当する領域の左右両端には、ガラス枠スピーカ60L、60Rが設けられ、音声を出力する。なお、このガラス枠スピーカ60L、60Rには、イルミネーション機能(照明演出機能)を備えるようにしてもよい。
【0060】
なお、以下では、前述した受け皿スピーカ60Uと、このガラス枠スピーカ60L、60Rを総称して、「スピーカ60」という場合がある。スピーカ60の数は、本実施の形態のように3個構成に限定されるものではない。
【0061】
(遊技盤の構成の一例)
図2に示される遊技盤18は、基板となるベニヤ板又は透明のアクリル板の適宜位置に樹脂製シート状のセルが貼着され、表面が遊技球PBが流動する盤面となっている。
【0062】
遊技盤18は、その盤面の外周端部付近に、レール102が取り付けられている。このレール102によって囲まれた円形状の領域は、発射装置(図示省略)から発射されて打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域とされている。
【0063】
遊技盤18の遊技領域には、釘(図示省略)及び風車21が点在して打ち込まれている。また、遊技領域におけるほぼ中央には、センター役物105(役物装置)が配置されている。ここで、遊技盤18において、センター役物105の周囲の遊技盤面が通常遊技領域とされ、センター役物105の内側の領域は、この通常遊技領域とは区画された特定遊技部となる。センター役物105には一部に入賞流入口が形成され、開閉部材としての羽根部材112が取り付けられ、この羽根部材112が開放しているときにかぎり、通常遊技領域にある遊技球PBを特定遊技部へ入賞させることが可能となっている。なお、センター役物105の構造については、後述する。
【0064】
センター役物105の下部には、入賞役物装置116L、116C、116Rが設けられている。
【0065】
入賞役物装置116Cには、その中央にセンター特定入賞口118Cが設けられている。また、入賞役物装置116Cの左右に位置する入賞役物装置116L、116Rには、それぞれサイド特定入賞口118L、118R及び一般入賞口120L、120Rが設けられている。なお、センター特定入賞口118C、サイド特定入賞口118L、118Rを総称する場合、単に、特定入賞口118という場合がある。
【0066】
一般入賞口120L、120Rはそれぞれ入賞すると、所定数(例えば、10〜15球)の賞球払い出しが実行されるようになっている。なお、一般入賞口120L、120Rの配置数、賞球数は、遊技仕様や出玉率によって変更する場合がある。
【0067】
一方、特定入賞口118は、それぞれ入賞すると、所定数(1〜5球)の賞球払い出しが実行されると共に、前記羽根部材112を所定期間開放する契機となる。
【0068】
羽根部材112の開放パターンの一例として、センター特定入賞口118Cに入賞した場合は、所定期間(0.568秒)の開放が2回実行され、サイド特定入賞口118L、118Rに入賞した場合は、所定期間(0.568秒)の開放が1回実行される。なお、この開放期間、回数は限定されるものではない。
【0069】
また、入賞役物装置116Cには、アタッカー122が設けられている。アタッカー122は、遊技状態が特別遊技状態(大当たり処理状態)となったときに所定期間の開放が所定回数実行される(例えば、2秒〜30秒の開放が2回〜16回)。
【0070】
本実施の形態では、後述する大当たりの際、1回の開放が30秒(以下、「1R」という)とした場合、例えば、2R、7R、15Rの何れかが抽選によって決定し実行されるようになっている。なお、1回の開放で入賞数が、例えば、8個(8カウント)になると、30秒を待たずに閉止し、次のラウンド(R)へ移行する。ラウンド数、カウント数は限定されるものではない。
【0071】
このアタッカー122の開放動作により、遊技者は短期間で多くの賞球を得ることができる、所謂遊技者有利状態となる。
【0072】
遊技盤18の通常遊技領域の最下位置には、何れの入賞口にも入賞しない球を遊技盤18の裏側へ排出するアウト口123が設けられている。
【0073】
(センター役物105)
図2及び図3に示される如く、本実施の形態に係るセンター役物105の左右には、遊技盤面から突出するようにそれぞれ壁部が形成され、前記遊技盤18の通常遊技領域とは区画されている。また、センター役物105の天井部は、電飾装置124が取り付けられている。
【0074】
前記電飾装置124の左右は、通常遊技領域とセンター役物105内の特定領域との間を連通するように開口しており、羽根部材112が回転可能に取り付けられている。
【0075】
羽根部材112は、例えば、ソレノイド(図示省略)の励磁制御によって回転され、遊技球PBのセンター役物105への開口(第1の位置としての遊技球流入口)を開閉する。
【0076】
羽根部材112は、前記センター特定入賞口118C、サイド特定入賞口118L、118R(図2参照)に遊技球PBが入賞すると開放するようになっている。一例として、遊技球PBが、一対のサイド特定入賞口118L、118Rの何れかに入賞すると、羽根部材112が1回、所定時間(約0.5秒〜1.0秒間、本実施の形態では、0.568秒)開放する。また、遊技球PBがセンター特定入賞口118Cに入賞すると、羽根部材112が2回、所定時間(約0.5秒〜1.0秒間、本実施の形態では、0.568秒)開放する。
【0077】
センター役物105は、その中央部にLCD表示部106が配置され、主として遊技の進行に応じた演出画像を表示する。
【0078】
LCD表示部106の周囲には、遊技球PBを案内する案内路(後述する左案内路108L、右案内路108R)が設けられている。案内路は、LCD表示部106の図2に向かって左側と、右側に分類される。
【0079】
LCD表示部106の図2に向かって左側に沿って遊技球PBを通過させる左案内路108Lは、前記羽根部材112が取り付けられた遊技球流入口(第1の位置)から、図3に示す第1の振分装置130の配置位置(第2の位置)まで遊技球PBを案内する。
【0080】
また、LCD表示部106の図2に向かって右側に沿って遊技球PBを通過させる右案内路108Rは、前記第1の位置から、第2の振分装置132の配置位置(第3の位置)まで遊技球PBを案内する。
【0081】
左案内路108Lによって案内され、第1の振分装置130に到達した遊技球PBは、第1の振分装置130(回転体)の周囲に設けられた8個の収容部の内の何れかに収容されるようになっている。なお、本実施の形態では、左案内路108Lに案内される全ての遊技球PBが第1の振分装置130に到達するのではなく、第1の振分装置130へ到達する直前で、遊技球PBを仕分け、所定のタイミングで通過する遊技球PBのみを第1の振分装置130に案内する構成となっている。
【0082】
第1の振分装置130に設けられた収容部の内、1個はV入賞ゾーン130V(図3参照)となっており、1/8の確率でV入賞(大当たり)させることができる。
【0083】
V入賞(大当たり)となると、前述したように、アタッカー122が所定ラウンド開放動作を実行する。なお、ラウンド数は、特定入賞口118に入賞したときに抽選によって決めてもよいし、V入賞後に抽選してもよい。また、別途、V入賞後の遊技球PBを複数の目的位置へ案内する案内経路を形成し、目的位置によりラウンド数を確定するようにしてもよい。
【0084】
一方、右案内路108Rによって案内され、第2の振分装置132に到達した遊技球PBは、図示は省略したが、前記第1の振分装置130による振分確率(1/8)よりも高い確率(例えば、1/3)でV入賞し得る構造となっている。この第2の振分装置132において、V入賞(大当たり)となると、前述したように、アタッカー122が所定ラウンド開放動作を実行する。
【0085】
なお、前記第1の振分装置130の収容部には、1個のチャンスゾーン130C(図3参照)が設けられ、チャンスゾーン130Cに入った遊技球PBは、第2の振分装置132へ移行させるようになっている。
【0086】
すなわち、左案内路108Lに案内されて第1の振分装置130に到達した遊技球PBは、1/8の確率でV入賞する、或いは、1/8の確率で第2の振分装置132へ移行して1/3の確率でV入賞する場合がある。
【0087】
図3に示される如く、案内路には、左案内路108Lと右案内路108Rの共通の案内路として、第1のステージ部200が設けられている。第1のステージ部200は、所謂シーソー型の振分構造となっている。すなわち、第1のステージ部200には、羽根部材112の開放時にセンター役物105内に流入した遊技球PBを支持する案内面200Aが設けられており、羽根部材112の開放時にセンター役物105の開口(第1の位置)から流入した遊技球PBが、左案内路108L又は右案内路108Rの何れかに振り分けられるようになっている。
【0088】
左案内路108Lの最上流位置は、第2中継部である第2のステージ部206が設けられている。
【0089】
第2のステージ部206は、底面に対して二方が縦壁206Aに囲まれた箱型となっている。すなわち、二方の縦壁206Aは、図3の手前側及び左側に存在し、図3の奥側及び右側は存在しない。
【0090】
遊技球PBは、当該第1のステージ部200に対峙している縦壁206Aが存在しない図3の右側から受け入れられるようになっている。以下、この図3の右側を、「受入口206B」という場合がある。
【0091】
第2のステージ部206の底面206Cは、下に凸となる円弧面とされ、受け入れた遊技球PBは、この底面の傾斜に沿って往復移動し、徐々に底面の奥側端部へと移動することになる。
【0092】
奥側端部に到達した遊技球PBは、左案内路108Lの第2のステージ部206に連続するように設けられた第3中継部である第3のステージ部208へ送り出される(落下する)ようになっている。この場合、底面206Cの奥側端部の左右端にリブ206Dを形成し、当該左右端での遊技球PBの落下を抑制している。
【0093】
第3のステージ部208は、第2のステージ部206から遊技球PBを受け取る受取部210と、受取部210で受け取った遊技球PBは、前記第1の振分装置130まで遊技球PBを案内する通路部211とを備えており、受取部210で受け取った遊技球PBの位置に応じて、時間差をもって当該遊技球PBを通路部211へ送り出し、第1の振分装置130方向へ案内する。
【0094】
(振動センサ)
上記一例として示した遊技盤18の構成を含め、所謂「羽根物」と称される遊技仕様では、遊技球PBの動向が遊技の進行の重要な鍵となっている。このため、遊技盤18の裏面側には、振動検出手段の一例として機能する振動センサ150(図5参照)を設け、振動センサ150で検出した振動の強度が、予め定めたしきい値を超えた場合に、遊技の進行を禁止したり、警報発令等の対抗処置を実行するようにしている。
【0095】
この場合、「羽根物」の遊技仕様の遊技盤18は、「羽根物」以外の遊技仕様の遊技盤よりも、振動センサ150で振動を検知する強度のしきい値(衝撃検知のしきい値)を低くしている。言い換えれば、「羽根物」の遊技仕様の遊技盤18は、「羽根物」以外の遊技仕様の遊技盤よりも、振動センサ150の感度を高くすることが好ましい。
【0096】
また、本実施の形態では、振動センサ150を遊技盤18の背面側に取り付けるにあたり、遊技球の移動に起因する振動の強度が減衰され、かつ外部から伝わる振動の強度が減衰しない領域として特定された位置に取り付けられている。より具体的には、振動センサ150は、遊技盤18の背面に向かって、図5の左上の位置であり、球案内路部材としての遊技球流路ユニット152(図5参照)の底面に取り付けられている。なお、振動センサ150の取り付け位置に関する詳細については後述する。
【0097】
図4(A)に示される如く、振動センサ150は、上面が皿状(下に凸の円弧状)とされた支持台154と、この支持台154上に乗せられて、上面の形状に合わせて揺動する金属製の球体156とを備えている。
【0098】
支持台154には、コイル158が埋め込まれている。コイル158の両端子は、検出回路部160のLC発振回路162に接続されている。
【0099】
検出回路部160は、前記LC発振回路162と、信号処理回路164と、電源回路166とを備えている。電源回路166は、LCD発振回路162及び信号処理回路164に電力を供給している。
【0100】
ここで、球体156が支持台154上で揺動すると、コイル158の電磁誘導に基づきLC発振回路162が発振し、当該発振信号が入力される信号処理回路164では、入力信号と、予め設定したしきい値とが比較され、しきい値を超えた場合に、スイッチングトランジスタ168をオンさせる信号を出力するようになっている。このスイッチングトランジスタ168の出力信号に基づいて、出力端170からは衝撃検知信号が出力される。
【0101】
すなわち、図4(C)に示される如く、振動センサ150の動作としては、信号処理回路部164において衝撃(しきい値以上の振動)を検知すると、スイッチングトランジタ168がオンし、検出回路部160の出力端170から衝撃検知信号が出力するようになっている。
【0102】
振動センサ150の支持台154、球体156、検出回路部160は、図4(B)に示される如く、円筒状の筐体172に覆われており、筐体172の外周には周面の接線方向に延長するようにフランジ部174が形成されている。フランジ部174には、貫通孔176が設けられている。
【0103】
図5に示される如く、振動センサ150は、筐体172の軸線Lが鉛直方向となるように遊技球流路ユニット152の底面(縦面)に設けられた取り付け位置に位置決めされる。
【0104】
この位置決め状態で、振動センサ150のフランジ部174に設けられた貫通孔176に、取付ビス178が挿入され、当該取付ビス178が遊技球流路ユニット152へ螺合されることで、振動センサ150は締結される。
【0105】
(遊技盤背面構造「振動センサ取付構造」)
遊技盤18は、図5に示す遊技盤18の背面に向かって、左上及び左下の角部に、着脱操作部180A(左上)、着脱操作部180B(左下)が設けられている。遊技盤18は、本体10Aのガラス板14に対峙するように装着されるときの本体10Aへの位置決め後、この着脱操作部180A、180Bの装着操作によって、遊技盤18は本体10Aに対して固定される。これにより、着脱操作部180A、180Bは、少なくとも、本体10Aと直接接触する支持点となる。
【0106】
言い換えれば、着脱操作部180A、180Bは、本体10Aを発生源とする振動が、遊技盤18に伝搬される中継点となり得る。
【0107】
図5に示される如く、遊技盤18の背面側には、球案内路部材としての遊技球流路ユニット152が取り付けられている。
【0108】
遊技球流路ユニット152は箱型で、底面(縦面)には矩形状の開口部が設けられ、LCD表示装置182が着脱可能に取り付けられている。このLCD表示装置182の表面が、図2に示すLCD表示部106となる。
【0109】
また、遊技球流路ユニット152上において、LCD表示装置182の周囲の領域、並びに、LCD表示装置182に重なる領域には、複数の制御基板184が配置されている。
【0110】
ここでは、配置関係は特定しないが、制御基板184は、それぞれ、遊技の進行を司る主制御基板、視覚及び聴覚を通じた演出を実行する演出制御基板等からなり、例えば、主制御基板は、その周囲が回路基板ケースに収容され、直接、主制御基板上のICチップ等に手を触れることができない状態となっている場合がある。
【0111】
なお、パチンコ機10に設けられるその他の制御基板としては、遊技球PBの賞球払い出しを制御する払出制御基板、店側に設置されたホールコンピュータとの通信を実行する通信制御基板が挙げられる。これらは、通常、パチンコ機10の本体10A側に設けられている。
【0112】
なお、払出制御基板、通信制御基板は、遊技球流路ユニット152に設けるようにしてもよい。
【0113】
遊技球流路ユニット152には、遊技盤の遊技面(遊技者に対峙する面)から移行してくる遊技球を受け入れ、パチンコ機10の本体10Aの所定位置に設けられた回収部へ案内する案内流路(図5では、案内流路の一部を鎖線で図示)が設けられている。
【0114】
回収部は、一般的に遊技球流路ユニット152の下部に位置しており、上部で受け入れた遊技球PBは、傾斜路や鉛直路によって移動し、回収部へ到達する。なお、鉛直路を設けるのは、遊技球PBの迅速な案内を目的する場合がある。
【0115】
このとき、特に鉛直路では、遊技球PBが無抵抗(空気抵抗を除く)で自然落下する場合があり、遊技球流路ユニット152の下部に到達するときの落下衝撃に起因する振動の発生源となっている。
【0116】
ところで、遊技球流路ユニット152に取り付けられた振動センサ150は、本体10Aを叩いた(所謂「どついた」)ときに発生する振動を検出することを目的としている。
【0117】
すなわち、本実施の形態に係る遊技盤18に基づく遊技仕様では、遊技球PBの動向が遊技の進行に重要な役目を有している。例えば、始動入賞口に入賞したときに、内部抽選(特別図柄抽選)が実行されて、大当たりか否かが決まる遊技仕様よりも遊技球の動向が遊技の進行の重要度が高い。
【0118】
何れの遊技仕様にしても、例えば、遊技者が本体10Aを叩くことによる遊技球PBの動向の変化は好ましくなく、振動センサ150では、当該本体10Aを振動源とする振動の強度が、予め定めたしきい値を超えた場合に、衝撃検知信号を出力する(図4参照)。
【0119】
ところが、振動センサ150の目的が、本体10Aを振動源とする振動の監視であるにも関わらず、振動源として遊技球流路ユニット152の下部、すなわち、遊技球PBの落下衝撃に起因する振動を検知する可能性がある。
【0120】
そこで、本実施の形態では、振動センサ150の取り付け位置を特定する場合に、以下の条件を設定している。
【0121】
(条件1)
遊技球PBの落下衝撃に起因する振動に基づく振動源を第1の振動源とした場合、第1の振動源からの振動が、振動センサ150のしきい値以下に減衰する領域(第1の領域)を特定する。
【0122】
(条件2) 遊技者が本体10Aを叩くことに起因する振動に基づく振動源を第2の振動源とした場合、第2の振動源からの振動が、振動センサ150のしきい値以下まで減衰しない領域(第2の領域)を特定する。
【0123】
一般的に、振動は波によって伝搬されるため、振動源の波に対し、遠くなるにつれて減衰する。また、振幅が増幅する領域と減衰する領域が交互に発生する。さらに、伝搬される媒体の材質、形状等により、振動の伝搬度合いが異なる。
【0124】
ここで、振動が減衰する領域を特定するのは、周辺部材の材質、形状等を変更することで対策することは難しいが、第1の領域を第1の振動源から遠い位置、第2の領域を第2の振動源から近い位置とすることは比較的容易である。
【0125】
そこで、図5に示される如く、第1の振動源の基準点P1から半径r1よりも遠い位置を第1の領域A1とする。また、図5に示される如く第2の振動源の基準点P2から半径r2の範囲内を第2の領域A2とする。
【0126】
例えば、半径r1としては、実験的に球流路案内ユニット152で遊技球PBを流動させ、遊技球PBが落下したときの最大の振動の強度が、振動センサ150に設定するしきい値以下となる距離を選定する。
【0127】
また、半径r2としては、実験的に本体10Aを叩き、遊技盤18の遊技面において遊技球PBが本来の軌道から逸脱する程度の振動が、振動センサ150に設定するしきい値以下とならない距離を選定する。
【0128】
なお、半径r1,r2の選定は、実験的ではなく、演算によって行ってもよい。
【0129】
領域A1と領域A2が特定された場合、振動センサ150を、この領域A1と領域A2との共通領域(図5の斜線領域A3)の範囲に取り付けることで、条件1、条件2を満たすことができる。
【0130】
以上の条件1、条件2を踏まえ、本実施の形態では、振動センサ150は、遊技球流路ユニット152において、図5の左上の着脱操作部180Aに近い位置(左上隅位置)とした。
【0131】
また、遊技球流路ユニット152の下部である第1の振動源からの振動を、さらに減衰させるべく、振動センサ150の周りには、図7に示される如く、遊技球流路ユニット152を遊技盤18の背面に取付けるための締結ビスの内の3個の締結ビス186が集中して設けられている。この締結ビス186は、第1の振動源から伝搬される振動の振幅を収束させる役目を有する。
【0132】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0133】
パチンコ機10による遊技では、遊技者がグリップユニット26を操作すると、一球ずつ発射装置によって上方へ発射される(例えば、発射間隔は、100球/60秒程度)。発射された遊技球PBは、レール102に沿って遊技盤18の遊技領域に打ち込まれ、遊技釘や風車に当たり方向を変えながら遊技領域内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域の下端部に至った遊技球PBはアウト口123からパチンコ機10内に回収される。
【0134】
また、遊技球PBが遊技領域内に設けた一般入賞口120に入賞すると、予め定めた賞球(払い出し)が実行される。
【0135】
(遊技仕様の概要)
遊技球PBが、特定入賞口118に入賞すると、センター役物105の羽根部材112が所定時間、所定回数、第1の位置が開放状態となる。例えば、羽根部材112の開放パターンは、センター特定入賞口118Cに入賞した場合は0.568秒の開放が2回実行され、サイド特定入賞口118L、118Rに入賞した場合は0.568秒の開放が1回実行される。
【0136】
第1のステージ部200では、遊技球PBの案内面への到達時期に依存して、第2のステージ部206で受け入れる初速度を変更することができる(変動要素1)。
【0137】
また、第2のステージ部206では、前記初速度に依存して、底面での往復移動量を変更することができ、かつ、第3のステージ部208へ落下位置を変更することができる(変動要素2)。
【0138】
さらに、第3のステージ部208では、第2のステージ部206から受け取った位置に依存して、通路部211までの移動時間を変更することができる(変動要素3)。
【0139】
本実施の形態では、上記変動要素1〜3が相互に関連し、複雑な遊技球PBの移動時間が形成される。
【0140】
このため、遊技者は、羽根部材112の開放時にセンター役物105内に流入した遊技球PBが、何時、第1の振分装置130に到達するかの予測が困難となる。この予測困難性は、「遊技球PBの動向により、以後の遊技状態が変化させる」という醍醐味、すなわち、遊技機本来の趣向性を維持することができる。
【0141】
(振動センサ150による監視)
ここで、本実施の形態の遊技盤18では、例えば、第1の振分装置130のV入賞口に入賞させるときに、本体10Aから大きな振動が伝わり、遊技球PBが本来の軌道からずれて、遊技仕様に基づく入賞から逸脱する場合があった。例えば、本来であれば、外れとなる遊技球PBが、振動によってV入賞となる場合がある。
【0142】
そこで、本実施の形態のパチンコ機10では、本体10Aから伝わり、遊技の進行に影響を及ぼす不正な振動を監視するため、振動センサ150を設けている。
【0143】
この振動センサ150には、予め振動の強度のしきい値が設定されており、振動によって球体156が揺動することで、コイル154に発生する電磁誘導に起因する発振の強度(振幅)がしきい値を超えると、衝撃信号が出力される。
【0144】
例えば、パチンコ機10の制御系で衝撃信号を受信すると、遊技の進行を中止する、視覚及び/又は聴覚を通じて報知する、店員が所持する受信機やホールコンピュータへ通報する、といった警告を実行する。
【0145】
ところで、振動センサ150が外部からの振動(第2の振動源)、例えば、本体10Aを叩いたときの振動のみを検知して作動すればよいが、遊技盤18には振動源(第1の振動源)が存在する。第1の振動源は、遊技球流路ユニット152を流動し、回収部に落下する遊技球PBの衝撃に起因する振動が主体である。
【0146】
そこで、本実施の形態では、振動センサ150を第1の振動源から遠い位置、かつ第2の振動源から近い位置とするべく、遊技球流路ユニット152における、図5の左上の着脱操作部180Aに近い左上隅位置とした。
【0147】
この振動センサ150の取り付け位置は、第1の振動源からの振動が、振動センサ150のしきい値以下に減衰する領域(図5に示す第1の領域A1)と、第2の振動源からの振動が、振動センサ150のしきい値以下まで減衰しない領域(図5に示す第2の領域A2)との双方に属する領域(図5の共通領域A3)である。
【0148】
上記の如く、共通領域A3を振動センサ150の取り付け位置に特定することで、組付作業の際に、振動センサ150の取り付け位置を試行錯誤する手間が省け、取付作業効率が向上する。
【0149】
また、本実施の形態では、振動センサ150の周囲に、遊技球流路ユニット152を遊技盤18の背面に取付けるための締結ビスの内の3個の締結ビス186を集中して設けた。これにより、遊技球流路ユニット152の下部である第1の振動源から伝搬される振動の振幅を収束させることができ、振動の強度が、さらに減衰されることになる。これは、第1の領域を拡大することにも繋がる。
【0150】
以上説明したように本実施の形態では、振動センサ150を図5の左上の着脱操作部180Aに近い左上隅位置とし、本体10Aを叩いたときの振動(第2の振動源からの振動)が、予め定めたしきい値を超えた場合に不正行為になり得ると判断して対処措置を講ずるようにした。一方で、不正行為にならない遊技球PBの移動に起因した振動(第1の振動源からの振動)がしきい値を超えないようにした。すなわち、振動センサ150の取り付け位置を、第1の振動源から遠い位置、かつ第2の振動源から近い位置に特定することで、振動センサ150の取り付け位置を試行錯誤することなく、適正位置に取り付けることができるため、作業効率を向上することができる。
【0151】
なお、本実施の形態では、振動センサ150を、遊技球流路ユニット152の底面(縦面)における、図5の左上隅に設けるようにしたが、遊技盤18の背面に直接取り付けるようにしてもよい。
【0152】
遊技盤18には、機械的に動作する役物装置や入賞装置が取り付けられている。このため、振動センサ150を遊技球流路ユニット152に取り付けた場合は、第1の振動源がある程度特定し得るのに対し、遊技盤18に直接振動センサ150を取り付けた場合は、振動センサ150としては不要な振動源(第1の振動源)が遊技盤全体に分散される場合がある。
【0153】
そこで、振動センサ150の取り付け位置の如何によらず、第1の振動源としては、遊技球PBの落下に限らず、機械的な役物装置の動作時の振動といった、第2の振動源以外の振動の全てを含んで特定してもよい。
【0154】
また、前述したように、振動は波で伝搬されるため、遊技球PBの移動による振動は、第1の振動源から遠ざかるにつれて周期的に振幅が大小に変化するため、周期的に振幅が小さくなる縞状の領域を第1の領域としてもよい。
【符号の説明】
【0155】
A1 第1の領域
A2 第2の領域
PB 遊技球
10 パチンコ機
10A 本体
14 ガラス板
16 ガラス枠
18 遊技盤
60L(60) ガラス枠スピーカ
60U(60) 受け皿スピーカ
105 センター役物
106 LCD表示部
108L 左案内路
108R 右案内路
112 羽根部材
116C 入賞役物装置
116L 入賞役物装置
118 特定入賞口
118C センター特定入賞口
118L サイド特定入賞口
120 一般入賞口
120L 一般入賞口
122 アタッカー
123 アウト口
124 電飾装置
130 第1の振分装置
132 第2の振分装置
150 振動センサ(振動検出手段)
152 遊技球流路ユニット(球案内路部材)
154 支持台
156 球体
158 コイル
160 検出回路部
162 LC発振回路
164 信号処理回路
166 電源回路
168 スイッチングトランジスタ
170 出力端
172 筐体
174 フランジ部
176 貫通孔
178 取付ビス
180A、180B 着脱操作部(支持点)
182 LCD表示装置
184 制御基板
186 締結ビス(締結点)
200 第1のステージ部
206 第2のステージ部
208 第3のステージ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7