前記設定部は、前記測定部により検出された加速度の方向とは逆方向であって、前記加速度に比例したサイズに、前記反応領域を拡大させることを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
前記設定部は、第1のオブジェクトと、前記第1のオブジェクトに第1の方向で隣接する第2のオブジェクトとの間の領域に前記反応領域を設定する場合、前記第1の方向に生じる加速度と、前記第1の方向とは逆方向である第2の方向に生じる加速度との比率に応じて、前記第1のオブジェクトの前記第2のオブジェクト側に設定する反応領域と、前記第2のオブジェクトの前記第1のオブジェクト側に設定する反応領域との範囲を設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
図1に、情報処理装置としてのナビゲーション装置100の構成図を示す。
ナビゲーション装置100は、位置特定部110、無線ネットワーク制御部120、加速度センサ130、記憶部140、操作部150、表示部160、モータ170、音声出力部181、スピーカ182及び制御部200を備える。
【0014】
位置特定部110は、GPSアンテナ111と、GPSユニット112と、ジャイロユニット113とを備える。GPSユニット112は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナ111で受信して、3次元測位処理又は2次元測位処理を行うことにより、ナビゲーション装置100が搭載された車両(以下、自車両という)の現在地を示す位置座標(緯度・経度座標)と進行方向とを計算する。GPSユニット112は、GPS衛星から送信されるGPS電波に代えて、GLONASS、Galileo、Beidou、QZSS(みちびき)などの測位衛星システムの信号を利用して現在位置を特定することもできる。ジャイロユニット113は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等により構成され、自車両の回転による角速度を検出する。
GPSユニット112は、位置座標及び進行方向を示す情報を制御部200に出力し、ジャイロユニット113は、自車両の角速度を示す情報を制御部200に出力する。
【0015】
無線ネットワーク制御部120は、無線アンテナ121を備える。無線ネットワーク制御部120は、無線アンテナ121を介して通信回線網に接続し、通信回線網に接続されたサーバ等の他の装置との間でデータの送受信を行う。
【0016】
加速度センサ130は、3軸(X軸,Y軸,Z軸)方向の加速度を、所定のサンプリング周波数で測定し、測定した3軸方向の加速度を示す信号を制御部200に出力する。加速度センサ130には、ピエゾ抵抗型、静電容量型、熱検知型等の種々のセンサを用いることができる。また、本実施形態では、加速度センサ130をナビゲーション装置100に搭載した例を示したが、自車両に搭載された加速度センサの測定する3軸加速度をナビゲーション装置100が取得する構成であってもよい。また、本実施形態では、加速度センサ130として3軸加速度センサを例に説明したが、1軸や2軸の加速度センサを用いてもよい。
【0017】
記憶部140は、CD、DVD、ハードディスク、フラッシュメモリなどの記憶媒体で構成される。記憶部140には、制御部200が制御に使用する制御プログラムやアプリケーションプログラムの他に、ナビゲーション機能を実行する際に用いられる地図データベースや、経路案内用の音声データ等のナビゲーション用データが記憶されている。
【0018】
操作部150は、操作ボタン151に加え、表示部160の表示パネル161に重ねて配設されたタッチパネル152を備えている。使用者が表示パネル161に表示されたアイコン等に指やボタンで振れた場合、タッチパネル152の触れた位置を示す座標情報が制御部200に入力される。タッチパネル152によるタッチ位置の検出方式は、抵抗膜方式あるいは静電容量方式のいずれであっても良い。なお、操作部150の操作と同様の操作を、ステアリングに設けられたステアリングコントローラにより実行できるようにしてもよい。
【0019】
音声出力部181は、D/Aコンバータ、アンプ(いずれも図示せず)等を備え、経路案内用の音声データをデジタル/アナログ変換してアンプにより増幅し、スピーカ182により自車両の車室内に音声出力する。
【0020】
表示パネル161には、例えば液晶ディスプレイパネルやEL(Electro Luminescent)ディスプレイパネル等を用いることができる。表示部160は、制御部200から地図データ等のデータと、描画を指示する指示コマンドとを入力し、入力された描画コマンドに従って、表示パネル161に表示すべき描画データ(例えば、ビットマップ画像データ)を生成する描画プロセッサ、生成された描画データを保持するVRAM(Video RAM)、描画データに基づく画像を表示パネル161に表示する駆動回路等を備える。
【0021】
制御部200は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種処理プログラムを記憶するROMと、ワーキングメモリとしてのRAMと、データを保持するNVRAMと、データの入出力を行う入出力ポートとを備える。
【0022】
また、制御部200は、機能ブロックとしてナビゲーション処理部201と、表示制御部202と、設定部203と、操作判定部204と、駆動制御部205とを備える。機能ブロックとは、ナビゲーション装置100が備えるハードウェアと、制御プログラムやアプリケーションプログラム等のプログラムとの協働によって実現される機能を、一定の機能ごとにまとめたブロックである。
【0023】
ナビゲーション処理部201は、GPSユニット112やジャイロユニット113から入力される情報に基づいて自車両の現在位置である自車位置を判定する。ナビゲーション処理部201は、判定した自車位置に基づいて、表示に必要な範囲の地図データを地図データベースから読み出す。ナビゲーション処理部201は、読み出した地図データに取得した現在地に対応する現在地マークを重ねて表示するように、表示制御部202に指示する。また、ナビゲーション処理部201は、目的地が設定された場合、現在位置から目的地までの走行ルートを探索する。そして、ナビゲーション処理部201は、読み出した地図データに、探索した走行ルートを重ねて表示するように、表示制御部202に指示する。
【0024】
表示制御部202は、表示パネル161の表示を制御する。表示制御部202は、ナビゲーション処理部201から指示と、地図データや、現在位置を示すマーク、走行ルート等を示すデータとを入力した場合には、入力した指示に応じた描画コマンドを生成して、地図データや、現在位置を示すマーク、走行ルート等を示すデータと共に表示部160に出力する。
また、表示制御部202は、ナビゲーション装置100で提供可能な機能の一覧を示すメニュー画面や、機能の実行中に表示パネル161に表示させる画面のデータを、描画コマンドと共に表示部160に出力する。
図2に、メニュー画面の一例を示す。メニュー画面には、ラジオ、ナビゲーション、天気予報等のナビゲーション装置100が提供可能な機能を示す複数のオブジェクト165が表示される。オブジェクト165とは、表示パネル161に表示される画像のうち、使用者の操作(処理の指示)を受け付けることが可能なものをいい、例えば、ボタンやアイコンの機能を有する画像のほか、ハイパーリンク等がこれに該当する。
【0025】
設定部203は、表示制御部202により表示パネル161に表示されたオブジェクト165の反応領域167を設定する。操作判定部204は、タッチパネル152により検出されたタッチ位置の座標に基づいて、各オブジェクト165に対する操作を検出する。
図3(A)は、一定方向の加速度が生じている場合に、オブジェクト165に設定される反応領域167を示す図である。
図3(A)に斜線で示す領域が反応領域167を示している。反応領域167は、表示パネル161には表示されないが、使用者が反応領域167内をタッチした場合に、操作判定部204がオブジェクト165に対する操作であると判定する領域である。
ナビゲーション装置100を搭載した自車両に加速度が生じている場合、使用者は、表示パネル161に表示されたオブジェクト165の画像にタッチするつもりが、加速度の影響によりオブジェクト165よりも外側にタッチしてしまう場合もある。このようなミスタッチを低減するため、設定部203は、ナビゲーション装置100に加速度が生じている場合に、反応領域167を、オブジェクト165の表示領域166よりも広く設定する。
【0026】
図3(A)は、
図3(A)に向かって右方向に加速度が生じている場合に、設定部203により設定される反応領域167を示す。設定部203は、オブジェクト165の表示領域166と、オブジェクト165の表示領域166よりも左側の領域とに反応領域167を設定する。設定部203は、右方向に加速度が生じている場合、反応領域167を、加速度が生じている方向とは逆方向である、オブジェクト165の左側に、加速度に応じたサイズで拡大させる。
操作判定部204は、タッチパネル152から入力される座標情報に基づいて、タッチパネル152の検出した座標が、オブジェクト165に対する操作であるか否かを判定する。例えば、操作判定部204は、タッチ位置の座標が、オブジェクト165の表示領域166からは外れているが、オブジェクト165の反応領域167内である場合には、オブジェクト165に対する操作であると判定する。
【0027】
駆動制御部205は、モータ170の駆動を制御して、表示パネル161をナビゲーション装置100の本体部190に対してチルト(傾斜)させる。
図4は、ナビゲーション装置100の本体部190に対して表示パネル161をチルトさせた状態を示す図である。また、駆動制御部205は、モータ170を駆動して回転させると、回転させたモータ170の回転数と回転方向の情報とを不図示のRAMに記憶させる。モータ170の回転方向には、正回転と逆回転とがあり、モータ170を正回転させることで、表示パネル161がナビゲーション装置100の本体部190に対してチルトし、モータ170を逆回転させることで、チルト状態の表示パネル161を、ナビゲーション装置100の本体部190に収納させることできる。
【0028】
図5は、第1の実施形態の制御部200の処理手順を示すフローチャートである。
まず、設定部203は、加速度センサ130により測定された3軸(X軸,Y軸,Z軸)方向の加速度を入力する(ステップS1)。加速度センサ130は、予め設定されたサンプリング周波数でナビゲーション装置100に生じるX軸,Y軸,Z軸方向の加速度を測定し、測定した加速度を制御部200に出力する。設定部203は、加速度センサ130から入力される加速度を不図示のRAMに記憶させる。
【0029】
次に、設定部203は、駆動制御部205からモータ170の回転数及び回転方向を取得し、取得した回転数及び回転方向の情報に基づいて、表示パネル161の傾きを算出する(ステップS2)。不図示のNVRAMは、モータ170の1回転により表示パネル161を傾斜させることができる傾斜角度の情報を記憶している。設定部203は、傾斜角度の情報を参照して、表示パネル161の傾きを算出する。
【0030】
次に、設定部203は、RAMに記憶させたX,Y,X軸方向の加速度に基づいて、表示パネル161のx軸方向及びy軸方向の加速度を算出する(ステップS3)。表示パネル161のx軸方向は、
図4に示すように表示パネル161の水平方向に対応し、加速度センサ130の測定するX軸方向(左右軸方向)に対応する。このため、設定部203は、X軸方向の加速度を、表示パネル161のx軸方向の加速度として用いる。設定部203は、表示パネル161のx軸方向の加速度を、RAMに記憶させる。
また、表示パネル161のy軸方向は、表示パネル161のチルト角度をθとした場合、鉛直方向であるZ軸を、チルト角度θだけ傾斜させた方向に対応する。このため、設定部203は、加速度センサ130で測定されたZ軸方向の加速度にCosθの値を積算して、表示パネル161のy軸方向の加速度を算出する。設定部203は、表示パネル161のy軸方向の加速度を、RAMに記憶させる。
なお、設定部203は、上述のステップS1〜S3の処理を繰り返し、加速度センサ130から3軸方向の加速度が入力されるごとに、表示パネル161のx,y軸方向の加速度を算出して、RAMに記憶させる。
【0031】
次に、設定部203は、x軸方向の加速度の振れ幅が、予め設定された既定値以上であるか否かを判定する(ステップS4)。このステップS4では、ナビゲーション装置100に、x軸方向の振動が生じているか否かが判定される。設定部203は、RAMに記憶された、所定時間分のx軸方向の加速度を参照して、x軸方向の加速度の振れ幅が予め設定された既定値以上であるか否かを判定する。例えば、設定部203は、所定時間分のx軸方向の加速度のうち、正方向(例えば、
図4に向かって右方向)に値が最大の加速度と、負方向(例えば、
図4に向かって左方向)に値が最大の加速度とを取り出す。設定部203は、取り出した正方向の加速度の絶対値と、負方向の加速度の絶対値とを加算する。そして、設定部203は、加算した正方向及び負方向の加速度の絶対値の和を、予め設定された既定値と比較して、x軸方向の加速度の振れ幅が、既定値以上であるか否かを判定する。
【0032】
ステップS4の判定が肯定判定の場合(ステップS4/YES)、設定部203は、各オブジェクト165のx軸方向の反応領域167を、振れ幅に比例したサイズに拡大されるように設定する(ステップS5)。
図6(A)は、ナビゲーション装置100に振動が生じている場合に、オブジェクト165に設定される反応領域167を示す図である。設定部203は、ステップS4で取り出したx軸の正方向の加速度と、x軸の負方向の加速度との比率を求め、求めた比率に基づいてオブジェクト165の反応領域167を設定する。例えば、負方向である左方向の加速度と、正方向である右方向の加速度との比率が2:5である場合、設定部203は、オブジェクト165の左側に拡大させる反応領域167のサイズと、右側に拡大させる反応領域167のサイズとの比率を5:2に設定する。設定部203は、反応領域167を、加速度が生じている方向とは逆方向に、加速度に応じたサイズに拡大させる。このため、左方向の加速度と右方向の加速度との比率が2:5である場合、オブジェクト165の左側に拡大させる反応領域167のサイズと、右側に拡大させる反応領域167のサイズとの比を5:2に設定する。
【0033】
図6(B)は、ナビゲーション装置100に振動が生じている場合に、隣接する2つのオブジェクト165間に設定される反応領域167を示す図である。なお、
図6(B)に向かって右側のオブジェクト165をオブジェクト165A(第1のオブジェクト)と表記し、左側のオブジェクト165をオブジェクト165B(第2のオブジェクト)と表記する。また、オブジェクト165Aの反応領域167を反応領域167Aと表記し、オブジェクト165Bの反応領域167を反応領域167Bと表記する。
【0034】
設定部203は、隣接するオブジェクト165A、165Bに反応領域167A、167Bを設定する場合、オブジェクト165Aの左側に設定する反応領域167Aと、オブジェクト165Bの右側に設定する反応領域167Bとが重なるか否かを判定する。
設定部203は、反応領域167Aと反応領域167Bとが重なると判定すると、隣接するオブジェクト165A、165B間の反応領域167A、167Bの設定を、加速度の比率に応じて設定する。例えば、
図6(B)に示すように、図面に向かって左方向の加速度(第1の方向に生じる加速度)と、右方向の加速度(第2の方向に生じる加速度)との比率が2:5である場合、設定部203は、左側のオブジェクト165Bの右側に拡大させる反応領域167Bのサイズと、右側のオブジェクト165Aの左側に拡大させる反応領域167Aのサイズとの比率を2:5に設定する。
【0035】
次に、ステップS4の判定が否定判定の場合(ステップS4/NO)、設定部203は、x軸方向の加速度の絶対値が予め設定された規定値以上であるか否かを判定する(ステップS6)。このステップS6では、ナビゲーション装置100に、x軸の正方向又は負方向に一定値以上の加速度が生じているか否かが判定される。設定部203は、ステップS4で取り出した正方向に値が最大の加速度の絶対値と、負方向に値が最大の加速度の絶対値とのうち、値が最大の加速度を選択する。そして、設定部203は、選択した加速度の絶対値と、予め設定された規定値とを比較して、選択した加速度の絶対値が規定値以上であるか否かを判定する(ステップS6)。
【0036】
ステップS6の判定が肯定判定の場合(ステップS6/YES)、設定部203は、各オブジェクト165の反応領域167を、選択した加速度が生じている方向とは逆方向に、選択した加速度の大きさに応じたサイズで拡大させる(ステップS7)。
図3(B)は、一定方向の加速度が生じている場合に、隣接する2つのオブジェクト間に設定される反応領域167を示す図である。なお、
図3(B)では、x軸の正方向に一定値以上の加速度が生じている場合を示している。
図3(B)においても、右側のオブジェクト165をオブジェクト165Aと表記し、左側のオブジェクト165をオブジェクト165Bと表記する。また、オブジェクト165Aの反応領域167を反応領域167Aと表記し、オブジェクト165Bの反応領域167を反応領域167Bと表記する。
【0037】
一定方向に加速度が生じている場合、設定部203は、一方のオブジェクト165の反応領域167を、加速度に応じたサイズに拡大させた場合に、拡大させた反応領域167が他方のオブジェクト165の表示領域166に重なるか否かを判定する。
設定部203は、オブジェクト165Aの反応領域167Aが、オブジェクト165Bの表示領域166に重なる場合、オブジェクト165Bの表示領域166では、オブジェクト165Bの表示を優先させる。すなわち、設定部203は、反応領域167Aを、加速度に応じたサイズに拡大させるのではなく、反応領域167Aがオブジェクト165Bの表示領域166に重ならないサイズで拡大させる。
【0038】
ステップS6の判定が否定判定の場合(ステップS6/NO)、又は、ステップS5若しくはステップS7の処理を実行した場合、設定部203は、次にy軸方向の加速度の振れ幅が、予め設定された既定値以上であるか否かを判定する(ステップS8)。このステップS8では、ナビゲーション装置100に、y軸方向の振動が生じているか否かが判定される。設定部203は、RAMに記憶された、所定時間分のy軸方向の加速度を参照して、y軸方向の加速度の振れ幅が予め設定された既定値以上であるか否かを判定する。なお、ステップS8の処理は、ステップS4と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0039】
ステップS8の判定が肯定判定の場合(ステップS8/YES)、設定部203は、オブジェクト165のy軸方向の反応領域167が、振れ幅に比例したサイズに拡大されるように設定する(ステップS9)。このステップS9の処理についてもステップS5と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0040】
次に、ステップS8の判定が否定判定の場合(ステップS8/NO)、設定部203は、y軸方向の加速度の絶対値が予め設定された規定値以上であるか否かを判定する(ステップS10)。このステップS10では、ナビゲーション装置100に、y軸の正方向又は負方向に一定値以上の加速度が生じているか否かが判定される。このステップS10の処理についてもステップS6と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0041】
ステップS10の判定が肯定判定の場合(ステップS10/YES)、設定部203は、各オブジェクト165の反応領域167を、選択した加速度が生じている方向とは逆方向に、選択した加速度の大きさに応じたサイズで拡大させる(ステップS11)。また、ステップS10の判定が否定判定の場合(ステップS10/NO)、設定部203は、この処理フローを終了させる。
【0042】
以上、詳細に説明したように本実施形態のナビゲーション装置100は、オブジェクトに対する操作を検出可能な反応領域167のサイズを、ナビゲーション装置100に生じる加速度の方向及び大きさに応じたサイズに設定する。すなわち、アイコン等のオブジェクト165の表示を拡大させるのではなく、オブジェクト165に対する操作を検出可能な反応領域167のサイズを拡大させるため、表示パネル161の表示を崩さずに、オブジェクト165に対する操作ミスの回数を減らすことができる。また、自車両に振動や加速度が生じていると、表示パネル161の狙った場所を押せず、操作ミスをしやすいが、反応領域167がオブジェクト165の表示領域166よりも広く設定されるので、タッチ位置がオブジェクト165の表示領域166よりも外側に外れても、オブジェクト165に対する操作として検出することができる。
【0043】
また、ナビゲーション装置100は、反応領域167を、加速度センサ130により測定された加速度の方向とは逆方向に、加速度に応じたサイズで拡大させる。例えば、自車両に加速度が生じている場合、使用者は、加速度に抗して姿勢を保とうとするため、使用者のオブジェクトに対する操作は、加速度の生じている方向とは反対側にズレる可能性がある。このため、本実施形態では、加速度の方向とは逆方向に反応領域167を拡大させることで、オブジェクト165に対する操作を、より確実に検出することができる。
【0044】
[第2の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態で設定された反応領域167のサイズを、使用者がタッチしたタッチ位置に基づいて再設定する。具体的には、本実施形態は、オブジェクト165の反応領域167を設定した後に、使用者が表示パネル161にタッチすると、タッチしたタッチ位置と、オブジェクト165の中心位置との距離に基づいて、オブジェクト165の反応領域167のサイズを再設定する。
【0045】
図7は、第2の実施形態の制御部の処理手順を示すフローチャートである。
設定部203は、タッチパネル152から出力されるタッチ位置の座標を入力する(ステップS21)。
操作判定部204は、タッチ位置の座標が入力されると、入力されたタッチ位置の座標が、オブジェクト165の反応領域167内にあるか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22の判定が否定判定の場合(ステップS22/NO)、操作判定部204は、この処理フローを終了させる。また、ステップS22の判定が肯定判定の場合(ステップS22/YES)、操作判定部204は、タッチされたオブジェクト165に対応付けられた処理の実行を、制御部200の他の機能ブロックに指示する(ステップS23)。例えば、制御部200は、無線ネットワーク制御部120を制御して、インターネットに接続させる、音楽をスピーカ182から出力する、操作ボタン151をハイライト表示させる、ナビゲーションの機能を起動させる等の処理を開始する。
【0046】
図8(A)は、拡大率を変更前のオブジェクト165及びオブジェクト165の反応領域167を示し、
図8(B)は、拡大率を変更後のオブジェクト165及びオブジェクト165の反応領域167を示す図である。
まず、設定部203は、タッチされたオブジェクト165の表示領域166を表すデータを表示制御部202から取得して、取得したデータに基づいて、オブジェクト165の中心位置の座標を算出する(ステップS24)。次に、設定部203は、タッチ位置の座標と、オブジェクト165の中心位置の座標との距離を、表示パネル161のx軸方向、y軸方向でそれぞれに算出する(ステップS25)。
図8(A)に丸で囲んだ位置が、使用者がタッチした位置を示している。設定部203は、タッチ位置の座標と、オブジェクト165の中心位置の座標との距離を算出すると、算出した距離を、表示パネル161の画素数に換算する。オブジェクト165の中心からタッチ位置までのx軸方向の画素数をTxとし、オブジェクト165の中心からタッチ位置までのy軸方向の画素数をTyとする。設定部203は、Tx及びTyを算出すると、以下に示す式(1)によりx軸方向の拡大率αを算出し、式(2)によりy軸方向の拡大率βを算出する(ステップS26)。
拡大率α=Tx/Lx/Ax・・・(1)
拡大率β=Ty/Ly/Ay・・・(2)
なお、表示パネル161に表示されたオブジェクト165のx軸方向の画素数をLxとし、オブジェクト165のy軸方向の画素数をLyとする。また、ナビゲーション装置100に生じる加速度のx軸方向の成分をAxとし、加速度のy軸方向の成分をAyとする。
【0047】
例えば、オブジェクト165のx軸方向の画素数Lxが20画素、y軸方向の画素数Lyが10画素、ナビゲーション装置100に生じる加速度のx軸方向の成分Axが1.0m/s
2であり、加速度のy軸方向の成分Ayが1.0m/s
2であるとする。また、オブジェクト165の中心からタッチ位置までのx軸方向の画素数Txが7画素であり、オブジェクト165の中心からタッチ位置までのy軸方向の画素数Tyが5画素であるとする。この場合、各数値を式(1)、(2)に代入すると、拡大率αは「0.35」となり、拡大率βは「0.5」となる。
【0048】
次に、設定部203は、算出した拡大率α、βを、ローパスフィルタ等を使用して平滑化する(ステップS27)。設定部203は、ローパスフィルタの他に、移動平均を計算することで、拡大率α、βの値を平滑化してもよい。
【0049】
次に、設定部203は、平滑化した拡大率α、βを用いて、反応領域167のサイズを再設定する(ステップS28)。設定部203は、平滑化した拡大率αに、オブジェクト165のx軸方向の画素数Lxと、加速度のx軸方向成分とを積算して、x軸方向に拡大させる画素数を算出する。また、設定部203は、算出した拡大率βに、オブジェクト165のy軸方向の画素数Lyと、加速度のy軸方向成分とを積算して、y軸方向に拡大させる画素数を算出する。拡大率αを「0.35」とし、オブジェクト165のx軸方向の画素数Lxを20画素とし、加速度のx軸方向の成分Axを1.0m/s
2とすると、x軸方向の画素数は7画素となる。また、拡大率βを「0.5」とし、オブジェクト165のy軸方向の画素数Lyを10画素とし、加速度のy軸方向成分Aを1.0m/s
2とすると、y軸方向の画素数は7画素となる。
図8(B)に、再設定後の反応領域167を示す。
【0050】
図9は、第2の実施形態の制御部200の他の処理手順を示すフローチャートである。また、
図10(A)及び(B)は、拡大率α及び拡大率βの他の算出方法を説明するための図である。
図10(A)及び(B)では、表示パネル161上のタッチ位置からオブジェクト165の最も近い端部までの距離に基づいて、拡大率α及び拡大率βを算出する。なお、
図9に示すステップS31〜S33までの処理は、
図7に示すステップS21〜S23と同一であるため、説明を省略する。
設定部203は、タッチパネル152から入力されたタッチ位置の座標と、タッチ位置に最も近いオブジェクト165の端部までの距離を、表示パネル161のx軸方向、y軸方向でそれぞれに算出する(ステップS34)。
図10(A)に示す例では、タッチ位置からA点までの距離が算出される。なお、
図10(A)に示すタッチ位置は、x軸方向ではオブジェクト165の表示領域166内に入っているため、x軸方向の距離は、「0」となる。
【0051】
設定部203は、距離を算出すると、算出した距離を、表示パネル161の画素数に換算する。タッチ位置から、タッチ位置に最も近いオブジェクト165の端部までのx軸方向の画素数をTxとし、y軸方向の画素数をTyとする。設定部203は、Tx及びTyを算出すると、以下に示す式(3)によりx軸方向の拡大率αを算出し、式(4)によりy軸方向の拡大率βを算出する(ステップS35)。
拡大率α=Tx+T/(Lx×Ax)・・・(3)
拡大率β=Ty+T/(Ly×Ay)・・・(4)
なお、表示パネル161に表示されたオブジェクト165のx軸方向の画素数をLxとし、オブジェクト165のy軸方向の画素数をLyとする。また、ナビゲーション装置100に生じる加速度のx軸方向の成分をAxとし、加速度のy軸方向の成分をAyとする。また、Tは、使用者のタッチ位置から最大何画素まで反応領域167の拡大が許容されるかを示す定数である。なお、拡大率αと拡大率βとの算出において、Tに同じ値を使用してもよいし、異なる値を使用してもよい。
【0052】
例えば、オブジェクト165のx軸方向の画素数Lxが20画素、y軸方向の画素数Lyが10画素、ナビゲーション装置100に生じる加速度のx軸方向の成分Axが1.0m/s
2であり、加速度のy軸方向の成分Ayが1.0m/s
2であるとする。また、タッチ位置から、タッチ位置に最も近いオブジェクト165の端部までのx軸方向の画素数Txが0画素であり、y軸方向の画素数Tyが2画素であるとする。また、Tの値が5であるとする。この場合、各数値を式(3)、(4)に代入すると、拡大率αは「0.25」となり、拡大率βは「2.5」となる。
【0053】
次に、設定部203は、算出した拡大率α、βを、ローパスフィルタ等を使用して平滑化する(ステップS36)。設定部203は、ローパスフィルタの他に、移動平均を計算することで、拡大率α、βの値を平滑化してもよい。
【0054】
次に、設定部203は、平滑化した拡大率α、βを用いて、反応領域167のサイズを再設定する(ステップS37)。設定部203は、平滑化した拡大率αに、オブジェクト165のx軸方向の画素数Lxと、加速度のx軸方向の成分Axとを積算して、x軸方向に拡大させる画素数を算出する。また、設定部203は、算出した拡大率βに、オブジェクト165のy軸方向の画素数Lyと、加速度のy軸方向の成分Ayとを積算して、y軸方向に拡大させる画素数を算出する。拡大率αを「0.25」とし、オブジェクト165のx軸方向の画素数Lxを20画素とし、加速度のx軸方向の成分Axを1.0m/s
2とすると、x軸方向の画素数は5画素となる。また、拡大率βを「2.5」とし、オブジェクト165のy軸方向の画素数Lyを10画素とし、加速度のy軸方向の成分Ayを1.0m/s
2とすると、y軸方向の画素数は25画素となる。
図10(B)に、サイズを再設定後の反応領域167を示す。
【0055】
上述したように本実施形態では、使用者が表示パネル161にタッチしたタッチ位置に応じて、反応領域167のサイズが再設定されるので、オブジェクト165に対する操作ミスの回数を減らし、表示部160に表示されたオブジェクト165に対する操作の検出精度を向上させることができる。
また、
図10(A)及び(B)を参照して説明した、表示パネル161上のタッチ位置からオブジェクト165の最も近い端部までの距離に基づいて、拡大率α及び拡大率βを算出する方法では、オブジェクト165の形状が、オブジェクト165の端を狙って使用者がタッチする傾向にある横長の形状や、複雑な形状の場合に、拡大率を適切に設定することができる。
【0056】
上述した実施形態は、本発明の好適な実施の形態である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形実施が可能である。
例えば、上述した実施形態では、情報処理装置として、ナビゲーション装置100を例に説明したが、情報処理装置はナビゲーション装置100に限定されない。例えば、タッチパネルを備え、車両に搭載されたオーディオ装置であってもよいし、スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコンであってもよい。
【0057】
また、
図1に示す制御部200の機能ブロックは、ナビゲーション装置100の備える機能を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、ナビゲーション装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くのブロックに分割することもできる。また、機能ブロックは、
図1に示す1つのブロックによりさらに多くの処理を実行するように構成してもよい。また、各ブロックの処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、各ブロックの処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0058】
また、記憶部140に記憶させた制御プログラムは、例えば、無線ネットワーク制御部120を介してネットワークから、記憶部140にダウンロードされ、それから、RAM上にロードされてCPUにより実行されるようにしてもよい。また、無線ネットワーク制御部120を介してネットワークから、RAM上に直接ロードされ、CPUにより実行されるようにしてもよい。
【0059】
なお、
図5、7、9のフローチャートの処理単位は、設定部203の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が制限されることはない。設定部203の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、同様の設定部203が行えれば、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。