特許第6463992号(P6463992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6463992
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/141 20180101AFI20190128BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20190128BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190128BHJP
【FI】
   F21S41/141
   F21S41/19
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-41237(P2015-41237)
(22)【出願日】2015年3月3日
(65)【公開番号】特開2016-162620(P2016-162620A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005304
【氏名又は名称】PIAA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】可児 玄
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3100113(JP,U)
【文献】 特開2014−120388(JP,A)
【文献】 特開2000−211424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/141
F21S 41/19
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内方に保持孔が形成された筒状保持体と、該筒状保持体の前記保持孔に挿入される回転軸部を有し、筒状保持体に対して移動可能に構成されたLEDモジュールと、該LEDモジュールに取り付けられたLEDと、を備え、前記LEDモジュールは筒状保持体に対して筒状保持体の周方向および中心軸方向に沿って移動可能に構成された車両用灯具であって、
前記筒状保持体には、調整ネジが挿入されるネジ挿入孔が形成され、
前記LEDモジュールの回転軸部には、筒状保持体の周方向および中心軸方向に沿って延在する保持溝が形成され、この保持溝の底面は、前記調整ネジの先端が突き当て可能であり、
前記LEDモジュールを筒状保持体に対して所定角度だけ回転させると共に中心軸方向に沿って所定距離だけ移動させたのち、筒状保持体のネジ挿入孔から調整ネジを螺合させてLEDモジュールの回転軸部における保持溝の底面に突き当てることにより、LEDモジュールを筒状保持体に保持するように構成したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記LEDモジュールの回転軸部の保持溝の底面には、断面が階段状の段差部が形成されており、この段差部に前記調整ネジの先端が突き当て可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記LEDモジュールの回転軸部の外表面には、周方向に沿って延在する目盛り線が、LEDモジュールの中心軸方向に沿って所定間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に設けられる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の車両の前部には、車両用灯具が配設されている。この車両用灯具は、車両前後方向における後側に配置された口金と、該口金の前側に配置され、前記口金に保持されたバルブホルダと、該バルブホルダに設けられたバルブと、を有する(例えば、特許文献1参照)。前記バルブホルダは、口金に対して周方向に回転および保持させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3100113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1に記載されたバルブホルダは、口金に対してバルブホルダの中心軸方向に沿った方向に移動させることができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、バルブホルダを口金に対してバルブホルダの中心軸方向に沿った方向に移動させることができる車両用灯具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用灯具は、内方に保持孔が形成された筒状保持体と、該筒状保持体の前記保持孔に挿入される回転軸部を有し、筒状保持体に対して移動可能に構成されたLEDモジュールと、該LEDモジュールに取り付けられたLEDと、を備え、前記LEDモジュールは筒状保持体に対して筒状保持体の周方向および中心軸方向に沿って移動可能に構成された車両用灯具である。
【0007】
前記筒状保持体には、調整ネジが挿入されるネジ挿入孔が形成され、前記LEDモジュールの回転軸部には、筒状保持体の周方向および中心軸方向に沿って延在する保持溝が形成され、この保持溝の底面は、前記調整ネジの先端が突き当て可能であり、
前記LEDモジュールを筒状保持体に対して所定角度だけ回転させると共に中心軸方向に沿って所定距離だけ移動させたのち、筒状保持体のネジ挿入孔から調整ネジを螺合させてLEDモジュールの回転軸部における保持溝の底面に突き当てることにより、LEDモジュールを筒状保持体に保持するように構成している。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る車両用灯具によれば、LEDモジュールを筒状保持体に対して中心軸方向に沿って所定距離だけ移動させることができる。ここで、ヘッドランプ等の灯体設計の差異に起因して、筒状保持体とLEDとの中心軸方向に沿った適正な距離が相違するため、LEDの前後位置を最適な設定値に調整することにより、所望の明るさを得ることができる。また、LEDモジュールを筒状保持体に対して任意の角度だけ回転させて保持することもできる。さらに、LEDモジュールが筒状保持体から抜け出さないように抜け止め防止の作用もある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るLEDバルブを示す斜視図である。
図2図1を上方から見た平面図である。
図3図2のA−A線による断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るLEDモジュールを斜め上方から見た斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るLEDモジュールを斜め下方から見た斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るLEDモジュールを上方から見た平面図である。
図7】本発明の実施形態に係るLEDモジュールを側方から見た側面図である。
図8】本図のうち、(a)はLEDモジュールの回転軸部における段差部の第1段に調整ネジの先端を押し当てた状態を示し、(b)および(c)は(a)のB−B線による断面図である。
図9】本図のうち、(a)はLEDモジュールの回転軸部における段差部の第2段に調整ネジの先端を押し当てた状態を示し、(b)は(a)のC−C線による断面図である。
図10】本図のうち、(a)はLEDモジュールの回転軸部における段差部の第3段に調整ネジの先端を押し当てた状態を示し、(b)は(a)のD−D線による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、図面において、LEDバルブが車両に搭載された状態で、車両前方をFr、後方をRr、上方をUP、下方をLWとして示す。
【0011】
図1図5に示すように、本実施形態による車両用のLEDバルブ1(車両用灯具)は、ランプ保持ホルダー3と、筒状保持体5と、LEDモジュール7と、左右一対のLED9と、を備えている。
【0012】
前記ランプ保持ホルダー3には、内方に円筒状の嵌合孔11が形成されている。
【0013】
前記筒状保持体5の後部は、ホルダー用挿入部13に形成され、該ホルダー用挿入部13の外周面13aがランプ保持ホルダー3の嵌合孔11に嵌合されている。また、筒状保持体5の後部の内方には、後側保持孔21が形成されている。筒状保持体5における中心軸方向(前後方向)の中央部には、径方向外側に向けて延びる円盤状のつば部23が形成され、前記つば部23の先端には径方向外側に突き出る突起部25が周方向に所定角度をおいて3つ形成されている。これらの突起部25が、図示しない受金に係合することにより、LEDバルブ1が受金に取り付けられる。
【0014】
また、筒状保持体5の前部の外周面には、O−リング用溝27が形成され、このO−リング用溝27に円環状のO−リング29が嵌合されている。
【0015】
なお、筒状保持体5の前部の内方には、前側保持孔31が形成されている。この前側保持孔31の内径は、後側保持孔21の内径よりも大きく形成されている。そして、筒状保持体5の前部には、調整ネジ33が挿入されるネジ挿入孔35が貫通して形成され、このネジ挿入孔35の内周面がメネジ部37に形成されている。
【0016】
図6,7に示すように、前記LEDモジュール7は、筒状保持体5の内方に形成された保持孔21,31に挿入される回転軸部41を有し、筒状保持体5に対して移動可能に構成されている。回転軸部41は、細径部43と太径部45とから構成され、細径部43は筒状保持体5の後側保持孔21に挿入され、太径部45は筒状保持体5の前側保持孔31に挿入される。
【0017】
そして、回転軸部41の太径部45には、図8図10に示すように、正面視において下側半分以上に亘って周方向に沿って保持溝49が形成されている。この保持溝49は、筒状保持体5の周方向および中心軸方向に沿って帯状に延在している。具体的には、図8(a)に示すように、保持溝49の周縁は、前縁49aと後縁49bと一対の側縁49cとから構成される。前記前縁49aおよび後縁49bは、周方向に沿って互いに平行に延在している。側縁49cは、LEDモジュール7の中心軸方向(前後方向)に沿って延在し、左右一対に設けられている。なお、前縁49a、後縁49bおよび一対の側縁49cは、それぞれ直線状に延びている。
【0018】
また、前記保持溝49には、断面が階段状の段差部50が形成されており、この段差部50に調整ネジ33の先端33aが突き当て可能に構成されている。具体的には、段差部50は、最も中心軸に近い第1段51と、第1段51の車両前側に隣接して形成され、第1段51よりも中心軸から離間した第2段52と、第2段52の車両前側に隣接して形成され、第2段52よりも中心軸から離間した第3段53と、から構成される。これらの第1段51から第3段53まで一段ずつ高く形成されており、調整ネジ33の先端33aがそれぞれの段に突き当て可能である。
【0019】
さらに、LEDモジュール7の回転軸部41の前部の外表面には、周方向に沿って延在する目盛り線61,62,63が、LEDモジュール7の中心軸方向に沿って等間隔をおいて複数(本実施形態では、3本)設けられている。
【0020】
また、LEDモジュール7の前部には、左右一対のLED9,9が保持板65を介して取り付けられている。
【0021】
次いで、LEDモジュール7を周方向に回転させたり、前後方向の所定位置に移動させたりする手順を説明する。
【0022】
図8(a)および図8(b)に示すように、LEDモジュール7を周方向に回転させず、最も後側の前後位置でLEDモジュール7を保持させる状態を示す。この場合、図8(a)に示すように、段差部50の第1段51に調整ネジ33の先端33aが突き当たることにより、LEDモジュール7が筒状保持体5に保持される。このとき、調整ネジ33は、後側は保持溝49の後縁49bに当接し、前側は段差部50における第1段51と第2段52との間の傾斜面に当接している。また、図8(c)に示すように、前方から見てLEDモジュール7を反時計方向に所定角度だけ回転させた状態で、段差部50の第1段51に調整ネジ33の先端33aを突き当ててもよい。なお、このときは、図3に示すように、3本の目盛り線のうち最も後方側の目盛り線61が筒状保持体5の前端5aに合致した位置に配置される。
【0023】
そして、図9では、段差部50の第2段52に調整ネジ33の先端33aが突き当たることにより、LEDモジュール7が筒状保持体5に保持される。この場合は、図3に示す目盛り線のうち中央側の目盛り線62が筒状保持体5の前端5aに合致した位置に配置される。
【0024】
さらに、図10では、段差部50の第3段53に調整ネジ33の先端33aが突き当たることにより、LEDモジュール7が筒状保持体5に保持される。この場合は、図3に示す目盛り線のうち最も前側の目盛り線63が筒状保持体5の前端5aに合致した位置に配置される。このとき、調整ネジ33の前側は、保持溝49の前縁49aに当接している。
【0025】
このように、LEDモジュール7の周方向に回動する範囲は、調整ネジ33が保持溝49の側縁49c,49cに当接する範囲である。また、LEDモジュール7の中心軸方向(前後方向)に移動する範囲は、調整ネジ33が保持溝49の前縁49aに当接する位置から後縁49bに当接する位置までである。
【0026】
以下に、本発明の実施形態による作用効果を説明する。
【0027】
(1)筒状保持体5と、該筒状保持体5の内方に形成された保持孔21,31に挿入される回転軸部41を有し、筒状保持体5に対して移動可能に構成されたLEDモジュール7と、該LEDモジュール7に取り付けられたLED9と、を備え、前記LEDモジュール7は筒状保持体5に対して筒状保持体5の周方向および中心軸方向に沿って移動可能に構成されたLEDバルブ1(車両用灯具)である。
【0028】
前記筒状保持体5には、調整ネジ33が挿入されるネジ挿入孔35が形成され、前記LEDモジュール7の回転軸部41には、筒状保持体5の周方向および中心軸方向に沿って延在する保持溝49が形成され、この保持溝49の底面は、前記調整ネジ33の先端33aが突き当て可能であり、前記LEDモジュール7を筒状保持体5に対して所定角度だけ回転させると共に中心軸方向に沿って所定距離だけ移動させたのち、筒状保持体5のネジ挿入孔35から調整ネジ33を螺合させてLEDモジュール7の回転軸部41における保持溝49の底面に突き当てることにより、LEDモジュール7を筒状保持体5に保持するように構成している。
【0029】
LEDモジュール7を筒状保持体5に対して中心軸方向に沿って所定距離だけ移動させることができる。ここで、ヘッドランプ等の灯体設計の差異に起因して、筒状保持体5とLED9との中心軸方向に沿った適正な距離が相違するため、LED9の前後位置を最適な設定値に調整することにより、所望の明るさを得ることができる。また、LEDモジュール7を筒状保持体5に対して任意の角度だけ回転させて保持することもできる。さらに、LEDモジュール7が筒状保持体5から抜け出さないように抜け止め防止の作用もある。
【0030】
(2)前記LEDモジュール7の回転軸部41の保持溝49の底面には、断面が階段状の段差部50が形成されており、この段差部50に前記調整ネジ33の先端33aが突き当て可能に構成される。
【0031】
LEDモジュール7の回転軸部41の段差部50に、調整ネジ33の先端33aが突き当てられるため、中心軸方向に沿った位置にLEDモジュール7を位置決めして保持する作業が容易になる。
【0032】
(3)前記LEDモジュール7の回転軸部41の外表面には、周方向に沿って延在する目盛り線61,62,63が、LEDモジュール7の中心軸方向に沿って所定間隔をおいて複数設けられている。
【0033】
これにより、LEDモジュール7の目盛り線61,62,63と筒状保持体5との距離によって、LEDモジュール7の中心軸方向に沿った位置を視覚的に容易に視認することができる。
【0034】
なお、前記実施形態では、筒状保持体5をランプ保持ホルダー3とは別体に構成したが、両者を一体に構成してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 LEDバルブ(車両用灯具)
5 筒状保持体
7 LEDモジュール
9 LED
11 嵌合孔
21,31 保持孔
33 調整ネジ
33a 先端
35 ネジ挿入孔
41 回転軸部
49 保持溝
50 段差部
61,62,63 目盛り線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10