特許第6464020号(P6464020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6464020表示制御装置、表示制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6464020
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20190128BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   H04L12/70 100Z
   G06F13/00 510A
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-87065(P2015-87065)
(22)【出願日】2015年4月21日
(65)【公開番号】特開2016-208236(P2016-208236A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】金井 瑛
(72)【発明者】
【氏名】金井 瑛
【審査官】 松崎 孝大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−071548(JP,A)
【文献】 特開2008−109178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/70
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末からホストへの接続がなされる通信システムにおいて使用される表示制御装置であって、
ホストに接続しているユーザ端末のユーザ名、及び当該ホストのホスト名を含む接続状態情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記接続状態情報におけるホスト名に基づいて、接続先のホストの種類を判定する判定手段と、
表示装置に対して、前記ユーザ名に対応する位置で、前記接続先のホストの種類に対応する表示方法による情報表示を行わせる表示制御手段と
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御装置は、ユーザ端末とホストとの間の接続を中継する踏み台ホストの機能を有する実行処理管理手段を含み、
前記取得手段は、前記実行処理管理手段に対して所定の命令を発行することにより、前記接続状態情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御装置は、ユーザ端末とホストとの間で送受信されるパケットをミラーリング機能により出力する通信装置に接続されており、
前記取得手段は、前記通信装置から受信するパケットのポート番号、送信元IPアドレス、及び宛先IPアドレスに基づいて、前記接続状態情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記判定手段により、前記接続先のホストが商用機であると判定された場合に、前記表示制御手段は、前記表示装置に対し、当該ホストが商用機でない場合の表示方法とは異なる表示方法での情報表示を行わせる
ことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記表示装置に対し、前記ユーザ名に対応する座席位置に、前記接続先のホストの種類に対応する色の表示を行わせる
ことを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記取得手段により取得される前記接続状態情報には、ホストへの接続継続時間が更に含まれており、
前記表示制御手段は、前記表示装置に対し、前記ユーザ名に対応する位置で、前記接続先のホストの種類及び前記接続継続時間に対応する表示方法での情報表示を行わせる
ことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記接続先のホストが商用機であり、かつ、前記接続継続時間が予め定めた時間以上の長さである場合に、前記表示制御手段は、前記表示装置に対し、前記ユーザ名に対応する位置で、危険であることを示す予め定めた色の表示を行わせる
ことを特徴とする請求項6に記載の表示制御装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の表示制御装置における各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
ユーザ端末からホストへの接続がなされる通信システムにおいて使用される表示制御装置が実行する表示制御方法であって、
ホストに接続しているユーザ端末のユーザ名、及び当該ホストのホスト名を含む接続状態情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記接続状態情報におけるホスト名に基づいて、接続先のホストの種類を判定する判定ステップと、
表示装置に対して、前記ユーザ名に対応する位置で、前記接続先のホストの種類に対応する表示方法による情報表示を行わせる表示制御ステップと
を備えることを特徴とする表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ端末からホストに接続して作業を行う環境において、作業ミスを削減するための技術に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、様々なネットワークサービスが提供されている。これらネットワークサービスの提供にあたっては、検証を行って、安定したサービスを提供するよう努力が重ねられている。
【0003】
そのため、ネットワークサービスにおいては、多くの場合、実際にサービスを提供するための商用機と、検証等を行うための検証機が備えられる。検証機での検証に基づいて、例えば、現在提供しているサービスの不具合の修正やバージョンアップ等が計画/実施される。なお、商用機/検証機は、例えばルータ等のNW機器や、アプリケーションサーバ等のサーバである。また、商用機/検証機を総称して「ホスト」と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−101924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなネットワークサービスを開発/運用する環境によっては、一人の作業者が、自身のPC等の端末から商用機にログインできるとともに、検証機にもログインできる。
【0006】
このような環境では、作業者が、検証機を操作しているつもりで商用機を操作してしまい、商用サービスに影響を与えてしまう場合があるという問題がある。
【0007】
検証機に接続するつもりで商用機に接続してしまった場合に、そのことにすぐに気付き、商用機からログオフすればあまり問題はない。しかし、作業者の端末の画面上には、商用機、検証機のいずれの場合も同じようなコマンドラインの情報が表示されるため、このような誤りに気付き難い。
【0008】
商用機と検証機の取り違えによる問題の発生は、主に、検証機と商用機のうちのどちらを操作しているのかが分かり難いことに起因するため、例えば管理者が口頭で商用機と検証機の取り違えの誤りをなくすように注意を行う対策をとっても、有効な対策にならない場合が多い。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ネットワークサービスを提供する商用機と、商用機ではない装置との取り違えの発生を削減することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施の形態によれば、ユーザ端末からホストへの接続がなされる通信システムにおいて使用される表示制御装置であって、
ホストに接続しているユーザ端末のユーザ名、及び当該ホストのホスト名を含む接続状態情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記接続状態情報におけるホスト名に基づいて、接続先のホストの種類を判定する判定手段と、
表示装置に対して、前記ユーザ名に対応する位置で、前記接続先のホストの種類に対応する表示方法による情報表示を行わせる表示制御手段と
を備えることを特徴とする表示制御装置が提供される。
【0011】
また、本発明の実施の形態によれば、ユーザ端末からホストへの接続がなされる通信システムにおいて使用される表示制御装置が実行する表示制御方法であって、
ホストに接続しているユーザ端末のユーザ名、及び当該ホストのホスト名を含む接続状態情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記接続状態情報におけるホスト名に基づいて、接続先のホストの種類を判定する判定ステップと、
表示装置に対して、前記ユーザ名に対応する位置で、前記接続先のホストの種類に対応する表示方法による情報表示を行わせる表示制御ステップと
を備えることを特徴とする表示制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施の形態によれば、ネットワークサービスを提供する商用機と、商用機ではない装置との取り違えの発生を削減することを可能とする技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態におけるシステム構成図である。
図2】本実施の形態における処理のシーケンス図である。
図3】表示例を示す図である。
図4】色分けの意味を示す図である。
図5】表示の活用例を説明するための図である。
図6】表示の活用例を説明するための図である。
図7】表示の活用例を説明するための図である。
図8】作業状態表示制御装置100の構成図である。
図9】ユーザ情報格納部140に格納されているテーブルの例を示す図である。
図10】変形例に係るシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。例えば、本実施の形態における踏み台ホストや商用機/検証機等の各ホストにおけるOS(オペレーティングシステム)は、UNIX(登録商標)をベースとするOSであることを想定しているが、本発明は、UNIXベースのOS以外のOSが使用される場合でも適用可能である。
【0015】
(システム構成)
図1に、本発明の実施の形態に係るシステムの全体構成例を示す。図1に示すように、本システムにおいては、商用機10、及び検証機20がネットワーク上に備えられる。また、商用機10や検証機20等のホストに接続(ログイン)して、操作を実行する複数のユーザ端末40が備えられる。なお、本実施の形態において、商用でユーザにサービスを提供するホストを「商用機」と呼び、それ以外を「検証機」と呼ぶことにする。「検証機」には、商用機の監視を行う監視装置等も含まれる。
【0016】
本実施の形態において、ユーザ端末40は、TELNETもしくはSSH等のリモートターミナルプロトコルを使用して、ホストと接続することを想定している。以下、TELNETもしくはSSHをTELNET/SSHと記述する。
【0017】
すなわち、ユーザ端末40は、TELNET/SSHのクライアントの機能を有し、ホストはTELNET/SSHのサーバ(デーモン)の機能を有する。
【0018】
また、本実施の形態では、各ユーザ端末40は、踏み台ホストと呼ばれるサーバに一旦接続した後に、当該踏み台ホスト経由で目的のホストに接続する。この場合、例えば、ユーザ端末40は、まずTELNET/SSHにより踏み台ホストに接続し、その後に、TELNET/SSHにより目的のホストに接続する。
【0019】
踏み台ホストに接続した後、ユーザ端末40のユーザは、直接に目的のホストに接続して操作する場合と同様の感覚で、目的のホストに接続して操作を行うことが可能である。ただし、ユーザ端末40が踏み台ホストを経由して目的のホストにTELNET/SSHで接続する場合、目的のホストに対して実際にTELNET/SSHのクライアントになるのは踏み台ホストである。これにより、踏み台ホストは、各ユーザ端末によるTELNET/SSHのプロセスを管理でき、各ユーザ端末の接続状態を把握できる。
【0020】
なお、踏み台ホストを経由して目的のホストに接続すること自体は、作業のログを集約化したり、セキュリティを高めるために採用される一般的な技術であり、開発の現場において多く採用されている手法である。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態では、踏み台ホストの機能を含む装置として作業状態表示制御装置100が備えられる。また、作業状態表示装置30が備えられ、作業状態表示制御装置100と接続される。
【0022】
図1に示すシステムの各装置は、図1に示す線で結ばれた装置間で通信が可能であれば、どのようなネットワークに備えられていてもよい。例えば、商用機10及び検証機20をインターネット上に備え、それ以外をLANにより構成されるプライベートネットワーク上に備える構成であってもよいし、各装置がインターネット経由で接続されるような構成であってもよい。ただし、本実施の形態では、各ユーザ端末40と作業状態表示装置30は、同じ部屋内等の近い位置にあることを想定している。
【0023】
作業状態表示制御装置100は、各ユーザ端末40のホストへの接続状態を示す情報に基づき、ユーザ毎に接続先(商用機or検証機)、及び接続時間を把握し、これらの情報に基づいて、各ユーザの作業状態を表示するための表示情報を作成し、これを作業状態表示装置30に送信することで、作業状態表示装置30に作業状態を表示させる。具体的な表示例については後述する。
【0024】
(処理シーケンス例)
図2を参照して、本実施の形態における処理手順例を説明する。図2の例では、ユーザ端末40は既に作業状態表示制御装置100(踏み台ホスト)に接続済みであるとする。
【0025】
ユーザ端末40のユーザは、ユーザ端末上に表示されている画面から、目的のホスト(商用機又は検証機)に接続するための接続コマンド(本実施の形態では、TELNET/SSHコマンド)を入力する(ステップS101、S102)。その後、ホストに対するユーザID/パスワード入力等のログイン操作を経て、ユーザ端末40は、目的のホストとの間でTELNET/SSHによるテキストべースの通信が可能となり、種々の作業コマンドの送受信を行うことができる(ステップS103、S104)。
【0026】
作業状態表示制御装置100は、定期的に、ステップS105〜S108の処理を行う。つまり、各ユーザ端末40の作業状態情報を取得し(ステップS105)、当該作業状態情報に基づいて、表示情報を作成し(ステップS106)、当該表示情報を作業状態表示装置30に送信し(ステップS107)、作業状態表示装置30に表示を行わせる(ステップS108)。なお、ステップS108において、既に情報が表示されている場合、表示の更新となる。以下、ステップS105以降の処理をより詳細に説明する。
【0027】
(ステップS105:作業状態取得処理)
ステップS105の作業状態情報を取得するタイミングにおいて、作業状態表示制御装置100は、プロセスの一覧を取得する命令(これを用いたOSのコマンドの例としてはPSコマンドがある)を内部で発行することで、作業状態情報を取得する。当該命令により、例えば、「taro telnet test−abcd 01:00:20」等の実行中プロセスの情報の一覧を取得できる。
【0028】
「taro telnet test−abcd 01:00:20」は、一覧の中の1つの情報の例である。当該情報のうちの「taro」は、当該プロセスを実行しているユーザのユーザ名(ユーザID)であり、「telnet」はコマンド名である。「test−abcd」は、コマンドの引数であり、「telnet」の引数としてのホスト名である。「01:00:20」は、当該プロセスの生存時間、すなわち、telnetによるtest−abcd(ホスト)への接続継続時間(この例では、1時間20秒)である。なお、PSコマンド等により、実行中プロセス一覧を取得できる機能は、UNIXベースのOSに標準的に備わっている機能である。
【0029】
踏み台ホストにおけるScreen等の機能を用いたり、複数の作業用ウィンドウをユーザ端末40が実行すること等により、1つのユーザ端末40は、複数のホストに同時に接続可能であるため、あるユーザ名に対して、複数の実行中プロセスの情報が取得される場合もある。
【0030】
(ステップS106、S107:表示情報作成、送信処理)
ステップS106の表示情報作成では、作業状態表示制御装置100は、ステップS105で取得した作業状態情報から、ホストに接続して作業を行っていることを示すコマンド(本実施の形態では、TELNET又はSSH)に係るプロセスの情報を抽出し、当該抽出した各情報について、ホスト名から、接続中のホストが商用機であるか、それとも検証機(商用機以外)であるかを判定する。つまり、ホストの種類を判定する。
【0031】
一般的に、商用機のホスト名には、サービス名の一部等、商用機であることが判別可能な文字列を含む。ただし、サービス名の一部等の文字列を含む場合でも、当該サービスの監視(monitor)を行うためのホストである可能性があるため、監視用のホストを除くために、例えば、ホスト名に「mon」を含まず、なおかつ、サービス名の一部等の予め定めた文字列を含むホスト名を商用機のホスト名と判定する。
【0032】
上記商用機のホスト名であると判定されなかったホスト名は検証機のホスト名と判定することができる。
【0033】
上記のような判定に代えて、「test」等、検証機であること(商用機でないこと)を示す予め定めた文字列を含むホスト名を検証機のホスト名であると判定し、検証機であると判定されなかったホスト名を商用機であると判定してもよい。
【0034】
作業状態表示制御装置100は、ユーザ名に対応するユーザの座席位置を示すテーブルを有しており、当該テーブルを参照することで、ホストに接続中のユーザ毎にその座席位置を取得する。
【0035】
そして、作業状態表示制御装置100は、上記の判定結果を用いて、ホストに接続中のユーザ毎に、「ユーザ名、座席位置、接続しているホストの種類(商用機or検証機)、接続継続時間」からなる情報(基礎情報と呼ぶ)を作成する。当該基礎情報は、ホストに接続中のユーザ毎に1つ又は複数が作成される。
【0036】
本実施の形態では、表示の際に、接続しているホストの種類(商用機or検証機)と接続継続時間とに基づいて、当該ユーザの座席位置に表示する色を決定することとしている。すなわち、作業状態表示制御装置100は、上記基礎情報に基づいて、表示情報として、「ユーザ名、座席位置、表示色」を作成する。ここでの「座席位置」は、「表示位置」と言い換えても良い。
【0037】
また、1ユーザについて、上記の基礎情報が複数ある場合、例えば、最も危険度が高いことを示す表示色が得られる1つの基礎情報を選択し、当該1つの基礎情報に基づいて、表示情報を作成する。一例として、商用機以外に接続していることを示す基礎情報と、商用機に接続していることを示す基礎情報の2つがある場合、商用機に接続していることを示す基礎情報が選択される。
【0038】
上記表示情報「ユーザ名、座席位置、表示色」は、ホストに接続中のユーザのみに対して作成し、当該接続中のユーザの分の表示情報を作業状態表示装置30に送信することとしてもよいし、ホストに接続中でないユーザについては、「ユーザ名、座席位置、表示色」における表示色を、ホストに接続中でないことを示す表示色の情報とすることで、全ユーザについて「ユーザ名、座席位置、表示色」を作成し、作業状態表示装置30に送信することとしてもよい。
【0039】
(S108:表示処理)
作業状態表示制御装置100から表示情報を受信した作業状態表示装置30は、表示情報に従って表示を実施する。作業状態表示装置30は、例えばディスプレイを有するPCである。また、作業状態表示装置30がディスプレイそのものでもよい。その場合、当該ディスプレイは、表示情報を解釈可能であり、当該表示情報に従って表示を行うことができる。また、作業状態表示装置30が、Webサーバとディスプレイを有するPCとからなる装置であってもよい。この場合、例えば、Webサーバが、表示情報に基づき画面(HTMLデータ)を作成し、PCが当該画面を取得して表示を行う。
【0040】
一例として、作業状態表示装置30(ディスプレイ)は、商用機10/検証機20にアクセスして種々の作業を実行する部署の部屋において、作業者が見やすい目立つ場所に備えられる。
【0041】
図3に、作業状態表示装置30に表示される画面の例を示す。図3に示す画面は、画面全体であると解釈してもよいし、より多くの座席が表示されている中の一部が表示されていると解釈してもよい。図3図5図7も同様)に示す例は、上記の部署の部屋の座席表のイメージを表示する例であり、座席表中の各作業者の位置に、作業状態(ホストへのログイン状態(接続しているか否かの状態))に対応する色が表示される。図中、「ユーザ1」等は例えば実際のユーザ名である。
【0042】
図4に、作業状態に対応する色の例を示す。図4に示すように、本例では、灰色が何れのホストにも接続していないことを示し、緑色が何れかのホストに接続中であることを示し、橙色が商用機に接続中であることを示す。また、赤色は、商用機に接続中であり、なおかつ、セッション時間(接続継続時間)が3600秒以上であることを示す。すなわち、図4の例では、作業状態表示制御装置100は、当該ルールに従って表示色を決定し、表示情報を作成する。なお、上記の色や時間の長さは一例に過ぎず、職場の内規、作業ルール、環境、好み等に応じて適宜設定可能である。
【0043】
このような表示を行うことで、ユーザが、例えば、ホストに対するログアウトをし忘れて帰ってしまうようなことを防止でき、これにより、日ごろからログインについての意識が高まり、結果としてホストの取り違いの減少を図ることができる。
【0044】
また、特に、商用機に接続していることが一目でわかるので、作業者本人もしくは他人は、取り違えていることに気付く可能性が高まり、それにより、ホストの取り違いの減少を図ることができる。
【0045】
図5図7を参照して表示の活用例について説明する。当該活用例ではユーザ14に着目している。また、図4の表示方法が採用されている。
【0046】
図5の例では、ユーザ14の座席の位置に緑色の表示がなされているので、ユーザ14は、何れかのホスト(商用機ではないホスト)に接続中であることがわかる。例えば、ユーザ14本人が、何れかのホストに接続中であることを認識していない場合において、勤務中に当該表示を見ることで、覚えていないプロセスがあることに気が付くことができる。
【0047】
また、図6に示す例では、ユーザ14の座席の位置に燈色の表示がなされているので、ユーザ14は、商用機に接続中であることがわかる。例えば、ユーザ14本人が、商用機に接続中であることを認識していない場合において、作業時間以外に当該表示を見ることで、商用機から抜け忘れていることに気が付く。また、例えば、ユーザ14が商用機にアクセスする必要性が低いことを本人以外の誰でも認識できるような場合において、本人以外の誰かが、当該表示を見ることで、ユーザ14が商用機に接続していることに気付き、取り違いの可能性を認識し、声をかけるといったことができる。
【0048】
また、図7の例では、ユーザ14の座席の位置に赤色の表示がなされているので、ユーザ14は、商用機に接続中であり、かつ、セッションの継続時間が3600秒(1時間)以上であることがわかる。このとき、誰かが当該表示を見ることで、ユーザ14に対して休憩を促すといった対応をとることができる。これは、集中力欠如によるミスの低減に寄与する。
【0049】
すなわち、運用の現場(特に障害対策等時)では、1つの工事や対応が数時間に及ぶことが少なくない。このため、作業が長期化することで、作業者の集中力が切れ、作業手順の誤り等により、障害を引き起こす可能性があるところ、上記のような表示方法により、商用機への長時間の作業を一目で把握できるので、このような問題の発生を防止できる。
【0050】
(装置構成例)
図8に、本実施の形態における作業状態表示制御装置100の機能構成の例を示す。図8に示すように、本実施の形態における作業状態表示制御装置100は、実行処理管理部110、作業状態取得部120、表示情報作成部130、及びユーザ情報格納部140を含む。なお、図8の構成は一例に過ぎず、作業状態表示制御装置100が本実施の形態に係る処理を実行できるのであれば、その機能構成は図8に示すものに限られない。
【0051】
実行処理管理部110は、踏み台ホストに相当する機能部である。本実施の形態における実行処理管理部110は、UNIXベースのOSを有し、PSコマンド等の命令を受けて、実行中のプロセスの情報(作業状態情報)を出力する機能を含む。
【0052】
作業状態取得部120は、定期的(例:数分おき)に実行処理管理部110に対して上記命令を送ることにより、作業状態の情報として実行中のプロセスの情報を取得し、当該情報を表示情報作成部130に渡す。前述したように、当該作業状態の情報には、「taro telnet test−abcd 01:00:20」等が含まれている。
【0053】
ユーザ情報格納部140には、例えば図9に示すように、ユーザ名と座席位置とを対応付けたテーブルが格納されている。
【0054】
図8に示す表示情報作成部130は、作業状態取得部120から受け取った作業状態の情報(例:「taro telnet test−abcd 01:00:20」)と、ユーザ情報格納部140に格納されている情報(例:taroの座席位置はA)とに基づいて、例えば、「taro、座席位置:A、緑色」を示す表示情報を作成する。当該表示情報は、作業情報表示装置30に送られ、作業情報表示装置30において、表示情報に従った表示がなされる。
【0055】
本実施の形態に係る作業状態表示制御装置100は、例えば、1つ又は複数のコンピュータに、本実施の形態で説明する処理内容を記述したプログラムを実行させることにより実現可能である。すなわち、作業状態表示制御装置100が有する機能は、当該コンピュータに内蔵されるCPUやメモリ、ハードディスクなどのハードウェア資源を用いて、当該装置で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メールなど、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0056】
このように、作業状態表示制御装置100が、コンピュータとプログラムにより実現できる点は変形例でも同様である。
【0057】
(変形例)
これまでの例では、各ユーザ端末40は、踏み台ホストを経由して目的のホストに接続することとしているが、本発明は、このような形態に限定されることなく適用可能である。図10は、踏み台ホストを経由しないで各ユーザ端末40が目的のホストに接続する形態の例を示す図である。以下では、この形態を変形例として説明する。
【0058】
図10に示すように、本変形例に係るシステムでは、各ユーザ端末40とホスト(商用機10/検証機20)との間にL2スイッチ50が備えられる。各ユーザ端末40とホストとの間でL2スイッチ50を介して通常通りにパケットの送受信が行われるとともに、L2スイッチ50には、ポートミラーリングの設定がなされており、各ユーザ端末40が接続されているポートを経由するパケットが作業状態表示制御装置100に送信されるように構成されている。
【0059】
つまり、図10の例では、各ユーザ端末40とホスト(商用機10/検証機20)との間で送受信される全てのパケットが作業状態表示制御装置100に送信される。
【0060】
変形例における作業状態表示制御装置100の構成は図8に示した構成と同様である。ただし、変形例では、実行処理管理部110が、L2スイッチ50から受信するパケットを解析し、ユーザ毎に、当該ユーザが接続中であるホストのホスト名、及び、セッションの継続時間を取得し、メモリ等の記憶手段に記憶する機能を有する。より具体的には、例えば、下記のような手法で解析を行う。
【0061】
ユーザ端末40からホスト宛てに送信され、ミラーリングにより作業状態表示制御装置100の実行処理管理部110が受信するパケット(TCP/IPパケット)には、宛先IPアドレス、送信元IPアドレス、及び宛先ポート番号が含まれる。
【0062】
実行処理管理部110は、例えば、宛先ポート番号に基づき、ホストへの接続を示すプロトコル(本例ではTELNET/SSH)に係るパケットを検出すると、例えばディレクトリサービスを利用することで、当該パケットの送信元IPアドレスからユーザ名を取得する。また、例えば、DNSを利用することで、当該パケットの宛先IPアドレスからホスト名を取得する。実行処理管理部110は、これらの情報(プロトコル/ユーザ名/ホスト名)を、当該パケットの検出を開始した時刻(=接続が開始された時刻)とともに記憶手段に格納する。
【0063】
その後、実行処理管理部110は、上記パケットと同じ「プロトコル/ユーザ名/ホスト名」のパケットを検出する度に、当該検出を行った時刻と、検出を開始した時刻との差分を、上記エントリに接続継続時間として記録する。このような処理により、実行処理管理部110は、「プロトコル/ユーザ名/ホスト名/接続継続時間」の情報を随時保持することができる。
【0064】
また、例えば、一定時間、上記「プロトコル/ユーザ名/ホスト名」に該当する「ポート番号/送信元IPアドレス/宛先IPアドレス」を持つパケットを受信しない場合、セッションが切断されたと判断し、「プロトコル/ユーザ名/ホスト名/接続継続時間」の情報を削除する。また、パケットを解析することで、当該セッションの切断を示すパケット(例:Finパケット)を検出したことをトリガとして「プロトコル/ユーザ名/ホスト名/接続継続時間」の情報を削除することとしてもよい。
【0065】
実行処理管理部110は、上記の処理を行うことで、前述した実施の形態と同様の接続状態情報を蓄積できる。
【0066】
変形例においても、作業状態取得部120、表示情報作成部130、及びユーザ情報格納部140は、前述した実施の形態における機能と同様の機能を持つ。すなわち、作業状態取得部120は、定期的(例:数分おき)に実行処理管理部110に対して、上記蓄積情報を取得する命令を送ることにより、作業状態の情報として「プロトコル/ユーザ名/ホスト名/接続継続時間」の情報を取得し、当該情報を表示情報作成部130に渡す。当該情報は、前述した「taro telnet test−abcd 01:00:20」等に相当する。
【0067】
表示情報作成部130は、作業状態取得部120から受け取った作業状態の情報(例:「taro telnet test−abcd 01:00:20」)と、ユーザ情報格納部140に格納されている情報(例:taroの座席位置はA)とに基づいて、例えば、「taro、座席位置:A、緑色」を示す表示情報を作成する。当該表示情報は、作業情報表示装置30に送られ、作業状態表示装置30において、表示情報に従った表示がなされる。
【0068】
(その他の例)
これまでに説明した例では、接続しているホストの種類(商用機or検証機)と接続継続時間とに基づいて、該当ユーザの座席位置の色を決定し、表示を行うこととしている。商用機等への接続を気付かせる方法は、このような「色」に限定されるわけではなく、他の様々な方法を取ることが可能である。
【0069】
例えば、「色」に関わらず、もしくは、「色」に加えて、点滅のパターンで商用機への接続等を表現してもよい。また、出力(表示)を行う装置についても、ディスプレイに限らず、例えば、複数のLEDを備えた装置を作業状態表示装置30として用い、作業状態表示制御装置100により作成する表示情報において指定される位置に対応するLEDを、指定した点滅パターンで光らせるような形態も可能である。
【0070】
また、各座席にLED等からなる発光装置を設置し、作業状態表示制御装置100により作成する表示情報において指定される位置に対応する発光装置を、指定した点滅パターンや色で光らせるような形態も可能である。この場合、例えば、作業状態表示装置30に各座席の発光装置が接続され、作業状態表示装置30は、作業状態表示制御装置100から受信する表示情報において指定された座席位置の発光装置を光らせる。当該作業状態表示装置30と各座席の発光装置とをまとめて「表示装置」と称してもよい。
【0071】
上記の例は、いずれも、作業状態表示制御装置100において生成する表示情報「ユーザ名、座席位置、表示色」における「表示色」の部分を、出力形態に合わせて適宜設定することで実現可能である。
【0072】
(実施の形態のまとめ、効果等)
以上、説明したように、本実施の形態によれば、ユーザ端末からホストへの接続がなされる通信システムにおいて使用される表示制御装置であって、ホストに接続しているユーザ端末のユーザ名、及び当該ホストのホスト名を含む接続状態情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記接続状態情報におけるホスト名に基づいて、接続先のホストの種類を判定する判定手段と、表示装置に対して、前記ユーザ名に対応する位置で、前記接続先のホストの種類に対応する表示方法による情報表示を行わせる表示制御手段とを備えることを特徴とする表示制御装置が提供される。
【0073】
前記表示制御装置は、ユーザ端末とホストとの間の接続を中継する踏み台ホストの機能を有する実行処理管理手段を含み、前記取得手段は、前記実行処理管理手段に対して所定の命令を発行することにより、前記接続状態情報を取得することとしてもよい。
【0074】
前記表示制御装置は、ユーザ端末とホストとの間で送受信されるパケットをミラーリング機能により出力する通信装置に接続されており、前記取得手段は、前記通信装置から受信するパケットのポート番号、送信元IPアドレス、及び宛先IPアドレスに基づいて、前記接続状態情報を取得することとしてもよい。
【0075】
前記判定手段により、前記接続先のホストが商用機であると判定された場合に、前記表示制御手段は、前記表示装置に対し、当該ホストが商用機でない場合の表示方法とは異なる表示方法での情報表示を行わせることとしてもよい。
【0076】
前記表示制御手段は、前記表示装置に対し、前記ユーザ名に対応する座席位置に、前記接続先のホストの種類に対応する色の表示を行わせることとしてもよい。
【0077】
前記取得手段により取得される前記接続状態情報には、ホストへの接続継続時間が更に含まれており、前記表示制御手段は、前記表示装置に対し、前記ユーザ名に対応する位置で、前記接続先のホストの種類及び前記接続継続時間に対応する表示方法での情報表示を行わせることとしてもよい。
【0078】
前記接続先のホストが商用機であり、かつ、前記接続継続時間が予め定めた時間以上の長さである場合に、前記表示制御手段は、前記表示装置に対し、前記ユーザ名に対応する位置で、危険であることを示す予め定めた色の表示を行わせることとしてもよい。
【0079】
本実施の形態に係る技術により、作業場所や内規に制限をかけることなく、作業者のログイン(ホストへの接続)に関する意識を高めることができ、結果としてホストの取り違え等を防止できる。
【0080】
また、現在のログイン状況(接続状況)を一目で把握できるので、「うっかり」から発生する人為ミスを軽減できる。また、他の人が商用機にログインしていることを容易に把握できるので、容易に注意喚起を行うことができる。
【0081】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 商用機
20 検証機
30 作業状態表示装置
40 ユーザ端末
100 作業状態表示制御装置
110 実行処理管理部
120 作業状態取得部
130 表示情報作成部
140 ユーザ情報格納部
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