(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る実施形態の自走式レール頭部削正装置1、およびこの自走式レール頭部削正装置1に搭載された実施形態のレール頭部削正機2について説明する。尚、下記に説明する自走式レール頭部削正装置1およびレール頭部削正機2は、あくまで本発明の一例であり、本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更可能である。
【0015】
図1は、本発明に係る実施形態の自走式レール頭部削正装置1全体の平面図、
図2は、その自走式レール頭部削正装置1における1台のレール頭部削正機2を搭載した部分の要部拡大平面図である。
図3は、実施形態の自走式レール頭部削正装置1全体の正面図、
図4は、1台のレール頭部削正機2を搭載した部分の要部拡大正面図である。
図5は、自走式レール頭部削正装置1全体の右側面図、
図6は、1台のレール頭部削正機2を搭載した部分の要部拡大側面図である。
【0016】
<自走式レール頭部削正装置1全体の構成>
図1に示すように、実施形態の自走式レール頭部削正装置1は、自走してレールRの頭部を削正するもので、走行車本体10の左右両側にそれぞれ搭載された2台のレール頭部削正機2、すなわち計4台のレール頭部削正機2を備える。
【0017】
走行車本体10は、レールRの間隔より狭いフレーム11を有し、フレーム11の前後両側には、前輪12a,12aと、後輪12b,12bを有する。前輪12a,12aまたは後輪12b,12bのいずれか一方は、エンジン(内燃機関)やモーター等の駆動源13aの回転を減速ギア13bやチェーンやベルト、ギア等の伝達手段13c等を介して回転して、レールR上を走行する。尚、ここでは、例えば、フレーム11の後方に設けた後輪12b,12bを駆動しているが、本発明では、これに限らない。
【0018】
駆動源13aは、正回転および逆回転可能であり、走行車本体10は前進および後進が可能である。なお、後側の車輪12a,12cと、前側の車輪12b,12dとは、ぞれぞれ、車軸15a,15bにより連結されている。
【0019】
走行車本体10のフレーム11の両側には、それぞれ、レールRに対し直角方向にスライド可能に削正機固定スライド枠体14,14が設けられており、左右それぞれの削正機固定スライド枠体14,14は、それぞれ、コの字状の枠体をレールRの長手方向に2つ連結した形状でレールRの長手方向に所定間隔を空けて2台のレール頭部削正機2を固定する。
【0020】
また、左右の各削正機固定スライド枠体14には、それぞれ、2台のレール頭部削正機2,2の固定箇所の前後にレール追従ローラー14a,14bが設けられている。
【0021】
ここで、レール追従ローラー14a,14bは、
図3に示すように前輪12a,12aおよび後輪12b,12bと同様に内側にのみフランジが設けられたローラーである。
【0022】
そのため、走行車本体10のフレーム11の中央には、レール頭部削正機2,2が固定された左右の削正機固定スライド枠体14.14を水平方向に設けられたエアーコンプレッサ式の押圧シリンダー14c1によって常に水平方向外側へ押圧する水平方向押圧機構部14cが設けられている。
【0023】
これにより、この自走式レール頭部削正装置1がレールRの上を走行すると、走行車本体10の左右両側にそれぞれに設けられた2台のレール頭部削正機2,2は、左右それぞれの削正機固定スライド枠体14,14のレール追従ローラー14a,14bおよび水平方向押圧機構部14c等によってレールRのスラック等に追従してレールRの長手方向に対し水平方向で直角方向にスライドできる。
【0024】
また、左右それぞれの削正機固定スライド枠体14,14におけるレール頭部削正機2,2の固定箇所の前後と、レール頭部削正機2,2の間の3箇所には、レールRの長手方向に密接して波状摩耗の波長以上の長さだけ並べた複数の回転ローラー14d1,14e1,14f1を有する高さ保持ローラー14d,14e,14fを設けている。これにより、レールR頭部の頭頂面に波状摩耗による凹凸が存在する場合でも、波状摩耗の上面を常に確実に捉えて、削正機固定スライド枠体14,14およびレール頭部削正機2,2を常に一定の高さに保持してレールRの頭部を削正することができる。
【0025】
また、走行車本体10の左右には、それぞれ、レール頭部削正機2,2が固定された削正機固定スライド枠体14,14の前後に設けられたエアーコンプレッサ式の昇降シリンダー14g1,14g1によって削正機固定スライド枠体14,14およびレール頭部削正機2,2を昇降させる昇降機構部14g,14gを設けている。
【0026】
これにより、この自走式レール頭部削正装置1では、レールRの削正作業を行う場合は、昇降機構部14g,14gの昇降シリンダー14g1,14g1を作動させることによって、削正機固定スライド枠体14,14およびレール頭部削正機2,2を降下させ、レール頭部削正機2,2の後述する回転砥石21cをレールRの頭部に接触させて削正作業を行う一方、レールRの削正作業を行わない場合、例えば、遠方への移動時等の場合は、削正機固定スライド枠体14,14およびレール頭部削正機2,2を上昇させて、レール頭部削正機2,2の後述する回転砥石21cをレールRの頭部から離すようにする。
【0027】
尚、走行車本体10の前後のフレーム11には、
図1等に示すようにレール頭部削正機2,2を搭載した別の走行車本体10を連結できるように連結部10a,10aが設けられている。
【0028】
<レール頭部削正機2の構成>
次に、上述した本実施形態の自走式レール頭部削正装置1の左右両側に2台ずつ搭載された実施形態のレール頭部削正機2の構成について説明する。尚、以降で説明する
図7〜
図16では、自走式レール頭部削正装置1の全体は省略し、1つのレール頭部削正機2の構成および動作について説明する。
【0029】
図7〜
図10は、それぞれ、本発明に係る実施形態のレール頭部削正機2の正面図、平面図、右側面図、左側面図である。
【0030】
図7〜
図10に示すように、本実施形態のレール頭部削正機2は、削正機本体21と、上下方向移動機構部22と、砥石面角度変更機構部23と、左右方向移動機構部24と、図示しない制御部とを備える。
【0031】
削正機本体21は、削正用モータ21aにより回転軸21b先端に設けられた回転砥石21cを回転させてレールRの頭部を削正する。
【0032】
上下方向移動機構部22は、ステッピングモータ等の上下方向移動用モータ22aによってボールネジ22bを回転させて削正機本体21を上下方向に移動させ、後述する
図10に示すように回転砥石21cを削正すべきレールRの頭部に対し近づけて接触させたり、後述する
図9に示すように遠ざける(退避させる)。
【0033】
砥石面角度変更機構部23は、砥石面角度変更機構枠体23aの下方で削正機本体21の下部を中心に回転するように支持する削正機本体回動中心支持部23bを設ける一方、砥石面角度変更機構枠体23aの上方にボールネジ23cを回転させるステッピングモータ等の角度変更用モータ23dを有する。
【0034】
ボールネジ23cには、削正機本体21に固定された上部ロッド21eを上下方向移動および角度変更可能に支持するスライド駒23eがネジ結合しており、ボールネジ23cの回転に従って左右自在に移動する。
【0035】
また回転砥石面角度変更機構枠体23aの中央には、削正機本体回動中心支持部23bを中心として削正機本体21が回動して傾斜するように削正機本体回動中心支持部23bを中心とした半径のガイド溝23fが形成されていると共に、そのガイド溝23fに削正機本体21に固定された上部ロッド21eの中央に設けられたガイドピン21e1が挿入されて案内される。
【0036】
そのため、砥石面角度変更機構部23では、角度変更用モータ23dの回転によってボールネジ23cを回転させてスライド駒23eをボールネジ23cの軸方向(長手方向)に移動させることにより、削正機本体回動中心支持部23bを中心に削正機本体21を回動させて回転砥石21cの砥石面21c1の角度を変える、すなわち傾斜させることができる。
【0037】
また、左右方向移動機構部24は、ステッピングモータ等の左右方向移動用モータ24aによってボールネジ24bを回転させて、上述のように構成された削正機本体21と上下方向移動機構部22と砥石面面角度変更機構部23の全体を
図13上、右方向に移動させる。
【0038】
これにより、砥石面角度変更機構部23によって削正機本体回動中心支持部23bを中心に削正機本体21を回動させて回転砥石21cの砥石面21c1を傾斜させた場合でも、左右方向移動機構部24によって削正機本体21や砥石面面角度変更機構部23等の全体を
図13上、右方向に移動させることにより、常に、回転砥石21cの砥石面21c1の中心をレールRの頭部に接触させることが可能となり、回転砥石21cの片摩耗等を防止できる。
【0039】
図示しない制御部は、CPUやメモリやユーザプログラム記憶部、操作盤、モニタ等を有しており、ユーザがプログラミングしたユーザプログラムをCPUがユーザプログラム記憶部から読み出して実行することにより、レール頭部削正機2全体の動作を制御するもので、特に、削正機本体21の削正用モータ21aや、上下方向移動機構部22の上下方向移動用モータ22a、砥石面角度変更機構部23の角度変更用モータ23d、および左右方向移動機構部24の左右方向移動用モータ24aの回転を制御する。
【0040】
尚、制御部は、レール頭部削正機2毎に設けられていても、または4台のレール頭部削正機2について1つの制御部が設けられていても良く、4台のレール頭部削正機2について1つの制御部が設けられている場合、制御部を自走式レール頭部削正装置1に設けたり、有線または無線のリモコン(ハンディーターミナル)に設けても良い。
【0041】
そして、制御部は、ユーザがプログラミングしたユーザプログラムをCPUが実行することにより、例えば、左右両側において前後2台のレール頭部削正機2によってレールRの頭頂面の波状摩耗を水平に削正したり、さらには左右両側において前側のレール頭部削正機2が後述するようにレールR等の左側の角部を削正し、後側のレール頭部削正機2が後述するようにレールR等の右側の角部をしたり、前側のレール頭部削正機2が後述するようにレールR等の左側の角部を10度で削正し、後側のレール頭部削正機2が後述するようにレールR等の左側の角部を20度で削正する等、4台のレール頭部削正機2を一度に制御する。
【0042】
次に、以上のように構成された実施形態のレール頭部削正機2の削正動作について説明する。
【0043】
<レール頭部の頭頂面を削正>
図11は、上下方向移動機構部22によって削正機本体21を上方に退避させた状態を示す要部抽出図、
図12は削正機本体21をレールRに向かって降下させた状態を示す要部抽出図である。
【0044】
この場合、上下方向移動機構部22は、制御部からの駆動制御信号によってステッピングモータ等の上下方向移動用モータ22aによってボールネジ22bを回転させることにより削正機本体21を上下方向に移動させ、
図11に示すように回転砥石21cを削正すべきレールRの頭部から遠ざけたり、
図12に示すように近づけて回転砥石21cをレールRの頭部に接触させる。
【0045】
そして、上下方向移動機構部22によって
図12に示すように回転砥石21cをレールRの頭部に接触させた状態で、制御部は、削正機本体21の削正用モータ21aに対し駆動電流を供給して回転砥石21cの砥石面21c1によってレールR頭部の頭頂面を平面に削正する。
【0046】
この場合、レールRのスラック等があっても、上述した自走式レール頭部削正装置1の走行車本体10の左右両側にそれぞれに設けられた削正機固定スライド枠体14,14のレール追従ローラー14a,14bおよび水平方向押圧機構部14c等によって、
図12に示すように、回転砥石21cの回転中心および削正用モータ21aの回転軸21bを通る中心線(軸線)CLがレールR頭部の中心と一致して、回転砥石21cの砥石面21c1によってレールR頭部の頭頂面を平面に削正できる。
【0047】
<レール頭部の角部を削正>
図12に示すように本実施形態のレール頭部削正機2によってレールR頭部の頭頂面(踏面)の波状摩耗等がなくなるように平らに削正している状態からレールR頭部の左右の角部を削正する場合、制御部は、砥石面角度変更機構部23の角度変更用モータ23d、および左右方向移動機構部24の左右方向移動用モータ24aに対し回転制御信号を送って、例えば、回転砥石21cの回転中心(回転軸)および削正用モータ21aの回転軸21bを通る中心線CLが、常にレールR頭部の中心を通るように削正機本体21を傾斜させる共に移動させる。
【0048】
図13は、本実施形態のレール頭部削正機2によって回転砥石21cの砥石面21c1を10度傾斜させてレールR頭部の図上右側角部を削正している状態を示す正面図である。
【0049】
つまり、
図13に示すように本実施形態のレール頭部削正機2によって回転砥石21cの砥石面21c1を10度傾斜させてレールR頭部の右側角部を削正する場合、制御部は、砥石面角度変更機構部23の角度変更用モータ23dに対し回転制御信号を送ってボールネジ23cを回転させ、削正機本体21が10度傾斜するように
図13上、右方向に移動させる。
【0050】
また、これと同時に、制御部は、左右方向移動機構部24の左右方向移動用モータ24aに対し回転制御信号を送ってボールネジ24bを回転させ、回転砥石21cの砥石面21c1の回転中心を通る中心線(軸線)CLがレールR頭部の中心を通るように削正機本体21や上下方向移動機構部22、砥石面面角度変更機構部23を左右方向移動用モータ24aから離れる方向、すなわち
図13上、右方向に20mmだけ移動させる。
【0051】
すると、
図12に示すようにレール頭部削正機2がレールR頭部の頭頂面を平面に削正している状態からレール頭部削正機2を10度傾斜させてレールR頭部の図上右側の角部を削正する場合でも、砥石面角度変更機構部23および左右方向移動機構部24によって、回転砥石21cの砥石面21c1の回転中心を通る中心線CLがレールR頭部の頭頂面の中心を通った状態で削正できる。
【0052】
その結果、レール頭部削正機2を10度傾斜させてレールR頭部の右側角部を削正する場合でも、確実に回転砥石21cの砥石面21c1の面積の広い部分をその角部に当接して削正できるので、回転砥石21cの砥石面21c1を有効に使用してレールRの頭部を効率良く且つ確実に削正できると共に、回転砥石21cの砥石面21c1の片摩耗等を防止できる。
【0053】
図14は、本実施形態のレール頭部削正機2によって回転砥石21cの砥石面21c1を20度傾斜させてレールR頭部の図上右側角部を削正している状態を示す正面図である。
【0054】
つまり、
図14に示すように本実施形態のレール頭部削正機2によって回転砥石21cの砥石面21c1を20度傾斜させてレールR頭部の右側角部を削正する場合、制御部は、砥石面角度変更機構部23の角度変更用モータ23dに対しさらに回転制御信号を送ってボールネジ23cを回転させ、削正機本体21が20度傾斜するように
図13上、右方向に移動させる。
【0055】
また、これと同時に、制御部は、左右方向移動機構部24の左右方向移動用モータ24aに対しさらに回転制御信号を送ってボールネジ24bを回転させ、回転砥石21cの砥石面21c1の回転中心を通る中心線(軸線)CLがレールR頭部の中心を通るように削正機本体21や上下方向移動機構部22、砥石面面角度変更機構部23をレールR頭部の中心に対し、左右方向移動用モータ24aから離れる方向、すなわち
図14上、右方向に40mmだけ移動させる。
【0056】
すると、
図14に示すようにレール頭部削正機2が20度傾斜してレールR頭部の図上右側の角部を削正する場合でも、砥石面角度変更機構部23および左右方向移動機構部24によって、回転砥石21cの砥石面21c1の回転中心を通る中心線CLがレールR頭部の頭頂面の中心を通った状態で削正できる。
【0057】
その結果、レール頭部削正機2を20度傾斜させてレールR頭部の右側角部を削正する場合でも、確実に回転砥石21cの砥石面21c1の面積の広い部分をその角部に当接して削正できるので、回転砥石21cの砥石面21c1を有効に使用してレールRの頭部を効率良く且つ確実に削正できると共に、回転砥石21cの砥石面21c1の片摩耗等を防止できる。
【0058】
図15は、本実施形態のレール頭部削正機2によって回転砥石21cの砥石面21c1を10度傾斜させてレールR頭部の図上左側角部を削正している状態を示す正面図である。
【0059】
つまり、
図15に示すように本実施形態のレール頭部削正機2によって回転砥石21cの砥石面21c1を10度傾斜させてレールR頭部の左側角部を削正する場合、制御部は、砥石面角度変更機構部23の角度変更用モータ23dに対し回転制御信号を送ってボールネジ23cを回転させ、削正機本体21が10度傾斜するように
図15上、左方向に移動させる。
【0060】
また、これと同時に、制御部は、左右方向移動機構部24の左右方向移動用モータ24aに対し回転制御信号を送ってボールネジ24bを回転させ、回転砥石21cの砥石面21c1の回転中心を通る中心線(軸線)CLがレールR頭部の中心を通るように削正機本体21や上下方向移動機構部22、砥石面面角度変更機構部23をレールR頭部の中心に対し、左右方向移動用モータ24aに近付く方向、すなわち
図15上、左方向20mmだけ移動させる。
【0061】
すると、
図15に示すようにレール頭部削正機2を10度傾斜させてレールR頭部の図上左側の角部を削正する場合でも、砥石面角度変更機構部23および左右方向移動機構部24によって、回転砥石21cの砥石面21c1の回転中心を通る中心線CLがレールR頭部の頭頂面の中心を通った状態で削正できる。
【0062】
その結果、レール頭部削正機2を10度傾斜させてレールR頭部の左側角部を削正する場合でも、確実に回転砥石21cの砥石面21c1の面積の広い部分をその角部に当接して削正できるので、回転砥石21cの砥石面21c1を有効に使用してレールRの頭部を効率良く且つ確実に削正できると共に、回転砥石21cの砥石面21c1の片摩耗等を防止できる。
【0063】
図16は、本実施形態のレール頭部削正機2によって回転砥石21cの砥石面21c1を20度傾斜させてレールR頭部の図上左側角部を削正している状態を示す正面図である。
【0064】
つまり、
図16に示すように本実施形態のレール頭部削正機2によって回転砥石21cの砥石面21c1を20度傾斜させてレールR頭部の左側角部を削正する場合、制御部は、砥石面角度変更機構部23の角度変更用モータ23dに対しさらに回転制御信号を送ってボールネジ23cを回転させ、削正機本体21が20度傾斜するように
図16上、左方向に移動させる。
【0065】
また、これと同時に、制御部は、左右方向移動機構部24の左右方向移動用モータ24aに対しさらに回転制御信号を送ってボールネジ24bを回転させ、回転砥石21cの砥石面21c1の回転中心を通る中心線(軸線)CLがレールR頭部の中心を通るように削正機本体21や上下方向移動機構部22、砥石面面角度変更機構部23をレールR頭部の中心に対し、左右方向移動用モータ24aに近付く方向、すなわち
図16上、左方向40mmだけ移動させる。
【0066】
すると、
図16に示すようにレール頭部削正機2が20度傾斜してレールR頭部の図上左側の角部を削正する場合でも、砥石面角度変更機構部23および左右方向移動機構部24によって、回転砥石21cの砥石面21c1の回転中心を通る中心線CLがレールR頭部の頭頂面の中心を通った状態で削正できる。
【0067】
その結果、レール頭部削正機2を20度傾斜させてレールR頭部の左側角部を削正する場合でも、確実に回転砥石21cの砥石面21c1の面積の広い部分をその角部に当接して削正できるので、回転砥石21cの砥石面21c1を有効に使用してレールRの頭部を効率良く且つ確実に削正できると共に、回転砥石21cの砥石面21c1の片摩耗等を防止できる。
【0068】
従って、本実施形態の自走式レール頭部削正装置1およびレール頭部削正機2によれば、削正機本体21を上下方向に移動させて、回転砥石21cを削正すべきレールRの頭部に対し近づけたり遠ざける上下方向移動機構部22と、削正機本体21の下部を回動可能に支持すると共に、削正機本体21の上部を角度変更用モータ23dによりボールネジ23cを回転させることにより左右方向に移動させて、レールR頭部の表面に対する回転砥石21cの砥石面21c1の角度を変える砥石面角度変更機構部23と、削正機本体21と上下方向移動機構部22と砥石面角度変更機構部23をボールネジ24bの回転により水平方向に移動させて、回転砥石21cをレールRの頭部において左右方向に移動させる左右方向移動機構部24を備えるため、レールR頭部の頭頂面や角部を水平や角度を付けて削正する際に、簡単な構成で回転式回転砥石21cをレールRの頭部表面の形状に沿って確実かつ正確に移動および傾斜して削正することができる。
【0069】
特に、本実施形態のレール頭部削正機2は、砥石面角度変更機構部23がレールR頭部の表面に対する回転砥石21cの砥石面21c1の角度を変えた場合でも、左右方向移動機構部24が回転砥石21cの砥石面21c1の回転中心を通る中心線(軸線)CLが常にレールR頭部の中心を通るように削正機本体21や上下方向移動機構部22、砥石面面角度変更機構部23を左右方向に移動させるため、常に回転砥石21cの砥石面21c1の中心に近い砥石面21c1の面積の広い部分でレールR頭部を削正することが可能となり、回転砥石21cの砥石面21c1を有効に使用してレールRの頭部を効率良く且つ確実に削正できると共に、回転砥石21cの砥石面21c1の片摩耗等を防止できる。
【0070】
また、本実施形態の自走式レール頭部削正装置1では、自走式の走行車本体10の左右両側にそれぞれ2台のレール頭部削正機2、すなわち計4台のレール頭部削正機2を備え、これら4台のレール頭部削正機2を各々独立して制御して動作できるように構成したため、左右のレールRを一度に(一走行で)効率良く削正することができる。
【0071】
また、本実施形態の自走式レール頭部削正装置1では、左右の各削正機固定スライド枠体14にそれぞれレール追従ローラー14a,14bを設けており、レール追従ローラー14a,14bは内側にのみフランジが設けられたローラーであるが、左右の削正機固定スライド枠体14.14は水平方向押圧機構部14cのエアーコンプレッサ式の押圧シリンダー14c1によって常に水平方向外側へ押圧している。
【0072】
そのため、左右の各削正機固定スライド枠体14それぞれにレール頭部削正機2を複数台搭載して重量が嵩み、両側にフランジ付きのレール追従ローラーではレールRのスラック等に追従してレールR頭部の頭頂面の中心とレール頭部削正機2,2の後述する回転砥石21cの砥石面21c1の中心とを常に一致させることが困難な場合でも、内側だけの片側フランジ付きのレール追従ローラー14a,14bおよび水平方向押圧機構部14c等によってレールRのスラック等に追従させて、レールR頭部の頭頂面の中心とレール頭部削正機2,2の後述する回転砥石21cの砥石面21c1の中心とを常に一致させた状態でレールRの頭部を作成することができる。
【0073】
その結果、本実施形態の自走式レール頭部削正装置1によれば、この点でも確実に回転砥石21cの砥石面21c1の面積の広い部分をその角部に当接して削正できるので、レールRの頭部を確実に削正することができると共に、回転砥石21cの砥石面21c1の片摩耗等を防止できる。
【0074】
尚、上記実施形態のレール頭部削正機2では、左右方向移動機構部24が回転砥石21cの砥石面21c1の回転中心を通る中心線(軸線)CLが常にレールR頭部の中心を通るように削正機本体21や上下方向移動機構部22、砥石面面角度変更機構部23を左右方向に移動させるように説明したが、本発明では、これに限らず、左右方向移動機構部24が回転砥石21cの砥石面21c1の回転中心が常にレールR頭部に接触して削正できるように削正機本体21や上下方向移動機構部22、砥石面面角度変更機構部23を左右方向に移動させることもできる。このようにした場合、常に回転砥石21cの砥石面21c1の面積の最も広い部分がレールR頭部に接触して削正することが可能となり、レールRの頭部をより効率良く且つ確実に削正することができると共に、回転砥石21cの砥石面21c1の片摩耗等をより防止できることになる。
【0075】
また、上記実施形態の自走式レール頭部削正装置1では、自走式レール頭部削正装置1の左右両側に2台ずつ実施形態のレール頭部削正機2を搭載して説明したが、本発明では、これに限らず、左右両側に1台ずつレール頭部削正機2を搭載しても良いし、左右両側に3台以上のレール頭部削正機2を搭載しても良いし、左右のいずれか一方側に1又は複数台の実施形態のレール頭部削正機2を搭載するようにしても良い。
【0076】
特に、左右両側または左右いずれか一方側に3台以上のレール頭部削正機2を搭載した場合には、1台目のレール頭部削正機2はレールRの頭頂面の波状摩耗等を平らに削正し、2台目のレール頭部削正機2はレールR頭部の左側角部を削正、3台目のレール頭部削正機2はレールR頭部の右側角部を削正したり、あるいは1台目のレール頭部削正機2はレールRの頭頂面の波状摩耗等を平らに削正し、2台目のレール頭部削正機2はレールR頭部の左側角部を5度程度の角度で削正、3台目のレール頭部削正機2はレールR頭部の左側角部を10度程度の角度で削正し、4台目のレール頭部削正機2はレールR頭部の左側角部を15度程度の角度で削正する等のように制御部のユーザプログラムをプログラミングしてレールRを一度に(一走行で)効率良く削正することができる。
【0077】
また、走行車本体10の前後のフレーム11には、
図1等に示すようにレール頭部削正機2,2を搭載した別の走行車本体10を連結できるように連結部10a,10aが設けられているので、連結部10a,10aを介しレール頭部削正機2,2を搭載した別の走行車本体10を連結するように構成しても勿論良い。