(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カバー体は、周方向で分断されて側方に開放するとともに弾性的に拡開可能な着脱開口を備え、前記着脱開口が拡開した状態で前記周壁部の通過が許容されることを特徴とする請求項1に記載の間接排水継手。
前記カバー体は、上下に並設された複数の羽根部からなるルーバー部を備え、前記複数の羽根部の間に前記透孔が定められ、前記羽根部は、外縁が下がるように傾斜した傾斜面を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の間接排水継手。
機器からの排水を流入する流入部、前記流入部からの排水を受ける受け部、前記受け部と連通して排水を前記排水管へ排出する排水部、及び、前記流入部と前記受け部とを連結し、側方に開口部を設けて内部に排水口空間を定める周壁部を備える間接排水用の継手本体に装着されるカバー体であって、
前記開口部からの異物の侵入を防止するとともに前記排水管から逆流した排水を排出可能に形成された透孔を備え、前記開口部を覆うように前記周壁部に対して側方から着脱可能であることを特徴とするカバー体。
周方向で分断されて側方に開放するとともに弾性的に拡開可能な着脱開口をさらに備え、前記着脱開口が拡開した状態で前記周壁部の通過を許容することを特徴とする請求項5に記載のカバー体。
上下に並設された複数の羽根部からなるルーバー部をさらに備え、前記複数の羽根部の間に前記透孔が定められ、前記羽根部は、外縁が下がるように傾斜した傾斜面を有していることを特徴とする請求項5又は6に記載のカバー体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の間接排水用器具(以下、間接排水継手)のように、従来技術では、間接排水継手の逆流排水を排出する吐水口には、防虫・防塵のためのカバー体(網の目)が設けられる。この種のカバー体は、間接排水継手内部への侵入を防いだゴミや埃等の堆積により、カバー体の細孔が目詰まりし、逆流排水の吐水不良を起こす虞があるので、部品交換や掃除等の定期的なメンテナンスが必要である。しかしながら、特許文献1の間接排水継手は、カバー体が間接排水継手の一部を構成するため、その着脱が容易でなく、メンテナンス(目詰まりしたゴミの除去)に手間がかかることが課題であった。特には、特許文献1では、目皿が配管を支持するとともに排水受けに固定されているので、目皿を脱着するには、配管を持ち上げて目皿を排水受けに対して回転させなければならず、このような脱着作業は容易ではない。さらに、カバー体(細孔)を排水用継手に一体形成する代わりに、吐水口に網目状の繊維体を貼着したものも存在する。しかし、このような貼着式のカバー体では、掃除後や交換後の貼着が容易でなく、メンテナンスが容易であるとは言い難い。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、改善したメンテナンス性を有する間接排水継手、及び、該間接排水継手用のカバー体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の間接排水継手は、機器からの排水を排水管へ間接排水するために排水経路に設置される間接排水継手であって、
機器からの排水を流入する流入部、流入部からの排水を受ける受け部、受け部と連通して排水を排水管へ排出する排水部、及び、流入部と受け部とを連結し、側方に開口部を設けて内部に排水口空間を定める周壁部を備える継手本体と、
開口部を介した内部への異物侵入を防止するとともに排水管から逆流した排水を排出可能に形成された透孔を備えるカバー体と、を備え、
カバー体は、開口部を覆うように周壁部に対して側方から着脱可能に装着されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の間接排水継手は、請求項1に記載の間接排水継手において、カバー体は、周方向で分断されて側方に開放するとともに弾性的に拡開可能な着脱開口を備え、着脱開口が拡開した状態で周壁部の通過が許容されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の間接排水継手は、請求項1又は2に記載の間接排水継手において、カバー体は、上下に並設された複数の羽根部からなるルーバー部を備え、複数の羽根部の間に透孔が定められ、羽根部は、外縁が下がるように傾斜した傾斜面を有していることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の間接排水継手は、請求項1から3のいずれか一項に記載の間接排水継手において、カバー体は、透明、又は、内部状態が視認可能な程度に半透明であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載のカバー体は、機器からの排水を流入する流入部、流入部からの排水を受ける受け部、受け部と連通して排水を排水管へ排出する排水部、及び、流入部と受け部とを連結し、側方に開口部を設けて内部に排水口空間を定める周壁部を備える間接排水用の継手本体に装着されるカバー体であって、
開口部からの異物の侵入を防止するとともに排水管から逆流した排水を排出可能に形成された透孔を備え、開口部を覆うように周壁部に対して側方から着脱可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載のカバー体は、請求項5に記載のカバー体において、周方向で分断されて側方に開放するとともに弾性的に拡開可能な着脱開口をさらに備え、着脱開口が拡開した状態で周壁部の通過を許容することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載のカバー体は、請求項5又は6に記載のカバー体において、上下に並設された複数の羽根部からなるルーバー部をさらに備え、複数の羽根部の間に透孔が定められ、羽根部は、外縁が下がるように傾斜した傾斜面を有していることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載のカバー体は、請求項5から7のいずれか一項に記載のカバー体において、内部状態が視認可能であるように、透明又は半透明であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の間接排水継手によれば、カバー体の透孔により、継手本体の開口部を介して内部へ侵入しようとするゴミや虫などの異物をトラップし、間接排水継手内部に異物が侵入することを防止する。一方で、カバー体は、開口部を覆う透孔を介して、排水管から逆流した排水を吐水するように構成されている。そして、カバー体は、周壁部に対して側方から着脱可能に装着されて開口部を覆っている。すなわち、該カバー体が側方から継手本体の周壁部に着脱可能に構成されていることにより、メンテナンスの際、排水経路における継手本体の設置状態や設置位置を変更することなく、カバー体のみを継手本体から容易に着脱することができる。よって、間接排水継手の設置後、経時により異物が透孔に堆積したら、カバー体のみを容易に外してメンテナンスすることができる。そして、メンテナンス後、開口部を覆うように容易にカバー体を継手本体に再装着できる。したがって、本発明は、より高いメンテナンス性を有する間接排水継手を提供するものである。
【0016】
請求項2に記載の間接排水継手によれば、請求項1の発明の効果に加えて、着脱開口を弾性的に拡開させることで、着脱開口を介して周壁部に対してカバー体を簡単に側方から着脱することが可能である。すなわち、カバー体を弾性変形させるという単純な操作によって、カバー体を周壁部に簡単且つ迅速に着脱できる。
【0017】
請求項3に記載の間接排水継手によれば、請求項1又は2の発明の効果に加えて、透孔を定める羽根部の傾斜面が外縁が下がるように傾斜していることにより、埃の堆積を抑え、透孔が詰まる虞を効果的に軽減することができる。
【0018】
請求項4に記載の間接排水継手によれば、請求項1から3のいずれかの発明に加えて、透明又は半透明なカバー体を介して外部から間接排水継手の内部状態を視認可能である。これにより、カバー体を取着した状態であっても、本継手が間接排水用であることを認知可能であり、且つ、継手本体内部の状況も確認可能である。
【0019】
請求項5に記載のカバー体によれば、カバー体の透孔により、継手本体の開口部を介して内部へ侵入しようとするゴミや虫などの異物をトラップし、間接排水継手内部に異物が侵入することを防止する。一方で、カバー体は、開口部を覆う透孔を介して、排水管から逆流した排水を吐水するように構成されている。そして、カバー体は、開口部を覆うように、周壁部に対して側方から着脱可能に構成されている。すなわち、カバー体のメンテナンスの際、排水経路における継手本体の設置状態や設置位置を変更することなく、カバー体のみを継手本体から容易に着脱することができる。よって、間接排水継手の設置後、経時により異物が透孔に堆積したら、カバー体のみを容易に外してメンテナンスできる。そして、メンテナンス後、開口部を覆うように容易にカバー体を継手本体に再装着できる。したがって、本発明は、より高いメンテナンス性を有する間接排水継手のためのカバー体を提供するものである。
【0020】
請求項6に記載のカバー体によれば、請求項5の発明に加えて、着脱開口を弾性的に拡開させることで、着脱開口を介して周壁部に対してカバー体を簡単に側方から着脱することが可能である。すなわち、カバー体を弾性変形させるという単純な操作によって、カバー体を周壁部に簡単且つ迅速に着脱できる。
【0021】
請求項7に記載のカバー体によれば、請求項5又は6の発明の効果に加えて、透孔を定める羽根部の傾斜面が外縁が下がるように傾斜していることにより、埃の堆積を抑え、透孔が詰まる虞を効果的に軽減することができる。
【0022】
請求項8に記載の間接排水継手によれば、請求項5から7のいずれかの発明に加えて、透明又は半透明なカバー体を介して外部から間接排水継手の内部状態を視認可能である。これにより、カバー体を取着した状態であっても、継手本体が間接排水用であることを認知可能であり、且つ、継手本体内部の状況も確認可能である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0025】
本実施形態の間接排水継手100は、潜熱回収型ガス給湯器である機器11のドレン排水用の排出部11aに直接的又は間接的に接続され、機器11から発生したドレン排水を排水管13に間接排水することに用いられる。
【0026】
図1(a),(b)は、本実施形態の間接排水継手100の概略斜視図である。
図2(a)〜(d)は、間接排水継手100の正面図、側面図、平面図及び底面図である。
図1及び
図2に示すとおり、間接排水継手100は、機器11及び排水管13の間に設置される継手本体110と、該継手本体110の内部への異物侵入を規制すべく該継手本体110に装着されたカバー体120とを備える。なお、「異物」とは、ゴミ、埃、虫などの排水管13や間接排水継手100を詰まらせる虞があるものを意味し、特定の対象に限定解釈されることはない。
【0027】
まず、
図3乃至
図6を参照して、本施形態の継手本体110の構成を説明する。
図3(a),(b)は、継手本体110の概略斜視図である。
図4(a)〜(d)は、継手本体110の正面図、側面図、平面図及び底面図である。
図5(a),(b)は、継手本体110のA−A断面図及びB−B断面図である。
図6は、継手本体110の分解斜視図である。
【0028】
本実施形態の継手本体110は、軸方向に延設された中空の筒状体である。
図3に示すとおり、継手本体110は、機器11からの排水を流入する流入部111と、該流入部111と連通する流水筒部112と、該流水筒部112を包囲するとともに流入部111下端に連結された周壁部113と、該周壁部113の下端に連結されて該流水筒部112から流出した排水を受ける受け部116と、該受け部116と連通し、排水を排水管13へ排出するための排水部117とを備えてなる。これら流入部111、流水筒部112、受け部116及び排水部117は互いに同心円状に配置されている。
【0029】
流入部111は、
図4に示すように、円筒形状を有している。流入部111の上端(一端)には、機器11からの排水を流入する流入口としての上流側接続口111aが形成され、該上流側接続口111aに対して機器11の排出部11aが直接的又は間接的に接続される。本実施形態では、継手12を介して上流側接続口111aが排出部11aに接続される(
図11参照)。当該上流側接続口111aの大きさは任意に定められる。また、流入部111の下端側には、円環状のフランジ111bが張り出し形成されている。該フランジ111b下面から周壁部113が下方に延伸している。
【0030】
流水筒部112は、流入部111の下端側に一体的に連設された直状の円筒体である。該流水筒部112は、円筒状の流入部111下端から縮径して下方に延伸している。流水筒部112の上端には、円形状の通水口112aが開口しており、流入部111の上流側接続口111aと連通している。さらに、流水筒部112の下端には、上流側接続口111aからの排水を通水口112aを介して下方に流出させる流出口112bが開口している。該流出口112bは、半径r1を有する円形状を有する。また、流水筒部112は周壁部113内部で受け部116に近接するように所定の長さで延伸している。換言すると、流水筒部112下端の流出口112bは、受け部116から所定距離dで離隔している。
【0031】
周壁部113は、軸方向に延伸する円筒状に形成され、流入部111下部と受け部116上部とを連結する。より具体的には、流入部111のフランジ111b下面から下方に延在し、受け部116の受け口116a縁端面に一体的に連結されている。周壁部113の側方には、排水経路を大気中に開放すべく複数(本実施形態では2つ)の開口部114が穿設されている。これにより、周壁部113の内方に排水口空間115が定められている。そして、流水筒部112が周壁部113に内挿されるように排水口空間115内部で軸方向に延伸している。開口部114は、正面及び背面の両方に矩形状に形成されており、周壁部113をその上端から下端まで切り欠いている。つまり、開口部114は、流水筒部112基端(もしくは流入部111下端)から受け部116上端まで開口している。これにより、開口部114が受け口116aから流出口112bよりも上方にかけて開口して、該開口部114から流出口112bとともに流水筒部112の外側面の少なくとも一部が側方に露出する。本実施形態では、周壁部113の肉部の割合よりも開口部114の割合が多いため、周壁部113は連結部や連結壁として解釈されてもよい。
【0032】
受け部116は、周壁部113の下方に配置され、流出口112bからの排水を受けるようにカップ状に構成されている。より具体的には、受け部116は、上側が短筒状に形成され、下側がテーパー状に縮径している。そして、受け部116上端には、上方に円形状に開口した受け口116aが設けられている。該受け口116aの内径(半径r2)は流出口112bの内径(半径r1)よりも大きい。また、受け口116aと流出口112bとが所定距離dで離隔している。なお、周壁部113と受け部116とが一体的に連設されているため、両者の境界を適宜解釈可能であるが、本実施形態では、開口部114の下側の端縁を受け部116の受け口116aの周縁として定めた。
【0033】
排水部117は、受け部116のテーパー部分の下端に一体的に連設されている。該排水部117は、受け部116と連通しており、受け部116から流入した排水を該継手本体110から排水設備へと排出するように機能する。排水部117は、受け部116よりも縮径した円筒体であり、その下端に下流側接続口117aを有する。該下流側接続口117aを介して、当該継手本体110が排水管13の接続部13aに接続される。
【0034】
図6に示すとおり、該継手本体110は、上側部材110aと下側部材110bとが接合することにより構成される。上側部材110aには、流入部111及びフランジ111bが一体形成されている。下側部材110bには、周壁部113、受け部116及び排水部117が一体形成されている。上側部材110aの流入部111下端近傍の係合爪111cが周壁部113上端近傍に穿設された係合孔113aに係合するとともに、周壁部113の上端縁がフランジ111b下面に当接することにより、上側部材110a及び下側部材110bが接合される。これら部材は、嵌合によって結合されてもよく、あるいは、接着剤等で一体的に接着されてもよい。つまり、継手本体110は、一体で構成可能であるため、簡易な構成を有している。
【0035】
本実施形態では、継手本体110は合成樹脂から成形されることにより作製された。しかしながら、本発明はこれに限定されず、継手本体を金属やガラス等の他の素材で形成してもよい。また、本実施形態では、別体としての上側部材110aと下側部材110bとを組み合わせてなるが、継手本体全体を一体成形してもよい。
【0036】
次に、
図7乃至
図9を参照して、本実施形態のカバー体120の構成を説明する。
図7(a),(b)は、カバー体120の概略斜視図である。
図8(a)〜(c)は、カバー体120の正面図、側面図及び平面図である。
図8(d)は、カバー体120が弾性変形した状態の平面図である。
図9は、カバー体120の断面図である。
【0037】
図7及び
図8に示すとおり、カバー体120は、平面(横断面)視C字形状を有する肉薄の筒状に形成されている。換言すると、カバー体120は、その両端が近接するまで円弧を描きつつ湾曲する肉薄の帯状体である。該肉薄の帯状体が板バネのように弾性変形可能である。
【0038】
カバー体120は、軸方向に沿って切断された略円筒状の壁部121から構成されている。この壁部121は、継手本体110の周壁部113に対応する形状を有している。より具体的には、壁部121の高さが周壁部113の高さとほぼ一致し、且つ、壁部121の内径が周壁部113の外径とほぼ一致する。つまり、カバー体120は、継手本体110の周壁部113に嵌着可能な形状で構成されている。
【0039】
また、カバー体120の壁部121には、所定の大きさの透孔領域を形成すべく、所定領域に延在するルーバー部122が設けられている。該ルーバー部122は、平面に展開された状態では矩形状である。また、該ルーバー部122は、該壁部121の2箇所で互いに略対向する位置に形成されている。そして、該ルーバー部122の位置は、周壁部113の開口部114の位置に対応し、尚且つ、ルーバー部122の高さ及び幅は、開口部114の高さ及び幅に対応している。すなわち、
図1及び
図2に示したように、カバー体120が継手本体110に装着された状態で、各ルーバー部122が各開口部114全体を覆うことができるように構成されている。
【0040】
ルーバー部122は、上下に並設された複数の羽根部123からなる。複数の羽根部123は、互いに周方向に沿って平行に延在している。
図9に示すように、各羽根部123は、略直角三角形状の断面を有し、且つ、その外縁が下がるように傾斜した傾斜面123aを有している。そして、隣接する各羽根部123の間の隙間が透孔124として定められる。つまり、ルーバー部122は、複数の透孔124からなる透孔領域である。各透孔124は、周方向に延在する細幅のスリットであり、ゴミや虫などの異物の通過を抑制(防止)する幅で形成されている。本実施形態では、透孔124の幅wは、約1mmに定められたが、侵入防止の対象とする異物に応じて任意に定められる。
【0041】
さらに、カバー体120の壁部121の(軸方向に亘る)切れ目は、着脱開口125として定められる。すなわち、該着脱開口125は、カバー体120の周方向で分断されて側方に開放している。換言すると、壁部121の周方向の一部が切断(又は分断)されている。カバー体120の原形態において、着脱開口125の開口幅は、継手本体110の周壁部113の外径よりも小さい。そして、
図8(d)に示すように、カバー体120の壁部121が弾性変形することにより、着脱開口125が拡開可能である。この着脱開口125は、少なくとも周壁部113を側方から受け入れ可能な幅まで拡開可能である。換言すると、拡開状態の着脱開口125の開口幅は、継手本体110の周壁部113の外径よりも大きい。すなわち、カバー体120は、その弾性により、周壁部113に対して側方から着脱自在である
【0042】
そして、本実施形態のカバー体120は、透明又は半透明な合成樹脂からなる。この半透明とは、カバー体120の壁部121を介して、その反対側が目視可能である程度の透光性を意味する。すなわち、カバー体120を継手本体110に装着したときに、開口部114を通して継手本体110の内部を視認可能である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、カバー体を金属等の他の弾性変形可能な素材で形成してもよい。
【0043】
以上説明したとおり、弾性変形で拡開した着脱開口125を介して、継手本体110の周壁部113にカバー体120が弾性復帰とともに側方から(周壁部113の径方向に沿って)嵌着されることにより、
図1及び
図2に示した間接排水継手100が構成される。
図1及び
図2に示すように、間接排水継手100では、継手本体110の全て(2つ)の開口部114が、カバー体120の透孔領域であるルーバー部122によって同時に覆われている。つまり、継手本体110にワンタッチでカバー体120を取り付けて、複数の開口部114に亘って異物侵入の措置を行うことが可能である。そして、例えばメンテナンスの際、継手本体110からカバー体120を取り外すには、カバー体120の着脱開口125を開くように弾性変形させることによって、簡単に両者を分離することができる。
【0044】
続いて、
図10乃至
図12を参照して、本実施形態の間接排水継手100を介して機器11からのドレン排水を排水管13に間接排水するための機器設置構造10の構成を説明する。
図10は、該機器設置構造10を模式的に示す全体図である。
図11は、該機器設置構造10の分解斜視図である。
図12は、該機器設置構造10の部分断面図である。
【0045】
機器設置構造10は、機器11、該機器11に上流で接続された間接排水継手100、及び、該間接排水継手100の下流で接続された排水管13を備えてなる。
図10に示すように、機器設置構造10では、建造物の壁面に機器11が固定されている。この機器11の下面からドレン排水を排出するための筒状の排出部11aが延び出ている(
図11参照)。そして、該機器11の下方に排水管13が設置されている。すなわち、該機器設置構造10において、機器11の排出部11aと排水管13との間で上流から下流へとドレン排水を間接排水するための排水経路が形成されている。
【0046】
図11に示すように、該排出部11aに継手12が螺着され、該継手12を介して機器11の排出部11aに継手本体110が接続されている。より詳細には、
図12に示すように、継手本体110の上流側接続口111aに継手12の接続部12aが嵌入されることにより、流入部111が排水を流入可能に機器11の排出部11aに接続されている。なお、本発明において、上流側接続口の径と機器排出部の径とが合えば、継手を省略して、間接排水継手が機器に直接的に接続されてもよい。そして、継手本体110の2つの開口部114が正面及び背面に開口し、該開口部114を介して排水経路が外部空間に開放されている。このとき、流水筒部112が排水口空間115内で受け口116aに向けて延伸し、流出口112bと受け口116aとが互いに近接した距離dで離隔し、開口部114から流出口112bが露出している。換言すると、開口部114が流出口112bと受け口116aとの間で開口している。また、継手本体110の周壁部113外面にカバー体120の壁部121内面が当接するようにカバー体120が継手本体110に装着されている。
【0047】
そして、その下流で継手本体110が排水管13に接続されている。より詳細には、
図12に示すように、排水部117の下方に延びる下流側接続口117aに排水管13の接続部13aが内挿されて互いに接続されている。排水管13は、機器11の下方で縦横に延びる副排水管と、該副排水管からの排水が流れ込み排水設備へと排水する上下に延びる主排水管とから構成されている。したがって、本機器設置構造10では、継手本体110を介して、機器11から発生したドレン排水が排水管13(排水設備)へと間接排水される。
【0048】
図13は、機器11からの排水が継手本体110を介して排水される形態を示しており、
図14は、機器設置構造10において、排水管13から逆流した排水が継手本体110の排水口空間115から排出される形態を示している。
【0049】
図13及び
図14に示すように、継手本体110の開口部114の外方にカバー体120のルーバー部122が配置されている。ルーバー部122は、開口部114を介した逆流する排水の吐出を可能とすべく、開口部114全体を覆っている。すなわち、該ルーバー部122を隔てて継手本体110の内部空間及び外部空間とが区分又は隔離されている。そして、複数の透孔124が複数の開口部114全体に亘るように配置されている。該ルーバー部122に形成された各透孔124の幅は、ゴミや虫の通過を規制すべく十分に小さい(本実施形態では1mm)。これにより、本機器設置構造10では、ルーバー部122を越えて、ゴミや虫が継手本体110内部に侵入することが防止されている。なお、本実施形態のような細長いスリット状の透孔124の場合、短幅wは出来る限り小さくてもよいが、約3mm以下であることが好ましい。この範囲の幅であれば、継手本体110や排水管13が詰まる原因となる大きさの大半のゴミや虫の侵入を防止することができる。
【0050】
また、ルーバー部122の各羽根部123の傾斜面123aが外方ほど下に向かって傾斜している。そして、傾斜面123aが側方に臨むことにより、透孔124の側方への露出が実質的に少なくなる。特には、ルーバー部122を上方(斜め上)から見ると、羽根部123の傾斜面123aが見えるだけで、透孔124がほとんど視認されない。つまり、透孔124の見せかけの面積が実質的に小さくなるが、実際の面積は変わらないので、逆流した排水の吐水量にほとんど影響を与えることなく、より高い異物侵入防止効果が発揮される。
【0051】
図13に示すように、機器11からのドレン排水の排出量や勢いが強い場合、流水筒部112の流出口112bが排水が水しぶきとなって、径方向外方に膨らんで又は飛散して流れ出ることがある。本実施形態の継手本体110では、流水筒部112が排水口空間115内で受け部116に近接し、且つ、流出口112bが受け口116aに対向している。そして、流出口112bの中心軸がより大径の受け口116aの中心を向いている。これにより、流出口112bから流出した排水が開口部114の外側に飛び散ることなく、受け部116に安定的に導かれる。一般的には、流出口112bから落下する排水を開口部114の外に飛散させることを抑えるには、流水筒部112の流出口112bと受け部116の受け口116aとの距離dが排水口空間115の高さ(流水筒部112基端と受け部116上端との間の距離)のほぼ半分以下であることが好ましい。
【0052】
図14に示すように、逆流した排水が排出部107を介して上流に上昇した場合、受け部116が排水で一杯となって受け口116aから開口部114を介して排水が外に溢れ出る。このとき、開口部114を覆うルーバー部122の透孔124を介して逆流した排水が外に吐出される。逆流する排水の水圧の大きさに応じて、最下段の透孔124から順に排水が通過する。水圧が比較的弱い逆流排水の場合、最下段の透孔124から全ての排水が吐出され得る。このような場合、最下段の透孔124の下縁と受け口114の開口縁とが同じ高さにあり、且つ、透孔124が開口部114の幅全体に亘って延びていることから、カバー体120に起因する吐水量の低下が起こらない。他方、水圧が比較的強い逆流排水の場合、水位が最下段の透孔124を超えて上昇するが、下から複数段の透孔124を介して排水が吐出され得る。これら透孔124は、開口部114の高さ方向全体に亘って並設されているので、所望の吐水量が十分に維持されている。
【0053】
また、本実施形態のカバー体120は、周壁部113の周方向に摺動可能に形成されている。図示しないが、
図13及び
図14の状態からカバー体120を周方向にずらして、開口部114に着脱開口125を配置して開口部114の開放量を増加させることにより、吐水量を増加させることができる。当該形態は、例えば、逆流する排水の水圧が高く、吐水量を重視する場合など、状況に応じて選択され得る。
【0054】
以下、本発明に係る一実施形態の間接排水継手100(及びカバー体120)における作用効果について説明する。
【0055】
本実施形態の間接排水継手100によれば、カバー体120に設けられた透孔領域(複数の透孔124)により、継手本体110の開口部114を介して内部へ侵入しようとするゴミや虫などの異物をトラップし、間接排水継手1000内部に異物が侵入することを防止する。一方で、カバー体120は、開口部114を覆う透孔124を介して、排水管13から逆流した排水を吐水するように構成されている。そして、カバー体120は、周壁部113に対して側方から着脱可能に装着されて開口部114を覆っている。特には、着脱開口125を弾性的に拡開させることで、着脱開口125を介して周壁部113に対してカバー体120を簡単に側方から着脱することが可能である。このように、カバー体120を弾性変形させるという単純な操作によって、カバー体120を周壁部113に簡単且つ迅速に着脱できる。すなわち、該カバー体120が側方から継手本体110の周壁部113に着脱可能に構成されていることにより、メンテナンスの際、排水経路における継手本体110の設置状態や設置位置を変更することなく、カバー体120のみを継手本体110から容易に着脱することができる。よって、間接排水継手100の設置後、経時により異物が透孔124に堆積したら、カバー体120のみを容易に外してメンテナンスすることができる。そして、メンテナンス後、開口部114を覆うように容易にカバー体120を継手本体110に再装着できる。
【0056】
さらに、本実施形態の間接排水継手100によれば、外縁が下方に傾斜した羽根部123を有するルーバー部122によって複数のスリット状の透孔124が定められていることにより、異物の堆積や侵入を効果的に防止し、カバー体120のメンテナンスの頻度を減少させることができる。特には、ルーバー部122の各羽根部123の傾斜面123aが外方ほど下に向かって傾斜している。第1に、ゴミや埃などが傾斜面123aに沿って下方且つ外方に落ち易いので、異物が羽根部123上に堆積しにくい。その結果、ゴミや虫がルーバー部122に堆積して透孔124を塞ぐことが効果的に防止されている。第2に、傾斜面123aが側方に臨むことにより、透孔124の外方への実質的な露出が少なくなる。より詳細には、上方(斜め上)からの透孔124の露出をほとんどなくすことができる。一般に、虫やゴミは、上方から継手本体110内部侵入する場合が多いので、透孔124の見せかけの面積が実質的に小さくなり、ゴミや虫などの異物が継手本体110の内部に侵入することが効果的に抑えられる。第3に、傾斜面123aがその外縁が下がるように傾斜しているので、逆流した排水が傾斜面123に沿って流れ落ちるようにガイドされる。すなわち、該間接排水継手100は、逆流した排水の吐水量にほとんど影響を与えることなく、高い異物侵入及び堆積防止効果を発揮することができる。
【0057】
したがって、本発明は、より高いメンテナンス性を有する間接排水継手を提供するものである。
【0058】
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の実施形態や変形例を取り得る。以下、本発明の複数の変形例を説明する。各実施形態において、下二桁が共通する構成要素は、特定のない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0059】
(1)本実施形態のカバー体の透孔の形態は、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、
図15のように、周壁部に設けられた開口部の形状を変更してもよい。カバー体220のように、複数の透孔224は格子によって定められてもよい。また、カバー体320のように、複数の透孔324が水玉状に形成されてもよい。さらに、カバー体420のように、壁部421全体に亘ってスリット状の透孔424が形成されてもよい。
【0060】
(2)本実施形態のカバー体は、弾性変形可能に構成されているが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、
図16に示したカバー体500のように、ヒンジ部527及びロック部528によって着脱開口525を開閉可能に構成してもよい。つまり、カバー体520の壁部521の両片を離隔させるように着脱開口525を開放して壁部521間に周壁部113を配置した上で、着脱開口525を閉塞させてロック部528でロックすることにより、カバー体520を継手本体110に装着可能である。
【0061】
(3)上記実施形態の間接排水継手では、透孔を定めるルーバー部の羽根部が略三角断面形状を有しているが、羽根部を薄板状に構成してもよい。この場合、ルーバー部の強度は低下するが、見せかけの面積と比べて、透孔の実際の面積をより広くとることができる。つまり、上方のみならず、透孔の側方への見せかけの露出を減らし、同じ透孔の大きさで、より高い異物防止効果を発揮することが可能である。
【0062】
(4)上記実施形態の間接排水継手のカバー体と、継手本体とを周方向に係合可能に構成してもよい。例えば、
図17のカバー体620のように、壁部621内面に係合突起626を設けることにより、該係合突起626を継手本体の開口部端面に係合させて、カバー体620の取着位置のガイドを行うことができる。
図17では、係合突起626は、ルーバー部622の周方向の一端にそれぞれ突出形成されている。これら両係合突起626がルーバー部622の互いに近接する側の端部に形成されているので、装着時に係合突起626で開口部間の壁部を周方向から挟み込むように、カバー体620が継手本体に装着される。
【0063】
(5)本発明の継手本体は、上記実施形態の形状に限定されない。例えば、
図18(a)〜(c)のように、周壁部に設けられた開口部の形状や数を変更してもよい。
図18(a)の継手本体210は、1つの開口部214を備え、その開口部214が周壁部213の外周の約半分にまで延びている。
図18(b)の継手本体310は、縦横に延びる格子状の肉部からなる周壁部313を備え、複数の開口部314を定める。
図18(c)の継手本体410は、三角形、菱形、及び瞳形状の異なる開口部414が周壁部413に形成されている。このように、当業者であれば、周壁部における開口部の数、位置、形状を任意に設計することが可能である。
【0064】
(6)上記実施形態の間接排水継手は、軸方向に延びる円筒状に構成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、間接排水継手は、機器及び排水管に間接的又は直接的に接続可能であれば、断面多角形状や長円もしくは楕円形状であってもよい。
【0065】
(7)上記実施形態の間接排水継手は、各部位が軸方向に直線状に構成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、流入部及び排水部が接続する機器又は排水管の位置に応じて屈折又は屈曲していてもよい。また、本発明において、流水筒部が省略されてもよい。
【0066】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。