特許第6464195号(P6464195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6464195迅速加熱モールド用冷却システム成形方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6464195
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】迅速加熱モールド用冷却システム成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/38 20060101AFI20190128BHJP
   B29C 33/02 20060101ALI20190128BHJP
   B22C 9/06 20060101ALI20190128BHJP
   B22D 19/00 20060101ALI20190128BHJP
   B22D 17/22 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   B29C33/38
   B29C33/02
   B22C9/06 Z
   B22D19/00 A
   B22D17/22 D
   B22C9/06 B
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-568675(P2016-568675)
(86)(22)【出願日】2015年5月21日
(65)【公表番号】特表2017-515710(P2017-515710A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】CN2015079470
(87)【国際公開番号】WO2015180586
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2016年11月21日
(31)【優先権主張番号】201410231082.0
(32)【優先日】2014年5月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512231912
【氏名又は名称】劉忠男
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】劉忠男
【審査官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−125894(JP,A)
【文献】 特開昭60−061141(JP,A)
【文献】 特開平07−314543(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02358368(GB,A)
【文献】 特開昭49−076960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00−33/76
B22C 5/00− 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水路とデフォルトされる実体冷却水路対象を作製し、前記実体冷却水路対象は、互いに連通する、複数の貼付け部と、複数の分岐部と、を含み、前記各貼付け部にはそれぞれ複数の前記分岐部が接続し、前記各貼付け部の間に隙間があり、前記実体冷却水路対象の前記各貼付け部が冷却槽を有し、前記各分岐部は前記各冷却槽と連通する冷却通路を有するため、予設冷却水路が形成される作製ステップと、
注入槽を有する容器に前記実体冷却水路対象を入れて、前記注入槽の槽底面に前記各貼付け部を押付ける置き入れステップと、
注入材料を用意して、前記容器の前記注入槽に前記注入材料を注入して、冷却の後、前記実体冷却水路対象を覆うモールド固定層が形成される注入成形ステップと、
前記モールド固定層を取り出して、前記モールド固定層に対して取外し作業を行うことにより、前記実体冷却水路対象が液体や気体になって前記モールド固定層から排出されて、前記モールド固定層は、前記実体冷却水路対象に対応する冷却水路を形成する取外し成形ステップと、を含むことを特徴とする、
迅速加熱モールド用冷却システム成形方法。
【請求項2】
前記注入成形ステップにおいて、前記実体冷却水路対象の融点より高い注入材料を用意し、前記取外し成形ステップにおいて、前記モールド固定層を加熱し、当該加熱温度は、前記モールド固定層の融点より低くて前記実体冷却水路対象の融点より高いことを特徴とする、請求項1に記載の迅速加熱モールド用冷却システム成形方法。
【請求項3】
前記注入成形ステップにおいて、前記実体冷却水路対象の腐食性より低い注入材料を用意し、前記取外し成形ステップにおいて、前記モールド固定層を腐食溶剤に浸漬し、前記腐食溶剤が前記モールド固定層を腐食できないため、前記実体冷却水路対象を腐食することを特徴とする、請求項1に記載の迅速加熱モールド用冷却システム成形方法。
【請求項4】
注入槽を有する容器と、前記注入槽内に位置し前記注入槽と一体成形され冷却水路とデフォルトされる実体冷却水路対象と、を作製し、前記実体冷却水路対象は、互いに連通する、複数の貼付け部と、複数の分岐部と、を含み、前記各貼付け部にはそれぞれ複数の前記分岐部が接続し、前記各貼付け部は、その間に隙間があり、前記注入槽の槽底面に成形されており、前記実体冷却水路対象の前記各貼付け部が冷却槽を有し、前記各分岐部は前記各冷却槽と連通する冷却通路を有するため、予設冷却水路が形成される作製ステップと、
注入材料を用意して、前記容器の前記注入槽に前記注入材料を注入して、冷却の後、前記実体冷却水路対象を覆うモールド固定層が形成される注入成形ステップと、
前記モールド固定層に対して取外し作業を行うことにより、前記容器と前記実体冷却水路対象とが液体や気体になって前記モールド固定層から排出されて、前記モールド固定層は、前記実体冷却水路対象に対応する冷却水路を形成する取外し成形ステップと、を含むことを特徴とする、
迅速加熱モールド用冷却システム成形方法。
【請求項5】
前記注入成形ステップにおいて、前記容器と前記実体冷却水路対象との融点より高い注入材料を用意し、前記取外し成形ステップにおいて、前記モールド固定層を加熱し、当該加熱温度は、前記モールド固定層の融点より低くて前記容器と前記実体冷却水路対象との融点より高いことを特徴とする、請求項に記載の迅速加熱モールド用冷却システム成形方法。
【請求項6】
前記注入成形ステップにおいて、前記容器と前記実体冷却水路対象との腐食性より低い注入材料を用意し、前記取外し成形ステップにおいて、前記モールド固定層を腐食溶剤に浸漬し、前記腐食溶剤が前記モールド固定層を腐食できないため、前記容器と前記実体冷却水路対象とを腐食することを特徴とする、請求項に記載の迅速加熱モールド用冷却システム成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、迅速加熱モールドに関し、特に、迅速加熱モールド用冷却システム成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なモールドは、樹脂射出成形、アルミ合金鋳造やマグネシウム合金鋳造などの加工作業に利用されるときに、当該モールドに取り付けられる迅速加熱システムにより、モールド加工の生産品質を向上可能であり、モールドの生産サイクルタイムを減少可能である。
【0003】
例えばモールドを樹脂射出成形加工に利用する場合には、溶融する成形用樹脂をモールドのランナーにスムーズに注入し、溶融する樹脂を安定的に流動し、樹脂の速すぎる冷却を回避するために、モールドを型合わせする前に、前記迅速加熱システムにより、オス型とメス型とを予定の温度に加熱することで、溶融する樹脂が、キャビティに確実でスムーズに注入して冷却可能である。
【0004】
同じように、モールドに取り付けられている冷却システムにより、キャビティ内の材料を迅速に冷却可能であるため、モールドの生産サイクルタイムを減少可能である。
図1を参照する。図1は、冷却システムを有するモールド(上型10を例にし)を示す。上型10は、モールド固定層11と、モールド固定層11に設けられているモールド層12と、前記モールド固定層11に設けられている複数の冷却水路111と、を含む。冷却水路111に冷却水を流すことにより、モールド層12の熱が冷却水に流入して放熱され、モールド層12の温度を迅速に降下可能である。しかしながら、これには次のような欠点がある。
【0005】
上型10のモールド固定層11とモールド層12とは鋼材を採用し、且つモールド固定層11を先に成形して、モールド固定層11に対して冷却水路111を加工するため、加工が容易ではなく、複雑な三次元幾何形状や自由曲面を有するモールド層12のモールド面121に合わせることができない。このため、モールド層12のモールド面121に冷却水路111を良く合わせることができず、上型10の表面の放熱を均一にすることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、必要によって、モールドに何れかの形態の冷却水路を成形可能であることにより、モールドの表面に冷却水路を容易に近接可能であり、冷却水路の加工が簡易となり、モールドの放熱を均一にすることが可能となる迅速加熱モールド用冷却システム成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を解決するために、本発明の迅速加熱モールド用冷却システム成形方法は、冷却水路とデフォルトされる実体冷却水路対象を作製し、前記実体冷却水路対象は、互いに連通する、複数の貼付け部と、複数の分岐部と、を含む作製ステップと、注入槽を有する容器に前記実体冷却水路対象を入れて、前記注入槽の槽底面に前記各貼付け部を押付ける置き入れステップと、注入材料を用意して、前記容器の前記注入槽に前記注入材料を注入して、冷却の後、前記実体冷却水路対象を覆うモールド固定層が形成される注入成形ステップと、前記モールド固定層を取り出して、前記モールド固定層に対して取外し作業を行うことにより、前記実体冷却水路対象が液体や気体になって前記モールド固定層から排出されて、前記モールド固定層は、前記実体冷却水路対象に対応する冷却水路を形成する取外し成形ステップと、を含む。
【0008】
前記作製ステップにおいて、3Dプリント技術によって前記実体冷却水路対象をプリントし、前記実体冷却水路対象の前記各貼付け部の間に隙間があることが好ましい。
【0009】
前記注入成形ステップにおいて、前記実体冷却水路対象の融点より高い注入材料を用意し、前記取外し成形ステップにおいて、前記モールド固定層を加熱し、当該加熱温度は、前記モールド固定層の融点より低くて前記実体冷却水路対象の融点より高いことが好ましい。
【0010】
前記注入成形ステップにおいて、前記実体冷却水路対象の腐食性より低い注入材料を用意し、前記取外し成形ステップにおいて、前記モールド固定層を腐食溶剤に浸漬し、前記腐食溶剤が前記モールド固定層を腐食できないため、前記実体冷却水路対象を腐食することが好ましい。
【0011】
前記作製ステップにおいて、前記実体冷却水路対象の前記各貼付け部が冷却槽を有し、前記各分岐部は前記各冷却槽と連通する冷却通路を有するため、予設冷却水路が形成されることが好ましい。
【0012】
また、上記の問題を解決するために、本発明の別の迅速加熱モールド用冷却システム成形方法は、実体冷却水路対象を作製し、前記実体冷却水路対象は、互いに連通する、複数の貼付け部と、複数の分岐部と、を含み、前記各貼付け部は冷却槽を有し、前記各分岐部は、前記冷却槽と連通する冷却通路を有するため、予設冷却水路が形成される作製ステップと、注入槽を有する容器に前記実体冷却水路対象を入れて、前記注入槽の槽底面に前記各貼付け部を押付ける置き入れステップと、前記容器の前記注入槽に注入材料を注入して、冷却の後、前記実体冷却水路対象を覆うモールド固定層が形成されることにより、前記モールド固定層は、前記各冷却槽と前記各冷却通路とから構成される前記予設冷却水路を有する注入成形ステップと、を含む。
【0013】
前記作製ステップにおいて、3Dプリント技術によって前記実体冷却水路対象をプリントし、前記実体冷却水路対象の前記各貼付け部の間に隙間があることが好ましい。
【0014】
また、上記の問題を解決するために、本発明の更に別の迅速加熱モールド用冷却システム成形方法は、注入槽を有する容器と、前記注入槽内に位置し前記注入槽と一体成形され冷却水路とデフォルトされる実体冷却水路対象と、を作製し、前記実体冷却水路対象は、互いに連通する、複数の貼付け部と、複数の分岐部と、を含み、前記各貼付け部は、前記注入槽の槽底面に成形されている作製ステップと、注入材料を用意して、前記容器の前記注入槽に前記注入材料を注入して、冷却の後、前記実体冷却水路対象を覆うモールド固定層が形成される注入成形ステップと、前記モールド固定層に対して取外し作業を行うことにより、前記容器と前記実体冷却水路対象とが液体や気体になって前記モールド固定層から排出されて、前記モールド固定層は、前記実体冷却水路対象に対応する冷却水路を形成する取外し成形ステップと、を含む。
【0015】
前記作製ステップにおいて、3Dプリント技術によって前記容器と前記実体冷却水路対象とをプリントし、前記実体冷却水路対象の前記各貼付け部の間に隙間があることが好ましい。
【0016】
前記注入成形ステップにおいて、前記容器と前記実体冷却水路対象との融点より高い注入材料を用意し、前記取外し成形ステップにおいて、前記モールド固定層を加熱し、当該加熱温度は、前記モールド固定層の融点より低くて前記容器と前記実体冷却水路対象との融点より高いことが好ましい。
【0017】
前記注入成形ステップにおいて、前記容器と前記実体冷却水路対象との腐食性より低い注入材料を用意し、前記取外し成形ステップにおいて、前記モールド固定層を腐食溶剤に浸漬し、前記腐食溶剤が前記モールド固定層を腐食できないため、前記容器と前記実体冷却水路対象とを腐食することが好ましい。
【0018】
最後に、上記の問題を解決するために、本発明の他の迅速加熱モールド用冷却システム成形方法は、注入槽を有する容器と、前記注入槽内に位置し前記注入槽と一体成形され冷却水路とデフォルトされる実体冷却水路対象と、を作製し、前記実体冷却水路対象は、互いに連通する、複数の貼付け部と、複数の分岐部と、を含み、前記各貼付け部は、前記注入槽の槽底面に成形されており、冷却槽を有し、前記各分岐部は、前記各冷却槽と連通する冷却通路を有するため、予設冷却水路が形成される作製ステップと、前記容器の前記注入槽に注入材料を注入して、冷却の後、前記実体冷却水路対象を覆うモールド固定層が形成されるため、前記モールド固定層は、前記各冷却槽と前記各冷却通路とから構成される前記予設冷却水路を有する注入成形ステップと、前記容器をトリミングすることにより、前記各冷却槽と少なくとも一つの前記冷却通路とは外部と連通するトリミング成形ステップと、を含む。
【0019】
前記作製ステップにおいて、3Dプリント技術によって前記容器と前記実体冷却水路対象とをプリントし、前記実体冷却水路対象の前記各貼付け部の間に隙間があることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】冷却システムを有する従来のモールドを示す断面図である。
図2】本発明の第1の実施例に係る成形方法を示すフローチャートである。
図3-1】本発明の第1の実施例に係る作製ステップを示す模式図であって、実体冷却水路対象の立体的な状態を示す。
図3-2】本発明の第1の実施例に係る作製ステップを示す模式図であって、実体冷却水路対象の斜視断面状態を示す。
図3-3】本発明の第1の実施例に係る作製ステップを示す模式図であって、別の視点から見た実体冷却水路対象の立体的な状態を示す。
図4-1】本発明の第1の実施例に係る置き入れステップを示す模式図であって、容器に実体冷却水路対象を置き入れた状態を示す。
図4-2】本発明の第1の実施例に係る置き入れステップを示す模式図であって、容器に実体冷却水路対象を置き入れた状態の断面図を示す。
図5】本発明の第1の実施例に係る注入成形ステップを示す模式図であって、当該実体冷却水路対象を覆うモールド固定層が形成された状態を示す。
図6-1】本発明の第1の実施例に係る加熱成形ステップを示す模式図であって、モールド固定層に冷却水路が成形された状態を示す。
図6-2】本発明の第1の実施例に係る加熱成形ステップを示す模式図であって、モールド固定層に冷却水路が成形された状態の断面を示す。
図7-1】本発明の第1の実施例を示す分解斜視図であって、モールド固定層の一部が剖開されてモールド層から分離した状態を示す。
図7-2】本発明の第1の実施例の組合済み状態を示す斜視図であって、モールド固定層の一部が剖開されてモールド層に結合した状態を示す。
図8-1】本発明の第1の実施例を示す分解斜視図であって、モールド層の一部が剖開されてモールド固定層から分離した状態を示す。
図8-2】本発明の第1の実施例の組合済み状態を示す斜視図であって、モールド固定層とモールド層を結合して一部を剖開した状態を示す。
図9】本発明の第1の実施例を示す断面図であって、モールド固定層が下型である状態を示す。
図10-1】本発明の第2の実施例の一部を示す斜視図であって、実体冷却水路対象に二つの穿孔が設けられている状態を示す。
図10-2】本発明の第2の実施例の一部を示す斜視図であって、モールド固定層が二つの支持部を有する状態を示す。
図11】本発明の第4の実施例の成形方法を示すフローチャートである。
図12-1】本発明の第4の実施例の作製ステップを示す模式図であって、実体冷却水路対象の一部が剖開された状態を示す斜視図である。
図12-2】本発明の第4の実施例の置き入れステップを示す模式図であって、容器に実体冷却水路対象を置き入れた状態を示す断面図である。
図12-3】本発明の第4の実施例の注入成形ステップを示す模式図であって、当該実体冷却水路対象を覆うモールド固定層が形成された状態を示す。
図12-4】本発明の第4の実施例の組合済み状態を示す斜視図であって、モールド固定層の一部が剖開されてモールド層に結合した状態を示す。
図13-1】本発明の第5の実施例の一部を示す斜視図であって、実体冷却水路対象に二つの支持部が設けられている状態を示す。
図13-2】本発明の第5の実施例の一部を示す斜視図であって、モールド固定層が二つの支持部を有する状態を示す。
図14】本発明の第6の実施例の一部を示す斜視図である。
図15】本発明の第7の実施例の成形方法を示すフローチャートである。
図16-1】本発明の第7の実施例の作製ステップを示す模式図である。
図16-2】本発明の第7の実施例の注入成形ステップを示す模式図である。
図16-3】本発明の第7の実施例の加熱成形ステップを示す模式図である。
図17】本発明の第8の実施例の成形方法を示すフローチャートである。
図18-1】本発明の第8の実施例の作製ステップを示す模式図である。
図18-2】本発明の第8の実施例の注入成形ステップを示す模式図である。
図18-3】本発明の第8の実施例のトリミング成形ステップを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図2を参照する。本発明の第1の実施例に係る迅速加熱モールド用冷却システム成形方法は、作製ステップ21と、置き入れステップ22と、注入成形ステップ23と、取外し成形ステップ24と、を含む。
【0023】
図3−1、図3−2及び図3−3を参照する。前記作製ステップは、冷却水路とデフォルトされる実体冷却水路対象30を作製し、実体冷却水路対象30は、互いに連通する、複数の貼付け部31と、複数の分岐部32と、を含む。
本実施例では、3Dプリント(3D Printing)技術によって実体冷却水路対象30をプリントするが、本発明はこれらに限定されない。実体冷却水路対象30の各貼付け部31の間に隙間33がある。そして実体冷却水路対象30の各貼付け部31の表面311は、予設形状を有する貼付けモールド面(図示せず)に位置する。
【0024】
図4−1及び図4−2を参照する。前記置き入れステップは、注入槽41を有する容器40に実体冷却水路対象30を入れて、注入槽41の槽底面411に各貼付け部31の表面311を押付ける。すなわち、槽底面411は前記貼付けモールド面である。
【0025】
図5を参照する。前記注入成形ステップは、実体冷却水路対象30の融点より高い注入材料を用意して、容器40の注入槽41に前記注入材料を注入して、冷却の後、実体冷却水路対象30を覆うモールド固定層50が形成される。モールド固定層50は、更に、注入槽41の槽底面411に押付ける固定層モールド面51を有する。
【0026】
図6−1及び図6−2を参照する。前記取外し成形ステップは、モールド固定層50を取り出して、モールド固定層50に対して加熱を行う。当該加熱温度は、モールド固定層50の融点より低くて実体冷却水路対象30の融点より高いため、実体冷却水路対象30が液体(又は気体)になってモールド固定層50から排出されて、モールド固定層50は、実体冷却水路対象30に対応する冷却水路52を形成する。これにより、冷却水路52は、各貼付け部31に対応する冷却槽521と、各分岐部32に対応する冷却通路522と、を形成する。
【0027】
図7−1、図7−2、図8−1及び図8−2を参照する。本実施例では、前記取外し成形ステップの後、モールド固定層50の固定層モールド面51をモールド層60の裏モールド面61に押付ける。これにより、モールド固定層50の冷却水路52(冷却槽521)は、モールド層60の裏モールド面61を通過する。
【0028】
以上、本発明の実施例の主なステップを説明した。次に、本発明の実施例の効果を説明する。
【0029】
本発明に係る迅速加熱モールド用冷却システム成形方法によれば、モールド固定層50の冷却水路52の経路は必要によって設計可能であり、複雑な三次元幾何形状や自由曲面を有するモールド層60のモールド面に合わせることが可能であり、そしてモールド固定層50の冷却水路52の経路はモールド層60を通過可能である。これにより、モールド層60のモールド面に冷却水路52を近接可能であり、冷却水路52の加工が簡易となり、モールドの放熱が均一になるという効果を得ることが可能である。
【0030】
特に、注入成形ステップ23において、モールド固定層50は、更に、固定層モールド面51を有し、取外し成形ステップ24の前に、固定層モールド面51がモールド層60の裏モールド面61に押付けるため、取外し成形ステップ24の後に、モールド固定層50の冷却水路52の経路はモールド層60の裏モールド面61を通過する。すなわち、実体冷却水路対象30を溶融していないときに、モールド固定層50とモールド層60を結合して固定する。これにより、モールド層60のモールド面に冷却水路52を近接可能であり、冷却水路52の加工が簡易となり、モールドの放熱が均一となるという効果を得ることが可能である。もちろん、モールド層60の融点は、実体冷却水路対象30の融点より高いことが必要である。
【0031】
図9を参照する。本発明の第1の実施例に係る迅速加熱モールド用冷却システム成形方法は、モールド固定層50が下型である形態に適用可能である。これは、上記と同じように、冷却水路52及び固定層モールド面51を有し、別の種類のモールド(下型)の形態に適用可能である。
【0032】
特に、本発明の第1の実施例に係る迅速加熱モールド用冷却システム成形方法は、注入成形ステップ23において、実体冷却水路対象30の腐食性より低い注入材料を用意し、取外し成形ステップ24において、モールド固定層50を腐食溶剤に浸漬し、前記腐食溶剤がモールド固定層50を腐食できないため、実体冷却水路対象30を腐食する。
これにより、同じように、実体冷却水路対象30が液体(又は気体)になってモールド固定層50から排出されて、モールド固定層50は、実体冷却水路対象30に対応する冷却水路52を形成する。そうすると、冷却水路52は、各貼付け部31に対応する冷却槽521と、各分岐部32に対応する冷却通路522と、を形成する。
【0033】
また、図12−3を参照する。本発明の第1の実施例に係る迅速加熱モールド用冷却システム成形方法は、作製ステップ21において、実体冷却水路対象30の各貼付け部31は冷却槽314を有し、各分岐部32は各冷却槽314と連通し(又は連通しない)冷却通路321を有するため、予設冷却水路が形成される。これにより、実体冷却水路対象30を作製する材料を節約可能であり、作製コストを減少可能である。
【0034】
図10−1及び図10−2を参照する。本発明の第2の実施例に係る迅速加熱モールド用冷却システム成形方法の第1の実施例と相違する点は下記にある。
【0035】
作製ステップにおいて、図10−1に示すように、各貼付け部31に穿孔312が二つ設けられている。これにより、加熱成形ステップの後に、図10−2に示すように、モールド固定層50で形成する冷却水路52(冷却槽521)は、穿孔312に対応する支持部523を有する。各支持部523の上面はモールド層60の裏モールド面61に押付けるため、モールド層60の構造強度を増加可能である。
【0036】
図3−1及び図8−1を参照する。本発明の第3の実施例に係る迅速加熱モールド用冷却システム成形方法の第1の実施例と相違する点は下記にある。
【0037】
作製ステップにおいて、図3−1に示すように、各貼付け部31は二つの縮幅端313を有し、各貼付け部31の各縮幅端313は分岐部32とそれぞれ連接する。これにより、加熱成形ステップの後に、図8−1に示すように、各貼付け部31に対応して形成される冷却水路52(冷却槽521)は、縮幅端の輪郭に対応する端部5211と、冷却槽521と連通する冷却通路522(分岐部32に対応して形成され)と、を有する。これにより、一方の冷却通路522を吸気穴とし、他方の冷却通路522を排気穴として、冷却槽521内の冷却液を、一方の端部5211から他方の端部5211に移動して、他方の冷却通路522から排出可能である。
【0038】
図11を参照する。本発明の第4の実施例に係る迅速加熱モールド用冷却システム成形方法は、作製ステップ21と、置き入れステップ22と、注入成形ステップ23と、を含む。
【0039】
図12−1を参照する。前記作製ステップは、実体冷却水路対象30を作製し、実体冷却水路対象30は、互いに連通する、複数の貼付け部31と、複数の分岐部32と、を含み、各貼付け部31は冷却槽314を有し、各分岐部32は、冷却槽314と連通する冷却通路321を有するため、予設冷却水路が形成される。本実施例では、上記と同じように、3Dプリント技術によって実体冷却水路対象30をプリントし、且つ実体冷却水路対象30の各貼付け部31の間に隙間33がある。
【0040】
図12−2を参照する。前記置き入れステップは、注入槽41を有する容器40に実体冷却水路対象30を入れて、注入槽41の槽底面411に各貼付け部31を押付ける。
【0041】
図12−3を参照する。前記注入成形ステップは、容器40の注入槽41に注入材料を注入して、冷却の後、実体冷却水路対象30を覆うモールド固定層50が形成されることにより、モールド固定層50は、各冷却槽314と各冷却通路321とから構成される前記予設冷却水路を有する。
【0042】
本実施例では、図12−4に示すように、前記注入成形ステップの後に、容器40からモールド固定層50を取り出す。モールド固定層50は、更に、固定層モールド面51を有する。固定層モールド面51はモールド層60の裏モールド面61に押付け、且つモールド固定層50の各冷却槽314は、モールド層60の裏モールド面61を通過する。
【0043】
これにより、第4の実施例は、その効果が第1の実施例と同じであり、必要によって、モールドに何れかの形態の冷却水路を成形可能であり、これにより、モールドのモールド面に冷却水路を容易に近接可能であり、冷却水路の加工が簡易となり、モールドの放熱を均一にすることが可能となる。
【0044】
特に、第4の実施例の第1の実施例と相違する点は、前記作製ステップによって作製される実体冷却水路対象30は、各貼付け部31と各分岐部32とに冷却槽314と冷却通路321とがそれぞれ成形されており、且つ各冷却槽314と各冷却通路321とが互いに連通するため、前記冷却水路が形成されることにある。
これにより、取外し成形ステップを必要とせず、注入材料の融点が実体冷却水路対象30の融点より高いと限定される必要がなく、又は前記実体冷却水路対象の腐食性より低い注入材料を用意する必要がないため、工程数を有効に減少可能である。
【0045】
前記注入成形ステップを行うときに、注入材料が実体冷却水路対象30の冷却通路321に流入することを回避するために、冷却通路321の開口にプラグ(図示せず)を脱着可能に取り付けることが可能である。前記注入成形ステップを行った後に、前記プラグを取り外すと済む。前記注入成形ステップを行う前には、注入槽41を有する容器40に実体冷却水路対象30を入れて、注入槽41の槽底面411に各貼付け部31を押付けるため、冷却槽314にプラグを取り付けて封止する必要がない。
【0046】
図13−1及び図13−2を参照する。本発明の第5の実施例に係る迅速加熱モールド用冷却システム成形方法が第4の実施例と相違する点は下記にある。
【0047】
作製ステップにおいて、図13−1に示すように、各貼付け部31の冷却槽314内に支持部3141が二つ設けられている。これにより、注入成形ステップを行った後に、図13−2に示すように、モールド固定層50で形成する冷却水路は二つの支持部3141を保有する。各支持部3141の上面はモールド層60の裏モールド面61に押付けるため、前記モールド層の構造強度を増加可能である。
【0048】
図14を参照する。本発明の第6の実施例に係る迅速加熱モールド用冷却システム成形方法が第4の実施例と相違する点は下記にある。
【0049】
作製ステップにおいて、各貼付け部31の冷却槽314は二つの縮幅端3142を有し、各冷却槽314の各縮幅端3142は分岐部32の冷却通路321とそれぞれ連接する。これにより、一方の冷却通路321を吸気穴とし、他方の冷却通路321を排気穴として、冷却槽314内の冷却液を、一方の縮幅端3142から他方の縮幅端3142に移動して、他方の冷却通路321から排出可能である。
【0050】
図15を参照する。本発明の第7の実施例に係る迅速加熱モールド用冷却システム成形方法は、作製ステップ21と、注入成形ステップ23と、取外し成形ステップ24と、を含む。
【0051】
図16−1を参照する。前記作製ステップは、注入槽41を有する容器40と、注入槽41内に位置し注入槽41と一体成形され冷却水路とデフォルトされる実体冷却水路対象30と、を作製し、実体冷却水路対象30は、互いに連通する、複数の貼付け部31と、複数の分岐部32と、を含み、各貼付け部31は、注入槽41の槽底面411に成形されている。本実施例では、上記と同じように、3Dプリント技術によって実体冷却水路対象30をプリントし、且つ実体冷却水路対象30の各貼付け部31の間に隙間33がある。
【0052】
図16−2を参照する。前記注入成形ステップは、容器40と実体冷却水路対象30との融点より高い注入材料を用意して、容器40の注入槽41に前記注入材料を注入して、冷却の後、実体冷却水路対象30を覆うモールド固定層50が形成される。
【0053】
図16−2及び図16−3を参照する。前記取外し成形ステップは、モールド固定層50に対して加熱を行い、且つ当該加熱温度は、モールド固定層50の融点より低くて容器40と実体冷却水路対象30との融点より高いことにより、容器40と実体冷却水路対象30とが液体や気体になってモールド固定層50から排出されて、モールド固定層50は、実体冷却水路対象30に対応する冷却水路52を形成する。そうすると、冷却水路52は、各貼付け部31に対応する冷却槽521と、各分岐部32に対応する冷却通路522と、を形成する。
【0054】
これにより、第7の実施例は、その効果が第1の実施例と同じであり、必要によって、モールドに何れかの形態の冷却水路52を成形可能であり、これにより、モールドのモールド面に冷却水路52を容易に近接可能であり、冷却水路52の加工が簡易となり、モールドの放熱を均一にすることが可能となる。
【0055】
特に、第7の実施例の第1の実施例と相違する点は、作製ステップ21において、容器40と実体冷却水路対象30とを同時に作製するため、容器40を別に用意する必要がなく、置き入れステップ22も必要ないことにある。これにより、工程数を有効に減少可能である。
【0056】
同じように、本発明の第7の実施例に係る迅速加熱モールド用冷却システム成形方法は、注入成形ステップ23において、実体冷却水路対象の腐食性より低い注入材料を用意し、取外し成形ステップ24において、モールド固定層50を腐食溶剤に浸漬し、前記腐食溶剤がモールド固定層50を腐食できないため、実体冷却水路対象30を腐食する。
これにより、同じように、実体冷却水路対象30が液体(又は気体)になってモールド固定層50から排出されて、モールド固定層50は、実体冷却水路対象30に対応する冷却水路52を形成する。そうすると、冷却水路52は、各貼付け部31に対応する冷却槽521と、各分岐部32に対応する冷却通路522と、を形成する。
【0057】
図17を参照する。本発明の第8の実施例に係る迅速加熱モールド用冷却システム成形方法は、作製ステップ21と、注入成形ステップ23と、トリミング成形ステップ25と、を含む。
【0058】
図18−1を参照する。前記作製ステップは、注入槽41を有する容器40と、注入槽41内に位置し注入槽41と一体成形され冷却水路とデフォルトされる実体冷却水路対象30と、を作製し、実体冷却水路対象30は、互いに連通する、複数の貼付け部31と、複数の分岐部32と、を含み、各貼付け部31は、注入槽41の槽底面411に成形されており、冷却槽314を有する。各分岐部32は、各冷却槽314と連通する冷却通路321を有するため、予設冷却水路52が形成される。
本実施例では、上記と同じように、3Dプリント技術によって容器40と実体冷却水路対象30とをプリントし、且つ実体冷却水路対象30の各貼付け部31の間に隙間33がある。
【0059】
図18−2を参照する。前記注入成形ステップは、容器40の注入槽41に注入材料を注入して、冷却の後、実体冷却水路対象30を覆うモールド固定層50が形成されるため、モールド固定層50は、各冷却槽314と各冷却通路321とから構成される予設冷却水路52を有する。
【0060】
図18−2及び図18−3を参照する。前記トリミング成形ステップは、容器40をトリミングすることにより、モールド固定層50に覆われる、各冷却槽314と、少なくとも一つの冷却通路321とは外部と連通する。
【0061】
これにより、第8の実施例は、その効果が第1の実施例と同じであり、必要によって、モールドに何れかの形態の冷却水路52を成形可能であり、これにより、モールドのモールド面に冷却水路52を容易に近接可能であり、冷却水路52の加工が簡易となり、モールドの放熱を均一にすることが可能となる。
【0062】
上記では、種々の実施例および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
10 上型
11 モールド固定層
12 モールド層
21 作製ステップ
22 置き入れステップ
23 注入成形ステップ
24 取外し成形ステップ
25 トリミング成形ステップ
30 実体冷却水路対象
31 貼付け部
32 分岐部
33 隙間
40 容器
41 注入槽
50 モールド固定層
51 固定層モールド面
52 冷却水路
60 モールド層
61 裏モールド面
111 冷却水路
121 モールド面
311 表面
312 穿孔
313 縮幅端
314 冷却槽
321 冷却通路
411 槽底面
521 冷却槽
522 冷却通路
523 支持部
3141 支持部
3142 縮幅端
5211 端部
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4-1】
図4-2】
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8-1】
図8-2】
図9
図10-1】
図10-2】
図11
図12-1】
図12-2】
図12-3】
図12-4】
図13-1】
図13-2】
図14
図15
図16-1】
図16-2】
図16-3】
図17
図18-1】
図18-2】
図18-3】