特許第6464275号(P6464275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6464275
(24)【登録日】2019年1月11日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】液晶パネルの配向膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20190128BHJP
【FI】
   G02F1/1337 520
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-541354(P2017-541354)
(86)(22)【出願日】2015年2月12日
(65)【公表番号】特表2018-504644(P2018-504644A)
(43)【公表日】2018年2月15日
(86)【国際出願番号】CN2015072837
(87)【国際公開番号】WO2016123817
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2017年8月4日
(31)【優先権主張番号】201510065263.5
(32)【優先日】2015年2月6日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516010618
【氏名又は名称】深▲せん▼市華星光電技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CHINA STAR OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】趙 仁堂
(72)【発明者】
【氏名】宋 彦君
(72)【発明者】
【氏名】謝 忠憬
【審査官】 磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−221617(JP,A)
【文献】 特開2003−177408(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/148439(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0015363(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルの配向膜の製造方法であって、
第1基板と第2基板との間に、液晶分子及び液晶反応性モノマーを含む液晶混合物を注入し、貼り合わせを行うことにより、液晶セルを形成するステップと、
前記液晶セルを第1反応装置に設置し、前記第1反応装置による電圧、紫外線照射、及び温度にさらして、前記液晶反応性モノマーの重合反応をさせ、且つ、前記第1反応装置による電圧が7V〜50Vであり、紫外線照射の照度が0.05〜120mW/cmであり、温度が25℃〜80℃であるステップと、前記液晶セルが前記第1反応装置に設置される時間が第1所定時間に達したかどうかを判断するステップと、
前記第1所定時間に達した場合、前記液晶セルを前記第1反応装置から第2反応装置に移動させて、前記第2反応装置による電圧及び温度にさらして、前記液晶反応性モノマーの重合反応を継続し、且つ、前記第2反応装置による電圧が1V〜50Vであり、温度が10℃〜100℃であるステップと、
前記液晶セルが前記第2反応装置に設置される時間が第2所定時間に達したかどうかを判断するステップと、
第2所定時間に達した場合、前記液晶セルを前記第2反応装置の外に移動させて、前記第1基板と前記第2基板の内面にそれぞれ配向膜を形成するステップと、を含む、配向膜の製造方法。
【請求項2】
前記第2反応装置は、前記液晶セルを第2反応装置の入口から出口に搬送するための搬送ベルトを備え、前記第2反応装置内で前記重合反応が完了する、請求項1に記載の配向膜の製造方法。
【請求項3】
搬送ベルトの長さの範囲は10〜100mである、請求項2に記載の配向膜の製造方法。
【請求項4】
前記第2反応装置は、多層炉構造であり、炉体内の層数は10〜100層である、請求項1に記載の配向膜の製造方法。
【請求項5】
前記第1基板と第2基板との間に液晶混合物を注入するステップの前に、
前記液晶混合物を調製するステップをさらに含み、前記液晶混合物中の前記液晶反応性モノマーの割合は2000〜5000PPMである、請求項1に記載の配向膜の製造方法。
【請求項6】
前記液晶反応性モノマーは芳香族である、請求項5に記載の配向膜の製造方法。
【請求項7】
貼り合わせを行うステップは、
前記第1反応装置又は第2反応装置による電圧を受けるために、前記第2基板の電圧接点を露出させるように、前記第1基板と第2基板とを所定距離ずらすことをさらに含む、請求項6に記載の配向膜の製造方法。
【請求項8】
前記液晶反応性モノマーの重合反応をさせた後のステップは、
前記液晶反応性モノマーを第1基板又は第2基板に向かって移動させて突起物を形成し、
前記突起物の作用下で前記液晶分子のプレチルト角を形成することをさらに含む、請求項1に記載の配向膜の製造方法。
【請求項9】
液晶パネルの配向膜の製造方法であって、
第1基板と第2基板との間に、液晶分子及び液晶反応性モノマーを含む液晶混合物を注入し、貼り合わせを行うことにより、液晶セルを形成するステップと、
前記液晶セルを第1反応装置に設置し、前記第1反応装置による電圧、紫外線照射、及び温度にさらして、前記液晶反応性モノマーの重合反応をさせるステップと、
前記液晶セルが前記第1反応装置に設置される時間が第1所定時間に達したかどうかを判断するステップと、
前記第1所定時間に達した場合、前記液晶セルを前記第1反応装置から第2反応装置に移動させて、前記第2反応装置による電圧及び温度にさらして、前記液晶反応性モノマーの重合反応を継続し、前記第1基板と前記第2基板の内面にそれぞれ配向膜を形成するステップと、を含む、液晶パネルの配向膜の製造方法。
【請求項10】
前記第2反応装置は、前記液晶セルを第2反応装置の入口から出口に搬送するための搬送ベルトを備え、前記第2反応装置内で前記重合反応が完了する、請求項9に記載の配向膜の製造方法。
【請求項11】
搬送ベルトの長さの範囲は10〜100mである、請求項10に記載の配向膜の製造方法。
【請求項12】
前記第2反応装置は、多層炉構造であり、炉体内の層数は10〜100層である、請求項9に記載の配向膜の製造方法。
【請求項13】
前記液晶セルが前記第2反応装置に設置される時間が第2所定時間に達したかどうかを判断するステップと、
第2所定時間に達した場合、前記液晶セルを前記第2反応装置の外に移動させるステップと、をさらに含む、請求項12に記載の配向膜の製造方法。
【請求項14】
前記第1反応装置による電圧は7V〜50Vであり、紫外線照射の照度は0.05〜120mW/cmであり、温度は25℃〜80℃であり、
前記第2反応装置による電圧は1V〜50Vであり、温度は10℃〜100℃である、請求項9に記載の配向膜の製造方法。
【請求項15】
前記第基板と第2基板との間に液晶混合物を注入するステップの前に、
前記液晶混合物を調製するステップをさらに含み、前記液晶混合物中の前記液晶反応性モノマーの割合は2000〜5000PPMである、請求項9に記載の配向膜の製造方法。
【請求項16】
前記液晶反応性モノマーは芳香族である、請求項15に記載の配向膜の製造方法。
【請求項17】
貼り合わせを行うステップは、
前記第1反応装置又は第2反応装置による電圧を受けるために、前記第2基板の電圧接点を露出させるように、前記第1基板と第2基板とを所定距離ずらすことをさらに含む、請求項16に記載の配向膜の製造方法。
【請求項18】
前記液晶反応性モノマーの重合反応をさせた後のステップは、
前記液晶反応性モノマーを第1基板又は第2基板に向かって移動させて突起物を形成し、
前記突起物の作用下で前記液晶分子のプレチルト角を形成することをさらに含む、請求項9に記載の配向膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶生産技術の分野に関し、特に液晶パネルの配向膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルの大型化及び広い視野角に対する開発の要求を満たすために、マルチドメイン垂直配向(Multi−Domain Vertical Alignment、MVA)モードは、液晶パネル製造者の間で広く注目されている。MVAモードでは、液晶反応性モノマー(Reactive Monomer、RM)の硬化プロセスにおいて、基板の内面に突起物が形成され、突起物が所定の角度をなして配向膜を形成して、液晶をある角度に偏向させた後に静止させる。MVAモードは、視野角が広く、画質が高い利点を有する。
【0003】
図1A及び図1Bは、配向膜形成プロセスの模式図である。図1Aに示されるように、第1反応装置は、電圧V、第1紫外線(UV1)光ランプの照度及び加熱を提供して、液晶反応性モノマー14の反応を開始させ、液晶反応性モノマー14を第1基板11又は第2基板に向かって移動させ、突起状を呈することにより配向膜13を形成し、液晶分子12を偏向させる。通常、UV1照射が完了した後、電圧の印加を停止し、基板に第2紫外線光(UV2)を照射する。図1Bに示される第2反応装置では、第1UV1光より弱いUV2のみを提供して、残りのRM14が完全に反応する。全過程において、1つのUV1装置は1回に1つの基板のみに対して露光を実行するため、このステップは、生産能力のボトルネックになって、配向膜の製造効率に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、第1反応装置内において長い時間がかかることによる生産能力のボトルネックの従来技術の問題を解決するために、液晶パネルの配向膜の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の実施例は以下の技術的手段を提供する。
液晶パネルの配向膜の製造方法は、
第1基板と第2基板との間に、液晶分子及び液晶反応性モノマーを含む液晶混合物を注入し、貼り合わせを行うことにより、液晶セルを形成するステップと、
前記液晶セルを第1反応装置に設置し、前記第1反応装置による電圧、紫外線照射、及び温度にさらして、前記液晶反応性モノマーの重合反応をさせて、且つ、前記第1反応装置による電圧が7V〜50Vであり、紫外線照射の照度が0.05〜120mW/cmであり、温度が25℃〜80℃であるステップと、前記液晶セルが前記第1反応装置に設置される時間が第1所定時間に達したかどうかを判断するステップと、
前記第1所定時間に達した場合、前記液晶セルを前記第1反応装置から第2反応装置に移動させ、前記第2反応装置による電圧及び温度にさらして、前記液晶反応性モノマーの重合反応を継続し、且つ、前記第2反応装置による電圧が1V〜50Vであり、温度が10℃〜100℃であるステップと、
前記液晶セルが前記第2反応装置に設置される時間が第2所定時間に達したかどうかを判断するステップと、
第2所定時間に達した場合、前記液晶セルを前記第2反応装置の外に移動させて、前記第1基板と前記第2基板の内面にそれぞれ配向膜を形成するステップと、を含む。
【0006】
好ましくは、前記第2反応装置は、前記液晶セルを第2反応装置の入口から出口に搬送するための搬送ベルトを備え、前記第2反応装置内で前記重合反応が完了する。
【0007】
好ましくは、搬送ベルトの長さの範囲は10〜100mである。
【0008】
好ましくは、前記第2反応装置は、多層炉構造であり、炉体内の層数は10〜100層である。
【0009】
好ましくは、前記第1基板と第2基板との間に液晶混合物を注入するステップの前に、
前記液晶混合物を調製するステップがさらに含まれ、前記液晶混合物中の前記液晶反応性モノマーの割合は2000〜5000PPMである。
【0010】
好ましくは、前記液晶反応性モノマーは芳香族である。
【0011】
好ましくは、貼り合わせを行うステップは、
前記第1反応装置又は第2反応装置による電圧を受けるために、前記第2基板の電圧接点を露出させるように、前記第1基板と第2基板とを所定距離ずらすことをさらに含む。
【0012】
好ましくは、前記液晶反応性モノマーの重合反応をさせた後のステップは、
前記液晶反応性モノマーを第1基板又は第2基板に向かって移動させて突起物を形成しており、
前記突起物の作用下で前記液晶分子のプレチルト角を形成することをさらに含む。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の実施例は以下の技術的手段を提供する。
液晶パネルの配向膜の製造方法は、
第1基板と第2基板との間に、液晶分子及び液晶反応性モノマーを含む液晶混合物を注入し、貼り合わせを行うことにより、液晶セルを形成するステップと、
前記液晶セルを第1反応装置に設置し、前記第1反応装置による電圧、紫外線照射、及び温度にさらして、前記液晶反応性モノマーの重合反応をさせるステップと、
前記液晶セルが前記第1反応装置に設置される時間が第1所定時間に達したかどうかを判断するステップと、
第1所定時間に達した場合、前記液晶セルを前記第1反応装置から前記第2反応装置に移動させて、前記第2反応装置による電圧及び温度にさらして、前記液晶反応性モノマーの重合反応を継続し、前記第1基板と前記第2基板の内面にそれぞれ配向膜を形成するステップと、を含む。
【0014】
好ましくは、前記第2反応装置は、前記液晶セルを第2反応装置の入口から出口に搬送するための搬送ベルトを備え、第2反応装置内で前記液晶反応性モノマーの前記重合反応が完了する。
【0015】
好ましくは、搬送ベルトの長さの範囲は10〜100mである。
【0016】
好ましくは、前記第2反応装置は、多層炉構造であり、炉体内の層数は10〜100層である。
【0017】
具体的に、前記液晶セルが前記第2反応装置に設置される時間が第2所定時間に達したかどうかを判断するステップと、
第2所定時間に達した場合、前記液晶セルを前記第2反応装置の外に移動させるステップとがさらに含まれる。
【0018】
好ましくは、前記第1反応装置による電圧は7〜50Vであり、紫外線照射の照度は0.05〜120mW/cmであり、温度は25℃〜80℃であり、
前記第2反応装置による電圧は1V〜50Vであり、温度は10℃〜100℃である。
【0019】
好ましくは、前記液晶混合物を調製するステップがさらに含まれ、前記液晶混合物中の前記液晶反応性モノマーの割合は2000〜5000PPMである。
【0020】
好ましくは、前記液晶反応性モノマーは芳香族である。
【0021】
好ましくは、貼り合わせをするステップは、
前記第1反応装置又は第2反応装置による電圧を受けるために、前記第2基板の電圧接点を露出させるように、前記第1基板と第2基板とを所定距離ずらすことをさらに含む。
【0022】
好ましくは、前記液晶反応性モノマーの重合反応をさせた後のステップは、前記液晶反応性モノマーを第1基板又は第2基板に向かって移動させて突起物を形成し、
前記突起物の作用下で前記液晶分子のプレチルト角を形成することをさらに含む。
【発明の効果】
【0023】
従来技術と比較して、本発明は、第2反応装置により液晶セルに対して重合反応の条件を提供することによって、第1反応装置における反応時間を短縮し、生産能力のボトルネックを回避して、製造時間を短縮する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の実施例あるいは従来技術の技術的手段を更に詳細に説明するため、下記では実施例の説明に必要な図面を用いて簡単に説明する。当然のことながら、下記の説明における図面は本発明のいくつかの実施例のみであり、当該分野の当業者にとって、創造的労働を果たさない前提で、これらの図面に基づいて更に他の図面を得ることができる。
【0025】
図1A図1Aは、背景技術の第1反応装置における配向膜の形成プロセスの模式図である。
図1B図1Bは、背景技術の第2反応装置における配向膜の形成プロセスの模式図である。
図2図2は、本発明の実施例1による配向膜の製造方法のフローチャートである。
図3A図3Aは、本発明の実施例1による第2反応装置のシミュレーション模式図である。
図3B図3Bは、図3Aに製造された配向膜の形成プロセスの模式図である。
図4図4は、本発明の実施例2による配向膜の製造方法のフローチャートである。
図5図5は、本発明の実施例2による第2反応装置のシミュレーション模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照し、ここで、同じ符号が同じ構成要素を表す。以下の説明は、本発明の具体的な実施例を説明するためのものであり、本発明に記載されていない他の実施例に対する限定として解釈されるべきではない。
【0027】
〈実施例1〉
図2は、本発明の実施例における液晶パネルの配向膜の製造方法のフローチャートである。
【0028】
ステップS201では、液晶混合物を調製する。前記液晶混合物は、液晶分子及び液晶反応性モノマーを含む。
【0029】
なお、前記液晶反応性モノマーは芳香族を含む。前記液晶混合物中の前記液晶反応性モノマーの割合は2000〜5000PPM(100万分の1)であり、重合反応が完了した後に、最適な配向効果に達することができる。
【0030】
ステップS202では、第1基板と第2基板との間に、液晶分子及び液晶反応性モノマーを含む液晶混合物を注入し、貼り合わせを行うことにより、液晶セルを形成する。
【0031】
なお、第1基板と第2基板を貼り合わせるプロセスは、前記第1反応装置又は第2反応装置による電圧を受けるために、前記第2基板の電圧接点を露出させるように、前記第1基板と第2基板とを所定距離ずらすことをさらに含む。
【0032】
ステップS203では、前記液晶セルを第1反応装置に設置し、前記第1反応装置による電圧、紫外線照射、及び温度にさらして、前記液晶配向モノマーの重合反応をさせる。
【0033】
前記第1反応装置による電圧は7〜50Vであり、紫外線照射の照度は0.05〜120mW/cmであり、温度は25℃〜80℃であることを理解するべきである。。
【0034】
ここで、第1反応装置による電圧は、上記電圧接点に接続することによって伝達される。
【0035】
図1Aに示されるように、本ステップは、反応時間が短縮される点を除けば、背景技術における反応プロセスと同様である。第1反応装置内において、前記液晶セル中の液晶反応性モノマーは重合反応を開始し、第1基板又は第2基板に突起を形成する。
【0036】
ステップS204では、前記液晶セルが前記第1反応装置に設置される時間が第1所定時間に達したかどうかを判断する。
【0037】
なお、第1所定時間は、現在の反応条件において、重合反応が発生する液晶反応性モノマーの割合が、例えば65〜80%、60〜70%、又は75〜90%(これ以上は列挙しない)などの所定値の範囲に達するように、設定される。例えば、65〜80%の場合、現在の反応条件において、対応する反応時間は50秒である。
【0038】
ステップS205では、前記第1所定時間に達した場合、前記液晶セルを前記第1反応装置から前記第2反応装置に移動させて、前記第2反応装置による電圧及び温度にさらして、前記液晶反応性モノマーの重合反応を継続し、前記第1基板と前記第2基板の内面にそれぞれ配向膜を形成する。
【0039】
前記第2所定範囲は、第2反応装置による電圧が1V〜50Vであり、温度が10℃〜100℃であることを含む。ここで、第2反応装置による電圧は、上記電圧接点に接続することによって伝達される。
【0040】
温度及び電圧の作用下で、第1反応装置における重合反応を継続するのを保証することができ、第2装置内の複数組の液晶セルが同時に反応を実行することもでき、複数組の液晶セルの反応の単位生産時間も比較的短い。このように、第1反応装置内の反応時間は効果的に短縮され、製造プロセス全体にわたって生産能力のボトルネックにならない。
【0041】
図3Aは、本発明の第2反応装置のシミュレーション模式図である。第2反応装置31は、新たな第2反応装置であり、多層炉構造であり、炉体内の層数が10〜100層設けられ、第1反応装置からの液晶セルを収納することをさらに容易にする。
【0042】
図3Bは、図3Aの任意の層における配向膜の形成プロセスの模式図である。第2反応装置において、液晶反応性モノマー14は重合反応を継続し、配向膜を形成して、液晶分子12のプレチルト角を形成する。
【0043】
ステップS206では、前記液晶セルが前記第2反応装置に設置される時間が第2所定時間に達したかどうかを判断する。
【0044】
ステップS207では、第2所定時間に達した場合、前記液晶セルを前記第2反応装置の外に移動させる。
【0045】
前記液晶反応性モノマーは、重合反応が発生するときに、第1基板又は第2基板に向かって移動して突起物を形成する。前記突起物の作用下で、前記液晶分子はプレチルト角を形成する。
【0046】
なお、第1反応装置は、プレチルト角を形成するように液晶反応性モノマーの重合反応を開始させるために、温度及び電圧と協調して紫外線照射を提供する必要があるので、紫外線の照度などに対する要求が比較的厳しく、高精度の高価な機器を採用すべきである。第2反応装置は、前記重合反応を継続するために温度及び電圧をのみ必要とする。遊離した液晶反応性モノマーがパネル照明の欠陥をもたらすことを回避するために、このステップでは、一般的な装置を採用すればよく、コストがより低い。
【0047】
本発明は、第2反応装置の設計により、第1反応装置内の時間を短縮する。第2反応装置は大きな容量を有し、単位生産時間が非常に短い。このように、1つの生産ステップが増加されるが、実際の単位生産時間は短縮される。第1反応装置が液晶パネルの配向膜の生産能力のボトルネックになることは回避され、液晶パネルの全体的な生産効率は向上する。
【0048】
〈実施例2〉
図4は、本発明の実施例における液晶パネルの配向膜の製造方法のフローチャートである。
【0049】
実施例1の製造方法との相違は、実施例1のステップS206及びS207が存在せず、ステップS406が追加されることである。
【0050】
ステップS406では、液晶セルを所定速度で第2反応装置内を移動させる。
【0051】
図5は、第2反応装置のシミュレーション模式図である。なお、第1反応装置は実施例1と同じである。相違は、第2反応装置の構造が異なることである。具体的には、前記第2反応装置は、前記液晶セルを第2反応装置の入口から出口に搬送するための搬送ベルトを備える。第2反応装置内で前記液晶反応性モノマー14の重合反応は完了し、液晶分子12は十分なプレチルト角を形成し、遊離状態の液晶反応性モノマーが存在しない。
【0052】
ここで、搬送ベルトの長さの範囲は10m〜100mである。
【0053】
ここで、搬送ベルトの長さ及び前記所定速度の設定は、第2反応装置内の前記液晶セルの反応時間を、実施例1における第2所定時間に達させることを目的とする。
【0054】
なお、第1反応装置は、液晶反応性モノマーの重合反応を開始させるために、温度及び電圧と協調して紫外線照射を提供する必要があるので、紫外線の照度などに対する要求が比較的厳しく、高精度の高価な機器を採用すべきである。第2反応装置は、前記重合反応を継続するために温度及び電圧をのみ必要とするため、一般的な装置を採用すればよく、コストがより低い。
【0055】
本発明は、第2反応装置の設計により、第1反応装置内の時間を短縮する。第2反応装置は大きな容量を有し、それも搬送機構の一部であり、従来の搬送機構の機能が単一である状況を十分に利用する。このように、単位生産時間は非常に短くなる。第1反応装置が液晶パネルの配向膜の生産能力のボトルネックになることは回避され、液晶パネルの全体的な生産効率は向上する。
【0056】
実施例1及び実施例2に示されるように、本発明は、第2反応装置の新たな設計及び対応する配向膜の製造方法を提供する。上記2つの実施例に由来する、温度及び電圧で紫外線照射を置換する他の実施形態はいずれも本発明の精神の範囲内にあることを理解すべきである。
【0057】
〈実施例3〉
表1は、本発明の実施例により設計された第2反応装置及び対応する配向膜の製造方法の検証結果を示す。
【0058】
表1 実験データ及び検証結果


実験中、第1反応装置の紫外線光(UV1)を用いた後に、電圧を維持しない場合及び電圧を維持する場合でそれぞれ温度実験は行われた。第2装置の温度は50℃であった。結果から分かるように、UV1時間が同じである場合、UV1が終了した後に、電圧を印加せず、基板を50℃の第2装置に15min保持すると、そのプレチルト角(pre−tilt)は、第2装置に保持しないのと同じである。すなわち、電圧が印加されない状態で、プレチルト角を形成することができない。
【0059】
UV1時間は165sと145sにそれぞれ短縮して、UV1が終了した後、電圧を一定に保ち、基板が50℃の第2装置に15minと30minそれぞれ保持されると、UV1時間が短縮されない場合より大きなプレチルト角を得ることができる。
【0060】
従って、適切な時間及び温度の作用で一部のUV1の作用を置き換えることによって、同じプレチルト角を得ることができる。
【0061】
各実施例は異なる強調を有するが、設計思想は同じであり、詳細な説明のないある実施例は、本文全体の詳細な説明を参照することができ、ここでは繰り返さないことを理解すべきである。
【0062】
上述したように、本発明は好ましい実施例を挙げたが、前記好ましい実施れは本発明を制限するものではなく、当業者にとって、本発明の精神と範囲から離れない前提で、いろんな更新と修飾を行うことができ、そのため、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に記載されている技術特徴を基準にするべきである。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5