【実施例1】
【0014】
図2(a)は、実施例1に係る把持装置100の斜視図である。
図2(b)は、把持装置100の平面図である。なお、
図2(b)では、後述する板状のワーク70が載置されている。
図2(a)および
図2(b)で例示するように、把持装置100は、作業台10、支持ブロック20a〜20c、支持ブロック30a,30b、および移動装置40,50を備える。
図3は、把持装置100のブロック図である。
図3で例示するように、把持装置100は、さらにコントローラ60を備える。コントローラ60は、移動装置40,50を制御する。
【0015】
作業台10は、把持装置100の中央部に配置されている。作業台10は、平面を有する。
図2(b)で例示するように、板上のワーク70は、主面(表面または裏面)が当該平面と対向するように作業台10の当該平面上に載置される。
【0016】
ワーク70は、側面のうち少なくとも2面が対向して平行をなす形状を有している。例えば、ワーク70は、主面が正方形状、長方形状、台形状等を有し、少なくとも対向する2辺を形成する2つの側面が平行をなしている。なお、角部が直角である必要はなく、丸みを帯びていてもよく、凹部となっていてもよい。本実施例においては、ワーク70は、一例として、主面が長方形状を有する板状の直方体である。
【0017】
支持ブロック20a,20bと支持ブロック20cとは、作業台10のワーク70が載置される領域を挟んで配置されている。支持部ブロック30aと支持ブロック30bとは、当該領域を挟んで配置されている。支持ブロック20a〜20cおよび支持ブロック30a,30bは、当該領域に対して突出する突起を備えている。
【0018】
支持ブロック20a,20bは、ワーク70の平行をなす2側面の一方に対して突起により支持する。支持ブロック20a,20bが支持する箇所は、ワーク70の主面に垂直に投影した場合に異なる位置となる。支持ブロック20cは、当該2つ側面の他方に対して、支持ブロック20aと支持ブロック20bとの間を突起により支持する。支持ブロック30a,30bは、それぞれワーク70の他の2側面を突起により支持する。本実施例においては、支持ブロック20a,20bはワーク70の長辺を形成する2側面の一方を支持し、支持ブロック20cは他方を支持する。支持ブロック30aはワーク70の短辺を形成する2側面の一方を支持し、支持ブロック30bは他方を支持する。なお、支持ブロック20a〜20cおよび支持ブロック30a,30bによる支持は、点支持、線支持、面支持のいずれでもよい。
【0019】
移動装置40は、アクチュエータなどであり、コントローラ60の指示に従って、支持ブロック20a〜20cをX軸方向に沿って移動させる。支持ブロック20a,20bはX軸方向に沿って同じ方向に移動する。支持ブロック20cは、X軸方向に沿って、支持ブロック20a,20bと反対側に移動する。支持ブロック20a,20bの先端の位置は、X軸上において同じである。移動装置50は、アクチュエータなどであり、コントローラ60の指示に従って、支持ブロック30a,30bをY軸方向に沿って移動させる。支持ブロック30aと支持ブロック30bとは、互いに反対側に移動する。
【0020】
本実施例においては、X軸は、作業台10の平面と平行な軸であり、位置決め後のワーク70の長辺を形成する2側面と直交する。Y軸は、作業台10の平面と平行な軸であり、X軸と直交する。それにより、Y軸は、位置決め後のワーク70の短辺を形成する2側面と直交する。
【0021】
続いて、把持装置100の動作の概略について説明する。
図4で例示するように、移動装置40は、X軸に沿って支持ブロック20a,20bと支持ブロック20cとが互いに近づくように移動させることによって、ワーク70を支持させる。また、移動装置40は、支持ブロック20a,20bと支持ブロック20cとが互いに遠ざかるように移動させることによって、ワーク70の支持を解除する。移動装置50は、Y軸に沿って支持ブロック30aと支持ブロック30bとが互いに近づくように移動させることによって、ワーク70を支持させる。また、移動装置50は、支持ブロック30aと支持ブロック30bとが互いに遠ざかるように移動させることによって、ワーク70の支持を解除する。
【0022】
本実施例によれば、平行をなす2側面の一方の2箇所が支持ブロック20a,
20bによって支持され、他方の支持ブロック20a,20bの間の箇所が支持ブロック20cによって支持されることから、ワーク70のX軸方向の位置決めが行われ、ワーク70の角度が安定する。例えば、ワーク70の長辺がY軸と平行になる。この状態において、他の2側面が支持ブロック30a,30bによって支持されることから、ワーク70のY軸方向の位置決めが行われる。その結果、ワーク70の位置決めの精度が向上する。例えば、ワーク70を重心へセンタリングする精度が向上する。
【0023】
特に、ワーク70の主面が長方形状を有する場合、各側面を1つずつの支持ブロックで支持すれば、ワーク70の把持が安定せずに位置決め精度が低下する。このような場合に、平行をなす2側面の一方の2箇所を支持ブロック20a,
20bで支持し、他方の支持ブロック20a,20bの間の箇所を支持ブロック20cで支持することで、ワーク70の角度が安定する。すなわち、ワーク70の平行をなす2側面が主面で長辺を形成する場合に、位置決め精度に関して大きい効果が得られる。
【0024】
図5(a)〜
図5(d)は、本実施例の効果について例示する図である。
図5(a)で例示するように、ワーク70としてのケースにパネルを貼り付ける例について説明する。本実施例に係る把持装置100を用いることで、精度良くケースの位置決めを行うことができる。例えば、位置決めのばらつき量は、X軸方向において3σ=4.68μm程度となり、Y軸方向において3σ=9.75μm程度となる。それにより、
図5(b)で例示するように、パネルとケースとの隙間が左右および上下共に均衡がとれるようになる。なお、ケースの最適な位置合わせが可能になるため、パネルのサイズが変化した場合でもパネルをケースに対して最適な位置で貼り付けることができる。
【0025】
図5(c)および
図5(d)は、従来の把持方法によりケースを位置決めした場合を例示する。
図5(c)は、パネルのサイズが変化して左右の隙間に不均衡が生じた例である。
図5(d)は、上下および左右の隙間に不均衡が生じた例である。
【0026】
続いて、把持装置100によるワーク70の好ましい把持手順について説明する。
図6(a)は、把持手順の一例を表す工程フロー図である。
図6(b)で例示するように、移動装置40は、X軸に沿って支持ブロック20a〜20cを移動させることによって、支持ブロック20a〜20cにワーク70を500msec支持させる(ステップS1)。次に、
図6(c)で例示するように、この状態において、移動装置50は、Y軸に沿って支持ブロック30a,30bを移動させることによって、支持ブロック30a,30bにワーク70を500msec支持させる(ステップS2)。支持ブロック30a,30bによる支持を継続した状態で、移動装置40は、支持ブロック20a〜20cによる支持を200msec解除する(ステップS3)。
【0027】
次に、移動装置40は、X軸に沿って支持ブロック20a〜20cを移動させることによって、支持ブロック20a〜20cにワーク70を支持させる(ステップS4)。次に、移動装置40は、支持ブロック20a〜20cによる支持を解除するとともに、移動装置50は、支持ブロック30a,30bによる支持を解除する(ステップS5)。解除時間は500msecである。把持装置100は、ステップS1〜ステップS5を複数回繰り返す。
【0028】
支持ブロック20a〜20cによる支持を先に行うことで、ワーク70の角度を安定化させることができる。その後に支持ブロック30a,30bによる支持を行うことで、ワーク70の位置の微調整を行うことができる。それにより、センタリングなどの位置決めを精度良く行うことができる。また、ステップS1〜ステップS5を複数回行うことで、ワーク70の位置決め精度がさらに向上する。
【0029】
上記実施例において、支持ブロック20a,20bが第1支持部材に対応し、指示ブロック20cが第2支持部材に対応し、支持ブロック30aが第3支持部材に対応し、支持ブロック30bが第4支持部材に対応する。また、X軸が第1軸に対応し、Y軸が第2軸に対応する。
【0030】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。