特許第6464503号(P6464503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6464503
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】把持方法および把持装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20190128BHJP
【FI】
   B25J15/08 K
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-133721(P2014-133721)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-10830(P2016-10830A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】592019877
【氏名又は名称】富士通周辺機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100105407
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡林 太志
(72)【発明者】
【氏名】遠山 貴則
(72)【発明者】
【氏名】箱丸 和樹
(72)【発明者】
【氏名】本田 成史
【審査官】 牧 初
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−359275(JP,A)
【文献】 特開2011−98430(JP,A)
【文献】 特開平4−244393(JP,A)
【文献】 実開昭60−142043(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/03
B23Q 3/00− 3/154
B23Q 3/16− 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2側面が平行をなすワークを作業台に載置し、
前記2側面の一方に対して支持部材を用いて2箇所で支持するとともに、他方に対して支持部材を用いて前記2箇所の間を支持した後に、前記ワークの他の2側面に対してそれぞれ支持部材を用いて支持した状態で、前記2側面の支持を解除して前記2側面をさらに支持することを特徴とする把持方法。
【請求項2】
前記ワークに対する支持を解除した上で前記一連の工程を再度行うことを特徴とする請求項1記載の把持方法。
【請求項3】
少なくとも2側面が平行をなすワークが載置された作業台と、
前記2側面の一方に対して2箇所で支持する第1支持部材と、他方に対して前記2箇所の間を支持する第2支持部材と、
前記第1支持部材および前記第2支持部材が前記ワークを支持した後に、前記ワークの他の2側面に対してそれぞれ支持する第3支持部材および第4支持部材と、を備え、
前記第3支持部材および前記第4支持部材によって前記他の2側面を支持した状態で、前記第1支持部材および前記第2支持部材は、前記2側面の支持を解除して、前記2側面をさらに支持することを特徴とする把持装置。
【請求項4】
平面が形成された作業台と、
前記作業台の所定領域を挟んで配置され、前記平面と平行な第1軸に沿って互いに近づくように移動する2つの第1支持部材と1つの第2支持部材と、
前記所定領域を挟んで配置され、前記第1支持部材および前記第2支持部材が互いに近づいた後に、前記平面と平行で前記第1軸と直交する第2軸に沿って互いに近づくように移動する第3支持部材および第4支持部材と、を備え、
前記2つの第1支持部材の先端の位置は、前記第1軸上で同じであり、
前記第2支持部材は、前記2つの第1支持部材の間を移動し、
前記第3支持部材および前記第4支持部材が互いに近づいた状態で、前記第1支持部材および前記第2支持部材は、互いに離れた後に再度近づくことを特徴とする把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、把持方法および把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長方形状の板状ワークなどに対してパネルを貼り付ける作業などが行われている。この作業の準備段階として、ワークを把持することで、位置決めが行われている。例えば、特許文献1〜3は、位置決めを行う技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−189891号公報
【特許文献2】特開平7−52094号公報
【特許文献3】特開2007−127530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3の技術では、ワークの形状によっては精度良く位置決めすることが困難である。
【0005】
1つの側面では、本件は、精度良くワークの位置決めができる把持方法および把持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、把持方法は、少なくとも2側面が平行をなし、前記2側面が他の2側面よりも長いワークを作業台に載置し、前記2側面の一方に対して支持部材を用いて2箇所で支持するとともに、他方に対して支持部材を用いて前記2箇所の間を支持した後に、前記他の2側面に対してそれぞれ支持部材を用いて支持する。
【0007】
他の態様では、把持装置は、少なくとも2側面が平行をなし、前記2側面が他の2側面よりも長いワークが載置された作業台と、前記2側面の一方に対して2箇所で支持する第1支持部材と、他方に対して前記2箇所の間を支持する第2支持部材と、前記第1支持部材および前記第2支持部材が前記ワークを支持した後に、前記ワークの他の2側面に対してそれぞれ支持する第3支持部材および第4支持部材と、を備える。
【0008】
他の態様では、把持方法は、少なくとも2側面が平行をなすワークを作業台に載置し、前記2側面の一方に対して支持部材を用いて2箇所で支持するとともに、他方に対して支持部材を用いて前記2箇所の間を支持した後に、前記ワークの他の2側面に対してそれぞれ支持部材を用いて支持した状態で、前記2側面の支持を解除して前記2側面をさらに支持する。他の態様では、把持装置は、少なくとも2側面が平行をなすワークが載置された作業台と、前記2側面の一方に対して2箇所で支持する第1支持部材と、他方に対して前記2箇所の間を支持する第2支持部材と、前記第1支持部材および前記第2支持部材が前記ワークを支持した後に、前記ワークの他の2側面に対してそれぞれ支持する第3支持部材および第4支持部材と、を備え、前記第3支持部材および前記第4支持部材によって前記他の2側面を支持した状態で、前記第1支持部材および前記第2支持部材は、前記2側面の支持を解除して、前記2側面をさらに支持する。他の態様では、把持装置は、平面が形成された作業台と、前記作業台の所定領域を挟んで配置され、前記平面と平行な第1軸に沿って互いに近づくように移動する2つの第1支持部材と1つの第2支持部材と、前記所定領域を挟んで配置され、前記第1支持部材および前記第2支持部材が互いに近づいた後に、前記平面と平行で前記第1軸と直交する第2軸に沿って互いに近づくように移動する第3支持部材および第4支持部材と、を備え、前記2つの第1支持部材の先端の位置は、前記第1軸上で同じであり、前記第2支持部材は、前記2つの第1支持部材の間を移動し、前記第3支持部材および前記第4支持部材が互いに近づいた状態で、前記第1支持部材および前記第2支持部材は、互いに離れた後に再度近づく。
【発明の効果】
【0009】
精度良くワークの位置決めができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)および(b)は比較例に係る把持装置の概略図である。
図2】(a)は実施例1に係る把持装置の斜視図であり、(b)は実施例1に係る把持装置の平面図である。
図3】把持装置のブロック図である。
図4】把持装置の動作の概略を例示する図である。
図5】(a)〜(d)は実施例1の効果について例示する図である。
図6】(a)〜(c)は把持装置によるワークの好ましい把持手順を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施例の説明に先立って、ワークの位置決めの概略について説明する。図1(a)は、比較例に係る把持装置200の概略図である。図1(a)で例示するように、把持装置200は、作業台201および4つの支持機構202を備える。作業台201には、板状かつ正方形状のワーク203が、主面の一方(表面または裏面)が作業台201と対向するように載置される。4つの支持機構202のそれぞれは、ワーク203の4つの側面のそれぞれを支持する。それにより、4つの支持機構202によってワーク203が把持され、作業台201上におけるワーク203の位置決めがなされる。
【0012】
しかしながら、ワーク203の形状によっては、ワーク203の位置決めを精度良く行うことが困難となる。例えば、ワーク203の主面が長方形状をなす場合、2つの対向する側面が他の2つの対向する側面と比べて長くなる。図1(b)で例示するように、この長さの差が大きくなるにつれて、長い側面を支持する支持機構の支持精度が低下する。その結果、ワーク203の位置決め精度が低下する。
【0013】
そこで、以下の実施例では、精度良くワークの位置決めができる把持装置および把持方法について説明する。
【実施例1】
【0014】
図2(a)は、実施例1に係る把持装置100の斜視図である。図2(b)は、把持装置100の平面図である。なお、図2(b)では、後述する板状のワーク70が載置されている。図2(a)および図2(b)で例示するように、把持装置100は、作業台10、支持ブロック20a〜20c、支持ブロック30a,30b、および移動装置40,50を備える。図3は、把持装置100のブロック図である。図3で例示するように、把持装置100は、さらにコントローラ60を備える。コントローラ60は、移動装置40,50を制御する。
【0015】
作業台10は、把持装置100の中央部に配置されている。作業台10は、平面を有する。図2(b)で例示するように、板上のワーク70は、主面(表面または裏面)が当該平面と対向するように作業台10の当該平面上に載置される。
【0016】
ワーク70は、側面のうち少なくとも2面が対向して平行をなす形状を有している。例えば、ワーク70は、主面が正方形状、長方形状、台形状等を有し、少なくとも対向する2辺を形成する2つの側面が平行をなしている。なお、角部が直角である必要はなく、丸みを帯びていてもよく、凹部となっていてもよい。本実施例においては、ワーク70は、一例として、主面が長方形状を有する板状の直方体である。
【0017】
支持ブロック20a,20bと支持ブロック20cとは、作業台10のワーク70が載置される領域を挟んで配置されている。支持部ブロック30aと支持ブロック30bとは、当該領域を挟んで配置されている。支持ブロック20a〜20cおよび支持ブロック30a,30bは、当該領域に対して突出する突起を備えている。
【0018】
支持ブロック20a,20bは、ワーク70の平行をなす2側面の一方に対して突起により支持する。支持ブロック20a,20bが支持する箇所は、ワーク70の主面に垂直に投影した場合に異なる位置となる。支持ブロック20cは、当該2つ側面の他方に対して、支持ブロック20aと支持ブロック20bとの間を突起により支持する。支持ブロック30a,30bは、それぞれワーク70の他の2側面を突起により支持する。本実施例においては、支持ブロック20a,20bはワーク70の長辺を形成する2側面の一方を支持し、支持ブロック20cは他方を支持する。支持ブロック30aはワーク70の短辺を形成する2側面の一方を支持し、支持ブロック30bは他方を支持する。なお、支持ブロック20a〜20cおよび支持ブロック30a,30bによる支持は、点支持、線支持、面支持のいずれでもよい。
【0019】
移動装置40は、アクチュエータなどであり、コントローラ60の指示に従って、支持ブロック20a〜20cをX軸方向に沿って移動させる。支持ブロック20a,20bはX軸方向に沿って同じ方向に移動する。支持ブロック20cは、X軸方向に沿って、支持ブロック20a,20bと反対側に移動する。支持ブロック20a,20bの先端の位置は、X軸上において同じである。移動装置50は、アクチュエータなどであり、コントローラ60の指示に従って、支持ブロック30a,30bをY軸方向に沿って移動させる。支持ブロック30aと支持ブロック30bとは、互いに反対側に移動する。
【0020】
本実施例においては、X軸は、作業台10の平面と平行な軸であり、位置決め後のワーク70の長辺を形成する2側面と直交する。Y軸は、作業台10の平面と平行な軸であり、X軸と直交する。それにより、Y軸は、位置決め後のワーク70の短辺を形成する2側面と直交する。
【0021】
続いて、把持装置100の動作の概略について説明する。図4で例示するように、移動装置40は、X軸に沿って支持ブロック20a,20bと支持ブロック20cとが互いに近づくように移動させることによって、ワーク70を支持させる。また、移動装置40は、支持ブロック20a,20bと支持ブロック20cとが互いに遠ざかるように移動させることによって、ワーク70の支持を解除する。移動装置50は、Y軸に沿って支持ブロック30aと支持ブロック30bとが互いに近づくように移動させることによって、ワーク70を支持させる。また、移動装置50は、支持ブロック30aと支持ブロック30bとが互いに遠ざかるように移動させることによって、ワーク70の支持を解除する。
【0022】
本実施例によれば、平行をなす2側面の一方の2箇所が支持ブロック20a,
20bによって支持され、他方の支持ブロック20a,20bの間の箇所が支持ブロック20cによって支持されることから、ワーク70のX軸方向の位置決めが行われ、ワーク70の角度が安定する。例えば、ワーク70の長辺がY軸と平行になる。この状態において、他の2側面が支持ブロック30a,30bによって支持されることから、ワーク70のY軸方向の位置決めが行われる。その結果、ワーク70の位置決めの精度が向上する。例えば、ワーク70を重心へセンタリングする精度が向上する。
【0023】
特に、ワーク70の主面が長方形状を有する場合、各側面を1つずつの支持ブロックで支持すれば、ワーク70の把持が安定せずに位置決め精度が低下する。このような場合に、平行をなす2側面の一方の2箇所を支持ブロック20a,
20bで支持し、他方の支持ブロック20a,20bの間の箇所を支持ブロック20cで支持することで、ワーク70の角度が安定する。すなわち、ワーク70の平行をなす2側面が主面で長辺を形成する場合に、位置決め精度に関して大きい効果が得られる。
【0024】
図5(a)〜図5(d)は、本実施例の効果について例示する図である。図5(a)で例示するように、ワーク70としてのケースにパネルを貼り付ける例について説明する。本実施例に係る把持装置100を用いることで、精度良くケースの位置決めを行うことができる。例えば、位置決めのばらつき量は、X軸方向において3σ=4.68μm程度となり、Y軸方向において3σ=9.75μm程度となる。それにより、図5(b)で例示するように、パネルとケースとの隙間が左右および上下共に均衡がとれるようになる。なお、ケースの最適な位置合わせが可能になるため、パネルのサイズが変化した場合でもパネルをケースに対して最適な位置で貼り付けることができる。
【0025】
図5(c)および図5(d)は、従来の把持方法によりケースを位置決めした場合を例示する。図5(c)は、パネルのサイズが変化して左右の隙間に不均衡が生じた例である。図5(d)は、上下および左右の隙間に不均衡が生じた例である。
【0026】
続いて、把持装置100によるワーク70の好ましい把持手順について説明する。図6(a)は、把持手順の一例を表す工程フロー図である。図6(b)で例示するように、移動装置40は、X軸に沿って支持ブロック20a〜20cを移動させることによって、支持ブロック20a〜20cにワーク70を500msec支持させる(ステップS1)。次に、図6(c)で例示するように、この状態において、移動装置50は、Y軸に沿って支持ブロック30a,30bを移動させることによって、支持ブロック30a,30bにワーク70を500msec支持させる(ステップS2)。支持ブロック30a,30bによる支持を継続した状態で、移動装置40は、支持ブロック20a〜20cによる支持を200msec解除する(ステップS3)。
【0027】
次に、移動装置40は、X軸に沿って支持ブロック20a〜20cを移動させることによって、支持ブロック20a〜20cにワーク70を支持させる(ステップS4)。次に、移動装置40は、支持ブロック20a〜20cによる支持を解除するとともに、移動装置50は、支持ブロック30a,30bによる支持を解除する(ステップS5)。解除時間は500msecである。把持装置100は、ステップS1〜ステップS5を複数回繰り返す。
【0028】
支持ブロック20a〜20cによる支持を先に行うことで、ワーク70の角度を安定化させることができる。その後に支持ブロック30a,30bによる支持を行うことで、ワーク70の位置の微調整を行うことができる。それにより、センタリングなどの位置決めを精度良く行うことができる。また、ステップS1〜ステップS5を複数回行うことで、ワーク70の位置決め精度がさらに向上する。
【0029】
上記実施例において、支持ブロック20a,20bが第1支持部材に対応し、指示ブロック20cが第2支持部材に対応し、支持ブロック30aが第3支持部材に対応し、支持ブロック30bが第4支持部材に対応する。また、X軸が第1軸に対応し、Y軸が第2軸に対応する。
【0030】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0031】
10 作業台
20a〜20c 支持部材
30a,30b 支持部材
40,50 移動装置
60 コントローラ
70 ワーク
100 把持装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6