(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レーザー光の照射タイミングと、前記ミラーの反射角度とを、高速に制御することで、膜の表面へのレーザー光の入射方向を変化させる請求項1記載の表面形状の測定方法。
前記レーザー光の照射タイミングと、前記ミラーの反射角度とを、高速に制御することで、複数の前記照射点の表面上の相対距離または前記所定点からそれぞれの前記照射点までの距離が変化させられる請求項8記載の表面形状の測定装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は成膜装置1および本発明の第1の実施の形態である測定装置10を示す説明図である。
【0025】
図1には、化学気相成長法(CVD法)や分子線エピタキシー法(MBE法)で半導体層を成膜する成膜装置1が模式図として示されている。
【0026】
成膜装置1はチャンバ2を有しており、成膜中は内部空間が真空状態に設定される。チャンバ2内にテーブル3が設けられており、このテーブル3に加熱装置であるヒータ3aが内蔵されている。チャンバ2には導入路4が接続されており、半導体層7を成膜するための元素(原料分子)を含む原料ガスおよびその他の材料ガスであるガス5が前記導入路4からテーブル3の表面に与えられ、テーブル3の上に設置された基板6の表面に半導体層7が成膜される。前記基板6は、Si(シリコン)基板またはサファイア基板などである。
【0027】
チャンバ2には第1の窓8と第2の窓9が設けられている。第1の窓8と第2の窓9にはガラス板などの透明板が嵌められており、この透明板を通して内部を観察できるが、チャンバ2の内部空間と外部空間は透明板で遮蔽されている。
【0028】
チャンバ2の外側に、測定装置10Aと、測定装置10Aに付属する回路構成部10Bとが設けられている。回路構成部10Bは、マイクロコンピュータとメモリなどで構成された中央制御装置20とその他の制御部15,16,17,21とから成るが、これら制御部15,16,17,21の一部の機能または全ての機能が、中央制御装置20において仮想的に実現されるものであってもよい。
【0029】
測定装置10Aは発光装置11を有している。発光装置11には、レーザー光を発するレーザー光源が設けられている。レーザー光は、コリメートレンズによってコリメート光に変換されて半導体層7の表面に与えられるものであってもよいし、集光レンズで集光されて、半導体層7の表面に焦点が合わせられ、半導体層7の表面にスポット像が形成されるものであってもよい。
【0030】
レーザー光源から発せられたレーザー光は、ピボットミラー12に与えられる。ピボットミラー12は、ピエゾ素子などで構成された駆動部12a,12bに支持されており、ピボットミラー12が駆動部12a,12bで高速に連続的にまたは間欠的に駆動され、反射面12cの向きが三次元的に変化させられる。発光装置11から発せられたレーザー光は、反射面12cで反射され、ビームスプリッタ13を透過し、チャンバ2内で成膜中のまたは成膜が完了した後の半導体層7の表面(膜の表面)の所定の入射点に与えられる。ただし、成長中の膜が透明な場合には、基板6の表面に入射点が設定されてもよい。
【0031】
半導体層7の表面の入射点で反射された反射光は、ビームスプリッタ13に戻り、ビームスプリッタ13で、ピボットミラー12とは異なる向きに反射されて光位置センサ14に与えられる。
【0032】
以下では、レーザー光源から発せられた「レーザー光」を符号L0で表し、このレーザー光L0が反射面12cで反射されて半導体層7に与えられる「レーザー入射光」を符号Ldで表し、半導体層7の表面で反射されて戻る「レーザー反射光」を符号Lvで表して、互いに区別して説明できるようにする。
【0033】
ピボットミラー12およびビームスプリッタ13は、第1の窓8の外に並べて設置され、第1の窓8に装着された透明板を介して前記基板6の真上に対向している。レーザー入射光Ldとレーザー反射光Lvは、共に第1の窓8を通過する。
【0034】
ただし、本発明の測定装置は、
図3以下に示すように、ビームスプリッタ13が設けられておらず、ピボットミラー12が第1の窓8の外側に配置され、光位置センサ14がチャンバ2に設けられた第2の窓9の外側に設置されていてもよい。この場合は、レーザー入射光Ldが第1の窓8を通過し、レーザー反射光Lvが第2の窓9を通過する。
【0035】
回路構成部10Bには、レーザー発光制御部15とミラー駆動制御部16ならびに反射光分析部17などが設けられている。レーザー発光制御部15は、発光装置11におけるレーザー光の発光タイミングを制御する。ミラー駆動制御部16は、駆動部12a,12bを動作させて、ピボットミラー12の反射面12cの向きを制御する。
【0036】
光位置センサ14はPSD(Position Sensitive Detector)である。レーザー反射光Lvが光位置センサ14に受光されると、光位置センサ14では、その受光点の位置が検知される。この位置検知出力が反射光分析部17に与えられると、前記受光点の平面座標上の位置が算出され、この算出値が中央制御装置20に与えられる。
【0037】
中央制御装置20はマイクロコンピュータとメモリなどから構成されている。レーザー発光制御部15とミラー駆動制御部16は、中央制御装置20で制御されて、レーザー光L0の発光タイミングとピボットミラー12の反射面12cの向きが、互いに同期して制御される。
【0038】
前記反射光分析部17で分析された受光点の平面座標上の位置情報が中央制御装置20に与えられると、ピボットミラー12の反射面12cの角度すなわち、半導体層7の表面へのレーザー入射光Ldの入射方向(入射角度)と、反射光分析部17で分析された受光点の位置情報すなわちレーザー反射光Lvの反射方向(反射角度)とから、レーザー入射光Ld1が照射された半導体層7上の入射点での表面の傾き角度が算出される。後に説明するように、前記入射点は複数箇所に設定されるため、それぞれの入射点へのレーザー入射光Ldの入射方向と、それぞれの入射点からのレーザー反射光Lvの反射方向を分析することで、半導体層7の表面の形状、すなわち反りの存在や反りの曲率、表面の波形状やうねり形状など、表面の形状が算出される。
【0039】
図1に示すように、チャンバ2への導入路4への材料供給は、材料ガス制御部21で制御される。前記中央制御装置20からの指令が材料ガス制御部21に与えられると、半導体層7を成膜するための元素(原料分子)を含む原料ガスの種類や供給量ならびに供給圧力などが制御される。中央制御装置20によって、半導体層7の表面の反りなどが算出されると、チャンバ2内へ、測定された反りを打ち消す方向の反りを発生させるための原料以外の材料を供給するなどの補正制御が行われる。
【0040】
上記のように構成された前記測定装置10Aおよび回路構成部10Bの処理動作によって、基板と膜の積層体の反りなどを測定する方法について説明する。以下では、前記測定装置10を使用して、成膜中または成膜完了後の半導体層7の表面形状を測定する測定方法について説明する。ただし、成長する膜が透明な場合には、基板の表面にレーザー光を与えて、基板の反りを測定できるようにしてもよい。
【0041】
図2には、半導体層7の表面においてレーザー入射光Ldが照射される入射点P1,P2,P3の位置と、前記入射点P1,P2,P3に向かうレーザー入射光Ld1、Ld2,Ld3の入射方向ならびにレーザー反射光Lv1、Lv2,Lv3の反射方向が示されている。
【0042】
成膜装置1では、ヒータ3aでテーブル3および基板6が加熱された状態で、チャンバ2内に原料ガス5が導入されて、透明な基板6の表面に半導体層7が成長して行く。基板6の表面に成膜される半導体層7は、発光ダイオードやその他の半導体素子の分子層を形成するためのものであり、例えば、AlN、GaAs、GaN、InP、Si,SiCである。
【0043】
図2(a)に示すように、テーブル3には複数の基板6が載置されている。テーブル3はモータにより駆動されて、反時計回りに公転可能となっている。また、それぞれの基板6は、モータにより駆動されて、テーブル3上で個別に反時計回りに自転可能となっている。
【0044】
測定装置10Aによる測定が開始されると、レーザー発光制御部15によって発光装置11でのレーザー光L0の発光タイミングが制御され、これに同期してミラー駆動制御部16によって、ピボットミラー12の反射面12cの向きが制御される。この制御動作は高速で連続的にまたは間欠的に行われ、レーザー光L0は、反射面12cの向きの変化に応じて、膜の表面の異なる照射点に順番に照射される。
図2の実施の形態では、反射面12cの動作により、レーザー光L0が、半導体層7の表面における入射点P1に向けて照射されるレーザー入射光Ld1と、入射点P2に向けて照射されるレーザー入射光Ld2と、入射点P3に向けて照射されるレーザー入射光Ld3の、実質的に3つのレーザー入射光となるように連続的に変換される。レーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3は、半導体層7の表面に1回ずつ照射されてもよいし、Ld1→Ld1→Ld3の順番に、複数サイクルで照射されてもよい。
【0045】
この制御では、まずピボットミラー12の中立的な位置を決めて、膜表面の所定点(
図2のF)を決め、この所定点Fの近傍にレーザー入射光を与えて、所定点Fの周囲に照射点を設定する。前記所定点は、複数の照射点P1,P2,P3の照射領域を決めるターゲットポイントであり、この所定点Fにはレーザー光は与えられない。
【0046】
図2(b)は、
図2(a)に示した基板6ならびに半導体層7を側方からの視点で見た側面図である。円形の基板6は、その周縁部がリング状の保持治具25で保持されて、テーブル3上で固定されている。
図2(b)では、基板6と半導体層7との積層体が上向きに凸形状となる反りが生じている状態を示している。
【0047】
図2では、基板6が回転せずに停止した状態で、ピボットミラー12で連続的にまたは間欠的に入射方向が変えられた実質的に3本のレーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3が半導体層7の表面の3つの入射点P1、P2、P3に照射されている。
【0048】
レーザー入射光Ld1は入射点P1で反射されて、レーザー反射光Lv1となる。同様に、レーザー入射光Ld2が入射点P2で反射されて、レーザー反射光Lv2となり、レーザー入射光Ld3が入射点P3で照射されて、レーザー反射光Lv3となる。
【0049】
レーザー入射光Ld1の入射方向に対するレーザー反射光Lv1の反射方向の角度の変化を測定すれば、入射点P1での半導体層7の表面に傾き角度を知ることができる。同様に、レーザー入射光Ld2,Ld3の入射方向に対するレーザー反射光Lv2,Lv3の反射方向の角度の変化を測定すれば、入射点P2,P3での半導体層7の表面の傾き角度を知ることができる。それぞれの入射点P1,P2,P3での表面の傾き角度を知ることで、入射点P1,P2,P3を含む所定の領域、すなわち所定点Fを含む領域の曲率を知ることが可能である。
【0050】
レーザー入射光の照射方向を3方向とし、3か所の入射点P1,P2,P3にレーザー入射光を照射することで、基板6が停止している状態または自転のみを行っている状態で、反りの頂点が第1の窓8の真下に位置し、所定点Fが反りの頂点であったとしても、反りの曲率を測定することができる。さらに、自転しながら公転する基板6に形成された半導体層7の表面に、少なくとも2カ所の入射点で好ましくは3か所の入射点を設定することで、半導体層7の表面の形状変化に関する情報量が多くなり、膜の表面形状を細かく分析することが可能である。
【0051】
図3(a)(b)は、測定装置10によって半導体層7の表面形状を測定する原理を示している。以下では、
図1とは異なり、ビームスプリッタ13が設けられておらず、ピボットミラー12がチャンバ2の第1の窓8の外側に対向し、光位置センサ14が第2の窓9の外側に配置された構造を基にして、測定原理を説明する。この測定原理は、
図1に示すように、ビームスプリッタ13を有する測定装置10Aにおいても同じである。
【0052】
図3(a)は、半導体層7の斜め上方からの視点による構成を模式的に表ししている。基板6に成膜中のまたは成膜後の半導体層7は、白抜き矢印で示す方向に回転移動しているものとする。
【0053】
レーザー発光制御部15とミラー駆動制御部16を高速に同期して動作させることで、レーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3の照射方向が高速に切換えられ、半導体層7の表面の3つの入射点にレーザー光が高速に切換えられて順番に照射される。ある時点で、レーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3が照射される入射点が、
図3(a)に示すP1,P2、P3であるとすると、入射点P1で反射されたレーザー反射光Lv1が、光位置センサ14の受光点R1で受光される。同様に、入射点P2で反射されたレーザー反射光Lv2が、光位置センサ14の受光点R2で受光され、入射点P3で反射されたレーザー反射光Lv3が、光位置センサ14の受光点R3で受光される。
【0054】
光位置センサ14では、レーザー反射光Lv1,Lv2,Lv3を異なる時刻で順番に受光するため、光位置センサ14でのデータの取得タイミング調整することで、それぞれの受光点R1,R2,R3の検知位置を個別に検知することができる。この検知出力は反射光分析部17に与えられる。
【0055】
図3(b)は、レーザー入射光Ld2が半導体層7の表面の入射点P2に与えられ、そのレーザー反射光Lv2が光位置センサ14の受光点R2で検知されている状態を示している。このときのレーザー入射光Ldの偏向角はθである。位置Leは、半導体層7の表面における入射点P2の高さレベルを示している。D1は、ピボットミラー12に対するレーザー光L0の入射点M0から、前記位置Leまでの高さ方向の距離を示している。D2は光位置センサ14での受光点R2から前記位置Leまでの高さ距離を示し、D3はピボットミラー12に対するレーザー光L0の入射点M0と光位置センサ14での受光点R2との間の水平方向での距離を示している。
【0056】
図3(b)に示す、上記偏光角θの情報と、各距離D1,D2,D3の情報とから、中央制御装置20では、入射点P2での、半導体層7の表面の角度を知ることができる。入射点P1,P3においても同様に、半導体層7の表面の角度を知ることができ、入射点P1,P2,P3を含む領域の反りの曲率を算出できる。
【0057】
図4に示すように、基板6と半導体層7とが移動していくと、3つの入射点がP1´、P2´、P3´からP1´´、P2´´、P3´´へと変化していくが、それぞれの領域において、3つの入射点からの反射情報を得ることで、半導体層7の表面の形状の変化を連続的に、または間欠的に測定することができる。
【0058】
図4に示すように、実施の形態の測定装置10では、ミラー駆動制御部16で駆動部12a,12bの動作を制御し、ピボットミラー12で反射されるレーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3の偏光角(
図3(b)に示すθ)をそれぞれ変化させて、3本のレーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3の入射方向の相対角度を変化させることができる。その結果、半導体層7の表面の入射点P1,P2,P3の相対位置すなわち所定点Fからの入射点P1,P2,P3までの距離を変化させることができる。
【0059】
入射点P1,P2,P3は、レーザー光を与える面を水平な平面と仮定したときに、正三角形のそれぞれの頂点に位置することが好ましい。3本のレーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3の入射方向の相対角度を変化させることで、前記三角形の大きさを相似状態を維持して変化させることができる。さらには、三角形の大きさを変化させるとともに、正三角形以外の三角形にに変化させてもよい。
【0060】
図4では、半導体層7が白抜き矢印の方向へ移動していくにしたがって、3本のレーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3が照射される入射点の位置がP1,P2,P3から、P1´、P2´、P3´に移行し、さらにP1´´、P2´´、P3´´に移行していく。3か所の入射点が頂点に位置する三角形の大きさは、P1,P2,P3で形成されるものよりも、P1´、P2´、P3´で形成されるものが大きく、さらに、P1´´、P2´´、P3´´のものが最小となっている。
【0061】
このように、3本のレーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3の入射方向の相対的な角度を変化させ、入射点P1,P2,P3の位置、すなわちそれぞれの入射点の間隔を変化させることで、測定している膜の表面の曲率などに応じた適切な測定が可能になる。例えば、中央制御装置20は、検出されている膜の表面の曲率が所定値よりも小さくなったと判断されたとき(平面に近くなっているとき)に、入射点P1,P2,P3の間隔を広げることで、曲率半径を精度良く測定できるようになる。逆に、測定している膜の表面の曲率が大きくなると、それぞれのレーザー反射光Lv1,Lv2,Lv3の相対的な広がり角が大きくなり、光位置センサ14で3つの受光点R1,R2,R3を全て検知できないことがある。このような場合には、入射点P1,P2,P3の間隔が狭められる。
【0062】
次に、実施の形態の測定装置10では、ミラー駆動制御部16で駆動部12a,12bを制御し、ピボットミラー12から膜表面に向けられるレーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3の入射方向の相対角度を変えることなく、全てのレーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3の偏光角(入射角)を変化させることができる。この制御により、入射点P1,P2,P3が頂点に位置する三角形の形状と大きさを変化させることなく、入射点P1,P2,P3の中心に設定される所定点Fと、ピボットミラー12に対するレーザー光L0の入射点M0とを結ぶ仮想中心線の、膜に対する入射方向を変えることができる。
【0063】
図5では、基板6と半導体層7が白抜き矢印の方向へ移動すると想定している。ある時点での、半導体層7に対向するピボットミラーの位置を符号12Aで示し光位置センサの位置を14Aで示しており、半導体層7が所定距離移動した後の、半導体層7に対向するピボットミラーの位置を符号12Bで示し光位置センサの位置を14Bで示している。また、ピボットミラーが12Aの位置にあり光位置センサが14Aの位置にあるとときの、レーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3の平均の偏光角(入射点M0と所定点Fを結ぶ仮想中心線の偏光角)をθ1とし、ピボットミラーが12Bに移動し光位置センサが14Bに移動したときの、レーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3の平均の偏光角(入射点M0と所定点F´を結ぶ仮想中心線の偏光角)をθ2としている。
【0064】
成膜中の膜表面の曲率や傾き角度は場所毎に相違しており、入射点P1,P2,P3が設定される膜の表面の傾き方向は常に変化する。この傾きの度合いによっては、全てのレーザー反射光Lv1,Lv2,Lv3が、第2の窓9を通過できなかったり、全てのレーザー反射光Lv1,Lv2,Lv3を光位置センサ14で受光できないこともある。そこで、ピボットミラー12の向きを変えて、入射点M0と所定点F,F´を結ぶ仮想中心線の入射方向を変化させることで、全てのレーザー反射光Lv1,Lv2,Lv3が、常に第2の窓9を通過でき、光位置センサ14で全てのレーザー反射光Lv1,Lv2,Lv3を受光できるように制御することが可能になる。
【0065】
図6は、本発明の表面形状の測定方法と測定装置を示すさらに具体的な実施の形態を示している。
【0066】
図6に示す実施の形態では、発光装置11から発せられるレーザー光L0が、ピボットミラー12と第2のミラー113とで反射されて、ビームスプリッタ13と、第1の窓8に嵌められたガラス板などの透明板8Aを透過し、チャンバ2内の半導体層7の表面に与えられる。
【0067】
第1のミラーであるピボットミラー12は、
図1に示す駆動部12a,12bで駆動されるものであり、ピボットミラー12の動作により、レーザ光L0の向きが変えられて、3本のレーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3が膜に向けて入射する。第2のミラー113は、3本のレーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3のそれぞれが膜の表面に向かう方向を変化させるものである。すなわち、第2のミラー113は、膜の表面に設定される所定点Fへの入射方向を変化させるものである。第2のミラー113を設けることで、ピボットミラー12の動作としては、レーザ光L0の向きを3本のレーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3の向きに変換するだけでよいため、ピボットミラー12の動作制御を単純化できる。
【0068】
第2のミラー113の向きは、手動で変化させるようにしてもよいし、コイルとマグネットを有する電磁駆動装置などを使用して、第2のミラー113の向きを常に変化させるように制御することもできる。この場合には、ピボットミラー12は、レーザー光L0を3つのレーザー入射光Ld1,Ld2,Ld3に連続的にまたは間欠的に変化させるように高速で動作させ、第2のミラー113は、膜の表面の向きの変化に対応するように、比較的低速で動作させることになる。
【0069】
なお、レーザー入射光Ldのうちのビームスプリッタ13を透過できなかった反射成分のさらなる反射を防止するための光吸収部材114を設け、また、チャンバ2から戻り透明板8Aで向きが変えられる光成分の反射を防止するための光吸収部材115が設けられている。光吸収部材114,115は、黒色などの光吸収色で形成され、または光を乱反射させる乱反射面を有するものとして構成される。
【0070】
上記のように、複数の入射点からのレーザー反射光の角度変化を検知することで、半導体層7の表面の形状を常に測定でき、中央制御装置20で材料ガス制御部21を制御し、チャンバ2へ供給する材料ガスを変化させたり、材料ガスの供給量を変化させることで、基板6と半導体層7の表面形状の反りをリアルタイムで矯正することができる。
【0071】
前記実施の形態の測定装置10Aは、レーザー光L0の発光タイミングと、ピボットミラー12の反射面12cの向きを変えることで、さらに、レーザー入射光の本数を1本、2本、あるいは4本以上に変化させることができ、測定すべきの膜の種別に応じて、または形状に応じて、最適な形状測定を実現することができる。あるいは、レーザー光L0の発光タイミングと、ピボットミラー12の反射面12cの向きを変えることで、入射点P1,P2,P3が頂点に位置する三角形を、同時に複数箇所に設定することも可能である。また、レーザー反射光Lvの戻り位置が広がる場合には、光位置センサ14を複数個並べて配置することも可能である。