(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の検出手段それぞれと前記複数の可変手段それぞれとは対応付けられて対をなし、各対が前記測定対象の異なる位置に取り付けられる請求項1又は2に記載の磁界測定システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ノイズの発生源となるコモンモード電流等は、時間的に変化する。また、コモンモード電流等が発生している自動車の車体等の測定対象の各箇所で磁界強度を測定し、測定対象の全体で評価をする必要がある。
しかし、ポータブルの磁界測定装置や特許文献1のような技術では、測定対象において複数箇所を同時に磁界強度を測定できないため、測定対象の全体で評価をすることができない。
【0006】
本発明の目的は、測定対象の各箇所で磁界強度を同時に検出し、測定対象の全体で評価することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、測定対象のそれぞれ異なる位置に取り付けられてその取り付け部分の電気的状態を変更可能な複数の可変手段と、前記測定対象のそれぞれ異なる位置に取り付けられてその取り付け部分の磁界を検出する複数の検出手段と、前記可変手段それぞれが動作して取り付け部分の電気的状態を変更させたとき前記複数の検出手段が検出した各磁界強度を基に、予め設定された要件に従い前記複数の可変手段から少なくとも1つの可変手段を特定する特定手段と、を有
し、前記可変手段は、前記取り付け部分をグランドに接続することで電気的状態を変更する磁界測定システムである。
【0008】
本発明の第2の態様では、前記複数の可変手段は、無線通信を介して動作が制御され、前記複数の検出手段は、検出した磁界強度の情報を無線通信によって前記特定手段へ提供することが好ましい。
【0009】
本発明の第3の態様では、前記複数の検出手段それぞれと前記複数の可変手段それぞれとは対応付けられて対をなし、各対が前記測定対象の異なる位置に取り付けられることが好ましい。
【0011】
本発明の第
4の態様では、前記複数の検出手段は、時間的に変動する磁界強度を検出し、前記特定手段は、前記複数の検出手段が検出した磁界強度のピーク値の全てが予め設定された値以下になったときに動作していた前記可変手段を特定することが好ましい。
【0012】
本発明の第
5の態様では、前記複数の検出手段は、時間的に変動する磁界強度を検出し、前記特定手段は、前記複数の検出手段が検出した各磁界強度のピーク値の平均値が最も小さくなったときに動作していた前記可変手段を特定することが好ましい。
【0013】
前記課題を解決するために、本発明の第
6の態様は、測定対象のそれぞれ異なる位置に取り付けられてその取り付け部分の電気的状態を変更可能な複数の可変手段を動作させる動作制御ステップと、前記動作制御ステップで
前記可変手段それぞれが動作して取り付け部分の電気的状態を変更させたとき前記測定対象のそれぞれ異なる位置に取り付けられてその取り付け部分の磁界を検出する複数の検出手段が検出した各磁界強度を基に、予め設定された要件に従い前記複数の可変手段から少なくとも1つの可変手段を特定する特定ステップと、を有
し、前記可変手段は、前記取り付け部分をグランドに接続することで電気的状態を変更する磁界測定方法である。
【0014】
前記課題を解決するために、本発明の第
7の態様は、動作制御手段が、測定対象のそれぞれ異なる位置に取り付けられてその取り付け部分の電気的状態を変更可能な複数の可変手段を動作させる動作制御ステップと、特定手段が、前記動作制御ステップで記可変手段それぞれが動作して取り付け部分の電気的状態を変更させたとき前記測定対象のそれぞれ異なる位置に取り付けられてその取り付け部分の磁界を検出する複数の検出手段が検出した各磁界強度を基に、予め設定された要件に従い前記複数の可変手段から少なくとも1つの可変手段を特定する特定ステップと、をコンピュータに実行させ
、前記可変手段は、前記取り付け部分をグランドに接続することで電気的状態を変更するプログラムである。
【0015】
前記課題を解決するために、本発明の第
8の態様は、測定対象に取り付けられて無線通信を介して動作されてその取り付け部分の電気的状態を変更可能な可変手段と、前記測定対象に取り付けられてその取り付け部分の磁界を検出し、その検出値を無線通信により送信する検出手段と、を一体として有
し、前記可変手段は、前記取り付け部分をグランドに接続することで電気的状態を変更する磁界測定装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の前記第1,
6,
7の態様によれば、磁界測定システムは、複数の検出手段を用いることで測定対象の複数個所で磁界強度を同時に検出でき、測定対象の全体評価として、複数の可変手段から少なくとも1つの可変手段及び当該可変手段の取付位置を特定するといった結果を得ることができる。
また、本発明の前記第1,
6,
7の態様によれば、磁界測定システムは、測定対象における可変手段の取り付け箇所をグランドに接続して簡易に取り付け箇所の電気的状態を変更できる。
【0017】
本発明の前記第2の態様によれば、磁界測定システムは、複数の可変手段を無線通信によって動作させ、また、複数の検出手段から無線通信によって磁界強度の情報を取得するため、複数の可変手段及び複数の検出手段をケーブルで接続して測定対象に配置するといった煩雑さもなく、自由度を高くして複数の可変手段及び複数の検出手段を測定対象に対して配置できる。
【0018】
本発明の前記第3の態様によれば、磁界測定システムは、複数の可変手段と複数の検出手段とを対として管理でき、複数の可変手段と複数の検出手段とを簡易に管理できる。
【0020】
本発明の前記第
4の態様によれば、磁界測定システムは、磁界強度のピーク値全てが予め設定された値以下になるといった要件によって簡易に可変手段を特定できる。
【0021】
本発明の前記第
5の態様によれば、磁界測定システムは、各磁界強度のピーク値の平均値が最も小さくなるといった要件によって簡易に可変手段を特定できる。
【0022】
本発明の前記第
8の態様によれば、検出装置は、可変手段を無線通信によって動作させ、また、検出手段から無線通信によって磁界強度の情報を取得することを可能にするため、可変手段及び検出手段をケーブルで接続して測定対象に配置するといった煩雑さもなく、自由度を高くして可変手段及び検出手段を測定対象に対して配置できるようになる。
また、本発明の前記第8の態様によれば、検出装置は、測定対象における可変手段の取り付け箇所をグランドに接続して簡易に取り付け箇所の電気的状態を変更できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、磁界測定システムを挙げている。
【0025】
(構成)
図1は、磁界測定システム1の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、磁界測定システム1は、複数(N個)のセンサシステム100、及び処理装置200を有している。ここで、複数のセンサシステム100と処理装置200とは、無線通信回線300によって通信可能とされている。例えば、無線通信回線300は、広帯域な短波帯を使った通信技術(インパルスラジオ方式)を用いた通信回線である。
【0026】
センサシステム100は、磁界センサ装置110、スイッチ101、及び通信部102を有している。ここで、各センサシステム100は、磁界センサ装置110とスイッチ101とを対(組又はグループ)として有している。また、センサシステム100は、測定対象に対して互いに異なる位置に取り付けられている。例えば、測定対象は、自動車の車体であり、センサシステム100は、自動車において電流を発生させたり、電流が流れたりする部分、例えば、電装品やケーブル等における各箇所に取り付けられている。磁界センサ装置110は、測定対象での当該磁界センサ装置110の取り付け箇所(取り付け部位又は取り付け部分)の磁界強度を検出する。
【0027】
図2は、磁界センサ装置110の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、磁界センサ装置110は、センサ部111、及び処理部112を有している。ここで、センサ部111は、磁界センサであり、測定対象における当該磁界センサ装置110の取り付け箇所の磁界強度を検出する。例えば、センサ部111は、3軸の磁界センサである。処理部112は、センサ部111の磁界検出値に対して各種の処理を施す。各種の処理は、無線通信によって送信するためにセンサ部111の磁界検出値に対して施す処理、処理装置200においてセンサ部111の磁界検出値を処理できるようにするための処理等である。具体的には、処理部112は、各種の処理の1つとして、センサ部111の磁界検出値のピーク値を取得する。例えば、処理部112は、FFT(Fast Fourier Transform)処理によって、センサ部111の磁界検出値を基に周波数スペクトルにおける振幅のピーク値(磁界強度のピーク値)を取得する。
【0028】
図1において、スイッチ101は、測定対象における当該スイッチ101の取り付け箇所をグランドに接続(オン)したり切離(オフ)したりする。全てのスイッチ101は、常時、オフになっていてグランドに対し非接続状態になっている。通信部102は、無線通信回線300を介して処理装置200等の他の装置との間で通信を行う。通信部102は、磁界センサ装置110及びスイッチ101が共有するものだったり、磁界センサ装置110とスイッチ101とがそれぞれ個別に有するものだったりする。この通信部102によって、磁界センサ装置110は、磁界強度のピーク値を送信する。
【0029】
図3は、測定対象となる自動車の車体1000における各センサシステム100の配置例を示す図である。
図3に示すように、各センサシステム100は、測定対象の自動車の車体1000においてそれぞれ異なる位置に適宜配置される。
【0030】
図4は、センサシステム100の一例を示す図である。
図4に示すように、本例では、磁界センサ装置110とスイッチ101とが対となって互いに近く位置されてケーブル(ケーブル管)1001に取り付けられている。また、本例では、磁界センサ装置110はワイヤレスの磁界センサ装置であり、スイッチ101はワイヤレススイッチであり、それぞれが独自に通信部102を有している。
【0031】
図5は、
図4に示すセンサシステム100の配置例を示す図である。
図5に示すように、磁界センサ装置110とスイッチ101とが対となって互いに近くに配置されている各センサシステム100が、車体1000の床下に配置されているケーブル(ケーブル管)1002に取り付けられている。
【0032】
図6は、処理装置200の構成例を示すブロック図である。処理装置200は、演算処理を行う装置であり、例えば、パーソナルコンピュータである。
図6に示すように、処理装置200は、通信部201、操作部202、記憶部203、表示部204、及び処理部210を有している。ここで、通信部201は、無線通信回線300を介してセンサシステム100等の他の装置との間で通信を行う。操作部202は、例えば、キーボード、マウス等である。表示部204は、例えば、モニターである。記憶部203は、例えば、HDD等であって、各種データや各種プログラムが記憶されている。処理部210は、処理装置200における各種処理を実行する。処理部210は、例えば、マイクロコンピュータ及びその周辺回路を備え、例えば、CPU、ROM、RAM等によって構成されている。ROMには、1又は2以上のプログラムが格納されている。CPUは、ROMに格納されている1又は2以上のプログラムに従って各種処理を実行する。そして、処理部210は、必要に応じて、記憶部203に記憶されている各種データや各種プログラムに従って各種処理を実行する。
図6に示すように、処理部210は、スイッチ位置特定処理部211を有している。スイッチ位置特定処理部211は、測定対象においてグランドに接続することが望ましい位置のスイッチ101を特定するスイッチ位置特定処理を行う。
【0033】
図7は、スイッチ位置特定処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、先ずステップS1の処理として、スイッチ位置特定処理部211は、nを0に初期設定する(n=0)。
続くステップS2の処理として、スイッチ位置特定処理部211は、nに1を加算する(n=n+1)。
【0034】
続くステップS3の処理として、スイッチ位置特定処理部211は、n番目のセンサシステム100のスイッチ101を通信部201により無線通信によってオンにする。これによって、測定対象における当該スイッチ101の取り付け箇所がグランドに接続される。
続くステップS4の処理として、スイッチ位置特定処理部211は、測定対象に取り付けられている全てのセンサシステム100と通信部201によって無線通信し、全てのセンサシステム100の磁界センサ装置110の磁界検出値(磁界強度)のピーク値を取得する。これによって、スイッチ位置特定処理部211は、ステップS3でスイッチ101をオンしたときの各磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値全てを取得している。例えば、スイッチ位置特定処理部211は、予め設定されているサンプリング時間間隔で各センサシステム100に次々にアクセスして各磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値を次々と取得する。
【0035】
続くステップS5の処理として、スイッチ位置特定処理部211は、ステップS4で取得した磁界検出値のピーク値のデータを記憶部203に記憶する。
続くステップS6の処理として、スイッチ位置特定処理部211は、ステップS5でオンにしたスイッチ101をオフにする。
【0036】
続くステップS7の処理として、スイッチ位置特定処理部211は、nがNになったか否かを判定する。すなわち、スイッチ位置特定処理部211は、全てのセンサシステム100(N個のセンサシステム100)についてステップS3乃至ステップS6の処理を行ったか否かを判定する。スイッチ位置特定処理部211は、nがN(n=N)になったと判定すると、ステップS8に進む。一方、スイッチ位置特定処理部211は、nがNになっていない(n<N)と判定すると、ステップS2から再び処理を開始する。すなわち、例えば、ステップS2の処理として、スイッチ位置特定処理部211は、nに1を再び加算する(n=n+1)。
【0037】
ステップS8の処理として、スイッチ位置特定処理部211は、比較処理を行う。具体的には、比較処理では、スイッチ位置特定処理部211は、ステップS3の処理においてスイッチ101をオンにしたときそれぞれでステップS5の処理で記憶部203に記憶された全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値としきい値とを比較する。すなわち例えば、スイッチ位置特定処理部211は、第1番目(n=1)のセンサシステム100のスイッチ101をオンにしたときの全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値としきい値とを比較する。次に、スイッチ位置特定処理部211は、第2番目(n=2)のセンサシステム100のスイッチ101をオンにしたときの全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値としきい値とを比較する。次に、スイッチ位置特定処理部211は、第3番目(n=3)のセンサシステム100のスイッチ101をオンにしたときの全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値としきい値とを比較する。このような処理を順次行う。ここで、しきい値は、予め設定されている値である。例えば、しきい値は、実験的、経験的、又は理論的に設定されている。
【0038】
続くステップS9の処理として、スイッチ位置特定処理部211は、平均値算出処理を行う。具体的には、スイッチ位置特定処理部211は、ステップS3の処理においてスイッチ101をオンにしたときそれぞれでステップS5の処理で記憶部203に記憶された全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値の平均値を算出する。すなわち例えば、スイッチ位置特定処理部211は、第1番目(n=1)のセンサシステム100のスイッチ101をオンにしたときの全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値の平均値を算出する。次に、スイッチ位置特定処理部211は、第2番目(n=2)のセンサシステム100のスイッチ101をオンにしたときの全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値の平均値を算出する。次に、スイッチ位置特定処理部211は、第3番目(n=3)のセンサシステム100のスイッチ101をオンにしたときの全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値の平均値を算出する。このような処理を順次行う。
【0039】
続くステップS10の処理として、スイッチ位置特定処理部211は、グランドに接続することが望ましい位置のスイッチ101を特定する。具体的には、スイッチ位置特定処理部211は、ステップS8の比較処理において全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値がしきい値以下になり、かつステップS9の平均値算出処理において全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値の平均値が最も小さくなるオンスイッチ(ステップS3の処理でオンしていたスイッチ101)を、グランドに接続することが望ましい位置のスイッチとして特定する。これによって、スイッチ位置特定処理部211は、ノイズを最も抑制できる位置のスイッチ101を特定する。
【0040】
(動作、作用等)
次に、磁界測定システム1の動作、及びその作用等の一例について説明する。
この磁界測定システム1の用途は様々ではあるが、この例では、設計又は試作段階の自動車の車体にセンサシステム100を取り付けて、自動車の車体においてグランドに接続することによってノイズ発生を抑制する効果がある位置を特定する用途について説明する。
【0041】
この場合、先ず、設計又は試作段階の自動車(例えば、シャーシダイナモ等に設置された自動車)の電装品やケーブル等に複数のセンサシステム100を取り付ける。そして、自動車のエンジンを駆動させたとき、磁界測定システム1がスイッチ位置特定処理を開始する。
スイッチ位置特定処理では、スイッチ位置特定処理部211は、スイッチ101を順次、オンした後オフしていく。このとき、スイッチ位置特定処理部211は、スイッチ101がオンになっている間の全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値を取得し、取得した値を記憶部203に記憶していく。
【0042】
その後、スイッチ位置特定処理部211は、比較処理によって、スイッチ101それぞれをオンにしたときそれぞれで記憶部203に記憶された全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値としきい値とを比較する。さらに、スイッチ位置特定処理部211は、平均値算出処理によって、スイッチ101をオンにしたときそれぞれで記憶部203に記憶された全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値の平均値を算出する。そして、スイッチ位置特定処理部211は、比較処理において全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値がしきい値以下になり、かつ平均値算出処理において全ての磁界センサ装置110の磁界検出値のピーク値の平均値が最も小さくなるオンスイッチ(ステップS3の処理でオンしていたスイッチ101)を、グランドに接続すべき位置のスイッチとして特定する。
【0043】
このようなスイッチ位置特定処理によって、磁界測定システム1は、ノイズ発生を抑制するためにグランドに接続すべき位置を特定する。
そして、このようにして得られた結果を踏まえて、実車(完成品の自動車)で電装品やケーブル等における特定した位置を最初からグランドに接続しておくことで、実車でもノイズ発生を抑制することができるようになる。
【0044】
これによって、例えば、MBD(モデルベースデザイン)プロセスで予測できない電磁干渉問題を解決できるようにもなる。
【0045】
(本実施形態における効果)
(1)磁界測定システム1は、複数の磁界センサ装置110を用いることで測定対象の複数個所で磁界強度を同時に検出でき、測定対象の全体評価として、複数のスイッチ101から少なくとも1つのスイッチ101及び当該スイッチ101の取付位置を特定するといった結果を得ることができる。
【0046】
(2)磁界測定システム1は、複数のスイッチ101を無線通信によって動作させ、また、複数の磁界センサ装置110から無線通信によって磁界強度の情報を取得するため、複数のスイッチ101及び複数の磁界センサ装置110をケーブルで接続して測定対象に配置するといった煩雑さもなく、自由度を高くして複数のスイッチ101及び複数の磁界センサ装置110を測定対象に対して配置できる。
【0047】
例えば、狭小な場所で複雑な車両内部に複数のスイッチ101及び複数の磁界センサ装置110を配置できる。
また、仮に複数のスイッチ101及び複数の磁界センサ装置110をケーブルで接続するような構成にすると、当該ケーブルが電磁環境を変化させてしまうため、磁界センサ装置110で測定対象を高い精度で検出できなくなる。これに対して、本実施形態では、複数のスイッチ101及び複数の磁界センサ装置110をケーブルで接続することがないため、測定対象の各箇所の磁界強度を高い精度で検出できる。
【0048】
(3)磁界測定システム1は、複数のスイッチ101と複数の磁界センサ装置110とを対として管理でき、複数のスイッチ101と複数の磁界センサ装置110とを簡易に管理できる。
(4)磁界測定システム1は、測定対象におけるスイッチ101の取り付け箇所をグランドに接続して簡易に取り付け箇所の電気的状態を変更できる。
【0049】
(5)磁界測定システム1は、磁界強度のピーク値全てが予め設定された値以下になるといった予め設定された要件によって簡易にスイッチ101を特定できる。
(6)磁界測定システム1は、各磁界強度のピーク値の平均値が最も小さくなるといった予め設定された要件によって簡易にスイッチ101を特定できる。
【0050】
なお、前述の実施形態では、磁界センサ装置110又はセンサ部111は、例えば、検出手段を構成する。また、スイッチ位置特定処理部211は、例えば、特定手段を構成する。また、スイッチ101は、例えば、可変手段を構成する。
【0051】
(本実施形態の変形例等)
前記の実施形態の他の例として、測定対象を航空機や鉄道車両等として、磁界測定システム1は、それらの電装品やケーブル等の磁界強度を測定することもできるが、これに限定されないのは言うまでもない。例えば、航空機や鉄道車両等が搭載する部品である電装品やケーブル等を測定対象として、磁界測定システム1は、電装品やケーブル等の複数個所の磁界強度を測定することもできる。この場合、電装品やケーブル等は、航空機や鉄道車両等が搭載するものに限定されないことは言うまでもない。
【0052】
また、前記の実施形態の他の例として、磁界測定システム1は、最終的に複数のスイッチ101(複数のグランド接続位置)を特定することもできる。
また、前記の実施形態の他の例として、磁界センサ装置110とスイッチ101とは1対1で対(組又はグループ)をなすことに限定されず、1つの磁界センサ装置110と複数のスイッチ101とが対となることもでき、複数の磁界センサ装置110と1つのスイッチ101とが対となることもでき、複数の磁界センサ装置110と複数のスイッチ101とが対となることもできる。
【0053】
また、前記の実施形態の他の例として、磁界センサ装置110とスイッチ101とは対をなすことに限定されず、磁界センサ装置110とスイッチ101との間に関係を持たせることなく、磁界センサ装置110、スイッチ101を測定対象の異なる位置に取り付けることもできる。
【0054】
また、前記の実施形態の他の例として、スイッチ位置特定処理部211は、平均値算出処理を考慮することなく、比較処理において全ての磁界センサ装置110の出力値のピーク値がしきい値以下になるオンスイッチに対応する磁界センサ装置110を、グランドに接続することが望ましい位置のスイッチとして特定することもできる。
【0055】
また、前記の実施形態の他の例として、スイッチ位置特定処理部211は、ステップS3の処理で複数のスイッチ101をオンにすることもできる。例えば、複数のスイッチ101は、予め設定されている組み合わせのスイッチである。これによって、最終的に、当該複数のスイッチ101を、グランドに接続することが望ましい位置のスイッチとして特定することもできる。
【0056】
また、前記の実施形態の他の例として、磁界センサ装置110の処理部112の処理を処理装置200側で行うこともできる。例えば、処理装置200の処理部210が、FFT処理等を行う。
また、前記の実施形態の他の例として、磁界測定システム1は、処理装置200と磁界センサ装置110及びスイッチ101とをケーブルによって接続することもできる。
【0057】
また、前記の実施形態の他の例として、処理部112は、前述の方式以外でも、磁界強度のピーク値を取得することができる。
また、前記の実施形態の他の例として、スイッチ101をオン及びオフする方式以外でも、電気的状態を変化させることができる。
【0058】
また、前記の実施形態の他の例として、センサシステム100は、磁界センサ装置110、スイッチ101、及び通信部102を同一の筐体に収容されるなどして一体として有することもできる。
【0059】
また、前記の実施形態では、測定対象のそれぞれ異なる位置に取り付けられてその取り付け部分の電気的状態を変更可能な複数の可変手段を動作させる動作制御ステップと、前記動作制御ステップで記可変手段それぞれが動作して取り付け部分の電気的状態を変更させたとき前記測定対象のそれぞれ異なる位置に取り付けられてその取り付け部分の磁界を検出する複数の検出手段が検出した各磁界強度を基に、予め設定された要件に従い前記複数の可変手段から少なくとも1つの可変手段を特定する特定ステップと、を有する磁界測定方法を実現している。
【0060】
また、前記の実施形態では、動作制御手段が、測定対象のそれぞれ異なる位置に取り付けられてその取り付け部分の電気的状態を変更可能な複数の可変手段を動作させる動作制御ステップと、特定手段が、前記動作制御ステップで記可変手段それぞれが動作して取り付け部分の電気的状態を変更させたとき前記測定対象のそれぞれ異なる位置に取り付けられてその取り付け部分の磁界を検出する複数の検出手段が検出した各磁界強度を基に、予め設定された要件に従い前記複数の可変手段から少なくとも1つの可変手段を特定する特定ステップと、
をコンピュータに実行させるプログラムを実現している。この場合、プログラムは、例えば、処理装置200の処理部210に記憶されるプログラムになる。また、スイッチ位置特定処理部211が、例えば、動作制御手段を構成する。
【0061】
また、前記の実施形態では、センサシステム100は、測定対象に取り付けられて無線通信を介して動作されてその取り付け部分の電気的状態を変更可能な可変手段と、前記測定対象に取り付けられてその取り付け部分の磁界を検出し、その検出値を無線通信により送信する検出手段と、を一体として有する磁界測定装置を実現している。
【0062】
また、本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【解決手段】磁界測定システム1は、測定対象のそれぞれ異なる位置に取り付けられてその取り付け部分の電気的状態を変更可能な複数のスイッチ101と、測定対象のそれぞれ異なる位置に取り付けられてその取り付け部分の磁界を検出する磁界センサ装置110(センサ部111)と、スイッチ101それぞれが動作して取り付け部分の電気的状態を変更させたとき複数の磁界センサ装置110(センサ部111)が検出した各磁界強度を基に、予め設定された要件に従い複数のスイッチ101から少なくとも1つのスイッチ101を特定する処理装置200(スイッチ位置特定処理部211)を有する。