【実施例】
【0027】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。なお、本実施例において、各原料及び素材の配合比率、含有比率、濃度は断りのない限り全て重量部基準である。
【0028】
[調製1]
1%水酸化ナトリウム水溶液3000gに、黒いりごま(かどや製油株式会社製)1000gを加えて、90℃で30分間加熱抽出処理した(pH12.3)。次いで、不織布を用いて固液分離し、得られた液部を、塩酸を用いてpH6に中和することで、ゴマ抽出液1700g(ゴマ種子由来固形分:1.5%、調製1)を得た。
【0029】
[実施例1]
調製1で得られたゴマ抽出液50gに、20%塩化カルシウム水溶液2.5gを加えて5分間攪拌混合した後、ナイロンメッシュ(目開き75μm)を用いて固液分離し、得られた固形部を、105℃で2時間乾燥することにより、本発明によるゴマ加工物0.5g(実施例1)を得た。
【0030】
[実施例2]
調製1で得られたゴマ抽出液50gに、ペクチン(GENU(登録商標)LMペクチン LM−101AS−J、エステル化度35%、CP Kelco社製)を5%水溶液に調製したものを2.5g加えて5分間攪拌混合した。次いで、20%塩化カルシウム水溶液2.5gを加えて5分間攪拌混合した後、ナイロンメッシュ(目開き75μm)を用いて固液分離し、得られた固形部を、105℃で2時間乾燥することにより、本発明によるゴマ加工物0.5g(実施例2)を得た。
【0031】
[比較例1]
調製1で得られたゴマ抽出液50gを、105℃で2時間乾燥することにより、ゴマ抽出液の乾燥物1.5g(比較例1)を得た。
【0032】
[比較例2]
調製1で得られたゴマ抽出液50gに、ペクチン(GENU(登録商標)LMペクチン LM−101AS−J、エステル化度35%、CP Kelco社製)を5%水溶液に調製したものを2.5g加えて5分間攪拌混合した後、ナイロンメッシュ(目開き75μm)を用いて固液分離し、得られた固形部を、105℃で2時間乾燥することにより、ゴマ抽出液のペクチン処理分離乾燥物0.2g(比較例2)を得た。
【0033】
[対比試験1]
実施例1及び実施例2で得られた本発明によるゴマ加工物、比較例1で得られたゴマ抽出液の乾燥物及び比較例2で得られたゴマ抽出物のペクチン処理分離乾燥物をそれぞれ検体として、SOD Assay Kit−WST(株式会社同仁化学研究所製)を用いてSOD様活性を測定した。試薬及び検体の調製並びに測定は、本キットの操作方法に従って行った。具体的には、純水にて適宜希釈した各検体を用い、発色試薬であるテトラゾリウム塩WST−1の還元反応により生成するWST−1ホルマザンの極大吸収波長付近である450nmの吸光度を測定することで、各検体の前記還元反応に対する阻害率を求め、阻害曲線を作成した。さらに、還元の阻害率50%を示す検体溶液20μlに含まれるSODを1単位(U:ユニット)として、前記阻害曲線より阻害率50%が得られる時の希釈率を求めることで、検体1gあたりのユニット数を算出した。結果を表1に示す。
また、各検体20mgをそれぞれ1%水酸化ナトリウム水溶液100mlに溶解した後、分光光度計(UV−1200:株式会社島津製作所製)を用いて、光路長1cm、波長350nm、波長450nm及び波長550nmにおける吸光度を測定した。結果を表2に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
表1に示すとおり、実施例1及び実施例2で得られた本発明によるゴマ加工物のSOD様活性は、比較例1で得られたゴマ抽出液の乾燥物及び比較例2で得られたゴマ抽出物のペクチン処理分離乾燥物のいずれと比較しても顕著に高い値を示した。
また、表2に示すとおり、実施例2で得られた本発明によるゴマ加工物の水酸化ナトリウム水溶液における吸光度(350nm、450nm、550nm)は、比較例1で得られたゴマ抽出液の乾燥物及び比較例2で得られたゴマ抽出物のペクチン処理分離乾燥物のいずれと比較しても高く、黒色色調の色価が顕著に強かった。
【0037】
[調製2]
水1350gに、黒いりごま(かどや製油株式会社製)450g、48%水酸化ナトリウム水溶液42gを加えて混合した後、121℃で15分間加熱抽出処理した(pH13.0)。40℃まで冷却した後、塩酸を用いてpH6に中和処理を行った上で200メッシュのふるい(JIS Z 8801−1:2006準拠の標準ふるい:公称目開き75μm)を用いて固液分離し液部を回収することで、ゴマ抽出液1120g(ゴマ種子由来固形分:7.6%、調製2)を得た。
【0038】
[実施例3]
調製2で得られたゴマ抽出液20gに、20%塩化カルシウム水溶液1gを加えて5分間攪拌混合した後、95%(v/v)エタノール20gを加えて5分間攪拌混合した。次いで、遠心分離(遠心加速度:2000×G、5分間)を行い固形部を回収し、さらに該固形部を凍結乾燥することにより、本発明によるゴマ加工物0.4g(実施例3)を得た。
【0039】
[実施例4]
調製2で得られたゴマ抽出液20gに、ペクチン(GENU(登録商標)LMペクチン LM−101AS−J、エステル化度35%、CP Kelco社製)を1%水溶液に調製したものを1g加えて5分間攪拌混合した。さらに、20%塩化カルシウム水溶液1gを加えて5分間攪拌混合した後、95%(v/v)エタノール20gを加えて5分間攪拌混合した。次いで、遠心分離(遠心加速度:2000×G、5分間)を行い固形部を回収し、さらに該固形部を凍結乾燥することにより、本発明によるゴマ加工物0.6g(実施例4)を得た。
【0040】
[比較例3]
調製2で得られたゴマ抽出液20gに、95%(v/v)エタノール20gを加えて5分間混合した。次いで、遠心分離(遠心加速度:2000×G、5分間)を行い固形部を回収し、さらに該固形部を凍結乾燥することにより、ゴマ抽出物のエタノール処理乾燥物0.6g(比較例3)を得た。
【0041】
[比較例4]
調製2で得られたゴマ抽出液20gに、ペクチン(GENU(登録商標)LMペクチン LM−101AS−J、エステル化度35%、CP Kelco社製)を1%水溶液に調製したものを1g加えて5分間攪拌混合した後、95%(v/v)エタノール20gを加えて5分間攪拌混合した。次いで、遠心分離(遠心加速度:2000×G、5分間)を行い固形部を回収し、さらに該固形部を凍結乾燥することにより、ゴマ抽出物のペクチン及びエタノール処理乾燥物0.2g(比較例4)を得た。
【0042】
[対比試験2]
実施例3及び実施例4で得られた本発明によるゴマ加工物、比較例3で得られたゴマ抽出物のエタノール処理乾燥物及び比較例4で得られたゴマ抽出処理物のペクチン及びエタノール処理乾燥物をそれぞれ検体として、DPPHラジカル消去活性を下記の方法で測定した。結果を表3に示す。
また、各検体20mgをそれぞれ1%水酸化ナトリウム水溶液100mlに溶解した後、分光光度計(UV−1200:株式会社島津製作所製)を用いて、光路長1cm、波長350nm、波長450nm及び波長550nmにおける吸光度を測定した。結果を表4に示す。
【0043】
<DPPHラジカル消去活性の測定方法>
DPPHラジカル消去活性の測定は、参考文献(篠原ら編、食品機能研究法、光琳、2000年、p.218)を参照し、以下の通り測定した。
80%(w/v)エタノールにて適宜希釈した各検体50μLに、200mMの2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)緩衝液(200mM、pH6.0)50μL、20%エタノール50μL及び400μMの1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)エタノール溶液50μLの混合液を添加して混和し、さらに20分間静置した後、マイクロプレートリーダーを用いて520nmにおける吸光度を測定した。
0〜200μMのα−トコフェロール(和光純薬工業株式会社製)について同様の操作を行うことで検量線を作成し、得られた検量線をもとに、各検体1gあたりのラジカル消去活性をα−トコフェロール相当量(濃度)として算出した。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
表3に示すとおり、実施例3及び実施例4で得られた本発明によるゴマ加工物のDPPHラジカル消去活性は、比較例3のゴマ抽出物のエタノール処理乾燥物及び比較例4のゴマ抽出物のペクチン及びエタノール処理乾燥物のいずれと比較しても顕著に高い値を示した。
また、表4に示すとおり、実施例3及び実施例4で得られた本発明によるゴマ加工物の水酸化ナトリウム水溶液における吸光度(350nm、450nm、550nm)は、比較例3のゴマ抽出物のエタノール処理乾燥物及び比較例4のゴマ抽出物のペクチン及びエタノール処理乾燥物のいずれと比較しても高く、黒色色調の色価が顕著に強かった。